特開2018-131796(P2018-131796A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特開2018-131796連結部材とこれを用いた貯留浸透槽及びその構築方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-131796(P2018-131796A)
(43)【公開日】2018年8月23日
(54)【発明の名称】連結部材とこれを用いた貯留浸透槽及びその構築方法
(51)【国際特許分類】
   E03F 1/00 20060101AFI20180727BHJP
【FI】
   E03F1/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-25480(P2017-25480)
(22)【出願日】2017年2月14日
(71)【出願人】
【識別番号】306024805
【氏名又は名称】株式会社 林物産発明研究所
(72)【発明者】
【氏名】林 慎一郎
(72)【発明者】
【氏名】林 和志郎
(72)【発明者】
【氏名】林 宏三郎
(72)【発明者】
【氏名】林 加奈子
【テーマコード(参考)】
2D063
【Fターム(参考)】
2D063AA01
2D063AA11
(57)【要約】
【課題】施工が容易で、地震等によっても破損することがない貯留浸透槽を提供すること。
【解決手段】矩形プレート状の複数のコンクリートパネル2,3,4を樹脂製の連結部材5によって連結して成る矩形平面状の上壁1Aと底壁1Bとを、上下に対向する一対の前記連結部材5の間にコンクリート柱6を介設することによって互いに平行に配置し、これらの上壁1Aと底壁1Bの周囲をコンクリート製の複数の側壁パネル7,8で囲んで貯留浸透槽1を構成する。ここで、連結部材5は、樹脂によって一体成形される部材であって、矩形プレート状のベース部5Aの四隅から中空状の突起部5Bを一体に突設して構成されるものである。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂によって一体成形される部材であって、矩形プレート状のベース部の四隅から中空状の突起部を一体に突設して構成されることを特徴とする連結部材。
【請求項2】
矩形プレート状の複数のコンクリートパネルを請求項1記載の連結部材によって連結して成る矩形平面状の上壁と底壁とを、上下に対向する一対の前記連結部材の間にコンクリート柱を介設することによって互いに平行に配置し、これらの上壁と底壁の周囲をコンクリート製の複数の側壁パネルで囲んで構成されることを特徴とする貯留浸透槽。
【請求項3】
矩形プレート状の複数のコンクリートパネルを請求項1記載の連結部材によって連結して矩形平面状の底壁を形成し、各連結部材の突起にコンクリート柱を差し込んでこれらを略垂直に起立させた後、
互いに連結されたコンクリート製の複数の側壁パネルによって前記底壁の周囲を囲み、
前記コンクリート柱に請求項1記載の別の連結部材の突起に形成された穴を差し込んで該連結部材を前記コンクリート柱によって支持し、
矩形プレート状の複数のコンクリートパネルを前記別の連結部材によって連結して矩形平面状の上壁を形成することを特徴とする貯留浸透槽の構築方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集水した雨水を地下で一時的に貯留した後に徐々に地中に浸透させるための貯留浸透槽とこれを構築するための連結部材及び構築方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、地中に地下調整池としての貯留槽を埋設し、この貯留槽に多量の雨水を集めて一時的に貯留し、その後、貯留槽から雨水を徐々に排出することによって、河川への集中的な雨水の流入を防ぐことが広く行われている。ここで、貯留槽は、ボックスカルバート等のコンクリート製構造物から成るものであって(例えば、特許文献1参照)、その排水方式には、貯留した雨水を排出口から排出させる方式と、貯留した雨水を地下に徐々に浸透させる浸透方式がある。
【0003】
