【解決手段】一部区間の給電区間Kにトロリー線2が配されたトンネルT内を走行可能に設けられ、トロリー線2に集電体31を接触させて給電する給電トロリー3と、給電トロリー3を収容可能な収容部と、給電トロリー3を、収容部に収容される収容位置と、集電体31がトロリー線2に接触可能な給電位置P1との間で移動可能に支持する横移動装置5と、給電トロリー3で給電した電気が充電されるバッテリーと、を備えた構成のバッテリーロコを提供する。
前記給電トロリーは、前記給電区間において前記集電体が前記トロリー線に対して付勢力を付与した状態で接触されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のバッテリーロコ。
前記トロリー線は、前記バッテリーロコの往復走行のそれぞれにおいて前記給電トロリーによって給電可能に設けられていることを特徴とする請求項5又は6に記載のトロリー給電システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、近年のシールド工事では、トンネルが長距離化しているうえ、1日あたりの掘進距離(日進)が延び、さらにトンネル径が大径化することに伴い、バッテリーロコによる走行時間、走行距離、走行重量が増大しており、バッテリーの交換頻度が増える傾向になっている。そのため、バッテリーの大型化、予備の充電用のバッテリーの数量を増やす等の対策が講じられているが、コストが高くなるうえ、バッテリーの交換作業にかかる時間も増大し、走行効率が低下するという問題があった。
【0005】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、バッテリーにかかるコストの増大を抑えるとともに、バッテリーの交換頻度を少なくすることで走行効率を向上させることができるバッテリーロコ、及びトロリー給電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係るバッテリーロコは、一部区間の給電区間にトロリー線が配された走行路を走行可能に設けられたバッテリーロコであって、前記トロリー線に集電体を接触させて給電する給電トロリーと、前記給電トロリーを収容可能な収容部と、前記給電トロリーを、前記収容部に収容される収容位置と、前記集電体が前記トロリー線に接触可能な給電位置との間で移動可能に支持する移動機構部と、前記給電トロリーで給電した電気が充電されるバッテリーと、を備えていることを特徴としている。
【0007】
本発明では、走行路を走行中のバッテリーロコにおいて、移動機構部によって給電トロリーを給電位置に移動させ、給電トロリーの集電体をトロリー線に接触させて給電することができる。そして、バッテリーロコの走行中に給電した電気をバッテリーに充電することができるので、バッテリーロコの走行距離を延ばすことが可能となる。そのため、バッテリーの交換頻度を少なくすることができ、走行効率を向上させることができる。
また、給電トロリーが収容部に収容された収容位置に配置された状態において、給電トロリーがバッテリーロコのロコ本体から外方に張り出さない状態となるので、給電区間以外の無電区間の走行時において、給電トロリーが例えばトランス等のトンネル坑内の側壁に配置される設備に接触することを防止できる。
【0008】
また、本発明に係るバッテリーロコは、前記移動機構部は、前記給電トロリーをロコ本体の幅方向に沿う横方向に進退移動させる横移動装置を備えていることが好ましい。
【0009】
この場合には、トロリー線を、バッテリーロコが走行する走行路の側方の位置で、かつバッテリーロコに搭載される給電トロリーの集電体の高さと一致させることができる。そして、トロリー線が配される給電区間の進行方向の手前にバッテリーロコが近づいたときに、横移動装置により給電トロリーを側方に向けて張り出して給電位置とすることで、給電トロリーの集電体をトロリー線に接触させることができる。そのため、給電トロリーを給電位置に移動させる際に上下方向の位置決めが不要となり、移動機構部が簡単な構造となる。
【0010】
また、本発明に係るバッテリーロコは、前記移動機構部は、前記給電トロリーを上下方向に進退移動させる縦移動装置を備えていることが好ましい。
【0011】
