特開2018-127727(P2018-127727A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-127727(P2018-127727A)
(43)【公開日】2018年8月16日
(54)【発明の名称】弾性繊維用処理剤及び弾性繊維
(51)【国際特許分類】
   D06M 13/292 20060101AFI20180720BHJP
   D06M 13/02 20060101ALI20180720BHJP
   D06M 15/643 20060101ALI20180720BHJP
   D06M 13/144 20060101ALI20180720BHJP
   D06M 101/38 20060101ALN20180720BHJP
【FI】
   D06M13/292
   D06M13/02
   D06M15/643
   D06M13/144
   D06M101:38
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-20013(P2017-20013)
(22)【出願日】2017年2月7日
(11)【特許番号】特許第6125739号(P6125739)
(45)【特許公報発行日】2017年5月10日
(71)【出願人】
【識別番号】000210654
【氏名又は名称】竹本油脂株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081798
【弁理士】
【氏名又は名称】入山 宏正
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 旬
(72)【発明者】
【氏名】西川 武志
(72)【発明者】
【氏名】前田 基樹
【テーマコード(参考)】
4L033
【Fターム(参考)】
4L033AA06
4L033AB01
4L033AC06
4L033AC09
4L033BA01
4L033BA11
4L033BA39
4L033CA59
(57)【要約】
【課題】低温安定性が良好で、弾性繊維に良好な制電性及び解舒性を付与することができる弾性繊維用処理剤及びかかる弾性繊維用処理剤が付着した弾性繊維を提供する。
【解決手段】弾性繊維用処理剤として、平滑剤とリン酸エステル塩とを含有し、且つ該リン酸エステル塩が特定のリン酸エステルマグネシウム塩と特定のリン酸エステルアミン塩とから成るものを用いた。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平滑剤とリン酸エステル塩とを含有して成る弾性繊維用処理剤であって、該リン酸エステル塩が下記のリン酸エステルマグネシウム塩と下記のリン酸エステルアミン塩とから成るものであることを特徴とする弾性繊維用処理剤。
リン酸エステルマグネシウム塩:脂肪族アルコール及び脂肪族アルコール1モルに対し炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを1〜10モルの割合で付加させた化合物から選ばれる少なくとも一つと、五酸化二リン又はオキシハロゲン化リンとを反応させて得られるリン酸エステルのマグネシウム塩
リン酸エステルアミン塩:脂肪族アルコール及び脂肪族アルコール1モルに対し炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを1〜10モルの割合で付加させた化合物から選ばれる少なくとも一つと、五酸化二リン又はオキシハロゲン化リンとを反応させて得られるリン酸エステルのアミン塩
【請求項2】
脂肪族アルコールが、分岐アルコールである請求項1記載の弾性繊維用処理剤。
【請求項3】
リン酸エステルアミン塩のアミンが、2級アミン又は3級アミンである請求項1又は2記載の弾性繊維用処理剤。
【請求項4】
リン酸エステルアミン塩のアミンが、3級アミンである請求項1又は2記載の弾性繊維用処理剤。
【請求項5】
リン酸エステル塩が、リン酸エステルマグネシウム塩/リン酸エステルアミン塩=10/90〜90/10(質量比)の割合から成るものである請求項1〜4のいずれか一つの項記載の弾性繊維用処理剤。
【請求項6】
更にゲルベアルコールを含有する請求項1〜5のいずれか一つの項記載の弾性繊維用処理剤。
【請求項7】
平滑剤、リン酸エステル塩及びゲルベアルコールの合計量中にゲルベアルコールを0.01〜15質量%の割合で含有する請求項6記載の弾性繊維用処理剤。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一つの項記載の弾性繊維用処理剤が付着していることを特徴とする弾性繊維。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は弾性繊維用処理剤及び弾性繊維に関し、更に詳しくは低温安定性が良好で、弾性繊維に良好な制電性及び解舒性を付与することができる弾性繊維用処理剤及びかかる弾性繊維用処理剤が付着した弾性繊維に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、弾性繊維処理剤として、特定のベース成分と特定の酸性リン酸エステル塩を含有するもの(例えば特許文献1参照)、特定のベース成分と特定のリン酸エステル塩を含有するもの(例えば特許文献2参照)等が提案されている。しかし、これら従来の弾性繊維用処理剤にはいずれも、低温安定性が悪く、弾性繊維に良好な制電性及び解舒性を付与することができないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】WO2011−105386号公報
【特許文献2】WO2016−129357号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、低温安定性が良好で、弾性繊維に良好な制電性及び解舒性を付与することができる弾性繊維用処理剤及びかかる弾性繊維用処理剤が付着した弾性繊維を提供する処にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、前記の課題を解決するべく研究した結果、平滑剤と特定のリン酸エステル塩を含有して成る弾性繊維用処理剤が正しく好適であることを見出した。
