特開2018-132099(P2018-132099A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-132099(P2018-132099A)
(43)【公開日】2018年8月23日
(54)【発明の名称】流体継手
(51)【国際特許分類】
   F16L 35/00 20060101AFI20180727BHJP
【FI】
   F16L35/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-25056(P2017-25056)
(22)【出願日】2017年2月14日
(71)【出願人】
【識別番号】000106760
【氏名又は名称】CKD株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】夏目 清辰
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 新治
【テーマコード(参考)】
3H017
【Fターム(参考)】
3H017LA01
(57)【要約】
【課題】継手部に掛かる負荷を低減すること。
【解決手段】ガイド壁45の先端45fが、継手部44の先端44fよりも本体部11の端面11aから離れた位置にある。これによれば、継手部44がチューブ50の内部に挿し込まれた状態で、チューブ50が継手部44に対して折り曲げられたときに、チューブ50の外周面がガイド壁45に支持され、チューブ50が継手部44に対して折り曲げられたときに継手部44に作用する曲げ応力が低減される。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に流路が形成された流路形成部材から外方へ突出するとともに、前記流路に連通する連通孔が形成され、可撓性を有するチューブの内部に挿し込まれることにより前記チューブの内部と前記流路とを前記連通孔を介して連通させる筒状の継手部と、
前記継手部が突出する前記流路形成部材の突出面から延びるとともに、前記チューブが挿入される挿入孔が形成され、前記継手部を囲繞するガイド壁と、を備え、
前記ガイド壁における前記突出面からの延在方向の先端は、前記継手部における前記突出面からの突出方向の先端よりも前記突出面から離れた位置にある流体継手。
【請求項2】
前記継手部の外周面は、
前記チューブの内周面との間をシールする第1面と、
前記第1面よりも前記突出面側に位置し、且つ前記突出方向に直交する方向において前記第1面よりも前記連通孔側に位置する第2面と、
前記突出方向に対して交差する方向に延びて前記第1面と前記第2面とを繋ぐ段差部と、を有している請求項1に記載の流体継手。
【請求項3】
前記ガイド壁には、前記挿入孔に連通し、前記突出方向に対して交差する方向で前記第2面と重なる開口部が形成されている請求項2に記載の流体継手。
【請求項4】
前記ガイド壁は、前記開口部が形成された部分が、前記開口部よりも前記突出面とは反対側の部分よりも肉厚になっている請求項3に記載の流体継手。
【請求項5】
前記開口部を介して前記ガイド壁の外部に臨んでいる前記チューブの内部に対する前記継手部の挿し込み量が予め定められた挿し込み量に達しているか否かを判断するための目印を備えている請求項3又は請求項4に記載の流体継手。
【請求項6】
前記第2面は、前記チューブの内周面が係止する係止部を有している請求項2〜請求項5のいずれか一項に記載の流体継手。
【請求項7】
前記流体継手は、電磁弁が搭載される前記流路形成部材としてのマニホールドブロックに一体形成されている請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の流体継手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可撓性を有するチューブが接続される筒状の継手部を備えた流体継手に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1の電磁弁では、筒状の継手部が電磁弁のボディ(流路形成部材)から外方へ突出している。継手部には連通孔が形成されている。連通孔は、ボディ内の流路に連通している。継手部には、可撓性を有するチューブが取り付けられる。チューブの内部には流体が流れる。また、特許文献1の電磁弁は、継手部を囲繞するようにボディから突出するガイド壁を有している。そして、継手部がチューブの内部に挿し込まれるようにチューブをガイド壁の内側に挿入することで、チューブと継手部とが嵌合し、チューブが継手部に取り付けられる。これにより、チューブの内部とボディ内の流路とが継手部の連通孔を介して連通する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭64−4968号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、例えば、継手部がチューブの内部に挿し込まれた状態で、チューブが継手部に対して折り曲げられると、継手部に負荷が掛かって、継手部が折れてしまう虞がある。