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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-130806(P2018-130806A)
(43)【公開日】2018年8月23日
(54)【発明の名称】チップコンベア
(51)【国際特許分類】
   B23Q 11/00 20060101AFI20180727BHJP
【FI】
   B23Q11/00 S
   B23Q11/00 U
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-26758(P2017-26758)
(22)【出願日】2017年2月16日
(71)【出願人】
【識別番号】000146847
【氏名又は名称】DMG森精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北出 雄平
(72)【発明者】
【氏名】松山 知義
(72)【発明者】
【氏名】山崎 太
【テーマコード(参考)】
3C011
【Fターム(参考)】
3C011BB34
(57)【要約】
【課題】貯留部に貯留された切屑を意図したタイミングで落下させることが可能なチップコンベア、を提供する。
【解決手段】チップコンベアは、端部43を有し、切屑を案内する案内板41と、案内板41と摺接しながら移動し、案内板41上の切屑を端部43に向けて搬送する掻き板21と、端部43よりも下方に設けられ、端部43から落下する切屑を貯留する貯留部81とを備える。貯留部81は、移動する掻き板21から力が伝達されることによって、貯留部81に貯留された切屑を落下させるように動作する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
端部を有し、切屑を案内する案内板と、
前記案内板と摺接しながら移動し、前記案内板上の切屑を前記端部に向けて搬送する掻き板と、
前記端部よりも下方に設けられ、前記端部から落下する切屑を貯留する貯留部とを備え、
前記貯留部は、移動する前記掻き板から力が伝達されることによって、前記貯留部に貯留された切屑を落下させるように動作する、チップコンベア。
【請求項2】
前記貯留部は、切屑を受ける底板を有し、
前記貯留部は、前記底板が傾くように動作する、請求項1に記載のチップコンベア。
【請求項3】
前記掻き板の移動経路上に設けられ、移動する前記掻き板から力を受けながら動作して、前記掻き板を清掃する清掃部をさらに備え、
前記清掃部は、回転軸と、前記回転軸を中心に揺動可能に支持される板状部とを有し、
前記板状部は、前記回転軸から一方の側に延出し、前記掻き板の清掃時に前記掻き板と接触する第1延出部と、前記回転軸から他方の側に延出し、前記貯留部が連結される第2延出部とを含み、
前記清掃部は、前記掻き板から力を受けることによって、前記第1延出部が前記掻き板の移動経路上で前記掻き板を待ち受ける第1状態から、前記第1延出部による前記掻き板の清掃が完了する第2状態まで揺動し、
前記貯留部は、前記第2状態において、前記底板が傾くように前記第2延出部により持ち上げられる、請求項2に記載のチップコンベア。
【請求項4】
前記清掃部に重量を作用させるように設けられる錘部をさらに備え、
前記清掃部は、前記錘部の重量により、前記第2状態から前記第1状態まで戻る、請求項3に記載のチップコンベア。
【請求項5】
前記案内板を収容するカバー体をさらに備え、
前記カバー体は、前記貯留部に下方から当接し、前記案内板を収容する前記カバー体の内側の空間と、その外側の空間とを区画する壁部を有し、
前記第1状態において、前記貯留部、前記第2延出部および前記第1延出部は、前記端部から落下する切屑を前記カバー体の外側の空間に導くように、前記壁部から前記端部に向けて延びる壁形状をなす、請求項3または4に記載のチップコンベア。
【請求項6】
前記案内板を収容するカバー体をさらに備え、
前記貯留部は、切屑に含まれる切削油が流通可能な孔が形成され、切屑を受ける底板を有し、
前記カバー体は、前記底板に下方から当接し、前記案内板を収容する前記カバー体の内側の空間と、その外側の空間とを区画する壁部を有し、
前記孔は、前記底板を挟んだ両側の空間のうち、前記カバー体の内側の空間に連通し、