【0006】
すなわち本発明は、平滑剤とリン酸エステル塩とを含有して成る弾性繊維用処理剤であって、該リン酸エステル塩が下記のリン酸エステルマグネシウム塩と下記のリン酸エステルアミン塩とから成るものであることを特徴とする弾性繊維用処理剤及びかかる弾性繊維用処理剤が付着した弾性繊維に係る。
【0007】
リン酸エステルマグネシウム塩:脂肪族アルコール及び脂肪族アルコール1モルに対し炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを1〜10モルの割合で付加させた化合物から選ばれる少なくとも一つと、五酸化二リン又はオキシハロゲン化リンとを反応させて得られるリン酸エステルのマグネシウム塩
リン酸エステルアミン塩:脂肪族アルコール及び脂肪族アルコール1モルに対し炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを1〜10モルの割合で付加させた化合物から選ばれる少なくとも一つと、五酸化二リン又はオキシハロゲン化リンとを反応させて得られるリン酸エステルのアミン塩
【0008】
先ず、本発明に係る弾性繊維用処理剤(以下、本発明の処理剤という)について説明する。本発明の処理剤は、平滑剤と特定のリン酸エステル塩を含有して成る弾性繊維用処理剤である。
【0009】
本発明の処理剤に供する平滑剤としては、シリコーン、鉱物油、エステル等が挙げられる。
【0010】
シリコーンとしては、市販品を使用することができ、これにはたとえば、信越化学工業社製の商品名KF−96−10cs、信越化学工業社製の商品名KF−96−20cs、信越化学工業社製の商品名KF−96−50cs、信越化学工業社製の商品名KF−50−100cs、信越化学工業社製の商品名KF−4003、信越化学工業社製の商品名KF−4917、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製の商品名TSF451−10、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製の商品名TSF451−20、東レ・ダウコーニング社製の商品名SH200−10CS、東レ・ダウコーニング社製の商品名SH510−100CS等の、25℃における粘度が2〜100mm/sのポリジメチルシロキサン、ポリアルキルシロキサン、ポリアルキルフェニルシロキサン等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を併用することができる。
【0011】
鉱物油としては、これも市販品を使用することができ、これにはたとえば、Witoco社製の商品名Semtol40、Witoco社製の商品名Carnation、コスモ石油ルブリカンツ社製の商品名コスモピュアスピンD、コスモ石油ルブリカンツ株式会社製の商品名コスモピュアスピンRC、コスモ石油ルブリカンツ社製の商品名コスモピュアスピンRB、富士興産社製の商品名フッコールNT−60、富士興産社製の商品名フッコールNT−100、S−OIL社製の商品名Ultra−S 2、S−OIL社製の商品名Ultra−S 3、SK Lubricants社製の商品名YUBASE 3、SK Lubricants社製の商品名YUBASE 4、出光興産社製の商品名ダイアナフレシア W8、出光興産社製の商品名ダイアナフレシア W32、出光興産社製の商品名ダイアナフレシア G9、出光興産社製の商品名ダイアナフレシア K8、エクソンモービル社製の商品名クリストール N72等の、25℃における粘度が2〜100mm/sのスピンドル油や流動パラフィン等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を併用することができる。
【0012】
エステルとしては、脂肪酸とアルコールとから製造されるエステルが挙げられる。かかるエステルを形成することとなる脂肪酸やアルコールとしては以下に例示するようなものが挙げられるが、これらに制限されるというものではない。エステルは1種又は2種以上を併用することができる。エステルはその粘度に特に制限はないが、25℃における粘度が2〜100mm/sのものが好ましい。
【0013】
前記のエステルを形成することとなる脂肪酸は、その炭素数、分岐の有無、価数等について特に制限はなく、高級脂肪酸であってもよく、環状の脂肪酸であってもよく、芳香族環を含有する脂肪酸であってもよい。かかる脂肪酸としては、カプリル酸、2−エチルヘキシル酸、カプリン酸、ラウリン酸、イソトリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、アラキン酸、ベヘニン酸、リグノセリン酸、アジピン酸、セバシン酸、安息香酸等が挙げられる。
【0014】
また前記のエステルを形成することとなるアルコールは、その炭素数、分岐の有無、価数等について特に制限はなく、高級アルコールであっても、環状のアルコールであっても、芳香族環を含有するアルコールであってもよい。かかるアルコールとしては、オクチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、デシルアルコール、ラウリルアルコール、イソトリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、エチレングリコール、ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリストール、ソルビトール、ソルビタン等が挙げられる。
【0015】
本発明の処理剤に供するリン酸エステル塩は特定のリン酸エステルマグネシウム塩と特定のリン酸エステルアミン塩とから成るものである。
