特開2018-130014(P2018-130014A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-130014(P2018-130014A)
(43)【公開日】2018年8月16日
(54)【発明の名称】バッテリー充電方法および装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/04 20060101AFI20180720BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20180720BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20180720BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20180720BHJP
【FI】
   H02J7/04 A
   H01M10/44 Q
   H01M10/48 P
   H02J7/00 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2018-13742(P2018-13742)
(22)【出願日】2018年1月30日
(31)【優先権主張番号】10-2017-0016870
(32)【優先日】2017年2月7日
(33)【優先権主張国】KR
(71)【出願人】
【識別番号】390019839
【氏名又は名称】三星電子株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】洪 振 碩
(72)【発明者】
【氏名】孫 精 國
(72)【発明者】
【氏名】柳 永 均
【テーマコード(参考)】
5G503
5H030
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB02
5G503CA02
5G503CA03
5G503CA08
5G503CA12
5G503CA14
5G503CB06
5G503EA09
5G503GD06
5H030AA02
5H030AA10
5H030BB01
5H030BB03
5H030FF41
5H030FF42
5H030FF43
5H030FF52
(57)【要約】
【課題】 本発明は、多段階定電流方式を利用してバッテリーを充電する方法および装置に関する。
【解決手段】 バッテリーのSOCとバッテリーの負極のOCVの間の関数関係に基づいて予め決められた複数の充電区間のうち、バッテリーの現在充電率が位置する第1充電区間を決定する段階と、第1充電区間に対応する第1充電率で第1充電区間の間バッテリーを充電する段階とを通してバッテリーを充電する方法および装置が提供される。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリーの充電方法であって、
前記バッテリーの充電状態(SOC)と前記バッテリーの負極の開回路電圧(OCV)の間の関数関係に基づいて予め決められた複数の充電区間のうち、前記バッテリーの現在充電率が位置する第1充電区間を決定する段階と、
前記第1充電区間に対応する第1充電率で前記第1充電区間の間前記バッテリーを充電する段階とを含む、バッテリー充電方法。
【請求項2】
前記第1充電区間が終了すると、前記第1充電区間の次の区間である第2充電区間に対応する第2充電率で前記第2充電区間の間前記バッテリーを充電する段階をさらに含む、請求項1に記載のバッテリー充電方法。
【請求項3】
前記第1充電区間が複数の充電区間のうち最後の充電区間であるか、または、前記第1充電区間の次の区間である第2充電区間が前記最後の充電区間である場合に、前記バッテリーの充電電圧が予め決められた電圧値に到達したか否かをモニターする段階と、
前記充電電圧が前記予め決められた電圧値に到達すれば、充電上限電圧を前記バッテリーに印加する段階とをさらに含む、請求項1又は2に記載のバッテリー充電方法。
【請求項4】
前記複数の充電区間は、前記複数の充電区間内に含まれる、前記関数関係の微分グラフの極小点または極大点を基準として適用される予め決められた高さを有するウィンドウによって決定され、前記予め決められた高さは充電プロセッサーの複雑度によって予め決定される、請求項1ないし3のうち何れか一項に記載のバッテリー充電方法。
【請求項5】
前記予め決められた高さは0.6より大きくない値に予め決定される、請求項4に記載のバッテリー充電方法。
【請求項6】
前記予め決められた高さが高いほど前記ウィンドウの幅が増加して前記複数の充電区間それぞれの長さが長くなり、前記予め決められた高さが低いほど前記ウィンドウの幅が減少して前記複数の充電区間それぞれの長さが短くなる、請求項4に記載のバッテリー充電方法。
【請求項7】
前記予め決められた高さが高いほど前記ウィンドウの幅が増加して前記複数の充電区間の個数が減り、前記予め決められた高さが低いほど前記ウィンドウの幅が減少して前記複数の充電区間の個数が増える、請求項4に記載のバッテリー充電方法。
【請求項8】
前記第1充電率の大きさは、前記第1充電区間の間一定に維持され、前記第1充電区間の終点で前記バッテリーの負極の電位と前記バッテリーの電解液の電位の差が予め決められた値より小さくなるように決められている、請求項1ないし7のうち何れか一項に記載のバッテリー充電方法。
【請求項9】
