特開2018-12894(P2018-12894A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-12894(P2018-12894A)
(43)【公開日】2018年1月25日
(54)【発明の名称】医療用ガウン
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/12 20060101AFI20171222BHJP
【FI】
   A41D13/12 109
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-141457(P2016-141457)
(22)【出願日】2016年7月19日
(71)【出願人】
【識別番号】000110044
【氏名又は名称】株式会社リブドゥコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100110847
【弁理士】
【氏名又は名称】松阪 正弘
(74)【代理人】
【識別番号】100136526
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100136755
【弁理士】
【氏名又は名称】井田 正道
(72)【発明者】
【氏名】浦 賢寛
【テーマコード(参考)】
3B011
【Fターム(参考)】
3B011AA01
3B011AA04
3B011AB06
3B011AC18
3B011AC24
(57)【要約】
【課題】医療用ガウンの着用感の低下を抑制しつつ防護性能を向上する。
【解決手段】医療用ガウン1は、前面部2と、一対の袖部4とを備える。前面部2は、着用者の前面を覆う。一対の袖部4は、前面部2の左右方向の両側に繋がる。一対の袖部4には、着用者の両腕が挿入される。医療用ガウン1では、前面部2のうち胸から膝までの領域と、一対の袖部4のうち袖口から肘上までの領域とがクリティカルゾーン5である。クリティカルゾーン5は、前面クリティカルゾーン21と、一対の袖クリティカルゾーン41とを含む。一対の袖クリティカルゾーン41は、前面クリティカルゾーン21よりもAAMIが規定する防護性能レベルが高い。これにより、医療用ガウン1の着用感の低下を抑制しつつ防護性能を向上することができる。その結果、医療者の作業環境向上と血液体液曝露の抑制とを両立することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用ガウンであって、
着用者の前面を覆う前面部と、
前記前面部の左右方向の両側に繋がり、前記着用者の両腕が挿入される一対の袖部と、
を備え、
前記前面部のうち胸から膝までの領域と、前記一対の袖部のうち袖口から肘上までの領域とが、クリティカルゾーンであり、
前記クリティカルゾーンが、
米国医療機器振興協会が規定する防護性能レベルが所定のレベルである第1領域と、
前記防護性能レベルが前記第1領域よりも高い第2領域と、
を含むことを特徴とする医療用ガウン。
【請求項2】
請求項1に記載の医療用ガウンであって、
前記第2領域が、前記一対の袖部のそれぞれに含まれることを特徴とする医療用ガウン。
【請求項3】
請求項1または2に記載の医療用ガウンであって、
前記第1領域の前記防護性能レベルが3であり、
前記第2領域の前記防護性能レベルが4であることを特徴とする医療用ガウン。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の医療用ガウンであって、
前記第2領域が、前記第1領域を構成するシート部材と同様のシート部材の外面に樹脂フィルムを積層した構造を有することを特徴とする医療用ガウン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用ガウンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、外科手術等の際には、手術に携わる医師および看護師等の医療者は、滅菌された医療用ガウンを着用する。医療者が医療用ガウンを着用することにより、易感染状態の患者を感染源から守り、また、患者の血液や体液等が医療者の肌に付着することを防止することができる。
【0003】
