(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-128465(P2018-128465A)
(43)【公開日】2018年8月16日
(54)【発明の名称】ガス検知器
(51)【国際特許分類】
G01N 27/12 20060101AFI20180720BHJP
G01N 27/416 20060101ALI20180720BHJP
G01N 27/00 20060101ALI20180720BHJP
G01N 27/16 20060101ALI20180720BHJP
【FI】
G01N27/12 B
G01N27/416 321
G01N27/416 331
G01N27/00 K
G01N27/16 A
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2018-83009(P2018-83009)
(22)【出願日】2018年4月24日
(62)【分割の表示】特願2013-187424(P2013-187424)の分割
【原出願日】2013年9月10日
(71)【出願人】
【識別番号】000190301
【氏名又は名称】新コスモス電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 信二
【テーマコード(参考)】
2G046
2G060
【Fターム(参考)】
2G046AA07
2G046AA11
2G046AA19
2G046BG02
2G060AA01
2G060AB05
2G060AB08
2G060AB16
2G060AE19
2G060BA01
2G060BA03
2G060BC03
2G060HC21
2G060HD02
2G060KA01
(57)【要約】
【課題】複数のセンサにおいて、個々のセンサ毎にガスの流量を調整できるガス検知器を提供する。
【解決手段】外部環境の変化を検知するセンサ12〜52と、雰囲気ガスを吸引するポンプ15〜55とを有するセンサユニット10〜50を複数備えたガス検知器Xであって、雰囲気ガスを流下させるガス流通路70と、ガス流通路70から分岐し、各センサユニット10〜50へ雰囲気ガスを流下させる複数の分岐路71〜75とを備え、ガス流通路70は、上流側のセンサユニットへの分岐路から順に下流側のセンサユニットへの分岐路へ雰囲気ガスを流下させる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部環境の変化を検知するセンサと、雰囲気ガスを吸引するポンプとを有するセンサユニットを複数備えたガス検知器であって、
前記雰囲気ガスを流下させるガス流通路と、前記ガス流通路から分岐し、各センサユニットへ雰囲気ガスを流下させる複数の分岐路とを備え、
前記ガス流通路は、上流側のセンサユニットへの分岐路から順に下流側のセンサユニットへの分岐路へ雰囲気ガスを流下させるガス検知器。
【請求項2】
雰囲気ガスを外部から吸引する吸気口を最上流部に1つ備えた請求項1に記載のガス検知器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部環境の変化を検知するセンサと、雰囲気ガスを吸引するポンプとを有するセンサユニットを複数備えたガス検知器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数のセンサを備えたガス検知器が開示されている。このガス検知器は、複数の酸化物半導体センサが配置されたセンサケースを備え、当該センサケースの上流側は、サンプルガスが収容されたサンプルガス容器が接続されるサンプル吸引口に接続されていた。一方、センサケースの下流側は、吸引ポンプに接続されていた。複数の酸化物半導体センサは、導入されたサンプルガスに対して順次接触するように直列に配列されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−201436号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたガス検知器では、直列に配設された複数のセンサに対して1つの吸引ポンプが設けられていた。この場合、センサケースの下流に配設された吸引ポンプは、複数のセンサを吸引してサンプルガスをセンサケースの上流側から下流側に吸引することができる。しかし、このガス検知器の構成では、サンプルガスの流量を個々のセンサ毎に調整することはできなかった。
【0005】
従って、本発明の目的は、複数のセンサにおいて、個々のセンサ毎にガスの流量を調整できるガス検知器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明に係るガス検知器は、外部環境の変化を検知するセンサと、雰囲気ガスを吸引するポンプとを有するセンサユニットを複数備えたガス検知器であって、その第一特徴構成は、前記雰囲気ガスを流下させるガス流通路と、前記ガス流通路から分岐し、各センサユニットへ雰囲気ガスを流下させる複数の分岐路とを備え、前記ガス流通路は、上流側のセンサユニットへの分岐路から順に下流側のセンサユニットへの分岐路へ雰囲気ガスを流下させた点にある。
【0007】
本構成では、センサおよびポンプの両者を各センサユニットに設けることができる。これにより、例えばセンサ毎に雰囲気ガスの流量を異ならせたい場合は、それぞれのセンサユニットに設けたポンプの吸引力をそれぞれ異ならせることで、容易にセンサ毎に雰囲気ガスの流量を異ならせることができる。
【0008】