前記貯留部は、切屑を落下させる際に、前記壁部により支持されながら、前記底板が前記カバー体の内側の空間に向けて斜め下方向に延在する状態から、前記底板が前記カバー体の外側の空間に向けて斜め下方向に延在する状態まで動作する、請求項1から5のいずれか1項に記載のチップコンベア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、一般的には、チップコンベアに関し、より特定的には、工作機械で発生したワークの切屑を搬送するチップコンベアに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のチップコンベアに関して、たとえば、実開平7−20234号公報には、切屑とともに排出されるクーラント液等の液体を分離し、不必要な液体の排出を防止することを目的とした、チップコンベアの補助装置が開示されている(特許文献1)。
【0003】
特許文献1に開示されたチップコンベアの補助装置は、チップコンベアの切屑排出口の下方に揺動可能に支持されるシュートを備える。そのシュートには、切屑の蓄積および切屑排出への案内を行なうトレー部と、気体を液体回収部に案内する液体案内部と、トレー部に蓄積された切屑から液体のみを液体案内部に流す液体通過部とが設けられている。シュートが第1状態にある時、トレー上の切屑に付着したクーラント液が、液体案内部を通じてクーラントタンクに戻される。シュートが、やがて切屑の自重によって第1状態から第2状態に揺動すると、トレー部に蓄積されていた切屑が、切屑台車に排出される。
【0004】
そのほかに、実公昭62−40644号公報(特許文献2)、特開平11−33870号公報(特許文献3)、特開平11−208851号公報(特許文献4)および特開2009−23012号公報(特許文献5)に、各種のチップコンベアが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平7−20234号公報
【特許文献2】実公昭62−40644号公報
【特許文献3】特開平11−33870号公報
【特許文献4】特開平11−208851号公報
【特許文献5】特開2009−23012号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の特許文献1に開示されるように、クーラントタンクから排出される切屑を一旦貯留部に貯留させ、切削液を分離、回収した後、切屑を貯留部より落下させるチップコンベアが知られている。
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示されるチップコンベアの補助装置では、シュートが、トレー部上の切屑が規定重量に達するタイミングで第1状態から第2状態に揺動し始めるため、トレー部上の切屑を意図したタイミングで排出することができない。この場合、たとえば、トナー部上の切屑が十分に水切りされていないうちに規定重量となり、トナー部より落下してしまう懸念が生じる。
【0008】
そこでこの発明の目的は、上記の課題を解決することであり、貯留部に貯留された切屑を意図したタイミングで落下させることが可能なチップコンベアを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明に従ったチップコンベアは、端部を有し、切屑を案内する案内板と、案内板と摺接しながら移動し、案内板上の切屑を端部に向けて搬送する掻き板と、端部よりも下方に設けられ、端部から落下する切屑を貯留する貯留部とを備える。貯留部は、移動する掻き板から力が伝達されることによって、貯留部に貯留された切屑を落下させるように動作する。
【0010】
このように構成されたチップコンベアによれば、貯留部は掻き板から力が伝達されることによって動作するため、貯留部に貯留された切屑を意図したタイミングで落下させることができる。
【0011】
また好ましくは、貯留部は、切屑を受ける底板を有する。貯留部は、底板が傾くように動作する。
【0012】
このように構成されたチップコンベアによれば、貯留部が底板が傾くように動作することによって、底板上の切屑を落下させることができる。
【0013】
また好ましくは、チップコンベアは、掻き板の移動経路上に設けられ、移動する掻き板から力を受けながら動作して、掻き板を清掃する清掃部をさらに備える。清掃部は、回転軸と、回転軸を中心に揺動可能に支持される板状部とを有する。板状部は、回転軸から一方の側に延出し、掻き板の清掃時に掻き板と接触する第1延出部と、回転軸から他方の側に延出し、貯留部が連結される第2延出部とを含む。清掃部は、掻き板から力を受けることによって、第1延出部が掻き板の移動経路上で掻き板を待ち受ける第1状態から、第1延出部による掻き板の清掃が完了する第2状態まで揺動する。貯留部は、第2状態において、底板が傾くように第2延出部により持ち上げられる。
【0014】
