洗濯機用防水パンについて、設置した床面の開口の近傍から配管を水平方向に延出でき、また水平方向への延出の高さ位置の調整が可能で、施工時の配管接続も目視によって確認でき、且つ床上配管に対応した洗濯機用防水パンを安価とすることができる洗濯機用防水パンを提供する。
【解決手段】 洗濯機用防水パン1を、底壁部2と、該底壁部2の周囲に設けた側壁部3と、洗濯機Sからの配管である洗濯機排水配管11を、底壁部2の裏側の配管に接続するための、底壁部2よりも高い位置に設けられた配管接続部5と、から構成する。
また、上記洗濯機用防水パンについて、前記配管接続部5から下流側に向かう配管であるパン排水配管Pを、洗濯機用防水パン1の側壁部3から洗濯機用防水パン1の外部に延出するように構成する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような従来の洗濯機用防水パンには、以下に記載するような問題点があった。
前述のように、リフォームによって濯機用防水パンを新たに配置する場合に、特許文献2の洗濯機用防水パンのように、配管接続口よりも下流側の配管を床面上に配置すると、家具や機器等の設置に配管が邪魔になるため、できれば床下配管を利用して設置したい、という要望がある。
リフォームの際に、全く新しく床下に排水配管を設置し直すことは困難であっても、床面に新たな開口を設け、既設の床下の排水配管からチーズ管やエルボ管等を利用して排水配管を分岐させ、床面の新たな開口の位置に配管の端部を配置するような、単に配管を接続させ任意の位置に配置するだけの作業であれば、比較的容易に行うことができる。
図7及び
図8はこのようなリフォーム時の床下配管の一例を示すものである。
図7はリフォーム前の床下配管を、
図8はリフォーム後の床下配管を説明する参考図である。
既設の配管EP1は、ガス配管や給湯配管など、リフォームの前後で変更の無い配管である。また、排水配管についても、既設の排水配管EP2として示した部分は排水主管とその付近の配管であり、リフォームの前後でそのまま使用する排水配管である。尚、
図7、
図8では、既設の配管EP1、及び既設の排水配管EP2の排水主管は、その管体を軸方向視しているものである。
また、この
図7、
図8の事例では、床面に設ける床下配管の接続用の端部について、リフォーム後の位置は、リフォーム前よりも図面左側に設置位置を変更するものである。
前述のように、床下には排水配管の他に、給水用の配管、都市ガスの配管等、他の機器の配管など既設の配管EP1が既に配管されている場合が多く、上記のように床下の排水配管を分岐させる場合には、分岐した排水配管がこれら既設の配管EP1に干渉しないように施工を行う必要がある。
しかし、排水配管は通常勾配を利用して排水を行うため、上記のように他の既設の配管を避けて施工を行う場合に、新たに施工する排水配管部分が、他の配管の下側を通して迂回するように施工すると、逆勾配となってしまう恐れがある。例えば、
図8の床下配管の場合、点線で示したように、既設の排水配管EP2をそのまま水平方向に延長すると、既設の配管EP1に干渉してしまい、施工できない、または逆勾配となってしまう。
即ち、先述のように、技術的・作業的には既設の排水配管から新たに分岐した排水配管を配管することは比較的容易であるが、床下に配置された他の既設配管を迂回しつつ、且つ排水勾配を確保した配管レイアウトを組むことが極めて困難である、という問題があった。
排水勾配を確保するため、
図8に示した床下配管のように、新たに施工する排水配管部分が、他の配管の上側を迂回するように施工できれば、上記逆勾配の問題は解決できるが、このためには、新たに施工する排水配管の、床下空間の端部部分が、なるべく床面の裏側近くの高い位置で略水平方向を向いていることが必要である。
しかし、特許文献1に記載の洗濯機用防水パンのように、底壁部に開口を設け、この開口に排水トラップやエルボ管を固定する構成の洗濯機用防水パンでは、底壁部の開口に排水トラップやエルボ管を固定するためのネジ等の固定機構や接着を行う場合の接着しろが配置され、これらの機構部分では管体を直線形状としなければならない。