本発明では、走行されるバッテリーロコの上方又は下方に架設されたトロリー線に対して、給電区間の手前で給電トロリーを収容位置から上方又は下方に向けて張り出して集電体をトロリー線に接触させることができる。この場合には、給電トロリーを給電位置に移動させる際に横方向の位置決めが不要となるので、移動機構部が簡単な構造となる。
また、走行路の側方の位置にトロリー線が配置される場合でも、バッテリーロコに搭載される給電トロリーの集電体とトロリー線との高さ方向の位置が一致していない場合には、横方向へ給電トロリーを張り出す際に、縦移動装置により給電トロリーの高さ方向に位置決めすることで集電体をトロリー線に接触させることができる。
【0012】
また、本発明に係るバッテリーロコは、前記給電トロリーは、前記給電区間において前記集電体が前記トロリー線に対して付勢力を付与した状態で接触されていることが好ましい。
【0013】
このような構成のバッテリーロコによれば、給電区間において、集電体をトロリー線に対して常時、付勢力によって押し付けた状態で接触させることができる。そのため、トロリー線に対して集電体が接触したり離れたりすることがなく、安定した給電が可能となる。
また、バッテリーロコが走行する軌条に起伏、施工誤差、あるいは走行によるズレが生じた場合であっても、集電体をトロリー線に対して確実に接触させることができる。
【0014】
また、本発明に係るトロリー給電システムは、走行路の一部区間をなす給電区間に配置されたトロリー線と、該トロリー線に集電体を接触させて給電する給電トロリーを備えたバッテリーロコと、前記バッテリーロコの進行方向で前記給電区間よりも手前に設置された給電開始用の第1被位置検知部と、前記進行方向で前記給電区間よりも後方に設置された給電停止用の第2被位置検知部と、前記バッテリーロコに設けられ、前記第1被位置検知部及び前記第2被位置検知部を検出する位置検知部と、前記位置検知部で前記第1被位置検知部が検出されたときに、前記給電トロリーを前記バッテリーロコの収容部から張り出して前記集電体を前記トロリー線に接触させるとともに、前記位置検知部で前記第2被位置検知部が検出されたときに、前記集電体が前記トロリー線から離れ、前記給電トロリーを前記収容部に引き込んで収容するように制御するトロリー制御部と、を備えていることを特徴としている。
【0015】
本発明のトロリー給電システムによれば、トロリー制御部において、走行路を走行中のバッテリーロコの位置検知部で第1被位置検知部を検出した信号に基づいて、給電トロリーの集電体がトロリー線に接触するまで張り出すように制御する。これにより給電区間において給電することができる。そして、位置検知部で第2被位置検知部を検出した信号に基づいて、給電トロリーがロコ本体側に引き込まれて、集電体がトロリー線から離れて給電が停止される。これにより走行中にバッテリーを充電することができ、バッテリーロコの走行距離を延ばすことが可能となる。そのため、バッテリーの交換頻度を少なくすることができ、走行効率を向上させることができる。
【0016】
また、本発明に係るトロリー給電システムは、走行路の一部区間をなす給電区間に配置されたトロリー線と、該トロリー線に集電体を接触させて給電する給電トロリーを備えたバッテリーロコと、前記バッテリーロコの進行方向で前記給電区間よりも手前に設置された給電開始用の第1位置検知部と、前記進行方向で前記給電区間よりも後方に設置された給電停止用の第2位置検知部と、前記バッテリーロコに設けられ、前記第1位置検知部及び前記第2位置検知部によって検出される被位置検知部と、前記第1位置検知部で前記被位置検知部が検出されたときに、前記給電トロリーを前記バッテリーロコの収容部から張り出して前記集電体を前記トロリー線に接触させるとともに、前記第2位置検知部で前記被位置検知部が検出されたときに、前記集電体が前記トロリー線から離れ、前記給電トロリーを前記収容部に引き込んで収容するように制御するトロリー制御部と、を備えていることを特徴としている。
【0017】
本発明のトロリー給電システムによれば、トロリー制御部において、走行路を走行中のバッテリーロコの被位置検知部を第1位置検知部で検出した信号に基づいて、給電トロリーの集電体がトロリー線に接触するまで張り出すように制御する。これにより給電区間において給電することができる。そして、被位置検知部を第2位置検知部で検出した信号に基づいて、給電トロリーがロコ本体側に引き込まれて、集電体がトロリー線から離れて給電が停止される。これにより走行中にバッテリーを充電することができ、バッテリーロコの走行距離を延ばすことが可能となる。そのため、バッテリーの交換頻度を少なくすることができ、走行効率を向上させることができる。
