【解決手段】一次側電圧算出装置2は、二次側線間電圧を測定する線間電圧測定部21、二次側線間電圧から二次側相電圧を算出する相電圧算出部22、一次側と二次側の相電圧の差電圧を測定する差電圧測定部23、二次側相電圧と差電圧の位相差を測定する位相差測定部24、差電圧と位相差を正規化する正規化部25、正規化後の差電圧を用い、通電タップに応じた一次側ターン数と二次側ターン数の差に関する比であるターン数差比を特定する特定部26、二次側線間電圧とターン数差比と正規化後の位相差を用いて一次側線間電圧を算出する一次側電圧算出部27を備える。このようにして、一次側線間電圧の算出において、演算負荷の低減と精度向上を両立させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明による一次側電圧算出装置、及びその一次側電圧算出装置を備えた自動電圧調整器について、実施の形態を用いて説明する。なお、以下の実施の形態において、同じ符号を付した構成要素及びステップは同一または相当するものであり、再度の説明を省略することがある。本実施の形態による自動電圧調整器は、調整変圧器の一次側線間電圧を、二次側線間電圧、及び一次側相電圧と二次側相電圧との差を用いて算出する際に正規化を行う一次側電圧算出装置を備えたものである。
【0014】
図1Aは、本実施の形態による自動電圧調整器1の構成を示すブロック図である。本実施の形態による自動電圧調整器1は、調整変圧器11と、タップ切替器12と、タップ切替制御器13と、判定部14と、一次側電圧算出装置2とを備える。一次側電圧算出装置2は、調整変圧器11の一次側線間電圧を算出するものであり、線間電圧測定部21と、相電圧算出部22と、差電圧測定部23と、位相差測定部24と、正規化部25と、特定部26と、一次側電圧算出部27とを備える。なお、自動電圧調整器1は、順送時には二次側電圧を調整し、逆送時には一次側電圧を調整する完全逆送型SVRであってもよい。そして、自動電圧調整器1は、一次側の電圧調整時、すなわち逆送時に、一次側電圧算出装置2によって算出された一次側線間電圧を用いて、その自動電圧調整を行ってもよい。
【0015】
調整変圧器11は、複数のタップを有しており、一次側は一次側配電線4に接続され、二次側は二次側配電線5に接続されている。なお、各配電線4,5は、U,V,W三相の配電線である。また、調整変圧器11は、通常、一次側に複数のタップを有している。その複数のタップのうち、通電に使用されるタップを通電タップと呼ぶことにする。調整変圧器11は、
図3で示されるように、各相の変圧器がスター結線されたものであってもよい。本実施の形態では、その場合について主に説明する。各相の変圧器は、例えば、単巻変圧器であってもよい。
【0016】
タップ切替器12は、タップ切替制御器13から出力されるタップ切替指令に応じて、調整変圧器11の通電タップを切り替える。
図4は、ある相における単巻変圧器11aと、その単巻変圧器11aの通電タップを切り替えるタップ切替器12aとの構成の一例を示す図である。他の相についても、それぞれ同様の構成となっている。単巻変圧器11aの二次側は、タップtp5に接続され、一次側は、タップ切替器12aによって、タップtp1〜tp9のいずれかに接続される。タップ切替器12aによって接続されたタップが通電タップとなる。単巻変圧器11aは、一次側電圧V1を二次側電圧V2に変圧する。なお、
図4では、タップ切替器12aによってタップtp2のスイッチが投入されているため、タップtp9からタップtp5までが分路巻線となり、タップtp5からタップtp2までが直列巻線となって、一次側に対して二次側が降圧されることになる。タップ切替器12aは、スイッチを投入するタップの位置、すなわち通電タップを切り替えることにより、出力側の電圧を調整することができる。なお、タップtp2の下方に存在する抵抗は、タップの切り替え時に用いられる限流抵抗である。タップ切替器12は、相ごとに通電タップの切り替えを行い、その通電タップの切り替えを三相が連動するように行う。
【0017】
タップ切替制御器13は、調整変圧器11の電圧の計測結果に応じてタップ切替器12を制御する。タップ切替制御器13は、順送時には、調整変圧器11の二次側線間電圧を目標電圧に保つようにタップ切替器12を制御する。そのため、タップ切替制御器13は、調整変圧器11の二次側線間電圧を用いて、タップ切替指令をタップ切替器12に出力してもよい。その二次側線間電圧として、タップ切替制御器13は、線間電圧測定部21が有する計器用変圧器の出力電圧を用いてもよい。また、タップ切替制御器13は、例えば、二次側線間電圧を測定する計器用変圧器の出力端子間に直列接続されている電圧調整継電器(90リレー)と、二次側配電線5を流れる負荷電流を検出する変流器の出力が入力される線路電圧降下補償器(LDC)とを備えていてもよい。タップ切替制御器13は、逆送時には、調整変圧器11の一次側線間電圧を目標電圧に保つようにタップ切替器12を制御してもよい。そのため、タップ切替制御器13は、一次側電圧算出部27によって算出された一次側線間電圧を用いて、タップ切替指令をタップ切替器12に出力してもよい。その際にも、タップ切替制御器13は、一次側電流を用いて予測された、一次側配電線4における電圧降下を用いて補正した一次側線間電圧が目標電圧となるように制御してもよい。