そして、洗濯機用防水パンの底壁部と、床面の開口とはほぼ同じ高さ位置となるように配置される。
つまり、床面の開口部近傍では、排水トラップやエルボ管を洗濯機用防水パンに取り付ける固定機構や接着しろが配置され、配管を鉛直方向に直線形状としなければならず、床面の裏側近くの高い位置で配管を屈曲させ略水平方向とすることは困難である。
また、配管接続の際、排水トラップを含む配管は床下空間に配置されるため、施工時に配管を目視しながら作業することができず、洗濯機用防水パンの施工は困難なものとなりがちであった。
また、リフォームの際、床上配管を行う場合においても、次のような問題があった。
排水配管のみならず、ガス配管など床下配管の配管レイアウトなどを設計段階から調整できる新築の場合は床下配管が行われ、床上配管が採用されることはほとんど無い。つまり床上配管はほぼリフォームの場合にのみ採用される配管レイアウトであるが、リフォームの件数は新築ほど多くないため、リフォーム専用の洗濯機用防水パンである床上配管用の洗濯機用防水パンは生産数が少なく、その分大量生産によるコストダウンが困難であった。
本発明は上記問題点に鑑み発明されたものであって、洗濯機用防水パンを設置した床面の開口の近傍から配管を水平方向に延出でき、また水平方向への延出の高さ位置の調整が可能で、施工時の配管接続も目視によって確認でき、且つ床上配管に対応した洗濯機用防水パンを安価とすることができる洗濯機用防水パンを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の本発明は、洗濯機Sの排水を処理するための洗濯機用防水パンであって、
底壁部2と、該底壁部2の周囲に設けた側壁部3と、洗濯機Sからの配管である洗濯機排水配管11を、底壁部2の裏側の配管に接続するための、底壁部2よりも高い位置に設けられた配管接続部5と、から構成されることを特徴とする洗濯機用防水パンである。
【0007】
請求項2に記載の本発明は、上記洗濯機用防水パンにおいて、
前記配管接続部5から下流側に向かう配管であるパン排水配管Pを、洗濯機用防水パン1の側壁部3から洗濯機用防水パン1の外部に延出するように構成したことを特徴とする、請求項1に記載の洗濯機用防水パンである。
【0008】
請求項3に記載の本発明は、上記洗濯機用防水パンにおいて、
底壁部2から上方に延出する接続筒部4を設け、該接続筒部4の上端に配管接続部5を設けると共に、該接続筒部4の側面から側壁部3まで、その内部にパン排水配管Pを覆う配管カバー部6を備えたことを特徴とする、請求項2に記載の洗濯機用防水パンである。
【0009】
請求項4に記載の本発明は、上記洗濯機用防水パンにおいて、
洗濯機Sの排水配管を、サイホン効果を生じさせて排水を行うように構成したことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一つに記載の洗濯機用防水パンである。
【0010】
請求項5に記載の本発明は、上記洗濯機用防水パンにおいて、
パン排水配管Pに連通する排水口10cを設け、該排水口10cに、洗濯機用防水パン1内の排水をパン排水配管P側に排出可能とすると共に、パン排水配管Pからの排水が洗濯機用防水パン1内へ逆流することを防止する逆流防止弁10dを備えたことを特徴とする、請求項1乃至請求項3のいずれか一つに記載の洗濯機用防水パンである。
【0011】
請求項6に記載の本発明は、洗濯機Sの排水を処理するための洗濯機用防水パンであって、
底壁部2と、該底壁部2の周囲に設けた側壁部3と、床下配管から床面F上に延出された縦配管FPと、洗濯機Sからの配管である洗濯機排水配管11が接続されると共に、洗濯機用防水パン1の裏側の空間にて縦配管FPと接続する配管接続部5と、から構成されることを特徴とする洗濯機用防水パンである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の本発明においては、洗濯機用防水パンの底壁部よりも高い位置に配管接続部を設けたことで、底壁部よりも高い位置に、排水トラップやエルボ管を固定するためのネジ等の固定機構や接着を行う場合の接着しろを配置することができる。このため、洗濯機用防水パンの底壁部の裏面やその近傍である床面の開口の近傍で排水接続口からの配管(以下、この洗濯機用防水パンの排水接続口よりも下流側となる配管を「パン排水配管」と記載する)を水平方向に屈曲させることが可能となり、パン排水配管が他の配管の上側を通して迂回するように施工することが容易となった。
