【解決手段】物体表面の表面性状を表すパラメータを横軸とし、物体表面の形状の法線方向変化率を縦軸として、人が視認可能な最小の法線方向変化率を物体表面の表面性状を表すパラメータに関連させて視認可能領域マップを作成し、ワークの加工面の表面性状を表すパラメータと、ワークの加工面の形状の法線方向変化率の最大値との関係を前記視認可能領域マップ上に表示して物体表面を評価する。
物体表面の形状の法線方向変化率は,物体表面の形状の幾何学的な法線方向変化率から、人が視覚的に認識可能な空間周波数成分のみを抽出したものである請求項1に記載の方法。
物体表面の形状の法線方向変化率は,物体表面の形状の幾何学的な法線方向変化率から、人が視覚的に認識可能な空間周波数成分のみを抽出したものである請求項5に記載の装置。
物体表面の形状の法線方向変化率は,物体表面の形状の幾何学的な法線方向変化率から、人が視覚的に認識可能な空間周波数成分のみを抽出したものである請求項9に記載の方法。
物体表面の形状の法線方向変化率は,物体表面の形状の幾何学的な法線方向変化率から、人が視覚的に認識可能な空間周波数成分のみを抽出したものである請求項12に記載の工作機械。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、本発明の好ましい実施形態を説明する。
図1を参照すると、本発明の物体表面の評価装置としての加工面評価装置10は、加工面データ生成部12と、表面粗さパラメータ演算部14、法線方向変化率演算部16、視認可能領域マップ格納部18およびプロット部20を含むマップ生成部28と、表示部22とを主要な構成要素として具備している。マップ生成部28は、CPU、RAM、ROM、ハードディスク、SSD、これらを接続する双方向バス、および、関連したプログラムによって形成することができる。表示部22は、液晶パネルやタッチパネルにより形成することができる。
【0015】
加工面評価装置10は、更に、パラメータ変更部24および入力装置26を具備することができる。入力装置26は、例えばキーボードやマウス或いは表示部22を形成するタッチパネルとすることができる。パラメータ変更部24は、オペレーターが入力装置26を通じて入力した指令に従い、加工面データ生成部12或いは工作機械のNC装置30に対してパラメータの変更を指令する。加工面データ生成部12に対して変更指令するパラメータには、工具の種類、工具径、および最適の切削速度等の工具条件、ピックフィード量、送り速度、および主軸の回転速度等の加工条件が含まれ、NC装置30に対して変更指令するパラメータには、加減速の時定数、バックラッシ補正、および送り軸のフィードバック制御におけるゲイン等の制御パラメータが含まれる。
【0016】
加工面データ生成部12は、加工後のワークの加工面の形状に関連したデータおよび加工面の性状に関連したデータを生成する。加工形状に関連したデータおよび加工面の性状に関連したデータは、CAMからの加工プログラムに基づいてシミュレータのような計算機にて算出することができる。或いは、加工プログラムに従って工作機械によってワークを実際に加工し、加工面を測定して得られたデータをおよび加工面の加工形状および性状に関連したデータとして用いてもよい。
【0017】
表面粗さパラメータ演算部14は、加工面データ生成部12からの加工面(物体表面)の性状に関連したデータに基づいて、加工面(物体表面)の性状パラメータ、特に加工面(物体表面)の表面粗さパラメータを演算する。表面粗さパラメータとしては、例えばJIS B0601に規定された二乗平均平方根傾斜R
dqを用いることができる。
【0018】
法線方向変化率演算部16は、加工面データ生成部12からの加工面(物体表面)データに基づいて加工面(物体表面)の法線方向変化率を演算する。
図2、3を参照して法線方向変化率を説明する。加工面データ生成部12からの加工面(物体表面)データには、2次元の座標値が含まれている。
図2に示す例では、X軸およびZ軸に平行な平面にて評価対象物たるワークWが切断されている。ワークWの表面において予め定められた間隔ごとに法線ベクトルを設定することができる。X軸およびZ軸に平行な平面にて、ワークWを所定の間隔にて切断する。それぞれの切断面において所定の間隔ごとに法線ベクトルを設定することにより、ワークWの表面全体の評価を行うことができる。