例えば、特許文献1では、防護手袋が医療用ガウンの袖部から手首側へと下がり、隙間から血液等が進入する現象を防止することを目的として、医療用ガウンの袖部の不織布上に共ポリエステルエラストマーの膜を設け、防護手袋との間の非粘着摩擦を増大させる技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−106086号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、米国医療機器振興協会(Association for the Advancement of Medical Instrumentation)では、医療用ガウンの防護性能を、最も低いレベル1から最も高いレベル4までの4段階で規定している。医療用ガウンの防護性能レベルは、医療用ガウンのクリティカルゾーンの防護性能により決定される。当該防護性能は、例えば、衝撃透過性、耐水圧、ウイルス透過性および血液浸透性等を含む。クリティカルゾーンは、医療用ガウンの前面部のうち胸から膝までの領域、および、一対の袖部のうち袖口から肘上までの領域である。上述の防護性能レベルが高いと、医療用ガウンの安全性は高くなるが、通気性が低くなる等、医療用ガウンの着用感が低下する。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、医療用ガウンの着用感の低下を抑制しつつ防護性能を向上することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、医療用ガウンであって、着用者の前面を覆う前面部と、前記前面部の左右方向の両側に繋がり、前記着用者の両腕が挿入される一対の袖部とを備え、前記前面部のうち胸から膝までの領域と、前記一対の袖部のうち袖口から肘上までの領域とが、クリティカルゾーンであり、前記クリティカルゾーンが、米国医療機器振興協会が規定する防護性能レベルが所定のレベルである第1領域と、前記防護性能レベルが前記第1領域よりも高い第2領域とを含む。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の医療用ガウンであって、前記第2領域が、前記一対の袖部のそれぞれに含まれる。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の医療用ガウンであって、前記第1領域の前記防護性能レベルが3であり、前記第2領域の前記防護性能レベルが4である。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の医療用ガウンであって、前記第2領域が、前記第1領域を構成するシート部材と同様のシート部材の外面に樹脂フィルムを積層した構造を有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、医療用ガウンの着用感の低下を抑制しつつ防護性能を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】一の実施の形態に係る医療用ガウンを広げた状態で示す図である。
図2】着用者が着用した状態の医療用ガウンの正面図である。
図3】着用者が着用した状態の医療用ガウンの正面図である。
図4】着用者が着用した状態の医療用ガウンの正面図である。
図5】着用者が着用した状態の医療用ガウンの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本発明の一の実施の形態に係る医療用ガウン1を示す図である。医療用ガウン1は、外科手術等の際に医師および看護師等が着用する使い捨てのガウンである。図1は、着用前の医療用ガウン1を広げた状態で示す正面図である。図1では、医療用ガウン1の着用者に接する内面とは反対側の外面を手前にして医療用ガウン1を描いている。図2は、着用者が着用した状態の医療用ガウン1の前面側を示す正面図である。
【0014】
医療用ガウン1は、着用者の後側で左右の部位を閉じる後閉じタイプのガウンである。医療用ガウン1は、前面部2と、背面部3と、一対の袖部4とを備える。前面部2は、着用者の前面を覆う。背面部3は、着用者の背面を覆う。一対の袖部4は、前面部2および背面部3の左右方向の両側に繋がる。一対の袖部4には、着用者の両腕が挿入される。各袖部4は、着用者の腕のうち肩部から手首に至る部位を覆う。袖部4の先端部45(すなわち、袖口よりも先端側の部位)は、伸縮性を有し、図2に示す手袋6により覆われる。
【0015】