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、継手部に掛かる負荷を低減することができる流体継手を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する流体継手は、内部に流路が形成された流路形成部材から外方へ突出するとともに、前記流路に連通する連通孔が形成され、可撓性を有するチューブの内部に挿し込まれることにより前記チューブの内部と前記流路とを前記連通孔を介して連通させる筒状の継手部と、前記継手部が突出する前記流路形成部材の突出面から延びるとともに、前記チューブが挿入される挿入孔が形成され、前記継手部を囲繞するガイド壁と、を備え、前記ガイド壁における前記突出面からの延在方向の先端は、前記継手部における前記突出面からの突出方向の先端よりも前記突出面から離れた位置にある。
【0007】
上記流体継手において、前記継手部の外周面は、前記チューブの内周面との間をシールする第1面と、前記第1面よりも前記突出面側に位置し、且つ前記突出方向に直交する方向において前記第1面よりも前記連通孔側に位置する第2面と、前記突出方向に対して交差する方向に延びて前記第1面と前記第2面とを繋ぐ段差部と、を有しているとよい。
【0008】
上記流体継手において、前記ガイド壁には、前記挿入孔に連通し、前記突出方向に対して交差する方向で前記第2面と重なる開口部が形成されているとよい。
上記流体継手において、前記ガイド壁は、前記開口部が形成された部分が、前記開口部よりも前記突出面とは反対側の部分よりも肉厚になっているとよい。
【0009】
上記流体継手において、前記開口部を介して前記ガイド壁の外部に臨んでいる前記チューブの内部に対する前記継手部の挿し込み量が予め定められた挿し込み量に達しているか否かを判断するための目印を備えているとよい。
【0010】
上記流体継手において、前記第2面は、前記チューブの内周面が係止する係止部を有しているとよい。
上記流体継手において、前記流体継手は、電磁弁が搭載される前記流路形成部材としてのマニホールドブロックに一体形成されているとよい。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、継手部に掛かる負荷を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】(a)及び(b)は実施形態におけるマニホールドブロック及び電磁弁を示す斜視図。
図2】マニホールドブロック及び電磁弁の縦断面図。
図3】マニホールドブロックの斜視図。
図4】マニホールドブロックの平断面図。
図5】継手部の周辺を拡大して示す断面図。
図6】チューブが継手部に取り付けられている状態を示す拡大断面図。
図7】(a)及び(b)は継手部及びガイド壁を形成する際に用いる第1金型、第2金型、第3金型を示す斜視図。
図8】チューブが継手部に対して折り曲げられた状態を示す拡大断面図。
図9】別の実施形態における継手部の周辺を拡大して示す断面図。
図10】別の実施形態における第1流体継手を開口部側から見た平面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、流体継手を具体化した一実施形態を図1図8にしたがって説明する。本実施形態において、流体継手は、電磁弁が搭載される流路形成部材としてのマニホールドブロックに設けられている。
【0014】
図1(a)及び(b)に示すように、マニホールドブロック10は、樹脂材料製であるとともに略直方体形状である。マニホールドブロック10は、直方体形状である本体部11を有している。本体部11は、電磁弁21が搭載される平坦面状の搭載面10aを有している。本実施形態において、搭載面10aには、二つの電磁弁21が搭載されている。
【0015】
図2に示すように、電磁弁21は、非磁性材製(合成樹脂材料製)のボディ22を備えている。また、電磁弁21は、ボディ22に形成された流路を切り換えるゴム製の切換弁体23と、切換弁体23を移動させるソレノイド部24とを備えている。
【0016】
ボディ22の底部側の一側面には、供給ポート22a、出力ポート22b及び排出ポート22cが形成されている。ボディ22における長手方向の一端部には、プラグ25が取り付けられている。プラグ25は、ボディ22と協働して切換弁体23を収容する切換弁室26を区画している。
【0017】
