【解決手段】バックシェル1は、座5及び該座の後端に背もたれ4を備えたシート2、3を覆いつつ、背もたれの後面を覆う覆い部14A、14Bと、該覆い部に設けられて長尺部材Aを支持する長尺部材支持部7と、を有し、長尺部材支持部が、前方に向かうに従って斜め下方に延在する支持面70を有し、長尺部材は、支持面の内側に位置した状態で、その軸が、前方に向かうに従って斜め下方に向かうように傾けられた状態で支持されるから、着座した人の足元スペースを確保することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような従来の車両用テーブル装置にあっては、傘は、柄が引っ掛けられることで保持されるので、柄を除く部分が垂れ下がる。このため、乗物用シートに着座した乗員は、足元スペースを確保し難かった。
【0006】
本発明の目的は、傘等の長尺部材を支持する構造を有しつつ、足元スペースの確保を図ったバックシェル及びバックシェル付きシートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のバックシェルは、座及び該座の後端に背もたれを備えたシートを覆うバックシェルであって、前記背もたれの後面を覆う覆い部と、該覆い部に設けられて長尺部材を支持する長尺部材支持部と、を有し、前記長尺部材支持部が、前方に向かうに従って斜め下方に延在する支持面を有し、前記長尺部材は、前記支持面の内側に位置した状態で、その軸が、前方に向かうに従って斜め下方に向かうように傾けられた状態で支持されることを特徴とする。
【0008】
以上のような本発明によれば、長尺部材は、長尺部材支持部によって、支持面の内側に位置した際に、その軸が、前方に向かうに従って斜め下方に向かうように傾けられた状態で支持されるから、従来技術の如く、柄を除く部分が垂れ下がらない。このため、後方のシートに着座した人の足元スペースを確保することができる。
【0009】
また、長尺部材支持部により、長尺部材が前方に向かうに従って斜め下方に向かうように傾けられた状態で支持されるから、従来技術の如く長尺部材が搖動することなく、目障りにならない。
【0010】
また、本発明のバックシェルでは、各シートを覆う前記覆い部を2以上有し、2以上の前記覆い部が左右に隣接して設けられ、隣接する前記覆い部の間に、前記長尺部材支持部が設けられていることが好ましい。ここで、2以上の覆い部が左右に並んで設けられる状況(例えば、乗員室内や映画館等の劇場)では、2以上の覆い部の左右の両側が通路とされる場合が多いが、2以上の覆い部の間に、長尺部材支持部が設けられていることで、これに支持された長尺部材が通路に侵出することを抑制できる。
【0011】
また、本発明のバックシェルでは、前記長尺部材支持部が、前後方向に延在する板状部と、前記板状部の後端から延出されて、前記覆い部との間に前記長尺部材を挟む弧状部と、を有し、前記弧状部が前記支持面を有していることが好ましい。これによれば、長尺部材支持部により、長尺部材が覆い部及び支持面に接触した状態で支持される構成が実現されるから、足元スペースを十分に確保することができる。
【0012】
また、本発明のバックシェルでは、前記弧状部が一対設けられ、一対の前記弧状部が、前記板状部の左右の両側に並んで設けられていることが好ましい。これによれば、1つの長尺部材支持部により、2本の長尺部材を支持させる構造が実現されるから、足元スペースを十分に確保することができる。
【0013】
本発明のバックシェル付きシートは、請求項1から請求項4のうち何れか一項に記載のバックシェルと、前記シートと、を備えたことを特徴とする。
【0014】
以上のような本発明によれば、長尺部材は、長尺部材支持部によって、支持面の内側に位置した際に、その軸が、前方に向かうに従って斜め下方に向かうように傾けられた状態で支持されるから、従来技術の如く、柄を除く部分が垂れ下がらない。このため、後方のシートに着座した人の足元スペースを確保することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明のバックシェル及びバックシェル付きシートによれば、傘等の長尺部材を支持する構造を有しつつ、足元スペースの確保を図ったバックシェル及びバックシェル付きシートを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態に係るバックシェル付きシートを、
図1〜
図5を参照して説明する。
図1、
図2は、実施形態に係るバックシェル付きシート1を示す斜視図である。
【0018】
本実施形態のバックシェル付きシート1は、
図1、
図2に示すように、左右に並ぶ一対のシート2、3と、一対のシート2、3を支持する(覆う)とともにこれらシート2、3の背もたれ4を覆うバックシェル10と、を有して構成されている。
【0019】