前面部2は、連続する1枚のシート状の部位である。前面部2は、着用者の喉元(すなわち、首と胸部との間の部位)、胸部、腹部、腰部前面および両脚の前面を覆う。図2に示す例では、前面部2は、着用者の喉元の略全体、胸部の略全体、腹部の略全体、腰部前面の略全体、および、両脚の前面のうち脚の付け根部から膝下に至る部位を覆う。
【0016】
背面部3は、内背面部31と、外背面部32とを備える。内背面部31は、前面部2の左右方向の一方側から着用者の背面に広がり、着用者の背面を覆う。外背面部32は、前面部2の左右方向の他方側から着用者の背面に広がる。換言すれば、外背面部32は、前面部2の左右両側の端部のうち、内背面部31が繋がる側とは反対側に繋がる。外背面部32は、内背面部31の後側にて内背面部31に重なるとともに着用者の背面を覆う。図1に示す例では、内背面部31は、着用者の左側(図1中の右側)において前面部2に繋がり、外背面部32は、着用者の右側において前面部2に繋がる。
【0017】
背面部3は、着用者の背部、腰部背面(臀部を含む。)および両脚の背面を覆う。具体的には、背面部3は、着用者の背部の略全体、腰部背面の略全体、および、両脚の背面のうち脚の付け根部から膝下に至る部位を覆う。
【0018】
医療用ガウン1が着用される際には、まず、着用者の両腕が一対の袖部4に挿入される。続いて、内背面部31および外背面部32を着用者の背面に重ねる。そして、予め内背面部31および外背面部32等に設けられている紐等により、内背面部31と外背面部32とが固定される。これにより、図2に示すように、医療用ガウン1の着用が終了する。医療用ガウン1の着用が終了すると、着用者の両手に手袋6が装着される。これにより、上述のように、医療用ガウン1の各袖部4の先端部45(図1参照)が、手袋6により覆われる。
【0019】
医療用ガウン1では、前面部2のうち胸から膝までの領域21と、一対の袖部4のうち袖口から肘上までまでの領域41とが、米国医療機器振興協会(Association for the Advancement of Medical Instrumentation(以下、「AAMI」と呼ぶ。))に規定されるクリティカルゾーンである。クリティカルゾーンは、血液や体液等が付着する可能性が高い領域であり、血液や体液等に対する比較的高い防護性能が要求される領域である。以下の説明では、前面部2の領域21を「前面クリティカルゾーン21」と呼び、袖部4の領域41を「袖クリティカルゾーン41」と呼ぶ。また、前面クリティカルゾーン21と袖クリティカルゾーン41とをまとめて、単に「クリティカルゾーン5」とも呼ぶ。図1および図2では、前面クリティカルゾーン21および袖クリティカルゾーン41に平行斜線を付す。また、前面クリティカルゾーン21および袖クリティカルゾーン41と、周囲の領域との間の境界を二点鎖線にて示す。
【0020】
AAMIが規定する医療用ガウンの防護性能レベル(以下、単に「防護性能レベル」という。)は、クリティカルゾーン5の防護性能レベルにより決定される。最も低い防護性能レベルであるレベル1では、衝撃透過性テスト(AATCC42(American Association of Textile Chemist and Colorist 42))の結果が、4.5g以下であることが要求される。レベル1の次に高い防護性能レベルであるレベル2では、衝撃透過性テスト(AATCC42)の結果が1.0g以下であり、かつ、耐水圧テスト(AATCC127(American Association of Textile Chemist and Colorist 127))の結果が20cm以上であることが要求される。レベル2の次に高い防護性能レベルであるレベル3では、衝撃透過性テスト(AATCC42)の結果が1.0g以下であり、かつ、耐水圧テスト(AATCC127)の結果が50cm以上であることが要求される。最も高い防護性能レベルであるレベル4では、ウイルスによる透過テスト(ASTM F1671(American Standard Testing Method F1671))に合格し、かつ、合成血液による浸透テスト(ASTM F1670)に合格することが要求される。
【0021】
図1および図2に示す医療用ガウン1では、前面クリティカルゾーン21全体の防護性能レベルが3であり、袖クリティカルゾーン41全体の防護性能レベルが4である。医療用ガウン1は、例えば、着用者の前腕が患者の体腔内に入る処置の際に使用される。
【0022】