【0016】
本発明の処理剤に供するリン酸エステルマグネシウム塩は、脂肪族アルコール及び脂肪族アルコール1モルに対し炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを1〜10モルの割合で付加させた化合物から選ばれる少なくとも一つと、五酸化二リン又はオキシ塩化リン、オキシ臭化リン等のオキシハロゲン化リンとを反応させて得られたリン酸エステルを、水酸化マグネシウムやステアリン酸マグネシウム等で中和や塩交換して得られるものである。
【0017】
具体的にかかるリン酸エステルマグネシウム塩としては、1)ヘキシルリン酸エステルマグネシウム塩、オクチルリン酸エステルマグネシウム塩、デシルリン酸エステルマグネシウム塩、ドデシルリン酸エステルマグネシウム塩、トリデシルリン酸エステルマグネシウム塩、テトラデシルリン酸エステルマグネシウム塩、ヘキサデシルリン酸エステルマグネシウム塩、オクタデシルリン酸エステルマグネシウム塩、ベヘニルリン酸エステルマグネシウム塩、トリオクタコサニルリン酸エステルマグネシウム塩、オクタデセニルリン酸エステルマグネシウム塩等の、直鎖アルコールを原料として用いたもの、2)2−エチル−1−ヘキシルリン酸エステルマグネシウム塩、6−メチル−1−ヘキシルリン酸エステルマグネシウム塩、7−メチル−1−へプチルリン酸エステルマグネシウム塩、2,6−ジメチル−4−ヘプチルリン酸エステルマグネシウム塩、2−プロピル−1−へプチルリン酸エステルマグネシウム塩、10−メチル−1−デシルリン酸エステルマグネシウム塩、2−ブチル−1−オクチルリン酸エステルマグネシウム塩、11−メチル−1−ドデシルリン酸エステルマグネシウム塩、2−ヘキシル−1−オクチルリン酸エステルマグネシウム塩、2−ヘキシル−1−デシルリン酸エステルマグネシウム塩、2−ヘキシル−1−ドデシルリン酸エステルマグネシウム塩、2−オクチル−1−デシルリン酸エステルマグネシウム塩等の、分岐アルコールを原料として用いたもの、3)ポリオキシエチレン(オキシエチレン単位の数が2、以下n=2とする)ドデシルエーテルリン酸エステルマグネシウム塩、ポリオキシエチレン(n=4)デシルエーテルリン酸エステルマグネシウム塩等の、直鎖アルコール1モルに対し炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを1〜10モルの割合で付加させたものを原料として用いたもの、4)ポリオキシエチレン(n=2)2−エチル−1−ヘキシルエーテルリン酸エステルマグネシウム塩、ポリオキシエチレン(n=5)2−ヘキシル−1−デシルエーテルリン酸エステルマグネシウム塩、ポリオキシエチレン(n=4)ポリオキシプロピレン(オキシプロピレン単位の数が3、以下m=3とする)2−ブチル−1−オクチルエーテルリン酸エステルマグネシウム塩等の、分岐アルコール1モルに対し炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを1〜10モルの割合で付加させたものを原料として用いたもの等が挙げられる。
【0018】
なかでもリン酸エステルマグネシウム塩としては、1)2−エチル−1−ヘキシルリン酸エステルマグネシウム塩、6−メチル−1−ヘキシルリン酸エステルマグネシウム塩、7−メチル−1−へプチルリン酸エステルマグネシウム塩、2,6−ジメチル−4−ヘプチルリン酸エステルマグネシウム塩、2−プロピル−1−へプチルリン酸エステルマグネシウム塩、10−メチル−1−デシルリン酸エステルマグネシウム塩、2−ブチル−1−オクチルリン酸エステルマグネシウム塩、11−メチル−1−ドデシルリン酸エステルマグネシウム塩、2−ヘキシル−1−オクチルリン酸エステルマグネシウム塩、2−ヘキシル−1−デシルリン酸エステルマグネシウム塩、2−ヘキシル−1−ドデシルリン酸エステルマグネシウム塩、2−オクチル−1−デシルリン酸エステルマグネシウム塩等の、分岐アルコールを原料として用いたもの、2)ポリオキシエチレン(n=2)2−エチル−1−ヘキシルエーテルリン酸エステルマグネシウム塩、ポリオキシエチレン(n=5)2−ヘキシル−1−デシルエーテルリン酸エステルマグネシウム塩、ポリオキシエチレン(n=4)ポリオキシプロピレン(m=3)2−ブチル−1−オクチルエーテルリン酸エステルマグネシウム塩等の、分岐アルコール1モルに対し炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを1〜10モルの割合で付加させたものを原料として用いたものが好ましい。
【0019】
本発明の処理剤に供するリン酸エステルアミン塩は、脂肪族アルコール及び脂肪族アルコール1モルに対し炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを1〜10モルの割合で付加させた化合物から選ばれる少なくとも一つと、五酸化二リン又はオキシ塩化リン、オキシ臭化リン等のオキシハロゲン化リンとを反応させて得られたリン酸エステルを、アミン化合物で中和して得られるものである。
【0020】
具体的にかかるリン酸エステルアミン塩としては、1)ヘキシルリン酸エステルオクチルアミン塩、ヘキシルリン酸エステルジオクチルアミン塩、ヘキシルリン酸エステルジメチルドデシルアミン塩、ヘキシルリン酸エステルジブチルエタノールアミン塩、ヘキシルリン酸エステルドデシルジエタノールアミン塩、オクチルリン酸エステルオクチルアミン塩、オクチルリン酸エステルジオクチルアミン塩、オクチルリン酸エステルジメチルオクチルアミン塩、オクチルリン酸エステルジブチルエタノールアミン塩、オクチルリン酸エステルドデシルジエタノールアミン塩、デシルリン酸エステルオクチルアミン塩、デシルリン酸エステルジオクチルアミン塩、デシルリン酸エステルジメチルドデシルアミン塩、デシルリン酸エステルジブチルエタノールアミン塩、デシルリン酸エステルドデシルジエタノールアミン塩、ドデシルリン酸エステルオクチルアミン塩、ドデシルリン酸エステルジオクチルアミン塩、