【課題】複数光源が筐体部内に配置される光学式ガスセンサにおいて、検出対象のガスを検出可能な程度に大きな光路長を確保しつつ、装置を小型化することが可能な光学式ガスセンサを提供する。
【解決手段】この光学式ガスセンサ1は、非分散型赤外線吸収方式のセンサであって、第1の波長の赤外光を出射するLED11aと、第1の波長とは異なる第2の波長の赤外光を出射するLED11bと、LED11aおよびLED11bから出射された赤外光を受光する1つのフォトダイオード12と、LED11aから出射された赤外光を反射することにより、フォトダイオード12に導光する反射部13a〜13dと、LED11a、LED11b、フォトダイオード12および反射部13a〜13dが内面101a側に配置される筐体部10とを備える。
前記反射部は、検出対象のガスの流入方向よりも前記流入方向に交差する側方で、前記第1光源から出射された赤外光を多く反射するように構成されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学式ガスセンサ。
前記反射部は、前記第2光源から出射された赤外光も反射することにより、前記受光部に導光するように構成されており、前記第1光源からの赤外光と、前記第2光源からの赤外光とを、互いに異なる回数反射するように設けられている、請求項1〜7のいずれか1項に記載の光学式ガスセンサ。
前記反射部は、螺旋状の光路により、前記第1光源から出射される赤外光を前記受光部に導光するように構成されている、請求項1〜8のいずれか1項に記載の光学式ガスセンサ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
非分散型赤外線吸収方式のセンサでは、赤外光を検出対象のガスに十分に吸収させて検出感度を上げるために比較的大きい赤外光の光路長が確保されるのが好ましい。また、光学式ガスセンサの分野では、装置を小型化することが従来からの課題として存在する。この点に関して、上記特許文献1に記載の2つの光源および2つの受光部をガスセル内に配置する光学式ガスセンサにおいては、検出対象のガスを検出可能な程度に大きな光路長が確保されているが、さらなる装置の小型化を達成することが必要であるという課題があった。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、複数光源が筐体部内に配置される光学式ガスセンサにおいて、検出対象のガスを検出可能な程度に大きな光路長を確保しつつ、装置を小型化することが可能な光学式ガスセンサ、および、その光学式ガスセンサを備えるガス検知器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の第1の局面による光学式ガスセンサは、非分散型赤外線吸収方式のセンサであって、第1の波長の赤外光を出射する第1光源と、第1の波長とは異なる第2の波長の赤外光を出射する第2光源と、第1光源および第2光源から出射された赤外光を受光する1つの受光部と、第1光源から出射された赤外光を反射することにより、受光部に導光する反射部と、第1光源、第2光源、受光部および反射部が内面側に配置される筐体部とを備える。ここで、非分散型赤外線吸収方式のセンサとは、ガス内を通過する赤外光の波長がガス分子の内部エネルギーのレベルと一致するスペクトル領域において、ガス分子が赤外光を吸収するという性質(ガス特有の波長の赤外線がガス濃度に応じた割合で減衰するという性質)を利用して、特定のガスを検知するセンサである。
【0008】
この発明の第1の局面による光学式ガスセンサでは、上記のように、第1光源、第2光源、受光部、および、第1光源から出射された赤外光を反射することにより受光部に導光する反射部が内面側に配置される筐体部とを設ける。これにより、従来のガスセル(筐体部)内に2つの光源および2つの受光部を配置する構成と比較して、筐体部内の受光部の数を1つ削減することができるので、装置構成を簡素化することができるとともに、装置を小型化することができる。また、受光部の数を1つ削減することができるとともに、筐体部内の反射部により第1光源から出射された赤外光を反射することができるので、筐体部内により広いスペースを確保して、より大きな光路長を確保することができる。その結果、検出対象のガスをより精度よく検知することができる。以上により、検出対象のガスを検出可能な程度に大きな光路長を確保しつつ、装置を小型化することができる。
【0009】
上記第1の局面による光学式ガスセンサにおいて、好ましくは、第1光源は、検出対象のガスを検知するための検知用の光源であり、第2光源は、参照用の光源である。このように構成すれば、検知用の第1光源とは波長が異なる参照用の第2光源を設けることにより、筐体部の内側の汚れによる検出強度の低下と、検出対象のガスの吸収による検出強度の低下とを判別することができる。具体的には、検出用の光源からの赤外光および参照用の光源からの赤外光の受光部による検出強度が共に低下した場合、筐体部の内側が汚れていると判断することができる。また、参照用の光源からの赤外光の受光部による検出強度の低下がない(小さい)場合、筐体部の内側が略汚れていないと判断することができる。その結果、光学式ガスセンサのメンテナンスの時期を適切に判断することができる。
【0010】
上記第1の局面による光学式ガスセンサにおいて、好ましくは、反射部は、複数設けられ、第1光源から出射された赤外光は、複数の反射部により反射されることによって、受光部に導光される。このように構成すれば、筐体部の内面側において、複数の反射部により、第1光源から出射された赤外光を多重反射させることができるので、赤外光の光路長をより大きく確保することができる。その結果、検出対象のガスをより精度よく検出することができる。
【0011】
上記第1の局面による光学式ガスセンサにおいて、好ましくは、反射部は、検出対象のガスの流入方向よりも流入方向に交差する側方で、第1光源から出射された赤外光を多く反射するように構成されている。このように構成すれば、検出対象のガスの流入方向に交差する側方よりも検出対象のガスを流入させる側で、第1光源から出射された赤外光を多く反射させる場合と比較して、検出対象のガスを流入させる側における反射部の割合を小さくすることができるので、その分、検出対象のガスが流入する領域の割合を大きくして、より効果的に検出対象のガスを筐体内に流入させることができる。
【0012】