【0018】
また、本発明に係るトロリー給電システムは、前記トロリー線は、前記バッテリーロコの往復走行のそれぞれにおいて前記給電トロリーによって給電可能に設けられていることを特徴としてもよい。
【0019】
本発明では、バッテリーロコの往路走行時および復路走行時のそれぞれで、走行路の給電区間に設けられるトロリー線を共通で使用することができるので、設備の増加を抑えつつ給電による充電量を増やすことができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明のバッテリーロコ、及びトロリー給電システムによれば、バッテリーにかかるコストの増大を抑えるとともに、バッテリーの交換頻度を少なくすることで走行効率を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態によるバッテリーロコ、及びトロリー給電システムについて、図面に基づいて説明する。
【0023】
図1に示すように、本実施の形態のトロリー給電システムは、例えばシールドトンネル工事などのトンネルT(走行路)の一部区間にトロリー線2が配された給電区間Kが設けられ、サーボロコ1(バッテリーロコ)に備えた集電体31をトロリー線2に接触させることにより、サーボロコ1に電気を給電するシステムである。なお、
図1は、走行中における各動作位置(後述する符号S1〜S9の位置)の全てを示している。
ここで、サーボロコ1の進行方向Xにおいて、トンネルTの坑口から切羽に向かう方向を切羽方向X1といい、その反対方向(すなわち切羽からトンネルTの坑口に向かう方向)を坑口方向X2という。また、サーボロコ1の幅方向に沿う方向を横方向Zという。
【0024】
図1乃至
図4に示すように、トロリー給電システムは、トロリー線2と、集電体31を有する給電トロリー3をロコ本体10に備えたサーボロコ1と、進行方向Xで給電区間Kよりも手前に設置された給電開始用の第1反射板41(第1被位置検知部)と、進行方向Xで給電区間Kよりも後方に設置された給電停止用の第2反射板42(第2被位置検知部)と、サーボロコ1に設けられ第1反射板41及び第2反射板42の反射光を検出する光電センサー4(位置検知部)と、光電センサー4で検出した情報に基づいて給電トロリー3を制御するトロリー制御部43と、を備えている。
【0025】
トロリー線2は、
図4に示すように、トンネルTの側壁部分の下部から立設された複数の支柱21に支持され、進行方向Xに沿って延在されている。支柱21は、給電区間Kにおいて、進行方向Xに沿って所定間隔をあけて多数設けられている。
トロリー線2は、上下に二段で設けられ横方向Zに延びた腕材22のそれぞれに横方向Zに間隔をあけて二本の電線が吊り下げられた状態で計4本が架設されている。トロリー線2の上下方向Y、及び横方向Zの位置は、それぞれサーボロコ1の軌条23の位置を基準にして所定の距離となるように設定されている。
【0026】
反射板41、42は、
図1に示すように、進行方向Xで給電区間Kの前後にそれぞれ所定距離だけ離れ、かつ軌条23の近傍でサーボロコ1に設けられている光電センサー4で検出可能な位置に配置されている。つまり、反射板41、42は、走行するサーボロコ1の光電センサー4の下方で対向する位置となるように例えば不図示の枕木の上面に固定されている。
ここで、給電区間Kから坑口側に所定距離だけ離れた位置までの区間を給電トロリー3の張り出し区間D1とし、給電区間Kから切羽側に所定距離だけ離れた位置までの区間を給電トロリー3の引き込み区間D2とする。
【0027】
張り出し区間D1は、サーボロコ1が切羽方向X1に走行している状態で、光電センサー4で第1反射板41による反射光を検出したときに、給電トロリー3がロコ本体10の側方に張り出し、給電トロリー3の集電体31がトロリー線2に接触可能な位置となる適宜な区間とされる。
引き込み区間D2は、サーボロコ1が坑口方向X2に走行している状態で、光電センサー4で第2反射板42による反射光を検出したときに、給電トロリー3がロコ本体10の側方に張り出し、給電トロリー3の集電体31がトロリー線2に接触可能な位置となる適宜な区間とされる。