排水方式として浸透方式を採用する貯留浸透槽に関して、特許文献2には、雨水を一時的に貯留することができる空間を備えた単位構造材を上下方向に積層した積層構造体を貯留浸透槽として地中に埋設する構成が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−184159号公報
【特許文献2】特開2010−229803号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1等に開示されたコンクリート製構造物から成る貯留浸透槽は、コンクリート製構造物が重いために施行に困難を伴うという問題がある。
【0006】
又、特許文献2において提案された貯留浸透槽においては、地表面を走行する車両等からの上載荷重を受けたり、地震の発生によって上下左右方向の荷重を受けると、その荷重に耐えられないで破損する可能性がある。
【0007】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、施工が容易で、地震等によっても破損することがない貯留浸透槽とその構築方法及び該貯留浸透槽の構築に使用される連結部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、樹脂によって一体成形される連結部材を、矩形プレート状のベース部の四隅から中空状の突起部を一体に突設して構成したことを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の発明は、矩形プレート状の複数のコンクリートパネルを請求項1記載の連結部材によって連結して成る矩形平面状の上壁と底壁とを、上下に対向する一対の前記連結部材の間にコンクリート柱を介設することによって互いに平行に配置し、これらの上壁と底壁の周囲をコンクリート製の複数の側壁パネルで囲んで貯留浸透槽を構成したことを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の貯留浸透槽の構築方法は、矩形プレート状の複数のコンクリートパネルを請求項1記載の連結部材によって連結して矩形平面状の底壁を形成し、各連結部材の突起にコンクリート柱を差し込んでこれらを略垂直に起立させた後、
互いに連結されたコンクリート製の複数の側壁パネルによって前記底壁の周囲を囲み、
前記コンクリート柱に請求項1記載の別の連結部材の突起に形成された穴を差し込んで該連結部材を前記コンクリート柱によって支持し、
矩形プレート状の複数のコンクリートパネルを前記別の連結部材によって連結して矩形平面状の上壁を形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、貯留浸透槽の矩形平面状の上壁と底壁は、複数のコンクリートパネルを連結部材によって連結することによって構成され、これらの上壁と底壁の周囲は、複数の側壁パネルによって囲まれるため、コンクリートパネルとコンクリート製の側壁パネルの各1つずつは、ボックスカルバート等のコンクリート製構造物よりも格段に軽い。又、複数のコンクリートパネルを連結する連結部材も樹脂製であるために軽い。従って、軽くて小さく分割されたコンクリートパネルと側壁パネル及び連結部材の取り扱いが容易となり、これらを用いて貯留浸透槽を施工性良く簡単に構築することができる。
【0012】
又、地中に埋設される貯留浸透槽の上壁と底壁はコンクリート柱によって互いに平行に支持され、当該貯留浸透槽の鉛直強度がコンクリート柱によって高められる。又、貯留浸透槽の水平強度は、上壁と底壁の周囲を囲む側壁パネルによって高められる。このため、上壁に過大な上載荷重や土圧が作用したり、大きな地震によって貯留浸透槽に過大な水平荷重が作用しても、当該貯留浸透槽に破損が発生することがない。特に、上壁と下壁を構成するコンクリートパネルと連結部材との連結を凹凸嵌合によって行い、両者の間にクリアランスを設けたり、側壁パネル同士の連結部にクリアランスを設けておけば、地震エネルギーの一部は、コンクリートパネルと連結部材との連結部及び側壁パネル同士の連結部のクリアランス分の変位によって吸収されるため、貯留浸透槽の耐震強度が高められる。
【0013】
そして、以上のように構成された貯留浸透槽に一時的に貯留された雨水は、底壁を構成する複数のコンクリートパネル間の隙間や複数の側壁パネル間の隙間から地中へと徐々に浸透する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係る貯留浸透槽の平面図である。