【0019】
ワークWの加工面(物体表面)には、予め定められた間隔ごとに設定点40を設定する。次いで、設定点40において、表面の傾きに垂直な法線ベクトルn
iを設定する。法線ベクトルn
iはi番目の設定点40の法線ベクトルである。法線ベクトルn
iについて法線方向の角度θ
iを設定することができる。ここでは、Z軸に対する角度を法線方向の角度θ
iに設定している。
【0020】
図3において、i番目の設定点42と、(i+1)番目の設定点44との座標値は既知である。これらの2つの設定点42、44の座標値に基づいて、ベクトルa
iを設定することができる。ベクトルa
iは、設定点42から設定点44に向かうベクトルである。そして、ベクトルa
iに垂直なベクトルを法線ベクトルn
iに設定することができる。この時の法線方向の角度θ
iは、次の式(1)にて算出することができる。こうして、加工面(物体表面)のi番目の設定点について、法線方向の角度θ
iを算出することができる。
【数1】
【0021】
法線方向変化率演算部16は、設定点40における法線方向変化率を算出する。法線方向変化率は、互いに隣り合う設定点の法線方向の角度の変化率である。例えば、法線方向の角度θ
iと法線方向の角度θ
i+1における変化率である。法線方向変化率は、次の式(2)にて算出することができる。次の式(2)は、設計形状のi番目の設定点40における法線方向変化率を示している。評価対象形状の法線方向変化率も同様の方法により算出することができる。なお、法線方向の変化率は加工面の接線方向の変化率として求めても同じ結果になることは幾何学的に明らかである。
【数2】
【0022】
視認可能領域マップ格納部18は、表面粗さパラメータとの関係において、加工面(物体表面)の形状変化が視覚的に認識可能な法線方向変化率の範囲を二次元マップ(視認可能領域マップ)の形態で格納している。視認可能領域マップについて説明する。
【0023】
人は物体表面から反射された光の強弱(輝度)を感じることで物体の形状や質感として認識している。物体表面に光が当たった場合の状態を
図4に模式的に示す。物体に当たった光は、物体を構成する材料分子の特性に起因してその一部は吸収される。更に、光の波長よりも短い物体表面の微細な形状変化および材料分子の特性により、反射散乱光が生じ、これは物体表面のマクロな方向に依らず全方向に均等に伝わる。光の波長よりも長い物体表面の形状変化による正反射光は、入射光と物体表面の向きとの関係でその方向が決定される。
【0024】
散乱光、正反射光および吸収された光の総和は、入射光の総量よりも大きくなることはない。すなわち、全ての光が散乱光として反射された場合、その反射光は物体表面の向きや形状によらず全方向に伝わるので、物体表面の向きや形状を視覚的に認識することはできなくなる。逆に、散乱光として反射される成分が小さく、正反射光成分が大きくなれば、物体表面の向きや形状を視覚的に認識し易くなる。
【0025】
例えば、切削加工など機械的に仕上げられた表面では、多くの場合、その表面粗さ曲線の振幅および/または波長が光の波長よりも大きくなる。そのような場合、物体表面に照射された光は表面の凹凸により乱反射する。その状態を
図5に模式的に示す。一定の方向から光が入射した場合でも、物体表面の方向が変化すると反射光の方向は様々に変化し、完全な平面光が入射した場合の反射光の方向に対して角度分布をもって反射することになる。このような場合にも、散乱光の割合が大きい場合と同様に物体表面の形状変化はぼやけてみえることになる。
【0026】
反射光の角度分布は、物体表面の粗さ曲線から幾何学的に計算できる。切削加工により仕上げられた金属表面の粗さ曲線を測定し、そこから反射光の角度分布を計算した例を
図6に示す。表面粗さが大きい場合には、反射光の角度分布が広がり、加工面(物体表面)の形状変化は視認しにくくなる。表面粗さが小さい場合には、反射光の角度分布は狭まり、加工面(物体表面)の形状変化が視認しやすくなる。
【0027】
人の裸眼による観察を前提とした場合、形状変化の波長のオーダとその視覚的な認識との関係はおおよそ以下のように分類できる。