【0028】
図2乃至
図4に示すように、サーボロコ1は、ロコ本体10と、バッテリー11と、集電体31を有してトロリー線2からバッテリー11に給電するため給電トロリー3と、給電トロリー3を収容可能な収容部5Aと、給電トロリー3の集電体31を、
図5及び
図6に示すように、トロリー線2に接触可能な給電位置P1と収容部5Aに収容される収容位置P2との間で移動可能に支持する横移動装置5(移動機構部)と、を備えている。
【0029】
ロコ本体10は、軌条23を転動する車輪12と、軌条23のレール間に配置された不図示のラックに噛合するピニオン13と、を有している。さらにロコ本体10には、切羽方向X1の後方から前方に向けて操作室14、前記バッテリー11、給電トロリー3を側方に向けて張り出すための横移動装置5、カウンターウェイト15がその順で配置されている。その他、車輪12やピニオン13を駆動させるための不図示のサボモータ等については、周知のサーボロコと同様の構成となるため、本願発明では説明を省略する。
【0030】
バッテリー11は、ロコ本体10における進行方向Xで後方寄りの位置で交換可能に装備されており、給電トロリー3に電気的に接続され、集電体31をトロリー線2に接触させることで給電された電気が充電されるようになっている。
カウンターウェイト15は、バッテリー11との重量をバランスさせるためのものであり、ロコ本体10における進行方向Xで前方寄りの位置に配置されている。
【0031】
給電トロリー3は、横移動装置5の駆動によって、ロコ本体10から横方向Zで外側に向けて張り出し可能に進退移動され、給電区間Kにおいて集電体31がトロリー線2に対して下方から接触するように張り出される。
図5及び
図6に示すように、給電トロリー3は、トロリー線2に対して下方から接触する集電体31と、集電体31をロコ本体10から支持する保持部32と、を備え、4本のトロリー線2のそれぞれに前後一対で2台ずつ設けられ、横移動装置5の後述する支持架台52に支持されている。
【0032】
横移動装置5は、ロコ本体10の横方向Zにレール延長方向に向けて配置される一対のスライドレール51、51と、これら一対のスライドレール51、51に案内されて横方向Zに移動され複数の給電トロリー3を支持する支持架台52と、支持架台52をスライドレール51に沿って摺動させるための伸縮ジャッキ53と、を備えている。
【0033】
支持架台52は、一対のスライドレール51、51のそれぞれに摺動自在に係合されたスライドベース54と、各スライドベース54から立設された支柱55と、各支柱55から横方向Zでトンネル坑壁側に向けて張り出した上下一対の支持材56と、一対の支柱55、55同士を連結する連結材57と、を備えて構成されている。各支持材56には、2つの給電トロリー3が支持されている。
伸縮ジャッキ53は、油圧ポンプによって駆動する油圧ジャッキが用いられ、一端53aがロコ本体10に固定され、他端の伸縮端53bが支持架台52の連結材57に固定されている。これにより、伸縮ジャッキ53を伸縮駆動させることで、支持架台52が一対のスライドレール51、51に沿って横方向Zに移動することになる。なお、伸縮ジャッキ53の伸縮動作は、後述するトロリー制御部43によって制御される。
そして、伸縮ジャッキ53の収縮状態において、支持架台52及び給電トロリー3がロコ本体10よりも横方向Zの外側に張り出さない位置(収容位置P2)で収納された状態となり、この状態で配置される部分が収容部5Aとなる。
【0034】
ここで、集電体31は、上向きの付勢力が付与されるように構成されている。具体的には、給電トロリー3と支持材56との間にばね材(図示省略)が介在された構成や、給電トロリー3自体にばね材(図示省略)が組み込まれた構成等により、集電体31に上向きに付勢された構成とすることができる。これにより、集電体31が給電区間Kにおいてトロリー線2に対して付勢力を付与した状態で接触することが可能となっている。
【0035】
また、
図3及び