図2図1のA−A線拡大断面図である。
図3】本発明に係る連結部材の平面図である。
図4図3のB−B線断面図である。
図5】(a)〜(c)は本発明に係る貯留浸透槽のコンクリートパネルの平面図である。
図6図5(a)のC−C線断面図である。
図7】本発明に係る貯留浸透槽の側壁パネルの斜視図である。
図8】本発明に係る貯留浸透槽の側壁パネルの斜視図である。
図9】本発明に係る貯留浸透槽の補強プレートの斜視図である。
図10】本発明に係る貯留浸透槽の構築方法(底壁を構成するコンクリートパネルを配置した状態)を示す部分平面図である。
図11図10のD−D線拡大断面図である。
図12】本発明に係る貯留浸透槽の構築方法(底壁を構成するコンクリートパネル同士を連結部材で連結した状態)を示す部分平面図である。
図13図12のE−E線拡大断面図である。
図14】連結部材の突起部に形成された穴にコンクリート柱の下端部を差し込んだ状態を示す図13と同様の図である。
図15】本発明に係る貯留浸透槽の構築方法(側壁パネルと補強プレートを組み付けた状態)を示す部分平面図である。
図16】本発明に係る貯留浸透槽の構築方法(コンクリート柱の上端部に連結部材の突起部の穴を差し込んだ状態)を示す部分側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0016】
図1は本発明に係る貯留浸透槽の平面図、図2図1のA−A線拡大断面図である。
【0017】
本発明に係る貯留浸透槽1は、地中に埋設されるものであって、図1及び図2に示すように、矩形プレート状の複数のコンクリートパネル2,3,4を本発明に係る複数の連結部材5によって連結して成る矩形平面状の上壁1Aと底壁1B(図2参照)とを、上下に対向する一対の連結部材5の間にコンクリート柱6を介設することによって互いに平行に配置し、これらの上壁1Aと底壁1Bの周囲を2種類のコンクリート製の複数の側壁パネル7,8で囲んで構成されている。尚、平板状の側壁パネル7同士及び平板状の側壁パネル7とL字状に屈曲する側壁パネル8とは、これらの内側に配置されたコンクリート製の補強プレート9によってそれぞれ連結されている。又、前記コンクリート柱6は、金属パイプの内部にコンクリートを充填して固化させることによって構成されている。
【0018】
ここで、上記連結部材5の構成を図3及び図4に基づいて説明する。
【0019】
即ち、図3は本発明に係る連結部材の平面図、図4図3のB−B線断面図であり、図示の連結部材5は、射出成形によって製造される樹脂成形品であって、矩形プレート状のベース部5Aの四隅から中空状の突起部5Bを一体に突設して構成されている。ここで、各突起部5Bは、中空テーパ状の有底筒として構成されており、図4に示すように、その内部にはテーパ穴5aがそれぞれ形成されている。
【0020】
次に、前記コンクリートパネル2,3,4の構成を図5(a)〜(c)及び図6に基づいて説明する。
【0021】
即ち、図5(a)〜(c)は大きさの異なる3種類のコンクリートパネルの平面図、図6図5(a)のC−C線断面図であり、図5(a)に示すコンクリートパネル2は、正方形のプレートであって、その一方の面の四隅には、所定の深さのテーパ状の嵌合穴2a(図6参照)が形成されている。尚、このコンクリートパネル2は、図1に示すように、側壁パネル7,8によって囲まれる矩形の領域の周囲を除く領域に配置されるものである。
【0022】
又、図6(b)に示すコンクリートパネル3は、図5(a)に示すコンクリートパネル2を4分割した大きさを有する長方形のプレートであって、その一方の面の長手方向両端部には、テーパ状の嵌合穴3aが形成されている。尚、このコンクリートパネル3は、図1に示すように、側壁パネル7,8によって囲まれる矩形の領域の四隅を除く内側周囲に配置されるものである。
【0023】
更に、図5(c)に示すコンクリートパネル4は、図5(a)に示すコンクリートパネル2を16分割した大きさを有する正方形のプレートであって、その一方の面の1箇所には、テーパ状の嵌合穴4aが形成されている。尚、このコンクリートパネル4は、側壁パネル7,8によって囲まれる矩形の領域の4隅に配置されるものである。
【0024】