一次側の電圧降下の予測に用いられる一次側電流は、測定されたものであってもよく、後述する変形例2のように算出されたものであってもよい。なお、タップ切替制御器13は、送電方向が順送であるのか、逆送であるのかを、判定部14の判定結果を用いて判断してもよい。また、タップ切替制御器13は、1つの線間電圧を用いて通電タップの切り替え制御を行ってもよく、複数の線間電圧を用いて通電タップの切り替え制御を行ってもよい。後者の場合には、タップ切替制御器13は、例えば、複数の線間電圧の代表値が目標電圧に保たれるように制御を行ってもよい。代表値は、例えば、平均値や中央値等であってもよい。また、複数の線間電圧は、2つの線間電圧であってもよく、3つの線間電圧であってもよい。
【0018】
判定部14は、送電方向(変電所方向)に関する判定を行う。すなわち、判定部14は、変電所が一次側にあるのか、または二次側にあるのかを判定する。変電所が一次側にあると判定された場合には送電方向が順送電となり、変電所が二次側にあると判定された場合には送電方向が逆送電となる。判定部14は、例えば、タップ切替時の一次側電圧と二次側電圧との変化量の大小を用いて、変電所の方向を判定してもよい。通常、タップ切替に応じた電圧変動は、変電所の存在する側では小さくなり、変電所の存在しない側で大きくなるからである。なお、その判定方法を改良した方法が、例えば、特開2000−295774号公報等に記載されている。タップ切替時の一次側電圧の変化量と二次側電圧の変化量との大小を用いて送電方向を判定する方法はすでに公知であり、その詳細な説明を省略する。
【0019】
線間電圧測定部21は、調整変圧器11の複数の二次側線間電圧を測定する。複数の二次側線間電圧を測定するとは、線間電圧測定部21が、3つの相の複数の異なる対に対応する二次側線間電圧をそれぞれ測定することである。線間電圧測定部21は、2つの二次側線間電圧を測定してもよく、3つの二次側線間電圧を測定してもよい。本実施の形態では、前者の場合について主に説明する。特に、
図5で示されるように、線間電圧測定部21が、二次側のV相とW相との間の線間電圧と、二次側のW相とU相との間の線間電圧とをそれぞれ計器用変圧器を用いて測定する場合について主に説明する。線間電圧測定部21によって測定される線間電圧は、時間変動する値である。線間電圧測定部21によって測定された二次側線間電圧は、タップ切替制御器13において、二次側の電圧調整のために用いられてもよい。その場合には、瞬時値である二次側線間電圧を用いて算出された実効値が電圧調整に用いられてもよい。
【0020】
相電圧算出部22は、線間電圧測定部21によって測定された複数の二次側線間電圧を用いて、二次側相電圧を算出する。相電圧算出部22は、1つの相の二次側相電圧を算出してもよく、または、複数の相の二次側相電圧を算出してもよい。ここでは、1つの相の二次側相電圧が算出される場合について主に説明し、複数の相の二次側相電圧が算出される場合については後述する。その二次側相電圧の相は、差電圧測定部23が測定する差電圧の相と同じであることが好適である。二次側線間電圧から二次側相電圧を算出する方法について、
図6のベクトル図を用いて説明する。
図6のベクトル図において、一次側の三相を1U,1V,1Wとし、二次側の三相を2U,2V,2Wとしている。また、
図6では、測定される電圧を実線で示しており、算出される電圧を破線で示している。配電系統の三相交流の線間電圧ベクトルが、仮想中性点(図中のN)を重心とした閉じた三角形であると仮定すると、2V相の相電圧に対応するベクトルV
2Vは、次式のようになる。なお、ベクトルV
2VWは、2V相と2W相との間の二次側線間電圧に対応しており、ベクトルV
2WUは、2W相と2U相との間の二次側線間電圧に対応している。
【数1】
【0021】
また、電圧の瞬時値は、フェーザの実数軸に対応するため、線間電圧の瞬時値の加算、減算のみで相電圧を求めることができ、ベクトル演算は不要であることから、時間変動する2V相の相電圧は、次式のように算出することができる。
V
2V=2/3×(V
2VW+1/2×V
2WU)
【0022】
二次側線間電圧V
2VW,V
2WUが線間電圧測定部21によって測定される場合には、相電圧算出部22は、それらの線間電圧を用いることによって、二次側相電圧V
2Vを算出することができる。なお、線間電圧測定部21によって測定された二次側線間電圧V
2VW,V
2WUは時間変動する値であるため、二次側相電圧V
2Vも時間変動する値となる。また、上式の右辺に含まれる二次側線間電圧は、線間電圧測定部21によって測定されたものであってもよく、または、その測定された線間電圧から算出されたものであってもよい。
【0023】
差電圧測定部23は、調整変圧器11の一次側相電圧と二次側相電圧との差である差電圧を測定する。その一次側相電圧と二次側相電圧とは、同じ相の相電圧である。本実施の形態では、差電圧測定部23が、
図5で示されるように、一次側の1V相の相電圧と、二次側の2V相の相電圧との差電圧を計器用変圧器を用いて測定する場合について主に説明する。差電圧測定部23によって、例えば、
図6で示されるベクトルV