このように構成されたチップコンベアによれば、掻き板を清掃する清掃部の動作と連動させて、底板が傾くように貯留部を動作させることができる。
【0015】
また好ましくは、清掃部に重量を作用させるように設けられる錘部をさらに備える。清掃部は、錘部の重量により、第2状態から第1状態まで戻る。
【0016】
このように構成されたチップコンベアによれば、清掃部および貯留部を繰り返し動作させることができる。
【0017】
また好ましくは、チップコンベアは、案内板を収容するカバー体をさらに備える。カバー体は、貯留部に下方から当接し、案内板を収容するカバー体の内側の空間と、その外側の空間とを区画する壁部を有する。第1状態において、貯留部、第2延出部および第1延出部は、端部から落下する切屑をカバー体の外側の空間に導くように、壁部から端部に向けて延びる壁形状をなす。
【0018】
このように構成されたチップコンベアによれば、端部から落下する切屑がカバー体の内側の空間に侵入することを防止できる。
【0019】
また好ましくは、チップコンベアは、案内板を収容するカバー体をさらに備える。貯留部は、切屑に含まれる切削油が流通可能な孔が形成され、切屑を受ける底板を有する。カバー体は、底板に下方から当接し、案内板を収容するカバー体の内側の空間と、その外側の空間とを区画する壁部を有する。孔は、底板を挟んだ両側の空間のうち、カバー体の内側の空間に連通する。貯留部は、切屑を落下させる際に、壁部により支持されながら、底板がカバー体の内側の空間に向けて斜め下方向に延在する状態から、底板がカバー体の外側の空間に向けて斜め下方向に延在する状態まで動作する。
【0020】
このように構成されたチップコンベアによれば、切屑を貯留部に貯留する際には、切屑に付着する切削油を孔を通じてカバー体の内側の空間に戻すことができる。また、切屑を落下させる際には、切屑を貯留部からカバー体の外側の空間に排出することができる。
【発明の効果】
【0021】
以上に説明したように、この発明に従えば、貯留部に貯留された切屑を意図したタイミングで落下させることが可能なチップコンベアを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】この発明の実施の形態におけるチップコンベアを示す断面図である。
図2図1中の掻き板を示す斜視図である。
図3図1中の2点鎖線IIIで囲まれた範囲を拡大して示す図である。
図4図3中の切屑の水切り機構および掻き板の清掃機構の動作を示す斜視図である。
図5図3中の切屑の水切り機構および掻き板の清掃機構の動作を示す斜視図である。
図6図3中の切屑の水切り機構および掻き板の清掃機構の動作を示す斜視図である。
図7図3中の清掃部および貯留部の動作の流れを示す図である。
図8図3中の清掃部および貯留部の動作の流れを示す図である。
図9図3中の清掃部および貯留部の動作の流れを示す図である。
図10図3中の清掃部および貯留部の動作の流れを示す図である。
図11図3中の清掃部および貯留部の動作の流れを示す図である。
図12図3中の清掃部および貯留部の動作の流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
この発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下で参照する図面では、同一またはそれに相当する部材には、同じ番号が付されている。
【0024】
図1は、この発明の実施の形態におけるチップコンベアを示す断面図である。図1を参照して、この発明の実施の形態におけるチップコンベア10は、工作機械で発生したワークの切屑を搬送するための装置である。
【0025】
まず、チップコンベア10の全体構造について説明する。チップコンベア10は、カバー体51を有する。カバー体51は、チップコンベア10の外観をなす。カバー体51は、内部に空間を形成する筐体形状を有する。
【0026】
カバー体51は、水平部56および立ち上がり部57を有する。カバー体51は、全体として、水平部56および立ち上がり部57の間で屈曲した形状を有する。水平部56は、チップコンベア10の設置面に載置され、水平方向に延伸する。立ち上がり部57は、水平方向に延伸する水平部56の一方端から立ち上がり、斜め上方向に延伸する。
【0027】
カバー体51は、切屑受け入れ口52および切屑排出口53をさらに有する。切屑受け入れ口52は、水平部56の、立ち上がり部57に連なる一方端とは反対側の他方端に設けられている。切屑受け入れ口52は、鉛直上方向に向けて開口するカバー体51の開口部からなる。切屑排出口53は、斜め上方向に延伸する先の立ち上がり部57の端部に設けられている。切屑排出口53は、鉛直下方向に向けて開口するカバー体51の開口部からなる。