尚、上記構造であれば、配管接続部の下方側に接続する縦方向の配管の長さを調整すれば、床下空間の任意の高さで配管を水平方向に屈曲させることが可能であり、必ずしも床面の開口の近傍の高さ位置に限定して配管を水平方向に屈曲させる必要は無い。前述のように、床面の開口近傍でパン排水配管を水平方向に屈曲させる方が、排水の為の勾配を確保しやすいが、既設の配管を迂回するためには、床面の開口近傍以外の高さ位置で水平方向に屈曲させる場合もある。本発明は「パン排水配管を、床面の開口近傍に固定して水平方向に屈曲させる発明」では無く、「パン排水配管を、床面の開口近傍を含む任意の高さ位置に調整して水平方向に屈曲させることができる発明」である。
また、配管接続部が、底壁部に対して充分に高い位置にあれば、洗濯機用防水パンを設置した床面よりも高い位置でパン排水配管を水平方向に屈曲させることができる。このため、洗濯機用防水パン内部に溜まった排水が漏水しないように工夫した上で、請求項2に記載したように、パン排水配管を側壁部より延出すれば、パン排水配管を床上配管とした構造に対応することもできる。これにより、床上配管用の洗濯機用防水パンを、床下配管用の洗濯機用防水パンと同じ程度に安価とすることができる。
請求項3に記載の本発明では、接続筒部の側面から側壁部まで、その内部にパン排水配管を覆う配管カバー部を備えたことで、側壁部にパン排水配管を貫通させるための穴を設ける必要が無くなる。このため、洗濯機用防水パン内に溜まった排水があっても、洗濯機用防水パンの外部に漏水することが無い。
請求項4に記載の本発明においては、サイホン効果を利用して排水を効率よく行うことができるとともに、床上配管の場合においては、サイホン効果を利用してパン排水配管の一
部が配管接続部より高い位置にあっても支障なく排水を行うことができる。
請求項5に記載の本発明においては、洗濯機用防水パン内部に溜まった排水を、支障なく排出することができる。
請求項6に記載の本発明においては、床下配管と洗濯機用防水パンとの配管接続において、洗濯機用防水パンのパン排水配管との接続は、床面上に突出した縦配管に対して行われ、配管接続の状況を視認できるため、床下空間において洗濯機用防水パンとパン排水配管とを接続する場合に比べ容易に接続を行うことができる。
【実施例】
【0014】
以下に、本発明の第一実施例を、図面を参照しつつ説明する。尚、本発明の第一実施例の洗濯機用防水パン1は、屋内のリフォームに使用されるものであって、床下の排水配管に接続されて排水を下水側に排出する。
本発明の第一実施例は、
図1乃至
図3に示した、以下に記載する、洗濯機S、洗濯機用防水パン1、接続部材8、継手部材9、逆流防止弁部材10、等から構成される。尚、本第一実施例においては、洗濯機Sの図示は省略する。
洗濯機Sは、洗濯機Sの使用によって生じた排水を排出するためのホース管11aと、このホース管11aの端部に備えられたエルボ部材11bと、からなる洗濯機排水配管11を備えてなる。
洗濯機用防水パン1は、平面視略長方形を成す底壁部2と、該底壁部2の外周部分に沿って全周に設けられた側壁部3と、を備えてなる。施工時、底壁部2は設置される床面Fに対して約5ミリメートル程度の隙間を設けて配置される。尚、本実施例の洗濯機用防水パン1は、長辺約300ミリメートル、短辺約200ミリメートル、高さ約120ミリメートル程度の大きさである。
また洗濯機用防水パン1の側壁部3は、略Vの字を天地逆転させたような断面形状を成す2枚の壁を、底壁部2の全周に沿って設け、壁面としてなる。上記のように、側壁部3は内外二枚の壁面から形成されてなり、以下内側の側壁部3を内壁部3a、外側の側壁部3を外壁部3b、と記載する。