ドデシルリン酸エステルジメチルドデシルアミン塩、ドデシルリン酸エステルジブチルエタノールアミン塩、ドデシルリン酸エステルドデシルジエタノールアミン塩、トリデシルリン酸エステルオクチルアミン塩、トリデシルリン酸エステルジオクチルアミン塩、トリデシルリン酸エステルジメチルドデシルアミン塩、トリデシルリン酸エステルジブチルエタノールアミン塩、トリデシルリン酸エステルドデシルジエタノールアミン塩、テトラデシルリン酸エステルオクチルアミン塩、テトラデシルリン酸エステルジオクチルアミン塩、テトラデシルリン酸エステルジメチルドデシルアミン塩、テトラデシルリン酸エステルジブチルエタノールアミン塩、テトラデシルリン酸エステルドデシルジエタノールアミン塩、ヘキサデシルリン酸エステルオクチルアミン塩、ヘキサデシルリン酸エステルジオクチルアミン塩、ヘキサデシルリン酸エステルジメチルドデシルアミン塩、ヘキサデシルリン酸エステルジブチルエタノールアミン塩、ヘキサデシルリン酸エステルドデシルジエタノールアミン塩、オクタデシルリン酸エステルオクチルアミン塩、オクタデシルリン酸エステルジオクチルアミン塩、オクタデシルリン酸エステルジメチルドデシルアミン塩、オクタデシルリン酸エステルジブチルエタノールアミン塩、オクタデシルリン酸エステルドデシルジエタノールアミン塩、ベヘニルリン酸エステルオクチルアミン塩、ベヘニルリン酸エステルジオクチルアミン塩、ベヘニルリン酸エステルジメチルドデシルアミン塩、ベヘニルリン酸エステルジブチルエタノールアミン塩、ベヘニルリン酸エステルドデシルジエタノールアミン塩、トリオクタコサニルリン酸エステルオクチルアミン塩、トリオクタコサニルリン酸エステルジオクチルアミン塩、トリオクタコサニルリン酸エステルジメチルドデシルアミン塩、トリオクタコサニルリン酸エステルジブチルエタノールアミン塩、トリオクタコサニルリン酸エステルドデシルジエタノールアミン塩、オクタデセニルリン酸エステルオクチルアミン塩、オクタデセニルリン酸エステルジオクチルアミン塩、オクタデセニルリン酸エステルジメチルドデシルアミン塩、オクタデセニルリン酸エステルジブチルエタノールアミン塩、オクタデセニルリン酸エステルドデシルジエタノールアミン塩、ヘキシルリン酸エステルオクチルアミン塩、ヘキシルリン酸エステルジオクチルアミン塩、ヘキシルリン酸エステルジメチルドデシルアミン塩、ヘキシルリン酸エステルジブチルエタノールアミン塩、ヘキシルリン酸エステルドデシルジエタノールアミン塩等の、直鎖アルコールを原料として用いたもの、2)2−エチル−1ヘキシルリン酸エステルオクチルアミン塩、2−エチル−1ヘキシルリン酸エステルジオクチルアミン塩、2−エチル−1ヘキシルリン酸エステルジメチルドデシルアミン塩、2−エチル−1ヘキシルリン酸エステルジブチルエタノールアミン塩、2−エチル−1ヘキシルリン酸エステルドデシルジエタノールアミン塩、6−メチル−1ヘキシルリン酸エステルオクチルアミン塩、6−メチル−1ヘキシルリン酸エステルジオクチルアミン塩、6−メチル−1ヘキシルリン酸エステルジメチルドデシルアミン塩、6−メチル−1ヘキシルリン酸エステルジブチルエタノールアミン塩、6−メチル−1ヘキシルリン酸エステルドデシルジエタノールアミン塩、7−メチル−1−へプチルリン酸エステルオクチルアミン塩、7−メチル−1−へプチルリン酸エステルジオクチルアミン塩、7−メチル−1−へプチルリン酸エステルジメチルドデシルアミン塩、7−メチル−1−へプチルリン酸エステルジブチルエタノールアミン塩、7−メチル−1−へプチルリン酸エステルドデシルジエタノールアミン塩、2,6−ジメチル−4−へプチルリン酸エステルオクチルアミン塩、2,6−ジメチル−4−へプチルリン酸エステルジオクチルアミン塩、2,6−ジメチル−4−へプチルリン酸エステルジメチルドデシルアミン塩、2,6−ジメチル−4−へプチルリン酸エステルジブチルエタノールアミン塩、2,6−ジメチル−4−へプチルリン酸エステルドデシルジエタノールアミン塩、2−プロピル−1−へプチルリン酸エステルオクチルアミン塩、2−プロピル−1−へプチルリン酸エステルジオクチルアミン塩、2−プロピル−1−へプチルリン酸エステルジメチルドデシルアミン塩、2−プロピル−1−へプチルリン酸エステルジブチルエタノールアミン塩、2−プロピル−1−へプチルリン酸エステルドデシルジエタノールアミン塩、10−メチル−1−デシルリン酸エステルオクチルアミン塩、10−メチル−1−デシルリン酸エステルジオクチルアミン塩、10−メチル−1−デシルリン酸エステルジメチルドデシルアミン塩、10−メチル−1−デシルリン酸エステルジブチルエタノールアミン塩、10−メチル−1−デシルリン酸エステルドデシルジエタノールアミン塩、2−ブチル−1−オクチルリン酸エステルオクチルアミン塩、2−ブチル−1−オクチルリン酸エステルジオクチルアミン塩、2−ブチル−1−オクチルリン酸エステルジメチルドデシルアミン塩、2−ブチル−1−オクチルリン酸エステルジブチルエタノールアミン塩、2−ブチル−1−オクチルリン酸エステルドデシルジエタノールアミン塩、11−メチル−1−ドデシルリン酸エステルオクチルアミン塩、11−メチル−1−ドデシルリン酸エステルジオクチルアミン塩、11−メチル−1−ドデシルリン酸エステルジメチルドデシルアミン塩、11−メチル−1−ドデシルリン酸エステルジブチルエタノールアミン塩、11−メチル−1−ドデシルリン酸エステルドデシルジエタノールアミン塩、2−ヘキシル−1−オクチルリン酸エステルオクチルアミン塩、2−ヘキシル−1−オクチルリン酸エステルジオクチルアミン塩、2−ヘキシル−1−オクチルリン酸エステルジメチルドデシルアミン塩、2−ヘキシル−1−オクチルリン酸エステルジブチルエタノールアミン塩、2−ヘキシル−1−オクチルリン酸エステルドデシルジエタノールアミン塩、2−ヘキシル−1−デシルリン酸エステルオクチルアミン塩、2−ヘキシル−1−デシルリン酸エステルジオクチルアミン塩、2−ヘキシル−1−デシルリン酸エステルジメチルドデシルアミン塩、2−ヘキシル−1−デシルリン酸エステルジブチルエタノールアミン塩、2−ヘキシル−1−デシルリン酸エステルドデシルジエタノールアミン塩、2−ヘキシル−1−ドデシルリン酸エステルオクチルアミン塩、2−ヘキシル−1−ドデシルリン酸エステルジオクチルアミン塩、2−ヘキシル−1−ドデシルリン酸エステルジメチルドデシルアミン塩、2−ヘキシル−1−ドデシルリン酸エステルジブチルエタノールアミン塩、2−ヘキシル−1−ドデシルリン酸エステルドデシルジエタノールアミン塩、2−オクチル−1−デシルリン酸エステルオクチルアミン塩、2−オクチル−1−デシルリン酸エステルジオクチルアミン塩、2−オクチル−1−デシルリン酸エステルジメチルドデシルアミン塩、2−オクチル−1−デシルリン酸エステルジブチルエタノールアミン塩、2−オクチル−1−デシルリン酸エステルドデシルジエタノールアミン塩等の、分岐アルコールを原料として用いたもの、3)ポリオキシエチレン(n=2)ドデシルエーテルリン酸エステルオクチルアミン塩、ポリオキシエチレン(n=2)ドデシルエーテルリン酸エステルジオクチルアミン塩、ポリオキシエチレン(n=2)ドデシルエーテルリン酸エステルジメチルドデシルアミン塩、ポリオキシエチレン(n=2)ドデシルエーテルリン酸エステルジブチルエタノールアミン塩、ポリオキシエチレン(n=2)ドデシルエーテルリン酸エステルドデシルジエタノールアミン塩、ポリオキシエチレン(n=4)デシルエーテルリン酸エステルオクチルアミン塩、ポリオキシエチレン(n=4)デシルエーテルリン酸エステルジオクチルアミン塩、ポリオキシエチレン(n=4)デシルエーテルリン酸エステルジメチルドデシルアミン塩、ポリオキシエチレン(n=4)デシルエーテルリン酸エステルジブチルエタノールアミン塩、ポリオキシエチレン(n=4)デシルエーテルリン酸エステルドデシルジエタノールアミン塩等の、直鎖アルコール1モルに対し炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを1〜10モルの割合で付加させたものを原料として用いたもの、4)ポリオキシエチレン(n=2)2−エチル−1−ヘキシルエーテルリン酸エステルオクチルアミン塩、ポリオキシエチレン(n=2)2−エチル−1−ヘキシルエーテルリン酸エステルジオクチルアミン塩、ポリオキシエチレン(n=2)2−エチル−1−ヘキシルエーテルリン酸エステルジメチルドデシルアミン塩、ポリオキシエチレン(n=2)2−エチル−1−ヘキシルエーテルリン酸エステルジブチルエタノールアミン塩、ポリオキシエチレン(n=2)2−エチル−1−ヘキシルエーテルリン酸エステルドデシルジエタノールアミン塩、ポリオキシエチレン(n=5)2−ヘキシル−1−デシルエーテルリン酸エステルオクチルアミン塩、ポリオキシエチレン(n=5)2−ヘキシル−1−デシルエーテルリン酸エステルジオクチルアミン塩、ポリオキシエチレン(n=5)2−ヘキシル−1−デシルエーテルリン酸エステルジメチルドデシルアミン塩、ポリオキシエチレン(n=5)2−ヘキシル−1−デシルエーテルリン酸エステルジブチルエタノールアミン塩、ポリオキシエチレン(n=5)2−ヘキシル−1−デシルエーテルリン酸エステルドデシルジエタノールアミン塩、ポリオキシエチレン(n=4)ポリオキシプロピレン(m=3)2−ブチル−1−オクチルエーテルリン酸エステルオクチルアミン塩、ポリオキシエチレン(n=4)ポリオキシプロピレン(m=3)2−ブチル−1−オクチルエーテルリン酸エステルジオクチルアミン塩、ポリオキシエチレン(n=4)ポリオキシプロピレン(m=3)2−ブチル−1−オクチルエーテルリン酸エステルジメチルドデシルアミン塩、ポリオキシエチレン(n=4)ポリオキシプロピレン(m=3)2−ブチル−1−オクチルエーテルリン酸エステルジブチルエタノールアミン塩、ポリオキシエチレン(n=4)ポリオキシプロピレン(m=3)2−ブチル−1−オクチルエーテルリン酸エステルドデシルジエタノールアミン塩等の、分岐アルコール1モルに対し炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを1〜10モルの割合で付加させた化合物を原料として用いたもの等が挙げられる。
【0021】
なかでもリン酸エステルアミン塩としては、1)2−エチル−1ヘキシルリン酸エステルオクチルアミン塩、2−エチル−1ヘキシルリン酸エステルジオクチルアミン塩、2−エチル−1ヘキシルリン酸エステルジメチルドデシルアミン塩、2−エチル−1ヘキシルリン酸エステルジブチルエタノールアミン塩、2−エチル−1ヘキシルリン酸エステルドデシルジエタノールアミン塩、6−メチル−1ヘキシルリン酸エステルオクチルアミン塩、6−メチル−1ヘキシルリン酸エステルジオクチルアミン塩、6−メチル−1ヘキシルリン酸エステルジメチルドデシルアミン塩、6−メチル−1ヘキシルリン酸エステルジブチルエタノールアミン塩、6−メチル−1ヘキシルリン酸エステルドデシルジエタノールアミン塩、7−メチル−1−へプチルリン酸エステルオクチルアミン塩、7−メチル−1−へプチルリン酸エステルジオクチルアミン塩、7−メチル−1−へプチルリン酸エステルジメチルドデシルアミン塩、7−メチル−1−へプチルリン酸エステルジブチルエタノールアミン塩、7−メチル−1−へプチルリン酸エステルドデシルジエタノールアミン塩、2,6−ジメチル−4−へプチルリン酸エステルオクチルアミン塩、2,6−ジメチル−4−へプチルリン酸エステルジオクチルアミン塩、2,6−ジメチル−4−へプチルリン酸エステルジメチルドデシルアミン塩、2,6−ジメチル−4−へプチルリン酸エステルジブチルエタノールアミン塩、2,6−ジメチル−4−へプチルリン酸エステルドデシルジエタノールアミン塩、2−プロピル−1−へプチルリン酸エステルオクチルアミン塩、2−プロピル−1−へプチルリン酸エステルジオクチルアミン塩、2−プロピル−1−へプチルリン酸エステルジメチルドデシルアミン塩、2−プロピル−1−へプチルリン酸エステルジブチルエタノールアミン塩、2−プロピル−1−へプチルリン酸エステルドデシルジエタノールアミン塩、10−メチル−1−デシルリン酸エステルオクチルアミン塩、10−メチル−1−デシルリン酸エステルジオクチルアミン塩、10−メチル−1−デシルリン酸エステルジメチルドデシルアミン塩、10−メチル−1−デシルリン酸エステルジブチルエタノールアミン塩、10−メチル−1−デシルリン酸エステルドデシルジエタノールアミン塩、2−ブチル−1−オクチルリン酸エステルオクチルアミン塩、2−ブチル−1−オクチルリン酸エステルジオクチルアミン塩、2−ブチル−1−オクチルリン酸エステルジメチルドデシルアミン塩、2−ブチル−1−オクチルリン酸エステルジブチルエタノールアミン塩、2−ブチル−1−オクチルリン酸エステルドデシルジエタノールアミン塩、11−メチル−1−ドデシルリン酸エステルオクチルアミン塩、11−メチル−1−ドデシルリン酸エステルジオクチルアミン塩、11−メチル−1−ドデシルリン酸エステルジメチルドデシルアミン塩、11−メチル−1−ドデシルリン酸エステルジブチルエタノールアミン塩、11−メチル−1−ドデシルリン酸エステルドデシルジエタノールアミン塩、2−ヘキシル−1−オクチルリン酸エステルオクチルアミン塩、2−ヘキシル−1−オクチルリン酸エステルジオクチルアミン塩、2−ヘキシル−1−オクチルリン酸エステルジメチルドデシルアミン塩、2−ヘキシル−1−オクチルリン酸エステルジブチルエタノールアミン塩、2−ヘキシル−1−オクチルリン酸エステルドデシルジエタノールアミン塩、2−ヘキシル−1−デシルリン酸エステルオクチルアミン塩、2−ヘキシル−1−デシルリン酸エステルジオクチルアミン塩、2−ヘキシル−1−デシルリン酸エステルジメチルドデシルアミン塩、2−ヘキシル−1−デシルリン酸エステルジブチルエタノールアミン塩、2−ヘキシル−1−デシルリン酸エステルドデシルジエタノールアミン塩、2−ヘキシル−1−ドデシルリン酸エステルオクチルアミン塩、2−ヘキシル−1−ドデシルリン酸エステルジオクチルアミン塩、2−ヘキシル−1−ドデシルリン酸エステルジメチルドデシルアミン塩、2−ヘキシル−1−ドデシルリン酸エステルジブチルエタノールアミン塩、2−ヘキシル−1−ドデシルリン酸エステルドデシルジエタノールアミン塩、2−オクチル−1−デシルリン酸エステルオクチルアミン塩、2−オクチル−1−デシルリン酸エステルジオクチルアミン塩、2−オクチル−1−デシルリン酸エステルジメチルドデシルアミン塩、2−オクチル−1−デシルリン酸エステルジブチルエタノールアミン塩、2−オクチル−1−デシルリン酸エステルドデシルジエタノールアミン塩等の、分岐アルコールを原料として用いたもの、2)ポリオキシエチレン(n=2)2−エチル−1−ヘキシルエーテルリン酸エステルオクチルアミン塩、ポリオキシエチレン(n=2)2−エチル−1−ヘキシルエーテルリン酸エステルジオクチルアミン塩、ポリオキシエチレン(n=2)2−エチル−1−ヘキシルエーテルリン酸エステルジメチルドデシルアミン塩、ポリオキシエチレン(n=2)2−エチル−1−ヘキシルエーテルリン酸エステルジブチルエタノールアミン塩、ポリオキシエチレン(n=2)2−エチル−1−ヘキシルエーテルリン酸エステルドデシルジエタノールアミン塩、ポリオキシエチレン(n=5)2−ヘキシル−1−デシルエーテルリン酸エステルオクチルアミン塩、ポリオキシエチレン(n=5)2−ヘキシル−1−デシルエーテルリン酸エステルジオクチルアミン塩、ポリオキシエチレン(n=5)2−ヘキシル−1−デシルエーテルリン酸エステルジメチルドデシルアミン塩、ポリオキシエチレン(n=5)モル付加2−ヘキシル−1−デシルエーテルリン酸エステルジブチルエタノールアミン塩、ポリオキシエチレン(n=5)2−ヘキシル−1−デシルエーテルリン酸エステルドデシルジエタノールアミン塩、ポリオキシエチレン(n=4)ポリオキシプロピレン(m=3)2−ブチル−1−オクチルエーテルリン酸エステルオクチルアミン塩、ポリオキシエチレン(n=4)ポリオキシプロピレン(m=3)2−ブチル−1−オクチルエーテルリン酸エステルジオクチルアミン塩、ポリオキシエチレン(n=4)ポリオキシプロピレン(m=3)2−ブチル−1−オクチルエーテルリン酸エステルジメチルドデシルアミン塩、ポリオキシエチレン(n=4)ポリオキシプロピレン(m=3)2−ブチル−1−オクチルエーテルリン酸エステルジブチルエタノールアミン塩、ポリオキシエチレン(n=4)ポリオキシプロピレン(m=3)2−ブチル−1−オクチルエーテルリン酸エステルドデシルジエタノールアミン塩等の、分岐アルコール1モルに対し炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを1〜10モルの割合で付加させた化合物を原料として用いたものが好ましい。
【0022】
更になかでもリン酸エステルアミン塩としては、前記のように分岐アルコールを原料として用いたものや、分岐アルコール1モルに対し炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを1〜10モルの割合で付加させた化合物を原料として用いたものであって、リン酸エステルアミン塩のアミンが2級アミン又は3級アミンであるものがより好ましく、3級アミンであるものが特に好ましい。
【0023】
本発明の処理剤に供するリン酸エステル塩は、リン酸エステルマグネシウム塩とリン酸エステルアミン塩との割合に特に制限はないが、リン酸エステルマグネシウム塩/リン酸エステルアミン塩=10/90〜90/10(質量比)の割合から成るものが好ましい。
【0024】
本発明の処理剤は、更にゲルベアルコールを含有するものが好ましい。かかるゲルベアルコールとしては、2−ブチル−1−オクタノール、2−ブチル−1−デカノール、2−ヘキシル−1−オクタノール、2−ヘキシル−1−デカノール、2−オクチル−1−デカノール、2−ヘキシル−1−ドデカノール、2−(1,3,3−トリメチルブチル)−5,7,7−トリメチル−1−オクタノール、2−(4−メチルヘキシル)−8−メチル−1−デカノール、2−オクチル−1−ドデカノール、2−(1,5−ジメチルヘキシル)−5,9−ジメチル−1−デカノール、2−デシル−1−テトラデカノール等が挙げられるが、かかるゲルベアルコールを平滑剤、リン酸エステル塩及びゲルベアルコールの合計量中に0.01〜15質量%の割合で含有するものがより好ましい。