この場合、好ましくは、反射部は、流入方向に交差する側方のみで、第1光源から出射された赤外光を反射するように構成されている。このように構成すれば、検出対象のガスの流入方向に反射部を設けることなく、検出対象のガスの流入方向に交差する側方のみに反射部を設けることができるので、検出対象のガスをより流入させやすくすることができるとともに、ガスの流入方向において、反射部が設けられない分、筐体部(装置)を小型化することができる。
【0013】
上記第1の局面による光学式ガスセンサにおいて、好ましくは、筐体部は、筒状の側壁部と、側壁部の一端に設けられ、検出対象のガスを流入させるガス流入部とを含み、第1光源、第2光源および受光部は、側壁部の内面に配置されている。このように構成すれば、筒状の側壁部によって、第1光源および第2光源を、赤外光が受光部により受光される位置に容易に配置することができる。
【0014】
上記第1の局面による光学式ガスセンサにおいて、好ましくは、反射部、第1光源、第2光源および受光部は、略同じ高さ位置に配置されている。このように構成すれば、高さ方向において、筐体部(装置)を小型化することができる。
【0015】
上記第1の局面による光学式ガスセンサにおいて、好ましくは、反射部は、第2光源から出射された赤外光も反射することにより、受光部に導光するように構成されており、第1光源からの赤外光と、第2光源からの赤外光とを、互いに異なる回数反射するように設けられている。このように構成すれば、第2光源から出射された赤外光を反射部により反射することができるので、第2光源から出射された赤外光の光路長を大きくすることができる。
【0016】
上記第1の局面による光学式ガスセンサにおいて、好ましくは、反射部は、螺旋状の光路により、第1光源から出射される赤外光を受光部に導光するように構成されている。このように構成すれば、螺旋状の光路により、筐体部内のスペースを効率的に利用して赤外光を受光部に届けることができる。その結果、より大きい赤外光の光路長を確保することができるので、検出対象のガスをより精度よく検知することができる。
【0017】
上記第1の局面による光学式ガスセンサにおいて、好ましくは、第1光源および第2光源は、発光ダイオードを含み、受光部は、フォトダイオードを含む。このように構成すれば、発光ダイオードにより、白熱電球や蛍光灯などの他の光源と比較して、第1の波長を中心(ピーク)とする比較的狭い帯域幅の赤外光を出射することができるので、エネルギー効率を向上させることができる。また、フォトダイオードにより、第1光源および第2光源からの赤外光を確実に受光することができる。また、素子に電流が流れてから通常点灯までに約0.2秒を要する白熱電球などの他の光源や光検出素子と比較して、応答時間が極めて短い(約50〜数100n秒)発光ダイオードおよびフォトダイオードを用いることにより、立ち上がり時の消費エネルギーを削減することができるとともに、高速にパルス駆動できることから消費電力を低減することができる。
【0018】
この発明の第2の局面によるガス検知器は、上記第1の局面による光学式ガスセンサと、光学式ガスセンサに電力を供給する電源とを備える。
【0019】
上記第2の局面によるガス検知器では、上記第1の局面による光学式ガスセンサと、光学式ガスセンサに電力を供給する電源とを設ける。これにより、従来のガスセル(筐体部)内に2つの光源および2つの受光部を配置する構成と比較して、筐体部内の受光部の数を1つ削減することができるので、装置構成を簡素化することができるとともに、装置を小型化することができる。また、受光部の数を1つ削減することができるとともに、筐体部内の反射部により第1光源から出射された赤外光を反射することができるので、筐体部内により広いスペースを確保して、より大きな光路長を確保することができる。その結果、検出対象のガスをより精度よく検知することができる。以上により、検出対象のガスを検出可能な程度に大きな光路長を確保しつつ、装置を小型化することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、上記のように、検出対象のガスを検出可能な程度に大きな光路長を確保しつつ、複数光源が筐体部内に配置される光学式ガスセンサにおいて、装置を小型化することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0023】
[第1実施形態]
図1〜
図7を参照して、本発明の第1実施形態によるガス検知器100の構成について説明する。
【0024】
図1に示す第1実施形態によるガス検知器100は、検知対象のガスを検知して、検知対象のガスの存在を通知するように構成されている。たとえば、ガス検知器100は、検知対象のガスの検出濃度が所定の濃度より高い場合に、検知対象のガスが検出されたことを通知するように構成されている。この他、ガス検知器100は、検知対象ガスの濃度値を通知(表示)する検知器(通知(表示)に加えて、所定濃度で警報する検知器でもよい)を含んでいてもよい。
【0025】
(ガス検知器の概略構成)
ガス検知器100は、光学式ガスセンサ1と、通知部2と、電池3と、を備えている。なお、電池3は、特許請求の範囲の「電源」の一例である。
【0026】
光学式ガスセンサ1は、非分散型赤外線吸収(NDIR、non dispersive infrared)方式のセンサである。非分散型赤外線吸収のセンサとは、ガス内を通過する赤外光の波長がガス分子の内部エネルギーのレベルと一致するスペクトル領域において、ガス分子が赤外光を吸収するという性質(ガス特有の波長の赤外線がガス濃度に応じた割合で減衰するという性質)を利用して、特定のガスを検知するセンサである。非分散型赤外線吸収のセンサは、検知対象のガスを他のガスから分離することなく、容易に検知することが可能である。
【0027】
通知部2は、光学式ガスセンサ1により検出対象のガスが検知された場合に、ユーザに対して所定の通知を行うように構成されている。たとえば、通知部2は、発光部(図示せず)を有し、光学式ガスセンサ1により検出対象のガスが検知された場合に、発光部を発光させるように構成されていてもよい。この他、通知部2は、ガスが検知された場合に、音声を発するように構成されていてもよい。なお、通知部2は、単にガスの検知をユーザに通知するものであってもよいし、ガスを検知したことをユーザに警告するものであってもよい。また、通知部2は、所定の濃度値を越えるガスが検知された場合に、その旨を音声として出力(画像として表示)するなどによりユーザに通知するように構成されていてもよい。また、通知部2は所定の濃度値を超えなくても、濃度値を音声として出力(画像として表示)するなどによりユーザに通知するように構成してもよい。
