【課題】粘着力が強い粘着テープであっても確実に粘着テープの末端同士の接合、および各種ハンドリングを実行できる粘着テープ接合方法、粘着テープ接合装置、および粘着テープ搬送方法を提供する。
【解決手段】押出部材33は、長尺の粘着テープTのうち、一部の粘着テープTpを、繰り出し方向Lと略垂直な方向Rへ突出させる。圧着ローラ35は突出した粘着テープTpを圧着することにより、粘着テープTの一部が掴み代として形成される。掴み代は所定の位置Tfにおいて、方向Rに所定の長さ突出しているので、掴み代を容易かつ確実に保持して粘着テープTを操作できる。また、繰り出し方向Lにおける掴み代の長さは非常に短いので、掴み代を保持してハンドリングを行うことにより、長尺の粘着テープにハンドリングを実行する領域の位置精度を向上できるとともに、粘着テープTの限られた領域に対して大きな力を加えることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記従来装置では次のような問題がある。
【0011】
近年では、ウエハ保護用などの粘着テープについて、より強い粘着力を有する粘着剤が用いられる傾向にある。そのため、特許文献1に係る従来のテープ接合方法では、粘着部材を離反移動させても粘着テープTとセパレータSとを確実に剥離させることができず、接合エラーが発生するという問題が懸念される。
【0012】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、粘着力が強い粘着テープであっても確実に粘着テープの末端同士の接合、および各種ハンドリングを実行できる粘着テープ接合方法、粘着テープ接合装置、および粘着テープ搬送方法を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、セパレータの添設された長尺の粘着テープの端部同士を接合する粘着テープ接合方法であって、テープ供給部が備える複数の原反ロールのうち、第1の原反ロールから繰り出されている第1粘着テープおよび第1セパレータの少なくとも一方を、繰り出し方向に対して略垂直な方向へ突出した掴み代を形成させる掴み代形成過程と、前記第1粘着テープを保持する粘着テープ保持部材と前記第1セパレータを保持するセパレータ保持部材とによって前記第1粘着テープおよび前記第1セパレータを挟持した状態で、前記第1粘着テープおよび前記第1セパレータの各々を前記掴み代より後端側において切断する切断過程と、前記粘着テープ保持部材および前記セパレータ保持部材を、前記掴み代を把持させた状態で相対的に離反移動させることにより、前記第1粘着テープから前記第1セパレータを後端から所定長さ剥離させる剥離過程と、先行する前記第1の原反ロールを異なる第2の原反ロールに切り替える切り替え過程と、前記第2の原反ロールから繰り出される後行の第2粘着テープの先端と、前記第1粘着テープの後端とを接合させる接合過程と、を備えたことを特徴とすることを特徴とするものである。
【0014】
(作用・効果)この方法によれば、掴み代形成過程では第1の原反ロールから繰り出されている第1粘着テープおよび第1セパレータの少なくとも一方に掴み代を形成させ、当該掴み代より後端側で第1粘着テープおよび第1セパレータを切断する。そして、粘着テープ保持部材およびセパレータ保持部材を、掴み代を把持させた状態で相対的に離反移動させることにより、第1粘着テープから第1セパレータを後端から所定長さ剥離させる。
【0015】
掴み代は、繰り出し方向に対して略垂直な方向へ突出した形状であるので、掴み代を把持して離反移動させることにより、第1粘着テープと第1セパレータとを容易に剥離できる。そのため、粘着力の強い粘着材が粘着テープに用いられている場合であっても、先行する第1粘着テープの後端部から第1セパレータを確実に剥離できる。従って、第1セパレータの剥離エラーに起因する、後行する第2粘着テープと先行する第1粘着テープとの接合エラーが発生することを確実に回避できる。
【0016】
そして、第1の原反ロールから繰り出されていた第1粘着テープの後端と、第2の原反ロールから繰り出されている第2粘着テープの先端とを接合する。すなわち、それぞれ異なる原反ロールから繰り出された粘着テープ同士を、当該接合によって1本に連なった粘着テープとして取り扱うことができる。
【0017】
また、上述した発明において、前記掴み代形成過程の後、前記第1粘着テープおよび前記第1セパレータを前記繰り出し方向と逆方向に移動させて前記掴み代を前記第1の原反ロールに近づける逆流過程を備えることが好ましい。
【0018】
(作用・効果)この構成によれば、掴み代形成過程の後、逆流過程において第1粘着テープおよび第1セパレータを繰り出し方向と逆方向に移動させて掴み代を第1の原反ロールに近づける。この場合、切断過程で第1粘着テープおよび第1セパレータを切断する位置はより第1の原反ロールに近くなるので、切断過程による第1粘着テープのムダを低減できる。また、第1粘着テープおよび第2粘着テープの接合位置は原反ロールに近くなるので、接合過程において第2粘着テープの繰り出しに要する時間を低減できる。
【0019】
また、上述した発明において、前記第1粘着テープから第1セパレータを剥離させるセパレータ剥離過程を備え、前記掴み代形成過程は、前記第1セパレータが剥離された前記第1粘着テープを前記繰り出し方向に対して略垂直な方向へ突出させることによって前記掴み代を形成させ、前記掴み代形成過程の後、前記第1粘着テープにおいて前記掴み代が形成されている部分に対して前記第1セパレータを再度添設させる再添設過程を備えることが好ましい。
【0020】
(作用・効果)この構成によれば、セパレータ剥離過程の後に掴み代形成過程を行うので、第1粘着テープを個別に略垂直方向へ突出させて掴み代を形成されることが容易になる。その後、掴み代が形成されている部分に対して第1セパレータを第1粘着テープに再添設させるので、切断過程において掴み代より後端側における任意の位置を切断して先行の第1粘着テープおよび第1セパレータの後端部とすることができる。
【0021】
また、上述した発明において、前記接合過程は、前記第2の原反ロールから繰り出される後行の第2粘着テープの先端を、前記粘着テープ保持部材で保持されている前記第1粘着テープと前記セパレータ保持部材で保持されている前記第1セパレータの間に移動させ、前記第1粘着テープおよび前記第1セパレータによって前記第2粘着テープの先端を挟み込むことによって前記第1粘着テープと前記第2粘着テープとを接合することが好ましい。
【0022】
(作用・効果)この構成によれば、後行の第2粘着テープの先端を、互いに剥離されている先行の第1粘着テープおよび第1セパレータの各後端で挟み込んで接合するので、互いの粘着テープ同士およびセパレータ同士が接合される。この場合、それぞれ異なる原反ロールから繰り出された粘着テープ同士を、挟み込むことによってより確実に接合できる。また、当該接合によって第2粘着テープに添設されているセパレータと第1セパレータとを1本に連なったセパレータとして取り扱い、当該連なったセパレータを、接合された粘着テープから連続的に剥離していくことができる。
【0023】
この発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとってもよい。
すなわち、セパレータの添設された長尺の粘着テープの端部同士を接合する粘着テープ接合装置であって、粘着テープの原反ロールを複数個備え、複数の前記原反ロールのうち第1の原反ロールから粘着テープを繰り出させるテープ供給部と、各原反ロールの粘着テープの先端を挟持する後行テープ保持部材と、前記第1の原反ロールから繰り出されている第1粘着テープを保持する粘着テープ保持部材と、前記第1粘着テープに添設されている第1セパレータを保持することで、前記粘着テープ保持部材と協働して前記第1粘着テープおよび前記第1セパレータを挟持するセパレータ保持部材と、前記第1の原反ロールから繰り出されている第1粘着テープおよび第1セパレータの少なくとも一方を、繰り出し方向に対して略垂直な方向へ突出させて掴み代を形成させる掴み代形成部と、前記粘着テープ保持部材と前記セパレータ保持部材によって挟持された前記第1粘着テープおよび前記第1セパレータの各々を、前記掴み代より後部側において切断する切断機構と、前記粘着テープ保持部材および前記セパレータ保持部材を、前記掴み代を把持させた状態で相対的に離反移動させることにより、前記第1粘着テープから前記第1セパレータを後部から所定長さ剥離させる剥離機構と、前記テープ供給部を移動させ、粘着テープを繰り出させる原反ロールを前記第1の原反ロールから第2の原反ロールへと切り替えるテープ切り替え機構と、前記第2の原反ロールから繰り出される後行の第2粘着テープの前端と、前記第1粘着テープの後端とを接合させる接合機構と、を備えたことを特徴とするものである。
【0024】
(作用・効果)この構成によれば、第1の原反ロールから繰り出されていた第1粘着テープの後端と、切り替え機構によって切り替えられた第2の原反ロールから繰り出されている第2粘着テープの先端とを接合する。すなわち、それぞれ異なる原反ロールから繰り出された粘着テープ同士を、当該接合によって1本に連なった粘着テープとして取り扱うことができる。切り替え機構による切り替えや接合機構による接合などを自動化できるので、テープ供給部から粘着テープを繰り出させる原反ロールを第1の原反ロールから新たな第2の原反ロールに切り替える際に、オペレータが受ける負担を軽減できる。
