特開2018-132144(P2018-132144A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特開2018-132144電磁弁用マニホールドベース及びそれを用いた電磁弁集合体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-132144(P2018-132144A)
(43)【公開日】2018年8月23日
(54)【発明の名称】電磁弁用マニホールドベース及びそれを用いた電磁弁集合体
(51)【国際特許分類】
   F16K 47/02 20060101AFI20180727BHJP
   F16K 27/00 20060101ALI20180727BHJP
   F16K 31/06 20060101ALI20180727BHJP
【FI】
   F16K47/02 C
   F16K27/00 Z
   F16K31/06 305K
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-27123(P2017-27123)
(22)【出願日】2017年2月16日
(71)【出願人】
【識別番号】000102511
【氏名又は名称】SMC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100072453
【弁理士】
【氏名又は名称】林 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100119404
【弁理士】
【氏名又は名称】林 直生樹
(74)【代理人】
【識別番号】100177769
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 徹
(72)【発明者】
【氏名】宮添 真司
(72)【発明者】
【氏名】芳村 親一
(72)【発明者】
【氏名】吉田 勝
【テーマコード(参考)】
3H051
3H066
3H106
【Fターム(参考)】
3H051AA03
3H051BB10
3H051CC03
3H051CC11
3H051FF15
3H066AA04
3H066BA32
3H066EA34
3H106DA08
3H106DC09
3H106DC20
3H106EE20
3H106EE48
3H106GB02
3H106GB04
3H106GC29
3H106KK04
3H106KK31
(57)【要約】
【課題】電磁弁からの排気音を抑制するためのサイレンサ部材をマニホールドブロックに内蔵させることによって、マニホールドブロックのより合理的な設計を可能にした電磁弁用マニホールドベース、及びそれを用いた電磁弁集合体を提供する。
【解決手段】マニホールドブロック2に、固定領域3の並設方向に貫通する流路本体9a,9bと、この流路本体9a,9bを、マニホールドブロック2の上面の弁搭載面2Aに連通させる連通口10a,10bとを設け、上記連通口10a,10bは、複数の固定領域3を横切るように上記弁搭載面2Aに開口しており、この連通口10a,10bの長さ方向に沿ってサイレンサ部材50が嵌合している。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電磁弁を並べて搭載するための電磁弁用マニホールドベースであって、
この電磁弁用マニホールドベースは、上記電磁弁をそれぞれ固定するための複数の固定領域が並設されて成る弁搭載面と、上記各電磁弁に対して圧縮エアを供給するための給気流路と、各電磁弁から排出される排気を、外部に排出するための排気流路とを備えて成るマニホールドブロック、及び、上記排気の排気音を抑制するサイレンサ部材を有し、
上記排気流路は、マニホールドブロックの内部を上記固定領域の並設方向に沿って貫通する流路本体と、上記弁搭載面に開口して該流路本体を上記固定領域に連通させる連通口とを有していて、
上記連通口に、上記電磁弁からの排気音を抑制するためのサイレンサ部材が嵌合されていることを特徴とする電磁弁用マニホールドベース。
【請求項2】
請求項1に記載の電磁弁用マニホールドベースにおいて、