1V2Vに相当する電圧が算出されることになる。この差電圧も、時間変動する値である。
【0024】
位相差測定部24は、相電圧算出部22によって算出された二次側相電圧と、差電圧測定部23によって測定された差電圧との位相差を測定する。この位相差測定部24によって、例えば、
図6で示されるベクトルV
2Vと、ベクトルV
1V2Vとのなす角度に応じた位相差が取得されることになる。理論上は、両ベクトルの角度は0°か180°であるため、位相差も0°か180°になるはずであるが、現実には不平衡負荷などのため、測定される位相差も0°や180°からずれることがある。なお、位相差が0°の場合には調整変圧器11によって降圧されており、位相差が180°の場合には調整変圧器11によって昇圧されていることになる。その位相差の測定は、例えば、各電圧のゼロクロスの間隔をタイマでカウントすることによって行われてもよく、各電圧のピークの間隔をタイマでカウントすることによって行われてもよい。例えば、ゼロクロスの時間間隔やピークの時間間隔を三相交流の1周期で除算し、360°を乗算した結果が位相差(deg)となる。電圧のゼロクロスの検知は、例えば、対象となる電圧を、コンパレータによって0(V)と比較することによって行われてもよく、対象となる電圧の符号の変化タイミングを検知することによって行われてもよい。なお、位相差を測定するとは、位相差の大きさを測定することであってもよい。位相差測定部24は、二次側相電圧と差電圧との位相差の平均を、位相差として測定してもよい。その平均は、例えば、1秒平均であってもよい。すなわち、位相差測定部24は、次式のように、位相差εを、1サイクルごとの位相差ε(m)を一秒分用いて算出してもよい。なお、西日本の場合には、1秒平均は60サイクル平均となるため、mは、1から60までの整数である。
【数2】
なお、平均は、1秒以外の時間間隔における平均であってもよい。また、平均を算出しないで、1サイクルの値をそのまま用いてもよい。それらのことは、以下の説明において他の値の平均が算出される場合にも同様であるとする。
【0025】
正規化部25は、差電圧測定部23によって測定された差電圧の大きさを線間電圧に変換した結果が、調整変圧器11のタップ間電圧となるように差電圧に関する正規化を行う。なお、前述のように、差電圧測定部23によって測定された差電圧は、時間変動する値である。したがって、正規化部25は、差電圧の実効値の平均を算出し、その差電圧の実効値の平均を線間電圧に変換した結果が、タップ間電圧となるように正規化を行ってもよい。すなわち、差電圧の大きさとは、差電圧の実効値の平均値であってもよい。差電圧V
1V2Vの実効値V
1V2Vrmsの算出は、例えば、次のように行われてもよい。なお、V
1V2V(t)は、サンプリング時点tにおける差電圧の瞬時値であり、差電圧測定部23によって測定される値である。1サイクルにおいて、t=1からhまでの差電圧のサンプリングが行われるものとする。ここで、サンプリングの時間間隔をΔtとすると、Δt×hは、1サイクルの周期となる。
【数3】
【0026】
また、その実効値を用いた平均値V
1V2Vaveの算出は、例えば、次のように行われてもよい。次式では、差電圧の実効値V
1V2Vrmsの1秒平均、すなわち60サイクル平均が算出されている。
【数4】
【0027】
差電圧の大きさV
1V2Vaveの線間電圧への変換は、V
1V2Vaveに√3を乗算することによって行われてもよい。なお、√3は、3
1/2を意味している。三相が平衡である場合には、そのようにして差電圧の大きさV
1V2Vaveを線間電圧に変換できる。一方、三相が平衡でない場合には、相電圧に√3を乗算することによって線間電圧への変換が行われると、その変換結果は誤差を含むことになるが、その変換結果に正規化が行われることによって、その誤差の影響がなくなることになる。調整変圧器11のタップ間電圧とは、調整変圧器11の通電タップを変更した場合に変化する電圧の大きさである。例えば、調整変圧器11の一次側電圧が一定であるとすると、通電タップを切り替えるごとに変化する二次側電圧の大きさが、タップ間電圧となる。タップ間電圧は、0以上の実数である。タップ間電圧は、1タップ間電圧(タップ幅)の整数倍となることが好適である。例えば、1タップ間電圧をV
TPrmsとすると、タップ間電圧は、n×V
TPrms(nは0以上の整数である)となることが好適である。そのタップ間電圧も線間電圧である。以下、nの値をタップ間隔と呼ぶこともある。
【0028】
また、正規化とは、正規化の対象である値を、あらかじめ決められた複数の値のうち、その正規化の対象である値に最も近い値に変更することであってもよい。あらかじめ決められた複数の値に、正規化の対象である値と最も近い2個の値が存在する場合、すなわち、その正規化の対象である値が、あらかじめ決められた複数の値に含まれる2個の値のちょうど真ん中である場合には、その正規化の対象となる値に関しては、どちら側に正規化されてもよい。なお、どちら側に正規化するのかは、あらかじめ決まっていてもよい。
【0029】
差電圧の大きさを線間電圧に変換した結果が調整変圧器11のタップ間電圧となるように正規化する処理は、差電圧の大きさV
1V2Vaveを線間電圧に変換した結果である√3×V
