特開2018-131230(P2018-131230A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特開2018-131230冷菓収容用容器、冷菓入り容器及び膨出部材
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-131230(P2018-131230A)
(43)【公開日】2018年8月23日
(54)【発明の名称】冷菓収容用容器、冷菓入り容器及び膨出部材
(51)【国際特許分類】
   B65D 85/78 20060101AFI20180727BHJP
   A23G 9/04 20060101ALN20180727BHJP
【FI】
   B65D85/78 B
   A23G9/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-25458(P2017-25458)
(22)【出願日】2017年2月14日
(71)【出願人】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】307013857
【氏名又は名称】株式会社ロッテ
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】金野 誠
(72)【発明者】
【氏名】鶴田 崇義
(72)【発明者】
【氏名】清水 一成
(72)【発明者】
【氏名】石井 元之
(72)【発明者】
【氏名】柴田 由華
(72)【発明者】
【氏名】小野木 淳
【テーマコード(参考)】
3E035
4B014
【Fターム(参考)】
3E035AA17
3E035BA05
3E035BC02
3E035CA02
4B014GB21
4B014GB23
4B014GE11
4B014GP01
4B014GT14
(57)【要約】
【課題】膨出部材により凹状の窪みが形成された冷菓を収納可能な冷菓収容用容器であって、容易に冷菓と膨出部材とを分離することが可能であると共に、膨出部材を回転させる際に冷菓が指に付着しにくく衛生的な冷菓収容用容器を提供すること。
【解決手段】本発明の冷菓収容用容器1は、開口部21を上部に有する容器本体2と、容器本体2に配置された状態で容器本体2の内部空間25の下方に向けて膨出する膨出部4を有する膨出部材3と、を備え、膨出部材3は、膨出部材3が容器本体2に配置された状態で平面視において、容器本体2の開口部21と膨出部4との間の位置に、指を挿入可能な指挿入凹部6を複数有する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を上部に有する容器本体と、
前記容器本体に配置された状態で前記容器本体の内部空間の下方に向けて膨出する膨出部を有する膨出部材と、を備え、
前記膨出部材は、前記膨出部材が前記容器本体に配置された状態で平面視において、前記容器本体の前記開口部と前記膨出部との間の位置に、指を挿入可能な指挿入凹部を複数有することを特徴とする冷菓収容用容器。
【請求項2】
平面視において、1組又は複数組の前記指挿入凹部は、前記膨出部を挟んだ位置に配置されている、
請求項1に記載の冷菓収容用容器。
【請求項3】
前記指挿入凹部は、2本の指を挿入可能であり、前記指挿入凹部の底部に、1本の指を個別に挿入可能な個別挿入部を2つ有する、
請求項1又は2に記載の冷菓収容用容器。
【請求項4】
前記膨出部材が配置された状態の前記容器本体の前記開口部を、前記膨出部材と共に覆う外蓋部材を更に備える、
請求項1〜3のいずれかに記載の冷菓収容用容器。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の冷菓収容用容器の前記容器本体と前記膨出部材との間に冷菓が収容されている冷菓入り容器。
【請求項6】
下方に向けて膨出する膨出部と、上部に設けられるフランジ部とを有する膨出部材であって、
前記フランジ部は、平面視において外方に延出しており、
平面視において、前記フランジ部の外縁の少なくとも3点が仮想円上に位置するように構成されており、
前記フランジ部に、指を挿入可能な指挿入凹部が複数形成されていることを特徴とする膨出部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷菓を所定の形状に収容可能な冷菓収容用容器、冷菓収容用容器に冷菓が収容されている冷菓入り容器、及び、膨出部材に関する。
【背景技術】
【0002】