ボディ22及びプラグ25には、供給ポート22aに連通する供給通路27aが形成されている。また、ボディ22には、出力ポート22bに連通する出力通路27bと、排出ポート22cに連通する排出通路27cとが形成されている。供給ポート22aは、供給通路27aを介して切換弁室26に連通している。出力ポート22bは、出力通路27bを介して切換弁室26に連通している。排出ポート22cは、排出通路27cを介して切換弁室26に連通している。
【0018】
プラグ25において、切換弁室26内に臨む端面であり、供給通路27aの切換弁室26への開口周囲には、切換弁体23が着座する供給側の弁座25eが形成されている。そして、供給通路27aにおける弁座25eの内側は供給側の弁孔25hになっている。さらに、ボディ22において、切換弁室26内に臨む端面であり、排出通路27cの切換弁室26への開口周囲には、切換弁体23が着座する排出側の弁座22eが形成されている。そして、排出通路27cにおける弁座22eの内側は排出側の弁孔22hになっている。
【0019】
切換弁体23は、両弁座22e,25eに対して接離可能に構成されている。切換弁室26内において、切換弁体23とプラグ25との間には切換弁体ばね28が介在されている。また、切換弁室26内には、切換弁体23をガイドする有底筒状の切換弁体ガイド29が収容されている。切換弁体23は、傾くことが切換弁体ガイド29によって規制された状態で切換弁体ガイド29と共に移動する。
【0020】
ボディ22の長手方向におけるプラグ25とは反対側の端面には、鉄心室30が凹設されている。ボディ22において、鉄心室30の周囲からは筒状の磁気フレーム31が延設されている。磁気フレーム31は、ボディ22の長手方向におけるプラグ25とは反対側の端面を越える位置まで延設されている。磁気フレーム31は、プラグ25側がボディ22に埋設されており、プラグ25とは反対側がボディ22におけるプラグ25とは反対側の端面から突出している。
【0021】
ソレノイド部24は、磁気フレーム31の内側に配設されるコイル32と、コイル32の内側に固設される柱状の固定鉄心33と、鉄心室30内に収容される可動鉄心34と、可動鉄心34を固定鉄心33から離間する方向へ付勢する付勢ばね35とを備えている。コイル32は、樹脂製のボビン36を介して固定鉄心33に巻装されている。なお、図2では、コイル32への電力の供給が停止している状態を示している。
【0022】
図2の状態から、コイル32に電力が供給されると、コイル32が励磁され、コイル32の周りに、磁気フレーム31、固定鉄心33及び可動鉄心34を通過する磁束が発生する。そして、コイル32の励磁作用によって固定鉄心33に吸引力が発生し、可動鉄心34が付勢ばね35の付勢力に抗して固定鉄心33に吸着される。すると、切換弁体23が切換弁体ばね28の付勢力によって弁座25eから離間する方向へ移動するとともに、弁座22eに着座する第1切換位置に切り換えられる。これにより、供給通路27aの弁孔25hが開放されるとともに排出通路27cの弁孔22hが閉鎖される。そして、供給ポート22aと出力ポート22bとが供給通路27a、弁孔25h、切換弁室26及び出力通路27bを介して連通し、出力通路27b、切換弁室26、弁孔22h及び排出通路27cを介した出力ポート22bと排出ポート22cとの連通が遮断される。
【0023】
図2に示すように、コイル32への電力の供給が停止されると、コイル32の励磁作用による固定鉄心33の吸引力が消滅し、可動鉄心34が付勢ばね35の付勢力により固定鉄心33から離間する方向へ移動する。すると、可動鉄心34の図示しない弁押圧部により、切換弁体ガイド29及び切換弁体23が切換弁体ばね28の付勢力に抗して弁座25eに向けて押圧されて、切換弁体23が弁座25eに着座する第2切換位置に切り換えられる。これにより、供給通路27aの弁孔25hが閉鎖されるとともに、排出通路27cの弁孔22hが開放される。そして、出力ポート22bと排出ポート22cとが出力通路27b、切換弁室26、弁孔22h及び排出通路27cを介して連通し、供給通路27a、弁孔25h、切換弁室26及び出力通路27bを介した供給ポート22aと出力ポート22bとの連通が遮断される。
【0024】
図3に示すように、マニホールドブロック10は、流体継手としての第1流体継手41、第2流体継手42、及び第3流体継手43を備えている。第1流体継手41は、本体部11の長手方向に位置する両端面のうちの一方の端面11aに設けられている。第2流体継手42及び第3流体継手43は、本体部11の長手方向に位置する両端面のうちの他方の端面11bに設けられている。両端面11a,11bは平坦面状である。
【0025】
図4に示すように、第1流体継手41、第2流体継手42、及び第3流体継手43は、本体部11の端面11a,11bから外方へそれぞれ突出する円筒状の継手部44を備えている。よって、本体部11の端面11a,11bは、継手部44が突出する突出面である。
【0026】