1V2Vaveが、結果として、その√3×V
1V2Vaveに最も近いタップ間電圧となるのであれば、どのような処理であってもよい。その正規化は、例えば、差電圧の大きさを線間電圧に変換した結果に対して行われてもよく、差電圧の大きさに対して行われてもよい。前者の場合には、√3×V
1V2Vaveを正規化することになり、正規化の結果はいずれかのタップ間電圧となる。後者の場合には、V
1V2Vaveを正規化することになり、正規化の結果は、いずれかのタップ間電圧を√3で割ったものになる。具体的には、タップ間電圧が1タップ間電圧の整数倍であり、1タップ間電圧が75(V
rms)であり、差電圧の大きさを線間電圧に変換した結果である√3×V
1V2Vaveが正規化の対象である場合には、正規化の対象となる線間電圧170(V
rms)は、150(V
rms)に正規化されることになる。その場合には、あらかじめ決められた複数の値は、0,75,150,225,…(V
rms)となり、正規化の対象である線間電圧170(V
rms)に最も近いのは150(V
rms)であるからである。その正規化後の値を用いることによって、調整変圧器11の通電タップに関する一次側と二次側とのタップの間隔(n)を知ることができる。したがって、正規化後の値と、通電タップに関する一次側と二次側とのタップ間隔またはタップ間電圧とは、一対一に対応していることになる。
【0030】
また、正規化部25は、位相差測定部24によって測定された位相差εが0°または180°となるように位相差の正規化を行う。その正規化後の位相差を、ε
(n)とする。なお、差電圧の大きさに関する正規化後の値からは、一次側と二次側との差電圧の大きさ(≧0)しか知ることができないため、調整変圧器11において昇圧が行われているのか、降圧が行われているのかは分からないことになる。一方、その昇圧と降圧とは、正規化後の位相差から知ることができる。すなわち、正規化後の位相差が0°であれば、降圧が行われており、正規化後の位相差が180°であれば、昇圧が行われていることになる。なお、位相差は、度(deg)で示されてもよく、ラジアン(rad)で示されてもよいことは言うまでもない。したがって、位相差εが0°または180°(deg)に正規化されることは、位相差εが0またはπ(rad)に正規化されることと同じである。
【0031】
特定部26は、差電圧に関する正規化後の値を用いて、調整変圧器11の通電タップに応じたターン数差比を特定する。ここで、通電タップに応じたターン数差比は、通電タップに応じた一次側ターン数と二次側ターン数との差の絶対値の二次側ターン数に対する比である。
図4の調整変圧器11において、タップtpk(ただし、kは1〜9の整数である)が通電タップとなっている場合に、一次側ターン数がn1
kであり、二次側ターン数がn2
kであるとすると、ターン数差比Δnは、
Δn=|n1
k−n2
k|/n2
k
であってもよい。ターン数差比は、通電タップごとに異なることになる。ターン数差比と、調整変圧器11の通電タップに関する一次側と二次側とのタップ間隔またはタップ間電圧とは、一対一に対応している。したがって、結果として、差電圧に関する正規化後の値と、ターン数差比とは一対一に対応することになる。そのため、特定部26は、差電圧に関する正規化後の値を用いて、ターン数差比を特定することができる。特定部26は、例えば、差電圧に関する正規化後の値とターン数差比とを一対一に対応付ける情報(例えば、両者を対応付けるテーブル等)を用いて、差電圧に関する正規化後の値に対応するターン数差比を特定してもよい。そのターン数差比の特定は、例えば、特定対象のターン数差比を記録媒体に蓄積することによって行われてもよく、特定対象のターン数差比に対応付けてフラグ等の情報を設定することによって行われてもよい。
【0032】
なお、差電圧に関する正規化と、その正規化の結果を用いたターン数差比の特定とは、一連の処理として一括して行われてもよい。差電圧に関する正規化後の値と、ターン数差比とは、一対一に対応しているため、差電圧に関する正規化後の値を特定し、その特定した正規化後の値に対応するターン数差比を特定することに代えて、差電圧の大きさを用いて、差電圧に関する正規化後の値に対応するターン数差比を直接、特定することも可能である。また、後述するように、一次側線間電圧の算出で用いられるのは、正規化後の位相差ε
(n)そのものではなく、cos(ε
(n))である。したがって、位相差の正規化と、その正規化の結果ε
(n)を用いたcos(ε
(n))の算出とは、一連の処理として一括して行われてもよい。位相差の正規化の結果ε
(n)と、cos(ε
(n))とは、一対一に対応しているため、正規化後の位相差ε
(n)を特定し、その特定した正規化後の位相差に対応するcos(ε
(n))を算出することに代えて、位相差εを用いて、正規化後の位相差ε
(n)の余弦(cos)を直接、算出することも可能である。上記のように、差電圧の大きさから直接、ターン数差比が特定されたり、位相差から直接、正規化後の位相差の余弦が算出されたりする場合には、正規化は、間接的に行われることになる。したがって、正規化部25による上記の差電圧に関する正規化や位相差の正規化は、そのように間接的に行われるものを含むと考えてもよい。
