【解決手段】レシーバタンク60内の圧力が無負荷運転圧力P3以上のとき圧縮機本体40の吸気口41を開閉する吸気制御弁11を全閉としエンジン50を無負荷回転速度とした無負荷運転を行い,レシーバタンク60内の圧力が前記無負荷運転圧力P3に対し所定の低い基準圧力P2以下に低下すると吸気制御弁11全開で前記エンジン50を定格回転速度(例えば1900min
)とした全負荷運転へ移行するエンジン駆動型圧縮機1の容量制御において,前記無負荷回転速度を可変とし,圧縮機本体40の吐出気体温度が所定温度(例えば60℃)以上のときに適用する前記無負荷回転速度(例えば1100min
潤滑油と共に被圧縮気体を圧縮して吐出する油冷式のスクリュ圧縮機である圧縮機本体,前記圧縮機本体を駆動するエンジン,前記圧縮機本体の吸気を制御する吸気制御弁,及び,前記圧縮機本体が前記潤滑油と共に吐出した圧縮気体を貯留するレシーバタンクを備えたエンジン駆動型圧縮機において,
前記レシーバタンク内の圧力が予め設定した基準圧力以下では,前記吸気制御弁を全開とし,かつ,前記エンジンの回転速度を定格回転速度とした全負荷運転を行い,前記レシーバタンク内の圧力が,前記基準圧力を超えて上昇すると前記吸気制御弁を絞り始めると共に前記エンジンの回転速度の低下を開始し,前記基準圧力よりも高い無負荷運転圧力に達すると前記吸気制御弁を全閉とし,かつ,前記エンジンの回転速度を前記定格回転速度よりも低い所定の無負荷回転速度とした無負荷運転を行うと共に,前記レシーバタンク内の圧力が前記無負荷運転圧力未満に低下すると,前記吸気制御弁を開き始めると共に前記エンジンの回転速度の増加を開始し,前記基準圧力以下まで低下すると,再度,前述した全負荷運転を行う容量制御を行い,
前記容量制御における前記無負荷回転速度を可変とし,前記圧縮機本体の吐出気体温度又は潤滑油温度が所定の温度以上のときに適用する前記無負荷回転速度に対し,前記所定の温度未満のときに適用する前記無負荷回転速度を,所定の高い回転速度とすることを特徴とするエンジン駆動型圧縮機の制御方法。
前記吸気制御弁を閉じた状態で前記エンジンを始動すると共に,前記吸気制御弁を閉じた状態のまま前記エンジンの回転速度を,所定の始動回転速度に維持して,前記エンジンの暖機が完了するまで運転する始動運転を行い,該始動運転の完了後,前記容量制御を実行する通常運転に移行することを特徴とする請求項1記載のエンジン駆動型圧縮機の制御方法。
潤滑油と共に被圧縮気体を圧縮して吐出する油冷式のスクリュ圧縮機である圧縮機本体,前記圧縮機本体を駆動するエンジン,前記圧縮機本体の吸気を制御する吸気制御弁,及び,前記圧縮機本体が前記潤滑油と共に吐出した圧縮気体を貯留するレシーバタンクを備えたエンジン駆動型圧縮機において,
前記レシーバタンク内の圧力が予め設定した基準圧力以下では,前記吸気制御弁を全開とし,かつ,前記エンジンの回転速度を定格回転速度とした全負荷運転を行い,前記レシーバタンク内の圧力が,前記基準圧力を超えて上昇すると前記吸気制御弁を絞り始めると共に前記エンジンの回転速度の低下を開始し,前記基準圧力よりも高い無負荷運転圧力に達すると前記吸気制御弁を全閉とし,かつ,前記エンジンの回転速度を前記定格回転速度よりも低い所定の無負荷回転速度とした無負荷運転を行うと共に,前記レシーバタンク内の圧力が前記無負荷運転圧力未満に低下すると,前記吸気制御弁を開き始めると共に前記エンジンの回転速度の増加を開始し,前記基準圧力以下まで低下すると,再度,前述した全負荷運転を行う容量制御を行う容量制御装置を設け,
前記容量制御装置に,前記無負荷回転速度を可変とし,前記圧縮機本体の吐出気体温度又は潤滑油温度が所定の温度以上のときに適用する前記無負荷回転速度に対し,前記所定の温度未満のときに適用する前記無負荷回転速度を,所定の高い回転速度として設定する無負荷回転速度設定手段を設けたことを特徴とするエンジン駆動型圧縮機。
前記エンジンの始動時,前記吸気制御弁を閉じる始動制御装置を設ける共に,始動後,前記吸気制御弁を閉じた状態のまま前記エンジンの回転速度を,所定の始動回転速度に維持して,前記エンジンの暖機が完了するまで運転する始動運転を行い,該始動運転の完了後,前記容量制御を実行する通常運転に移行する,運転モード切替手段を設けたことを特徴とする請求項3記載のエンジン駆動型圧縮機。
【背景技術】
【0002】
圧縮機本体として圧縮作用空間を潤滑,冷却及び密封するために潤滑油と共に被圧縮気体を圧縮する油冷式のスクリュ圧縮機を搭載したエンジン駆動型圧縮機では,圧縮機本体とこれを駆動するエンジンの他にレシーバタンクを設け,圧縮機本体が潤滑油と共に吐出した圧縮気体を,このレシーバタンク内に導入して気液分離を行い,潤滑油が分離された後の圧縮気体を,空気作業機等が接続された消費側に供給することができるように構成されている。
【0003】
また,レシーバタンク内に回収された潤滑油は,レシーバタンク内の圧縮気体の圧力によってオイルクーラ等を備えた給油流路を介して圧縮機本体の給油口に再度導入され,圧縮作用空間の潤滑,冷却及び密封に使用される。
【0004】
このようなエンジン駆動型圧縮機では,消費側に対し安定した圧力の圧縮気体を供給することができるようにするために,レシーバタンク内の圧力,従って消費側に供給される圧縮気体の圧力の変化に応じて圧縮機本体の吸気を制御すると共にエンジンの回転速度を制御する,容量制御が行われる。
【0005】
後掲の特許文献1に記載のエンジン駆動型圧縮機700では,このような容量制御を行うための装置(容量制御装置)として,
図4(A)及び
図4(B)に示すように配管725を介してレシーバタンク713に連通され,レシーバタンク713内の圧力によって動作するレギュレータ717を設けると共に,このレギュレータ717のレバー720に,エンジン716のガバナレバー721と,圧縮機本体711の吸気口に設けた吸気制御弁710を開閉制御するアンローダレバー722を連結している。
【0006】
本明細書において,レシーバタンク内の圧力に関し,「無負荷運転圧力」と「基準圧力」を,それぞれ以下のとおり定義する。
無負荷運転圧力:無負荷運転時の圧力。
基準圧力:減量運転を開始する圧力〔圧力調整弁(レギュレータ)が作動を開始する圧力〕。
【0007】
このように構成することで,レシーバタンク713内の圧力が,レギュレータ717が作動を開始する所定の基準圧力以下の状態では,レギュレータ717のレバー720は矢印D方向の端部位置にあり,アンロードレバー722が矢印B方向の端部位置,ガバナレバー721が矢印F方向の端部位置にあり,吸気制御弁710が全開で,かつエンジン716の回転速度を定格回転速度とした全負荷運転が行われ,この状態からレシーバタンク713内の圧力が上昇して前記基準圧力を超えると,レギュレータ717が作動を開始してレバー720が矢印C方向に回動し始め,アンロードレバー722が矢印A方向へ回動して圧縮機本体711の吸気口を絞り始めると共に,ガバナレバー721が矢印E方向へ回動してエンジン716の回転速度の低下を開始する減量運転を行い,レシーバタンク713内の圧力が所定の無負荷運転圧力に達すると,レギュレータ717のレバー720が矢印C方向の端部位置に,アンロードレバー722が矢印A方向の端部位置,ガバナレバー721が矢印E方向の端部位置へ移動して,吸気制御弁710が全閉となり,エンジン716の回転速度を容量制御時における回転速度の変化範囲の下限値である所定の無負荷回転速度に低下させて運転する無負荷運転に移行する。