また、上記洗濯機用防水パン1は、底壁部2の中央部分から、上方に延出する円筒状の接続筒部4を設けてなる。接続筒部4の上面は内側に向かって鍔部4aが形成され、その内側には上下に貫通する取付口4bが設けられてなる。
また、接続筒部4の側面から、長方形の短辺を成す一方の内壁部3aまで、断面視下方を開放した略コの字形状を成す配管カバー部6を設けてなる。該配管カバー部6は、下方と、接続筒部4及び内壁部3aに接する部分が開放されてなる。
また、配管カバー部6の延長線部分となる外壁部3bには、外壁部3bの内側面に、配管カバー部6の断面形状に合致する略コの字形状の切出溝7aを設けてなる。尚、
図3の斜視図においては、切出溝7aは洗濯機用防水パン1の表側からは目視できないため、対応する位置に点線して示してなる。
接続部材8は略円筒形状であって、側面上端に、外周方向に突出するフランジ部8aを備えてなり、また外側面であってフランジ部8aの下方に雄ネジを設けてなる。また円筒部分の内部には、洗濯機排水配管11のエルボ部材11b先端と嵌合可能な接続部8bを備えてなる。
継手部材9は略円筒形状であって、円筒部分の内面の上方側には、接続部材8の雄ネジと螺合する雌ネジを備えてなり、また下端には規格寸法のパイプ管の外径と合致する内径を有し、接着によりパイプ管と接続可能な受入部9aを備えてなる。
逆流防止弁部材10は、略円筒形状を成す部材であって、上端部には上記接続部材8の接続部8bと同様の、エルボ部材11b先端と内面が段差なく嵌合可能な弁部材接続部10aを備えてなる。また下端には洗濯機排水配管11のエルボ部材11bの端部と同様の形状を備え、接続部材8の接続部8bと嵌合可能に構成された弁部材挿入部10bを備えてなる。
また、円筒部分の側面に、洗濯機用防水パン1内の排水を内部に排出可能とすると共に、内部からの排水が洗濯機用防水パン1内へ逆流することを防止する逆流防止弁10dを備えた排水口10cを設けてなる。
尚、上記接続部材8と継手部材9、エルボ部材11b、及び縦管部FPは、施工が完了した時、その内面が段差なく接続されるように、その形状を設計されてなる。
【0015】
上記洗濯機用防水パン1を設置する床面Fは、以下のような配管構造が用意されてなる。
設置する床面Fには、平面視において洗濯機用防水パン1よりも小さい大きさの床面の開口FOが設けられてなり、この床面の開口FOから床下配管に繋がる塩ビ素材の縦配管FPが垂立して備えられてなる。
この縦配管FPについて詳述すると、上記のようにリフォームを行うに際し、洗濯機用防水パン1を任意の箇所に設置するため、設置個所の床面Fに開口を設け、この床面の開口FOから垂立するように床下の既設の排水配管EP2から分岐させたものである。この際、
図8に示したように、開口の位置にて縦配管FPを床面F上に延出しつつ、且つ既設の給水管やガス配管等の既設の配管EP1を迂回しながら床下配管の主管まで自然排水の勾配を確保するために、既設の配管EP1の上側を迂回して配管している。このため、縦配管FPは床面の開口FO近傍にエルボ管を配置しており、エルボ管の端部に設けたソケット部PS(縦配管FPとなる直管端部を収納し、接着する際の接着しろとなる部分)は床面の開口FOと同じ高さ、または床面よりも上方の位置に達している。これらの配管は、以下に記載する洗濯機用防水パン1の施工を開始する際に、既に配管作業が完了しており、各接続部分は必要に応じ、接着などの方法で水密的に接続固定されている。また縦配管FPは、後述する洗濯機用防水パン1を接続するのに適切な高さになるよう、その長さを調整した上で配置されている。
尚、図示また詳細な記載等は省くが、これらの配管は、必要に応じて、床面Fよりも下方のコンクリート打設面に支持具などで位置決め固定され、水平方向/垂直方向に対し固定されている。
【0016】
以下に、本発明の第一実施例の洗濯機用防水パン1の施工方法を、図面を参照しつつ説明する。尚、特に詳述しないが、以下の施工の際には、必要に応じ接続箇所はパッキングや接着剤を利用して水密的に接続されてなる。
まず、洗濯機用防水パン1の取付口4b周縁の鍔部4aの上面に、接続部材8の筒部分を挿通し、接続部材8のフランジ部8a下面と取付口4b周縁の鍔部4a上面とが当接するように配置する。