波長数百nm以下 → 散乱光
波長数百nmから数百μm → 乱反射光
波長数百μm以上 → 形状変化
【0028】
本発明においては、形状変化とは意図的に設けたものまたは局所的に発生した段差や形状誤差をさし、表面粗さとは物体表面上の全体またはある一定の範囲に広がる波長数百μm以下の周期的な凹凸を意味するものとする。
【0029】
本発明による物体表面の状態を表す視認可能領域マップを
図7に模式的に示す。
本発明による視認可能領域マップは、第1の軸または横軸が表面粗さを表すパラメータ、第2の軸または縦軸を形状の法線方向変化率としている。第1と第2の軸は入れ換えてもよく、表面粗さを表すパラメータを縦軸に、そして法線方向変化率を横軸としてもよい。特許文献2にあるように、人は形状の法線方向の変化を輝度の変化として視覚的に認識している。表面粗さが大きいと、
図8に示すように、反射光の乱反射成分が大きくなり、同じ法線方向変化があった場合でも輝度の変化が小さくなり、形状を認識しにくくなる。すなわち、同じ形状変化があった場合でも、表面性状のちがいによって形状変化を視覚的に認識できる場合とできない場合とがある。
【0030】
図7において、条件Iは、形状の法線方向変化率が大きく、表面粗さが小さい場合を表しており、この場合にはその形状変化を視覚的に認識できる。条件IIは、条件Iの場合と同じ表面粗さで法線方向変化率は小さい場合を表しており、この場合には、その形状変化を視覚的に認識することはできない。条件IIIは、条件Iの場合と同じ法線方向変化率で表面粗さが大きい場合を表しており、この場合にも、その形状変化を視覚的に認識することはできない。視覚的に形状変化を認識できか否かは個人差もあるが、概ね認識できる領域と、認識できない領域はとの間には、境界線BL
cvを設定することができる。
【0031】
以下に境界線BL
cvの決定方法の一例を説明する。
加工面(物体表面)の表面粗さと反射光の反射角度分布との関係は、例えば、非特許文献1にも記載されているように、「ベックマン分布(式(3))」により表すことができる。
【数3】
【0032】
ここで、Dは角度ごとの反射光強度、αは加工面(物体表面)の向きを表し、mは加工面(物体表面)の表面粗さを表すパラメータであり、例えば、JIS B0601に規定された二乗平均平方根傾斜R
dqを用いることができる。
【0033】
式(3)に基づいて、光が加工面(物体表面)の向きαに対して直角に入射する場合、反射角度ごとの反射光の強度を計算した例を
図8に示す。
図8に示すように、表面粗さを表すパラメータである二乗平均平方根傾斜R
dqが大きくなると、反射光の角度分布の幅が広がり、加工面(物体表面)の形状変化を視覚的に認識しにくくなる。
【0034】
式(3)における加工面(物体表面)の向きαの位置による変化率は、加工面(物体表面)の法線方向変化率と同義であり、それによる反射強度Dの変化率は、人が認識する加工面(物体表面)の輝度の変化率と同義である。式(3)から、形状の法線方向変化率と反射光の輝度Lの変化率との関係を導くと以下のようになる。
【数4】
【0035】
この式(4)を、反射光の輝度の変化率を一定とし、表面粗さを表すパラメータmと加工面(物体表面)の形状の法線方向変化率との関係として整理すると、式(5)のようになる。横軸を表面粗さを表すパラメータmとした場合に、式(5)は一定の輝度変化率を生じさせるために必要な法線方向の変化率を表す。
【数5】
【0036】
式(5)において、AとBは評価対象たる物体(ワーク)の材質や入射光の状態によってきまる定数であり、例えば、特許文献2や非特許文献2に示されている評価用ワークを作成し、その撮影結果から法線方向変化率と輝度変化率との関係を求めることで決定できる。そのときの法線方向変化率と輝度変化率とを人が視認可能な法線方向変化率および輝度変化率として式(5)の定数AおよびBを決定した場合、式(5)が表す曲線は、人が視認可能な最小の法線方向変化率であり、人が形状変化を視認できるか否かの境界を表すことになる。ここでの法線方向変化率は、式(2)により規定される加工面(物体表面)の形状の幾何学的な法線方向変化率から、人が視覚的に認識可能な空間周波数成分のみを抽出したものとしている。なお、ヒトが視覚的に認識可能な空間周波数成分の範囲は、眼科診療におけるコントラスト感度曲線に基づいて決定してもよいし、別途用意された評価用形状を用いて決定してもよい。
【0037】
上記の方法により作成した、加工面(物体表面)を評価するための視認可能領域マップの例を
図9に示す。
図9では、境界線BL
cvは式(5)による曲線であり、この境界線BL
cvよりも上側が形状変化を視認可能な領域となる。
図9に示すように、表面粗さを表すパラメータとしての加工面(物体表面)の二乗平均平方根傾斜R
dqが大きくなると、形状変化を視認可能な領域が指数関数的に狭くなっていく。
【0038】
このように、視認可能領域マップは、
図9に示したように、解析的に求めることができるが、特許文献2および非特許文献2に示されているような評価用ワークを用いて実験的に作成してもよい。視認可能領域マップ格納部18は、
図7や
図9に示したような視認可能領域マップを表示部22に表示可能とするデータを格納している。
【0039】
プロット部20は、表面粗さパラメータ演算部14および法線方向変化率演算部16における演算結果および視認可能領域マップ格納部18から受け取った視認可能領域マップに関するデータに基づいて、法線方向変化率の最大値と、該最大値を与えるワークの加工面(物体表面)の部位の表面粗さを表すパラメータとを、視認可能領域マップ上にプロットし表示部22に表示する。これにより、その形状変化が視覚的に認識可能かを明示的に示すことができる。
【0040】
CAMのオペレーターや、CAMで作成された加工プログラムを用いてワークを加工する工作機械のオペレーターは、表示部22に表示された視認可能領域マップを参照することによって、ワークの加工面(物体表面)に形状変化が視覚的に認識されるか否かを判定することができる。例えば、加工面(物体表面)の形状変化を視覚的に認識させたくない場合、或いは、その反対に認識させたい場合には、入力装置26およびパラメータ変更部24を通じて、工具条件、加工条件または制御パラメータを変更して、加工面(物体表面)の表面粗さを表すパラメータと法線方向変化率との関係を、本発明による
図7、9の視認可能領域マップ上において、形状変化を視認できない領域、または視認できる領域にシフトするようにできる。
【0041】
形状変化を視覚的に認識させたくない場合に、プロット部20によって視認可能領域マップ上にプロットされた点が視認可能領域中にあった場合、つまり境界線BL
cvよりも上側にあった場合には、
図10に示すように、法線方向変化率と表面粗さを表すパラメータの一方または双方を変更し、加工面(物体表面)の状態を表す点を視認可能領域の外にシフトすることで、形状変化を視覚的に認識できないようにすることができる。
【0042】
反対に、形状変化を視覚的に認識させたい場合にプロットした点が視認可能領域外にあった場合には、
図11に示すように、法線方向変化率と表面粗さを表すパラメータの一方または双方を変更し、加工面(物体表面)の状態を表す点を視認可能領域の外にシフトすることで、形状変化を視覚的に認識でるようにすることができる。法線方向変化率と表面粗さを表すパラメータの一方または双方の何れを変更するかは、その加工面(物体表面)に要求されている形状精度や表面粗さに応じて選択することができる。
【0043】
次に、
図12を参照して、本発明の加工面(物体表面)評価装置10の応用例を説明する。
図12に示す例では、加工面データ生成部12がシミュレータ70によって形成されている。
図12の工作機械50において、加工面(物体表面)評価装置10は加工機60と組み合わされている。加工機60は、工場の床面上に固定される基台としてのベッド62、該ベッド62の上面に取り付けられ上面にワークWが固定されるテーブル64、ベッド62に固定されたワークWに対面させた工具Tを先端部に装着する主軸66を鉛直な回転軸線Oを中心として回転可能に支持する主軸頭68、主軸頭68を、ベッド62に対してX軸、Y軸、Z軸の直交三軸方向に往復駆動する駆動機構52、駆動機構52のサーボモーターを制御するNC装置54を主要な構成要素として具備している。
【0044】
駆動機構52は、一例として、X軸、Y軸、Z軸ボールねじ(図示せず)、該ボールねじに係合するナット(図示せず)およびX軸、Y軸、Z軸ボールねじの各々の一端部に連結されX軸、Y軸、Z軸ボールねじを回転駆動するサーボモーターより成るX軸、Y軸、Z軸駆動モーターMx、My、Mzを具備している。また、工作機械50は、X軸、Y軸、Z軸の直交三軸の直線送り軸に加えて、水平方向のX軸を中心とした回転送り軸であるA軸や、鉛直方向のZ軸を中心とした回転送り軸であるC軸のような1または複数の回転送り軸を含んでいてもよい。その場合は、駆動機構52は、X軸、Y軸、Z軸駆動モーターMx、My、Mzに加えて、A軸、C軸のような回転送り軸用のサーボモーターを含んでいる。
【0045】
シミュレータ70へは、例えば、LANのようなコンピュータネットワークを介してCAD装置58に接続されたCAM装置56によって生成された加工プログラムが供給される。加工プログラムには、CAD装置58が生成したワークWの形状データに基づいて演算された工具経路や、工具の種類、工具径、および最適の切削速度等の工具条件、ピックフィード量、送り速度、および主軸の回転速度等の加工条件が含まれる。
【0046】
次に、
図13を参照して、本発明の加工面(物体表面)評価装置10の他の応用例を説明する。
図13に示す例では、加工面データ生成部12が測定装置80によって形成されている。
図13の例でも、加工面(物体表面)評価装置10は加工機60と組み合わされている。測定装置80は、例えば主軸66の先端に装着した測定プローブとすることができる。この場合、測定プローブがワークWの加工面に接触したときに測定プローブからNC装置54に送出されるスッキプ信号に基づいて、そのときの各送り軸の座標値から加工面の形状や表面粗さを測定することができる。
【0047】
図12、13の構成では、加工面評価装置10は、加工機60の機械制御装置(図示せず)またはNC装置54内の制御プログラムの一部として組み込むことができる。この場合、表示部22および入力装置26は、加工機60の制御盤(図示せず)に設けられているタッチパネル(図示せず)により形成することができる。或いは、加工面評価装置10は、CAM装置56の一部として組み込んでもよい。この場合は、表示部22はCAM装置56のモニター(図示せず)によって、そして入力装置26はCAM装置56のキーボード(図示せず)およびマウス(図示せず)によって形成することができる。
【0048】
次に、実際に工作機械50のような数値制御工作機械によって切削加工を行うことで創成されたワークの加工面について、本発明による方法を適用した事例を
図14に示す。
図14では、一定条件化で加工面を撮影した結果も併せて示されている。
【0049】
法線方向変化率の最大値が0.08の場合、本発明による評価方法によればその状態は形状変化を視認可能な状態であり、実際にワークの加工面には形状変化による筋状の模様が観察された。本発明によれば、法線方向変化率が0.02以下になればその形状変化は視認できなくなることになり、数値制御工作機械の制御パラメータを調整して実際に法線方向変化率を0.02にしたところ、加工面の筋は視覚的に認識できなくなった。
【0050】
実際に数値制御工作機械によって切削加工を行うことで創成されたワークの加工面について、本発明による方法を適用した他の事例を
図15に示す。
図15では、一定条件化で加工面を撮影した結果も併せて示されている。
【0051】
加工面の二乗平均平方根傾斜が0.019の場合、本発明による評価方法によればその状態は形状変化を視認可能な状態であり、実際に加工面には形状変化による筋状の模様が観察された。本発明によれば、加工面の二乗平均平方根傾斜が約0.05以上になればその形状変化は視認できなくなることになり、加工に用いた工具径を変えて実際に二乗平均平方根傾斜が約0.05以上にしたところ、加工面の筋はわずかに認識できる程度になった。
【0052】
また、実施形態では、物体表面の形状の法線方向変化率を用いて説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば、物体表面の接線方向の変化率や物体表面形状の微分値など、法線方向変化率と等価のものを含んでいる。