図4に示すように、ロコ本体10に設けられる光電センサー4は、ロコ本体10の後方下面において複数(ここでは4つ)配置されている。これら4つの光電センサー4のうち横方向Zの片側に位置する2つは、サーボロコ1が切羽方向X1に走行したときに第1反射板41及び第2反射板42の光を検出するように設けられ、他方の片側に位置する2つは、サーボロコ1が坑口方向X2に走行したときに反射板の光を検出するように設けられている。
【0036】
トロリー制御部43は、ロコ本体10であればいずれの位置でもかまわないが、本実施の形態では
図3に示すように横移動装置5の近傍に設けられ、4つの光電センサー4に接続され、検出した反射板41、42の反射光の信号が受信されようになっている。そして、トロリー制御部43では、光電センサー4で第1反射板41を検出したときに、給電トロリー3が収容部5Aから張り出して集電体31がトロリー線2に接触し、光電センサー4で第2反射板42を検出したときに、集電体31がトロリー線2から離間し、給電トロリー3が収容部5Aに収容されるように制御する。
【0037】
次に、トロリー給電システムを用いて走行中のサーボロコ1によって給電区間Kで給電し、給電した電気をサーボロコ1に搭載されるバッテリー11に充電する方法について説明する。ここでは、坑口側から切羽側に向かう切羽方向X1に走行する場合について説明する。
図1に示すように、給電区間Kの手前(坑口側)の適宜な位置(第1走行位置S1)において、サーボロコ1の光電センサー4が第1反射板41を通過することで、光電センサー4で第1反射板41による反射光を検出する。そして、トロリー制御部43においてその検出信号を受信し、横移動装置5に駆動信号が送信されて横移動装置5の駆動を制御する。具体的には、
図5及び
図6に示すように、トロリー制御部43によって、横移動装置5の伸縮ジャッキ53を伸張させることで、この伸縮ジャッキ53の伸縮端53bに取り付けられた支持架台52がスライドレール51に案内されて横方向Zの外側(トンネル坑壁側)に向けて移動し、給電位置P1の給電トロリー3は収容部5Aから張り出される。ここで、
図1に示す第2走行位置S2は、給電トロリー3が張り出している途中の状態を示している。
そして、給電区間Kの直前の第3走行位置S3において、給電トロリー3の張り出しが完了した給電位置P1となる。
【0038】
さらに、給電トロリー3を張り出した状態のままサーボロコ1が切羽方向X1に走行すると、張り出した給電トロリー3の集電体31が給電区間Kに架設されたトロリー線2に下方から接触して給電され、バッテリー11の充電が開始される(第4走行位置S4)。そして、給電区間Kにおいては、サーボロコ1が集電体31をトロリー線2に接触させながら走行する。ここで、第5走行位置S5は、充電中の状態(すなわち、集電体31がトロリー線2に接触して給電した状態)を示している。また、第6走行位置S6は、充電停止の位置であって、集電体31がトロリー線2から離れて非接触状態になる直前の位置を示している。
【0039】
次に、集電体31がトロリー線2から離れた後、給電トロリー3がロコ本体10側に引き込まれる格納開始位置(第7走行位置S7)となる。つまり、サーボロコ1に設けられる光電センサー4によって給電区間Kよりも切羽側の軌条23に配置される第2反射板42による反射光を検出すると、トロリー制御部43においてその検出信号を受信し、横移動装置5に駆動信号が送信されて横移動装置5を制御する。具体的には、
図5及び
図6に示すように、トロリー制御部43によって、横移動装置5の伸縮ジャッキ53を収縮させることで、支持架台52がスライドレール51に案内されて横方向Zの内側に向けて移動し、給電トロリー3がロコ本体10の収容部5Aに向かって引き込みが開始される。
図1に示す第8走行位置S8は、給電トロリー3の引き込み中の状態を示している。
そして、第9走行位置S9において、給電トロリー3の引き込みが完了し、ロコ本体10の収容部5Aに給電トロリー3が収容される。
【0040】
なお、サーボロコ1が坑口側から切羽側に向かう切羽方向X1に走行する場合を説明したが、切羽側から坑口側に向かう坑口方向X2の場合にも上記と同じ給電区間Kのトロリー線2に集電体31を接触させて給電することができる。つまり、坑口方向X2への走行の場合でも、復路用の第1反射板41が給電区間Kの手前(切羽側)に配置されているので、この第1反射板41の反射光を光電センサー4で検出したときに、給電トロリー3を張り出して集電体31をトロリー線2に接触させて給電することができる。