次に、継手部材9を洗濯機用防水パン1の下方から取付口4b周縁に配置し、接続部材8の雄ネジを継手部材9の雌ネジに螺合させて、フランジ部8a下面と継手部材9上面とで鍔部4aを挟持させ、接続部材8及び継手部材9を洗濯機用防水パン1に接続固定する。この接続部材8及び継手部材9を接続筒部4上端に接続固定したことによって、接続筒部4上端に配管接続部5が形成される。前述の通り、接続筒部4は底壁部2より上方に延出されているため、配管接続部5は底壁部2よりも高い位置に設けられてなる。
次に、配管接続部5の接続部8bに、逆流防止弁部材10の弁部材挿入部10bを挿入し嵌合接続する。尚、当然ながら、この接続に際して、逆流防止弁部材10の排水口10cは、洗濯機用防水パン1の側壁部3の上端よりも低い位置となるように設計されてなる。
次に、配管接続部5の受入部9a内面または床面の開口FOから延出された縦配管FPの上端外面のいずれか一方に接着剤を塗布した上で、受入部9a内に縦配管FPの端部を挿入しつつ、洗濯機用防水パン1を床面F上に設置する。この作業は、設置の際に縦配管FPの位置を横方向から視認しつつ行うことができるため、容易に行うことができる。
これにより、配管接続部5が、床下配管から床面F上に延出された縦配管FPと、洗濯機用防水パン1の裏側の空間にて接続され、以降、縦配管FPから下流側の配管はパン排水配管Pとなる。
尚、床面の開口FOから延出している縦配管FPの下端であって、床面の開口FOと同じ高さ、または床面よりも上方の高さ位置には、
図8に示したように、エルボ管の端部に設けたソケット部PSが存在するが、
図1より明らかなように、配管接続部5において縦配管FPが挿入される受入部9aは、洗濯機用防水パン1の底壁部2よりも充分高い接続筒部4の上端の位置にあり、上記縦配管FPと受入部9aとの接続に際し、受入部9aとソケット部PSは上下方向に充分な距離があるため、互いに干渉することは無い。
次に、ビスなどを利用し、洗濯機用防水パン1を床面F上の設置場所に固定する。
次に、洗濯機Sを床面F上の任意の場所に設置する。洗濯機Sの位置は、洗濯機用防水パン1の上方でも良いし、それ以外の床面F上でも良い。
更に洗濯機Sの洗濯機排水配管11のエルボ部材11bの端部を、洗濯機用防水パン1の逆流防止弁部材10の弁部材接続部10aを接続させ、逆流防止弁部材10を介して、洗濯機用防水パン1の配管接続部5と洗濯機排水配管11を接続させて、本実施例の洗濯機用防水パン1の施工が完了する。
【0017】
洗濯機Sの使用により洗濯機排水配管11から排水が行われた場合、排水は洗濯機排水配管11から、逆流防止弁部材10、配管接続部5、の順に通過し、パン排水配管Pである縦配管FPから床下配管を介して下水側に排出される。尚、逆流防止弁部材10内を排水が通過する際には、逆流防止弁10dが作用するため、洗濯機用防水パン1内に排水が逆流することは無い。
また、配管の接続箇所等から若干の漏水が洗濯機用防水パン1内に発生した場合には、漏水は洗濯機用防水パン1内に留まり、他の床面F上に流出することは無いため、床面F上が汚損されることを防止できる。
また、洗濯機排水配管11が故障したなどの理由で洗濯機用防水パン1内に大量の排水が発生した場合、溜まった排水の水位が接続筒部4上端の排水口10cに達した時点で、逆流防止弁10dが開口し、洗濯機用防水パン1内の排水は、排水口10cから縦配管FP及び床下配管を介して下水側に排出される。
【0018】
次に、本発明の第二実施例を、図面を参照しつつ説明する。尚、本発明の第二実施例の洗濯機用防水パン1は、屋内のリフォームに使用されるものであって、床上の排水配管に接続されて排水を配管先である浴室に排出する。
本発明の第二実施例は、
図4乃至
図6に示した、洗濯機S、洗濯機用防水パン1、接続部材8、継手部材9、及びパン排水配管Pを構成するパイプ管やエルボ管等の配管部材から構成される。
この内、洗濯機S、洗濯機用防水パン1、接続部材8、及び継手部材9は、段落0014に記載した第一実施例の各部材と同一のため説明は省略し、以下に配管部材についてのみ説明する。