上記サイレンサ部材は、上記連通口に嵌合した状態において、上記弁搭載面と略面一を成していることを特徴とするもの。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の電磁弁用マニホールドベースにおいて、
上記サイレンサ部材が、通気性の消音材によって一体成形されていることを特徴とするもの。
【請求項4】
請求項1に記載の電磁弁用マニホールドベースにおいて、
上記連通口は、上記複数の固定領域を連続的に横切るように、上記弁搭載面に開設されていることを特徴とするもの。
【請求項5】
請求項4に記載の電磁弁用マニホールドベースにおいて、
上記連通口が、上記流路本体とその上方の上記弁搭載面とを直線的に連通させ、該流路本体に沿って上記複数の固定領域の全てを横切るように形成されていることを特徴とするもの。
【請求項6】
請求項5に記載の電磁弁用マニホールドベースにおいて、
上記連通口が、水平を成す上記弁搭載面から上記流路本体へと垂下されていて、該連通口の開口幅が、上記流路本体の最大流路幅よりも狭く形成されており、
上記流路本体が上記連通口に対向する底壁を有していて、該底壁から一対の起立突起が立設されおり、
上記サイレンサ部材が、上記連通口から上記流路本体の底壁まで延びていて、上記一対の起立突起間に保持されていることを特徴とするもの。
【請求項7】
請求項4−6の何れかに記載の電磁弁用マニホールドベースにおいて、
上記サイレンサ部材が、通気性の消音材を含んでいて、該消音材を上記各固定領域に配したスティック状に形成されていることを特徴するもの。
【請求項8】
請求項1に記載の電磁弁用マニホールドベースにおいて、
上記給気流路が、上記複数の電磁弁に供給する圧縮空気を一括して流すための一括給気路と、該一括給気路から分岐して上記弁搭載面にそれぞれ開口する複数の個別給気路とにより構成され、上記一括給気路が、上記マニホールドブロックの内部を上記排気流路と平行を成して貫通していることを特徴とするもの。
【請求項9】
請求項8記載の電磁弁用マニホールドベースにおいて、
上記排気流路が、上記一括給気路を挟んだ両側にそれぞれ設けられていることを特徴とするもの。
【請求項10】
請求項1に記載の電磁弁用マニホールドベースにおける上記弁搭載面の各固定領域に、複数の電磁弁をそれぞれ搭載して成る電磁弁集合体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の電磁弁を搭載するためのマニホールドベース、及びそれに電磁弁を搭載した電磁弁集合体に関するものであって、そのうち特に排気音を抑制するためのサイレンサ部材をマニホールドブロックに内蔵させたものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば特許文献1及び特許文献2に記載されているような、複数の電磁弁を搭載するためのマニホールドベースが知られており、該マニホールドベースには、その長手の軸に沿って貫設された一括給気流路及び一括排気流路と、これら一括給気流路及び一括排気流路から分岐されて上記マニホールドブロックの上面(電磁弁搭載面)に開口した複数の給気用連通孔及び排気用連通孔とが形成されている。そして、該マニホールドベースを使用する場合には、上記マニホールドブロックの端面に開設された上記一括給気流路の開口部に、圧縮空気を供給する配管を接続すると共に、上記電磁弁搭載面に、上記複数の給気用連通孔及び排気用連通孔にそれぞれ対応させて上記電磁弁を搭載するようになっている。
【0003】
ところで、上記一括給気流路と同様にしてマニホールドブロックの端面には上記一括排気流路の開口部が開設されているが、排気音を抑制するために、ユーザーが該開口部にサイレンサを後付けにて装着する場合がある。そこで、出願人は、サイレンサを予め備えた電磁弁用マニホールドを特許文献3で提案したが、実質的には、従来のマニホールドブロックの一括排気流路の開口部に、サイレンサを追加的に装着したものに過ぎないため、未だ設計上、合理化や改良の余地が残されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−032831号公報
【特許文献2】特開2009−257554号公報