氷菓(シャーベット状アイスなど)、アイスクリーム類などの冷菓に凹状の窪みを形成して窪みに液体を注入可能な容器が知られている。冷菓が凹状の窪みを有する形状であれば、ミルクやシロップ等の飲料用の液体を凹状の窪みに注ぎ、撹拌することにより容易に冷菓と飲料用の液体とを混ぜることができる。例えば、凹状の窪みを有する形状の冷菓にミルクを注ぎ、冷菓とミルクとを撹拌することでフローズン状の飲料を容易に作成することができる。
【0003】
例えば、特許文献1では、容器の開口部から、下方に向かって突起した円錐状の凸部を有する容器蓋をかぶせ、円錐状の凹部を有する氷菓を形成し、この凹部に酒類等の飲料用の液体を注入可能な氷菓収容用容器が開示されている。また、特許文献2では、容器の開口部から下方に向かって突起したキャップをかぶせ、添加食材充填スペースを形成させた状態で凍結可能な氷菓収容用容器が開示されている。特許文献1及び2の氷菓収容用容器であれば、ブレンダ―等からの騒音を発生させることなく、フローズン状の飲料を容易に作成することができる。
【0004】
しかしながら、氷菓に凹状の窪みを成型する際に、容器蓋が氷菓に強固に密着し、氷菓と容器蓋とを分離することが困難となる。そこで、特許文献3では、鉛直下方向に向けて膨出する膨出部材(内蓋)の外面に螺旋状の段差が形成されている冷菓収容用容器が開示されている。特許文献3の冷菓収容用容器であれば、冷菓を凹状の窪みを有する形状に収容可能であって、冷菓と膨出部材との界面において、螺旋状の階段に沿って膨出部材を回転させることで、冷菓と膨出部材とを分離することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−117692号公報
【特許文献2】実用新案登録第2590743号公報
【特許文献3】特許第5536273号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の通り、特許文献3の冷菓収容用容器であれば、冷菓を凹状の窪みを有する形状に収容可能であって、且つ、冷菓と膨出部材とを分離することが可能となる。しかし、特許文献3の冷菓収容用容器は、膨出部材の外面に螺旋状の段差が形成された構造であり、螺旋状の段差に沿って冷菓収容用容器の膨出部材を回転させなければ冷菓と膨出部材とを分離することができない。このため、冷菓と膨出部材とを分離するためには膨出部材を特定の一方向に回転させる必要があり、例えば右利きの人用に螺旋状の段差を最適化した場合に、左利きの人にとって膨出部材を特定の一方向に回転させることは必ずしも容易であるとはいえない。
【0007】
また、特許文献3の冷菓収容用容器では、膨出部材(内蓋)の上部のフランジ部は、カップ状の容器本体の上部開口縁部に載置するために、その外形が平面視で円形となっている。そして、内蓋の上部のフランジ部には、全周に亘って外側に突出形成された把持部が設けられている。この把持部は、内蓋を回転させながら冷菓材から引き離す際に利用者が指を掛ける部位である。そのため、膨出部材(内蓋)の上部を把持して回転させることは容易ではない。特許文献3の冷菓収容用容器では、膨出部材(内蓋)を把持して回転させるとすれば、強い力で膨出部材(内蓋)を把持する必要がある。
併せて、膨出部材を回転させる際に冷菓が指に付着しにくく、衛生的な構造が望まれている。
【0008】
本発明は、上記の課題を解決するための冷菓収容用容器であり、その目的は、膨出部材により凹状の窪みが形成された冷菓を収納可能な冷菓収容用容器であって、容易に冷菓と膨出部材とを分離することが可能であると共に、膨出部材を回転させる際に冷菓が指に付着しにくく衛生的な冷菓収容用容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、本課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、膨出部材が特定の形状を有していれば、上記課題を解決できることを見出し、本発明をするに至った。
【0010】
(1)開口部を上部に有する容器本体と、前記容器本体に配置された状態で前記容器本体の内部空間の下方に向けて膨出する膨出部を有する膨出部材と、を備え、前記膨出部材は、前記膨出部材が前記容器本体に配置された状態で平面視において、前記容器本体の前記開口部と前記膨出部との間の位置に、指を挿入可能な指挿入凹部を複数有することを特徴とする冷菓収容用容器。
【0011】
(2) 平面視において、1組又は複数組の前記指挿入凹部は、前記膨出部を挟んだ位置に配置されている、(1)に記載の冷菓収容用容器。
【0012】
(3) 前記指挿入凹部は、2本の指を挿入可能であり、前記指挿入凹部の底部に、1本の指を個別に挿入可能な個別挿入部を2つ有する、(1)又は(2)に記載の冷菓収容用容器。
【0013】
(4) 前記膨出部材が配置された状態の前記容器本体の前記開口部を、前記膨出部材と共に覆う外蓋部材を更に備える、(1)〜(3)のいずれかに記載の冷菓収容用容器。
【0014】
(5) (1)〜(4)のいずれかに記載の冷菓収容用容器の前記容器本体と前記膨出部材との間に冷菓が収容されている冷菓入り容器。
【0015】
(6)下方に向けて膨出する膨出部と、上部に設けられるフランジ部とを有する膨出部材であって、前記フランジ部は、平面視において外方に延出しており、平面視において、前記フランジ部の外縁の少なくとも3点が仮想円上に位置するように構成されており、前記フランジ部に、指を挿入可能な指挿入凹部が複数形成されていることを特徴とする膨出部材。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、膨出部材により凹状の窪みが形成された冷菓を収納可能な冷菓収容用容器であって、容易に冷菓と膨出部材とを分離することが可能であると共に、膨出部材を回転させる際に冷菓が指に付着しにくく衛生的な冷菓収容用容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1実施形態の冷菓収容用容器の分解斜視図である。
図2】本発明の第1実施形態の冷菓収容用容器を、外蓋部材を外した状態で示す平面図である。
図3】本発明の第1実施形態の冷菓収容用容器及び冷菓入り容器の正面側からの縦断面図である。
図4】本発明の第1実施形態の冷菓収容用容器及び冷菓入り容器の側面側からの縦断面図である。
図5】第1実施形態の冷菓収容用容器の膨出部材を示す図で、(A)は正面図、(B)は図6(A)に示すB−B線断面図、(C)は図5(A)に示すC−C線断面図である。
図6】第1実施形態の冷菓収容用容器の膨出部材を示す図で、(A)は右側面図、(B)は図5(A)に示すB−B線断面図である。
図7】(A)〜(C)は、第1実施形態の冷菓入り容器において冷菓と膨出部材とが分離する過程を模式的に示す縦断面図(図4対応図)である。
図8】(A)〜(C)は、第1実施形態の冷菓入り容器において冷菓と膨出部材とが分離する過程を模式的に示す平面図(図2対応図)である。
図9】本発明の第2実施形態の冷菓収容用容器の分解斜視図である。
図10】本発明の第2実施形態の冷菓収容用容器を、外蓋部材を外した状態で示す平面図である。
図11】本発明の第2実施形態の冷菓収容用容器及び冷菓入り容器の正面側からの縦断面図である。
図12図11と比べて平面視において45度ずれた位置における、第2実施形態の冷菓収容用容器及び冷菓入り容器の縦断面図である。
図13】第2実施形態の冷菓収容用容器の膨出部材を示す図で、(A)は正面図、(B)は正面側からの縦断面図(図10のA−A線断面参照)、(C)は(A)に示すC−C線断面図である。
図14】第2実施形態の冷菓収容用容器の膨出部材を示す図で、(A)は右側面図、(B)は図13(B)と比べて平面視において45度ずれた位置における縦断面図(図10のB−B線断面参照)である。
図15】第3実施形態の冷菓収容用容器の膨出部材を示す図で、(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は右側面図である。
図16】第3実施形態の冷菓収容用容器の膨出部材の膨出側部材を示す図で、(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は右側面図である。
図17】第3実施形態の冷菓収容用容器の膨出部材の凹部側部材を示す図で、(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の冷菓収容用容器の実施形態について説明する。併せて、冷菓収容用容器の構成要素である膨出部材、及び、冷菓収容用容器に冷菓が収容されている冷菓入り容器についても説明する。冷菓としては、例えば、氷菓(シャーベット状アイスなど)、アイスクリーム類などが挙げられる。本発明は、以下の実施形態に何ら限定されず、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
【0019】
[第1実施形態]
まず、第1実施形態について説明する。図1は、本発明の第1実施形態の冷菓収容用容器の分解斜視図である。図2は、本発明の第1実施形態の冷菓収容用容器を、外蓋部材を外した状態で示す平面図である。図3は、本発明の第1実施形態の冷菓収容用容器及び冷菓入り容器の正面側からの縦断面図である。図4は、本発明の第1実施形態の冷菓収容用容器及び冷菓入り容器の側面側からの縦断面図である。図5は、第1実施形態の冷菓収容用容器の膨出部材を示す図で、(A)は正面図、(B)は図6(A)に示すB−B線断面図、(C)は図5(A)に示すC−C線断面図である。図6は、第1実施形態の冷菓収容用容器の膨出部材を示す図で、(A)は右側面図、(B)は図5(A)に示すB−B線断面図である。