前記予め決められた値は、2×10−6[V]である、請求項8に記載のバッテリー充電方法。
【請求項10】
前記第1充電率の大きさは、前記第1充電区間の間一定に維持され、前記第1充電区間の間前記バッテリーの負極の電位と前記バッテリーの電解液の電位の差が常に0より大きくなるように決められている、請求項1ないし9のうち何れか一項に記載のバッテリー充電方法。
【請求項11】
前記第1充電率の大きさは、前記第2充電率の大きさより大きい、請求項2に記載のバッテリー充電方法。
【請求項12】
バッテリーの充電装置であって、
プロセッサーと、メモリと、充電インターフェースとを含み、
前記プロセッサーは前記メモリに貯蔵されたプログラムを実行して、
前記バッテリーの充電状態(SOC)と前記バッテリーの負極の開回路電圧(OCV)の間の関数関係に基づいて予め決められた複数の充電区間のうち、前記バッテリーの現在容量が位置する第1充電区間を決定する段階と、
前記第1充電区間に対応する第1充電率で前記第1充電区間の間前記バッテリーを充電する段階とを行う、バッテリー充電装置。
【請求項13】
前記プロセッサーは前記メモリに貯蔵されたプログラムを実行して、
前記第1充電区間が終了すると、前記第1充電区間の次の区間である第2充電区間に対応する第2充電率で前記第2充電区間の間前記バッテリーを充電する段階をさらに行う、請求項12に記載のバッテリー充電装置。
【請求項14】
前記プロセッサーは前記メモリに貯蔵されたプログラムを実行し、
前記第1充電区間が複数の充電区間のうち最後の充電区間であるか、または、前記第1充電区間の次の区間である第2充電区間が前記最後の充電区間である場合に、前記バッテリーの充電電圧が予め決められた電圧値に到達したか否かをモニターする段階と、
前記充電電圧が前記予め決められた電圧値に到達すれば、充電上限電圧を前記バッテリーに印加する段階とをさらに行う、請求項12又は13に記載のバッテリー充電装置。
【請求項15】
前記複数の充電区間は、前記複数の充電区間内に含まれる、前記関数関係の微分グラフの極小点または極大点を基準として適用される予め決められた高さを有するウィンドウによって決定され、前記予め決められた高さは充電プロセスの複雑度によって予め決定される、請求項12ないし14のうち何れか一項に記載のバッテリー充電装置。
【請求項16】
前記予め決められた高さは0.6より大きくない値に予め決定される、請求項15に記載のバッテリー充電装置。
【請求項17】
前記予め決められた高さが高いほど前記ウィンドウの幅が増加して前記複数の充電区間それぞれの長さが長くなり、前記予め決められた高さが低いほど前記ウィンドウの幅が減少して前記複数の充電区間それぞれの長さが短くなる、請求項15に記載のバッテリー充電装置。
【請求項18】
前記予め決められた高さが高いほど前記ウィンドウの幅が増加して前記複数の充電区間の個数が減り、前記予め決められた高さが低いほど前記ウィンドウの幅が減少して前記複数の充電区間の個数が増える、請求項15に記載のバッテリー充電装置。
【請求項19】
前記第1充電率の大きさは、前記第1充電区間の間一定に維持され、前記第1充電区間の終点で前記バッテリーの負極の電位と前記バッテリーの電解液の電位の差が予め決められた値より小さくなるように決められている、請求項12ないし18のうち何れか一項に記載のバッテリー充電装置。
【請求項20】
前記予め決められた値は2×10−6[V]である、請求項19に記載のバッテリー充電装置。
【請求項21】
前記第1充電率の大きさは、前記第1充電区間の間一定に維持され、前記第1充電区間の間前記バッテリーの負極の電位と前記バッテリーの電解液の電位の差が常に0より大きくなるように決められている、請求項12ないし20のうち何れか一項に記載のバッテリー充電装置。
【請求項22】
前記第1充電率の大きさは前記第2充電率の大きさより大きい、請求項13に記載のバッテリー充電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多段階に充電率の大きさを変化させてバッテリーを充電する方法および装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
バッテリーの充電速度を向上するための多様な方式の充電アルゴリズムが存在する。一般に、定電流−定電圧(constant current−constant voltage、CC−CV)充電方式が、CC−CV充電方式と類似した方式と組み合わされ、パルス充電(pulse charging)、ブースト充電(boost charging)、そして多段階定電流(multi−stage CC)充電等のようなアルゴリズムが存在する。
【0003】
パルス充電方式は、一定時間大きい電流をバッテリーに印加した後、休止時間(または放電時間)を置く方式である。パルス充電方式によれば、充電初期に印加される高い水準の電流を通して活物質表面のリチウムイオンの濃度を高めて最大拡散速度を確保し、放電(relaxation)を通じてリチウムイオン濃度分布を緩和させることによって追加的な副反応を抑制することができる。しかし、パルス充電方式にはデューティサイクル(duty cycle)に代表される、‘実際充電が行われない区間(休止または放電区間)’が必然的に含まれるので、充電速度向上に限界がある。
【0004】