【特許文献3】特開2006−226377号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上述のような事情に鑑みて為されたもので、その技術的課題は、電磁弁からの排気音を抑制するためのサイレンサ部材をマニホールドブロックに内蔵させることによって、より合理的な設計を可能にしたサイレンサ付き電磁弁用マニホールドベース、及びそのマニホールドベースを用いた電磁弁集合体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記技術的課題を解決するため、本発明は、複数の電磁弁を並べて搭載するための電磁弁用マニホールドベースであって、この電磁弁用マニホールドベースは、上記電磁弁をそれぞれ固定するための複数の固定領域が並設されて成る弁搭載面と、上記各電磁弁に対して圧縮エアを供給するための給気流路と、各電磁弁から排出される排気を、外部に排出するための排気流路とを備えて成るマニホールドブロック、及び、上記排気の排気音を抑制するサイレンサ部材を有し、上記排気流路は、マニホールドブロックの内部を上記固定領域の並設方向に沿って貫通する流路本体と、上記弁搭載面に開口して該流路本体を上記固定領域に連通させる連通口とを有していて、上記連通口に、上記電磁弁からの排気音を抑制するためのサイレンサ部材が嵌合されていることを特徴とする。
【0007】
本発明に係る電磁弁用マニホールドベースにおいては、上記サイレンサ部材は、上記連通口に嵌合した状態において、上記弁搭載面と略面一を成していると好ましい。また、上記サイレンサ部材が、通気性の消音材によって一体成形されていても良い。
【0008】
さらに、上記連通口は、上記複数の固定領域を連続的に横切るように、上記弁搭載面に開設されていても良い。この場合、上記連通口が、上記流路本体とその上方の上記弁搭載面とを直線的に連通させ、該流路本体に沿って上記複数の固定領域の全てを横切るように形成されていると好ましい。また、上記連通口が、水平を成す上記弁搭載面から上記流路本体へと垂下されていて、該連通口の開口幅が、上記流路本体の最大流路幅よりも狭く形成されており、上記流路本体が上記連通口に対向する底壁を有していて、該底壁から一対の起立突起が立設されており、上記サイレンサ部材が、上記連通口から上記流路本体の底壁まで延びていて、上記一対の起立突起間に保持されていると、より好ましい。さらに、上記サイレンサ部材が、通気性の消音材を含んでいて、該消音材を上記各固定領域に配したスティック状に形成されていると好ましい。
【0009】
本発明に係る電磁弁マニホールドベースにおいては、上記給気流路が、上記複数の電磁弁に供給する圧縮空気を一括して流すための一括給気路と、該一括給気路から分岐して上記弁搭載面にそれぞれ開口する複数の個別給気路とにより構成され、上記一括給気路が、上記マニホールドブロックの内部を上記排気流路と平行を成して貫通していても良い。このとき、上記排気流路が、上記一括給気路を挟んだ両側にそれぞれ設けられていても良い。
【0010】
また、上記技術的課題は、上記電磁弁用マニホールドベースにおける上記弁搭載面の各固定領域に、複数の電磁弁をそれぞれ搭載して成る電磁弁集合体によっても解決することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明においては、複数の電磁弁の排気を通すための排気流路が、マニホールドブロックを貫通する流路本体と、マニホールドブロックにおける電磁弁の固定領域に対して上記流路本体を連通させる連通口とにより構成され、該連通口に上記電磁弁からの排気の音を抑制するためのサイレンサ部材が嵌合されている。このように、本発明によれば、サイレンサ部材をマニホールドブロックに内蔵させたため、例えば、構造の簡略化や小型軽量化等、サイレンサ付き電磁弁用マニホールドベースのより合理的な設計が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係る電磁弁用マニホールドベースに複数の電磁弁を搭載した電磁弁集合体を示す外観斜視図である。
図2図1の概略的な断面図である。
図3】上記電磁弁用マニホールドベースの分解斜視図である。
図4図3の状態からマニホールドブロックにサイレンサ部材を装着した、本発明に係る電磁弁用マニホールドベースを示す斜視図である。
図5図4のマニホールドベースにおける電磁弁の固定領域に、ガスケットを装着した状態を示す斜視図である。