【0028】
電池3は、光学式ガスセンサ1や通知部2などのガス検知器100の各部に供給される電力の供給源である。ガス検知器100は、電池駆動であるため、コンパクトに構成することが可能であるとともに、容易に持ち運ぶことが可能である。
【0029】
(光学式ガスセンサの構成)
次に、
図2〜
図7を参照して、光学式ガスセンサ1の詳細な構成について説明する。
【0030】
光学式ガスセンサ1は、
図2に示すように、筐体部10と、LED(light emitting diode)11aと、LED11bと、フォトダイオード12と、反射部13a〜13e(
図6参照)と、温湿度センサ14と、気圧センサ15と、光源用基板16a(
図6参照)、受光部用基板16b(
図6参照)およびセンサ用基板16c(
図6参照)と、マイコン17とを備えている。なお、LED11aは、特許請求の範囲の「第1光源」の一例である。また、LED11bは、特許請求の範囲の「第2光源」の一例である。また、フォトダイオード12は、特許請求の範囲の「受光部」の一例である。
【0031】
光学式ガスセンサ1は、2つの赤外光源(LED11aおよび11b)と、2つの赤外光源から出射された各赤外光を受光する1つの受光部(フォトダイオード12)とを有するいわゆる2光源1受光部方式のセンサである。フォトダイオード12は、1つ設けられている。
【0032】
光学式ガスセンサ1には、
図3および
図4に示すように、ガス検知器100(
図1参照)に光学式ガスセンサ1を取り付けるためのコンパチブル1aが設けられている。コンパチブル1aは、一方端が開放された円筒状に形成されている。コンパチブル1aは、開放された一端部から内側に光学式ガスセンサ1を収容することにより、内側に光学式ガスセンサ1を取付可能に構成されている。
【0033】
コンパチブル1aは、端子1bおよび1cを有している。端子1cは、コンパチブル1aの外側に設けられており、光学式ガスセンサ1の本体部(図示せず)に取り付けられた状態で、光学式ガスセンサ1の本体部と電気的に接続されるように構成されている。また、端子1cは、汎用性を有する端子である。端子1bは、コンパチブル1aの内側に設けられている。端子1bは、光学式ガスセンサ1が取り付けられた状態(後述する光学式ガスセンサ1の端子102aが端子1bに接触した状態)で、光学式ガスセンサ1と電気的に接続されるように構成されている。また、コンパチブル1aは、コンバータ(図示せず)を含んでいる。
【0034】
筐体部10は、側壁部101と、一方壁部102と、他方壁部103とを含んでいる。以下では、一方壁部102、側壁部101、他方壁部103が並ぶ方向(側壁部101が延びる方向)をA方向として説明する。また、A方向に直交する方向をB方向(
図3〜
図10ではB方向のうちの一方向を代表して示している)として説明する。なお、他方壁部103は、特許請求の範囲の「ガス流入部」の一例である。
【0035】
側壁部101は、
図3に示すように、円筒状に形成されている。一方壁部102は、円盤状に形成されており、側壁部101の一方側(A2方向側)の端部に設けられている。また、一方壁部102は、A2方向側の外面に、コンパチブル1aの端子1cに電気的に接続される端子102aを有している。他方壁部103は、円盤状に形成されており、側壁部101の他方側(A1方向側)の端部に設けられている。他方壁部103は、A方向に他方壁部103を貫通する貫通孔103aを複数(3個)有している。光学式ガスセンサ1は、この貫通孔103aを介して、検知対象のガスを筐体部10内に流入させることが可能なように構成されている。貫通孔103aは、細長い長円形状に形成されている。また、複数の貫通孔103aは、互いに平行に並ぶように配置されている。また、複数の貫通孔103aは、他方壁部103の全体にわたり設けられている。
【0036】
筐体部10には、
図5〜
図7に示すように、LED11a、11b、フォトダイオード12、反射部13a〜13eが内面側に配置されている。また、LED11a、11b、フォトダイオード12は、側壁部101の内面101aに配置されている。
【0037】
筐体部10は、アルミニウムや樹脂などの材料により反射部13a〜13eと一体的に形成されている。詳細には、筐体部10は、アルミニウムや樹脂などの材料を用いた金型により反射部13a〜13eと一体的に成形され、表面に金などのメッキが施されることにより形成されている。
【0038】
LED11aは、LEDチップ110aと、LEDチップ110aに貼り付けられるリフレクタ110bとを含んでいる。LEDチップ110aは、A方向に延びる平板状の光源用基板16a上に設置されている。LEDチップ110aは、光源用基板16aよりも筐体部10の内側(中心O(
図5参照)側)に配置されている。LEDチップ110aは、平面視において(A方向からみて)、概して、筐体部10の中心に向けて赤外光を出射するように配置されている。リフレクタ110bは、LEDチップ110aから出射されて、筐体部10の中心に向けて広がる赤外光を所定角度範囲に絞る機能を有している。リフレクタ110bは、接着剤などにより、LEDチップ110aに固定的に取り付けられている。
【0039】
LED11aは、検出対象のガスを検知するための検出用の光源である。すなわち、LED11aは、検出対象のガスに吸収されやすい第1の波長の赤外光を出射する光源である。詳細には、LED11aは、検出対象のガスに吸収されやすい第1の波長を中心(ピーク)とする比較的狭い帯域幅の赤外光を出射する光源である。たとえば、検出対象のガスがメタンガスである場合には、第1の波長は、概ね、3.3μmに設定される。
【0040】
LED11aから出射された赤外光の光路長は、光路長の大きさに応じて検出対象のガスに吸収される量が増減する。具体的には、赤外光の光路長は、大きくなる程、検出対象のガスに吸収される量が増加し、小さくなる程、検出対象のガスに吸収される量が減少する。このため、光学式ガスセンサ1は、LED11aから出射された赤外光の光路長が長くなる程、精度よく検出対象のガスを検出することが可能になる。そこで、第1実施形態の光学式ガスセンサ1は、限られた空間(筐体部10内の空間)で赤外光の光路長の大きさを確保するために、複数の反射部13a〜13dにより、LED11aから出射された赤外光を反射するように構成されている。