ブースト充電方式は、初期に高い電流を印加して高電圧を形成し、一定時間定電圧で充電した後、CC−CV充電を進行する方式である。ブースト充電方式によれば、完全放電されたバッテリーは充電初期に高率適応性能に優れているので、充電率30%までは定電圧充電を進行し、以降、後半部定電圧区間の電圧より高い電圧を設定して高い電流で充電することができる。ブースト充電方式は、充電初期の高い電流適用段階に鑑みれば、ほぼ完全放電に近いバッテリー初期状態が要件とならなければならない。
【0005】
多段階定電流方式は、時間軸を複数の区間に区分し、各区間が進行するほど高い電流又は低い電流を印加する方式である。各区間の区分は予め決められた臨界電圧により、充電電圧が臨界電圧に到達すれば電流の大きさを変更する(つまり、もっと低い電流を印加する)。区間別電流の大きさは多様な最適化ツール(optimization tool)によって決定され、一般に1次プロファイルが適用された以後、放電特性を検討する過程を繰り返して最適パターンが決定される。電圧を通した各段階の区分および電流強さの変更を通して多様な形態のアルゴリズムが導出される。多段階定電流方式で核心的なのは、充電速度を最大化しながらバッテリー容量を維持することができる区間を設定することと、区間別充電率の強さを決めることである。従来のトライアンドエラー(trial and error)方式は初期に入力された充電条件に基づいて放電特性を確認した後、これによって充電条件を調整するアルゴリズムであるが、この時、印加電流によるバッテリーの状態(温度、温度変化、電圧、または電圧変化)が測定され、そのために電流の大きさが調整されるので、アルゴリズム確定のための時間および実験費用が大きく、適応方式(adaptive scheme)の制御のために付加システムが必然的に伴うため、適用複雑度が増加する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一実施形態は多段階定電流方式を利用してバッテリーを充電する方法を提供する。
【0007】
他の実施形態は多段階定電流方式を利用してバッテリーを充電する装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態によれば、バッテリーの充電方法が提供される。前記バッテリー充電方法は、バッテリーの充電状態(state of charge、SOC)とバッテリーの負極の開回路電圧(open circuit voltage、OCV)の間の関数関係に基づいて予め決められた複数の充電区間のうち、バッテリーの現在充電率が位置する第1充電区間を決定する段階と、第1充電区間に対応する第1充電率で第1充電区間の間バッテリーを充電する段階とを含む。
【0009】
前記バッテリー充電方法は、第1充電区間が終了すると第1充電区間の次の区間である第2充電区間に対応する第2充電率で第2充電区間の間バッテリーを充電する段階をさらに含んでもよい。
【0010】
前記バッテリー充電方法は、第1充電区間が複数の充電区間のうち最後の充電区間であるかまたは第1充電区間の次の区間である第2充電区間が最後の充電区間であれば、バッテリーの充電電圧が予め決められた電圧値に到達したかどうかをモニターする段階と、充電電圧が予め決められた電圧値に到達すれば、充電上限電圧をバッテリーに印加する段階とをさらに含んでもよい。
【0011】
前記バッテリー充電方法で、複数の充電区間は、複数の充電区間内に含まれる、関数関係の微分グラフの極小点または極大点を基準として適用される予め決められた高さを有するウィンドウによって決定され、予め決められた高さは充電プロセッサーの複雑度によって予め決定されてもよい。
【0012】
前記バッテリー充電方法で、予め決められた高さは0.6より大きくない値に予め決定してもよい。
【0013】
前記バッテリー充電方法で、予め決められた高さが大きければ、ウィンドウの幅が増加して複数の充電区間それぞれの長さが長くなり、予め決められた高さが小さければ、ウィンドウの幅が減少して複数の充電区間それぞれの長さが短くなる。
【0014】
前記バッテリー充電方法で、予め決められた高さが大きければ、ウィンドウの幅が増加して複数の充電区間の個数が減り、予め決められた高さが小さければ、ウィンドウの幅が減少して複数の充電区間の個数が増える。
【0015】
前記バッテリー充電方法で、第1充電率の大きさは、第1充電区間の間一定に維持し、第1充電区間の終点でバッテリーの負極の電位とバッテリーの電解液の電位の差が予め決められた値より小さくなるように決定されてもよい。
【0016】
前記バッテリー充電方法で、予め決められた値は、2×10−6[V]であってもよい。
【0017】
前記バッテリー充電方法で、第1充電率の大きさは、第1充電区間の間一定に維持し、第1充電区間の間バッテリーの負極の電位とバッテリーの電解液の電位の差が常に0より大きくなるように決定されてもよい。
【0018】
前記バッテリー充電方法で、第1充電率の大きさは、第2充電率の大きさより大きくてもよい。
【0019】
他の実施形態によれば、バッテリーの充電装置が提供される。前記バッテリー充電装置は、プロセッサーと、メモリと、充電インターフェースとを含み、プロセッサーはメモリに貯蔵されたプログラムを実行して、バッテリーの充電状態(SOC)とバッテリーの負極の開回路電圧(OCV)の間の関数関係に基づいて予め決められた複数の充電区間のうちバッテリーの現在容量が位置する第1充電区間を決定する段階と、第1充電区間に対応する第1充電率で第1充電区間の間バッテリーを充電する段階とを行う。