【0025】
掴み代形成部では、第1の原反ロールから繰り出されている第1粘着テープおよび第1セパレータの少なくとも一方に掴み代を形成させ、当該掴み代より後端側で第1粘着テープおよび第1セパレータを切断する。そして、粘着テープ保持部材およびセパレータ保持部材を、掴み代を把持させた状態で相対的に離反移動させることにより、第1粘着テープから第1セパレータを後端から所定長さ剥離させる。
【0026】
掴み代は、繰り出し方向に対して略垂直な方向へ突出した形状であるので、掴み代を把持して離反移動させることにより、第1粘着テープと第1セパレータとを容易に剥離できる。そのため、粘着力の強い粘着材が粘着テープに用いられている場合であっても、先行する第1粘着テープの後端部から第1セパレータを確実に剥離できる。従って、第1セパレータの剥離エラーに起因する、後行する第2粘着テープと先行する第1粘着テープとの接合エラーが発生することを確実に回避できる。
【0027】
また、上述した発明において、前記第1粘着テープおよび前記第1セパレータを前記繰り出し方向と逆方向に移動させて前記掴み代を前記第1の原反ロールに近づける逆流機構を備えることが好ましい。
【0028】
(作用・効果)この構成によれば、逆流機構は掴み代を第1原反ロールに近づけるので、切断機構が第1粘着テープおよび第1セパレータを切断する位置は、より第1の原反ロールに近くなる。そのため、切断機構による第1粘着テープのムダを低減できる。また、第1粘着テープおよび第2粘着テープの接合位置は原反ロールに近くなるので、接合の際に第2粘着テープの繰り出しに要する時間を低減できる。
【0029】
また、上述した発明において、前記第1粘着テープから第1セパレータを剥離させるセパレータ剥離機構を備え、前記掴み代形成部は、前記第1セパレータが剥離された前記第1粘着テープを前記繰り出し方向に対して略垂直な方向へ突出させることによって前記掴み代を形成させるものであり、前記第1粘着テープにおいて前記掴み代が形成されている部分に対して前記第1セパレータを再度添設させる再添設機構を備えることが好ましい。
【0030】
(作用・効果)この構成によれば、第1セパレータが剥離された後の第1粘着テープに対して掴み代の形成を行うので、第1粘着テープを個別に略垂直方向へ突出させて掴み代を形成されることが容易になる。その後、掴み代が形成されている部分に対して第1セパレータを第1粘着テープに再添設させる。そのため、切断機構は掴み代より後端側における任意の位置を切断し、当該位置を先行の第1粘着テープおよび第1セパレータの後端とすることができる。
【0031】
また、上述した発明において、前記接合機構は、前記第2の原反ロールから繰り出される後行の第2粘着テープの先端を、前記セパレータ保持部材が保持している前記第1セパレータと前記粘着テープ保持部材が保持している前記第1セパレータが剥離された前記第1粘着テープとの間に移動させ、前記第1粘着テープおよび前記第1セパレータによって前記第2粘着テープの先端を挟み込むことによって前記第1粘着テープと前記第2粘着テープとを接合することが好ましい。
【0032】
(作用・効果)この構成によれば、後行の第2粘着テープの先端を、互いに剥離されている先行の第1粘着テープおよび第1セパレータの各後端で挟み込んで接合するので、互いの粘着テープ同士およびセパレータ同士が接合される。この場合、それぞれ異なる原反ロールから繰り出された粘着テープ同士を、挟み込むことによってより確実に接合できる。また、当該接合によって第2粘着テープに添設されているセパレータと第1セパレータとを1本に連なったセパレータとして取り扱い、当該連なったセパレータを、接合された粘着テープから連続的に剥離していくことができる。
【0033】
また、上述した発明において、各原反ロールの粘着テープは先端部分においてセパレータが所定の長さ剥離され、前記所定の長さのセパレータおよび前記粘着テープの先端部分の各々は前記後行テープ保持部材に巻回されていることが好ましい。
【0034】
(作用・効果)この構成によれば、セパレータおよび粘着テープの先端部分の各々は後行テープ保持部材に巻回されているので、後行テープ保持部材に巻回されている後行のセパレータの先端および後行の粘着テープの先端を、それぞれ先行粘着テープの後端および先行粘着テープから剥離された先行セパレータの後端の間に挟み込む場合、先行粘着テープと後行の粘着テープとが接触する面積および先行セパレータと後行のセパレータとが接触する面積を広くできる。そのため、接合機構による接合をより強固なものとすることができる。
【0035】
この発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとってもよい。
すなわち、所定の繰り出し方向へ繰り出されている長尺状の粘着テープを搬送する粘着テープ搬送方法であって、前記粘着テープの一部を前記繰り出し方向に対して略垂直な方向に突出させる突出過程と、前記略垂直な方向に突出した前記粘着テープを前記繰り出し方向及び前記繰り出し方向と逆の方向から挟んで圧着させ、前記粘着テープの一部が前記略垂直な方向に突出した形状を有する掴み代を形成させる圧着過程と、前記掴み代を把持して前記粘着テープを所定の位置へ搬送する搬送過程と、を備えることを特徴とするものである。
【0036】
(作用・効果)この構成によれば、掴み代を粘着テープに形成させて当該掴み代を把持して搬送する。粘着テープの一部を繰り出し方向に対して略垂直な方向に突出させ、略垂直な方向に突出した粘着テープを圧着して掴み代を形成させる。この場合、掴み代は繰り出し方向に対して略垂直な方向に突出した形状となる。そのため、より容易かつ強固に掴み代を把持できるので、粘着テープの保持の失敗による搬送エラーの発生を確実に回避できる。また、突出長さを任意に設定できるので、マニピュレーターなどの構成を用いて十分な長さで突出した掴み代を把持できる。その結果、複雑かつ高精度な動作で粘着テープの搬送を実行できる。
【発明の効果】
【0037】
本発明の粘着テープ接合方法、および粘着テープ接合装置によれば、繰り出し方向に対して略垂直な方向に突出した掴み代を形成し、当該掴み代を把持して先行する粘着テープの後端からセパレータを剥離する。この場合、当該略垂直な方向に強い力を作用できるので、粘着力の強い粘着テープであっても確実に粘着テープの後端においてセパレータを剥離できる。従って、剥離エラーに起因する接合エラーの発生を確実に回避できる。
【0038】
また、本発明の粘着テープ搬送方法によれば、繰り出し方向に対して略垂直な方向に突出した掴み代を把持して粘着テープを搬送するので、より強固に掴み代を把持できる。また、マニピュレーターなどの構成を用いて、複雑かつ高精度な動作で粘着テープの搬送を実行できる。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
図1は、実施例に係るテープ接合装置を備える、粘着テープ貼付け装置1の基本構成を示す正面図である。なお粘着テープ貼付け装置1を示す図において、各種構成を支持する支持手段、および各種構成を駆動させる駆動手段などについては図示を省略している。
【0041】
本実施例では、半導体ウエハ(以下、単に「ウエハ」と略称する)などの各種基板に貼り付ける表面保護用の粘着テープTをセパレータSが添接された長尺で供給し、下流側で所定系状に切断する場合を例にとって説明する。すなわち、本実施例では長尺の粘着テープ同士を接合する。
【0042】
なお、本実施例において「上流」および「下流」とは粘着テープの繰り出し方向に沿うものとして定義される。すなわち「上流」とは粘着テープの繰り出し方向において、後述するテープ供給部に近い側を意味するものとする。また、セパレータSが添接された状態の粘着テープTを、テープTSとする。
【0043】
<全体構成の説明>
実施例に係る粘着テープ貼付け装置1は
図1に示すように、テープ接合装置3、保持テーブル5、テープ貼付けユニット7、テープ切断ユニット9、テープ分離ユニット11、テープ回収部13、およびセパレータ回収部15を備えている。テープ接合装置3は、先行しているテープTSの後端に別のテープTSの先端を接合する。テープ接合装置3の具体的な構成については後述する。
【0044】
保持テーブル5は、回路形成面が上向きとなっているウエハWを載置して保持する。実施例では保持テーブル5として、ウエハWを吸着保持するチャックテーブルを用いるが、保持テーブル5の構成としてはこれに限られない。また、この保持テーブル5の上面には、後述するテープ切断ユニット11に備えたカッタ刃9cをウエハWの外形に沿って旋回移動させて粘着テープTを切断するために、カッタ走行溝5aが形成されている。
【0045】
テープ貼付けユニット7は、保持テーブル5に載置されて吸着保持されたウエハWの回路面に粘着テープTを貼付ける。テープ貼付けユニット7は
図1に示すように、図示しないレールに沿って左右水平に往復移動する可動台7aと、可動台7aに接続されたブラケットに軸支された貼付けローラ7bとを備えている。
【0046】
テープ切断ユニット9は、駆動昇降可能な可動台9aの下部に、保持テーブル5の中心上に位置する縦軸心P周りに駆動旋回可能に支持アーム9bが装備される。また、この支持アーム9bの遊端側に、刃先を下向きにしたカッタ9cが装着されている。つまり、支持アーム9bが縦軸心Pを旋回中心として旋回することにより、カッタ9cがウエハWの外周に沿って移動して粘着テープTを切り抜くよう構成されている。