【0041】
LED11bは、LEDチップ111aと、LEDチップ111aに貼り付けられるリフレクタ111bとを含んでいる。LEDチップ111aは、光源用基板16a上に設置されている。LEDチップ111aは、光源用基板16aよりも筐体部10の内側(中心側)に配置されている。LEDチップ111aは、LEDチップ110aとA方向に並ぶように、LEDチップ110aのA2方向側に配置されている。LEDチップ111aは、平面視において(A方向からみて)、概して、筐体部10の中心に向けて赤外光を出射するように配置されている。
【0042】
リフレクタ111bは、LEDチップ111aから出射され、筐体部10の中心に向けて広がる赤外光を所定角度範囲に絞る機能を有している。リフレクタ111bは、接着剤などにより、LEDチップ111aに固定的に取り付けられている。
【0043】
LED11bは、検出対象のガスを検知するための検知用の光源ではなく、参照用の光源である。すなわち、LED11bは、検出対象のガスに吸収されやすい第1の波長とは異なる第2の波長の赤外光を出射する光源である。詳細には、LED11bは、第2の波長を中心とする比較的狭い帯域幅の赤外光を出射する光源である。たとえば、検出対象のガスがメタンガスである場合には、第2の波長は、第1の波長の3.3μmとは異なる3.9μmに設定される。
【0044】
参照用の光源とは、筐体部10の内側の汚れを検出するために用いられる。ここで、通常の使用態様において、光学式ガスセンサ1は、経時的な使用により、筐体部10の内側(筐体部10の表面、反射部13a〜13e、フォトダイオード12、LED11a、11bを含む)に埃などの汚れが付着して、フォトダイオード12の検出強度が徐々に低下する。この場合に、光学式ガスセンサ1は、赤外光を出射する光源が1つしかないと(検出用の光源のみだと)、検出強度の低下が筐体部10の内側の汚れによるものなのか、検出対象のガスの吸収によるものなのかを判別することができなくなってしまう。そこで、光学式ガスセンサ1は、検出用の光源に加えて、検出対象のガスを吸収することのない参照用の光源を備えることにより、筐体部10の内側の汚れを判断可能なように、構成されている。
【0045】
具体的には、光学式ガスセンサ1の経時的な使用により、検出用の光源からの赤外光および参照用の光源からの赤外光のフォトダイオード12による検出強度が共に低下した場合には、筐体部10の内側が汚れていると判断することができる。その結果、参照用の光源により、光学式ガスセンサ1のメンテナンスの時期などを判断することが可能となる。また、光学式ガスセンサ1の経時的な使用により、参照用の光源からの赤外光のフォトダイオード12による検出強度の低下がない(小さい)場合には、筐体部10の内側が略汚れていないと判断することができる。
【0046】
なお、参照用の光源(LED11b)が直接汚れを確認しているのは、LED11bからの赤外光を直接反射する反射部13e、13bであるが、参照用の光源により反射部13e、13bが汚れていると判断できる場合には、筐体部10内の他の構成(反射部13a、13c、13dなど)にも埃などの汚れが付着していると判断することができる。
【0047】
また、参照用の光源(LED11b)は、検出用の光源(LED11a)のフォトダイオード12による検出値のドリフト(変動)を抑制するためにも用いられる。
【0048】
フォトダイオード12は、1つ設けられている。フォトダイオード12は、A方向に延びる平板状の受光部用基板16b上に設置されている。フォトダイオード12は、筐体部10の中心O(
図5参照)側からの赤外光を受光可能なように、筐体部10の中心側を向くように配置されている。
【0049】
フォトダイオード12は、A方向において、LED11bに略対応する位置に配置されている。また、フォトダイオード12は、A方向に直交するB方向において、概して、LED11bに対向する位置に配置されている。また、フォトダイオード12は、A方向において、LED11aよりもA2方向側に配置されている。
【0050】
フォトダイオード12には、LED11aおよび11bからの赤外光が照射される。詳細には、フォトダイオード12には、LED11aおよび11bからの赤外光が、互いに異なるタイミングで交互に、かつ、繰返し照射される。
【0051】
反射部13a〜13dは、検出用の光源であるLED11aから出射された赤外光を反射することによりフォトダイオード12に導光するように構成されている。詳細には、反射部13aは、LED11aから出射された光路L1を通る赤外光を反射するように構成されている。また、反射部13bは、反射部13aにより反射された光路L2を通る赤外光を反射するように構成されている。また、反射部13cは、反射部13bにより反射された光路L3を通る赤外光を反射するように構成されている。また、反射部13dは、反射部13cにより反射された光路L4を通る赤外光を反射することによって、光路L5によりフォトダイオード12に導光するように構成されている。したがって、LED11aから出射された赤外光は、反射部13a〜13dにより4回反射された後、フォトダイオード12に導光される。
【0052】
なお、光路L1〜L5は、
図5および
図6において、直線状に示しているが、これは赤外光の出射方向(進行方向)の中心位置を示しており、赤外光の形状を示しているのではない。以下、他の光路の図においても同様である。
【0053】
反射部13bは、反射部13aよりもA2方向側において赤外光を反射するように配置されている。また、反射部13cは、反射部13bよりもA2方向側において赤外光を反射するように配置されている。また、反射部13dは、反射部13cよりもA2方向側において赤外光を反射するように配置されている。つまり、LED11aから出射された赤外光は、反射部13a〜13dにより、A2方向に進むように反射される。
【0054】
反射部13e、13bは、参照用の光源であるLED11bから出射された赤外光を反射することによりフォトダイオード12に導光するように構成されている。詳細には、反射部13eは、LED11bから出射された光路L1aを通る赤外光を反射するように構成されている。また、反射部13bは、反射部13eにより反射された光路L2aを通る赤外光を反射することによって、光路L3aによりフォトダイオード12に導光するように構成されている。したがって、LED11bから出射された赤外光は、反射部13e、13bにより2回反射された後、フォトダイオード12に導光される。この結果、反射部13a〜13eは、LED11aからの赤外光と、LED11bからの赤外光とを、互いに異なる回数反射するように設けられている。