各継手部44は、本体部11に一体形成されている。よって、各継手部44は、樹脂材料製である。各継手部44は、端面11a,11bに対して直交する方向に延びている。各継手部44における端面11a,11bからの突出方向X1は、本体部11の長手方向に一致している。
【0027】
各継手部44には、連通孔44aが形成されている。各連通孔44aの一端は、各継手部44の先端に開口するとともに、他端は本体部11の内部まで延びている。
本体部11には、第1流体継手41の継手部44の連通孔44aの他端に連通する共通供給路12aが形成されている。また、本体部11には、共通供給路12aと二つの電磁弁21のうちの一方の供給ポート22aとを繋ぐ第1供給路12bが形成されている。さらに、本体部11には、共通供給路12aと二つの電磁弁21のうちの他方の供給ポート22aとを繋ぐ第2供給路12cが形成されている。
【0028】
本体部11には、第2流体継手42の継手部44の連通孔44aの他端と二つの電磁弁21のうちの一方の出力ポート22bとを繋ぐ第1出力路13aが形成されている。また、本体部11には、第3流体継手43の継手部44の連通孔44aの他端と二つの電磁弁21のうちの他方の出力ポート22bとを繋ぐ第2出力路13bが形成されている。図3に示すように、本体部11には、二つの電磁弁21の排出ポート22cと本体部11の外部とを連通する排出路14が形成されている。
【0029】
共通供給路12a、第1供給路12b、第2供給路12c、第1出力路13a、第2出力路13b、及び排出路14は、マニホールドブロック10の内部に形成された流路である。よって、マニホールドブロック10は、内部に流路が形成された流路形成部材である。そして、第1流体継手41、第2流体継手42、及び第3流体継手43それぞれの継手部44の連通孔44aは、マニホールドブロック10の流路に連通している。
【0030】
図4に示すように、第1流体継手41、第2流体継手42、及び第3流体継手43それぞれの継手部44には、可撓性を有するチューブ50がそれぞれ取り付けられている。各継手部44は、各チューブ50の内部に挿し込まれている。第1流体継手41は、チューブ50の内部に継手部44が挿し込まれることにより、チューブ50の内部と共通供給路12aとを連通孔44aを介して連通させる。第2流体継手42は、チューブ50の内部に継手部44が挿し込まれることにより、チューブ50の内部と第1出力路13aとを連通孔44aを介して連通させる。第3流体継手43は、チューブ50の内部に継手部44が挿し込まれることにより、チューブ50の内部と第2出力路13bとを連通孔44aを介して連通させる。
【0031】
第1流体継手41の継手部44に取り付けられているチューブ50は、図示しない流体供給源に接続されており、流体供給源からの流体が、チューブ50の内部及び第1流体継手41の継手部44の連通孔44aを介して共通供給路12aに供給されている。第2流体継手42及び第3流体継手43の継手部44に取り付けられているチューブ50は、図示しない流体圧機器に接続されている。
【0032】
二つの電磁弁21のうちの一方の切換弁体23が第1切換位置に切り換わったとする。すると、共通供給路12aに供給された流体は、第1供給路12b、供給ポート22a、供給通路27a、弁孔25h、切換弁室26、出力通路27b、出力ポート22b、第1出力路13a、第2流体継手42の継手部44の連通孔44a、及びチューブ50の内部を介して流体圧機器に供給される。
【0033】
二つの電磁弁21のうちの一方の切換弁体23が第2切換位置に切り換わったとする。すると、第2流体継手42の継手部44に取り付けられているチューブ50の内部の流体が、第2流体継手42の継手部44の連通孔44a、第1出力路13a、出力ポート22b、出力通路27b、切換弁室26、弁孔22h、排出通路27c、排出ポート22c及び排出路14を介して大気に排出される。
【0034】
二つの電磁弁21のうちの他方の切換弁体23が第1切換位置に切り換わったとする。すると、共通供給路12aに供給された流体は、第2供給路12c、供給ポート22a、供給通路27a、弁孔25h、切換弁室26、出力通路27b、出力ポート22b、第2出力路13b、第3流体継手43の継手部44の連通孔44a、及びチューブ50の内部を介して流体圧機器に供給される。
【0035】
二つの電磁弁21のうちの他方の切換弁体23が第2切換位置に切り換わったとする。すると、第3流体継手43の継手部44に取り付けられているチューブ50の内部の流体が、第3流体継手43の継手部44の連通孔44a、第2出力路13b、出力ポート22b、出力通路27b、切換弁室26、弁孔22h、排出通路27c、排出ポート22c及び排出路14を介して大気に排出される。
【0036】
次に、第1流体継手41の構成を、図5及び図6を用いて詳細に説明する。なお、第2流体継手42及び第3流体継手43の構成は、第1流体継手41の構成と同じであるため、その詳細な説明を省略する。