【0047】
テープ分離ユニット11は、カッタ9cによって切り抜かれてウエハWの表面に貼り付けられた粘着テープTwと、切り抜かれた後の不要な不要テープTnとを分離させる。テープ分離ユニット11は、不要な不要テープTnのテンションを維持するガイドローラ11aと、ニップローラ12とを備えている。ニップローラ12は昇降移動を可能とするピンチローラ12aと、モータによって駆動する送りローラ12bによって構成される。テープ分離ユニット11は、図示しないレールに沿って左右水平に往復移動が可能となるように構成されている。
【0048】
<テープ接合装置の構成>
ここで、テープ接合装置3の構成について説明する。テープ接合装置3は
図1に示すように、テープ供給部17と、掴み代形成ユニット19と、テープ接合ユニット21とを備えている。テープ供給部17の構成については
図2の各図を用いて説明する。
図2(a)はテープ供給部17の斜視図であり、
図2(b)はテープ供給部17の正面図である。
【0049】
テープ供給部17は
図2(a)に示すように、回転プレート23に複数のボビン25が立設され、テープTSの原反ロール28を、各々のボビン25に装填するように構成されている。実施例では2つのボビン25Aおよび25Bが回転プレート23に立設されているものとする。ボビン25Aに装填されている原反ロールには符号28Aを付し、ボビン25Bに装填される原反ロールには符号28Bを付して両者を区別する。
【0050】
回転プレート23は駆動機構24によって中心軸26の軸周りに回転するように構成されている。回転プレート23の回転によって、各々のボビン25は供給位置と待機位置とを相互に移動可能となっている。
図2の各図では、ボビン25Aが供給位置に配置されており、かつボビン25Bが待機位置に配置されている状態を示している。
【0051】
なお、待機位置に配置されている原反ロール28は、図示しない開閉扉を通して粘着テープ貼付け装置1の外部へ取り出すことができるように構成される。オペレータは当該原反ロール28を取り出すとともに、新たな原反ロール28を待機位置にセットできる。また、テープ供給部17において、待機位置は供給位置と比べて粘着テープ貼付け装置1の中央部から離れた位置となるように構成される。一般的に、高温となっている構成、カッタ、および可動部などは粘着テープ貼付け装置1の中央部に多く設けられる。そのため、待機位置に切り換えられた原反ロール28を交換する際に、オペレータは高温部や可動部などに近づくことを回避できる。
【0052】
各々のボビン25には、テープ保持部材27とガイドローラ29とが配備されている。ボビン25に装填された原反ロール28から引き出されたテープTSの先端は、ガイドローラ29によってテンションが維持されつつ、テープ保持部材27に導かれる。テープ保持部材27は一例として2枚の板状部材によって構成されており、板状部材の各々によってテープTSが挟持される。
【0053】
掴み代形成ユニット19は
図3に示すように、剥離ユニット31と、押出部材33と、圧着ローラ35とを備えている。剥離ユニット31は、テープTSを粘着テープTおよびセパレータSに剥離させる。剥離ユニット31は、ガイドローラ37と送りローラ39によって構成される。
【0054】
ガイドローラ37は、テープTSおよび剥離後の粘着テープTのテンションを維持する。送りローラ39は左右水平に往復移動できるように構成されている。剥離後のセパレータSは、送りローラ39に巻回されてセパレータ回収部15へ案内される。
【0055】
押出部材33は粘着テープTの繰り出し方向Lに対して略垂直な方向R(
図3においてはy方向)に駆動可能となるように構成されており、外装部33aと、突起部33bを備えている。突起部33bは内板33cの上面に配設されており、内板33cは弾性部材33dを介して外装部33aの底面と接続されている。外装部33aおよび内板33cはそれぞれ独立して方向Rに押し上げられるように構成されている。そして内板33cが押し上げられることによって、突起部33bは外装部33aの外側へ突出するように構成されている。
【0056】
押出部材33が方向Rに駆動することにより、粘着テープTの一部は突起部33bの当接によって方向Rに突出される。圧着ローラ35は、方向Rに突出された粘着テープTに圧接することによって突出した粘着テープT同士を圧着させ、掴み代Hを形成させる。押出部材33および圧着ローラ35の具体的な動作、並びに掴み代Hの形成過程については後述する。
【0057】
テープ接合ユニット21は
図4に示すように、カッタユニット41と、保持ユニット43と、把持ユニット45とを備えている。カッタユニット41は、可動台41aとカッタ刃41bとを備えている。
【0058】
可動台41aは図示しない駆動機構によって、方向Rに駆動可能となっている。また可動台41aは、テープTSの幅方向(
図4ではz方向)に駆動可能に構成されている。可動台41aの先端部にはカッタ刃41bが備えられている。カッタ刃41bは符号Cで示す所定の位置において、テープTSを幅方向にわたって切断する。カッタ刃41cが先行のテープTSを切断することにより、後続のテープTSと接合するための末端部分が先行のテープTSに形成される。
【0059】
保持ユニット43は一例として方向Rに駆動可能となっており、当該駆動によってセパレータSの側からテープTSに当接するように構成される。保持ユニット43は間隙部44を有しており、カッタユニット41は間隙部44を介してテープTSに近づき、所定の位置CにおいてテープTSを切断できるように構成される。
【0060】
把持ユニット45は方向Rに駆動可能となっている。把持ユニット45は方向Rに駆動することにより粘着テープTの側からテープTSに当接するように構成される。すなわち保持ユニット43および把持ユニット45は、それぞれテープTSを挟み込むように駆動することによってテープTSを安定に保持する。また、保持ユニット43および把持ユニット45の各々は、真空吸着可能に構成されることが好ましい。この場合、テープTSに当接した後に真空吸着を行うことによって、テープTSをより安定に保持することができる。
【0061】
把持ユニット45は、繰り出し方向Lに並列される複数の部材によって構成され、当該複数の部材の間に少なくとも1つの間隙部46を有している。実施例において、把持ユニット45は2つの部材45aおよび部材45bを有しており、部材45aおよび45bの間に間隙部46が形成されているものとする。
【0062】
部材45aおよび部材45bは、方向Rへ互いに同じ方向へ同期的に駆動できるとともに、繰り出し方向Lにおいて互いに逆方向へ駆動するように構成されている。当該部材が逆方向へ駆動することにより、掴み代形成ユニット19によって形成された掴み代Hを把持ユニット45は安定に把持する。粘着テープTに掴み代Hを形成させて当該掴み代Hを把持ユニット45が把持する構成により、粘着テープTの粘着力が強い場合であっても、テープTSの後端部において粘着テープTとセパレータSとを確実に剥離できる。
【0063】
<テープ回収部の構成>
次に、テープ回収部13の構成について説明する。テープ回収部13は
図5に示すように、テープ保持部材51と、テープ押圧部材53と、カッタユニット55と、テープ回収ユニット57とを備えている。
【0064】
テープ保持部材51は、可動台51aと保持部材51bとを備えている。可動台51aは左右水平方向に往復移動可能となるように構成されている。保持部材51bは、可動台51aに接続されている。保持部材51bは、不要な不要テープTnの厚み方向に可動することにより、不要テープTnを表裏面の両側から挟んで保持する。保持部材51bは不要テープTnを挟持する構成に限られず、不要テープTnを吸着保持する構成などを用いてもよい。保持部材51bが不要テープTnを保持した状態で可動台51aが
図5で示す右方向へ移動することにより、ガイドローラ50によってテープ回収部13へ案内されている不要テープTnは、水平方向へ引き出された状態で安定に保持される。
【0065】
テープ押圧部材53は、可動台53aと押圧板53bとを備えている。可動台53aは、
図5に示される待機位置と、後述する回収ボックスFの回収位置との間にわたって上下方向に往復移動可能となるように構成されている。押圧板53bは可動台53aに接続されており、裏面(図の下側)は扁平となっている。そして扁平となっている裏面のうち、少なくともテープ吸着部分には吸着孔が設けられている。すなわち、テープ保持部材51によって引き出された不要テープTnは、押圧板53bの扁平面によって、水平方向に広がった平坦な状態で安定に吸着保持される。
【0066】
そして後述するカッタユニット55によって不要テープTnが切断された後、可動台53aが回収位置に配置されている回収ボックスFへ移動することにより、枚葉に切断された不要テープTnは、水平に広がった平坦な状態で回収ボックスへ収納される。
【0067】
カッタユニット55は、可動台55aとカッタ刃55bとを備えている。可動台55aは、不要テープTnの幅方向および厚み方向の各々へ駆動できるように構成されている。カッタ刃55bは可動台55aの先端に接続されており、刃先が不要テープTnを向くように構成されている。すなわち、可動台55aの駆動に従ってカッタ刃55bは不要テープTnを幅方向に切断する。すなわち、保持部材51bおよび押圧板53bによって不要テープTnは水平方向に広がった状態で安定保持され、当該状態を維持しつつカッタ刃55bによって枚葉に切断される。