【0020】
前記バッテリー充電装置で、プロセッサーはメモリに貯蔵されたプログラムを実行して、第1充電区間が終了すると第1充電区間の次の区間である第2充電区間に対応する第2充電率で第2充電区間の間バッテリーを充電する段階をさらに行ってもよい。
【0021】
前記バッテリー充電装置で、プロセッサーはメモリに貯蔵されたプログラムを実行して、第1充電区間が複数の充電区間のうち、最後の充電区間であるかまたは第1充電区間の次の区間である第2充電区間が最後の充電区間であれば、バッテリーの充電電圧が予め決められた電圧値に到達したかどうかをモニターする段階と、充電電圧が予め決められた電圧値に到達すれば、充電上限電圧をバッテリーに印加する段階とをさらに行ってもよい。
【0022】
前記バッテリー充電装置で、複数の充電区間は、複数の充電区間内に含まれる、関数関係の微分グラフの極小点または極大点を基準として適用される予め決められた高さを有するウィンドウによって決定され、予め決められた高さは充電プロセスの複雑度によって予め決定されてもよい。
【0023】
前記バッテリー充電装置で、予め決められた高さは0.6より大きくない値に予め決定されてもよい。
【0024】
前記バッテリー充電装置で、予め決められた高さが大きければ、ウィンドウの幅が増加して複数の充電区間それぞれの長さが長くなり、予め決められた高さが小さければ、ウィンドウの幅が減少して複数の充電区間それぞれの長さが短くなる。
【0025】
前記バッテリー充電装置で、予め決められた高さが大きければ、ウィンドウの幅が増加して複数の充電区間の個数が減り、予め決められた高さが小さければ、ウィンドウの幅が減少して複数の充電区間の個数が増える。
【0026】
前記バッテリー充電装置で、第1充電率の大きさは、第1充電区間の間一定に維持し、第1充電区間の終点でバッテリーの負極の電位とバッテリーの電解液の電位の差が予め決められた値より小さくなるように決定されてもよい。
【0027】
前記バッテリー充電装置で、予め決められた値は、2×10−6[V]であってもよい。
【0028】
前記バッテリー充電装置で、第1充電率の大きさは、第1充電区間の間一定に維持し、第1充電区間の間バッテリーの負極の電位とバッテリーの電解液の電位の差が常に0より大きくなるように決定されてもよい。
【0029】
前記バッテリー充電装置で、第1充電率の大きさは、第2充電率の大きさより大きくてもよい。
【0030】
バッテリーの負極素材のOCV変化に基づいて決められた、充電区間および各充電区間に対応する充電率によってバッテリーを充電することによって、バッテリーのリチウムプレーティング現象を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】一実施形態によるバッテリー充電方法を示すフローチャートである。
図2】一実施形態によるバッテリーのSOCと負極のOCVの間の関係を示すグラフである。
図3】一実施形態によるバッテリーのSOCと負極のOCVの間の関係により決められた充電区間を示す図である。
図4】一実施形態による充電区間別充電率を決める方法を示すフローチャートである。
図5】一実施形態による充電区間別充電率およびdphislを示すグラフである。
図6】一実施形態による実際充電時に適用される充電率およびdphislと、充電電圧の変化を示すグラフである。
図7A】一実施形態によるLCO/Ni−Snバッテリーセルに適用された充電区間および充電率を示すグラフである。
図7B】一実施形態によるLCO/Ni−Snバッテリーセルに適用された充電区間および充電率を示すグラフである。
図8】一実施形態によるLCO/Ni−Snバッテリーセルの充電電圧変化を比較したグラフである。
図9】一実施形態によるLCO/Ni−SnバッテリーセルのSEI薄膜の厚さの変化を示すグラフである。
図10】一実施形態によるLCO/グラファイトバッテリーセルに適用された充電区間を示すグラフである。
図11】一実施形態によるLCO/グラファイトバッテリーセルの容量の保有率間比較結果を示すグラフである。
図12A】一実施形態によるLCO/グラファイトバッテリーセルに適用された充電区間によるdphislの変化を示すグラフである。
図12B】一実施形態によるLCO/グラファイトバッテリーセルに適用された充電率によるdphislの変化を示すグラフである。
図12C】一実施形態によるLCO/グラファイトバッテリーセルに適用された時間によるdphislの変化を示すグラフである。
図13】一実施形態によるLCO/グラファイトバッテリーセルの充電電圧変化を比較したグラフである。
図14】一実施形態によるLCO/グラファイトバッテリーセルのSEI薄膜の厚さの変化を示すグラフである。
図15】一実施形態によるバッテリー充電装置を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、添付した図面を参照して本発明の実施形態について本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳しく説明する。しかし、本発明は様々な相異な形態に実現でき、ここで説明する実施形態に限定されない。そして図面において、発明を明確に説明するために説明上不必要な部分は省略し、明細書全体にわたって類似の部分については同一の参照符号を付与する。
【0033】
図1は、一実施形態によるバッテリー充電方法を示すフローチャートである。
【0034】