【0028】
チップコンベア10が工作機械に対して設置された状態において、切屑受け入れ口52は、工作機械の加工領域の下方に位置決めされる。切屑排出口53の下方には、切屑を回収するためのチップバケットが配置される。工作機械の加工領域から排出されたワークの切屑は、切屑受け入れ口52を通じてカバー体51内に受け入れられる。切屑は、続いて説明する搬送機構によりカバー体51の内部で搬送され、切屑排出口53を通じてチップバケットに回収される。
【0029】
チップコンベア10は、一対の無端チェーン31と、駆動スプロケット61と、従動スプロケット62とをさらに有する。一対の無端チェーン31、駆動スプロケット61および従動スプロケット62は、カバー体51に収容されている。
【0030】
駆動スプロケット61は、斜め上方向に延伸する先の立ち上がり部57の端部に設けられている。駆動スプロケット61は、切屑排出口53の上方に配置されている。駆動スプロケット61は、図1を示す紙面に直交する方向(以下、この方向を「チップコンベア10の幅方向」ともいう)に延びる軸を中心に回転可能に支持されている。駆動スプロケット61は、モータ(不図示)から動力が伝達されることにより、回転駆動する。
【0031】
従動スプロケット62は、水平部56および立ち上がり部57の間の屈曲部に設けられている。従動スプロケット62は、チップコンベア10の幅方向に延びる軸を中心に回転可能に支持されている。従動スプロケット62は、中空形状を有し、その内側にはクーラント用のフィルタ63が設置されている。フィルタ63は、筒形状を有し、その内側に内部空間64を形成する。
【0032】
一対の無端チェーン31は、チップコンベア10の幅方向に距離を隔てて平行に配置されている。無端チェーン31は、カバー体51の内部において、水平部56および立ち上がり部57の間に渡って環状に配索されている。無端チェーン31は、カバー体51の内部において、切屑受け入れ口52に対向する位置と、切屑排出口53に対向する位置との間で往復するように配索されている。
【0033】
無端チェーン31は、カバー体51内で配索される経路上において、駆動スプロケット61および従動スプロケット62に掛け回されるとともに、複数のガイド部材によって案内されている。切屑の搬送時、無端チェーン31は、駆動スプロケット61が回転駆動することにより、矢印101(ハッチングが付された矢印)に示す方向に回動する。
【0034】
無端チェーン31の進行方向は、水平部56の他方端側(図1中に示す反転位置91)において、ガイド部材(不図示)により反転される。無端チェーン31の進行方向は、斜め上方向に延伸する先の立ち上がり部57の端部(図1中に示す反転位置92)において、駆動スプロケット61により反転される。反転位置91および反転位置92は、無端チェーン31が配索される経路の両端に位置する。
【0035】
反転位置91および反転位置92をそれぞれ始点および終点として、無端チェーン31(後述する案内板41)が切屑受け入れ口52に対向する位置から切屑排出口53に対向する位置に向かう経路を往路と呼び、反転位置92および反転位置91をそれぞれ始点および終点として、無端チェーン31(後述する案内板41)が切屑排出口53に対向する位置から切屑受け入れ口52に対向する位置に戻る経路を復路と呼ぶ。無端チェーン31は、復路よりも往路が鉛直上側に位置するように配索されている。
【0036】
従動スプロケット62には、復路を進行する無端チェーン31が掛け回されている。水平部56において、往路を進行する無端チェーン31と、復路を進行する無端チェーン31とは、互いに平行である。
【0037】
チップコンベア10は、案内板(インナーパン)41と、複数の掻き板21とをさらに有する。案内板41および複数の掻き板21は、カバー体51に収容されている。チップコンベア10は、案内板(インナーパン)41を備えるスクレーパータイプである。
【0038】
案内板41は、カバー体51の内部において、切屑受け入れ口52に対向する位置から切屑排出口53に対向する位置に向けて切屑を案内する板部材である。掻き板21は、案内板41と摺接しながら移動することにより、案内板41上の切屑を搬送する板部材である。
【0039】
案内板41は、環状に配索される無端チェーン31の内側に配置されている。案内板41は、水平部56の他方端側に配置される端部42と、斜め上方向に延伸する先の立ち上がり部57の端部側に配置される端部43とを有する。案内板41は、端部42および端部43の間で板状に延在する。案内板41は、その板状に延在する方向に直交する方向(チップコンベア10の幅方向)における両端において、カバー体51の内側面に固定されている。