【0008】
これとは逆に,レシーバタンク713内が無負荷運転圧力となっており無負荷運転が行われている状態からレシーバタンク713内の圧力が低下して無負荷運転圧力未満になると,レギュレータ717のレバー720が矢印D方向に回動を開始して吸気制御弁710を開き始めると共にエンジン716の回転速度の増加を開始する増量運転を行い,前記基準圧力以下まで低下すると,レバー720が矢印D方向の端部位置に移動して,再度,前述した全負荷運転に移行する。
【0009】
このようにエンジン駆動型圧縮機は,消費側で行われる圧縮気体の消費量の変化に伴うレシーバタンク713内の圧力変化に応じて上記容量制御を行うことで,消費側に対し略一定圧力の圧縮気体を供給することができるように構成されている。
【0010】
なお,容量制御装置によっては,前述の無負荷運転圧力と基準圧力とが極めて近似した値に設定されているものもあり,この場合,前述した減量運転や増量運転が極短時間のうちに終了することで,見かけ上,全負荷運転と無負荷運転間で運転の切り替えが行われているように動作する。
【0011】
ここで,
図4に示す構成の容量制御装置を備えたエンジン駆動型圧縮機700では,エンジン716のガバナレバー721と,吸気制御弁710のアンローダレバー722が共に前述の動作を行うようにレギュレータ717のレバー720に連結されていることから,エンジン716の始動時,始動トルクを得るためにエンジン716の回転速度を上昇させる側にガバナレバー721を矢印F方向に倒すと,アンローダレバー722は矢印B方向に倒れて吸気制御弁710が開くことになる。
【0012】
そのため,この状態でエンジン716を始動すると,始動と同時に圧縮機本体711が被圧縮気体の吸気と圧縮を開始するため,始動時の負荷が大きなものとなる。
【0013】
一方,始動時の負荷を軽減するために,圧縮機本体711の吸気口を閉じるようにアンローダレバー722を矢印A方向に操作すると,エンジン716のガバナレバー721は矢印E側,すなわち無負荷回転速度側に操作され,この状態でエンジン716を始動させると十分な始動トルクを得ることができず,寒冷時等における始動が困難となる。
【0014】
このような問題に鑑み,特許文献1に記載のエンジン駆動型圧縮機700では,レギュレータレバー720とエンジン716のガバナレバー721をエアシリンダ730によって連結し,エンジン716の始動時にはこのエアシリンダ730を伸長させて,圧縮機本体711の吸気口を閉じる方向へのアンローダレバー722の操作と,エンジン716の回転速度を上昇させる方向へのガバナレバー721の操作を同時に行えるようにすることで,始動負荷の軽減と始動トルクの確保を両立させた状態でエンジン716を始動させる始動運転を行うと共に,所定時間の経過,又はエンジン716の暖機が完了するまで前記始動運転を継続した後,エアシリンダ730を縮小して,前述した容量制御を行う通常運転に移行するように構成することを提案している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
以上で説明した特許文献1に記載のエンジン駆動型圧縮機700の構成では,前述した始動運転を実行することで,負荷の軽減と始動トルクの確保を両立させた状態でエンジン716を始動することができ,この始動運転を一定時間,又はエンジン716の暖機が完了するまで行うことで,寒冷時であってもエンジン716の暖機を確実に行うことができる。
【0017】
しかし,特許文献1に記載の始動制御方法は,エンジン716の暖機を目的として行われるものであり,圧縮機本体711の暖機を行うものではない。
【0018】
すなわち,前述の始動運転によってエンジン716は,無負荷回転速度に対し所定の高い回転速度である始動回転速度で始動され,この状態で所定の時間が経過するまで,又はエンジン716の暖機が完了するまで運転されることで,エンジン716については暖機される。
【0019】
しかし,エンジン716の始動によって,エンジン716の出力軸に連結された圧縮機本体711も回転を開始することとなるものの,始動運転時,圧縮機本体711は吸気制御弁710によって吸気口が閉ざされた状態で運転されているため,被圧縮気体の吸気と圧縮を行っておらず,圧縮熱が発生していないために,前述した始動運転を行っても,圧縮機本体711は殆ど暖機されない。
【0020】
特に,ダウンサイジング化の要求によりコモンレール方式の採用や過給機の追加によって最大出力を増大させた小型のエンジンを搭載しているエンジン駆動型圧縮機では,エンジンの始動トルクが,同程度の最大出力を発生する従来型のエンジンに比較して小さくなっており,これに対応するために,始動運転時には圧縮機本体で生じる負荷をより小さくすることが求められることから,始動運転時,圧縮機本体はより暖機され難くなっている。
【0021】
このように,前述した始動運転によって圧縮機本体711は暖機されず,圧縮機本体711は暖機が不十分な状態で,前述した容量制御が行われる通常運転に移行する場合が生じ得る。
【0022】
通常運転への移行時,レシーバタンク713内の圧力は大気圧に近い圧力に低下しているため,容量制御装置は,通常運転への移行に伴いレシーバタンク713内の圧力を上昇させるために吸気制御弁710を全開とし,かつ,エンジン716の回転速度を定格回転速度に上昇させて全負荷運転を開始する。
【0023】
この全負荷運転の開始により,圧縮機本体711も暖機が開始されることとなるが,この時に消費側における圧縮気体の消費が開始されていない場合には,レシーバタンク713内の圧力は比較的短時間で無負荷運転圧力に達し,容量制御装置はこの圧力上昇を受けて,吸気制御弁710を全閉とし,かつ,エンジン716の回転速度を無負荷回転速度に低下させて無負荷運転に移行する。
【0024】
その結果,外気温の低い寒冷時等における使用時には,このような通常運転への移行後,最初の全負荷運転が完了した後においても,未だ圧縮機本体711が十分に暖機されていない場合が生じ得る。
【0025】
このように,圧縮機本体711の暖機が不十分な状態で,消費側における圧縮気体の消費が開始されてレシーバタンク713内の圧力が基準圧力以下に低下し,2度目の全負荷運転が開始されると,通常運転の開始後,最初の全負荷運転への移行時にはストールしなかったエンジン716が,2度目の全負荷運転への移行時には負荷の増加に追従できずにストールする場合が生じ得る。
【0026】