【0068】
テープ回収ユニット57は、回転テーブル58と、複数の回収ボックスFとを備えている。実施例では2つの回収ボックスF1およびF2を備えているものとする。回転テープル58は中心軸Vの軸周りに回転するように構成されている。回転テーブル58の回転により、回収ボックスFの各々は回収位置と待機位置とを相互に移動する。
図5において、回収ボックスF1が回収位置に配置され、回収ボックスF2が待機位置に配置されている状態を示している。
【0069】
回収位置はテープ押圧部材53の真下に位置しており、枚葉に切断された不要テープTnは、回収位置に配置されている回収ボックスFに収納される。また待機位置は回収位置と比べてテープ貼付け装置1の中心部からより遠い位置となるように構成され、待機位置に配置される回収ボックスFは、
図1に示す開閉扉59を通して粘着テープ貼付け装置1の外部へ取り出し可能となっている。
【0070】
<セパレータ回収部の構成>
セパレータ回収部15の構成は、テープ回収部13の構成と共通する。すなわち
図6に示すように、セパレータ回収部15はセパレータ保持部材61と、セパレータ押圧部材63と、カッタユニット65と、セパレータ回収ユニット67とを備えている。
【0071】
セパレータ保持部材61は、可動台61aと保持部材61bとを備えている。保持部材61bがセパレータSを保持した状態で可動台61aが
図6で示す左方向へ移動することにより、ガイドローラ60によってセパレータ回収部15へ案内されているセパレータSは、水平方向へ引き出された状態で安定に保持される。
【0072】
セパレータ押圧部材63は、可動台63aと押圧板63bとを備えている。可動台63aは上下方向に往復移動可能となるように構成されている。押圧板63bは扁平となっている裏面のうち、少なくともセパレータ吸着部分には吸着孔が設けられており、セパレータ保持部材61によって引き出されたセパレータSは、押圧板63bによって、水平方向に広がった平坦な状態で吸着保持される。
【0073】
カッタユニット65は、可動台65aとカッタ刃65bとを備えている。可動台65aは、セパレータSの幅方向および厚み方向の各々へ駆動できるように構成されている。カッタ刃55bは可動台55aの先端に接続されており、セパレータSを幅方向にわたって枚葉に切断する。
【0074】
セパレータ回収ユニット67は、回転テーブル68と、複数の回収ボックスGとを備えている。実施例では2つの回収ボックスG1およびG2を備えているものとする。回転テープル68は中心軸Wの軸周りに回転するように構成されている。回転テーブル68の回転により、回収ボックスGの各々は回収位置Gcと待機位置Gsとを相互に移動する。
【0075】
図6において、回収ボックスG1が回収位置Gcに配置され、回収ボックスG2が待機位置Gsに配置されている状態を示している。枚葉に切断されたセパレータSは、回収位置に配置されている回収ボックスGに収納される。待機位置Gsに配置される回収ボックスGは、
図1に示す開閉扉69を通して粘着テープ貼付け装置1の外部へ取り出し可能となっている。
【0076】
<貼付け動作の概要>
ここで、粘着テープ貼付け装置1を用いて回路面保護用の粘着テープTをウエハWに貼付けるための一連の基本動作を説明する。
図7(a)は、保護用の粘着テープTをウエハWに貼付ける工程を説明するフローチャートである。
【0077】
貼付け指令が出されると、所定の収納部に収納されているウエハWは、アライメントステージで位置合わせされた後、図示しないウエハ搬送機構によって保持テーブル5に載置される。保持テーブル5に載置されたウエハWは旋回され、ウエハWの中心が保持テーブル5の中心の上にあるように位置合わせされた状態で吸着保持される。(ステップS1)。
【0078】
このとき、テープ貼付けユニット7、テープ切断ユニット9、およびテープ剥離ユニット11の各々は
図8(a)に示す初期位置に移動している。すなわち、テープ貼付けユニット9は保持テーブル5の右側に移動しており、テープ剥離ユニット11は保持テーブル5の左側に移動している。また、テープ切断ユニット9は保持テーブル5の上方で待機している。
【0079】
なお、テープ供給部17の供給位置に装填されている原反ロール28Aからセパレータ付き粘着テープTSが下流へと繰り出し供給され、テープTSは剥離ユニット31によって粘着テープTおよびセパレータSに剥離される。そして粘着テープTはテープ貼付けユニット7およびテープ剥離ユニット11に案内されている。
【0080】
次に、
図8(b)に示すように、テープ貼付けユニット7の貼付けローラ7bは粘着テープTを下方に押圧しながらウエハW上を前方(
図8では左方向)に転動し、点線で示す初期位置から実線で示す終端位置へと移動する。これによって、粘着テープTがウエハWの表面全体に貼付けられる(ステップS2)。
【0081】
粘着テープTがウエハWに貼り付けられた後、
図9に示すように、上方に待機していたテープ切断ユニット9が下降され、点線で示す初期位置から実線で示す切断位置へと移動する。そしてテープ切断ユニット9が切断位置へ下降することによって、保持テーブル5のカッタ走行溝5aにおいてカッタ9cが粘着テープTに突き刺される。
【0082】
カッタ9cが粘着テープTに突き刺されると、支持アーム9bが縦軸心Pを旋回中心として旋回する。これに伴ってカッタ9cがウエハ外周縁に摺接しながら旋回移動し、粘着テープTがウエハの外形に沿って切断される(ステップS3)。
【0083】
ウエハの外形に沿った粘着テープTの切断が終了すると、テープ切断ユニット9は元の待機位置まで上昇される。そして、テープ貼付けユニット7は終端位置から初期位置へと復帰する。貼付けユニット17が初期位置へ復帰するとともに、
図10に示すように、テープ剥離ユニット11が前方(
図10では右方向)へ移動する。すなわちテープ剥離ユニット11は、
図10において点線で示す初期位置から実線で示す終端位置へ右方向に移動する。
【0084】
テープ剥離ユニット11は終端位置へ移動しつつ、粘着テープTのうち、ウエハW上で切り抜き切断されて残った不要テープTnを巻き上げて剥離する(ステップS4)。なお、粘着テープTのうち、ウエハWの表面に貼り付けられている部分については符号Twを付して不要テープTnと区別する。
【0085】
剥離ユニット21が剥離作業の終了位置に達すると、テープ剥離ユニット11は終了位置から初期位置に復帰する。このとき、不要テープTnが巻き取られてテープ回収部13へ案内されて回収されるとともに、一定量のテープTSがテープ供給部17から繰り出される(ステップS5)。
【0086】
ステップS5までの各処理が終了すると、保持テーブル5における吸着が解除される。吸着解除の後、粘着テープTwが貼り付けられたウエハWはウエハ搬送機構によって搬送されて図示しないウエハ回収部に回収される(ステップS6)。以上で1回の粘着テープ貼付け処理が完了する。
【0087】
なお、粘着テープ貼付け処理の完了後、テープ供給部13の供給位置に配置されているテープTSの原反ロール28(供給用テープ)の装填量に応じて以下の工程を分岐する。供給用テープの装填量が予め定められた規定量以下となった場合、テープTSの自動交換が行われる(ステップS7)。供給用テープの装填量が規定量以上であることが各種センサなどを用いて確認することによって、以後、上記動作を順次繰返してゆく。
【0088】
<テープの交換工程の説明>
ここで、ステップS7に係る、テープTSを自動で交換する工程について説明する。供給用テープの装填量が規定量以下となった場合、ステップS7に係るテープの交換工程は、
図7(b)のフローチャートで示す、ステップS7−1からステップ7−8までの工程に従って行われる。
図7(b)に示す工程により、テープ供給部17の供給位置に配置されている原反ロール28は、新たな原反ロール28に交換されるとともに、新たな原反ロール28から繰り出される後行の(上流側の)テープTSの先端と、先行の(下流側の)テープTSの後端とが自動的に接合される。
【0089】
なお、テープ供給部17の実施例では供給位置にはボビン25Aおよび原反ロール28Aが当初配置されており、装填量が規定値以下となった原反ロール28Aを、新たな原反ロール28Bに交換する場合を例にとって説明する。
【0090】
ステップS7−1(掴み代の形成)
テープの交換を実行するにあたり、掴み代形成ユニット19によって粘着テープTに掴み代を形成させる工程が実行される。掴み代形成ユニット19の各構成について、初期位置は
図3に示す通りである。すなわち、テープTSは剥離ユニット31によってセパレータSが剥離され、粘着テープTの粘着面が露出する。押出部材33は粘着テープTの粘着面側に配置され、圧着ローラ35は粘着テープTの非粘着面側に配置されている。
【0091】
ステップS7−1において、まず
図11に示すように、内板33cは外装部33aと独立して方向Rへ移動し、突起部33bを押し上げる。内板33cが突起部33bを押し上げることによって、突起部33bの先端部は外装部33aより外部に押し出される。
【0092】
次に、突起部33bの先端部が外装部33aより外部に押し出された状態で、押出部材33が方向Rに移動する。その結果、
図12に示すように、突起部33bによって粘着テープTの一部(粘着テープTp)が、繰り出し方向Lと略垂直な方向である方向Rへ押し出される。