【0025】
最後に、本発明に係る弾性繊維(以下、本発明の弾性繊維という)について説明する。本発明の弾性繊維は、以上説明した本発明の処理剤が付着している弾性繊維である。
【0026】
弾性繊維の種類、繊度に特に制限はなく、例えばポリエステル系弾性繊維、ポリアミド系弾性繊維、ポリオレフィン系弾性繊維、ポリウレタン系弾性繊維等が挙げられるが、なかでもポリウレタン系弾性繊維が好ましい。本発明の処理剤を弾性繊維に付着させる割合も特に制限はないが、本発明の処理剤を弾性繊維に対し0.1〜10質量%の割合となるよう付着させることが好ましい。また本発明の処理剤の給油方法としては、希釈することなくニート給油法により弾性繊維の紡糸工程において弾性繊維に付着させる方法が好ましい。付着方法としては、ローラー給油法、ガイド給油法、スプレー給油法等の公知の方法が適用できる。給油ローラーは通常口金から巻き取りトラバースまでの間に位置することが一般的であり、これは本発明の処理剤にも適用できるが、なかでも延伸ローラーと延伸ローラーとの間に位置する給油ローラーにて本発明の処理剤を弾性繊維に付着させることが効果の発現が顕著で好ましい。
【発明の効果】
【0027】
本発明によると、弾性繊維用処理剤の低温安定性を向上し、弾性繊維に良好な制電性及び解舒性を付与することができる。
【実施例】
【0028】
以下、本発明の構成及び効果をより具体的にするため、実施例等を挙げるが、本発明がこれらの実施例に限定されるというものではない。尚、以下の実施例及び比較例において、部は質量部を、また%は質量%を意味する。
【0029】
試験区分1(リン酸エステル塩の調製)
リン酸エステル塩(P−1)の調製
1Lフラスコに2,6−ジメチル−4−ヘプタノールを432g加え、撹拌しながら50〜70℃で五酸化二リン284gを徐々に添加した後、70〜80℃で4時間熟成反応させた。室温に冷却後、水酸化マグネシウムを73g加えて中和した後、脱水処理を行いリン酸エステル塩(P−1)を得た。
【0030】
リン酸エステル塩(P−2)の調製
2Lフラスコに2−エチル−1−ヘキサノールのエチレンオキサイド2モル付加物を654g加え、撹拌しながら50〜70℃で五酸化二リン284gを徐々に添加した後、70〜80℃で4時間熟成反応させた。室温に冷却後、水酸化マグネシウムを73g加えて中和した後、脱水処理を行いリン酸エステル塩(P−2)を得た。
【0031】
リン酸エステル塩(P−3)の調製
3Lフラスコに11−メチル−1−ドデカノールを600g加え、撹拌しながら50〜70℃で五酸化二リン284gを徐々に添加した後、70〜80℃で4時間熟成反応させた。これにステアリン酸マグネシウムを591g加えて塩交換により、リン酸エステル塩(P−3)を得た。
【0032】
リン酸エステル塩(P−4)の調製
2Lフラスコに2−ヘキシル−1−デカノールを726g加え、撹拌しながら50〜70℃で五酸化二リン284gを徐々に添加した後、70〜80℃で4時間熟成反応させた。室温に冷却後、水酸化マグネシウムを73g加えて中和した後、脱水処理を行いリン酸エステル塩(P−4)を得た。
【0033】
リン酸エステル塩(P−5)の調製
1Lフラスコにオキシ塩化リンを145g加えて、撹拌しながら10〜20℃で2−オクチル−1−ドデカノール270gを徐々に滴下した後、30℃で減圧状態にして塩化水素を除去しながら4時間反応を続けて中間体を得た。その後、2Lフラスコにキシレン300g、メチルイソブチルケトン300g、純水600gを加えて撹拌しながら60〜70℃で前記中間体を全量徐々に滴下し、加水分解反応を行った後、120℃に昇温して1時間反応させた。これを分液漏斗に移し、有機層を分取し、この有機層からキシレンとメチルイソブチルケトンを留去し、水酸化マグネシウム58gを加えて中和した後、脱水処理を行いリン酸エステル塩(P−5)を得た。
【0034】
リン酸エステル塩(P−6)の調製
2Lフラスコに11−メチル−1−ドデカノールを600g加え、撹拌しながら50〜70℃で五酸化二リン284gを徐々に添加した後、70〜80℃で4時間熟成反応させた。室温に冷却後、ジメチルドデシルアミンを266g加えて中和し、リン酸エステル塩(P−6)を得た。
【0035】
リン酸エステル塩(P−7)の調製
2Lフラスコに2−ヘキシル−1−デカノールのエチレンオキサイド2モル付加物を990g加え、撹拌しながら50〜70℃で五酸化二リン284gを徐々に添加した後、70〜80℃で4時間熟成反応させた。室温に冷却後、ジブチルエタノールアミンを216g加えて中和し、リン酸エステル塩(P−7)を得た。
【0036】
リン酸エステル塩(P−8)の調製
2Lフラスコに2−オクチル−1−ドデカノールを810g加え、撹拌しながら50〜70℃で五酸化二リン284gを徐々に添加した後、70〜80℃で4時間熟成反応させた。室温に冷却後、ドデシルジエタノールアミンを341g加えて中和し、リン酸エステル塩(P−8)を得た。
【0037】
以上で調製したリン酸エステル塩(P−1)〜(P−8)の内容を表1にまとめて示した。

【0038】
【表1】
【0039】
表1において、
アルコールの種類:原料として用いたアルコールの種類
EO付加モル数:アルコール1モルに対するエチレンオキサイドの付加モル数
P−1:2,6−ジメチル−4−ヘプチルリン酸エステルマグネシウム塩
P−2:ポリオキシエチレン2モル付加2−エチル−1−ヘキシルエーテルリン酸エステルマグネシウム塩
P−3:11−メチル−1−ドデシルリン酸エステルマグネシウム塩
P−4:2−ヘキシル−1−デシルリン酸エステルマグネシウム塩
P−5:2−オクチル−1−ドデシルリン酸エステルマグネシウム塩