【0020】
図1図4に示すように、第1実施形態の冷菓収容用容器1は、容器本体2と膨出部材3と外蓋部材5とを備える。図1及び図2に示す冷菓収容用容器1の内部空間25に、図3及び図4に示すように、冷菓13が収容されたものが、冷菓入り容器10である。
【0021】
容器本体2は、上部に平面視で真円形状の開口部21及び円環状のフランジ部24を有し、下部に平面視で真円形状の底面23を有し、開口部21と底面23との間を繋ぐ側周壁22を有する。フランジ部24は、開口部21を形成する側周壁22の上縁から、平面視で径方向DR(図2参照)の外側に延出している。容器本体2の内側は内部空間25となっている。側周壁22の内面は容器本体2の内面26の一部を構成する。
【0022】
容器本体2は、従来公知の冷菓用の容器を用いることができる。また、容器本体2を形成する材質は、特に制限はされないが、例えば、ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン樹脂を例示することができる。
【0023】
膨出部材3は、容器本体2の内部空間25に配置される。膨出部材3は、下方に向けて膨出する膨出部4と、指を挿入可能な指挿入凹部6と、上部に設けられるフランジ部33とを有する。
【0024】
膨出部4は、膨出部材3が容器本体2に配置された状態で容器本体2の内部空間25の下方に向けて膨出する。指挿入凹部6は、膨出部材3が容器本体2に配置された状態で平面視において、容器本体2の開口部21と膨出部4との間の位置に、複数設けられる。フランジ部33は、平面視で径方向DRの外方に延出している。膨出部材3の詳細については後述する。
【0025】
外蓋部材5は、膨出部材3が配置された状態の容器本体2の開口部21を、膨出部材3と共に覆う。
【0026】
[膨出部材の詳細]
膨出部4は中空状である。すなわち、膨出部4の内形は外形と略相似形である。膨出部4は、下部に第1部分41を有し、上部に第3部分43を有し、第1部分41と第3部分43との間に第2部分42を有する。
第1部分41は、冷菓入り容器10の状態において、冷菓13に対面する部分である。第1部分41は、尖端状になっている。図5(C)に示すように、第1部分41の水平方向断面形状は、弧を含む非円形形状である。弧を含む非円形形状は、特に制限されず、例えば、楕円状や陸上トラック形状(平行な2直線が2個の半円弧で繋がった形状)、又はそれらに類似する形状を挙げることができる。
第2部分42は、第1部分41と第3部分43とを滑らかに繋いでいる。
【0027】
第3部分43は、容器本体2の内面26の上部に近接する2つの近接部分431,431と、平面視で2つの近接部分431,431の間に配置される離間部分432,432と、に区画される。平面視で周方向DC(図2参照)に、近接部分431、離間部分432、近接部分431、離間部分432の順で配列している。離間部分432は、平面視で径方向DR(図2参照)の内側に凸の弧状に延びている。
【0028】
[指挿入凹部の詳細]
図1図6に示すように、第1実施形態においては、指挿入凹部6は、平面視において、容器本体2の開口部21の周方向DCに沿って約180度あけて、2つ配置されている。平面視において、1組(2つ)の指挿入凹部6は、膨出部4を挟んだ位置に配置されている。指挿入凹部6は、膨出部材3が容器本体2に配置された状態で容器本体2の内部空間25の下方に向けて膨出する凹部形成部61から形成されている。凹部形成部61は中空状である。すなわち、凹部形成部61の内形は外形と略相似形である。
【0029】
2つの指挿入凹部6は、それぞれ2本の指を挿入可能であり、指挿入凹部6の底部に、1本の指Fを個別に挿入可能な個別挿入部65を2つ有する。2つの個別挿入部65は、平面視において、容器本体2の開口部21の周方向DCに沿って配置されている。一般的な使用態様では、一方の指挿入凹部6における2つの個別挿入部65には、それぞれ人差し指及び中指が個別に挿入される。他方の指挿入凹部6における1つの個別挿入部65には、親指が挿入される。他方の指挿入凹部6におけるもう1つの個別挿入部65には、指が挿入されない。つまり、一般的な使用態様では、合計4つの個別挿入部65のうち、3つの個別挿入部65が使用される。なお、指の挿入態様は特に制限されず、4つの個別挿入部65には、5本の指のうちの任意の2〜4本が個別に挿入される。
【0030】