図1等に示されたバックシェル付きシート1は、
図3にも示すように、列車の乗車空間において、左右に並んだ一対のシート2、3(
図3において符号3は不図示)が、縦列するように車両の進行及び後退方向(前後方向)に等間隔をあけて設置されている。
図3は、バックシェル付きシート1、1A、1B、1Cが前後に並んで設置された様子を示す側面図である。
図3にあっては、先頭(1番目)にあるバックシェル付きシートに符号1を、2番目にあるバックシェル付きシートに符号1Aを、3番目にあるバックシェル付きシートに符号1Bを、4番目にあるバックシェル付きシートに符号1Cを付している。なお、本実施形態では、車両の進行及び後退方向を「前後方向」と記し、車幅方向(
図3における紙面垂直方向)を「左右方向」と記し、鉛直方向を「上下方向」と記す場合がある。
【0020】
図3、4に示すように、各シート2、3(符号3は不図示)は、乗車空間を構成するフロアFに対向する座5と、座5の後端に支持された背もたれ4と、座5の前端に支持されたレッグレスト6と、を有しているとともに、背もたれ4を後方へ傾倒させる機構(以下、「リクライニング機構」と記す)を有して構成されている。
図3において、バックシェル付きシート1、1Cは、リクライニング機構により背もたれ4を傾倒させた状態を示している。
【0021】
バックシェル10は、リクライニング機構により各シート2、3の背もたれ4を傾倒させた際に、後方のバックシェル付きシート1A、1B、1Cに着座した人(乗員)に圧迫感を感じさせ難くするための固定式バックシェルである。さらに、本実施形態のバックシェル10は、
図3に示すように、その第1上縁部14aが、着座した乗員の目線と略同じ位置か下方に位置しているから、より一層、乗員に圧迫感を感じさせ難い。
【0022】
バックシェル10は、
図1、
図2、
図4に示すように、一対のシート2、3(
図1、
図2に示す)の左右の両側に設けられて肘掛け11a、11a(
図1に示す)として機能する略台形状の一対の側板部11A、11B(
図1に示す)と、一対のシート2、3より後方側にて一対の側板部11A、11B間に架け渡される長方形状の下側板部12(
図2に示す)と、展開、収納可能な展開テーブル13(
図2、
図4に示す)が設けられるとともに各シート2、3の背もたれ4を覆う一対の覆い部14A、14B(
図1、
図2に示す)と、各展開テーブル13と下側板部12との間に設けられた開閉式ポケット15(
図2に示す)と、一対の覆い部14A、14Bの間から前方に延出される肘掛け11b(
図1に示す)と、を有して構成されている。肘掛け11aと肘掛け11bは、フロアFからの高さが略同じ高さ(位置)になるように設けられている。
【0023】
さらにバックシェル10には、
図2に示すように、傘Aや杖等の長尺部材を支持する2つの傘支持部7(長尺部材支持部)と、ドリンク等の容器を支持する2つのドリンクホルダ8と、複数(図示例では4個)のフック9と、が設けられている。傘支持部7及びドリンクホルダ8は、各シート2、3に着座する各乗員に対して1つずつ設けられ、フック9は、各乗員に対して2つずつ設けられている。2つのドリンクホルダ8は、下側板部12の両端部12a、12bのそれぞれの上方側でかつ傘支持部7より下方に設けられている。各覆い部14A(14B)に設けられた2つのフック9は、展開テーブル13の左右の両側でかつ、収納状態の展開テーブル13の上下の真ん中辺りに設けられている。
【0024】
一対の側板部11A、11Bは、
図1に示すように、肘掛け11aとして機能する上端面(符号11aを付す)と、これに略対向する下端面11cと、上端面11a及び下端面11cの各前端に連続される前端面11dと、上端面11a及び下端面11cの各後端に連続される後端面11eと、を有して構成されている。後端面11eは、前方に向かうに従って斜め下方に向かうように傾斜している。
【0025】
下側板部12は、
図2に示すように、各側板部11A、11Bの各後端面11eと略同じ角度に傾斜した状態で、一対の側板部11A、11B間に支持されている。
【0026】
各覆い部14A、14Bは、
図2、
図3に示すように、展開テーブル13を有する覆い部本体16と、覆い部本体16の左右方向の両端から各シート2、3を挟むように前方に延出された一対の延出部17、18と、を有して上面視略コ字状に形成されている。各一対の延出部17、18は、一方が、一対のシート2、3の左右の両側に位置する側板部11A、11Bに連続され、他方が肘掛け11bに連続されている。
【0027】
覆い部本体16は、
図4に示すように、各シート2、3の背もたれ4の傾倒を許容するように、所定の寸法だけ各シート2、3から後方に離間して設けられている。
【0028】
このような各覆い部14A、14Bは、