すなわち,圧縮機本体711が被圧縮気体と共に圧縮する潤滑油は,圧縮作用空間を好適に密封することができるように比較的高粘度のものが使用され,特に高圧の圧縮気体を発生させる圧縮機本体711で使用する潤滑油は,より高粘度であることが要求され,圧縮機本体711が十分に暖機されておらず,潤滑油の温度が低い状態では,潤滑油の粘度は更に高くなり,この潤滑油の粘度増によって圧縮機本体711のスクリュロータの回転抵抗が増大することから,圧縮機本体711が暖機されていない場合には,暖機が完了している場合に比較してエンジン716にかかる負荷は大きなものとなる。
【0027】
しかも,レシーバタンク713内の潤滑油は,レシーバタンク713内の圧力を利用して圧縮機本体711に給油していることから,レシーバタンク713内の圧力が大気圧近くまで低下している通常運転開始後最初の全負荷運転への移行時に比較して,レシーバタンク713内の圧力が基準圧力付近まで上昇している2度目以降の全負荷運転への移行時の方が,圧縮作用空間に対し大量の潤滑油が供給されている状態で全負荷運転に移行することとなるため,潤滑油の粘度増に伴うスクリュロータの回転抵抗も大きなものとなっている。
【0028】
更に,通常運転開始後2度目以降の全負荷運転への移行時には,前述したようにレシーバタンク内の圧力が基準圧力付近まで上昇した状態で全負荷運転へ移行することとなるため,圧縮機本体が高い背圧を受けることとなり,この点においても通常運転開始後,最初の全負荷運転への移行時に比較してエンジンにかかる負荷が増大している。
【0029】
その結果,通常運転への移行後,2度目以降の全負荷運転への移行時に,高い背圧を受けた状態で圧縮機本体が吸気と圧縮を開始することに伴う負荷増と,暖機が不十分であることにより生じる潤滑油の粘度増による負荷の増加が,増速動作を開始した初期のエンジンに重畳的に加わると,エンジンはこの負荷の増加に追従できずにストールしてしまう。
【0030】
そこで本発明は,上記従来技術における欠点を解消するために成されたもので,圧縮機本体の暖機不良に伴うエンジンのストールを防止し得る,エンジン駆動型圧縮機の制御方法,及び前記制御方法を実行するエンジン機駆動型圧縮機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0031】
以下に,課題を解決するための手段を,発明を実施するための形態で使用する符号と共に記載する。この符号は,特許請求の範囲の記載と発明を実施するための形態の記載との対応を明らかにするためのものであり,言うまでもなく,本願発明の技術的範囲の解釈に制限的に用いられるものではない。
【0032】
上記目的を達成するために,本発明のエンジン駆動型圧縮機の制御方法は,
潤滑油と共に被圧縮気体を圧縮して吐出する油冷式のスクリュ圧縮機である圧縮機本体40,前記圧縮機本体40を駆動するエンジン50,前記圧縮機本体40の吸気を制御する吸気制御弁11,及び,前記圧縮機本体40が前記潤滑油と共に吐出した圧縮気体を貯留するレシーバタンク60を備えたエンジン駆動型圧縮機において,
前記レシーバタンク60内の圧力が予め設定した基準圧力(一例として2.0MPa)以下では,前記吸気制御弁11を全開とし,かつ,前記エンジン50の回転速度を定格回転速度(一例として1900min
-1)とした全負荷運転を行い,前記レシーバタンク60内の圧力が,前記基準圧力を超えて上昇すると前記吸気制御弁11を絞り始めると共に前記エンジン50の回転速度の低下を開始し,前記基準圧力よりも高い無負荷運転圧力(一例として2.1MPa)に達すると前記吸気制御弁11を全閉とし,かつ,前記エンジン50の回転速度を前記定格回転速度よりも低い所定の無負荷回転速度とした無負荷運転を行うと共に,前記レシーバタンク60内の圧力が前記無負荷運転圧力未満に低下すると,前記吸気制御弁11を開き始めると共に前記エンジン50の回転速度の増加を開始し,前記基準圧力以下まで低下すると,再度,前述した全負荷運転を行う容量制御を行い,
前記容量制御における前記無負荷回転速度を可変とし,前記圧縮機本体40の吐出気体温度又は潤滑油温度が所定の温度(一例として60℃)以上のときに適用する前記無負荷回転速度(第1回転速度:一例として1100min
-1)に対し,前記所定の温度未満のときに適用する前記無負荷回転速度を,所定の高い回転速度(第2回転速度:一例として1200min
-1)とすることを特徴とする(請求項1)。
【0033】
上記の制御方法において,前記吸気制御弁11を閉じた状態で前記エンジン50を始動すると共に,前記吸気制御弁11を閉じた状態のまま前記エンジン50の回転速度を,所定の始動回転速度(一例として1000min
-1)に維持して,前記エンジン50の暖機が完了するまで運転する始動運転を行い,該始動運転の完了後,前記容量制御を実行する通常運転に移行する制御を更に行うものとしても良い(請求項2)。
【0034】
また,上記制御方法を実行する本発明のエンジン駆動型圧縮機1は,
潤滑油と共に被圧縮気体を圧縮して吐出する油冷式のスクリュ圧縮機である圧縮機本体40,前記圧縮機本体40を駆動するエンジン50,前記圧縮機本体40の吸気を制御する吸気制御弁11,及び,前記圧縮機本体40が前記潤滑油と共に吐出した圧縮気体を貯留するレシーバタンク60を備えたエンジン駆動型圧縮機1において,
前記レシーバタンク60内の圧力が予め設定した基準圧力(一例として2.0MPa)以下では,前記吸気制御弁11を全開とし,かつ,前記エンジン50の回転速度を定格回転速度(一例として1900min
-1)とした全負荷運転を行い,前記レシーバタンク60内の圧力が,前記基準圧力を超えて上昇すると前記吸気制御弁11を絞り始めると共に前記エンジン50の回転速度の低下を開始し,前記基準圧力よりも高い無負荷運転圧力(一例として2.1MPa)に達すると前記吸気制御弁11を全閉とし,かつ,前記エンジン50の回転速度を所定の無負荷回転速度とした無負荷運転を行うと共に,前記レシーバタンク60内の圧力が前記無負荷運転圧力未満に低下すると,前記吸気制御弁11を開き始めると共に前記エンジン50の回転速度の増加を開始し,前記基準圧力以下まで低下すると,再度,前述した全負荷運転を行う容量制御を行う容量制御装置2を設け,
前記容量制御装置2に,前記無負荷回転速度を可変とし,前記圧縮機本体40の吐出気体温度又は潤滑油温度が所定の温度(一例として60℃)以上のときに適用する前記無負荷回転速度(第1回転速度:一例として1100min
-1)に対し,前記所定の温度未満のときに適用する前記無負荷回転速度を,所定の高い回転速度(第2回転速度:一例として1200min
-1)として設定する無負荷回転速度設定手段323を設けたことを特徴とする(請求項3)。
【0035】
なお,上記構成のエンジン駆動型圧縮機1には,更に,前記エンジン50の始動時,前記吸気制御弁11を閉じる始動制御装置20を設ける共に,始動後,前記吸気制御弁11を閉じた状態のまま前記エンジン50の回転速度を,所定の始動回転速度(一例として1000min