医療用ガウン1では、前面部2のうち前面クリティカルゾーン21を除く領域(すなわち、前面クリティカルゾーン21の上側および下側の領域)、および、一対の袖部4のうち袖クリティカルゾーン41を除く領域(すなわち、袖クリティカルゾーン41の肩側の端部から肩部に至る領域)の防護性能レベルは、1以上である。また、背面部3の防護性能レベルは1以上であってもよく、レベル1の要求を満たしていなくてもよい。
【0023】
前面部2、背面部3および一対の袖部4は、例えば、不織布や樹脂フィルムにより形成されている。当該不織布は、例えば、疎水性繊維(ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ナイロン等)製である。前面クリティカルゾーン21は、例えば、複数種類の不織布が積層された積層構造を有する。前面クリティカルゾーン21は、例えば、SMMS(スパンボンド・メルトブロー・メルトブロー・スパンボンド)不織布製である。袖クリティカルゾーン41は、例えば、前面クリティカルゾーン21を構成するシート部材(SMMS不織布等)と同様のシート部材の外面に樹脂フィルムを積層した構造を有する。前面クリティカルゾーン21および袖クリティカルゾーン41の構造は、適宜変更されてよい。
【0024】
クリティカルゾーン5以外の領域は、例えば、単層構造または積層構造を有する不織布により形成されている。クリティカルゾーン5以外の領域の構造も、適宜変更されてよい。なお、背面部3は、医療用ガウン1の着用感を向上するために、通気性が高い構造を有することが好ましい。
【0025】
以上に説明したように、医療用ガウン1は、前面部2と、一対の袖部4とを備える。前面部2は、着用者の前面を覆う。一対の袖部4は、前面部2の左右方向の両側に繋がる。一対の袖部4には、着用者の両腕が挿入される。医療用ガウン1では、前面部2のうち胸から膝までの領域と、一対の袖部4のうち袖口から肘上までの領域とがクリティカルゾーン5である。クリティカルゾーン5は、前面クリティカルゾーン21と、一対の袖クリティカルゾーン41とを含む。一対の袖クリティカルゾーン41は、前面クリティカルゾーン21よりもAAMIが規定する防護性能レベルが高い。
【0026】
ここで、クリティカルゾーン5のうち、AAMIが規定する防護性能レベルが所定のレベルである領域を「第1領域」と呼び、防護性能レベルが第1領域よりも高い領域を「第2領域」と呼ぶと、上述の例では、前面クリティカルゾーン21全体が第1領域であり、袖クリティカルゾーン41全体が第2領域である。医療用ガウン1では、クリティカルゾーン5のうち、血液等が付着する可能性が高い第2領域の防護性能レベルを高くすることにより、第2領域を介した着用者の血液体液曝露を抑制することができる。また、第1領域の防護性能レベルを第2領域よりも低くすることにより、第1領域の通気性の低下を抑制することができる。これにより、医療用ガウン1の着用感の低下を抑制しつつ防護性能を向上することができる。その結果、医療者の作業環境向上と血液体液曝露の抑制とを両立することができる。
【0027】
上述のように、医療用ガウン1では、第1領域の防護性能レベルは3であり、第2領域の防護性能レベルは4である。これにより、第2領域を介した着用者の血液体液曝露を、より一層抑制することができる。当該医療用ガウン1は、第2領域に多量の血液や体液等が付着することが予想される処置に特に適している。
【0028】
また、第2領域は、第1領域を構成するシート部材と同様のシート部材の外面に樹脂フィルムを積層した構造を有する。これにより、医療用ガウン1の製造が複雑化することを抑制しつつ、防護性能レベルの高い第2領域を容易に形成することができる。その結果、医療用ガウン1の製造コストを低減することができる。
【0029】
上述のように、医療用ガウン1では、防護性能レベルの高い第2領域が、一対の袖クリティカルゾーン41全体である。このように、術野に接近して血液等が付着する可能性が高い袖クリティカルゾーン41の防護性能レベルを高くすることにより、袖部4を介した着用者の血液体液曝露を抑制することができる。また、医療用ガウン1に占める面積割合が比較的大きい前面クリティカルゾーン21の防護性能レベルを袖クリティカルゾーン41よりも低くすることにより、医療用ガウン1の通気性の低下を抑制することができる。その結果、医療用ガウン1の着用感の低下をさらに抑制しつつ防護性能を向上することができる。
【0030】