【0040】
案内板41は、水平部56において、往路および復路を進行する無端チェーン31に沿って設けられている。案内板41は、立ち上がり部57において、往路を進行する無端チェーン31に沿って設けられている。水平部56および立ち上がり部57の間の屈曲部において、往路を進行する無端チェーン31と従動スプロケット62との間に、案内板41が配置され、案内板41と復路を進行する無端チェーン31との間に、従動スプロケット62が配置されている。
【0041】
なお、案内板の形状は、上記のものに限られるものではなく、切屑受け入れ口および切屑排出口の位置関係や、掻き板の移動経路等によって適宜変更される。
【0042】
図2は、図1中の掻き板を示す斜視図である。図1および図2を参照して、掻き板21は、無端チェーン31に固定されている。掻き板21は、一対の無端チェーン31の間において、案内板41と接触しつつ、チップコンベア10の幅方向に板状に延在する。複数の掻き板21は、無端チェーン31が環状に延びる方向において互いに間隔を隔てて配置されている。
【0043】
無端チェーン31の回動に伴って、掻き板21は、案内板41と摺接しながら、矢印101に示す方向に周回移動する。掻き板21は、往路を移動する間、端部42から端部43までの案内板41と摺接する。掻き板21は、復路を移動する間、水平部56において案内板41と摺接する。
【0044】
掻き板21には、複数の貫通孔26が形成されている。貫通孔26は、掻き板21を貫通するように設けられている。各貫通孔26は、スリット形状を有する。複数の貫通孔26は、チップコンベア10の幅方向に並んで設けられている。
【0045】
なお、掻き板の形状は、案内板上の切屑を搬送可能なものであれば、特に限定されない。また、掻き板に形成される貫通孔の形状や数は、クーラントの流通が可能であれば、特に限定されない。
【0046】
切屑受け入れ口52を通じてカバー体51内に受け入れられた切屑は、切屑受け入れ口52の直下の案内板41上に乗る。掻き板21が案内板41と摺接しながら往路を進行することにより、案内板41上の切屑が搬送される。掻き板21が案内板41の端部43に達すると、案内板41上の切屑は、端部43から落下する。
【0047】
工作機械からは、切屑の他にワーク加工に用いられた切削油(クーラント)が排出される。本実施の形態では、掻き板21に貫通孔26が形成されているため、切屑受け入れ口52を通じてカバー体51内に受け入れられたクーラントは、主に、貫通孔26を通過して、案内板41とカバー体51の底板との間の空間47に向かう(図1中の矢印102(白抜きの矢印)に示す流れ)。切削油は、従動スプロケット62内のフィルタ63によりろ過されたあと、内部空間64からクーラントタンク(不図示)に排出される。
【0048】
その一方で、切削油の一部は、案内板41上の切屑に付着した状態で存在している。また、掻き板21に貫通孔26が形成されることにより掻き板21の表面積が増大するため、表面張力によって掻き板21の表面に付着する切削油も多分に存在する。これらの切削油は、切屑と一緒にチップコンベアから排出される可能性があるため、本実施の形態におけるチップコンベア10では、切屑の水切り機構(切屑と一緒に排出されようとする切削油を切屑から分離、回収する機構)が設けられている。
【0049】
図3は、図1中の2点鎖線IIIで囲まれた範囲を拡大して示す図である。図4から図6は、図3中の切屑の水切り機構および掻き板の清掃機構の動作を示す斜視図である。
【0050】
図3から図6を参照して、チップコンベア10は、貯留部81をさらに有する。貯留部81は、案内板41の端部43よりも下方に設けられている。貯留部81は、図1中の切屑排出口53の上方に設けられている。貯留部81は、案内板41の端部43から落下する切屑を貯留可能なように構成されている。
【0051】
より具体的には、貯留部81は、その構成部位として、底板82と、一対の第1側板83と、第2側板84とを有する。
【0052】
底板82は、切屑を受けることが可能な板形状を有する。底板82は、矩形形状の平面視を有する。一対の第1側板83は、チップコンベア10の幅方向における底板82の両端から立ち上がっている。第2側板84は、底板82の端部から立ち上がり、一対の第1側板83間において、チップコンベア10の幅方向に延在している。貯留部81は、底板82を平面的に見た場合に、一対の第1側板83および第2側板84が、底板82周りの三方で壁形状をなし、底板82周りの残る一方が開放されている受け皿形状を有する。
【0053】