-1)に維持して,前記エンジン50の暖機が完了するまで運転する始動運転を行い,該始動運転の完了後,前記容量制御を実行する通常運転に移行する,運転モード切替手段322を設けるものとしても良い(請求項4)。
【発明の効果】
【0036】
以上で説明した本発明の構成により,本発明のエンジン駆動型圧縮機1では以下の顕著な効果を得ることができた。
【0037】
前記容量制御時における前記無負荷回転速度を可変とすると共に,前記圧縮機本体40の吐出気体温度又は潤滑油温度が所定の温度(一例として60℃)以上のときに適用する無負荷回転速度(第1回転速度:一例として1100min
-1)に対し,前記所定の温度(一例として60℃)未満のときに適用する無負荷回転速度を,所定の高い回転速度(第2回転速度:一例として1200min
-1)として設定することで,圧縮機本体の暖機が十分に行われていない場合であっても,エンジン駆動型圧縮機1が始動運転から通常運転に移行した後の2度目以降の全負荷運転への移行時にエンジン50がストールすることを防止できた。
【0038】
すなわち,エンジン駆動型圧縮機1が始動運転から通常運転に移行した後の2度目以降の全負荷運転への移行は,圧縮機本体40の背圧が高い状態で全負荷運転への移行が行われ,この際に圧縮機本体40の暖機が不十分であると,潤滑油の粘度増に伴う負荷の増加によって,エンジン50は増速動作を開始した直後に高い負荷を受けることでストールする。
【0039】
しかし,本発明の構成では,エンジン50の回転速度は,圧縮機本体40の暖機が完了している場合に適用される無負荷回転速度(一例として1100min
-1)に対し所定の高い回転速度(一例として1200min
-1)にすでに増速されているため,全負荷運転への移行により増速初期のエンジン50に比較的高い負荷がかかった場合であっても,エンジン50がストールすることを好適に防止することができた。
【0040】
特に,所定の始動運転を行ってエンジン50の暖機を行った後に,上記容量制御を実行する通常運転に移行することで,より確実に,2度目以降の全負荷運転への移行に伴うエンジン50のストールを防止することができた。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下に,本発明の制御方法を実行するエンジン駆動型圧縮機1の構成例を,添付図面を参照しながら説明する。
【0043】
〔エンジン駆動型圧縮機の全体構造〕
図1中の符号1は本発明のエンジン駆動型圧縮機であり,このエンジン駆動型圧縮機1は,圧縮機本体40,前記圧縮機本体40を駆動するエンジン50,前記圧縮機本体40より吐出された圧縮気体を貯留するレシーバタンク60を備え,圧縮機本体40より吐出された圧縮気体を,レシーバタンク60内に貯留した後,逆止弁61を介して図示せざる空気作業機等が接続された消費側に供給するように構成されている。
【0044】
本発明で制御対象とするエンジン駆動型圧縮機1,圧縮機本体40として圧縮作用空間の潤滑,冷却及び密封のために潤滑油と共に被圧縮気体を圧縮する油冷式のスクリュ圧縮機を搭載したものであり,圧縮機本体40が潤滑油と共に吐出した圧縮気体を,一旦,レシーバタンク60内に導入することで,圧縮気体と潤滑油を気液分離し,潤滑油が分離された後の圧縮気体を消費側に供給すると共に,レシーバタンク60内に回収された潤滑油を,オイルクーラ63を備えた給油流路64を介して再度,圧縮機本体40に給油することで,潤滑油を循環使用することができるように構成されている。
【0045】
〔容量制御装置〕
以上のように構成されたエンジン駆動型圧縮機1では,消費側に安定した圧力の圧縮気体を供給することができるようにするために,レシーバタンク60内の圧力変化に応じて圧縮機本体40の吸気を制御すると共に,エンジン50の回転速度を制御する,容量制御が行われる。
【0046】
このような容量制御を行うために,図示のエンジン駆動型圧縮機1には,圧縮機本体40の吸気口41を開閉制御する吸気制御装置10と,エンジン50の回転速度を制御する速度制御装置30から成る容量制御装置2が設けられている。
【0047】
(1)吸気制御装置
前述の吸気制御装置10は,レシーバタンク60内の圧力変化に応じて圧縮機本体40の吸気口41を開閉制御するもので,本実施形態では,このような吸気制御装置10を,圧縮機本体40の吸気口41を開閉する,図示の例では常時開(ノーマリオープン)型の吸気制御弁11と,この吸気制御弁11の閉弁受圧室113とレシーバタンク60とを連通する制御流路12,及び,前記制御流路12を開閉する圧力調整弁13によって構成している。
【0048】
このうちの圧力調整弁13は,その一次側の圧力によって開閉動作をするもので,レシーバタンク60内の圧力が該圧力調整弁13の動作開始圧力である所定の基準圧力P2(一例として2.0MPa)以下では制御流路12を閉じ,前記基準圧力P2を超えて上昇すると前記制御流路12を開き始め,レシーバタンク60内の圧力が無負荷運転圧力P3(一例として2.1MPa)に達すると制御流路12を全開とするように構成されている。
【0049】
また,前記吸気制御装置10の構成要素のうち,吸気制御弁11は,閉弁受圧室113に対しレシーバタンク60内の圧縮気体が導入されることで閉弁動作して圧縮機本体40の吸気口41を開閉制御するもので,図示の実施形態では,そのボディ(弁箱)111内に形成された空間によって,圧縮機本体40の吸気口41に連通する吸入流路115が形成されていると共に,この吸入流路115内に設けた弁座115aに,弁体116を着座させることで,吸入流路115を閉塞,従って圧縮機本体40の吸気口41を閉塞することができるように構成されている。
【0050】
この弁体116は,図示の例では円盤状の弁体116に弁軸116aが取り付けられた,所謂「傘型弁」であり,ボディ111内に形成された円筒状のスリーブ117内に弁軸116aを挿入した状態で,このスリーブ117の軸線方向に弁体116を進退移動させることで,弁体116を弁座115aに着座させた閉弁位置と,弁座115aから離間させた開弁位置間を移動できるように構成されている。
【0051】
このような弁体116の移動を可能とするために,吸気制御弁11の弁箱111には,前述のスリーブ117を介して吸入流路115と連通するシリンダ112が前記スリーブ117と同軸に形成されている。
【0052】
このシリンダ112は,スリーブ117に弁軸116aが挿入された状態で,前記スリーブ117の形成側とは反対側の端部を端板118で塞ぐことにより気密室を成し,この気密室であるシリンダ112内を,弁軸116aの他端に連結した受圧体119,本実施形態ではピストンを介して二室に分割することにより,前記端板118とピストン(受圧体)119間に吸気制御弁11の閉弁受圧室113が形成されていると共に,ピストン119を介して前記閉弁受圧室113とは反対側に,補助受圧室114が形成されている。
【0053】