【0041】
次に、上述したサーボロコ1、及びトロリー給電システムの作用について、図面に基づいて詳細に説明する。
本実施の形態では、
図1に示すように、トンネルT内を所定速度で走行中のサーボロコ1において、横移動装置5によって給電トロリー3を給電位置P1に移動させ、給電トロリー3の集電体31をトロリー線2に接触させて給電することができる。つまり、本実施の形態では、トロリー制御部43において、トンネルT内で走行中のサーボロコ1に設けられる光電センサー4によって第1反射板41の反射光を検出した信号に基づいて、給電トロリー3の集電体31がトロリー線2に接触するまで横方向Zに張り出すように制御する。これにより給電区間Kにおいて給電することができる。そして、光電センサー4で第2反射板42の反射光を検出した信号に基づいて、給電トロリー3がロコ本体10側に引き込まれて、集電体31がトロリー線2から離れて給電が停止される。
そして、サーボロコ1の走行中に給電した電気をバッテリー11に充電することができるので、サーボロコ1の走行距離を延ばすことが可能となる。そのため、バッテリー11の交換頻度を少なくすることができ、走行効率を向上させることができる。
【0042】
また、
図5及び
図6に示すように、給電トロリー3が収容部5Aに収容された収容位置P2に配置された状態において、給電トロリー3がサーボロコ1のロコ本体10から外方に張り出さない状態となるので、給電区間K以外の無電区間の走行時において、給電トロリー3が例えばトランス等のトンネル坑内の側壁に配置される設備に接触することを防止できる。
【0043】
本実施の形態では、
図1に示すように、トロリー線2をサーボロコ1が走行するトンネルTの側方の位置で、かつサーボロコ1に搭載される給電トロリー3の集電体31の高さと一致させることができる。そして、トロリー線2が配される給電区間Kの進行方向Xの手前にサーボロコ1が近づいたときに、横移動装置5により給電トロリー3を側方に向けて張り出して給電位置P1とすることで、給電トロリー3の集電体31をトロリー線2に接触させることができる。そのため、給電トロリー3を給電位置P1に移動させる際に上下方向Yの位置決めが不要となり、横移動装置5が簡単な構造となる。
【0044】
また、本実施の形態では、
図4に示すように、給電区間Kにおいて、集電体31をトロリー線2に対して常時、付勢力によって押し付けた状態で接触させることができる。そのため、トロリー線2に対して集電体31が接触したり離れたりすることがなく、安定した給電が可能となる。
また、サーボロコ1が走行する軌条23に起伏、施工誤差、あるいは走行によるズレが生じた場合であっても、集電体31をトロリー線2に対して確実に接触させることができる。
【0045】
さらに、本実施の形態のトロリー給電システムでは、サーボロコ1の往路走行時および復路走行時のそれぞれで、トンネルTの給電区間Kに設けられるトロリー線2を共通で使用することができるので、設備の増加を抑えつつ給電による充電量を増やすことができる。
【0046】
上述のように本実施の形態によるバッテリーロコ、及びトロリー給電システムでは、バッテリー11にかかるコストの増大を抑えるとともに、バッテリー11の交換頻度を少なくすることで走行効率を向上させることができる。
【0047】
以上、本発明によるバッテリーロコ、及びトロリー給電システムの実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、本実施の形態ではサーボロコ1をバッテリーロコとして適用しているが、サーボ制御によらないノッチ式のバッテリーロコに適用してもよい。要は、交換可能なバッテリーを搭載したバッテリーロコであればよいのである。
【0048】
また、本実施の形態では、給電区間Kが設けられる走行路としてシールド工法により施工中のトンネルTを対象としているが、トンネルTであることに制限されず、地上部に給電区間Kを設けた走行路であってもかまわない。
【0049】
さらに、進行方向Xから見たトロリー線2の断面位置は、本実施の形態のようにサーボロコ1(バッテリーロコ)の側方であることに限定されることはなく、走行されるバッテリーロコの上方、又は下方にトロリー線が架設されていてもよい。なお、トロリー線が上方、又は下方に配置される場合には、後述する縦移動装置によって給電トロリー3を移動させることができる。