【0037】
図5に示すように、継手部44は、本体部11の端面11aに連続する小径部441と、小径部441における本体部11の端面11aとは反対側の端部に連続し、外径が小径部441よりも大径である大径部442とを有している。大径部442の外周面は、チューブ50の内周面との間をシールする第1面44bになっている。小径部441の外周面は、第1面44bよりも本体部11の端面11a側に位置し、且つ突出方向X1に直交する方向において第1面44bよりも連通孔44a側に位置する第2面44cになっている。したがって、継手部44の外周面は、チューブ50の内周面との間をシールする第1面44bと、第1面44bよりも本体部11の端面11a側に位置し、且つ突出方向X1に直交する方向において第1面44bよりも連通孔44a側に位置する第2面44cとを有している。また、継手部44の外周面は、突出方向X1に対して直交する方向に延びて第1面44bと第2面44cとを繋ぐ段差部44dを有している。段差部44dは、継手部44の周方向全周に亘って延びている。第1面44bにおける段差部44dとは反対側の角部全周には、面取り部44eが形成されている。
【0038】
第1流体継手41は、チューブ50が挿入される挿入孔45aが形成されたガイド壁45を備えている。ガイド壁45は、本体部11の端面11aから延びている。ガイド壁45は、本体部11に一体形成されており、本体部11の端面11aから突出した円筒状である。よって、ガイド壁45は、樹脂材料製である。ガイド壁45は、継手部44を囲繞している。本実施形態において、ガイド壁45における本体部11の端面11aからの延在方向は、継手部44の突出方向X1に一致している。第1流体継手41は、継手部44及びガイド壁45により構成されており、第1流体継手41は、マニホールドブロック10に一体形成されている。
【0039】
ガイド壁45における本体部11の端面11aからの延在方向の先端45fは、継手部44における本体部11の端面11aからの突出方向X1の先端44fよりも本体部11の端面11aから離れた位置にある。よって、継手部44の突出方向X1において、ガイド壁45における本体部11の端面11aから先端45fまでの長さL1は、継手部44における本体部11の端面11aから先端44fの長さL2よりも長くなっている。つまり、ガイド壁45の先端45fは、継手部44の先端44fよりも突出方向X1に突出した位置に存在する。
【0040】
ガイド壁45は、本体部11の端面11aに連続するとともに端面11aから離れるにつれて外周面の外径が縮径していくテーパ壁45bと、テーパ壁45bにおける本体部11の端面11aとは反対側に連続するとともに突出方向X1に延びる円筒壁45cとを有している。テーパ壁45bの内径は、円筒壁45cの内径と同じである。よって、テーパ壁45bは、円筒壁45cよりも肉厚になっている。
【0041】
継手部44の第2面44cは、テーパ壁45bの内側に位置している。継手部44の第1面44bは、テーパ壁45bの内側から円筒壁45cの内側に突出して、その大部分が、円筒壁45cの内側に位置している。
【0042】
ガイド壁45のテーパ壁45bには、開口部45hが二つ形成されている。したがって、ガイド壁45は、開口部45hが形成された部分が、開口部45hよりも本体部11の端面11aとは反対側の部分よりも肉厚になっている。
【0043】
二つの開口部45hは、ガイド壁45の周方向において互いに180度離れた位置に配置されている。各開口部45hは、挿入孔45aに連通し、突出方向X1に対して直交する方向で継手部44の第2面44cと重なっている。そして、チューブ50の先端が継手部44の第1面44bを乗り越えた位置までチューブ50が挿入孔45aに挿入されると、チューブ50が開口部45hを介してガイド壁45の外部に臨むようになっている。
【0044】
開口部45hは、本体部11の端面11aから突出方向X1に延びており、突出方向X1において開口部45hにおける本体部11の端面11aとは反対側に位置する内縁451hは、突出方向X1に対して直交する方向で段差部44dと重なっている。また、各開口部45hにおけるガイド壁45の周方向の幅は、小径部441の外径よりも大きい。
【0045】
図3に示すように、テーパ壁45bの外周面における開口部45hに対応する位置、及び開口部45hの内側面には、チューブ50の内部に対する継手部44の挿し込み量が予め定められた挿し込み量に達しているか否かを判断するための目印としての基準線46が設けられている。テーパ壁45bに設けられた基準線46は、テーパ壁45bの外周面に沿って延びている。開口部45hの内側面に設けられた基準線46は、テーパ壁45bに設けられた基準線46と連続している。本実施形態において、チューブ50は、開口部45hを介して視認されるチューブ50の先端が基準線46を乗り越えるまで、挿入孔45aに最低限挿入される。