図示の構成では,吸気制御弁11を常時開(ノーマリオープン)型とするために,前述した補助受圧室114内にピストン119を閉弁受圧室113側に押圧するスプリング114aを収容している。
【0054】
このように構成することで,閉弁受圧室113に対し圧縮気体の導入がされていないときには,吸入流路115が全開となり,閉弁受圧室113に対し圧縮気体を導入することにより,吸入流路115を絞り,又は閉じることができるように構成されている。
【0055】
なお,本発明のエンジン駆動型圧縮機1において,圧縮機本体40の吸気口41を開閉する前述の吸気制御弁11としては,
図1に示す構成のものに限定されず,既知の各種構造のものが採用可能である。
【0056】
以上のように構成された吸気制御装置10では,レシーバタンク60内の圧力が前述した圧力調整弁13の作動開始圧力である基準圧力P2以下では圧力調整弁13は閉じた状態にあり,その結果,レシーバタンク60内の圧縮気体は吸気制御弁11の閉弁受圧室113には導入されておらず,常時開型である吸気制御弁11は,吸入流路115を全開としており,圧縮機本体40は最大量の圧縮気体をレシーバタンク60に吐出する全負荷運転を行う。
【0057】
消費側における圧縮気体の消費量が減少し,又は消費が停止する等してレシーバタンク60内の圧力が前記基準圧力P2を超えて上昇すると,圧力調整弁13が開き始めて吸気制御弁11の閉弁受圧室113に対する圧縮気体の導入が開始され,レシーバタンク60内の圧力上昇に応じて圧力調整弁13の開度が増すに従い吸気制御弁11は吸入流路115を絞り,これによりレシーバタンク60に吐出される圧縮気体を減量する減量運転が行われる。
【0058】
その後,レシーバタンク60内の圧力が更に上昇して無負荷運転圧力P3に達すると,圧力調整弁13が全開となる一方,吸気制御弁11は全閉となり,レシーバタンク60に対する圧縮気体の吐出を停止した無負荷運転に移行する。
【0059】
一方,消費側における圧縮気体の消費が再開される等して,レシーバタンク60内の圧力が無負荷運転圧力に対し低下すると,吸気制御弁11は吸入流路115を開き始め,レシーバタンク60に対して吐出される気体量を増加する増量運転を行い,再度基準圧力P2以下に低下すると,圧力調整弁13が閉じて吸気制御弁11の閉弁受圧室113に対する圧縮気体の導入が停止し,吸気制御弁11は吸入流路115を全開とし,レシーバタンク60に対して最大量の圧縮気体を吐出する全負荷運転が再開される。
【0060】
このように,レシーバタンク60内の圧力変化に応じて,圧縮機本体40の吸気を制御してレシーバタンク60に対し吐出される圧縮気体量を変化させることで,レシーバタンク60内の圧力が,基準圧力P2(一例として2.0MPa)に近づくよう制御される。
【0061】
(2)速度制御装置
前述したように,本発明のエンジン駆動型圧縮機1では,容量制御として圧縮機本体40の吸気を制御する前述の吸気制御と共に,圧縮機本体40を駆動するエンジン50の回転速度を制御する速度制御が行われ,従って,本発明のエンジン駆動型圧縮機1には,この速度制御を行うための速度制御装置30が設けられている。
【0062】
この速度制御によって,レシーバタンク60内の圧力が基準圧力P2(一例として2.0MPa)以下で吸気制御弁11が全開となっている前述の全負荷運転時には,エンジン50の回転速度を容量制御時における回転速度範囲の最高値である定格回転速度(一例として1900min
-1)で運転し,レシーバタンク60内の圧力が無負荷運転圧力P3(一例として2.1MPa)に至り吸気制御弁11が圧縮機本体40の吸気口41を全閉としている前述の無負荷運転時には,エンジン50を容量制御時における回転速度範囲の最低値である無負荷回転速度(本実施形態では1100min
-1又は1200min
-1のいずれか)で運転し,前述の減量運転又は増量運転時には,レシーバタンク60内の圧力に応じて定格回転速度(一例として1900min
-1)と無負荷回転速度(本実施形態において1100min
-1又は1200min
-1)間で回転速度を無段階に変化させる制御を行う。
【0063】
電子制御装置であるエンジンコントロールユニット(ECU)31によって燃料の噴射量等を制御する電子制御式のエンジン50を搭載したエンジン駆動型圧縮機1を制御対象とする本実施形態では,このECU31と,圧力検出手段65が検出したレシーバタンク60内の圧力変化(図示の例では圧力調整弁13の二次側における制御流路12内の圧力変化)に応じて前記ECU31に対し速度指令を出力する,電子制御装置であるコントローラ32によって,前述の速度制御装置30が実現されている。
【0064】
もっとも,本発明で制御対象とするエンジン駆動型圧縮機1は,
図4を参照して説明したように,ガバナレバーによってエンジンの回転速度を制御する機械制御式のエンジンを搭載したものであっても良く,この場合,レシーバタンク内の圧力を利用して,ガバナレバーを操作するレギュレータや,このレギュレータにレシーバタンク内の圧縮気体を導入する制御流路を設ける等して構成された機械式の速度制御装置を設けるものとしても良い。
【0065】
本発明のエンジン駆動型圧縮機1では,前述した無負荷回転速度の設定を圧縮機本体40の吐出気体温度又は潤滑油温度に応じて可変とするように構成されており,図示の実施形態では,圧縮機本体40の吐出流路62内の温度を検出する温度検出手段66を設け,この温度検出手段66の検出信号に基づき,コントローラ32が圧縮機本体40の吐出気体温度を監視しており,この吐出気体温度が所定の温度(一例として60℃)以上である場合に適用する無負荷回転速度(第1回転速度:一例として1100min
-1)に対し,前記所定の温度(一例として60℃)未満である場合に適用する無負荷回転速度(第2回転速度:一例として1200min
-1)を,所定の高い回転速度に設定するように構成した。
【0066】
なお,本実施形態では,無負荷回転速度として,所定の温度(60℃)以上のときに適用される第1回転速度(1100min
-1)と,所定の温度(60℃)未満のときに適用される第2回転速度(1200min
-1)の二種類の回転速度を切り替える構成について説明するが,無負荷回転速度は,吐出気体温度又は潤滑油温度が低くなるに従い,段階的に,あるいは無段階に増加させても良い。
【0067】
また,図示の構成では,前述の温度検出手段66を圧縮機本体40の吐出流路62に設け,吐出気体温度に基づいて無負荷回転速度の設定を変更するものとしたが,例えば前述の温度検出手段66を,レシーバタンク60内の潤滑油の温度を検出可能な位置に設け,この温度検出手段が検出した潤滑油の温度に基づいて無負荷回転速度の設定を変更するものとしても良い。
【0068】