【0093】
突起部33bが粘着テープTpを方向Rへ押し出した状態において、外装部33aは方向Lへ延びる粘着テープTに当接している。そのため、突起部33bが押し上げられる位置が方向Rにずれることを回避できる。また、突起部33bが粘着テープTpを方向Rへ押し出された状態において、方向Lへ繰り出されている粘着テープTは、外装部33aおよび圧着ローラ35で挟み込まれるように保持されていることが好ましい。
【0094】
この場合、突起部33bが粘着テープTpを方向Rへ押し出す際に、粘着テープTpを除く粘着テープTの延びる方向が方向Lからずれることを回避できる。従って、後述する掴み部Hの形成エラーの発生や、掴み部Hの形状および大きさが当初想定された形状等と異なる事態の発生を回避できる。
【0095】
押出部材33によって粘着テープTpが方向Rへ押し出された後、押し出された粘着テープTpが圧着ローラ35によって圧着されて掴み代Hが形成される。具体的には、まず
図13に示すように、圧着ローラ35の各々は、互いに近づくように、繰り出し方向Lにおいてそれぞれ逆方向へ移動する。その結果、方向Rへ押し出された粘着テープTpの非粘着面が圧着ローラ35によって両側から挟み込まれる。
【0096】
粘着テープTpが圧着ローラ35に挟まれると、
図14に示すように、内板33cによる突起部33bの押し上げが解除され、伸びていた弾性部材33dが元に戻ることによって突起部33bは外装部33aの内部に収納される。
【0097】
突起部33bの収納によって突起部33bは粘着テープTから離反するので、粘着テープTpの圧着が可能となる。すなわち、圧着ローラ35は
図15に示すように、さらに粘着テープTpの両側から圧接していく。また、粘着テープTpを圧接するとともに、押出部材33を粘着テープTから離反させる。その結果、粘着テープTpの粘着面同士が圧着されて掴み代Hが形成される。
【0098】
このように、所定の掴み代形成位置Tfにおいて粘着テープTpを方向Rに突出させ、さらに当該粘着テープTpを繰り出し方向Lにおいて互いに逆方向から挟み込んで圧接することによって掴み代が形成される。その結果、掴み代Hの形状は、方向Lに繰り出されている粘着テープTにおける長さPaの領域において、方向Rへ長さPbだけ突出した形状となる。そして、繰り出し方向Lにおける長さPaについては粘着テープTの厚み程度の短い長さとなる一方、方向Lに略垂直である方向Rにおける長さPbについては突起部33bの形状に応じて任意の長さとすることができる。
【0099】
ステップS7−2(セパレータの再添接)
掴み代が形成された後、セパレータの再添接を行う。すなわち
図16に示すように、セパレータSを巻回している送りローラ39を、粘着テープTの繰り出し方向Lにおける前方(
図16の左方向)に転動させる。このとき、送りローラ39は、粘着テープTにおいて掴み代Hが形成される所定位置Tfを越えて転動するように構成される。
【0100】
送りローラ39が点線で示す初期位置から実線で示す終端位置まで転動することによって、掴み代Hの基端部を含む粘着テープTの所定長さにわたってセパレータSが再添接される。掴み代Hの基端部にセパレータSが添接されることにより、掴み代Hを形成する粘着テープTの粘着面同士が剥離することを防止できる。その結果、粘着テープTの粘着面同士の剥離による掴み代Hの崩壊を防止できるので、掴み代Hをより安定に維持できる。
【0101】
ステップS7−3(掴み代の送り出し)
セパレータの再添接が終了した後、掴み代の送り出しを行う。すなわち、テープTSを繰り出すことにより、掴み代Hをテープ接合ユニット21までへ送り出す。実施例では原反ロール28により近い位置でテープTSの切断および接合を行うため、テープ接合ユニット21の位置は掴み代形成位置Tfより上流の位置となるように構成されている(
図1)。そこで
図17に示すように、テープTSの繰り出し方向を方向Lから方向Lrに逆流させることによって、掴み代Hを形成位置Tfから上流へ送り出してテープ接合ユニット21まで移動させる。
【0102】
ステップS7−4(掴み代の保持)
掴み代形成ユニット19からテープ接合ユニット21へ送り出された掴み代Hは、
図18(a)に示すように、把持ユニット45に形成されている間隙部46の位置まで移動する。掴み代Hがテープ接合ユニット21へ送り出された後、掴み代の保持を行う。すなわち
図18(b)に示すように、保持ユニット43および把持ユニット45を方向Rへ移動させることにより、テープTSを保持ユニット43および把持ユニット45によって挟持する。各ユニットによって挟持することにより、繰り出し方向LにおけるテープTSのずれが防止される。このとき、保持ユニット43はセパレータSを吸着保持する。
【0103】
また、把持ユニット45は粘着テープTを吸着保持する。当該吸着保持により、テープTSはより安定に保持される。そして、テープTSの挟持とともに、把持ユニット45による掴み代Hの保持が行われる。すなわち
図18(c)に示すように、部材45aおよび部材45bを繰り出し方向Lにおいて互いに逆方向へ移動させ、間隙部46において掴み代Hを挟み込むように把持する。掴み代Hは繰り出し方向Lに略垂直な方向へ所定の長さ突出しているので、掴み代の把持によって、把持ユニット45は粘着テープTをより安定に保持できる。
【0104】
ステップS7−5(先行テープの切断)
掴み代を保持した後、先行テープの切断を行う。先行テープとは、供給位置に配置されている原反ロール28(実施例では原反ロール28A)から繰り出されているテープTSを意味する。すなわち
図19に示すように、カッタユニット41の可動台41aを方向Rに駆動させ、カッタ刃41bをテープTSに突き刺させる。
【0105】
そして可動台41aをテープTSの幅方向に駆動させることによって、カッタ刃41bは符号Cで示す所定の位置において、先行するテープTSを幅方向にわたって切断する。先行テープがカッタ刃41bによって切断されることにより、先行するテープTSは原反ロール28Aから切り離される。そして、新たな原反ロール28から繰り出されるテープと接合するための末端部分が、先行するテープTSの後端に形成される。
【0106】
ステップS7−6(先行テープ後端の剥離)
先行テープの切断を行った後、先行テープ後端の剥離を行う。すなわち
図20に示すように、セパレータSを吸着保持している保持ユニット43と、粘着テープTの吸着保持および掴み代Hの保持を行っている把持ユニット45とを、それぞれ方向Rにおいて逆方向に離反させる。保持状態を維持しつつ両ユニットを離反させることによって、先行しているテープTSの後端Baにおいて粘着テープTとセパレータSとを剥離させる。
【0107】
テープTSの一方の面を吸着して剥離を行う従来構成と異なり、実施例ではテープTSの面に対して略垂直な方向に突出する掴み代Hを形成し、当該掴み代を把持ユニット45が保持する構成となっている。一方の面を吸着保持する構成と比べて、略垂直な方向に突出する掴み代Hを掴んで保持する構成の方が、テープTSをより安定して保持できる。そのため実施例の構成では、粘着テープTとセパレータSとの間の粘着力が強い場合であっても、先行テープの後端において確実に粘着テープTとセパレータSとを剥離できる。
【0108】
ステップS7−7(原反ロールの切り換え)
先行テープの後端を剥離した後、原反ロールの切り換えを行う。すなわち
図21の各図に示すように、テープ供給部17の回転プレート23を適宜回転させ、供給位置に配置される原反ロール28を切り換える。回転プレート23の回転により、供給位置に配置される原反ロール28は、装填量が減少している原反ロール28Aから(
図21(a))、装填量が十分に多い原反ロール28Bへと切り換えられる(
図21(b))。
【0109】
なお、
図21以降において、ボビン25Aに配備されているテープ保持部材27には符号27Aを付し、ボビン25Bに配備されているテープ保持部材27には符号27Bを付して両者を区別する。また、
図22および
図23において、先行テープに係るテープTS、粘着テープTおよびセパレータSには符号aをそれぞれ後に付し、後行テープに係るテープTS、粘着テープTおよびセパレータSには符号bをそれぞれ後に付して両者を区別する。
【0110】
ステップS7−8(後行テープの繰り出し)
原反ロールの切り換えが完了した後、後行テープの繰り出しを行う。供給位置にある原反ロールを原反ロール28Bに切り換えた時点では、後行テープTSbの先端はテープ保持部材27Bに挟持されている(
図22(a))。そこで先行テープTSaと後行テープTSbを接合させるべく、原反ロール28Bからテープ保持部材27Bを経由して、後行テープTSbを繰り出させる(
図22(b))。その結果、後行テープTSbの先端Fwは、先行テープTSaの後端Baと接合が可能な位置まで繰り出される。
【0111】
ステップS7−9(テープの接合)
後行テープが十分に繰り出された後、テープの接合を行う。すなわち
図23(a)に示すように、セパレータSaを吸着保持している保持ユニット43と、粘着テープTaを吸着保持している把持ユニット45とを方向Rへ移動させ、後行テープTSbの先端Fwを先行している粘着テープTaおよびセパレータSaで挟み込む。挟み込みが行われた後、粘着テープTaの後端と粘着テープTbの先端、およびセパレータSaの後端とセパレータSbの先端との間で接合を行わせることによって、先行テープTSaと後行テープTSbとの接合が完了する。
【0112】