本明細書において、バッテリーは多段階定電流充電方式に基づいて充電される。図1を参照すれば、一実施形態によるバッテリー充電装置は、まず、現在バッテリーの充電量(充電状態または充電電圧)を確認し、残りの充電量に対応する充電区間を選択する(S110)。
【0035】
一実施形態によれば、バッテリーを充電するための複数の充電区間は充電状態(state of charge、SOC)とバッテリーの負極素材の開回路電圧(open circuit voltage、OCV)の間の関係に基づいて決定される。以下、図2および図3を参照して一実施形態による充電区間について詳細に説明する。
【0036】
図2は、一実施形態によるバッテリーのSOCと負極のOCVの間の関係を示すグラフであり、図3は、一実施形態によるバッテリーのSOCと負極のOCVの間の関数関係および関数関係により決められた充電区間を示した図である。
【0037】
図2で、x軸はバッテリーのSOCを示し、y軸はバッテリーの負極のOCVを示す。バッテリーのSOCは、負極内のLiの比率により決定される。図2を参照すれば、負極のOCVはSOCが増加することによって減少する。つまり、充電が行われると、負極活物質(固体)の電位(phis)は減少し、これとは逆に、電解質(液体)の電位(phil)はリチウム陽イオンの供給により増加する。この時、負極活物質の電位と電解質の電位が同じになれば(phis=phil)、リチウム陽イオンが析出される。したがって、負極活物質内Li濃度によるOCVの減少動きの変化を分析してリチウム−プレーティング(Li−plating)現象を防止することができる。リチウムプレーティング現象とは、負極に供給されたリチウム陽イオン(Li+)が負極で急速に吸収されずに蓄積されてリチウム金属として析出される現象であり、高い水準の充電率(high current rate、high C−rate)を適用してバッテリーを充電する時、考慮しなければならない最も大きな問題点のうちの一つである。リチウムプレーティング現象が発生すると、不均一なリチウム結晶(Li−dendrite)が形成され、バッテリー短絡(short)が発生し、バッテリー寿命の減少およびバッテリーの不具合につながることが懸念される。リチウムプレーティングはバッテリーを充電する時、負極活物質の電位と電解質の電位差が0に近い場合に発生する。したがって、リチウムプレーティングは負極活物質内のリチウム濃度による負極の電位変化を通して推定される。
【0038】
一実施形態によれば、バッテリーの充電のための複数の充電区間は負極のOCVの減少の様相又は傾向(例えば、SOC−OCVグラフの傾き、またはdOCV/dSOCグラフ)が変わる地点によって区分される。例えば、一実施形態による充電区間は、SOC(または時間)によって負極のOCVの傾きを分析し、傾きの差が予め決められた値となる地点を基準に区分される。
【0039】
一実施形態によれば、SOCに対するOCVの関数関係を微分した微分グラフ(一点鎖線)で、極点が決定される。そして、極小点があれば、まず、極小点を基準に充電区間が決定される。図3を参照すれば、微分グラフ上のポイントPおよびポイントPが極小点に相当する。そして、各極小点を基準に高さがSであるウィンドウ(プラス(+)方向ウィンドウ)が適用される。
【0040】
一実施形態によれば、ウィンドウは予め決められた高さSを有し、ウィンドウの幅はウィンドウの上側辺または下側辺と、微分グラフが交わる又は接する地点によって決定される。ウィンドウの高さSは予め決定される値として、充電プロセスの複雑度によって0.6より大きくない値に予め決定される。例えば、Sが大きければウィンドウの幅が増加して充電区間の長さが長くなり、充電プロセスに含まれる充電区間の個数が減る。Sが小さければウィンドウの幅が減少して充電区間の長さが短くなり、充電プロセスに含まれる充電区間の個数が増える。したがって、充電プロセスを単純に調整する必要があれば、ウィンドウの高さSは大きい値に予め決定され、充電プロセスを精巧に調整する必要があれば、ウィンドウの高さSは小さい値に予め決定される。
【0041】
図3を参照すれば、ポイントPに高さSのウィンドウが適用された結果として第2充電区間の右側境界が決定され、ポイントPに高さSのウィンドウが適用された結果として第5充電区間の両側境界が決定される。ポイントPの左側境界は、ポイントPに適用されるウィンドウ内に極大点も存在するので、極大点によって決定される。
【0042】
次に、極大点を基準に高さS0−のウィンドウが適用される。図3を参照すれば、微分グラフ上のポイントPおよびPが極大点に相当する。そして、極大点のy軸値を基準に高さがSであるウィンドウ(マイナス(−)方向ウィンドウ)が適用される。そのために第2充電区間の左側境界および第4充電区間の左側境界が決定される。図3で、第1充電区間の右側境界は、先に決められた第2充電区間の左側境界と同じであり、第3充電区間の両側境界は先に決められた第2充電区間の右側境界および第4充電区間の左側境界と同じである。つまり、一実施形態によれば、単調増加または単調減少の充電区間(第3充電区間)の境界は他の充電区間の境界によって決定される。また、OCVの変化量が小さい区間(第6充電区間)では極小点または極大点の存在にもかかわらず、充電区間が区分されないこともある。また、第6充電区間の最後は定電圧区間であり、異なる基準により区間が決定され、以下に詳しく説明する。
【0043】