図6図2における排気流路を示す部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明に係る電磁弁用マニホールドベースについて、図面を用いて詳細に説明する。図1図6は、本発明に係る電磁弁用マニホールドベース1をそれを用いた電磁弁集合体の一実施形態を示すものである。
【0014】
この実施形態に係る電磁弁用マニホールドベース1は、図1及び図2に示すように、マニホールドブロック2に複数の電磁弁30を搭載して集合化することにより、電磁弁アセンブリ(電磁弁集合体)を構成するためのものである。この電磁弁用マニホールドベース1は、各電磁弁30をその幅方向に並べて設置するための弁搭載面2Aを有するマニホールドブロック2と、該マニホールドブロック2内に装着されていて、電磁弁30から排出される排気の音を抑制するサイレンサ部材50とから構成されている。
【0015】
図1及び図2に示すように、電磁弁30は、パイロット弁31を有する公知の5ポート電磁弁であり、上記マニホールドベース1から供給される圧縮空気をアクチュエータ(図示略)に向けて出力するための出力ポートA,Bを具備している。図1には、上記マニホールドブロック2に対し、5つの電磁弁30が搭載された例が挙げられているが、各電磁弁30は同一の構造を有しているため、ここでは、単一の電磁弁に関して図2を用いて説明する。
【0016】
図2に示すように、上記電磁弁30は、略直方体形状を成す主弁部32と、該主弁部32の軸線方向(長手方向)の両端面に連結された第1及び第2アダプタ部33,43と、第1アダプタ部33に連結された上記パイロット弁31とから構成されている。上記主弁部32は、上記長手方向に弁孔34が貫設されたハウジング32aを有していて、この弁孔34内にスプール35が収容されている。また、この弁孔34には、供給通孔36と、第1及び第2排出通孔37a,37bと、第1及び第2出力通孔38a,38bとが連通している。これら通孔のうち、上記供給通孔36及び2つの排出通孔37a,37bは、上記ハウジング32aの底面に開口して、マニホールドブロック2の弁搭載面2Aとの接合面を成している。それに対して、上記2つの出力通孔38a,38bは、2つの出力ポートA,Bを通じて当該ハウジング32aの上面に開口している。
【0017】
上記供給通孔36は、ハウジング32aの長手方向の略中央に設けられ、排出通孔37a,37bは、該供給通孔36を挟んだ両側に設けられている。また、上記第1出力通孔38aは、ハウジング32aの長手方向において、供給通孔36と第1排出通孔37aとの間に設けられていて、第2出力通孔38bは、供給通孔36と第2排出通孔37bとの間に設けられている。そして、上記スプール35が弁孔34内を軸方向に摺動することにより、これら通孔間の流路の接続状態が切り換えられるようになっている。
【0018】
上記第1及び第2アダプタ部33,43は、そのボディ33a,43aにおける主弁部32側の端面に、上記弁孔34と連通したシリンダ室39,40を有している。そして、これらシリンダ室39,40内に、スプール35の軸方向の両端面に連設された第1及び第2ピストン41,42が収容されている。第1シリンダ室39のシリンダ径は、第2シリンダ室40のシリンダ径よりも大径であり、それに伴い、第1シリンダ室39内に収容された第1ピストン41も、第2シリンダ室40内に収容された第2ピストン42よりも大径に形成されている。
【0019】
なお、第1シリンダ室39内におけるヘッド側の第1圧力室39a(図2において第1ピストン41で区画された左側の室)は、上記パイロット弁31を通じて上記供給通孔36に連通されている。このパイロット弁31は、オンの時に第1圧力室39aを供給通孔36に接続させ、オフの時にその接続を遮断すると共に、該第1圧力室39aを大気に開放する。一方、第2シリンダ室40内におけるヘッド側の第2圧力室40a(図2において第2ピストン42で区画された右側の室)は、上記供給通孔36に常時連通している。また、各シリンダ室39,40におけるロッド側(スプール側)の他方の室39b,40bは、常時大気に開放されている。
【0020】