実施例では
図22の各図に示すように、テープTSの先端において、両面テープを例とする粘着材gが予め貼り付けられている構成を備えている。そのため、粘着テープTaの後端と粘着テープTbの先端、およびセパレータSaの後端とセパレータSbの先端は、保持ユニット43および把持ユニット45によって押圧されることで、粘着材gを介して接合される。
【0113】
先行テープTSaと後行テープTSbとの接合が完了した後、
図23(b)に示すように、保持ユニット43および把持ユニット45を、実線で示す初期位置へと復帰させる。そして、接合された両テープを方向Lへ繰り出させる。以上でステップS7に係る一連の動作が完了する。すなわち、原反ロール28Aから原反ロール28Bの交換、および原反ロール28Aから繰り出されるテープTSaと原反ロール28Bから繰り出されるテープTSbの端部同士の接合が、自動で実行される。
【0114】
なお、ステップS7−7において供給位置から待機位置へ切り換えられた原反ロール28Aは、図示しない開閉扉を通して粘着テープ貼付け装置1の外部へ取り除くことができる。そしてオペレータは原反ロール28Aを取り除くとともに、新たな原反ロール28Cを待機位置にセットする。原反ロール28Bの装填量が減少した場合、再度ステップS7の各工程を行うことにより、原反ロール28BのテープTSから原反ロール28CのテープTSへの切り換えを自動で実行できる。その結果、オペレータによる作業を大幅に低減できる。
【0115】
<テープ回収工程の説明>
次に、ステップS5などにおいて、テープ回収部13が不要テープTnを回収する具体的な動作について説明する。
図7(c)はテープ回収部13が不要テープTnを回収するテープ回収工程の各動作を説明するフローチャートである。なお、テープ回収部13が備えている各構成の初期位置は、
図5に示す通りであるものとする。また、テープ回収ユニット57において、回収ボックスF1が回収位置Fcに配置され、回収ボックスF2が待機位置Fsに配置されているものとする。
【0116】
ステップS5−1(テープの引き出し)
実施例に係るテープ回収工程では、まずテープの引き出しを行う。すなわちガイドローラ50によってテープ回収部13へ案内されている不要テープTnを、所定の長さだけ引き出させる。具体的には
図24(a)に示すように、テープ保持部材51は点線で示す初期位置から、実線で示す終端位置へと移動する。終端位置は、不要テープTnが繰り出されている位置であれば適宜設定してよい。
【0117】
終端位置へ移動したテープ保持部材51は、テープ回収部13へ案内されている不要テープTnを保持する。実施例では
図24(b)に示すように、保持部材51bが不要テープTnの厚み方向に可動することにより、不要テープTnを表裏面の両側から挟んで保持する構成となっている。テープ保持部材51が不要テープTnを安定に保持する構成であれば、保持部材51bによって把持する構成に限ることはなく、テープ保持部材51は不要テープTnを吸着保持する構成などであってもよい。
【0118】
そして、テープ保持部材51は
図24(c)に示すように、不要テープTnを保持した状態で終端位置から初期位置へと復帰する。テープ保持部材51が初期位置へと復帰することによって、不要テープTnは終端位置から初期位置までの所定長さKの分、符号Mで示す方向に引き出される。実施例では方向Mは水平方向となるように構成されているが、方向Mは適宜変更してよい。
【0119】
ステップS5−2(テープを平坦状態で保持)
所定長さの分、不要テープTnが引き出された後、引き出された不要テープTnを平坦な状態で保持させる。すなわち
図25に示すように、テープ押圧部材53は点線で示す初期位置から実線で示す吸着位置へと移動する。
【0120】
そしてテープ押圧部材53は、押圧板53bが有する扁平な裏面全体を介して、引き出された不要テープTnを吸着保持する。このとき、不要テープTnは繰り出し方向および幅方向について平坦な状態となるように保持される。なお、不要テープTnを平坦に保持する構成は適宜変更してよく、一例として、押圧板53bが有する扁平な裏面の外周部分において不要テープTnを吸着保持する構成を適用してもよい。
【0121】
ステップS5−3(テープを枚葉に切断)
不要テープTnを平坦状態で保持した後、テープを枚葉に切断する。すなわち
図26(a)に示すように、カッタユニット55は点線で示す初期位置から実線で示す切断位置へ、不要テープTnの厚み方向に移動する。そして切断位置においてカッタ刃55bは不要テープTnに突き刺される。その後、可動台55aが不要テープTnの幅方向(図ではz方向)へ移動することによって、カッタ刃55bは不要テープTnを枚葉に切断する。なお、カッタ刃55bをR方向に移動させて不要テープTnに突き刺させてから幅方向に移動させる構成に限ることはない。一例として
図26(b)に示すように、不要テープTnの側面に待機させているカッタ刃55bを不要テープTnの幅方向に移動させることにより、カッタ刃55bの刃先が不要テープTnを枚葉に切断する構成でもよい。この場合、可動台55aは方向Rへ移動する構成を省略できる。
【0122】
ステップS5−4(枚葉テープの収納)
不要テープTnを引き出し、当該引き出された部分が枚葉に切断された後、枚葉テープの収納を行う。まず、カッタユニット55を初期位置へ復帰させるとともに、テープ保持部材51による不要テープTnの保持を解除させる。そして
図27に示すように、枚葉に切断された不要テープTnを吸着保持した状態で、テープ押圧部材53をさらに下降させる。
【0123】
下降したテープ押圧部材53は、点線で示されている吸着位置から、実線で示されている、回収ボックスF1の底面近傍まで移動する。そして回収ボックスF1の底面近傍において不要テープTnの吸着保持を解除する。吸着保持が解除された不要テープTnは、回収ボックスF1の底面または既に回収ボックスF1に収納されている不要テープTnaの上に、平坦な状態で収納される。
【0124】
回収ボックスF1の底面近傍または既に収納済である不要テープTnaの上面近傍において平坦な不要テープTnの吸着保持が解除されるので、枚葉に切断された不要テープTnの各々を、平坦な状態で積層させて収納できる。すなわち、吸着保持解除から積層収納までの間に、枚葉の不要テープTnが湾曲など変形することを回避できる。
【0125】
なお、不要テープTnの各々を平坦な状態で積層できるならば、回収ボックスF1の底面近傍などにおいて吸着保持を解除する構成に限ることはない。すなわち、下降したテープ押圧部材53は吸着保持している不要テープTnを、回収ボックスF1の底面または収納済の不要テープTnaの表面に押圧させた状態で吸着保持を解除することがより好ましい。枚葉に切断された不要テープTnを回収ボックスに積層収納させた後、テープ押圧部材53を上昇させて初期位置へ復帰させる。
【0126】
以後、回収位置Fcに配置されている回収ボックスF1において、収納されている不要テープTnの量が予め定められた規定量以上であるか否かに応じて工程を分岐する。規定量を下回る場合はステップS5−1に戻ってステップS5−1からステップS5−4の一連の動作を繰り返して不要テープTnの回収を続行する。規定量以上である場合はステップS5−5へ進み、回収ボックスFの切り換えを行う。
【0127】
ステップS5−5(回収ボックスの切り換え)
回収ボックスFの切り換えを行う場合、
図28に示すように、回収ボックスFの各々を載置している回転テーブル58を中心軸Vの軸周りに回転させる。回転テーブル58の回転によって、規定量以上の不要テープTnを収納している回収ボックスF1は、回収位置Fcから待機位置Fsへと移動する。その一方で、空になっている回収ボックスF2は待機位置Fsから回収位置Fcへと移動する。
【0128】
回収位置Fcに配置されている回収ボックスFを回収ボックスF1から回収ボックスF2に切り換えることにより、枚葉の不要テープTnを回収ボックスF2に収納可能となる。すなわち、回収位置Fcに配置されている回収ボックスFを空の回収ボックスF2に切り換えた時点で、ステップS5−1に戻って不要テープTnの回収工程を再開できる。
【0129】
そして実施例では、不要テープTnの回収工程を再開しつつ、許容量を超えた回収ボックスFの交換を行うことができる。すなわち
図29に示すように、オペレータは開閉扉59を開けることによって、待機位置に移動した回収ボックスF1を粘着テープ貼付け装置1の外部に取り出す。そして、オペレータは回収ボックスF1の代わりに、空になっている新たな回収ボックスF3を回転テーブル58における待機位置Fsに載置する。
【0130】
待機位置Fsは、回収位置Fcと比べてテープ貼付け装置1の中心部からより遠い位置となるように構成される。そのため、待機位置Fsに移動した回収ボックスFの取り出しおよび交換を行う際に、オペレータが高温部や可動部などに近づくことを回避できる。
【0131】
また、回収ボックスF2を回収位置Fcへ移動させ、不要テープTnの回収を再開した状態で回収ボックスF1から回収ボックスF3への交換ができる。すなわち、回転テーブル58を回転させる工程を除いてテープ回収部13の動作を停止させる必要がないので、テープ回収部13の稼働効率を向上できる。
【0132】
<セパレータ回収部の動作の説明>
ここで、セパレータ回収部15の動作について説明する。
図6に示すセパレータ回収部15の構成は
