(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-131790(P2018-131790A)
(43)【公開日】2018年8月23日
(54)【発明の名称】窪地利用施設及びその建設方法
(51)【国際特許分類】
E03F 1/00 20060101AFI20180727BHJP
E03B 11/14 20060101ALI20180727BHJP
【FI】
E03F1/00 Z
E03B11/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2017-25473(P2017-25473)
(22)【出願日】2017年2月14日
(71)【出願人】
【識別番号】306024805
【氏名又は名称】株式会社 林物産発明研究所
(72)【発明者】
【氏名】林 慎一郎
(72)【発明者】
【氏名】林 和志郎
(72)【発明者】
【氏名】林 宏三郎
(72)【発明者】
【氏名】林 加奈子
【テーマコード(参考)】
2D063
【Fターム(参考)】
2D063AA01
2D063AA17
(57)【要約】
【課題】 窪地を利用した雨水等の窪地利用施設であって、法面を埋め戻す必要のない窪地利用施設とそれに使用する柱支持部材を提供する。
【解決手段】 本発明は、窪地の法面に形成された段部の上に設置された帯水ブロックと、前記帯水ブロックの上に配置された表面層を有する窪地利用施設とした。また、窪地の法面に段部を形成し、前記段部に帯水ブロックを設置し、前記帯水ブロックの上に表面層を設置する窪地利用施設の建造方法とした。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
窪地の法面に形成された段部の上に設置された帯水ブロックと、
前記帯水ブロックの上に配置された表面層を有する窪地利用施設。
【請求項2】
複数の前記帯水ブロックが積層されている請求項1の窪地利用施設。
【請求項3】
前記帯水ブロックと前記表面層の間にシート部材を配置した請求項1又は2いずれかの窪地利用施設。
【請求項4】
前記表面層の上に建築物を配置した請求項1〜3のいずれかの窪地利用施設。
【請求項5】
前記建築物が飼育場であり、前記飼育場の上に植物工場を配置した請求項4の窪地利用施設。
【請求項6】
窪地の法面に段部を形成し、
前記段部に帯水ブロックを設置し、
前記帯水ブロックの上に表面層を設置する窪地利用施設の建造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窪地利用施設及びその建設方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図1に示すように、多数の高空隙率の帯水ブロック104を積み上げた帯水構造体を窪地100の底に設置してから埋め戻すことで、雨水の貯留と窪地100上の空間利用を図る技術が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−211316号公報
【特許文献2】特開平10−252108号公報
【特許文献3】特開平11−222886号公報
【特許文献4】特開2008−280775号公報
【特許文献5】特開2010−048010号公報
【特許文献6】特開2010−059729号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、埋め戻しをする分コスト増となる。法面の傾斜が緩い場合は、埋め戻し面積が広大でコスト増が大きく、貯水容積も大幅に減少する。また、帯水構造体と埋め戻した土の境目の転圧が難しく、陥没等生じ易い。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願には、下記発明が開示される。
<構成1>
窪地の法面に形成された段部の上に設置された帯水ブロックと、
前記帯水ブロックの上に配置された表面層を有する窪地利用施設。
<構成2>
複数の前記帯水ブロックが積層されている構成1の窪地利用施設。
<構成3>
前記帯水ブロックと前記表面層の間にシート部材を配置した構成1又は2いずれかの窪地利用施設。
<構成4>
前記表面層の上に建築物を配置した構成1〜3のいずれかの窪地利用施設。
<構成5>
前記建築物が飼育場であり、前記飼育場の上に植物工場を配置した構成4の窪地利用施設。
<構成6>
窪地の法面に段部を形成し、
前記段部に帯水ブロックを設置し、
前記帯水ブロックの上に表面層を設置する窪地利用施設の建造方法。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図2】本発明の一実施形態に使用する窪地1を示す。
【
図3】本発明の一実施形態の窪地利用施設10を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図2のように、窪地1は底部2とその周囲の法面3を有する。底部2は概ね平坦であることが多い。法面3は傾斜面である。窪地1は、自然窪地でも人口窪地でもよい。窪地1は、不図示の集水用水路及び/又は排水用水路を有するとよい。
【0008】
法面3には、複数の段部4が形成される。段部4は盛り土で形成できる。木や金属等の堰板5を用いると段部4を形成し易い。段部4は硬質プラスチック等で形成してもよい。段部4の上面は好ましくは平坦にする。
【0009】
図3に示すように、窪地利用施設10は、帯水構造体20と表面層40を有する。
【0010】
帯水構造体20は、複数の帯水ブロック30の積層体で構成できる。
【0011】
図4は、例示的な帯水ブロック30を示す。帯水ブロック30は、硬質プラスチック等で形成された立体物である。帯水ブロック30は、空隙率が大きいことが好ましい。帯水ブロック30は、
図5のように、連結板31を用いて前後左右に連結可能であり、
図6のように、連結筒32を用いて上下に連結可能である。帯水ブロック30の詳細は特許文献3に記載の通りである。
【0012】
各帯水構造体20は、複数の帯水ブロック30を上下に一列に連結したものでもよく、上下及び
図3の紙面に対して前後(又は前後左右)に連結したものでもよい。隣接する帯水構造体20の帯水ブロック30同士を左右に連結してもよい。
【0013】
底部2に帯水構造体50を配置するとよい。帯水構造体50は、特許文献1と同様でもよく、特許文献2〜6の帯水ブロック(ユニット部材、帯水材、テーブル状部材、単位部材)の積層体でもよい。
【0014】
表面層40は、砕石、土、コンクリート等とすることができる。
【0015】
帯水構造体20、50と表面層40の間にシート部材70を介在させると表面層40を敷設し易くなる。シート部材70は、透水性のシートが好ましい。
【0016】
窪地利用施設10は、窪地1を溜め池・調整池等の貯留施設として使用できる。底部2及び法面3を露出した地面にすると水はけがよくなる。地面に遮水加工(例えば、コンクリート)をすれば貯水槽として使用できる。窪地利用施設10では、法面3を埋め戻す必要が無いのでコストを抑制できる。表面層40を帯水構造体20、50で支持するので安定であり、陥没の懸念も少なく、表面層40の上を建物、公園、駐車場等として利用でき、施工も容易である。
【0017】
図7は、窪地利用施設10の利用例である。窪地利用施設10の上部を家畜等の飼育場(又は養殖場)80とすれば、糞尿等を窪地1に回収できる。飼育場80の上に植物工場81を設けるとよい。植物工場81で出る酸素を飼育場80に供給し、飼育場80の家畜が出す二酸化炭素を植物工場81に供給できる。飼育場80及び植物工場81の内部に人が立ち入らないようにすれば、建築基準法の適用が無いので建設コストを抑制できる。飼育場80の横に同様の飼育場82を設けてもよく、植物工場81の周囲は公園や菜園、駐車場、芝生等として利用できる。
【0018】
本発明の窪地利用施設は、溜め池、調整池、川、枯れ川、谷などの窪地に適用できる。
【0019】
上記実施形態に記載した窪地利用施設及び柱支持部材の構成要素やその寸法、形状、配置、個数、材料等は、例示であり、他の態様も可能である。
【符号の説明】
【0020】
1・・・窪地
2・・・底部
3・・・法面
4・・・段部
5・・・堰板
10・・・窪地利用施設
20・・・帯水構造体
30・・・帯水ブロック
31・・・連結板
32・・・連結筒
40・・・表面層
50・・・帯水構造体
70・・・シート部材
80・・・飼育場
81・・・植物工場
82・・・飼育場