貯留部81には、切削油が流通可能な孔86が設けられている。本実施の形態では、孔86が、底板82に設けられている。孔86は、底板82を貫通する貫通孔として設けられている。孔86は、底板82と第2側板84との隅部に設けられている。複数の孔86が、チップコンベア10の幅方向に並んで設けられている。
【0054】
底板82は、その構成部位として、折り返し部82kを有する。折り返し部82kは、第2側板84と対向する底板82の端部が、一対の第1側板83および第2側板84とは反対側に折れ曲がって設けられている。折り返し部82kは、第2側板84と対向する底板82の端部が、後述する壁部54の側に折れ曲がって設けられている。
【0055】
カバー体51は、壁部54を有する。壁部54は、案内板41の端部43の下方で壁形状をなしている。壁部54は、カバー体51の内側の空間110(以下、単に「内側空間110」という)と、カバー体51の外側の空間120(以下、単に「外側空間120」という)との間を区画している。内側空間110には、案内板41や掻き板21、無端チェーン31等のチップコンベア10の構成部品が収容されている。外側空間120には、切屑排出口53がある。
【0056】
壁部54は、下方から底板82に当接している。貯留部81は、壁部54により下方から支持されている。
【0057】
案内板41は、端部43から所定長さに渡る水平区間48と、水平区間48に向かって斜め上方向に延びる傾斜区間49とを有する。案内板41の端部43は、掻き板21の移動方向において、駆動スプロケット61により掻き板21の移動方向が変化する位置36よりも上流側に設けられている。
【0058】
案内板41の端部43から落下する切屑の貯留時、貯留部81は、第3状態(図3および図4中に示す貯留部81の状態)とされている。第3状態において、貯留部81は、底板82上に切屑が堆積可能な姿勢に保持されている。掻き板21の移動により案内板41から掻き出された切屑は、切削油とともに端部43から落下し、貯留部81で受け止められる。切屑が貯留部81に貯留される間、切削油は、切屑から分離されて回収される。
【0059】
貯留部81が第3状態にある時、孔86は、壁部54の両側の内側空間110および外側空間120のうちの内側空間110に連通している。貯留部81が第3状態にある時、底板82は、内側空間110に向けて斜め下方向に延在する姿勢(たとえば、水平方向に対して3〜5°の傾斜)に保持されている。このような構成により、貯留部81で受け止められた切削油は、底板82上を流れて底板82と第2側板84との隅部に集まり、孔86を通じて内側空間110に回収されていく。
【0060】
貯留部81は、移動する掻き板21から力が伝達されることによって、貯留部81に貯留された切屑を落下させるように動作する。貯留部81は、移動する掻き板21から力が伝達されることによって、上記の第3状態から、切屑を落下させる第4状態(図5および図6中に示す貯留部81の状態)に動作する。
【0061】
切屑を落下させる際、貯留部81は、壁部54により支持されながら、底板82が傾くように動作する。貯留部81が第4状態にある時、底板82は、外側空間120に向けて斜め下方向に延在する姿勢に保持されている。このような構成により、貯留部81に堆積する切屑は、底板82の傾きに伴って、貯留部81から切屑排出口53に向けて落下する。
【0062】
なお、底板82の折り返し部82kは、貯留部81が壁部54による支持から外れることを防ぐストッパーとして機能する。図6中には、チップコンベア10をその幅方向に直交する仮想平面210により切断した場合の断面が示されている。貯留部81および後述する清掃部71と対向するカバー体51の側面には、開口部55が設けられている。開口部55を塞ぐように透明窓(不図示)が取り付けられることによって、貯留部81における切屑落下動作と、清掃部71における清掃動作とを、カバー体51の外側から確認することができる。
【0063】
本実施の形態におけるチップコンベア10では、掻き板21を清掃する清掃機構が設けられている。移動する掻き板21からの力は、この掻き板21の清掃機構を介して、上記の切屑の水切り機構に伝達される。そこで、まず、掻き板21の清掃機構について説明する。
【0064】
チップコンベア10は、清掃部71および錘部76をさらに有する。清掃部71は、掻き板21に付着した切屑を除去するための清掃手段として設けられている。
【0065】
清掃部71は、掻き板21の移動経路上に設けられている。清掃部71は、掻き板21の復路の移動経路上に設けられている。清掃部71は、斜め上方向に延伸する先の立ち上がり部57の端部に設けられている。清掃部71は、案内板41の端部43よりも下方に設けられている。清掃部71は、図1中の切屑排出口53の上方に設けられている。