【0033】
一次側電圧算出部27は、二次側線間電圧V
2VWと、特定部26によって特定されたターン数差比Δnと、正規化後の位相差ε
(n)とを用いて、次式のように、1V相と1W相との間の一次側線間電圧V
1VWを算出する。
V
1VW=V
2VW+cos(ε
(n))×Δn×V
2VW
【0034】
ここで、V
2VWは、線間電圧測定部21によって測定された二次側のV相とW相との間の線間電圧の実効値の平均であってもよい。その実効値の平均は、例えば、V
1V2Vaveと同様にして算出されてもよい。上式で用いられる二次側線間電圧が実効値である場合には、算出される一次側線間電圧も実効値となる。一次側電圧算出部27によって算出された一次側線間電圧は、上述のように、調整変圧器11の一次側電圧を調整する際に用いられてもよい。その場合には、算出された一次側線間電圧は、タップ切替制御器13に出力されてもよい。また、算出された一次側線間電圧は、その他の用途に用いられてもよい。また、一次側電圧算出部27が一次側線間電圧の算出に用いる二次側線間電圧は、線間電圧測定部21によって測定されたものであってもよく、または、算出されたものであってもよい。線間電圧測定部21によって、複数の線間電圧が測定されるため、ある相間の線間電圧が測定されていなくても、その測定されていない線間電圧を、他の2つの線間電圧の測定結果を用いて算出することができる。具体的には、二次側線間電圧V
2VW、V
2WUが測定されている場合には、二次側線間電圧V
2VW、V
2WUを用いて二次側線間電圧V
2UVを算出することができる。したがって、一次側電圧算出部27は、算出結果である二次側線間電圧を用いて、一次側線間電圧を算出してもよい。また、一次側電圧算出部27は、上記のように一次側線間電圧V
1VWを算出してもよく、1W相と1U相との間の一次側線間電圧V
1WUを算出してもよく、1U相と1V相との間の一次側線間電圧V
1UVを算出してもよく、または、それらの任意の2以上の組み合わせの一次側線間電圧を算出してもよい。例えば、一次側電圧算出部27は、3つの一次側線間電圧、すなわちすべての一次側線間電圧を算出してもよい。
【0035】
なお、一次側電圧算出装置2は、一次側の電圧調整を行う逆送時にのみ、一次側線間電圧の算出を行ってもよく、または、順送時、逆送時に関わらず、一次側線間電圧の算出を行ってもよい。
【0036】
次に、
図1Aで示される一次側電圧算出装置2の動作の一例について、
図2Aのフローチャートを用いて説明する。
(ステップS101)線間電圧測定部21は、複数の二次側線間電圧を測定する。なお、二次側線間電圧の測定は継続して行われるため、複数の二次側線間電圧を測定するとは、複数の二次側線間電圧の測定を開始することであると考えてもよい。
【0037】
(ステップS102)相電圧算出部22は、複数の二次側線間電圧を用いて、二次側相電圧を算出する。この二次側相電圧の算出も継続して行われるため、二次側相電圧を算出するとは、二次側相電圧の算出を開始することであると考えてもよい。
【0038】
(ステップS103)差電圧測定部23は、一次側相電圧と二次側相電圧との差電圧を測定する。その一次側相電圧と、二次側相電圧とは、同じ相の電圧である。また、その相と、ステップS102で算出される二次側相電圧の相とは一致していてもよい。この差電圧の測定も継続して行われるため、差電圧を測定するとは、差電圧の測定を開始することであると考えてもよい。
【0039】
(ステップS104)位相差測定部24は、算出された二次側相電圧と、測定された差電圧との位相差を測定する。その位相差の測定は、例えば、位相差の平均値の測定であってもよい。
【0040】
(ステップS105)正規化部25は、差電圧に関する正規化と、位相差の正規化とを行う。その差電圧は、例えば、実効値の平均値であってもよい。
【0041】
(ステップS106)特定部26は、差電圧に関する正規化の結果を用いて、ターン数差比を特定する。
【0042】
(ステップS107)一次側電圧算出部27は、二次側線間電圧と、ターン数差比と、正規化後の位相差とを用いて一次側線間電圧を算出する。なお、その一次側線間電圧は、その算出に用いられる二次側線間電圧と同じ線間の電圧である。その二次側線間電圧は、例えば、実効値の平均値であってもよい。算出された一次側線間電圧は、一次側の電圧調整に用いられてもよい。
【0043】
なお、
図2Aのフローチャートにおいて、例えば、ステップS104〜S107の処理は、逆送電の期間において繰り返して実行されてもよい。また、一次側線間電圧の算出を終了する場合、例えば、逆送電から順送電に切り替わった場合には、線間電圧測定部21による二次側線間電圧の測定や、相電圧算出部22による二次側相電圧の算出、差電圧測定部23による差電圧の測定は終了されてもよい。また、
図2Aのフローチャートにおける処理の順序は一例であり、同様の結果を得られるのであれば、各ステップの順序を変更してもよい。
【0044】
[変形例1]
上記実施の形態では、1つの相についてのみ正規化が行われる場合について説明したが、そうでなくてもよい。例えば、正規化部25は、複数の相について正規化を行ってもよい。
図1Bは、正規化部25が複数の相について正規化を行う一次側電圧算出装置2を有する自動電圧調整器1の構成を示すブロック図である。