図5に示すテープ回収部13と共通しており、セパレータ回収部15の動作もテープ回収部13の動作と共通している。
【0133】
すなわち剥離ユニット31によって粘着テープTから剥離されたセパレータSは、ガイドローラ60によってセパレータ回収部15へ案内される。セパレータ保持部材61は、案内されたセパレータSの末端を把持し、当該セパレータSの末端を予め定められた方向へ(実施例では
図6の左方向)所定の長さだけ引き出す。
【0134】
セパレータSを引き出した後、セパレータ押圧部材63が下降する。そして押圧板63bの扁平面全体を介し、引き出されたセパレータSを平坦な状態で吸着保持する。カッタユニット65のカッタ刃65bは、平坦な状態で保持されているセパレータSを枚葉に切断する。
【0135】
セパレータ押圧部材63は枚葉に切断されたセパレータSを吸着した状態でさらに下降し、回収位置Gcに配置されている回収ボックスG1の底面近傍まで移動する。そしてセパレータ押圧部材63は、回収ボックスF1の底面近傍においてセパレータSの吸着保持を解除する。吸着保持が解除されたセパレータSは、平坦なセパレータS同士が多数積層した状態で、回収ボックスG1に収納される。
【0136】
セパレータSを平坦な状態で回収ボックスG1に収納させた後、カッタユニット65およびセパレータ押圧部材63を初期位置へ復帰させ、以降はセパレータSを枚葉に切断して平坦な状態で積層収納させる工程を繰り返す。回収位置Gcに配置されている回収ボックスGのセパレータ収納量が規定値以上となった場合、回転テーブル68を中心軸Wの軸周りに回転させて回収ボックスG2を回収位置Gcへ移動させた後にセパレータSの回収工程を再開させる。
【0137】
オペレータは回収位置Gcから待機位置Gsへ移動した回収ボックスG1を、開閉扉69を開けて取り出し、新たな回収ボックスGを待機位置Gsへ配置する。このような実施例に係る回収工程では、回転テーブル68を回転させる工程を除いてセパレータ回収部15の動作を停止させる必要がない。すなわち、収納量が規定値を超えた回収ボックスを交換する場合であってもセパレータ回収部15の動作を続行できるので、セパレータ回収部15の稼働効率を向上できる。
【0138】
<実施例の構成による効果>
実施例では先行する粘着テープの一部を、当該粘着テープの繰り出し方向に対して略垂直な方向に突出させて掴み代を形成させ、当該掴み代より後端側の部分を切断する。そして掴み代を保持した状態で、先行テープの後部において粘着テープとセパレータとを離反する方向に移動させて両者を剥離する。最後に、後行テープの前部を、剥離された先行の粘着テープおよびセパレータの間に移動させ、先行の粘着テープおよびセパレータで後行テープの前部を挟み込んで接合する。
【0139】
異なるテープ同士を自動で接合させる従来方法としては次のようなものが挙げられる。すなわち
図30(a)に示すように、まず吸着部材Jで先行の粘着テープTaを吸着させる。そして、
図30(b)に示すように先行のセパレータSaと吸着部材Jとを離反移動させることによってセパレータSaと粘着テープTaとを剥離させる。最後に、剥離された粘着テープTaの後部とセパレータSaの後部で、後行テープTSbの前部を挟み込んで接合する。
【0140】
しかしながら、このような従来の自動接合方法では粘着テープTaの粘着力が強く、粘着テープTaとセパレータSaとの接着力が吸着部材Jの吸着力を上回る場合がある。この場合、
図30(c)に示すように、吸着部材Jを離反移動させても粘着テープTaの後部とセパレータSaの後部とを剥離できないので、先行テープTSaと後行テープTSbとの接合が困難となる。
【0141】
このような従来の方法に対し、実施例では
図30(d)に示すように、保持部材Nが掴み代Hを保持しつつ離反移動させる。掴み代Hは粘着テープTaの一部であるので、保持部材Nを離反移動させても掴み代Hが粘着テープTaから断裂されることを回避できる。
【0142】
また、掴み代Hの形状は、方向Lに繰り出されている粘着テープTにおける長さPaの領域において、方向Rへ長さPbだけ突出した形状となる。長さPaについては粘着テープTの厚み程度の短い長さとなる。そのため、保持部材Nが掴み代Hを保持して方向Rへ離反移動させることにより、繰り出し方向Lにおける比較的狭い範囲Paに対して強い牽引力を作用させることができる。その結果、粘着テープTaとセパレータSaの境界面において、単位面積あたりに作用する力の大きさを飛躍的に高めることができる。従って、先行テープTSaの後端Baにおいて確実に粘着テープTaとセパレータSaとを剥離できる。
【0143】
一方、方向Rにおける長さPbについては、粘着テープTを押し出す突起部33bの形状に応じて任意の長さとすることができる。すなわち、長さPbを十分に長く設定できるので、保持部材Nは掴み代Hを確実かつ強固に保持できる。その結果、
図30(c)に示すような、先行テープの後端Baにおける剥離エラーの発生をより確実に回避できる。
【0144】
さらに、掴み代Hは方向Rへ十分な長さで突出した形状であるので、保持部材Nとして多様な構成を適用できる。その一例として、マニピュレーターなどの構成を適用できる。そのため、保持部材Nは掴み代Hをより安定に保持できるとともに、掴み代Hを保持しつつ、複雑かつ精密な操作を粘着テープTに実行できる。
【0145】
また所定の位置Tfにおいて粘着テープTの一部を方向Rへ押し出し、押し出された粘着テープTの一部を繰り出し方向Lにおいて互いに逆方向から圧着させるという単純な操作によって、当該所定の位置に掴み代Hを形成できる。従って、掴み代の形成位置Tfの位置精度を向上できる。
【0146】
また、実施例では不要な粘着テープやセパレータを回収する場合、長尺の粘着テープ等を所定の長さで枚葉に切断する。そして切断された枚葉の粘着テープ等を、広がった平坦な状態で積層させて収納する。
【0147】
図33に示すような従来の回収方法では、テープ回収部において、長尺の不要テープ等を軸に巻き取って回収する。このような従来の構成では、巻き取り回収される不要テープの量が一定量を上回った場合、まず装置の運転を停止させてから不要テープを切断し、ロール状に巻き取り回収された不要テープを軸ごと取り出して新しい軸に交換する。そして上流の不要テープを新しい軸に巻き付けて接続させた後、運転を再開する。
【0148】
従来の構成ではこれら一連の煩雑な操作を手動で行う必要があるので、オペレータの負担が増大する。また装置の運転を長時間停止させる必要があるので作業効率の向上が困難となる。また、巻き取り回収する構成では大型の巻き取り軸を設置する必要があるので、粘着テープ貼付け装置が大型化するという問題も懸念される。
【0149】
巻き取り軸を用いることなく、長尺の不要テープ等を回収する構成として、長尺のテープを枚葉に切断して枚葉状のテープを回収ボックスに投下させて収納する方法が考えられる。しかしながらこのような比較例の構成では、回収頻度が上昇するので作業効率が低下するという問題が懸念される。
【0150】
このような問題について検討を重ねた結果、枚葉状に切断されたテープの変形が原因であることが判明した。すなわち、長尺のテープは多数のガイドローラなどに巻回案内されるので、当該長尺テープを枚葉に切断されると枚葉状のテープ片は湾曲した形状に変形しやすい。そのため、
図31(a)に示すように、枚葉状の不要テープTnを回収ボックスFに投下して回収させると、回収ボックスFの内部において不要テープTnはカール状など様々な形状に変形するので、複数枚の不要テープTnが乱雑な状態で収納される。
【0151】
この場合、回収ボックスFに収納される不要テープTnが積み上がる高さHnは、比較的早く上昇する。すなわち、不要テープTnの収納量に対して、不要テープTnが占める体積が大きいので回収ボックスFの交換頻度が上昇し、結果として装置の稼働効率が低下する。また、各々の不要テープTnの形状は一定でないので、積み上がる高さHnが上昇する速さは不定となる。そのため、回収ボックスFを取り出して交換するタイミングの予測が困難となるので、計画的な作業を実行することが非常に困難となる。
【0152】
一方、本願発明では
図31(b)に示すように、長尺の不要テープTnを平坦に広げた状態で枚葉に切断した後、当該平坦な状態を維持しつつ枚葉状の不要テープTnを積層させて回収ボックスに収納する。このような本願発明に係る構成では不要テープTnは整然かつ無駄なく積層されるので、不要テープTnの収納量に対して不要テープTnが占める体積は最小限に抑えられる。回収ボックスFの交換頻度を低下させることができるので、装置の稼働効率を大きく向上できる。また、不要テープTnが積み上がる高さHnの上昇速度は一定となるので、計画的な作業を実行することが容易となる。
【0153】
本発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
【0154】
(1)実施例において、掴み代が形成された粘着テープTを把持して好適に粘着テープTとセパレータSとを後端部において剥離し、テープTSの末端同士を接合させる工程を例にとって説明した。しかし、掴み代が形成された粘着テープTを利用する方法は、粘着テープ接合方法に限られない。すなわち、繰り出されている長尺の粘着テープを所定の位置へ搬送する方法を例とする、多様な粘着テープのハンドリング方法に対して粘着テープTに掴み代Hを形成させる工程を適用できる。ここで「搬送」とは、粘着テープ全体を搬送する動作に限らず、掴み代を含む粘着テープの一部を所定の位置へ移動させる動作も含むものとする。