第3部分43の離間部分432と、指挿入凹部6を形成する凹部形成部61との間には、凹状繋ぎ部36が形成されている。見方を変えると、凹状繋ぎ部36は、第3部分43の離間部分432と凹部形成部61とを繋いでいる。凹状繋ぎ部36は、平面視で径方向DRの内側に凸の弧状に延びている。膨出部材3には、凹状繋ぎ部36が複数(本実施形態では2つ)形成されている。
【0031】
凹部形成部61における、容器本体2の内面26に対向する領域には、リブ38が計4つ設けられている。第1実施形態においては、2つの凹部形成部61それぞれに、2つのリブ38が周方向DCに間隔をあけて配置されている。リブ38は、平面視で径方向DRの外側に向けて突出しており、また、上下方向に延びている。膨出部材3が容器本体2に配置された状態において、第3部分43の外面は、容器本体2の内面26には接触せず、リブ38が容器本体2の内面26に実質的に線接触する。リブ38は、強い接触圧で容器本体2の内面26に接触するため、膨出部材3と容器本体2の内面26との間の保持力を向上させることができる。
【0032】
フランジ部33は、平面視において膨出部材3の上部の周縁の全周に亘って延びて設けられている。フランジ部33は、第3部分43の近接部分431と、指挿入凹部6を形成する凹部形成部61の上部の外側部分とにそれぞれ対応して、膨出部対応部分331と凹部対応部分332とに区画される。平面視で周方向DCに、膨出部対応部分331、凹部対応部分332、膨出部対応部分331、凹部対応部分332は、この順で配列している。
【0033】
図2に示すように、平面視において、膨出部材3のフランジ部33の少なくとも3点(P1、P2、P3)が仮想円C1(図示せず)上に位置するように構成されている。図2には、3点(P1、P2、P3)を白丸(○)で示す。3点(P1、P2、P3)を通る仮想円C1は、1本のみ引くことができる。この仮想円C1は、容器本体2のフランジ部24の外縁と略一致しているか、又は、容器本体2のフランジ部24上に配置する。そのため、膨出部材3のフランジ部33を容器本体2のフランジ部24に載置(又は係止)させる形で、膨出部材3(膨出部4)を容器本体2の内部空間25に配置させることができる。
【0034】
膨出部材3を形成する材質は、特に制限はされない。コストや硬度の観点からポリスチレン、ポリプロピレン等の樹脂を好ましく用いることができる。
【0035】
冷菓収容用容器1の容器本体2の内部空間25と膨出部材3の膨出部4の第1部分41の外面との間の空間に冷菓13が収容されることにより、冷菓入り容器10が形成される。膨出部材3の膨出部4が存在するため、膨出部材3が容器本体2に配置されると、冷菓13の上部に凹状の窪み14(図7(C)参照)を形成することができる。なお、冷菓13は、例えばシャーベットやアイスクリーム等の従来公知の冷菓を例示することができる。
【0036】
[第1実施形態の分離動作]
第1実施形態の冷菓入り容器10の冷菓13と膨出部材3とを分離する動作について、図7及び図8を用いて説明する。図7(A)〜(C)は、第1実施形態の冷菓入り容器において冷菓と膨出部材とが分離する過程を模式的に示す縦断面図(図4対応図)である。図8(A)〜(C)は、第1実施形態の冷菓入り容器において冷菓と膨出部材とが分離する過程を模式的に示す平面図(図2対応図)である。
【0037】
図7(A)及び図8(A)に示すように、冷菓入り容器10において、容器本体2の開口部21に装着されている外蓋部材5を、容器本体2の開口部21から取り外す。図7(B)及び図8(B)に示すように、指挿入凹部6の個別挿入部65に指Fを上方から挿入する。詳述すると、一方の指挿入凹部6における2つの個別挿入部65には、それぞれ人差し指及び中指が個別に挿入される。他方の指挿入凹部6における1つの個別挿入部65には、親指が挿入される。他方の指挿入凹部6におけるもう1つの個別挿入部65には、指が挿入されない。
【0038】
図7(C)及び図8(C)に示すように、指Fを任意の方向に回転させると、指Fが挿入されている個別挿入部65の指挿入凹部6が回転し、延いては、膨出部材3の全体が回転する。ここで、膨出部4の水平方向断面形状は、弧を含む非円形形状である。また、膨出部4により成形される冷菓13の下に窪んだ窪み14の水平方向断面形状も、膨出部4の水平方向断面形状に倣った非円形形状である。このような膨出部4及び窪み14の非円形形状のため、膨出部材3の回転は、窪み14によって阻害される。しかし更に膨出部材3を回転させようとすると、膨出部4の外面が窪み14の内面から速やかに分離する。更に、膨出部材3は、下方への移動が規制されているので、移動が許容されている上方へ移動する。このようにして、指Fで膨出部材3を容易に把持することができ、また、指Fにより把持される膨出部材3を冷菓13の窪み14から容易に分離させることができる。