【0055】
LED11b、反射部13e、13b、および、フォトダイオード12は、A方向において、光路L1a、L2a、L3aが略同じ位置となるように、互いに略同じ高さ位置に配置されている。
【0056】
反射部13a、13c、13eは、共に、筐体部10の内側から外側に向けて窪む球状(球状の面の一部を切り取った形状)の反射面を有している。反射部13a、13c、13eは、球状の反射面により、反射後の光路方向に赤外光を絞る機能を有している。
【0057】
反射部13b、13dは、それぞれ、平坦な反射面を有している。反射部13a〜13eは、LED11a(11b)から出射された赤外光を、球状の反射面と、平坦な反射面とにより交互に反射することにより、フォトダイオード12に導光するように構成されている。
【0058】
反射部13a〜13dは、検出対象のガスの流入方向(A方向)よりも、ガスの流入方向に交差する側方(B方向)で、LED11aから出射された赤外光を多く反射するように構成されている。詳細には、反射部13a〜13dは、筐体部10のA2方向側の一方壁部102、および、A1方向側の他方壁部103には、設けられておらず、筐体部10のB方向側にのみ設けられており、検出対象のガスの流入方向(A方向)に交差する側方(B方向)のみで、LED11aから出射された赤外光を反射するように構成されている。
【0059】
温湿度センサ14および気圧センサ15は、筐体部10の内側に配置されている。また、温湿度センサ14および気圧センサ15は、B方向に延びるセンサ用基板16c上に設置されている。なお、センサ用基板16cは、共にA方向に延びる光源用基板16aと受光部用基板16bとを接続する基板である。
【0060】
温湿度センサ14は、筐体部10内のガスの温度および湿度を測定可能なセンサである。また、気圧センサ15は、筐体部10内のガスの気圧を測定可能なセンサである。ここで、フォトダイオード12による赤外光の検出強度は、ガスが置かれる空間(筐体部10内の空間)の温度、湿度および気圧に応じて変動する。このため、検出対象のガスを検出するためのフォトダイオード12の検出強度に誤差が生じてしまう。そこで、光学式ガスセンサ1は、マイコン17による制御の下、温湿度センサ14および気圧センサ15による測定値に基づいて、フォトダイオード12の検出強度の誤差の補正を行うように構成されている。
【0061】
マイコン17は、光学式ガスセンサ1の各部の駆動を制御するように構成されている。具体例として、マイコン17は、LED11aとLED11bとを交互に200μ秒間継続的に点灯させるように構成されている。この際、マイコン17は、LED11aおよびLED11bは、0.5秒に1回点灯するように構成されている。また、マイコン17は、概ね、LED11aおよびLED11bが消灯しているタイミング(非検知動作時)において、光学式ガスセンサ1内のアナログ回路の電源をオフにするとともに、マイコン17をスリープモードにすることによって、低消費電力を実現するように構成されている。
【0062】
[第1実施形態の効果]
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0063】
第1本実施形態では、上記のように、LED11a、LED11b、フォトダイオード12、および、LED11aから出射された赤外光を反射することによりフォトダイオード12に導光する反射部13a〜13dが内面101a側に配置される筐体部10とを設ける。これにより、従来のガスセル(筐体部)内に2つの光源および2つのフォトダイオード12を配置する構成と比較して、筐体部10内のフォトダイオード12の数を1つ削減することができるので、装置構成を簡素化することができるとともに、装置を小型化することができる。また、フォトダイオード12の数を1つ削減することができるとともに、筐体部10内の反射部13a〜13dによりLED11aから出射された赤外光を反射することができるので、筐体部10内により広いスペースを確保して、より大きな光路長を確保することができる。その結果、検出対象のガスをより精度よく検知することができる。以上により、検出対象のガスを検出可能な程度に大きな光路長を確保しつつ、装置を小型化することができる。
【0064】
また、第1本実施形態では、上記のように、LED11aを、検出対象のガスを検知するための検知用の光源とし、LED11bを、参照用の光源とする。これにより、検知用のLED11aとは波長が異なる参照用のLED11bを設けることにより、筐体部10の内側の汚れによる検出強度の低下と、検出対象のガスの吸収による検出強度の低下とを判別することができる。具体的には、検出用のLED11aからの赤外光および参照用のLED11bからの赤外光のフォトダイオード12による検出強度が共に低下した場合、筐体部10の内側が汚れていると判断することができる。また、参照用のLED11bからの赤外光のフォトダイオード12による検出強度の低下がない(小さい)場合、筐体部10の内側が略汚れていないと判断することができる。その結果、光学式ガスセンサ1のメンテナンスの時期を適切に判断することができる。
【0065】
また、第1本実施形態では、上記のように、反射部13a〜13dを複数設け、LED11aから出射された赤外光を、複数の反射部13a〜13dにより反射することによって、フォトダイオード12に導光する。これにより、筐体部10の内面側において、複数の反射部13a〜13dにより、LED11aから出射された赤外光を多重反射させることができるので、赤外光の光路長をより大きく確保することができる。その結果、検出対象のガスをより精度よく検出することができる。
【0066】
また、第1本実施形態では、上記のように、反射部13a〜13dを、検出対象のガスの流入方向よりも流入方向に交差する側方で、LED11aから出射された赤外光を多く反射するように構成する。これにより、検出対象のガスの流入方向に交差する側方よりも検出対象のガスを流入させる側で、LED11aから出射された赤外光を多く反射させる場合と比較して、検出対象のガスを流入させる側における反射部13a〜13dの割合を小さくすることができるので、その分、検出対象のガスが流入する領域の割合を大きくして、より効果的に検出対象のガスを筐体内に流入させることができる。