このようにして構成された電磁弁30においては、上記パイロット弁31をオン・オフすることにより、第1シリンダ室39における第1圧力室39aに対するパイロットエアの給気、排気が行われる。そして、各ピストン41,42に作用する空気圧による付勢力の差により、上記スプール35が弁孔34内で往復駆動され、上記各通孔36,37a,37b,38a,38b間の接続状態が切り換えられるようになっている。図2中の45は手動操作のための操作子であって、上記パイロット弁31をオンした時における各通孔の接続状態を、手動操作で実現するためのものである。
【0021】
なお、このような電磁弁30の構造は周知のものであり、本発明の要旨とも直接関係がないため、その構造についてのこれ以上の説明は省略する。
【0022】
次いで、上記電磁弁30が搭載される上記電磁弁用マニホールドベース1について説明する。
図1又は図3図5に示すように、電磁弁用マニホールドベース1を構成するマニホールドブロック2は、鋳造等により一体成型された長い略直方体のブロック体から成っていて、水平を成すその上面が、上記電磁弁30を搭載するための弁搭載面2Aに形成されている。図4において破線(仮想線)で示すように、この弁搭載面2Aには、上記電磁弁30を個々に固定するための複数の固定領域3が設けられており、これら固定領域3は、上記マニホールドブロック2の長手方向に沿って並設されている。
【0023】
本実施形態では、上記固定領域3によって、計5つの電磁弁30を横幅方向に並べて配置できるように弁搭載面2Aが区画されている。なお、上記固定領域3で区画されているといっても、例えば、境界線などの目印で明確に仕切られている訳ではない。しかし、必要であれば何らかの目印を設けることによって仕切ることも可能である。図3−5中の4aは、上記マニホールドブロック2に対して、電磁弁30を固定ネジ4bでネジ止めして固定するためのネジ孔であって、図示の例では、各固定領域3内の対角上に2つそれぞれ設けられている。すなわち、本実施形態においては、これら2つのネジ孔4aによって、上記各固定領域3が定められている。なお、マニホールドブロック2は、短手方向(幅方向)長さが上記電磁弁30のハウジング32aの軸方向長さと概ね等しい長さに形成されている(図1又は図2参照)。
【0024】
図2図5に示すように、上記マニホールドブロック2の内部には、圧縮空気を各電磁弁30に供給するための上記給気流路5,6が形成されている。具体的に、上記給気流路5,6は、上記複数の電磁弁30に供給する圧縮空気を一括して流すための一括給気路5と、該一括給気路5から分岐して、弁搭載面2Aにおける各固定領域3に個別に開口する複数の個別給気路6とで構成されている。上記一括給気路5は、マニホールドブロック2の短手方向(幅方向)の中央位置において、該マニホールドブロック2の長手方向における両端面間を貫通して形成されている。なお、この一括給気路5は、略円形の断面形状に形成されていると共に、マニホールドブロック2の両端面に開口する各端部開口7の内周壁に、雌ネジがそれぞれ形成されている。そして、この端部開口7に、例えば、外周に雄ネジが形成されたクイック継手等の管継手を、螺合によって装着することができる。
【0025】
上記個別給気路6は、上記一括給気路5から供給される圧縮空気を各電磁弁30に個別に送るための流路であり、図2に示すように、一括給気路5の内周壁と弁搭載面2Aとの間を直線的に貫通することで形成されている。上記個別給気路6は一括給気路5と同じく略円形の横断面を有しており、その口径は一括給気路5よりも小さく形成されている。図4に示すように、本実施形態においては、1つの固定領域3に対して1つの個別給気路6が開設され、計5つの個別給気路6がマニホールドブロック2の長手方向に沿って並設されている。また、該個別給気路6は、マニホールドブロック2の短手方向において、上記弁搭載面2Aの中央部に開口している。
【0026】
さらに、上記マニホールドブロック2は、上記電磁弁30から排出される排気を、該マニホールドブロック2の外部に排出するための第1及び第2の排気流路8a,8bを有している。図2に示すように、上記第1及び第2の排気流路8a,8bは、それらの横断面形状が、上記給気流路5,6を中心として左右対称に形成されている。
【0027】