【0039】
[第1実施形態の効果]
第1実施形態の冷菓収容用容器1においては、膨出部材3は、膨出部材3が容器本体2に配置された状態で平面視において、容器本体2の開口部21と膨出部4との間の位置に、指を挿入可能な指挿入凹部6を複数有する。そのため、指Fを複数の指挿入凹部6にそれぞれ挿入して、膨出部材3を容易に回転させることができる。そして、膨出部材3を任意の方向に回転させることで、指Fにより把持される膨出部材3を冷菓13の窪み14から容易に分離させることができる。また、膨出部材3を回転させる際に、冷菓13が指Fに付着しにくく、衛生的である。
【0040】
また、第1実施形態の冷菓収容用容器1においては、平面視において、1組又は複数組の指挿入凹部6は、膨出部4を挟んだ位置に配置されている。そのため、指挿入凹部6に挿入された指Fで膨出部4を挟み込むように把持することが容易であるため、指Fによる回転力が膨出部材3に効率的に伝わる。従って、膨出部材3をより容易に回転させることができる。
【0041】
また、第1実施形態の冷菓収容用容器1においては、指挿入凹部6は、2本の指を挿入可能であり、指挿入凹部6の底部に、1本の指Fを個別に挿入可能な個別挿入部65を2つ有する。そのため、通常の使用態様では、2つの個別挿入部65それぞれに挿入された人差し指及び中指により効率的に回転力を発生させることができる。従って、膨出部材3をより容易に回転させることができる。
【0042】
第1実施形態の冷菓収容用容器1は、膨出部材3が配置された状態の容器本体2の開口部21を、膨出部材3と共に覆う外蓋部材5を更に備える。そのため、指挿入凹部6を介して容器本体2に収容される冷菓13が露出することを防止することができる。
【0043】
第1実施形態の膨出部材3は、下方に向けて膨出する膨出部4と、上部に設けられるフランジ部33とを有する膨出部材3であって、フランジ部33は、平面視において外方に延出しており、平面視において、フランジ部33の外縁の少なくとも3点が仮想円上に位置するように構成されており、フランジ部33に、指Fを挿入可能な指挿入凹部6が複数形成されている。そのため、第1実施形態の膨出部材3によれば、前述の実施形態の冷菓収容用容器1の効果の一部又は全部を奏する。
【0044】
[他の実施形態]
次に、本発明の他の実施形態(第2実施形態、第3実施形態など)について、図面を参照しながら説明する。他の実施形態では、主に第1実施形態との相違点について説明する。そのため、第1実施形態と同一(又は同等)の構成については、詳細な説明を省略する。また、他の実施形態において特に説明しない点については、第1実施形態の説明が適宜に適用又は援用される。他の実施形態においても、第1実施形態と同様の効果が奏される。
【0045】
[第2実施形態]
図9は、本発明の第2実施形態の冷菓収容用容器の分解斜視図である。図10は、本発明の第2実施形態の冷菓収容用容器を、外蓋部材を外した状態で示す平面図である。図11は、本発明の第2実施形態の冷菓収容用容器及び冷菓入り容器の正面側からの縦断面図である。図12は、図11と比べて平面視において45度ずれた位置における、第2実施形態の冷菓収容用容器及び冷菓入り容器の縦断面図である。図13は、第2実施形態の冷菓収容用容器の膨出部材を示す図で、(A)は正面図、(B)は正面側からの縦断面図(図10のA−A線断面参照)、(C)は(A)に示すC−C線断面図である。図14は、第2実施形態の冷菓収容用容器の膨出部材を示す図で、(A)は右側面図、(B)は図13(B)と比べて平面視において45度ずれた位置における縦断面図(図10のB−B線断面参照)である。
【0046】
第1実施形態の冷菓収容用容器1の膨出部材3においては、指挿入凹部6は、平面視において、容器本体2の開口部21の周方向DC(図2参照)に沿って約180度あけて、2つ配置されている。これに対して、図9図14に示すように、第2実施形態の冷菓収容用容器1Aの膨出部材3Aにおいては、指挿入凹部6は、平面視において、容器本体2の開口部21の周方向DC(図10参照)に沿って約90度あけて、4つ配置されている。
【0047】
従って、平面視において、第1実施形態の冷菓収容用容器1の膨出部材3においては、1組(2つ)の指挿入凹部6が、膨出部4を挟んだ位置に配置されている。これに対して、平面視において、第2実施形態の冷菓収容用容器1Aの膨出部材3Aにおいては、2組(4つ)の指挿入凹部6が、膨出部4を挟んだ位置に配置されている。
【0048】