図1Bにおいて、一次側電圧算出装置2は、線間電圧測定部21と、相電圧算出部22と、差電圧測定部23と、位相差測定部24と、正規化部25と、特定部26と、一次側電圧算出部27と、異常検知部31と、出力部32とを備える。なお、異常検知部31及び出力部32以外の構成及び動作は、線間電圧測定部21が3つの二次側線間電圧を測定し、相電圧算出部22が複数の相の二次側相電圧を算出し、差電圧測定部23が複数の相の差電圧を測定し、位相差測定部24が複数の相の位相差を測定し、正規化部25が複数の相について正規化を行う以外は、上記実施の形態と同様である。また、3つの二次側線間電圧は、二次側のすべての相間の線間電圧のことである。また、複数の相は、2つの相であってもよく、3つの相であってもよい。また、相電圧算出部22が二次側相電圧を算出する複数の相と、差電圧測定部23が差電圧を測定する複数の相と、正規化部25が正規化を行う複数の相とは同じであってもよい。また、3つの二次側線間電圧を用いて複数の二次側相電圧を算出する場合に、相電圧算出部22は、各二次側相電圧の算出に、それぞれ異なる二次側線間電圧の組み合わせを用いることが好適である。各線間に関する異常を検知できるようにするためである。例えば、二次側相電圧算出部22は、次式のようにして3つの相の二次側相電圧を算出してもよい。
V
2U=2/3×(V
2UV+1/2×V
2VW)
V
2V=2/3×(V
2VW+1/2×V
2WU)
V
2W=2/3×(V
2WU+1/2×V
2UV)
【0045】
異常検知部31は、正規化の結果が相間で異なる場合に、異常を検知する。すなわち、異常検知部31は、差電圧に関する正規化の結果が相間で異なる場合に異常を検知し、また、位相差に関する正規化の結果が相間で異なる場合に異常を検知することになる。差電圧に関する正規化の結果がすべての相で同じであり、かつ、位相差に関する正規化の結果がすべての相で同じである場合には、異常検知部31は、異常を検知しないことになる。なお、すべての相とは、正規化の行われた複数の相に関するすべての相の意味である。通常、自動電圧調整器1が正常に動作している場合には、差電圧に関する正規化の結果がすべての相で同じとなり、また、位相差に関する正規化の結果がすべての相で同じとなるはずであるが、例えば、いずれかの接点や計器用変圧器、調整変圧器11、その他の構成要素等に異常が発生している場合には、そのようにならないこともある。したがって、上記のようにして、自動電圧調整器1における異常を検知することができる。
【0046】
出力部32は、異常検知部31によって異常が検知された場合に、異常の検知に関する出力を行う。この出力は、例えば、表示デバイス(例えば、液晶ディスプレイなど)への表示でもよく、所定の機器への通信回線を介した送信でもよく、スピーカによる音声出力でもよく、記録媒体への蓄積でもよく、他の構成要素への引き渡しでもよい。なお、出力部32は、出力を行うデバイス(例えば、表示デバイスや通信デバイスなど)を含んでもよく、または含まなくてもよい。また、出力部32は、ハードウェアによって実現されてもよく、または、それらのデバイスを駆動するドライバ等のソフトウェアによって実現されてもよい。また、異常の検知に関する出力は、異常が検知された旨の出力であってもよく、異常の検知に応じたあらかじめ決められた処理や制御等のための出力であってもよい。異常が検知された旨の出力は、例えば、自動電圧調整器1の管理者や、自動電圧調整器1を管理しているシステム等に対して行われてもよい。また、異常が検知された旨の出力が行われる場合には、例えば、正規化の結果が、他の2つの相と一致しなかった相を特定できる情報(例えば、他の2つの相と一致しなかったのはV相である旨など)が出力内容に含まれていてもよい。また、異常の検知に応じたあらかじめ決められた処理や制御等のための出力が行われる場合には、出力部32は、例えば、調整変圧器11の通電タップを素通し固定にするための出力をタップ切替制御器13に行ってもよい。また、出力部32は、異常が検知されていない場合に、異常を検知していないことに関する出力を行ってもよく、または、そのような出力を行わなくてもよい。前者の場合には、例えば、異常が検知されていないときに、異常がない旨、すなわち正常である旨の出力が行われてもよく、正常である場合に行われる処理や制御等のための出力が行われてもよい。
【0047】
なお、異常が検知された場合には、所定の時間後に再度、異常の検知を行うようにしてもよい。そして、あらかじめ決められた回数だけ連続して異常が検知された場合に、異常の検知に関する出力を行うようにしてもよい。例えば、ある時点において負荷が不平衡になり異常が検知されたとしても、その後に平衡負荷となることによって異常が検知されなくなることもあり得るからである。
【0048】
図2Bは、
図1Bで示される一次側電圧算出装置2の動作の一例を示すフローチャートである。
図2Bのフローチャートにおいて、ステップS201,S202以外の処理は、線間電圧測定部21が3つの二次側線間電圧を測定し、相電圧算出部22が複数の相の二次側相電圧を算出し、差電圧測定部23が複数の相の差電圧を測定し、位相差測定部24が複数の相の位相差を測定し、正規化部25が複数の相について正規化を行う以外は、