従って、センサの種類によっては過度の吸引力をかけると不都合が生じる場合であっても、本発明のガス検知器では、所望のセンサに対してポンプによる吸引力を調整して雰囲気ガスの流量を調整することができるため、各センサの特性に応じた適切な流量でガス検知を行うことができる。
【0009】
また、本構成では、上流側のセンサユニットへの分岐路から順に下流側のセンサユニットへの分岐路へ雰囲気ガスを流下させるガス流通路を備えているため、環境中の雰囲気ガスを吸引した後、上流側のセンサユニットへの分岐路から下流側のセンサユニットへの分岐路へ順番に吸引した雰囲気ガスを分岐させて流下させることができる。
【0010】
本発明に係るガス検知器の第二特徴構成は、雰囲気ガスを外部から吸引する吸気口を最上流部に1つ備えた点にある。
【0011】
本構成によれば、最上流側部に備えた吸気口から特定の場所の雰囲気ガスをサンプリングして複数のガスセンサでガス検知を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明のガス検知器の外観を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
本発明は、外部環境の変化を検知するセンサを有するセンサユニットを複数備えたガス検知器である。
図1〜5に示したように、本実施形態におけるガス検知器Xは、5つのセンサユニット10〜50を備えた場合について説明する。
【0014】
ガス検知器Xは、可搬性の態様、或いは、屋内や屋外で壁面に設置する態様などであればどのような機器であってもよい。本実施形態では、可搬性の態様とした場合について説明する。
【0015】
隣接するセンサユニット同士は環境中の雰囲気ガスが流下する配管60で接続され、上流側のセンサユニット10への分岐路71から順に下流側のセンサユニット50への分岐路75へ環境中の雰囲気ガスを流下させるガス流通路70が形成される。
【0016】
例えばセンサユニット10において、センサブロック11に、配管60と接続する係止穴部を、吸気口1より吸入された雰囲気ガスが流入する上流側および雰囲気ガスが流出する下流側にそれぞれ形成してある。即ち、センサブロック11には、雰囲気ガスが流入する上流側係止穴部11aおよび雰囲気ガスが流出する下流側係止穴部11bを形成する。当該上流側係止穴部11aおよび下流側係止穴部11bにおいて、それぞれが第一配管61および第二配管62と接続する(
図5)。
尚、配管60は、Oリング16によって係止穴部に係止される。
【0017】
本実施形態では、最上流部に1つの吸気口1を形成した場合について説明するが、このような態様に限定されるものではない。例えば、センサユニット毎に吸気口を形成し、各吸気口から、それぞれ異なった場所の雰囲気ガスをサンプリングできるように構成してもよい。本実施形態のように1つの吸気口1を形成した場合は、特定の場所の雰囲気ガスをサンプリングして複数のガスセンサでガス検知を行うことができる。複数のガスセンサをそれぞれ異なったものとすれば、それぞれのガスセンサの特性に応じたガス検知を行うことができる。
一方、センサユニット毎に吸気口を形成した場合は、異なった場所の雰囲気ガスをサンプリングできる多点検知を行うことができる。検知態様については、特定の場所の検知を行うか、多点検知を行うかを切り替え可能となるように構成してもよい。この場合、雰囲気ガスを吸気する吸気口を1つにするか、複数にするか、を切り替え可能となるように構成すればよい。
【0018】
また、センサユニット10は、センサブロック11に支持され、外部環境の変化を検知するセンサ12、雰囲気ガスの流量を測定するフローセンサ13、雰囲気ガスをバッファリングするセンサバッファ14を備える。さらに本発明のガス検知器Xは、センサユニット10において、センサ12の下流に雰囲気ガスを吸引するポンプ15を備えている。センサブロック11に流入した雰囲気ガスは、ガス流通路70より分岐した分岐路71を通過してセンサ12に流入し、フローセンサ13、センサバッファ14をそれぞれ流下する。
【0019】
他のセンサユニットについても同様の構成、即ち、センサユニット20はセンサブロック21、センサ22、フローセンサ23、センサバッファ24、ポンプ25を備え、センサブロック21に上流側係止穴部21aおよび下流側係止穴部21bを形成する。当該上流側係止穴部21aに第二配管62が接続し、下流側係止穴部21bに第三配管63が接続する。
【0020】
また、センサユニット30はセンサブロック31、センサ32、フローセンサ33、センサバッファ34、ポンプ35を備え、センサブロック31に上流側係止穴部31aおよび下流側係止穴部31bを形成する。当該上流側係止穴部31aに第三配管63が接続し、下流側係止穴部31bに第四配管64が接続する。
【0021】
また、センサユニット40はセンサブロック41、センサ42、フローセンサ43、センサバッファ44、ポンプ45を備え、センサブロック41に上流側係止穴部41aおよび下流側係止穴部41bを形成する。当該上流側係止穴部41aに第四配管64が接続し、下流側係止穴部41bに第五配管65が接続する。
【0022】
さらに、センサユニット50はセンサブロック51、センサ52、フローセンサ53、センサバッファ54、ポンプ55を備え、センサブロック51に上流側係止穴部51aおよび下流側係止穴部51bを形成する。当該上流側係止穴部51aに第五配管65が接続する。センサユニット50は、最下流側のユニットなので、下流側係止穴部51bは、それより下流に雰囲気ガスが流入しない構成であればよい。従って、下流側係止穴部51bは封止されていてもよく、下流側係止穴部を設けない構成でもよい。