【0046】
図6に示すように、第1面44bの外径は、チューブ50の内径よりも大きくなっている。第1面44bにおける段差部44dとは反対側の角部全周が、面取り部44eになっているため、第1面44bにおける段差部44dとは反対側の角部がピン角である場合に比べると、チューブ50の内部に継手部44を挿し込み易くなっている。
【0047】
チューブ50の内部に継手部44が挿し込まれている状態では、チューブ50の一部分が第1面44bによって押し広げられるように弾性変形している。そして、チューブ50が、弾性変形する前の原形状に復帰しようとすることで、チューブ50の内周面と第1面44bとが密着している。これにより、第1面44bは、チューブ50の内周面との間をシールしている。
【0048】
ガイド壁45の挿入孔45aの内径は、第1面44bによって押し広げられるように弾性変形したチューブ50の一部分の外径よりも大きくなっている。したがって、チューブ50の一部分が第1面44bによって押し広げられるように弾性変形しても、その弾性変形したチューブ50の一部分の外周面が、挿入孔45aの内周面に接触しないようになっている。したがって、チューブ50を挿入孔45aに挿入する際に、チューブ50の一部分が第1面44bによって押し広げられるように弾性変形して、その弾性変形したチューブ50の一部分が挿入孔45aの内周面に接触する場合に比べて、チューブ50における挿入孔45aに対する挿入がスムーズに行われる。
【0049】
チューブ50の内部に継手部44が挿し込まれている状態において、チューブ50が引っ張られたとしても、段差部44dがチューブ50の内周面に引っ掛かるため、チューブ50が継手部44から抜けてしまうことが抑制されている。
【0050】
次に、本実施形態の第1流体継手41の製造方法を、図7を用いて説明する。なお、第2流体継手42及び第3流体継手43の製造方法は、第1流体継手41の製造方法と同じであるため、その詳細な説明を省略する。
【0051】
図7(a)及び(b)に示すように、第1流体継手41は、第1金型51、第2金型52、及び第3金型53を用いて製造される。
第1金型51は、二つの開口部45hの一方を形成するための突出部51aを備えている。突出部51aの突出先端は、突出部51aの基端に向けて凹む湾曲面51bになっている。湾曲面51bは、継手部44の第2面44cにおける周方向の180度の範囲に相当する部分を形成する。第1金型51は、突出部51aの両側に存在し、テーパ壁45bにおける周方向の180度の範囲に相当する部分を形成するための一対の切欠部51cを備えている。
【0052】
第2金型52は、二つの開口部45hの他方を形成するための突出部52aを備えている。突出部52aの突出先端は、突出部52aの基端に向けて凹む湾曲面52bになっている。湾曲面52bは、継手部44の第2面44cにおける周方向で、第1金型51の湾曲面51bが形成する部分の残りの180度の範囲に相当する部分を形成する。第2金型52は、突出部52aの両側に存在し、テーパ壁45bにおける周方向で、第1金型51の一対の切欠部51cが形成する部分の残りの180度の範囲に相当する部分を形成するための一対の切欠部52cを備えている。
【0053】
第1金型51及び第2金型52は、互いに突き合わされる当接面51e,52eをそれぞれ備えている。第1金型51の湾曲面51b及び一対の切欠部51cは、当接面51eから凹設されている。第2金型52の湾曲面52b及び一対の切欠部52cは、当接面52eから凹設されている。第1金型51の当接面51eと第2金型52の当接面52eとが当接すると、第1金型51の突出部51aの突出先端と第2金型52の突出部52aの突出先端とが当接する。
【0054】
第3金型53は、円筒壁45cを形成するための環状凹部53aを備えている。また、第3金型53は、環状凹部53aの内側に位置して継手部44の大径部442を形成するための孔部53bを備えている。したがって、孔部53bの内周面は第1面44bを形成する。さらに、第3金型53は、継手部44の連通孔44aを形成するための柱状の延設部53cを備えている。また、第3金型53は、第1金型51及び第2金型52に当接する当接面53dを備えている。環状凹部53a及び孔部53bは、当接面53dに形成されている。延設部53cは、当接面53dから突出している。
【0055】
第1流体継手41を製造する際には、第1金型51の当接面51eと第2金型52の当接面52eとを突き合わせるとともに、第3金型53の当接面53dを第1金型51及び第2金型52に当接させて、第1金型51、第2金型52、及び第3金型53を組み合わせる。そして、湾曲面51b,52bによって囲まれた空間、一対の切欠部51c,52cによって囲まれた空間、環状凹部53a内、及び孔部53b内に樹脂を流し込み、流し込んだ樹脂を固化させる。