図2に示すように、覆い部本体16に設けられて左右に延在する第1上縁部14aと、一対の延出部17、18に設けられて前方に向かうに従って斜め下方に向かうように傾斜する一対の第2上縁部14b、14bと、第1上縁部14aと略平行な第3下縁部14cと、第3下縁部14cの両端に連続されて一対の第2上縁部14b、14bそれぞれと略平行な一対の第4下縁部14d、14dと、を有している。一対の第2上縁部14b、14bは、各上端が第1上縁部14aに連続され、下端のうち一方が肘掛け11aに連続され、他方が肘掛け11bに連続されている。各第4下縁部14d、14dは、各側板部11A、11Bの各後端面11eと略等しい傾斜角を有して各後端面11eに連続されている。
【0029】
傘支持部7は、
図2に示すように、隣接するシート2、3間の延出部17、18に挟んで固定される矩形状の板状部71と、板状部71の後端に連続されて各覆い部14A、14Bと対向するような弧状を有する一対のC字状部72、72(弧状部)と、を一体に有して構成された樹脂成型品である。各C字状部72は、板状部71の後端から離れた左右の端部72aの前後の位置を変位させるように、弾性変形可能に設けられている。即ち、傘支持部7(長尺部材支持部)の支持面70は、傘A(長尺部材)を、宙に浮いた状態(傘Aの先端がフロアFから離間した状態)で支持するような構造(グリップ力)を有している。
【0030】
板状部71は、
図2に示すように、後端に向かうに従って斜め下方に向かうように設けられている。この板状部71は、前端(板状部71の付け根)が、隣接するシート2、3間の延出部17、18にボルト固定されている。また、板状部71は、その前端が、肘掛け11a、11bと略同じ高さ(位置)になるように設けられている。即ち、傘支持部7は、傘Aが、宙に浮いた状態で支持されるような高さ(位置)に設けられている。従って、傘支持部7(長尺部材支持部)の支持面70は、傘A(長尺部材)を、宙に浮いた状態(傘Aの先端がフロアFから離間した状態)で支持するような構造(形成位置)を有している。
【0031】
各C字状部72は、
図2に示すように、各覆い部14A、14Bに対向するとともに、傘Aの外周面に接触する湾曲面70(支持面)を有して構成されている。湾曲面70は、前方に向かうに従って斜め下方に延在する面を有して構成されている。また、湾曲面70は、前方に向かうに従って斜め下方に延在する延在方向の長さが、傘Aを宙に浮いた状態で支持することが可能な強度を有する長さに形成されている。また、各C字状部72において、着座した乗員に対向する面には、
図2に示すように傘マークが表示されている。こうして、傘支持部7の使用例の一例を着座した乗員に図示している。
【0032】
このような傘支持部7にあっては、
図5に示すように、傘A(長尺部材)を、覆い部14A(14B)とC字状部72との間に、左右の外側から傘Aを板状部71に近付けるように挿入することで、傘AがC字状部72の内側(支持面70の内側)に位置して、傘支持部7に支持される。この際、傘Aは、その軸が、前方に向かうに従って斜め下方に向かうように傾けられた状態で支持されるから、柄を除く部分が垂れ下がらない。このため、後方のシート2、3に着座した人の足元スペースを確保することができる。
【0033】
また、傘支持部7(長尺部材支持部)の支持面70は、傘A(長尺部材)を、宙に浮いた状態(傘Aの先端がフロアFから離間した状態)で支持するような構造(形成位置やグリップ力)を有している。これによれば、傘Aが、宙に浮いた状態で支持されるから、足元スペースを十分に確保することができる。
【0034】
また、傘支持部7(長尺部材支持部)により、傘A(長尺部材)が前方に向かうに従って斜め下方に向かうように傾けられた状態で支持されるから、傘Aが搖動することなく、目障りにならない。
【0035】
また、本実施形態のバックシェル10にあっては、覆い部14A、14Bを2以上有し、2以上の覆い部14A、14Bが左右に並んで設けられ、これら覆い部14A、14Bの間に、傘支持部7(長尺部材支持部)が設けられている。ここで、2以上の覆い部14A、14Bが左右に並んで設けられる状況(例えば、乗員室内や映画館等の劇場)では、2以上の覆い部14A、14Bの左右の両側が通路とされる場合が多いが、2以上の覆い部14A、14Bの間に、傘支持部7が設けられていることで、これに支持された傘A(長尺部材)が通路に侵出することを抑制できる。
【0036】
また、本実施形態のバックシェル10にあっては、傘支持部7(長尺部材支持部)が、前後方向に延在する板状部71と、板状部71の後端から延出されて、覆い部14A(14B)との間に傘A(長尺部材)を挟むC字状部72、72(弧状部)と、を有し、各C字状部72が支持面70を有している。傘支持部7により、傘Aが覆い部14A(14B)に接触した状態で支持される構成が実現されるから、足元スペースを十分に確保することができる。