この時、極小点と極大点が予め決められた範囲内に含まれていれば(つまり、極小点および極大点の間隔が狭い場合)、極大点による境界決定が省略されることができる。例えば、図3で極小点Pおよび極大点Pが予め決められた範囲内に含まれていれば、極小点Pを基準にした高さSであるウィンドウ(+方向ウィンドウ)によって第2充電区間の両側境界が決定され、或いは、極小点Pよりy軸値がSほど大きいウィンドウ(+方向ウィンドウ)によって第2充電区間の右側境界が決定され、極小点Pよりy軸値がSほど小さいウィンドウ(−方向ウィンドウ)によって第2充電区間の左側境界が決定される。
【0044】
一実施形態によれば、境界に相当する傾きと極小点または極大点の間の傾きの差を示すSが相対的に大きい値であれば(例えば、0.3)、各充電区間の区間長さが長くなり充電区間の個数は減少するので、充電プロセスが単純になり得る。反対に、Sが相対的に小さい値であれば(例えば、0.05)、各充電区間の区間長さが短くなり充電区間の個数が増えて、バッテリーがさらに精巧に充電されることができる。一実施形態で充電区間を決定するためのウィンドウの高さを示すSは予め決められた値(例えば0.5)より小さい値に決定される。
【0045】
図3を参照すれば、各区間内でSOC−OCVグラフの傾きは比較的一定に維持されるが(区間内の傾きの変化率≒0)、各区間の平均傾きは互いに異なる値を有する。つまり、各区間の境界の傾きの変化率は、各区間内の傾きの変化率に比べて相対的に大きい値を有する(区間境界の傾きの変化率>>0)。傾きの変化率が相対的に小さい値に維持される区間内では、バッテリー充電装置が比較的容易にリチウム−プレーティング現象に対応することができる。したがって、バッテリーの充電のための複数の充電区間は、SOC−OCVグラフの傾きまたは傾きの変化率によって決定され、バッテリーの充電時に各充電区間の境界は充電時間または充電電圧によって区分される。
【0046】
以降、バッテリー充電装置は、選択された充電区間(第1充電区間)に対応する充電率(第1充電率)で充電区間の間バッテリーを充電する(S120)。この時、第1充電区間はn個の充電区間のうち、m(m<n)番目の充電区間でありうる。この時、充電率(C−rate)はバッテリーの容量対比充電電流の大きさを示す値であり、充電電流の大きさがバッテリーの容量と同じであれば、充電率は1Cである。
【0047】
各充電区間に対応する充電率の大きさは、リチウムプレーティング現象を防止できる最大の大きさで決定される。一実施形態によれば、各充電区間に対応する充電率の大きさは、負極と分離膜の表面の固体/液体間の電位差dphislによって決定される。固体/液体間の電位差dphislは、下記の数式1と同様である。
【0048】
数式1
dphisl=phis−phil
数式1において、phisは固体電位、つまり、負極の電位であり、philは液体電位、つまり、電解質電位である。dphislは常に0より大きく維持しなければならないし、バッテリーセルの設計/製作条件および安定性を考慮して決定される。各充電区間の終点でバッテリーのdphislは0に近くなる。バッテリーのdphislが予め決められたdphisl値U(例えば、2×10−6)に到達すれば、バッテリー充電段階が次の充電区間に変更され、他の大きさの充電率が次の充電区間でバッテリーに適用される。つまり、バッテリー充電装置は、第1充電区間が終了した後、第1充電区間の次の充電区間の第2充電区間の間、第2充電区間に対応する第2充電率でバッテリーを充電する。この時、次の充電区間の充電率は、前の充電区間の充電率より小さい。
【0049】
図4は、一実施形態による充電区間別充電率を決める方法を示すフローチャートである。
【0050】
図4を参照すれば、まず、バッテリー充電シミュレーションを実行する前に特定充電区間の初期充電率の大きさを任意に選択する(S410)。この時、初期充電率の大きさは1C以上で選択される。以降、初期充電率に基づいて特定充電区間のバッテリー充電シミュレーションを実行し(S420)、特定充電区間の境界でのdphislを確認する(S430)。
【0051】
特定充電区間の境界のdphislがUより大きければ充電率の大きさを増加させてバッテリー充電シミュレーションを再び実行する(S440)。dphislがUより大きいということは、バッテリーがまだ高い充電率に耐えられる余力があることを意味するためである。また、特定充電区間の境界のdphislがUより小さければ充電率の大きさを減少させてバッテリー充電シミュレーションを再び実行する(S450)。dphislがUより小さいということは、バッテリーに過大な充電率が適用されてリチウム−プレーティングが発生し得ることを意味するためである。以降、dphislがUと同じであれば、その時の充電率大きさを当該充電区間での充電率に決めて、次の充電区間の充電率を決定するためにS410段階から再び始める。
【0052】
図5は、一実施形態による充電区間別充電率およびdphislを示すグラフである。
【0053】
図5を参照すれば、x軸は時間を示し、y軸は充電率およびdphislの大きさを示す。この時、充電率はバッテリーの1時間放電時の電流の大きさを基準にした相対電流の大きさである。図5を参照すれば、高い水準の充電率が適用される初期充電区間であるほどdphislが急速に減少していることが分かる。
【0054】