図2Aのフローチャートと同様であり、それらの説明を省略する。
【0049】
(ステップS201)異常検知部31は、正規化の結果が相間で一致しているかどうか判断する。そして、正規化の結果が相間で一致している場合には、ステップS106に進み、相間で一致していない場合、すなわち差電圧と位相差との少なくとも一方について、相間での異なりがある場合には、ステップS202に進む。
【0050】
(ステップS202)出力部32は、異常検知に関する出力を行う。そして、一連の処理は終了となる。
なお、
図2Bのフローチャートでは、異常が検知された場合には、一次側線間電圧の算出を行わないとしたが、そうでなくてもよい。異常が検知されても、一次側線間電圧の算出を行ってもよい。その場合には、ステップS202からステップS106に進んでもよい。なお、異常が検知された場合には、正規化の結果が相間で異なっている。したがって、特定部26や一次側電圧算出部27は、あらかじめ決められた相の正規化の結果を用いて処理を行ってもよく、他の相の正規化の結果と共通している正規化の結果を用いて処理を行ってもよい。
【0051】
また、変形例1では、差電圧に関する正規化の結果と、位相に関する正規化の結果との両方を用いて異常の検知が行われる場合について説明したが、そうでなくてもよい。一方の正規化の結果のみを用いて異常の検知が行われてもよい。
【0052】
[変形例2]
一次側電圧算出装置2において、一次側電流の算出も行ってもよい。
図1Cは、一次側電流の算出も行う一次側電圧算出装置2の構成を示すブロック図である。
図1Cにおいて、一次側電圧算出装置2は、線間電圧測定部21と、相電圧算出部22と、差電圧測定部23と、位相差測定部24と、正規化部25と、特定部26と、一次側電圧算出部27と、電流測定部41と、一次側電流算出部42とを備える。なお、電流測定部41及び一次側電流算出部42以外の構成及び動作は、上記実施の形態と同様である。
【0053】
電流測定部41は、二次側電流を測定する。調整変圧器11がスター結線である場合には、相電流と線電流とは等しいため、測定対象の二次側電流は、二次側相電流であると考えてもよく、二次側線電流であると考えてもよい。電流測定部41は、1つ二次側電流を測定してもよく、2つの二次側電流を測定してもよく、3つの二次側電流を測定してもよい。なお、電流測定部41は、測定した二次側電流の実効値の平均を算出してもよい。その実効値の平均は、例えば、V
1V2Vaveと同様にして算出されてもよい。なお、タップ切替制御器13が二次側線間電圧を用いた制御を行う場合には、例えば、上述のように負荷電流を検出する変流器の出力がLDCに入力される。したがって、電流測定部41は、例えば、その変流器の出力を用いて二次側電流を測定してもよく、別の変流器の出力を用いて二次側電流を測定してもよい。
【0054】
一次側電流算出部42は、2V相の二次側電流I
2Vと、特定部26によって特定されたターン数差比Δnと、正規化後の位相差ε
(n)とを用いて、次式のように、1V相の一次側電流I
1Vを算出する。二次側電流I
2Vは、2V相の二次側電流の実効値の平均であってもよい。
I
1V=I
2V/{1+cos(ε
(n))×Δn}
【0055】
上式で用いられる二次側電流が実効値である場合には、算出される一次側電流も実効値となる。一次側電流算出部42によって算出された一次側電流は、例えば、調整変圧器11の一次側の電圧調整を行う際の電圧降下の予測に用いられてもよく、送電方向の判定(変電所方向の判定)に用いられてもよく、相ごとの負荷分散に用いられてもよく、自動電圧調整器1の一次側電圧のモニタのために用いられてもよい。また、一次側電流算出部42が一次側電流の算出に用いる二次側電流は、電流測定部41によって測定されたものであってもよく、または、測定結果を用いて算出されたものであってもよい。また、一次側電流算出部42は、上記のように一次側電流I
1Vを算出してもよく、1U相の一次側電流I
1Uを算出してもよく、1W相の一次側電流I
1Wを算出してもよく、それらの任意の2以上の組み合わせの一次側電流を算出してもよい。なお、一次側電流算出部42は、一次側の電圧調整を行う逆送時にのみ、一次側電流の算出を行ってもよく、または、順送時、逆送時に関わらず、一次側電流の算出を行ってもよい。
【0056】
図2Cは、
図1Cで示される一次側電圧算出装置2の動作の一例を示すフローチャートである。
図2Cのフローチャートにおいて、ステップS301,S302以外の処理は、
図2Aのフローチャートと同様であり、その説明を省略する。
【0057】
(ステップS301)電流測定部41は、二次側電流を測定する。その二次側電流の測定は、例えば、二次側電流の実効値の平均の測定であってもよい。
【0058】
(ステップS302)一次側電流算出部42は、二次側電流と、ターン数差比と、正規化後の位相差とを用いて一次側電流を算出する。なお、その一次側電流は、その算出に用いられる二次側電流と同じ相の電流である。
【0059】