【0037】
また、本実施形態のバックシェル10にあっては、C字状部72(弧状部)が一対設けられ、一対のC字状部72、72が左右に並んで設けられている。これによれば、1つの傘支持部7(長尺部材支持部)により、2本の傘A(長尺部材)を支持させる構造が実現されるから、足元スペースを十分に確保することができる。
【0038】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的が達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形例も本発明に含まれる。
【0039】
上記実施形態では、バックシェル付きシート1は、一対のシート2、3と、これらのシート2、3を支持する(覆う)一対の覆い部14A、14Bを含むバックシェル10と、を有して構成されていたが、本発明はこれに限定されるものではない。バックシェル付きシートは、1つのシート2(3)とこれを支持する1つの覆い部14A(14B)を含むバックシェルとを有して構成されていてもよく、3つ以上のシート2(3)とこれを支持する3以上の覆い部14A(14B)を含むバックシェルとを有して構成されていてもよい。ここで、バックシェル付きシートが3つ以上のシート2(3)を有して構成されていた場合には、傘支持部7(長尺部材支持部)は、隣接するシート2、3間に設けられるので、シート2(3)の数よりも1つ少ない数だけ設けられていればよい。
【0040】
また、上記実施形態では、傘支持部7(長尺部材支持部)は、隣接する2つの覆い部14A、14Bの間に設けられているが、本発明はこれに限定されるものではない。傘支持部は、2つの覆い部14A、14Bの間に設けられていなくともよい。例えば、傘支持部は、隣接する覆い部14A、14Bの左右の両側それぞれに設けられていてもよく、覆い部14A(14B)において、フック9の近傍に設けられていてもよく、各側板部11A(11B)に設けられていてもよい。即ち、傘支持部により、傘Aが前方に向かうに従って斜め下方に向かうように傾けられた状態で支持されていれば、バックシェル10の何れの位置に設けられていてもよい。
【0041】
また、上記実施形態では、傘支持部7(長尺部材支持部)は、一対のC字状部72、72(弧状部)を有していたが、本発明はこれに限定されるものではない。C字状部72は、傘支持部7に1つのみ設けられていてもよい。
【0042】
また、上記実施形態では、傘支持部7(長尺部材支持部)の支持面70は、傘A(長尺部材)を、宙に浮いた状態(傘Aの先端がフロアFから離間した状態)で支持するような構造(形成位置やグリップ力)を有しているが、本発明はこれに限定されるものではない。長尺部材支持部の支持面は、傘A(長尺部材)を、宙に浮いた状態(傘Aの先端がフロアFから離間した状態)で支持するような構造(形成位置やグリップ力)を有していなくともよい。長尺部材支持部の支持面が、傘A(長尺部材)を、宙に浮いた状態(傘Aの先端がフロアFから離間した状態)で支持するような構造(形成位置やグリップ力)を有していなくとも、本発明の権利範囲に含むものとする。
【0043】
また、上記実施形態では、傘支持部7(長尺部材支持部)は、隣接するシート2、3間の延出部17、18に挟んで固定される矩形状の板状部71と、板状部71の後端に連続されて各覆い部14A、14Bと対向するような弧状を有する一対のC字状部72、72(弧状部)と、を一体に有して構成された樹脂成型品であるが、本発明はこれに限定されるものではない。長尺部材支持部は弾性体から構成されていてもよい。これによれば、長尺部材支持部が過剰な変形により破損するのを抑制できる。
【0044】
また、上記実施形態では、傘支持部7は、傘A(長尺部材)を、覆い部14A(14B)とC字状部72との間に、左右の外側から傘Aを板状部71に近付けるように挿入することで、傘支持部7に支持させるようなC字状部(弧状部)を有していたが、本発明はこれに限定されるものではない。傘支持部(長尺部材支持部)は、
図6に示すように、傘Aの先端を、傘支持部の上方から挿入することでこれに支持させるような環状部72´(弧状部)を有して構成されていてもよい。環状部には、前方に向かうに従って斜め下方に延在する支持面が設けられていればよい。
【0045】
その他、本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、且つ、説明されているが、本発明の技術的思想及び、目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。従って、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部、もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。