ここで、貯留浸透槽1の上壁1Aと底壁1B(図2参照)を構成するコンクリートパネル2同士の連結構造を図2に基づいて説明する。尚、
上壁1Aを構成するコンクリートパネル2は、底壁1Bを構成するコンクリートパネル2の上方に上下を逆にして(嵌合穴2aが下に向かって開口する向きに)配置され、隣接するコンクリートパネル2同士は、これらの下面に開口する嵌合穴2aに各連結部材5の突起部5Bを下方から嵌合させることによって互いに連結される。
【0025】
又、底壁1Bを構成するコンクリートパネル2は、嵌合穴2aが上方に開口する向きに配置され、隣接するコンクリートパネル2同士は、これらの嵌合穴2aに各連結部材5の突起部5Bを上方から嵌合させることによって互いに連結される。
【0026】
そして、上壁1Aと底壁1Bは、上下を逆にして対向する上下一対の各連結部材5の突起部5Bに形成されたテーパ穴5aにコンクリート柱6を差し込んで両者間に介設することによって、上下に所定距離を隔てて平行に配置されている。尚、コンクリートパネル3,4同士及びコンクリートパネル2,3同士の連結もコンクリートパネル2同士の連結と同様に行われるため、これらの連結構造についての図示及び説明は省略する。
【0027】
次に、2種類の前記パネル7,8と前記補強プレート9の構成を図7図9に基づいて説明する。
【0028】
図7及び図8は側壁パネルの斜視図、図9は補強プレートの斜視図であり、図8に示す側壁パネル7は、コンクリートで矩形平板状に成形されたものであって、その左右両端部の上下には各2つのボルト孔7aがそれぞれ形成されている。
【0029】
又、図8に示す側壁パネル8は、コンクリートでL字状に屈曲成形されたプレートであって、その左右両端部の上下には各2つのボルト孔8aがそれぞれ形成されている。
【0030】
更に、図9に示す補強プレート9は、コンクリート製のプレートであって、一部が斜めにカットされた五角形を成しており、その縦方向の端面(接合面)の上下には、左右2本のボルト10がそれぞれ植設されている。
【0031】
次に、本発明に係る貯留浸透槽の構築方法を図10図16に基づいて以下に説明する。
【0032】
尚、図10は本発明に係る貯留浸透槽の構築方法(底壁を構成するコンクリートパネルを配置した状態)を示す部分平面図、図11図10のD−D線拡大断面図、図12は本発明に係る貯留浸透槽の構築方法(底壁を構成するコンクリートパネル同士を連結部材で連結した状態)を示す部分平面図、図13図12のE−E線拡大断面図、図14は連結部材の突起部に形成された穴にコンクリート柱の下端部を差し込んだ状態を示す図13と同様の図、図15は本発明に係る貯留浸透槽の構築方法(側壁パネルと補強プレートを組み付けた状態)を示す部分平面図、図16は本発明に係る貯留浸透槽の構築方法(コンクリート柱の上端部に連結部材の突起部の穴を差し込んだ状態)を示す部分側断面図である。
【0033】
本発明方法においては、先ず、図10に示すように、図5(a)〜(c)に示す3種類のコンクリートパネル2,3,4が平面上に付き合わせた状態で整然と並べられる。具体的には、図5(a)に示す複数のコンクリートパネル2を互いに付き合わせた状態で整然と並べ、これらのコンクリートパネル2によって形成される矩形領域の四隅を除く周囲に図5(b)に示す細長い長方形のコンクリートパネル3を配置し、四隅に図5(c)に示す小さな正方形のコンクリートパネル4を配置する。このとき、各コンクリートパネル2,3,4に形成された各嵌合穴2a,3a,4aは、図11に示すように(図11には嵌合穴4aは不図示)、上方に向かって開口している。
【0034】
次に、図12及び図13に示すように、各コンクリートパネル2,3,4の隣接するもの同士を図3及び図4に示す連結部材5によって互いに連結する。例えば、図13に示すように、図5(a)に示すコンクリートパネル2と図5(b)に示すコンクリートパネル3とは、連結プレート5をその突起部5Bが下となる向きとして各突起部5Bをコンクリートパネル2,3に形成された各嵌合穴2a,3aにそれぞれ嵌合させることによって、これらのコンクリートパネル2,3同士が連結部材5によって互いに連結される。又、図5(a)に示すコンクリートプレート2同士は、これらに形成された嵌合穴2aに連結部材5の突起部5Bを嵌合させることによって互いに連結される。
【0035】