【0067】
また、第1本実施形態では、上記のように、反射部13a〜13dを、流入方向に交差する側方のみで、LED11aから出射された赤外光を反射するように構成する。これにより、検出対象のガスの流入方向に反射部13a〜13dを設けることなく、検出対象のガスの流入方向に交差する側方のみに反射部13a〜13dを設けることができるので、検出対象のガスをより流入させやすくすることができるとともに、ガスの流入方向において、反射部13a〜13dが設けられない分、筐体部10(装置)を小型化することができる。
【0068】
また、第1本実施形態では、上記のように、筐体部10に、筒状の側壁部101と、側壁部101の一端に配置され、検出対象のガスを流入させる他方壁部103とを設け、LED11a、LED11bおよびフォトダイオード12を、側壁部101の内面101aに配置する。これにより、筒状の側壁部101によって、LED11aおよびLED11bを、赤外光がフォトダイオード12により受光される位置に容易に配置することができる。
【0069】
また、第1実施形態では、上記のように、反射部13eを、LED11bから出射された赤外光も反射することにより、フォトダイオード12に導光するように構成し、LED11aからの赤外光と、LED11bからの赤外光とを、互いに異なる回数反射するように光学式ガスセンサ1を構成する。これにより、LED11bから出射された赤外光を反射部13eにより反射することができるので、LED11bから出射された赤外光の光路長を大きくすることができる。
【0070】
また、第1本実施形態では、上記のように、光源としてLED11aおよびLED11bを用い、受光部としてフォトダイオード12を用いる。これにより、発光ダイオード(LED)により、白熱電球や蛍光灯などの他の光源と比較して、第1の波長および第2の波長を中心(ピーク)とする比較的狭い帯域幅の赤外光を出射することができるので、エネルギー効率を向上させることができる。また、フォトダイオードにより、LED11aおよびLED11bからの赤外光を確実に受光することができる。また、素子に電流が流れてから通常点灯までに約0.2秒を要する白熱電球などの他の光源や光検出素子と比較して、応答時間が極めて短い(50〜数100n秒)LED11a、11bおよびフォトダイオード12を用いることにより、立ち上がり時の消費エネルギーを削減することができるとともに、高速にパルス駆動できることから消費電力を低減することができる。
【0071】
[第2実施形態]
次に、
図1、
図2および
図8を参照して、第2実施形態の光学式ガスセンサ201を備えるガス検知器200の構成について説明する。第2実施形態による光学式ガスセンサ201は、各反射部13a〜13e、LED11a、11bおよびフォトダイオード12が互いに異なる高さ位置(A方向の位置)に配置した第1実施形態による光学式ガスセンサ1とは異なり、各反射部213a〜213d、LED11a、11bおよびフォトダイオード12が同じ高さ位置に配置されている。なお、上記第1実施形態と同一の構成については、図中において同じ符号を付して図示し、その説明を省略する。
【0072】
(光学式ガスセンサの構成)
本発明の第2実施形態によるガス検知器200は、
図1に示すように、光学式ガスセンサ201を備えている。光学式ガスセンサ201は、
図8に示すように、反射部213a〜213dを備えている。
【0073】
各反射部213a〜213d、LED11a、11bおよびフォトダイオード12は、
図8に示すように、A方向において同じ高さ位置に配置されている。
【0074】
筐体部10の内面101a側において、LED11aおよびフォトダイオード12は、互いに隣接して配置されている。また、筐体部10の内面101a側において、LED11aおよびLED11bの間には、反射部213bおよび反射部213dが配置されている。また、筐体部10の内面101a側において、フォトダイオード12およびLED11bの間には、反射部213cおよび反射部213aが配置されている。各反射部213a〜213d、LED11a、11bおよびフォトダイオード12は、平面視において(A方向からみて)、それぞれ、概して、筐体部10の周方向に均等に配置されている。
【0075】
反射部213a〜213dは、検出用の光源であるLED11aから出射された赤外光を反射することによりフォトダイオード12に導光するように構成されている。詳細には、反射部213aは、LED11aから出射された光路L1cを通る赤外光を反射するように構成されている。また、反射部213bは、反射部213aにより反射された光路L2cを通る赤外光を反射するように構成されている。また、反射部213cは、反射部213bにより反射された光路L3cを通る赤外光を反射するように構成されている。また、反射部213dは、反射部213cにより反射された光路L4cを通る赤外光を反射することによって、光路L5cによりフォトダイオード12に導光するように構成されている。したがって、LED11aから出射された赤外光は、反射部213a〜213dにより4回反射された後、フォトダイオード12に導光される。
【0076】
反射部213c、213dは、参照用の光源であるLED11bから出射された赤外光を反射することによりフォトダイオード12に導光するように構成されている。詳細には、反射部213cは、LED11bから出射された光路L1dを通る赤外光を反射するように構成されている。また、反射部213dは、反射部213cにより反射された光路L2dを通る赤外光を反射することによって、光路L3dによりフォトダイオード12に導光するように構成されている。したがって、LED11bから出射された赤外光は、反射部213c、213dにより2回反射された後、フォトダイオード12に導光される。
【0077】
ここで、上記の通り、各反射部213a〜213d、LED11a、11bおよびフォトダイオード12は、A方向において同じ高さ位置に配置されていることから、光路L1c〜L4c、L1d、L2dもA方向において略同じ高さ位置に配置されている。
【0078】
反射部213a〜213dは、共に、筐体部10の内側から外側に向けて窪む球状(球状の面の端部側を切り取った形状)の反射面を有している。反射部213a〜213dは、球状の反射面により、反射後の光路方向に赤外光を絞る機能を有している。