一方、第1充電区間がn個の充電区間のうち、最後のn番目の充電区間であるか(m=n)、または第2充電区間が最後の充電区間でありうる。現在充電区間が最後の充電区間の場合、バッテリー充電装置は、n番目の充電区間に対応する第n充電率でバッテリーを充電し(S130)、充電区間の間バッテリーの充電電圧が予め決められた電圧値に到達したかどうかは、バッテリーの充電電圧をモニターする(S140)。この時、予め決められた電圧値は充電上限電圧Vmaxに対する予め決められた比率(例えば、99%)で示され、予め決められた比率および充電上限電圧は、正極、負極、そして電解質の物性を考慮して決定される。また、バッテリー充電装置が、バッテリーの老朽化度合いによりまたは時間経過により予め決められた比率を適応的に低くすることができる。
【0055】
バッテリーの充電電圧が予め決められた電圧値に到達したとすれば、バッテリー充電装置は定電流の印加を中断し、充電上限電圧をバッテリーに印加することができる(定電圧段階)。この時、定電圧段階への進入の可否は、バッテリーセルの設計変数および可用最大のSOCの範囲によって決定される。定電圧が印加される場合、バッテリー充電装置は電流下限値(一般に0.05C)を基準に定電圧段階を終了することができる。以降、定電圧段階の終了でバッテリー充電が終了すると、電流調節装置によってバッテリーに印加される電流が遮断される。一方、定電圧段階が省略される場合、バッテリー充電装置は、第n充電率の大きさを調節して充電電圧が充電上限電圧を超えないようにすることができる。つまり、要求される充電SOCが達成される時点でバッテリーの充電電圧が充電上限電圧に到達できるように充電率の大きさが調整されることができる。
【0056】
図6は、一実施形態による実際充電時に適用される充電率およびdphislと、充電電圧の変化を示すグラフである。
【0057】
図6を参照すれば、各充電区間で一定の大きさの充電率でバッテリーが充電されると、dphislがdphisl0より大きい値に全区間で維持され、充電電圧が急速に増加する。上述した方法を通して決められた充電区間および充電率は負極素材の特性によって決められた値として、数値モデリングを通して決められた、充電区間および充電率に関する最適なアルゴリズムが実際バッテリーに適用された後、バッテリーの工程偏差による誤差を減らすために充電区間の長さまたは充電率の大きさなどが細部的に調整されることができる。
【0058】
図7は、一実施形態によるLCO/Ni−Snバッテリーセルに適用された充電区間および充電率を示すグラフであり、図8は、一実施形態によるLCO/Ni−Snバッテリーセルの充電電圧変化を比較したグラフであり、図9は、一実施形態によるLCO/Ni−SnバッテリーセルのSEI薄膜の厚さの変化を示すグラフである。
【0059】
図7Aおよび図7Bのx軸はSOCであり、y軸はそれぞれOCVおよび充電率の大きさを示す。図8において、x軸は時間であり、y軸はバッテリーセルの充電電圧である。図9におけるx軸は時間であり、y軸は固体電解質界面(Solid Electrolyte Interface、SEI)の薄膜の厚さである。
【0060】
図7および図8において、正極LCO(LiCoO)−負極Ni−Sn(NiSn)を採用したバッテリーセル(体積当たりの容量800Wh/L)が一実施形態による充電方法により充電された。そして、負極のOCVはNi−Sn負極を利用したハーフセル(half−cell)の0.1Cの低率充電実験の結果から推定された。図7Aを参照すれば、負極OCVの傾きの変化率に基づいて6つの充電区間が決定され、最後の6番目の充電区間の終点は定電圧区間の始点となる。バッテリーは、バッテリーの初期条件(3.0[V]、SOC=0、085)によって3番目の充電区間から充電が始まった。充電率は各充電区間で18.25C→9.87C→3.44C→1.4Cであり、最後に4.2[V]の定電圧が印加された。定電圧区間の完了条件は0.05C電流以下である。そして、dphislは2×10−6[v]に予め決定された。
【0061】
図8を参照すれば、同一のバッテリーセルに定電流−定電圧(CC−CV)方式で充電される場合のバッテリーの充電電圧を比較している。LCO/Ni−Snバッテリーセルでリチウムプレーティングが発生しない最大充電率は1.41Cで、シミュレーションを通して予測され、この充電率でLCO/Ni−Snバッテリーセルを充電する場合の充電電圧が比較対象として表示されている。
【0062】
図8を参照すれば、一実施形態によるバッテリー充電方法が適用されると、通常の定電流充電方式に比べて充電時間が58%以上(47.8分→20分)短縮された。
【0063】
そして、図9を参照すれば、バッテリーセル寿命の劣化が分かる指標のSEI薄膜の厚さ(つまり、SEI増加量)も0.9[nm]であり、通常の定電流−定電圧充電方式の0.92[nm]と類似の結果を示す。したがって、通常の定電流−定電圧充電方式と類似のサイクル寿命特性を有すると予想される。
【0064】
図10は、一実施形態によるLCO/グラファイトバッテリーセルに適用された充電区間を示すグラフであり、図11は、一実施形態によるLCO/グラファイトバッテリーセルの容量の保有率間比較結果を示すグラフである。
【0065】