前述したように,圧縮機本体40の吐出気体温度に基づいて,無負荷回転速度の設定を変更し,かつ,レシーバタンク60内の圧力に応じて,エンジン50の回転速度を,設定された無負荷回転速度と定格回転速度間で変化させる制御信号をエンジン50のECU31に出力可能とするために,前述のコントローラ32は所定のプログラムを記憶しており,このプログラムの実行により,コントローラ32には,後述するように,温度検出手段66が検出した吐出流路62内の温度に基づいて無負荷回転速度の設定を変更する無負荷回転速度設定手段323と,圧力検出手段65が検出したレシーバタンク60内の圧力変化に基づいてエンジン50のECU31に対し速度制御信号を出力するエンジン速度指令手段326が実現されている。
【0069】
〔始動制御装置〕
本発明のエンジン駆動型圧縮機1には,前述した容量制御が実行される通常運転を開始する前に,圧縮機本体40の吸気口41を閉じて負荷を軽減した状態でエンジン50を始動させると共に,この吸気口41を閉じた状態を維持して所定の始動回転速度(一例として1000min
-1)でエンジン50の暖機が完了するまで運転する始動運転を行い,この始動運転の終了後,前述の通常運転に移行するように構成することができる。
【0070】
始動時における負荷を軽減するために,本実施形態ではレシーバタンク60と吸気制御弁11の閉弁受圧室113間を連通する強制閉弁流路21と,この強制閉弁流路21を開閉する電磁弁22を設け,前記電磁弁22によって強制閉弁流路21を開いた状態でエンジン50を始動することで,エンジン50の始動時,レシーバタンク60と吸気制御弁11の閉弁受圧室113間を,圧力調整弁13をバイパスさせて連通し,これによりエンジン50の始動動作に伴う圧縮機本体40の回転によって生じるレシーバタンク60内の僅かな圧力上昇により,始動動作開始直後の比較的早い時期に吸気制御弁11を閉弁させることができ,これにより負荷が低減された状態でエンジン50を始動させることができるように構成した。
【0071】
従って,この構成では,前述した強制閉弁流路21,該強制閉弁流路21を開閉する電磁弁22,及び前記電磁弁22の開閉を制御する制御信号を出力する後述のコントローラ32によって,始動制御装置20が構成されている。
【0072】
好ましくは,始動制御装置20の構成として,更に,一端を前記吸気制御弁11の補助受圧室114に連通した吸排気流路23,一端を吸気制御弁11の二次側の吸入流路115に連通した吸引流路24,及び一端を大気開放(図示の例では吸気制御弁11の一次側の吸入流路115を介して大気開放)した放気流路25を設けると共に,前記吸排気流路23の他端を,前記吸引流路24の他端又は前記放気流路25の他端のいずれかに選択的に連通させる電磁切替弁26を設け,電磁切替弁26の操作によって吸排気流路23と吸引流路24を連通させた状態でエンジン50を始動させることにより,エンジン50の始動動作に伴い圧縮機本体40が吸気を開始することにより生じる吸入流路115内の負圧により,吸引流路24及び吸排気流路23を介して補助受圧室114内を負圧とすることで,吸気制御弁11の閉弁動作をさらに早めることができ,エンジン50の始動動作開始後,より早い時期において負荷の軽減を達成することが可能となる。
【0073】
〔コントローラ〕
エンジン50のECU31に対する速度指令の出力,また,各流路に設けた電磁弁22や電磁切替弁26の動作を制御する制御信号の出力は,前述したように電子制御装置である制御用のコントローラ32が行っており,このコントローラ32により,前述した始動運転,始動運転から通常運転への切替,及び,通常運転時における無負荷回転速度の設定と回転速度制御が実行される。
【0074】
上記各制御を実行するために,コントローラ32の記憶手段(図示せず)には,予め所定のプログラムが記憶されており,該プログラムの実行により,コントローラ32では,前述した各制御を実行するために必要な,エンジン運転状態判定手段321,運転モード切替手段322,及び,無負荷回転速度設定手段323が実現されている。
【0075】
このうちのエンジン運転状態判定手段321は,エンジン50に設けられた回転速度検出手段,冷却水温検出手段,油圧検出手段(図示せず),及びオルタネータの発電電圧/電流検出手段(図示せず)からの検出信号,及びコントローラ32に内蔵されたタイマ(図示せず)によってカウントされたカウント時間に応じて,エンジン50の運転状態を判定するもので,エンジン50の運転状態として,始動待機状態,始動状態,及び,暖機完了を判定する。
【0076】
このうちの始動待機状態は,エンジン駆動型圧縮機1のメインスイッチをONにして各部に対する通電が開始されているが,エンジン50を未だ始動させていない状態であり,始動状態は,スタータモータを回転させてエンジンを始動させた状態,更に,暖機完了は,所定の暖機完了条件を満たしたときに判定され,本実施形態にあっては,エンジンの始動後,第1の所定時間(一例として30秒)経過後に,更にエンジンの冷却水温度が所定の暖機完了温度(一例として10℃)以上となるか,又は,エンジンの始動後,第2の所定時間(一例として120秒)経過したとき,暖機完了を判定するように構成した。
【0077】
運転モード切替手段322は,前述したエンジン運転状態判定手段321による判定結果に従い,エンジン駆動型圧縮機1の運転モードを,前述した始動運転を実行する始動運転モードと,通常運転を実行する通常運転モードのいずれかに切り替えるもので,この運転モード切替手段322は,一例として,
図2に示すように,更に,エンジン運転状態判定手段321の判定結果に従い,前記いずれの運転モードと成すかを選択する運転モード選択手段324と,前記運転モード選択手段324の選択結果に従い,吸気制御弁11の閉弁受圧室113と補助受圧室114に連通された各流路を開閉する電磁弁22,電磁切替弁26の動作を制御する制御信号を出力する電磁弁制御手段325と,エンジン50のECU31に対し,運転モードの選択結果と,後述する無負荷回転速度設定手段323が設定した無負荷回転速度に基づき,圧力検出手段65が検出したレシーバタンク60内の圧力変化に従って速度指令を出力するエンジン速度指令手段326を備えている。
【0078】
前述の運転モード選択手段324は,エンジン運転状態判定手段321が始動待機状態であることの判定後,暖機完了の判定を行う迄,始動負荷軽減モードによる運転を選択すると共に,エンジン運転状態判定手段321が暖機完了の判定を行うと,通常運転モードによる運転への移行を選択する。
【0079】
前述の電磁弁制御手段325は,運転モード選択手段324による運転モードの選択が始動運転モードであるとき,電磁弁22と電磁切替弁26に制御信号を出力し(制御信号には,無信号を含み,従って制御信号の出力には,信号の出力停止を含む),電磁弁22を開いてレシーバタンク60と吸気制御弁11の閉弁受圧室113間を,強制閉弁流路21を介して連通すると共に,電磁切替弁26をA位置として吸気制御弁11の補助受圧室114と吸入流路115を吸排気流路23及び吸引流路24を介して連通する。
【0080】