これら第1及び第2の排気流路8a,8bは、上記マニホールドブロック2の内部を、上記固定領域3の並設方向(マニホールドブロック2の長手方向)の両端面間を貫通する第1及び第2の流路本体9a,9bと、この流路本体9a,9bを上記マニホールドブロック2の弁搭載面2Aに連通させる第1及び第2の連通口10a,10bとを有している。そして、第1及び第2の連通口10a,10bに、上記電磁弁30からの排気音を抑制するための上記サイレンサ部材50が嵌合されている。なお、本実施形態では、第1の流路本体9aと第1の連通口10aとが互いに接続され、第2の流路本体9bと第2の連通口10bとが互いに接続されている。
【0028】
以下、上記第1及び第2の流路本体9a,9bと、それらにそれぞれ接続された第1及び第2の連通口10a,10bの具体的形態について説明する。なお、上述したように、第1及び第2排気流路8a,8bは、横断面視において互いに左右対称を為していること以外は実質的に同じ構成であるため、流路本体9a,9bに関しては、図6を用いて第2の流路本体9bについて説明し、第1の流路本体9aの説明は省略する。
【0029】
上記第2の流路本体9bは、第2の連通口10bに対向する底壁11と、該底壁11の両側に連設された左右の側壁12,12と、これら側壁12,12の上端から上記弁搭載面2Aに沿って、互いに近接する方向に連設された上壁13,13とを有している。本実施形態では、上記上壁13,13間の間隙によって、スリット状の第2(第1)の連通口10b(10a)が形成されている。なお、上記第2の流路本体9bは、該流路本体を区画する一方の側壁12(図6における左側)が、上記一括給気路5の円形の内周壁と同心円状の弧状面に形成されているのに対し(図2参照)、他方の側壁12(図6における右側)が、上記マニホールドブロック2の側端面に沿って鉛直方向に延びる平坦な壁面を成していると共に、上記一方の側壁12よりも下方まで延びている。それにより、上記底壁11が図示において、左側から右側に向けて下がるように傾斜している。
【0030】
また、第2の流路本体9bの底壁11からは、上記上壁13,13側に向けて(略鉛直方向)に、一対の起立突起15,15が互いに略平行に立設されている。後述するように、これら起立突起15,15は、上記サイレンサ部材50を保持するためのもので、該流路本体9bの長さ方向に沿って、互いに略平行に延設されている。これら起立突起15,15は、該起立突起間の間隙の中心及び幅寸法が、上記第2の連通口10bの中心及び開口幅(上壁13,13間の離間距離)に略一致するように形成されており、その結果、該起立突起15,15と上記底壁11とによって区画された凹状部分が、上記第2の連通口10bの丁度真下に位置している。なお、上記一対の起立突起15,15は、互いに同じ高さ位置まで突出しており、該突出方向における先端面が平坦に形成されている。また、起立突起15,15の先端面と、該起立突起15,15の互いに向い合う側壁面とが交わる角部には面取りが施されている。
【0031】
図2図6に示すように、上記第1及び第2の連通口10a,10bは、弁搭載面2A上の複数の固定領域3を連続的に横切るように、該弁搭載面2Aに開設されている。より具体的には、上記第1及び第2の連通口10a,10bは、水平を成す上記弁搭載面2Aから上記流路本体9a,9bへと垂下され、該流路本体9a,9bとその上方の弁搭載面2Aとを相互に直線的に連通させていると共に、該流路本体9a,9bに沿って上記複数の固定領域3の全てを横切るように形成されている(図4参照)。これら連通口10a,10bは、上記個別給気路6を間に挟んだマニホールドブロック2の短手方向両側において、互いに平行を成して開設されている。
【0032】
そうすることで、弁搭載面2A上に電磁弁30を搭載したとき、第1の連通口10aが、電磁弁30に開設された第1排出通孔37aに接続され、また、第2の連通口10bが、当該電磁弁30の第2排出通孔37bに接続されるようになっている(図2参照)。なお、この実施形態においては、上記第1及び第2連通口10a,10bの開口幅は、上記第1及び第2の流路本体9a,9bの最大流路幅(すなわち、上記一対の側壁12,12間の距離)よりも狭く形成されていると共に、電磁弁30の長手方向における第1及び第2排出通孔37a,37bの開口幅よりも狭く形成されている。
【0033】