図10を参照すれば、負極物質としてグラファイト(graphite)、つまり、MCMB(Mesoporous Carbon Micro Beads)が使用されたバッテリーセルのOCV変化によって決められた充電区間が示されている(S:0.45)。バッテリーセルの充/放電サイクルの繰り返し後の容量保有率(capacity retention)を調べるために、定電流−定電圧充電方式が適用された。バッテリーの初期状態は充電開始電圧3.0[V]およびSOC=0.044が適用され、各充電区間に対応する充電率は2.47C→1.9C→1.58C→1.24C→1.06C→0.94Cであり、7番目の充電区間には4.4[V]の定電圧がバッテリーに印加される。
【0066】
図11において、x軸はバッテリーセルの充/放電回数(cycle)を示し、y軸はバッテリー実験で測定されたセルの容量保有率を示す。1C、2C、そして3Cの充電率が適用される場合が対照群に使用された。図11を参照すれば、一実施形態によるバッテリー充電方法の場合、14cycleが進められた以後、2Cおよび3C対比顕著に優れた容量保有率(90%以上)を示した。そして、1Cの場合充電時間が120分であることに比べて、一実施形態によるバッテリー充電方法の場合80分で、充電時間側面から1Cに比べて33.3%向上された。
【0067】
図12A乃至図12Cは、一実施形態によるLCO/グラファイトバッテリーセルに適用された充電区間、充電率、そして時間によるdphislの変化を示すグラフであり、図13は、一実施形態によるLCO/グラファイトバッテリーセルの充電電圧変化を比較したグラフであり、図14は、一実施形態によるLCO/グラファイトバッテリーセルのSEI薄膜の厚さの変化を示すグラフである。
【0068】
図12Aにおけるx軸はSOCであり、y軸はOCVの大きさを示す。図12Bおよび図12Cにおけるx軸は時間であり、y軸はそれぞれ充電率およびdphislの大きさを示す。図13において、x軸は時間であり、y軸はバッテリーセルの充電電圧である。図14におけるx軸は時間であり、y軸はSEI薄膜の厚さである。
【0069】
図12A乃至図12C図13および図14において、正極LCO(LiCoO)−負極グラファイトを採用したバッテリーセル(体積当たりの容量800Wh/L)が一実施形態による充電方法により充電された。図12Aを参照すれば、負極OCVの傾きの変化率に基づいて6つの充電区間が決定され(S:0.6)、最後の6番目の充電区間の終点は定電圧区間の始点となる。バッテリーは、バッテリーの初期条件3.0[V]、SOC=0、035によって2番目の充電区間から充電が始まった。充電率は各充電区間で8.25C→4.92C→3.73C→2.75C→2.335C→1.63C→1.25Cであり、最後に4.4[V]の定電圧が印加された。そして、dphislは2×10−6[v]に予め決定された。
【0070】
図13を参照すれば、同一のバッテリーセルに定電流−定電圧方式で充電される場合のバッテリーの充電電圧と、パルス充電方式によるバッテリーの充電電圧を比較している。LCO/グラファイトバッテリーセルでリチウムプレーティングが発生しない最大充電率は1.35Cであることがシミュレーションを通して予測されて、1.35Cの充電率でLCO/グラファイトバッテリーセルを充電する場合の充電電圧が比較対象として表示されている。パルス充電方式の場合、20回以上の数値実験遂行によって決められた、ローカル最適化(local optimization)結果である。
【0071】
図13を参照すれば、一実施形態によるバッテリー充電方法が適用されると、通常の定電流充電方式に比べて充電時間が38%以上(47.7分→29.5分)短縮され、パルス充電方式に比べても充電時間が約14%程度(34.3分→29.5分)短縮された。
【0072】
そして図14を参照すれば、SEI薄膜の厚さも2.14[nm]であり、通常の定電流−定電圧充電方式の1.91[nm]およびパルス充電方式の2.03[nm]と類似の結果を示す。したがって、通常の定電流−定電圧充電方式およびパルス充電方式と類似のサイクル寿命特性を有すると予想される。
【0073】
図15は、一実施形態によるバッテリー充電装置を示すブロック図である。
【0074】
図15を参照すれば、一実施形態によるバッテリー充電装置1500は、プロセッサー(processor)1510と、メモリ(memory)1520と、充電インターフェース1530とを含む。
【0075】
メモリ1520はプロセッサー1510と連結されてプロセッサー1510を駆動するための多様な情報またはプロセッサー1510によって実行される少なくとも一つのプログラムを貯蔵できる。プロセッサー1510は本発明の実施形態で提案した機能、過程、または方法を実現することができる。つまり、一実施形態によるバッテリー充電装置1500の動作はプロセッサー1510によって具現される。充電インターフェース1530はバッテリーと有線または無線で連結され、プロセッサー1510の制御によってバッテリーの充電量(充電状態または充電電圧)をモニターし、バッテリーの充電時に必要な電流および電圧をバッテリーに印加することができる。
【0076】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲は、これに限定されるものではなく、以下の特許請求の範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の様々な変形および改良形態も本発明の権利範囲に属することは当然である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図12C
図13
図14
図15