医療用ガウン1では、防護性能レベルの高い第2領域は、必ずしも一対の袖クリティカルゾーン41全体でなくてもよい。例えば、第2領域は、一対の袖部4のそれぞれに含まれていればよい。図3に示す例では、各袖クリティカルゾーン41のうち、袖口から手首と肘との中間部までの領域42が第2領域であり、領域42よりも肩部側の領域43が、第2領域よりも防護性能レベルの低い第1領域である。また、前面クリティカルゾーン21全体も第1領域である。図3では、領域42と領域43との間の境界を二点鎖線にて示す。
【0031】
このように、クリティカルゾーン5の第2領域が、一対の袖部4のそれぞれに含まれることにより、上記と同様に、袖部4を介した着用者の血液体液曝露を抑制することができるとともに、医療用ガウン1の通気性の低下を抑制することができる。その結果、医療用ガウン1の着用感の低下をさらに抑制しつつ防護性能を向上することができる。
【0032】
上述の医療用ガウン1では、様々な変更が可能である。
【0033】
図1ないし図3に示す例では、第2領域は、一対の袖部4のそれぞれに含まれているが、第2領域の位置は、これらの例には限定されない。例えば、図1および図2に示す医療用ガウン1では、一対の袖クリティカルゾーン41全体が、防護性能レベルが3の第1領域であり、前面クリティカルゾーン21全体が、防護性能レベルが4の第2領域であってもよい。また、図3に示す医療用ガウン1では、各袖クリティカルゾーン41の領域42に加えて、前面クリティカルゾーン21全体も、防護性能レベルが4の第2領域であってもよい。
【0034】
医療用ガウン1では、図4に示すように、前面クリティカルゾーン21のうち、胸から腰までの領域22が、防護性能レベルが4の第2領域であり、腰から膝までの領域23が、防護性能レベルが3の第1領域であってもよい。あるいは、前面クリティカルゾーン21のうち領域22が、防護性能レベルが3の第1領域であり、領域23が、防護性能レベルが4の第2領域であってもよい。いずれの場合も、一対の袖クリティカルゾーン41全体は、防護性能レベルが3の第1領域であってもよく、防護性能レベルが4の第2領域であってもよい。
【0035】
医療用ガウン1では、一対の袖クリティカルゾーン41がそれぞれ、第1領域と第2領域とを含み、前面クリティカルゾーン21も、第1領域と第2領域とを含んでいてもよい。図5に示す例では、各袖クリティカルゾーン41において、袖口から手首と肘との中間部までの領域42、および、領域42よりも肩部側の領域43のうち一方の領域が、防護性能レベルが3の第1領域であり、他方の領域が防護性能レベルが4の第2領域である。また、前面クリティカルゾーン21において、胸から腰までの領域22、および、腰から膝までの領域23のうち一方の領域が、防護性能レベルが3の第1領域であり、他方の領域が防護性能レベルが4の第2領域である。
【0036】
医療用ガウン1では、上述の第1領域の防護性能レベルは3には限定されず、第2領域の防護性能レベルは4には限定されない。例えば、第1領域および第2領域のそれぞれの防護性能レベルは、2および4であってもよく、2および3であってもよい。
【0037】
すなわち、医療用ガウン1では、クリティカルゾーン5が、AAMIが規定する防護性能レベルが所定のレベルである第1領域と、防護性能レベルが第1領域よりも高い第2領域とを含んでいればよい。これにより、上記と同様に、医療用ガウン1の着用感の低下を抑制しつつ防護性能を向上することができる。その結果、医療者の作業環境向上と血液体液曝露の抑制とを両立することができる。
【0038】
医療用ガウン1は、上述の構成以外に様々な構成を備えていてもよい。例えば、医療用ガウン1は、着用者の喉元に位置する前面部2の上端縁から上方に広がって着用者の顔の下半分を覆うマスク部を備えていてもよい。
【0039】
上述の医療用ガウン1のクリティカルゾーン5に係る構造は、着用者の前側で左右の部位を閉じる前閉じタイプの医療用ガウンに適用されてもよい。当該医療用ガウンは、例えば、連続する1枚のシート状の背面部と、当該背面部の左右両側から着用者の前面に広がる前面部(すなわち、内前面部および外前面部)と、前面部および背面部の左右方向の両側に繋がる一対の袖部とを備える。この場合であっても、当該医療用ガウンの着用感の低下を抑制しつつ防護性能を向上することができる。
【0040】
上記実施の形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。
【符号の説明】
【0041】
1 医療用ガウン
2 前面部
4 袖部
5 クリティカルゾーン
21 前面クリティカルゾーン
41 袖クリティカルゾーン
図1
図2
図3
図4
図5