【0066】
清掃部71は、回転軸72および板状部73を有する。回転軸72は、チップコンベア10の幅方向に沿って軸状に延びる。回転軸72は、移動する掻き板21よりも下方に設けられている。
【0067】
板状部73は、回転軸72から延出する板形状を有する。板状部73は、回転軸72を中心に揺動可能に支持されている。板状部73は、その構成部位として、第1延出部73Lおよび第2延出部73Mを有する。第1延出部73Lは、回転軸72から一方の側に延出し、第2延出部73Mは、回転軸72から他方の側に延出する。第1延出部73Lは、その回転軸72から一方の側に延出する先端に先端部73jを有する。
【0068】
錘部76は、清掃部71に重量を作用させるように設けられている。錘部76は、回転軸72から他方の側に延出する第2延出部73Mの延長上に設けられている。本実施の形態では、錘部76が、貯留部81(より具体的には、第2側板84)に固定されている。
【0069】
清掃部71は、移動する掻き板21から力を受けながら掻き板21の表面を擦るように動作する。より具体的には、清掃部71は、移動する掻き板21から受ける力と、錘部76の重量とによって、第1延出部73Lが、掻き板21の移動経路上で掻き板21を待ち受ける第1状態(図3および図4中に示す清掃部71)と、第1延出部73Lによる掻き板21の清掃が完了する第2状態(図5および図6中に示す清掃部71)との間で揺動する。
【0070】
チップコンベア10は、連結機構部85をさらに有する。貯留部81は、連結機構部85を介して清掃部71に連結されている。
【0071】
連結機構部85は、ヒンジ(蝶番)から構成されている。貯留部81のうちの第2側板84が、連結機構部85によって、清掃部71のうちの第2延出部73Mに回動可能に連結されている。
【0072】
清掃部71が第1状態にある時、貯留部81は、切屑を貯留する第3状態にある。清掃部71が、移動する掻き板21から力を受けて第1状態から第2状態に動作する時、その清掃部71の動作と連動して、貯留部81が、第3状態から、切屑を落下させる第4状態に動作する。以下、清掃部71の動作と、清掃部71の動作と連動する貯留部81の動作とについて説明する。
【0073】
図7から図12は、図3中の清掃部および貯留部の動作の流れを示す図である。図7および図8を参照して、清掃部71における清掃工程および貯留部81における切屑落下工程が完了し、掻き板21Aが清掃部71から離れると、清掃部71は、錘部76の重量により、第2状態から第1状態に戻る。この清掃部71の動作に連動して、貯留部81は、第4状態から第3状態に戻る。
【0074】
図9を参照して、次の掻き板21Bが清掃部71が設けられた位置に達するまで、清掃部71は、第1状態で掻き板21Bを待ち受ける。第1状態において、清掃部71は、第1延出部73Lが、回転軸72から鉛直上側に延出し、先端部73jが、掻き板21の移動経路上に位置決めされ、第2延出部73Mが、回転軸72から鉛直下側に延出し、板状部73が、全体として、略鉛直方向に延在する姿勢とされている。
【0075】
一方、第3状態における貯留部81には、掻き板21Bの移動により案内板41から掻き出された切屑が堆積していく。貯留部81に貯留される切屑から切削油が分離され、内側空間110に回収される。
【0076】
図9中に示すように、清掃部71が第1状態にあり、貯留部81が第3状態にある時、貯留部81、第2延出部73Mおよび第1延出部73Lは、端部43から落下する切屑を外側空間120に導くように、壁部54から端部43に向けて延びる壁形状をなしている。この場合に、第1延出部73Lの先端部73jが、端部43よりも、掻き板21の移動方向における下流側(図9中の左側)に位置していることがさらに好ましい。
【0077】
図10から図12を参照して、掻き板21が清掃部71が設けられた位置に達すると、まず、第1延出部73Lの先端部73jが、掻き板21の表面に接触する。第1延出部73Lが移動する掻き板21に押されることによって、板状部73は、回転軸72を中心に揺動し始める。板状部73の揺動に伴って、掻き板21の表面に対する先端部73jの接触位置が、掻き板21の上端から下端に向けて変位し、この間に掻き板21の表面が清掃される。
【0078】
先端部73jが掻き板21の下端まで達すると、清掃部71は、掻き板21の清掃が完了する第2状態とされる。このとき、清掃部71は、第1延出部73Lが、第1状態における初期位置よりも鉛直下側に位置し、第2延出部73Mが、第1状態における初期位置よりも鉛直上側に位置し、板状部73が、全体として略水平方向に延在する姿勢とされている。