【0023】
隣接するセンサユニット10〜50は、それぞれのセンサブロック11〜51を接続するガス流通路70によって接続してある。
上述したように、各センサブロック11〜51はセンサ12〜52を支持しており、さらにセンサブロック11〜51は配管60を介して隣接するセンサユニットを接続している。本構成により、センサブロック11〜51を中心として各センサユニット10〜50を構築し、かつセンサブロック11〜51を基点として各センサ12〜52を並列で接続することができる。よって、例えば所望のセンサユニットのみを稼働させたくない場合には、該当するセンサユニットのセンサブロックにおいて、当該センサブロックが支持するセンサに対して雰囲気ガスを流通させないようにすれば、それぞれのセンサブロック11〜51は配管60によって接続してあるため、該当するセンサユニット以外のセンサユニットを稼働させることができる。
【0024】
センサブロック21〜51に流入した雰囲気ガスは、ガス流通路70より分岐した分岐路72〜75をそれぞれ通過してセンサ22〜52に流入し、フローセンサ23〜53、センサバッファ24〜54をそれぞれ流下する。
尚、フローセンサ13〜53から外部に流量などの情報を含んだ信号を出力することが可能であり、このとき当該信号を受信して流量などの情報を表示できる外部機器と接続してモニタリングすることで、汚れ等による配管の詰まりやポンプユニットの故障などを早期に検知することができる。
【0025】
また、それぞれのセンサユニットにおいて、或いは、所望のセンサユニットにおいて、このような流量の情報を基にして雰囲気ガスの吸引量を調整できる流量調整機構を備えてもよい(図外)。これにより、それぞれのセンサユニット毎に、リアルタイムで適切な流量に調整して雰囲気ガスのサンプリングを行うことができる。
【0026】
ポンプ15〜55から排出された雰囲気ガスは、前記センサユニット毎に設けられた排気路81〜85、および、アウトバッファ80を経由して排気口2よりガス検知器Xの外部に排出される。
【0027】
各センサユニット10〜50は、その内部に外部環境の変化を検知するセンサ12〜52をそれぞれ備える。このようなセンサとして、酸素センサ、COセンサ、都市ガスセンサ、LPガスセンサなどのガスセンサなどを使用することができるが、これに限られるものではない。
【0028】
ガスセンサは、被検知ガスを検知するものであれば、どのような態様であってもよい。例えば、酸素センサは酸素ガスを検出でき、COセンサは不完全燃焼で発生する一酸化炭素ガスを検出でき、都市ガスセンサは炭化水素ガス等の漏洩ガスを検出することができるものであれば、公知の半導体式センサ素子、接触燃焼式センサ素子および電気化学式センサなどが使用できる。
【0029】
ガス検知器Xは、例えばセンサ12が警報レベル以上の被検知ガスを継続して検知したことを後述の演算手段(図外)が判定した場合、当該演算手段から警報信号を受け取り、音声により警報を発する放音部(図外)と接続される。当該放音部は、ガス検知器Xに組み込んでもよい。
【0030】
演算手段は、上述したセンサ12が被検知ガスを検知した出力に基づき、被検知ガス濃度を算出する濃度算出部(図外)を備える。さらに演算手段は、センサ12が警報レベル以上の被検知ガス濃度を継続して検知した場合、警報信号を放音部に送信して当該放音部により警報を発するように制御する。
尚、本発明のガス検知器Xには、演算手段の結果を表示する表示部(図外)を筐体に設け、被検知ガス濃度などを表示できるように構成してもよい。
【0031】
本発明のように、それぞれのセンサユニット10〜50において、センサ12〜52の下流に雰囲気ガスを吸引するポンプ15〜55を備えることにより、センサおよびポンプの両者を各センサユニットに設けることができる。これにより、例えばセンサ毎に雰囲気ガスの流量を異ならせたい場合は、それぞれのセンサユニットに設けたポンプの吸引力をそれぞれ異ならせるとよい。従って、本発明のガス検知器Xでは、所望のセンサに対してポンプによる吸引力を調整して雰囲気ガスの流量を調整することができるため、各センサの特性に応じた適切な流量でガス検知を行うことができる。
【0032】
〔別実施形態1〕
上述したガス検知器Xの実施形態において、熱分解炉を備えた構成としてもよい(図外)。例えば検知対象外の不飽和フルオロカーボンは、熱分解によってフッ化水素が発生してセンサ12〜52によって検知されてしまう虞がある。本構成のように熱分解炉を備えて、熱分解炉で分解されて発生したガスをセンサ12〜52で検知できるように構成すれば、検知対象外のガス成分を含むか否かを判定することができる。
【0033】
熱分解炉は、各センサブロック11〜51の上流に配設してもよいし、各センサブロック11〜51のうち所望のセンサブロックのみに配設してもよい。
【0034】
〔別実施形態2〕
上述した実施形態では、センサ12〜52の下流に雰囲気ガスを吸引するポンプ15〜55を備えている構成となっているが、それに限らずセンサ12〜52の上流にポンプ15〜55を備え、雰囲気ガスを吸引し、供給する構成としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は、外部環境の変化を検知するセンサと、雰囲気ガスを吸引するポンプとを有するセンサユニットを複数備えたガス検知器に利用できる。
【符号の説明】
【0036】
X ガス検知器
1 吸気口
10〜50 センサユニット
11〜51 センサブロック
12〜52 センサ
15〜55 ポンプ
70 ガス流通路
71〜75 分岐路