そして、トロリー線2が架設される進行方向Xの位置(給電区間K)は、任意に設定することができ、またバッテリーロコの走行区間のうち1箇所のみに給電区間Kを設けることに制限されず、複数箇所に給電区間Kを設けるようにしてもよい。
【0050】
また、移動機構部は、上述した実施の形態のような横移動装置5に限定されることはない。要は、給電トロリー3を張り出した状態において、その給電トロリー3の荷重を少なくとも集電体31の高さ方向の位置が変動しないように支持できる支持構造を有していれば他の構成であってもかまわない。
【0051】
つまり、本実施の形態では、給電トロリー3を駆動する移動機構部として横方向Zへの進退移動のみを可能とする横移動装置5を備えた構成としているが、移動機構部の構成はこれに限定されることはない。例えば、トロリー線2の位置が、走行されるバッテリーロコの上方又は下方に架設されている場合には、横移動装置5に代えて給電トロリー3を上下方向Yに進退移動可能とする縦移動装置を設けることができる。
このような縦移動装置を設けることで、トロリー線2に対して、給電区間の手前で給電トロリー3を収容位置P2から上方又は下方に向けて張り出して集電体31をトロリー線2に接触させることができる。この場合には、給電トロリー3を給電位置P1に移動させる際に横方向Zの位置決めが不要となるので、移動機構部が簡単な構造となる。
さらに、本実施の形態の横移動装置5に縦移動装置を組み合わせて、縦横方向に給電トロリー3を移動させて集電体31を位置決めすることが可能な移動機構部としてもよい。この場合には、トンネルTの側方の位置にトロリー線2が配置される場合でも、バッテリーロコに搭載される給電トロリー3の集電体31とトロリー線2との高さ方向の位置が一致していない場合には、横方向Zへ給電トロリー3を張り出す際に、縦移動装置により給電トロリー3の高さ方向に位置決めすることで集電体31をトロリー線2に接触させることができる。
【0052】
また、本実施の形態では、ばね材によって集電体31が上向きに付勢してトロリー線2に押し付ける構成としているが、このように集電体31を付勢する構成を省略することも可能である。
さらに、本実施の形態では、横移動装置5の伸縮ジャッキ53として、油圧ジャッキを用いているが、例えばスクリュージャッキなどの他の機構であってもよい。
【0053】
また、本実施の形態では、位置検知部と被位置検知部とが光を検出するものを対象とした光電センサー4と反射板41、42としているが、他の構成とすることもできる。例えば、位置検知部として磁気センサーを使用し、被位置検知部として磁石板を採用してもよいし、ビーコン等の位置検知システムを採用してもよい。
【0054】
さらにまた、本実施の形態のトロリー給電システムでは、サーボロコ1(バッテリーロコ)に位置検知部である光電センサー4を設け、軌条23に設けられている反射板41、42で反射された光を検出する構成となっているが、軌条側に位置検知部を配置し、バッテリーロコ側に被位置検知部を設ける構成としてもよい。
すなわち、この場合のトロリー給電システムとしては、バッテリーロコの進行方向で給電区間よりも手前に設置された給電開始用の第1位置検知部と、進行方向で給電区間よりも後方に設置された給電停止用の第2位置検知部と、バッテリーロコに設けられ、第1位置検知部及び第2位置検知部によって検出される被位置検知部と、第1位置検知部で被位置検知部が検出されたときに、給電トロリー3を収容部5Aから張り出して集電体31をトロリー線2に接触させるとともに、第2位置検知部で被位置検知部が検出されたときに、集電体31が前記トロリー線から離れ、給電トロリー3を収容部5Aに引き込んで収容するように制御するトロリー制御部43と、を備えた構成となる。
【0055】
また、本実施の形態では、トロリー制御部43がサーボロコ1(バッテリーロコ)に設けられているが、サーボロコ1に設けずに給電区間K近傍のトンネルT側に設けられていてもよい。この場合、例えばトンネルT側のトロリー制御部43とサーボロコ1の移動機構部との間で無線により制御信号が送受信されればよい。
【0056】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。