【0056】
すると、湾曲面51b,52bによって囲まれた空間内に継手部44の小径部441が形成され、一対の切欠部51c,52cによって囲まれた空間にテーパ壁45bが形成され、環状凹部53a内に円筒壁45cが形成され、孔部53b内に継手部44の大径部442が形成される。第1金型51の突出部51a及び第2金型52の突出部52aは、ガイド壁45に形成される二つの開口部45hを形成しつつも、継手部44の小径部441及び第1面44bと第2面44cとの間を繋ぐ段差部44dを形成する。このようにして、第1流体継手41が製造される。
【0057】
継手部44の小径部441の第2面44cにおいて、第1金型51の突出部51aの突出先端と第2金型52の突出部52aの突出先端との合わせ目に相当する部分には、第1金型51と第2金型52との分割線であるパーティングラインが形成されることになる。例えば、第2面44cのように、継手部44の大径部442の第1面44bにもパーティングラインが形成されてしまうと、チューブ50の内周面との間のシール性が悪化してしまう。しかし、本実施形態の第1流体継手41の製造方法によれば、第1面44bに、パーティングラインが形成されること無く、第1流体継手41が製造される。よって、第1面44bのシール性が確保される。
【0058】
次に、本実施形態の作用について説明する。
図8に示すように、例えば、継手部44がチューブ50の内部に挿し込まれた状態で、チューブ50が継手部44に対して折り曲げられたとする。このとき、ガイド壁45の先端45fが、継手部44の先端44fよりも本体部11の端面11aから離れた位置にある。すなわち、ガイド壁45の先端45fは、継手部44の先端44fよりも突出方向X1に突出した位置に存在するため、チューブ50の外周面がガイド壁45に支持され、チューブ50が継手部44に対して折り曲げられたときに継手部44に作用する曲げ応力が低減される。
【0059】
上記実施形態では以下の効果を得ることができる。
(1)ガイド壁45の先端45fが、継手部44の先端44fよりも本体部11の端面11aから離れた位置にある。これによれば、継手部44がチューブ50の内部に挿し込まれた状態で、チューブ50が継手部44に対して折り曲げられたときに、チューブ50の外周面がガイド壁45に支持され、チューブ50が継手部44に対して折り曲げられたときに継手部44に作用する曲げ応力が低減される。その結果、継手部44に掛かる負荷を低減することができる。
【0060】
(2)継手部44の外周面は、第1面44bと、第2面44cと、段差部44dと、を有している。これによれば、チューブ50の内周面との間は第1面44bによってシールされる。そして、チューブ50の内部に継手部44が挿し込まれている状態において、チューブ50が引っ張られたとしても、段差部44dがチューブ50の内周面に引っ掛かるため、チューブ50が継手部44から抜けてしまうことを抑制することができる。
【0061】
(3)ガイド壁45には、突出方向X1に対して直交する方向で継手部44の第2面44cと重なる開口部45hが形成されている。これによれば、チューブ50の先端が、チューブ50の内周面との間をシールする継手部44の第1面44bを乗り越えた位置までチューブ50が挿入孔45aに挿入されると、チューブ50が開口部45hを介してガイド壁45の外部に臨む。したがって、チューブ50を挿入孔45aに挿入しても、チューブ50が開口部45hを介してガイド壁45の外部へ臨んでいない場合、チューブ50における挿入孔45aに対する挿入量、すなわち、チューブ50の内部に対する継手部44の挿し込み量が不十分であることが分かる。したがって、チューブ50の内部に対する継手部44の挿し込み量が適切な量であるか否かを容易に確認することができる。
【0062】
(4)ガイド壁45は、開口部45hが形成された部分が、開口部45hよりも本体部11の端面11aとは反対側の部分よりも肉厚になっている。これによれば、ガイド壁45における開口部45hが形成された部分の強度低下を抑えることができる。
【0063】
(5)テーパ壁45bの外周面における開口部45hに対応する位置、及び開口部45hの内側面には、チューブ50の内部に対する継手部44の挿し込み量が予め定められた挿し込み量に達しているか否かを判断するための目印としての基準線46が設けられている。これによれば、チューブ50の内部に対する継手部44の挿し込み量を容易に確認することができるため、チューブ50の装着作業をスムーズに行うことができる。
【0064】
(6)流体継手は、電磁弁21が搭載されるマニホールドブロック10に一体形成されている。これによれば、流体継手が、マニホールドブロック10とは別体であり、マニホールドブロック10に対して取付部材を介して取り付けられている構成に比べて、構成を簡素化することができる。