【0155】
掴み代を介して粘着テープを所定位置へ搬送する過程は、以下の通りである。まず、繰り出し方向Lに繰り出されている粘着テープの一部Tpを、方向Lに対して略垂直な方向Rへ突出させる(
図12参照)。次に、方向Rに突出した粘着テープの一部Tpを、方向Lおよび方向Lと逆の方向から圧着ローラ53によって圧着させる(
図13および
図14を参照)。当該圧着の結果、粘着テープTの一部が方向Rに突出した形状を有する、掴み代Hが形成される(
図15を参照)。そして掴み代Hを把持することにより(
図18(c)を参照)、粘着テープTを所定の位置へ搬送する(
図20を参照)。
【0156】
掴み代Hは、
図15および
図30(c)に示すように、所定の掴み代形成位置Tfにおいて、粘着テープTの繰り出し方向と略垂直な方向Rに突出した形状を備える。方向Rへの突出長さPbは任意かつ十分な長さに予め設定できるので、掴み代Hを容易かつ強固に保持できる。さらに、方向Lへ延びる長尺の粘着テープTにおいて、方向Rに突出している掴み代Hはハンドリング対象領域の目標として容易かつ確実に確認できる。従って、長尺の粘着テープTにおいて実際にハンドリング行う位置が予定の位置からずれることを確実に回避できる。
【0157】
一方、繰り出し方向Lにおける掴み代Hの長さPaは、粘着テープTの厚み程度に短い。また、押出部材33の位置を適宜設定することにより、掴み代形成位置Tfの位置精度をより向上できる。そのため、掴み代Hを保持して粘着テープTに各種ハンドリングを行うことにより、幅広の部材を当接させて粘着テープTを吸着させる構成や方向Lに延びる長尺の粘着テープTを直接ピッキングする構成などと比べて、長尺の粘着テープTにおいてハンドリング操作を及ぼす領域を精密に設定できる。
【0158】
特に本実施例に係る掴み代を形成させる構成は、片面に粘着層を有する片面テープに対して各種ハンドリングを行う場合において特に有利な効果を奏する。すなわち、
図12に示すように、押圧部材33などを用いることにより、繰り出し方向Lへ繰り出される長尺状の粘着テープTの非粘着面側(
図12では上側)を方向Rへ突出させる。そして圧着ローラ53により、突出した粘着テープの一部Tpを、非粘着面側から挟んで圧着させて掴み代Hを形成させる。
【0159】
このとき、圧着ローラ53は粘着テープTの非粘着面に圧接するので、圧着ローラ53に非粘着処理を行うことなく、圧着ローラ53が粘着テープTに粘着することを回避できる。また圧着ローラ53は、繰り出し方向Lと、当該方向Lと逆方向から圧着するので掴み代Hは好適に方向Lと略垂直な方向Rへ突出した形状となる。
【0160】
そして掴み代Hを形成させた後、把持ユニット45などを用いて掴み代Hを把持することにより、粘着テープTに対して搬送、切断、および剥離などの各種ハンドリングを実行する(
図19および
図20)。掴み代Hは粘着テープTの非粘着面が外側となるように方向Rへ突出しているので、把持ユニット45はいずれも粘着テープの非粘着面を把持する。そのため、非粘着処理を行うことなく、把持ユニット45が粘着テープTに粘着することを回避できる。
【0161】
さらに、掴み代Hを形成させて当該掴み代Hを把持することにより、把持ユニット45を、粘着テープTの一方の面にのみ設ける構成とすることができる。一般的に粘着テープを搬送等のために把持する場合、粘着テープの表面側および裏面側の両方に把持機構を設けて粘着テープを表面と裏面から挟持する必要がある。その結果、占有部分の広さなどの観点から、把持機構の構成や目的に制限がかかる。
【0162】
一方、本発明では掴み代が突出している方の面のみに把持ユニットを設けることができるので、把持ユニット45が占める部分をより小さくできるとともに、把持ユニット45の構成を単純化できる。また、粘着テープTの一方の面から当該粘着テープを強固に保持し、粘着テープTに対して所定の一方向へ強い力を作用させることができる。
【0163】
従って、ウエハに貼り付けられた粘着テープを剥離する工程や長尺のテープが繰り出されているラインの形状を変更させる工程などに本願構成を好適に適用できる。この場合、掴み代を形成させたテープに対して当該テープの片面から把持ユニットを近づけて当該掴み代を把持し、テープのうち少なくとも掴み代を含む部分を任意の位置へ移動させることによって、上記各工程を好適に遂行できる。
【0164】
(2)実施例および各変形例において、粘着テープ貼付け装置を用いて本発明に係るテープ接合装置およびテープ回収装置を説明したが、本発明に係るテープ接合装置およびテープ回収装置は、テープ貼付け装置の他にも多様なテープ処理装置に適用できる。テープ処理装置の例としては、ウエハに貼り付けられている各種テープを剥離するテープ剥離装置、またはウエハをリングフレームにマウントするために用いるマウント装置(マウンター)などが挙げられる。
【0165】
(3)実施例および各変形例において、掴み代Hを形成させる工程において、粘着テープTを突起部33bで押し出すことによって粘着テープTの一部を方向Rに突出させたが、掴み代Hを形成させる構成はこれに限られない。すなわち、粘着テープTの一部を外部へ引き出すことによって、粘着テープTの一部を方向Rへ突出させてもよい。引き出す構成の例としては、マジックハンド状の部品で粘着テープTの一部を把持して引き出す構成や、真空装置などを用いて粘着テープTの一部を吸着して引き出す構成が挙げられる。
【0166】
(4)実施例および各変形例において、テープ供給部17に配設される原反ロール28は2つに限ることはなく、3つ以上配設してもよい。またテープ回収部13の回収ボックスFおよびセパレータ供給部15の回収ボックスGについても3つ以上配設する構成であってもよい。
【0167】
(5)実施例および各変形例において、掴み代Hは剥離後の粘着テープTを突出させたが、掴み代Hを形成させる場所はテープTSの粘着テープT側に限られない。すなわち剥離後のセパレータSを突出させ、セパレータSの側に掴み代Hを形成させてもよい。
【0168】
セパレータSの側に掴み代Hを形成させる構成としては、方向Rに突出させたセパレータSを逆方向から圧接し、熱や超音波を加えて突出したセパレータS同士を接合させる方法が挙げられる(
図12(b)を参照)。その他の方法としては、方向Rに突出させたセパレータS同士を、ホッチキスの要領でホッチキス針を例とする接合材を打ち込んで接合させる方法が挙げられる。また、テープTSにおいて、粘着テープTの側とセパレータSの側の両方で掴み代Hをそれぞれ形成させてもよい。
【0169】
(6)実施例および各変形例では、テープ回収工程に係るステップS5−2ないしステップS5−4の各工程において、不要テープTnを押圧板53bの扁平面の全体で吸着する。しかし、不要テープTnを平坦に広がった状態で保持できるならばこのような構成に限られない。その他の例としては、押圧板53bの扁平面の四隅に吸着孔を配設し、当該四隅で不要テープTnを吸着保持する構成が挙げられる。また、吸着保持する構成に限ることはなく、機械的な構成を用いて不要テープTnをクランプすることで、不要テープTnを平坦な状態で保持する構成などを適用してもよい。
【0170】
(7)実施例および各変形例において、ステップS7−9に係る先行テープTSaと後行テープTSbを接合させる工程は、
図22(b)に示すような、テープ保持部材27の位置を固定した状態で後行テープTSbの先端Fwを繰り出させる構成に限られない。すなわち、後行テープTSbの先端Fwをテープ保持部材27が保持した状態を維持しつつ、後行テープTSbを繰り出してもよい。
【0171】
(8)実施例および各変形例において、新たな原反ロール28におけるテープTSの先端は、
図22(a)に示すように、2つのテープ保持部材27によって挟持される構成であったがこれに限られない。すなわち
図32(a)に示すように、予めテープTSの先端の一部がセパレータSと粘着テープTに剥離され、剥離された粘着テープTが一方のテープ保持部材27に巻回され、剥離されたセパレータSが他方のテープ保持部材27に巻回される構成であることがより好ましい。
【0172】
このような変形例において先行テープTSaの後部と後行テープTSbの前部とを接合させる場合、
図32(b)に示すように、後行テープTSbの先端Fwを挟持しているテープ保持部材27が先端Fwとともに繰り出し方向へ移動する。そして先行の粘着テープTaの後部と後行の粘着テープTbの前部とが接合され、かつ先行のセパレータSaの後部と後行のセパレータSbの前部とが接合される。
【0173】
このような変形例に係る接合工程では先行テープTSaと後行テープTSbとが接触する面積をより広くできるので、両テープを強固に接合できる。さらに後行テープTSbにおける粘着面が外側に露出するので、後行テープTSbの先端を先行テープTSaで挟み込むことにより、露出した後行テープTSbの粘着面は先行テープTSaの粘着面と好適に接触する。その結果、両テープが接合する力をより高めることができる。
【0174】
(9)実施例および各変形例において、ステップS7−9に係る先行テープTSaと後行テープTSbとを接合させる工程は、
図23(a)に示すような、粘着材gを用いて両側から押圧接合させる方法に限られない。他の方法の例としては、保持ユニット43またはその他の構成にヒータを配設することにより、両者を加熱して接合させる構成や、超音波発生装置を用いて両者を超音波接合させる構成などが挙げられる。