以上のように、各コンクリートパネル2,3,4が連結部材5によって互いに連結されると、図14に示すように、連結部材5の突起部5Bに形成されたテーパ穴5aに各コンクリート柱6の下端部をそれぞれ差し込んでこれらを略垂直に起立させる。
【0036】
その後、図15に示すように、図7に示す側壁パネル7と図8に示す側壁パネル8を、コンクリートパネル2,3,4を並べて形成される矩形の平面領域の周囲に配置し、これらの側壁パネル7,8同士及び側壁パネル7同士を図9に示す補強プレート9によって互いに連結する。ここで、各補強プレート9は、側壁プレーパネル7,8の内側であって、隣接する2つの連結部材5の間に配置されており、その端面の上下に植設された各2つのボルト10を側壁パネル7,8の両端部の上下にそれぞれ形成されたボルト孔7a,8aに通し、その端部に螺合する不図示のナットを締め付けることによって側壁パネル7と側壁パネル8とが互いに連結され、或いは同種の側壁プレート7同士が互いに連結される。
【0037】
次に、図16に示すように、各接続部材5の突起部5Bに形成されたテーパ穴5aに差し込まれて略垂直に起立する各コンクリート柱6の上端部に、突起部5Bが上を向く状態にセットされた各接続部材5の各突起部5Bに形成されたテーパ穴5aを差し込むことによって、各接続部材5をコンクリート柱6に支持せしめる。そして、この状態から、コンクリート柱6に支持された各接続部材5の突起部5Bに、上壁1Aを構成するコンクリートパネル2,3,4の各嵌合穴2a,3a,4aをそれぞれ嵌合させることによって、図2に示すように、各コンクリートパネル2,3,4(図2にはコンクリートパネル2のみ図示)が接続部材5によって互いに接続され、図1に示す貯留浸透槽1が構築される。
【0038】
以上のように、本発明に係る貯留浸透槽1とその構築方法によれば、貯留浸透槽1の矩形平面状の上壁1Aと底壁1Bは、複数のコンクリートパネル2,3,4を連結部材5によって互いに連結することによって構成され、これらの上壁1Aと底壁1Bの周囲は、複数の側壁パネル7,8によって囲まれるため、コンクリートパネル2,3,4とコンクリート製の側壁パネル7,8の各1つずつは、ボックスカルバート等のコンクリート製構造物のよりも格段に軽い。又、複数のコンクリートパネル2,3,4を接続する接続部材5も樹脂製であるために軽い。従って、軽くて小さく分割されたコンクリートパネル2,3,4と側壁パネル7,8及び連結部材5の取り扱いが容易となり、これらを用いて貯留浸透槽1を施工性良く簡単に構築することができる。
【0039】
又、地中に埋設される貯留浸透槽1の上壁1Aと底壁1Bはコンクリート柱6によって互いに平行に保持され、当該貯留浸透槽1の鉛直強度がコンクリート柱6によって高められる。又、貯留浸透槽1の水平強度は、上壁1Aと底壁1Bの周囲を囲む側壁パネル7,8とこれらを連結する補強プレート9によって高められる。このため、上壁1Aに過大な上載荷重や土圧が作用したり、大きな地震によって貯留浸透槽1に過大な水平荷重が作用しても、当該貯留浸透槽1に破損が発生することがない。特に、上壁1Aと底壁1Bを構成するコンクリートパネル2,3,4と連結材5との連結を凹凸嵌合によって行い、両者の間にクリアランスを設けたり、側壁パネル7,8及び側壁パネル8同士の連結部にクリアランスを設けておけば、地震エネルギーの一部は、コンクリートパネル2,3,4と連結部材5との連結部及び側壁パネル7,8と側壁パネル8同士の連結部のクリアランス分の変位によって吸収されるため、貯留浸透槽1の耐震強度が高められる。
【0040】
そして、以上のように構成された貯留浸透槽1に一時的に貯留された雨水は、底壁1Bを構成する複数のコンクリートパネル2,3,4間の隙間や複数の側壁パネル7,8及び側壁パネル8間の隙間から地中へと徐々に浸透する。
【符号の説明】
【0041】
1 貯留浸透槽
1A 貯留浸透槽の上壁
1B 貯留浸透槽の底壁
2〜4 コンクリートパネル
2a〜4a コンクリートパネルの嵌合穴
5 連結部材
5A 連結部材のベース部
5B 連結部材の突起部
5a 連結部材のテーパ穴
6 コンクリート柱
7,8 側壁パネル
7a,8a 側壁パネルのボルト孔
9 補強プレート
10 ボルト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16