また、第1実施形態の冷菓収容用容器1の膨出部材3においては、指挿入凹部6は、その底部に、1本の指Fを個別に挿入可能な個別挿入部65を2つ有する。これに対して、図9図14に示すように、第2実施形態の冷菓収容用容器1Aの膨出部材3Aにおいては、指挿入凹部6は、その底部に、1本の指Fを個別に挿入可能な個別挿入部65を1つのみ有する。つまり、第2実施形態においては、指挿入凹部6の数と個別挿入部65とは同じである。これは、指挿入凹部6の数が4つであるため、指挿入凹部6の数が十分なためである。
第2実施形態におけるその他の構成は、第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0049】
[第2実施形態の分離動作]
第2実施形態の冷菓入り容器10Aの冷菓13と膨出部材3とを分離する動作において、4つの指挿入凹部6(個別挿入部65)には、5本の指のうちの任意の2〜4本が個別に挿入される。例えば、4つの指挿入凹部6に、小指を除く4本の指が個別に挿入される。また、3つの指挿入凹部6に、親指、人差し指、中指の計3本の指が個別に挿入される。
【0050】
第2実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果が奏される。また、第2実施形態においては、平面視において、複数組の指挿入凹部6が、膨出部4を挟んだ位置に配置されている。そのため、指挿入凹部6に挿入された指Fで膨出部4を複数方向から挟み込むように把持することが容易である。
【0051】
[第3実施形態]
図15は、第3実施形態の冷菓収容用容器の膨出部材を示す図で、(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は右側面図である。図16は、第3実施形態の冷菓収容用容器の膨出部材の膨出側部材を示す図で、(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は右側面図である。図17は、第3実施形態の冷菓収容用容器の膨出部材の凹部側部材を示す図で、(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は右側面図である。
【0052】
第1実施形態の冷菓収容用容器1の膨出部材3及び第2実施形態の冷菓収容用容器1Aの膨出部材3Aのいずれにおいても、膨出部4と、指挿入凹部6を形成する凹部形成部61とは、一体的に構成されている。これに対して、図15図17に示すように、第3実施形態の冷菓収容用容器の膨出部材3Bにおいては、膨出部4と、指挿入凹部6を形成する凹部形成部61とは、別体に構成されている。
【0053】
詳述すると、第3実施形態の膨出部材3Bは、膨出部4を含む膨出側部材31と、凹部形成部61(指挿入凹部6)を含む凹部側部材32とが連結されることにより、形成される。図16に示すように、膨出側部材31は、膨出部4を主体として構成されており、凹部形成部61(指挿入凹部6)を備えていない。一方、図17に示すように、凹部側部材32は、凹部形成部61(指挿入凹部6)及びフランジ部33を主体として構成されており、膨出部4を備えていない。
【0054】
膨出側部材31及び凹部側部材32は、それぞれ互いに係合して係合状態を保持可能な係合手段を備える。第3実施形態においては、凹部側部材32は、膨出側部材31における膨出部4の上部の内面に対面する位置に、膨出部4の内面の側に突出する係合凸部321を4つ備える。係合凸部321を膨出側部材31における膨出部4の上部の内面を外側に向けて押し広げる形で圧入することにより、膨出側部材31と凹部側部材32との一体化が実現される。
第3実施形態におけるその他の構成は、第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0055】
第3実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果が奏される。また、第3実施形態によれば、一体成形では形成が困難な複雑な形状を別体化(二体化)により、形成することが容易である。
【符号の説明】
【0056】
1 冷菓収容用容器
10 冷菓入り容器
13 冷菓
2 容器本体
21 開口部
25 内部空間
26 内面
3 膨出部材
33 フランジ部
36 凹状繋ぎ部
4 膨出部
5 外蓋部材
6 指挿入凹部
61 凹部形成部
65 個別挿入部
F 指
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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