なお、変形例1,2について説明したが、それらは組み合わされてもよい。すなわち、一次側電圧算出装置2において、異常検知と、一次側電流の算出との両方が行われてもよい。その場合には、一次側電圧算出装置2は、線間電圧測定部21と、相電圧算出部22と、差電圧測定部23と、位相差測定部24と、正規化部25と、特定部26と、一次側電圧算出部27と、異常検知部31と、出力部32と、電流測定部41と、一次側電流算出部42とを備えていてもよい。
【0060】
以上のように、本実施の形態による自動電圧調整器1によれば、高精度なベクトル演算を行わなくても、差電圧や位相差に関する正規化を行うことによって、一次側線間電圧を高精度に算出することができる。したがって、一次側線間電圧の算出において、演算負荷の低減と、精度の向上とを両立させることができる。また、変形例1のように、複数の相に関する正規化を行った場合には、その正規化の結果を用いることによって、異常検知を行うこともできる。そして、異常が検知された場合には、例えば、その異常を管理者等に通知したり、また、調整変圧器11の通電タップを素通しに固定したりすることができる。また、変形例2のように、二次側電流を測定した場合には、その二次側電流を用いて一次側電流を算出することもできる。その場合には、一次側電流を、別途、測定する必要がなくなる。また、調整変圧器11が、現在の通電タップの位置を検出できるものでなくても、一次側電圧算出装置2は、一次側電圧を算出することができることになる。また、自動電圧調整器1の制御対象は線間電圧であるため、一次側電圧算出部27によって一次側線間電圧を算出することにより、SVRの実態に応じた一次側電圧の算出を実現できることになる。
【0061】
なお、上記実施の形態では、一次側電圧算出装置2によって算出された一次側線間電圧が自動電圧調整器1において一次側線間電圧の調整のために用いられる場合について説明したが、そうでなくてもよい。一次側電圧算出装置2によって算出された一次側線間電圧は、自動電圧調整器1における一次側線間電圧の調整以外の目的のために用いられてもよい。
【0062】
また、上記実施の形態において、電圧や電流の実効値が算出される場合について説明したが、実効値に代えてピーク値が算出されてもよい。ピーク値が算出される場合には、ピーク値に応じた正規化等が行われることが好適である。
【0063】
また、上記実施の形態において、各処理または各機能は、単一の装置または単一のシステムによって集中処理されることによって実現されてもよく、または、複数の装置または複数のシステムによって分散処理されることによって実現されてもよい。
【0064】
また、上記実施の形態において、各構成要素間で行われる情報の受け渡しは、例えば、その情報の受け渡しを行う2個の構成要素が物理的に異なるものである場合には、一方の構成要素による情報の出力と、他方の構成要素による情報の受け付けとによって行われてもよく、または、その情報の受け渡しを行う2個の構成要素が物理的に同じものである場合には、一方の構成要素に対応する処理のフェーズから、他方の構成要素に対応する処理のフェーズに移ることによって行われてもよい。
【0065】
また、上記実施の形態において、各構成要素が実行する処理に関係する情報、例えば、各構成要素が受け付けたり、取得したり、選択したり、生成したり、送信したり、受信したりした情報や、各構成要素が処理で用いる閾値や数式、アドレス等の情報等は、上記説明で明記していなくても、図示しない記録媒体において、一時的に、または長期にわたって保持されていてもよい。また、その図示しない記録媒体への情報の蓄積を、各構成要素、または、図示しない蓄積部が行ってもよい。また、その図示しない記録媒体からの情報の読み出しを、各構成要素、または、図示しない読み出し部が行ってもよい。
【0066】
また、上記実施の形態において、各構成要素等で用いられる情報、例えば、各構成要素が処理で用いる閾値やアドレス、各種の設定値等の情報がユーザによって変更されてもよい場合には、上記説明で明記していなくても、ユーザが適宜、それらの情報を変更できるようにしてもよく、または、そうでなくてもよい。それらの情報をユーザが変更可能な場合には、その変更は、例えば、ユーザからの変更指示を受け付ける図示しない受付部と、その変更指示に応じて情報を変更する図示しない変更部とによって実現されてもよい。その図示しない受付部による変更指示の受け付けは、例えば、入力デバイスからの受け付けでもよく、通信回線を介して送信された情報の受信でもよく、所定の記録媒体から読み出された情報の受け付けでもよい。
【0067】
また、上記実施の形態で説明した各構成要素のうち、ソフトウェアにより実現可能な構成要素については、プログラムを実行することによって実現されてもよい。例えば、ハードディスクや半導体メモリ等の記録媒体に記録されたソフトウェア・プログラムをCPU等のプログラム実行部が読み出して実行することによって、各構成要素が実現され得る。その実行時に、プログラム実行部は、記憶部や記録媒体にアクセスしながらプログラムを実行してもよい。また、そのプログラムは、サーバなどからダウンロードされることによって実行されてもよく、所定の記録媒体(例えば、磁気ディスクや半導体メモリなど)に記録されたプログラムが読み出されることによって実行されてもよい。
【0068】
また、本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。