一方,運転モード選択手段324が通常運転モードを選択すると,電磁弁22を閉じて強制閉弁流路21を介したレシーバタンク60と吸気制御弁11の閉弁受圧室113間の連通を断つと共に,電磁切替弁26をB位置として吸気制御弁11の補助受圧室114を,吸排気流路23と放気流路25を介して大気開放する。
【0081】
また,前述のエンジン速度指令手段326は,エンジン50の始動から通常運転モードへの移行が行われるまでの始動運転時には,エンジン50が所定の始動回転速度(一例として1000min
-1)となるようECU31に対し速度指令を出力し,通常運転モードでの運転時,レシーバタンク60内の圧力変化を検出(図示の例では圧力調整弁13の二次側においてレシーバタンク60内の圧力変化を検出)する圧力検出手段65の検出圧力に応じてエンジン50の回転速度を後述する無負荷回転速度設定手段323が設定した無負荷回転速度(一例として1100min
-1又は1200min
-1)と定格回転速度(一例として1900min
-1)間で変化させる速度指令をECU31に出力する。
【0082】
なお,本実施形態では,前述の始動回転速度(1000min
-1)を,無負荷回転速度よりも低い回転速度とすることで,始動運転(暖気運転)時における燃料消費量の低減を図っているが,この始動回転速度は,無負荷回転速度以上の回転速度とすることもでき,一例として1100min
-1に設定するものとして良い。
【0083】
更に,無負荷回転速度設定手段323は,通常運転への移行後に実行される前述の容量制御時におけるエンジン50の回転速度範囲の下限値となる無負荷回転速度を設定するもので,圧縮機本体40の吐出流路に設けた温度検出手段66からの検出信号に基づき,圧縮機本体40の吐出気体温度が所定値(一例として60℃)以上であれば第1回転速度(一例として1100min
-1)を無負荷回転速度として設定し,所定温度以上であれば,前記第1回転速度に対し所定の高い回転速度である第2回転速度(一例として1200min
-1)を無負荷回転速度として設定する。
【0084】
〔動作説明等〕
以上のように構成された本発明のエンジン駆動型圧縮機1における,始動運転モードでの始動から,通常運転モードによる運転迄の一連の動作を
図3に示したタイムチャートを参照して説明すれば,以下の通りである。
【0085】
(1)始動運転モードによる始動
エンジン駆動型圧縮機1のメインスイッチをOFF(停止)位置(T0)からON位置に切り替えると(T1),エンジン駆動型圧縮機1を構成するエンジン50や,コントローラ32等の制御装置類,各検出手段や計器盤等に対する通電が開始され,コントローラ32のエンジン運転状態判定手段321は,エンジン50が始動を待機した状態にある,始動待機状態であると判定する。
【0086】
エンジン運転状態判定手段321の判定結果に従い,運転モード選択手段324は運転モードとして始動運転モードを選択し,電磁弁制御手段325は,この選択結果に従い,電磁弁22及び電磁切替弁26に対し制御信号を出力し,電磁弁22を開いて(開状態に維持して)強制閉弁流路21を開く(開状態に維持する)と共に,電磁切替弁26をA位置(
図1参照)として吸排気流路23を吸引流路24に連通させてエンジン50の始動を待機する。
【0087】
このように,エンジン50の始動を待機している状態では,吸気制御弁11の閉弁受圧室113と補助受圧室(スプリング室)114内の圧力は共に大気圧(ゲージ圧0MPa)であるため,スプリング114aの付勢力のみが受圧体(ピストン)119に作用し,受圧体119は
図1中,紙面左側に押され,吸気制御弁11は全開状態となっている。
【0088】
また,運転モード切替手段322のエンジン速度指令手段326は,運転モード選択手段324の選択に従い,ECU31に対し,エンジン50の回転速度を所定の始動回転速度(一例として1000min
-1)とする速度指令を出力する。
【0089】
このようにして,エンジン50の始動を待機した状態から,スタータモータ(図示せず)に対する通電を開始してエンジン50を始動させると(T2),スタータモータによるエンジン50の回転に伴ってエンジン50の出力軸に連結されている圧縮機本体40も回転を開始する。
【0090】
このとき,吸気制御弁11は全開の状態にあることから,スタータモータによってエンジン50と共に回転された圧縮機本体40は,被圧縮気体の吸入と圧縮を開始する。
【0091】
このように圧縮機本体40が吸気を開始することで,圧縮機本体40内に吸引された被圧縮気体は,圧縮機本体40内で圧縮されて吐出されることでレシーバタンク60内の圧力が大気圧に対し僅かに上昇すると共に,強制閉弁流路21を介してレシーバタンク60と連通された吸気制御弁11の閉弁受圧室113内の圧力も上昇する。
【0092】
また,圧縮機本体40が吸入を開始することで,吸入流路115が負圧になると,この吸入流路115に吸引流路24及び吸排気流路23を介して連通された補助受圧室(スプリング室)114内も負圧となる。
【0093】
その結果,閉弁受圧室113内の圧力が上昇すると共に,補助受圧室(スプリング室)114内が負圧となることで,吸気制御弁11の気密室(シリンダ)112内に設けた受圧体(ピストン)119には,閉弁受圧室113側からの加圧と,補助受圧室114側からの吸引力が同時に作用し,両者の相乗効果によって,これを
図1中,紙面右方向に移動させて,弁体116を弁座115aに着座させる,閉弁方向の力が加わる。
【0094】
その結果,本発明の構成では,閉弁受圧室113に対する圧縮気体の導入のみによって吸気制御弁11を閉弁させる場合に比較して吸気制御弁11を全閉とするために必要なレシーバタンク60内の圧力はより低い圧力で良く,圧縮機本体40が回転を開始した直後の僅かな圧力上昇によって直ちに吸気制御弁11を閉じることができ,例えばスタータモータによるエンジンの回転中に吸気制御弁11を絞り,好ましくは閉じることで,スタータモータから切り離され,自立運転を開始した始動直後の最も不安定な運転状態にあるエンジン50の負荷を大幅に軽減して,低回転領域から始動回転速度(1000min
-1)への立ち上がりを円滑に行わせることが可能である。
【0095】
(2)始動運転モードから通常運転モードへの移行
以上のようにして,負荷を軽減した状態でエンジンを始動してから第1所定時間(一例として30秒)が経過し(T3),かつ,エンジンの冷却水温度が設定値(10℃)以上になるか(T4),又は,エンジン50の始動から第2の所定時間(120秒)が経過すると,エンジン運転状態判定手段321は,エンジン50の暖機完了を判定する。
【0096】
図3では,第1所定時間(30秒)が経過した後,第2所定時間(120秒)が経過する前に,冷却水温が設定値(10℃)以上となって暖機完了の判定が行われた場合の例を示している。
【0097】