【0079】
フォトダイオード12には、受光した赤外光を集光する集光レンズ12aが設けられている。集光レンズ12aは、筐体部10の内側に突出する半球形状を有している。
【0080】
[第2実施形態の効果]
第2実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0081】
第2本実施形態では、上記第1実施形態と同様に、LED11a、LED11b、フォトダイオード12、および、LED11aから出射された赤外光を反射することによりフォトダイオード12に導光する反射部213a〜213dが内面101a側に配置される筐体部10とを設ける。これにより、装置構成を簡素化することができるとともに、装置を小型化することができる。
【0082】
また、第2本実施形態では、上記のように、反射部213a〜213d、LED11a、LED11bおよびフォトダイオード12を、略同じ高さ位置に配置する。これにより、高さ方向において、筐体部10(装置)を小型化することができる。
【0083】
第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0084】
[第3実施形態]
次に、
図1、
図2、
図9および
図10を参照して、第3実施形態の光学式ガスセンサ301を備えるガス検知器300の構成について説明する。第3実施形態による光学式ガスセンサ301は、反射部13a〜13eを筐体部10の側壁部101の内面101aにのみ配置した第1実施形態による光学式ガスセンサ1とは異なり、反射部313a〜313iを筐体部10の側壁部101の内面101aと、一方壁部102の内面と、他方壁部103の内面とに配置されている。なお、上記第1実施形態と同一の構成については、図中において同じ符号を付して図示し、その説明を省略する。
【0085】
(光学式ガスセンサの構成)
本発明の第3実施形態によるガス検知器300は、
図1に示すように、光学式ガスセンサ301を備えている。光学式ガスセンサ301は、
図9に示すように、反射部313a〜313iを備えている。
【0086】
筐体部10の内面101a側において、LED11a、11bおよびフォトダイオード12は、一方壁部102(A2方向)側の同一平面上に配置されている。また、反射部313a、313h、313iは、共に、他方壁部103の内面に配置されている。反射部313bは、一方壁部102の内面に配置されている。また、反射部313c〜313g(その他の反射部)は、側壁部101の内面101aに配置されている。
【0087】
反射部313a〜313hは、LED11aから出射された赤外光を反射することによりフォトダイオード12に導光するように構成されている。詳細には、反射部313aは、LED11aから出射された光路L1eを通る赤外光を反射するように構成されている。また、反射部313bは、反射部313aにより反射された光路L2eを通る赤外光を反射するように構成されている。また、反射部313cは、反射部313bにより反射された光路L3eを通る赤外光を反射するように構成されている。また、反射部313dは、反射部313cにより反射された光路L4eを通る赤外光を反射するように構成されている。また、反射部313eは、反射部313dにより反射された光路L5eを通る赤外光を反射するように構成されている。また、反射部313fは、反射部313eにより反射された光路L6eを通る赤外光を反射するように構成されている。また、反射部313gは、反射部313fにより反射された光路L7eを通る赤外光を反射するように構成されている。また、反射部313hは、反射部313gにより反射された光路L8eを通る赤外光を反射することによって、光路L9eによりフォトダイオード12に導光するように構成されている。したがって、LED11aから出射された赤外光は、反射部213a〜213dにより8回反射された後、フォトダイオード12に導光される。
【0088】
反射部313a〜313hは、LED11aから出射される赤外光をA1方向から見て、時計周り方向に旋回させるようにして、フォトダイオード12に導光するように構成されている。ここで、反射部313a、313bは、光路L2eおよびL3e(
図10参照)を通る赤外光を、A2方向に移動させるように構成されている。反射部313c〜313fは、光路L3e〜L7e(
図10参照)を通る赤外光を、A1方向に移動させるように構成されている。反射部313g、313hは、光路L8eおよびL9e(
図10参照)を通る赤外光を、A2方向に移動させるように構成されている。
【0089】
また、第3実施形態では、A方向において、LED11aからA1方向側に出射され、未だ反射されていない赤外光を、一旦、A2方向側(LED11a側)に反射するように構成されている。これにより、光学式ガスセンサ301は、赤外光の光路長をかせぐことができる。同時に、A方向において、フォトダイオード12と対向する位置に、フォトダイオード12に向けて赤外光を反射する構成を配置して、フォトダイオード12への入射角をゼロ(フォトダイオード12の赤外光の受光面と赤外光とのなす角度を90度)に近づけることができるので、赤外光の大きさ(フォトダイオード12の受光面積)に対して受光面を広く確保できる。このため、フォトダイオード12により赤外光を受光しやすくすることができる。
【0090】
反射部313iは、LED11bから出射された赤外光を反射することによりフォトダイオード12に導光するように構成されている。詳細には、反射部313iは、LED11bから出射された光路L1fを通る赤外光を反射することによって、光路L2fによりフォトダイオード12に導光するように構成されている。したがって、LED11bから出射された赤外光は、反射部313iにより1回反射された後、フォトダイオード12に導光される。
【0091】
[第3実施形態の効果]
第3実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0092】
第3本実施形態では、上記第1実施形態と同様に、LED11a、LED11b、フォトダイオード12、および、LED11aから出射された赤外光を反射することによりフォトダイオード12に導光する反射部313a〜313hが内面101a側に配置される筐体部10とを設ける。これにより、装置構成を簡素化することができるとともに、装置を小型化することができる。