P−6:11−メチル−1−ドデシルリン酸エステルジメチルドデシルアミン塩
P−7:ポリオキシエチレン2モル付加2−エチル−1−ヘキシルエーテルリン酸エステルジブチルエタノールアミン塩
P−8:2−オクチル−1−ドデシルリン酸エステルドデシルジエタノールアミン塩
【0040】
試験区分2(弾性繊維用処理剤の調製)
実施例1
表2に記載した平滑剤(L−1)34部と平滑剤(L−2)60部と、表1に記載したリン酸エステル塩(P−1)1部とリン酸エステル塩(P−6)3部と、ゲルベアルコール(G−1)2部をよく混合して均一にし、実施例1の弾性繊維用処理剤を調製した。
【0041】
実施例2〜5、比較例1及び2
実施例1と同様にして、平滑剤、リン酸エステル塩、加える場合のゲルベアルコールを混合することにより、実施例2〜5、比較例1及び2の弾性繊維用処理剤を調製した。
【0042】
以上で調製した各例の弾性繊維用処理剤の内容を表3にまとめて示した。
【0043】
【表2】
【0044】
表2において、
粘度:30℃における動粘度(mm/s)
L−1:信越化学工業社製の商品名KF−96−10cs
L−2:出光興産社製の商品名ダイアナフレシア W8
L−3:SK Lubricants社製の商品名YUBASE 3
【0045】
【表3】
【0046】
表3において、
L−1〜L−3:表2に記載した平滑剤
P−1〜P−8:表1に記載したリン酸エステル塩
G−1:2−ヘキシル−1−デカノール(日産化学社製の商品名ファインオキソコール1600)
【0047】
試験区分3(弾性繊維の製造)
先ず、分子量2900のテトラメチレンエーテルグリコール、ビス−(p−イソシアネートフェニル)−メタン及びエチレンジアミンからなるポリウレタンのN,N−ジメチルアセトアミド溶液(35重量%)を重合し、ポリマー溶液(A)とした。
【0048】
次に、t−ブチルジエタノールアミンとメチレン−ビス−(4−シクロヘキシルイソシアネート)との反応によって生成せしめたポリウレタン(デュポン社製のメタクロール(登録商標)2462)と、p−クレゾールとジビニルベンゼンの縮合重合体(デュポン社製のメタクロール(登録商標)2390)との2対1(質量比)の混合物を用い、この混合物のN,N−ジメチルアセトアミド溶液(35質量%)を調製し、その他添加剤溶液(B)とした。
【0049】
前記のポリマー溶液(A)/その他添加剤溶液(B)=96/4(質量比)の割合で均一に混合し、紡糸原液とした。
【0050】
こうして得られた紡糸原液を用いて、公知のスパンデックスで用いられる乾式紡糸方法により、44dtex/3filのマルチフィラメントのポリウレタン系弾性繊維を紡糸して、巻き取り前の延伸ローラーと延伸ローラーとの間に位置する給油ローラーから、前記した各例の弾性繊維用処理剤について5℃で1週間保管した後に更に25℃で5時間静置したものの上層部を採取し、これをニートの状態でローラー給油した。かくしてローラー給油したものを、巻き取り速度が600m/分で、長さ58mmの円筒状紙管に、巻き幅38mmを与えるトラバースガイドを介して、サーフェイスドライブの巻取機を用いて巻き取り、乾式紡糸ポリウレタン系弾性繊維のパッケージ500gを得た。弾性繊維用処理剤の付着量の調節は、給油ローラーの回転数を調製することでいずれも5%となるように行なった。
【0051】
試験区分4(評価)
・低温安定性の評価
試験区分2で調製した各例の弾性繊維用処理剤を5℃で1週間静置したものについて目視観察し、以下の基準で低温安定性を評価して、結果を表4にまとめて示した。
【0052】
低温安定性の評価基準
◎:沈殿、分離が無く、調製時と同様に均一な状態を保っていた。
○:若干の沈殿が生じたが、25℃に5時間静置することで調製時と同様に均一な状態に復元した。
×:沈殿、分離が生じ、25℃に5時間静置しても均一な状態に復元しなかった。
【0053】
・制電性の評価
二つのフリーローラー間に直径1cmで表面粗度2Sのクロムメッキ梨地ピンを配置し、このクロムメッキ梨地ピンに対し、前記のパッケージから引き出したポリウレタン系弾性繊維の接触角度が90度となるようにした。このクロムメッキ梨地ピンの下部1cmの位置に静電電位測定器(春日電機社製の商品名KSD−0103)を配置し、25℃で60%RHの条件下、50m/分の速度で送り出し、100m/分の速度で巻き取ったときの発生電気を測定して、次の基準で評価し、結果を表4にまとめて示した。
【0054】
制電性の評価基準
○:発生電気が100ボルト未満(安定に操業できる)
×:発生電気が100ボルト以上(整経工程で糸の寄りつきが起こり、操業に問題が起きる)
【0055】
・解舒性の評価
片側に第1駆動ローラーとこれに常時接する第1遊離ローラーとで送り出し部を構成し、また相対側に第2駆動ローラーとこれに常時接する第2遊離ローラーとで巻き取り部を構成して、該送り出し部に対し該巻き取り部を水平方向で20cm離して設置した。第1駆動ローラーに前記のパッケージを装着し、糸巻の厚さが2mmになるまで解舒して、第2駆動ローラーに巻き取った。第1駆動ローラーからのポリウレタン系弾性繊維の送り出し速度を50m/分で固定する一方、第2駆動ローラーへのポリウレタン系弾性繊維の巻き取り速度を50m/分より徐々に上げて、ポリウレタン系弾性繊維をパッケージから強制解舒した。この強制解舒時において、送り出し部分と巻き取り部分との間でポリウレタン系弾性繊維の踊りがなくなる時点での巻き取り速度V(m/分)を測定し、下記の数1から解舒性(%)を求め、次の基準で評価し、結果を表4にまとめて示した。
【0056】
【数1】
【0057】
解舒性の評価基準
○:解舒性が120%未満(全く問題なく、安定に解舒できる)
×:解舒性が120%以上(糸の引き出しに抵抗があり、糸切れもあって、操業に問題がある)
【0058】
【表4】
【0059】
表1〜表3に対応する表4の結果からも明らかなように、本発明によれば、弾性繊維用処理剤の低温安定性を向上し、弾性繊維に良好な制電性及び解舒性を付与することができる。