また、上記第1及び第2の連通口10a,10bの互いに対向する開口壁には係止突起17が設けられている。この係止突起17は、第1及び第2の連通口10a,10bに嵌合された上記サイレンサ部材50に食い込んで、該サイレンサ部材50を係止し、該サイレンサ部材50の連通口10a,10bからの脱落やズレ動きを防止するためのものである。この係止突起17は、上記連通口10a,10bの長さ方向に延びる突条から成っており、該連通口10a,10bの開口壁における片側(図6に示す第2の連通口10bにおいては右側)の壁面にそれぞれ設けられている。また、係止突起17は、円弧状に丸められた横断面形状を有しており、それにより、例えば、上記サイレンサ部材50の交換時等における着脱を円滑にして、着脱の際に、サイレンサ部材50が傷ついたり破損したりするのを防止することができる。
【0034】
上記サイレンサ部材50は、通気性を有する消音材を含んでスティック状に形成されており(より具体的には、上記消音材によってスティック状に一体成形されており)、該消音材を上記各固定領域3に配した状態で、上記連通口10a,10b内にその長さ方向に沿って嵌合されている。図2及び図3に示すように、このサイレンサ部材50は、その断面形状が長手方向と短手方向とを有する略矩形に形成されており、その長手を上下方向とした縦向き姿勢で、第1及び第2の連通口10a,10bに挿入可能な寸法を有している。本実施形態では、当該サイレンサ部材50の上記断面形状における短手方向の長さが、上記第1及び第2の連通口10a,10bの開口幅と略同じ形成され、長手方向の長さが、上記流路本体9a,9bにおける一対の起立突起15,15間の底壁11(凹溝状の溝底)から、弁搭載面2Aまでの直線距離と略同じに形成されている。
【0035】
このような断面寸法を有するサイレンサ部材50は、第1及び第2の連通口10a,10bに嵌合した状態で、該連通口10a,10bから流路本体9a,9bの底壁11まで延びていて、該底壁11から起立する一対の起立突起15,15間に保持されている。そして、上記サイレンサ部材50は、第1及び第2の連通口10a,10bに嵌合した状態において弁搭載面2Aと略面一を成している。また、上記嵌合状態で、上記第1及び第2の流路本体9a,9bは、上記サイレンサ部材50を間に挟んで左右に二分されている。よって、電磁弁30から排出された排気は、サイレンサ部材50を通過したあと、上記流路本体9a,9bにおける、該サイレンサ部材50両側の空洞部分を通じて外部(大気)に排出されるようになっている。なお、上記消音材としては、例えば、気泡同士が互いに連通した連続気泡の発泡体、または、繊維同士を絡めて形成した繊維集積体が好適に用いられるが、それに限定されるものではない。
【0036】
ところで、図3に示すように、上記マニホールドブロック2には、該マニホールドブロック2の長手方向の両端部に、上記弁搭載面2Aと底面との間を貫通する一対の取付孔60がそれぞれ穿設されている。この取付孔60は、ねじ等の取付部材を挿通して、上記マニホールドブロック2を所定の設置箇所に固定するためのものであり、本実施形態では、当該取付孔60が上記第1及び第2の連通口10a,10bに沿って、それぞれ2つずつ(計4つ)貫設されている。そして、上記サイレンサ部材50は、その軸方向(長手方向)長さが、マニホールドブロック2の長手方向長さよりも短く、具体的には、該マニホールドブロック2の長手方向における2つの取付孔60,60間の離間距離よりも短く形成されている。
【0037】
なお、マニホールドブロック2の底面には、上記排気流路8a,8b(流路本体9a,9b)に沿って左右一対の肉抜き溝14,14が形成され、該マニホールドブロック2における長手方向の両端面間を貫いている。上記肉抜き溝14,14は、上記一括給気路5と、第1及び第2の排気流路8a,8bにおける流路本体9a,9bとを含む部分を、マニホールドブロック2の高さ方向に残して形成されている。これら肉抜き溝14,14によって、マニホールドブロック2を軽量化することができ、その製造コストの抑制も図ることができる。そして、このような肉抜き溝14,14を設けた結果、マニホールドブロック2の底面の幅方向中央部には、上記一括給気路5の開口と同心円状の弧状面を有する弧状底部16が形成されている。また、該弧状底部16には、マニホールドブロック2の長手方向に延びる突条18が設けられ、この突条18は、マニホールドブロック2を設置箇所に設置する際の脚部を成している。