このように,エンジン運転状態判定手段321が,エンジン50の暖機が完了したことを判定すると(T4),運転モード切替手段322の運転モード選択手段324は,運転モードとして,通常運転モードを選択し,以降,メインスイッチをOFF(停止)位置に操作してエンジン駆動型圧縮機1を停止する迄,通常運転モードによる運転が行われる。
【0098】
この通常運転モードの選択に従い,電磁弁制御手段325は,電磁弁22及び電磁切替弁26に制御信号を出力し,電磁弁22を閉じて強制閉弁流路21を閉じると共に,電磁切替弁26をB位置に切り替えて,吸排気流路23を放気流路25に連通させて,吸気制御弁11の補助受圧室114を大気開放する。
【0099】
これにより,吸気制御弁11,制御流路12及び圧力調整弁13から成る吸気制御装置10による圧縮機本体40の吸気制御が開始される。
【0100】
始動運転から通常運転への移行時(T4),レシーバタンク60内の圧力は圧力調整弁13の作動開始圧力である基準圧力P2以下であるため,吸気制御弁11の閉弁受圧室113には,レシーバタンク60内の圧縮気体は導入されておらず,通常運転への移行と共に,常時閉型の吸気制御弁11は全開となる(T4)。
【0101】
また,通常運転への移行により,無負荷回転速度設定手段323が温度検出手段66からの検出信号に基づいて圧縮機本体40の吐出気体温度の監視を開始し,吐出気体温度が所定の設定値(60℃)以上である場合には第1回転速度(1100min
-1)を無負荷回転速度として設定すると共に,前記設定値(60℃)未満である場合には,第1回転速度に対し所定の高い回転速度である第2回転速度(1200min
-1)を無負荷回転速度として設定する。
【0102】
また,エンジン速度指令手段326は,運転モード選択手段324による通常運転モードの選択により,始動回転速度(1000min
-1)による定回転速度で行っていた始動運転を終了し,圧力検出手段65が検出したレシーバタンク60内の圧力変化(図示の例では圧力調整弁13二次側の制御流路12内の圧力変化)に応じて,前記無負荷回転速度設定手段323が設定した無負荷回転速度(1100min
-1又は1200min
-1)と定格回転速度(1900min
-1)の間で無段階にエンジン50の回転速度を可変と成す速度指令をECU31に対して出力する,速度制御を行う。
【0103】
始動運転モードから通常運転モードに移行した時点(T4時点)のレシーバタンク60内の圧力P1は,基準圧力P2よりも低圧であり,圧力調整弁13の二次側圧力を検出する圧力検出手段65は圧力調整弁13が閉弁した状態にあること,従って,レシーバタンク60内の圧力が基準圧力以下であることを検出しており,この圧力検出手段65からの検出信号に基づき,エンジン速度指令手段326は,エンジンの回転速度を定格回転速度(1900min
-1)とする速度指令をECU31へ出力する。
【0104】
また,圧力調整弁13も基準圧力P2以下では閉弁状態であるため,吸気制御弁11の閉弁受圧室113に対しレシーバタンク60内の圧力が導入されていないことから,吸気制御弁11は全開状態を維持して全負荷運転が行われ,これによりレシーバタンク60内の圧力が上昇を開始する。
【0105】
レシーバタンク60内の圧力が上昇して,基準圧力P2を超えると(T6),圧力調整弁13が開き始めて吸気制御弁11が絞られ始めると共に,エンジン速度指令手段326は圧力検出手段65の検出信号に基づきエンジン50の回転速度を定格回転速度(1900min
-1)から無負荷回転速度に向けて減速する速度指令を出力し,レシーバタンク60内の圧力が無負荷運転圧力P3に達すると(T7),吸気制御弁11は全閉となり,エンジン速度指令手段326は,エンジン50の回転速度を無負荷回転速度設定手段323が設定した無負荷回転速度とする速度指令をECU31に対し出力する。
【0106】
始動運転から通常運転への移行と共に行われる最初の全負荷運転により,圧縮機本体40は被圧縮気体を圧縮して吐出することから,
図3に示した例ではこの際の圧縮熱によって圧縮機本体40の吐出気体温度は一時的に設定値(60℃)以上に上昇する(T5−T9間)。
【0107】
従って,無負荷回転速度設定手段323は,この間(T5―T9間)の無負荷回転速度を第1回転速度(1100min
-1)に設定し,これに対応してエンジンの回転速度は,一旦,第1回転速度(1100min
-1)まで低下する(T7)。
【0108】
しかし,外気温度が低い寒冷時には,吸気制御弁11を閉じて被圧縮気体の圧縮と吐出が停止すると共に,給油流路64を介してレシーバタンク60内の温まっていない潤滑油が導入されると,圧縮機本体40は再度冷却されて圧縮機本体40の吐出気体温度は再び所定温度(60℃)未満に低下する(T9)。
【0109】
この吐出気体温度の低下を受け,無負荷回転速度設定手段323は,第2回転速度(1200min
-1)を無負荷回転速度として設定し,エンジン速度指令手段326は,エンジ50の回転速度を,この無負荷回転速度設定手段323が設定した第2回転速度(1200min
-1)に上昇させる速度指令をECU31に出力させて,エンジンの回転速度を第2回転速度(1200min
-1)に増速させる。
【0110】
このように,エンジン50を所定の高い回転速度(1200min
-1)とすると共に,始動運転時とは異なり圧縮機本体40は比較的高い背圧がかかった状態で運転されていることから,吸気口41を閉じた状態で行われる無負荷運転時においても圧縮機本体40には負荷がかかっているために暖機が行われる。
【0111】
その結果,無負荷運転中であるが圧縮機本体40は徐々に暖機されてその吐出気体温度が上昇し,吐出気体温度が設定値(60℃)以上になると(T10),無負荷回転速度設定手段323は第1回転速度(1100min
-1)を無負荷回転速度として設定し,エンジン速度指令手段326は,エンジン50の回転速度を第1回転速度(1100min
-1)とする速度指令をECU31に対し出力する。
【0112】
このように,圧縮機本体40の暖機が不十分である場合に,無負荷回転速度を所定の高い第2回転速度(1200min
-1)とすることで,圧縮機本体40の暖機が十分に行われる前に,従って,潤滑油が高粘度の状態にあり負荷が増大している状態で,かつ,圧縮機本体40が高い背圧を受けている2回目以降の全負荷運転への移行が行われた場合であっても,全負荷運転への移行時,エンジン50の回転速度は,第2回転速度(1200min
-1)まで上昇されていることから,エンジンは,全負荷運転への移行に伴う負荷の増加に対し好適に追従することができ,ストールすることを好適に防止できる。
【0113】
なお,図示の実施形態では,通常運転への移行直後から無負荷回転速度を圧縮機本体40の吐出気体温度に応じて設定する構成について説明したが,無負荷回転速度の設定は,例えば通常運転への移行後,所定時間(例えば10秒)が経過するまでは第2回転速度(1200min
-1)を適用し,その後,圧縮機本体40の吐出気体温度に応じて第1回転速度と第2回転速度のいずれかを無負荷回転速度として設定するように構成しても良い。