【0065】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
図9に示すように、継手部44の第2面44cは、チューブ50の内周面が係止する係止部47を有していてもよい。図9に示す実施形態では、係止部47は、継手部44の第2面44cに形成される凹凸形状になっている。これによれば、チューブ50の内周面が係止部47に係止されることにより、チューブ50が継手部44から抜けてしまうことを抑制することができる。
【0066】
・ 実施形態において、継手部44の外周面に段差部44dが形成されておらず、継手部44の外周面が本体部11の端面11a,11bから先端44fにかけて直線状に延びていてもよい。この場合、継手部44の外周面全体がチューブ50の内周面との間をシールするシール面として機能している。
【0067】
・ 実施形態において、ガイド壁45に、開口部45hが一つだけ形成されていてもよいし、三つ以上形成されていてもよい。
・ 実施形態において、ガイド壁45に開口部45hが形成されていなくてもよい。
【0068】
・ 実施形態において、開口部45hは、突出方向X1に対して斜交する方向で継手部44の第2面44cと重なっていてもよい。要は、開口部45hは、突出方向X1に対して交差する方向で継手部44の第2面44cと重なっていればよい。
【0069】
・ 実施形態において、ガイド壁45は、本体部11の端面11a,11bから先端45fにかけて同じ外径であってもよい。すなわち、ガイド壁45における開口部45hが形成された部分が、テーパ壁45bになっておらず、円筒壁45cと同じ肉厚であってもよい。
【0070】
・ 実施形態において、目印は基準線46でなくてもよく、例えば、矢印であってもよいし、文字等であってもよい。
・ 実施形態において、ガイド壁45の外面に基準線46が無くてもよい。
【0071】
・ 実施形態において、開口部45hの内側面に基準線46が無くてもよい。
図10に示すように、第2面44cに基準線46が設けられていてもよい。
・ 実施形態において、チューブ50の内部に対する継手部44の挿し込み量が予め定められた挿し込み量に達しているか否かを判断するための目印が無くてもよい。
【0072】
・ 実施形態において、段差部44dは、突出方向X1に対して斜交する方向に延びていてもよい。要は、段差部44dは、突出方向X1に対して交差する方向に延びて第1面44bと第2面44cとを繋ぐものであればよい。
【0073】
・ 実施形態において、段差部44dが、継手部44の周方向全周に亘って延びておらず、継手部44の周方向の一部分だけに存在する構成であってもよい。
・ 実施形態において、突出方向X1において開口部45hにおける本体部11の端面11aとは反対側に位置する内縁451hが、突出方向X1に対して直交する方向で段差部44dとずれていてもよい。
【0074】
・ 実施形態において、ガイド壁45は、本体部11の端面11aから突出した円筒状でなくてもよい。例えば、本体部11の端面11aに、挿入孔45aに相当する凹部を形成し、当該凹部を形成する壁がガイド壁45として機能している構成であってもよい。この場合、凹部の底面から継手部44が突出しており、凹部の底面は、継手部44が突出する流路形成部材の突出面に相当することになる。そして、凹部を形成する壁は、凹部の底面から延びて継手部44を囲繞している。
【0075】
・ 実施形態において、電磁弁21が搭載面10aに一つだけ搭載されている構成であってもよいし、電磁弁21が搭載面10aに三つ以上搭載されている構成であってもよい。
【0076】
・ 実施形態において、流体継手が、マニホールドブロック10とは別体であり、マニホールドブロック10に対して取付部材を介して取り付けられていてもよい。
・ 実施形態において、継手部44が、例えば、金属材料製であってもよい。
【0077】
・ 実施形態において、ガイド壁45が、例えば、金属材料製であってもよい。
・ 実施形態において、流体継手は、例えば、電磁弁21のボディ22に一体形成されていてもよい。ボディ22は、内部に流路が形成された流路形成部材に相当する。また、流体継手が、ボディ22とは別体であり、取付部材を介してボディ22に取り付けられていてもよい。
【符号の説明】
【0078】
10…流路形成部材としてのマニホールドブロック、11a,11b…突出面である端面、21…電磁弁、41…流体継手としての第1流体継手、42…流体継手としての第2流体継手、43…流体継手としての第3流体継手、44…継手部、44a…連通孔、44b…第1面、44c…第2面、44d…段差部、44f…先端、45…ガイド壁、45a…挿入孔、45f…先端、45h…開口部、46…目印としての基準線、47…係止部、50…チューブ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10