【0079】
上記の清掃部71の第1状態から第2状態への動作に伴って、第2側板84が第2延出部73Mにより持ち上げられる。連結機構部85により第2側板84および第2延出部73Mの間が回動することによって、貯留部81は、壁部54により支持されながら、底板82が傾くように動作する。先端部73jが掻き板21の下端まで達した時に、底板82の傾きが最大となり、貯留部81が、第4状態とされる。
【0080】
なお、本実施の形態では、図10から図12中に示す清掃部71が移動する掻き板21Bから力を受けている間、次の掻き板21Cは、図3中の案内板41の傾斜区間49を移動している。
【0081】
本実施の形態におけるチップコンベア10においては、貯留部81が、掻き板21から力が伝達されることによって切屑の落下動作を行なうため、貯留部81に貯留された切屑を意図したタイミングで落下させることができる。これにより、貯留部81において切屑を十分に水切りすることができる。
【0082】
より具体的に説明すると、図9中に示すように、掻き板21Bが案内板41の端部43を通過すると、掻き板21Bによる切屑の掻き出しが完了する。そして、図10中に示すように、掻き板21が清掃部71が設けられた位置に達すると、貯留部81における切屑の落下動作が開始される。このため、本実施の形態におけるチップコンベア10では、掻き板21Bによって掻き出された切屑の全体が、少なくとも、掻き板21Bが案内板41の端部43を通過してから、掻き板21Bが清掃部71が設けられた位置に達するまでの間に渡って、貯留部81において水切りされることになる。
【0083】
貯留部81における切屑の落下動作のタイミングは、掻き板21の移動速度を通じて自在に設定することができる。たとえば、切屑の水切りが十分でない場合、掻き板21の移動速度を下げて、貯留部81における切屑の水切り時間を長く設定すればよい。また、工作機械からの切屑の排出量が多く、切屑の排出を優先したい場合には、掻き板21の移動速度を上げればよい。
【0084】
以上に説明した、この発明の実施の形態におけるチップコンベア10の構造についてまとめて説明すると、本実施の形態におけるチップコンベア10は、端部43を有し、切屑を案内する案内板41と、案内板41と摺接しながら移動し、案内板41上の切屑を端部43に向けて搬送する掻き板21と、端部43よりも下方に設けられ、端部43から落下する切屑を貯留する貯留部81とを備える。貯留部81は、移動する掻き板21から力が伝達されることによって、貯留部81に貯留された切屑を落下させるように動作する。
【0085】
このように構成された、この発明の実施の形態におけるチップコンベア10によれば、貯留部81に貯留された切屑を意図したタイミングで落下させることができる。
【0086】
なお、本実施の形態では、切屑を落下させる際に底板82が傾くように動作する貯留部81について説明したが、本発明はこれに限られない。たとえば、切屑を受ける底板の面に開閉可能なシャッターを設け、移動する掻き板21から力が伝達されることによって、そのシャッターが開く構成としてもよい。
【0087】
また、本実施の形態では、清掃部71と連動して落下動作する貯留部81について説明したが、清掃部71が設けられておらず、移動する掻き板から力を受けた中間部材が、貯留部に掻き板からの力を伝える構成としてもよい。
【0088】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0089】
この発明は、主に、工作機械で発生したワークの切屑を搬送するチップコンベアに利用される。
【符号の説明】
【0090】
10 チップコンベア、21,21A,21B,21C 掻き板、26 貫通孔、31 無端チェーン、36 位置、41 案内板、42,43 端部、47 空間、48 水平区間、49 傾斜区間、51 カバー体、52 切屑受け入れ口、53 切屑排出口、54 壁部、55 開口部、56 水平部、57 立ち上がり部、61 駆動スプロケット、62 従動スプロケット、63 フィルタ、64 内部空間、71 清掃部、72 回転軸、73 板状部、73L 第1延出部、73M 第2延出部、73j 先端部、76 錘部、81 貯留部、82 底板、82k 折り返し部、83 第1側板、84 第2側板、85 連結機構部、86 孔、91,92 反転位置、110 内側空間、120 外側空間。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12