【0093】
また、第3本実施形態では、上記のように、反射部313a〜313hを、螺旋状の光路により、LED11aから出射される赤外光をフォトダイオード12に導光するように構成する。これにより、螺旋状の光路により、筐体部10内のスペースを効率的に利用して赤外光をフォトダイオード12に届けることができる。その結果、より大きい赤外光の光路長を確保することができるので、検出対象のガスをより精度よく検知することができる。
【0094】
第3実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0095】
(変形例)
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0096】
たとえば、上記第1〜第3実施形態では、反射部を複数設けた例を示したが本発明はこれに限られない。本発明では、反射部を1つのみ設けてもよい。
【0097】
また、上記第1〜第3実施形態では、筐体部に固定的に反射部を設けた例を示したが本発明はこれに限られない。本発明では、たとえば、反射部をMEMSミラーなどにより構成して、筐体部に対して振動可能に構成してもよい。
【0098】
また、上記第1〜第3実施形態では、本発明の第1光源および第2光源をLEDにより構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第1光源および第2光源を白熱電球などのLED以外の光源により構成してもよい。
【0099】
また、上記第1〜第3実施形態では、本発明の受光部をフォトダイオードにより構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、受光部を熱電対などのフォトダイオード以外の受光部により構成してもよい。
【0100】
また、上記第1〜第3実施形態では、第1光源からの赤外光と、第2光源からの赤外光との反射回数が異なるように構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第1光源からの赤外光と、第2光源からの赤外光との反射回数が同じになるように構成してもよい。
【0101】
また、上記第1〜第3実施形態では、本発明の電源を電池とした例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、たとえば、本発明の電源を商用電源に接続可能なコンセント部としてもよい。
【0102】
また、上記第1〜第3実施形態では、第1光源をガス検出用の光源とし、第2光源を参照用の光源とした例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第1光源および第2光源を、共に、互いに異なる種類のガスを検出するための光源としてもよい。
【0103】
また、上記第1〜第3実施形態では、コンパチブルを介して光学式ガスセンサとガス検知器(ガス検知器の本体部)とを電気的に接続するように構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、コンパチブルを介することなく、光学式ガスセンサとガス検知器とを直接電気的に接続可能なように構成してもよい。
【0104】
また、上記第1〜第3実施形態では、反射部を筐体部と一体的に形成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、反射部を筐体部と別体で形成してもよい。
【0105】
また、上記第1〜第3実施形態では、筐体部を金型により形成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、筐体部を金属加工などの金型以外の方法により形成してもよい。
【0106】
また、本発明は、上記第1〜第3実施形態で説明した赤外光の反射回数に限定されものではない。
【0107】
また、上記第1〜第3実施形態では、本発明の第2光源として、ガス吸収性のない波長の光源を用いて、第2光源を参照用の光源として用いた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第2光源として、ガス吸収性のある波長の光源を用いて、第2光源を参照用の光源および検知用の光源の両方として用いてもよい。
【0108】
上記第1〜第3実施形態では、第1光源をガス検出用の光源とし、第2光源を参照用の光源とした例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第1光源および第2光源を共にガス検出用の光源としてもよい。具体例として、第1光源および第2光源を異なる帯域幅の波長とし、1つのガスの検出精度を高めるようにしてもよい。
【0109】
また、上記第1実施形態では、光学式ガスセンサが、光源や受光部などを搭載するため基板を3つ備える例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、光学式ガスセンサが、光源や受光部などを搭載するため基板を1つのみ備えていてもよい。この場合、基板をフレキシブル配線基板としてもよい。
【0110】
上記第1〜第3実施形態では、1つの筐体部の内側に基板、反射部、受光部などを配置した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、1つの筐体部の内側に別の筐体部を配置し、内側の筐体部に基板、反射部、受光部などをそれぞれ設置するための孔部を設けて、その孔部に基板、反射部、受光部を差し込むようにして設置してもよい。この場合、内側の筐体部は、円筒形状を有しており、各部品が差し込まれることにより、光軸が調整されるように構成されていてもよい。
【0111】
また、上記第1〜第3実施形態では、温湿度センサおよび気圧センサを備える例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、温湿度センサおよび気圧センサの両方を備えていなくてもよく、一方のみを備えていてもよい。
【0112】
上記第1〜第3実施形態では、反射部として球状の反射面と平坦な反射面を組合せた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、球状の反射面または平坦な反射面の一方のみを設けるようにしてもよい。また、反射面の形状はどのような形状でもよく、楕円形や、非球面(平面でも球面でもない曲面)形状であってもよい。