配管部材は、塩ビ素材からなる管体であって、直線状の円筒管からなる直管、両端が約90度屈曲したエルボ管等の種類がある。また、エルボ管、チーズ管の端部には、直管が挿入され接着などで接続可能とするためのソケット部PSを備えてなる。
尚、図示また詳細な記載等は省くが、これらの配管は、必要に応じて、床面F上に支持具などで固定される。
【0019】
上記洗濯機Sや洗濯機用防水パン1を設置する家屋には、以下のような設置個所や排水機器が用意されてなる。
本実施例の洗濯機用防水パン1を設置する、屋内の床面Fは、特に床下に連通する何らの開口を設けてはいない、平坦な床面Fである。また、近傍には設置場所と浴室とを区画する浴室の壁面BWがあり、施工時にパン排水配管Pを浴室側に通すための貫通孔BHが設けられてなる。
浴室は、洗い場と洗い場に隣接した浴槽が設けられてなる、洗い場には洗い場上の排水を下水に排出する洗い場排水口(図示せず)が備えられてなる。
尚、浴室の壁面BWに設けられた貫通孔BHの高さは、施工時床面F上に略平行に設置された配管よりも高い位置に設けられてなるが、排水時にサイホン効果が働くことで、床面F上の配管の下流側である貫通孔BH部分の配管のほうが高所であってもスムーズな排水が行われることを可能としている。
【0020】
以下に、本発明の第二実施例の洗濯機用防水パン1の施工方法を、図面を参照しつつ説明する。尚、特に詳述しないが、以下の施工の際には、必要に応じ接続箇所はパッキングや接着剤を利用して水密的に接続されてなる。
まず、洗濯機用防水パン1の側壁部3の外壁部3bを、切出溝7aに沿って切断して外壁部3bに切欠部7bを形成し、配管接続口よりも下流側の配管を洗濯機用防水パン1の側壁部3の切欠部7bから延出可能な構造とする。
次に、洗濯機用防水パン1の取付口4b周縁の鍔部4aの上面に、接続部材8の筒部分を挿通し、接続部材8のフランジ部8a下面と取付口4b周縁の鍔部4a上面とが当接するように配置する。
次に、継手部材9を洗濯機用防水パン1の下方から取付口4b周縁に配置し、接続部材8の雄ネジを継手部材9の雌ネジに螺合させて、フランジ部8a下面と継手部材9上面とで鍔部4aを挟持させ、接続部材8及び継手部材9を洗濯機用防水パン1に接続固定する。この接続部材8及び継手部材9を接続筒部4上端に接続固定したことによって、接続筒部4上端に配管接続部5が形成される。
次に、パン排水配管Pの施工を行う。尚、パン排水配管Pの配管は、直管やソケット部PSを備えたエルボ管等を組み合わせて行われるが、以下の説明では、どの方向に配管が行われるかのみを記載し、各直管やエルボ管等の配管部材をどのように組み合わせたかについては特に詳述しない。
図6に示したように、配管接続部5の下方の受入部9aに、適切な長さに切断した直管を、接着剤を塗布した上で挿入し、更にエルボ管と直管を利用して、洗濯機用防水パン1の裏側空間であって、床面Fよりも上方となる位置にて配管を90度屈曲させ、接続筒部4から側面方向に配管を向ける。この時、単に配管の方向を水平方向とするのではなく、配管カバー部6の方向に向けて配管を水平方向に向ける。
次に、配管カバー部6の下方を介し、切欠部7bより洗濯機用防水パン1の外部にパン排水配管Pを延出させる。
次に、洗濯機用防水パン1を床面F上に設置し、必要に応じパン排水配管Pを支える支持台を床面Fに設置しつつ、洗濯機用防水パン1からのパン排水配管Pを、床面Fに沿って浴室の壁面BW外側近傍まで延出する。
次に、パン排水配管Pを、浴室の外側の壁面に沿って鉛直上方向に屈曲させ、浴室壁面の貫通孔BHの高さ位置で水平方向に屈曲させて貫通孔BHに配管を通し、更に浴室内で浴室の内側の壁面に沿って配管を鉛直下方向に屈曲させる。最終的に、パン排水配管Pの端部が、浴室内であって、浴室の洗い場上に配置されるようにする。また、パン排水配管Pの浴室内側の端部は、その下端が、洗濯機用防水パン1の接続部材8の上端よりも下方となる高さ位置まで延出する。
次に、ビスなどを利用し、洗濯機用防水パン1を床面F上の設置場所に固定する。
次に、洗濯機Sを床面F上の任意の場所に設置する。洗濯機Sの位置は、洗濯機用防水パン1の上方でも良いし、それ以外の床面F上でも良い。
更に洗濯機Sの洗濯機排水配管11のエルボ部材11bの端部を、接続部8bに接続させ、洗濯機用防水パン1の配管接続部5と洗濯機排水配管11を接続させることで、本実施例の洗濯機用防水パン1の施工が完了する。尚、段落0014に記載の通り、接続部材8と継手部材9、エルボ部材11b、及び縦管部FPは、施工が完了した状態で、その内面が段差なく接続されてなる。
【0021】
洗濯機Sの使用により洗濯機排水配管11から排水が行われた場合、排水は洗濯機排水配管11から、配管接続部5、パン排水配管Pの順に通過し、浴室の洗い場内に排出され、浴室の洗い場排水口を介して下水側に排出される。
パン排水配管Pの、貫通孔BH部分の配管の高さ位置は、床面F上に配置した配管よりも高い位置に配置されているが、洗濯機Sを使用し排水が大量に流れた際には、一時的に洗濯機Sの内部であって、貫通孔BHよりも高い位置から排水が生じ、貫通孔BHの高さ位置の配管を超えて浴室内に排水が行われる。また、この時には、パン排水配管Pが排水のみで満たされた満管状態となり、サイホン効果が発生する。このサイホン効果は、接続部材8と継手部材9、エルボ部材11b、及び縦管部FPにおいて、その内面が段差なく接続されていることで排水の流れがスムーズとなり、また空気だまりも発生しないため、特に発生し易くなっている。
パン排水配管Pの、浴室内の端部は、接続部材8の上端よりも下方となる高さ位置のため、サイホン効果により、パン排水配管P内が満管状態を維持する限り、排水は貫通孔BHの高さ位置を超えて、支障なく浴室内に排出される。
また、配管などの接続部8bから若干の漏水が洗濯機用防水パン1内に発生した場合には、漏水は洗濯機用防水パン1内に留まり、他の床面F上に流出することは無いため、床面F上が汚損されることを防止できる。
【0022】
上記第二実施例では、床下配管を行う第一実施例と同じ洗濯機用防水パン1を使用しつつ、床上配管に対応することができる。床下配管用の洗濯機用防水パン1と床上配管用の洗濯機用防水パン1とを、同じ洗濯機用防水パン1で兼用できるため、床上配管に対応した洗濯機用防水パン1を、床下配管に対応した洗濯機用防水パン1と同じ程度の安価な価格で提供できる。
【0023】
本発明の実施例は以上のようであるが、本発明は上記実施例に限定される物ではなく、要旨を変更しない範囲において自由に変更が可能である。
例えば、上記実施例では、洗濯機用防水パン1は平面視略長方形形状に構成されてなるが、本発明は上記実施例に限定されるものでは無く、平面視略正方形形状など、必要に応じて円形や略多角形形状に構成しても良い。
また略長方形形状の場合、上記実施例のように、短辺にのみ配管カバー部6を延出し、対応する切出溝7aを設けるのではなく、長辺のみ、または短辺と長辺の両方にそれぞれ配管カバー部6を延出し、それに対応する切溝部を設けるようにしてもよい。
また、上記実施例では、外壁部3bに切出溝7aを設け、この切出溝7aに沿って外壁部3bを切断することで、床下配管と床上配管の両方に対応する構造としているが、本発明は上記実施例に限定することなく、入れ子式と呼ばれる金型を採用することで、一組の金型で床下配管と床上配管の両方に対応した洗濯機用防水パン1を製造することができる。
入れ子式金型とは、金型の一部分だけを交換可能とした金型であり、本発明の場合、上記切欠部7bの周辺部分について、切欠部7bのある金型と切欠部7bの無い金型の2種類を用意し、必要に応じて交換することで、一組の金型で、切欠部7bのある床上配管用の洗濯機用防水パン1と、切欠部7bの無い床下配管用の洗濯機用防水パン1をそれぞれ生産することができる。入れ子式金型とすることによる金型代のコストアップはわずかであるから、この入れ子式金型の場合でも、床上配管に対応した洗濯機用防水パン1を、床下配管に対応した洗濯機用防水パン1と同じ程度の安価な価格で提供できる。
また、上記第一実施例においてはパン排水配管Pは単なる排水の流路のみ形成してなるが、必要に応じ、下流側からの臭気や害虫類の屋内側への侵入を防止する排水トラップを流路上に設けて、臭気や害虫類の屋内側への侵入を防止するようにしてもよい。