【0038】
次に、上述した構成を有するマニホールドベース1に複数の電磁弁30を取り付けたマニホールド形電磁弁集合体及びその使用について具体的に説明する。なお、図1には、弁搭載面2Aにおける全ての固定領域3に電磁弁30がそれぞれ搭載されているが、上述したように、これら電磁弁30は実質的に同じ構成を有しているため、ここでは、一つの電磁弁30を動作させた場合について説明する。だだし、上述のような構成を有する電磁弁30自体の具体的な動作については、一般的に知られたものであるため、ここでは詳細な説明を省略する。また、制御すべきアクチュエータの数によっては、弁搭載面2A上に形成された固定領域3の数よりも、搭載される電磁弁30の数の方が少ないこともあり得る。このような場合、余った固定領域3に開口する個別給気路6をプラグで気密に閉塞したり、又はプレート等の封止部材で余った固定領域3をそれぞれ気密に覆えば良い。
【0039】
このようなマニホールド形電磁弁集合体を組み立てるにあたっては、まず、図3に示すように、2つのサイレンサ部材50を第1及び第2の連通口10a,10bのそれぞれに対して、マニホールドブロック2の弁搭載面2Aの上方から、下方の矢印の向きに押し込んでいく。このとき、図2のように、上記サイレンサ部材50は、第1及び第2の流路本体9a,9bの底壁11に当接するまで押し込まれる。そうすることで、上述したように、上記サイレンサ部材50が、流路本体9a,9bに設けられた起立突起15,15間に保持されると共に、弁搭載面2Aと略面一となった状態で第1及び第2の連通口10a,10bに嵌合した状態となる。なお、このとき、サイレンサ部材50は上記係止突起17によって係止されている。
【0040】
次に、図5に示すように、上記マニホールドブロック2の弁搭載面2Aの各固定領域3に、ガスケット等のシール部材51をそれぞれ配設し、該シール部材51を間に挟んだ状態で、上記電磁弁30を上記マニホールドブロック2に対して固定する。図2に示すように、この電磁弁搭載状態においては、マニホールドブロック2の個別給気路6、並びに第1及び第2連通口10a,10bと、電磁弁30の供給通孔36、並びに第1及び第2排出通孔37a,37bとが互いにそれぞれ連通されている。
なお、電磁弁30の第1及び第2出力ポートA,Bは、例えば、図示しない複動式シリンダ等の空気圧アクチュエータの各圧力室にそれぞれ接続される。また、上記マニホールドブロック2の一括給気路5に図示しない空圧源から圧縮空気を供給する。
【0041】
そして、図2のように、例えば上記パイロット弁31が非通電状態(OFF状態)にあるときは、スプール35の一方向(図中左方向)への動作により、電磁弁30内の供給通孔36と第2出力ポートBの第2出力通孔38bとが連通されると共に、第1出力ポートAの第1出力通孔38aと第1排出通孔37aとが連通される。
このような第1の連通状態では、上記一括給気路5から分岐する個別供給路6を通じて上記供給通孔36へと供給された圧縮空気が、第2出力ポートBからアクチュエータに対して出力される一方で、第1出力ポートAからの圧縮空気すなわちアクチュエータからの排気は、上記マニホールドブロック2の第1の排気流路8a(すなわち、第1の連通口10a及び第1の本体流路9a)を通じてマニホールドブロック2の外部(大気)に排出される。このとき、排気は、上記第1の連通口10aに装着されたサイレンサ部材50によって消音(吸音)されてから、上記第1の流路本体9aを通じて大気に排出されることとなる。
【0042】
逆に、上記パイロット弁31が通電状態(ON状態)にあるときは、スプール35の他方向(図2中右方向)への動作により、上記供給通孔36と上記第1出力ポートAの第1出力通孔38aとが連通されると共に、第2出力ポートBの第2出力通孔38bと第2排出通孔37bとが連通される。
このような第2の連通状態では、上記供給通孔36へと供給された圧縮空気が、第1出力ポートAからアクチュエータに対して出力される一方で、第2出力ポートBからの圧縮空気すなわちアクチュエータからの排気は、上記マニホールドブロック2の第2の排気流路8b(すなわち、第2の連通口10b及び第2の本体流路9b)を通じてマニホールドブロック2の外部に排出される。このとき、排気は、上記第2の連通口10bに装着されたサイレンサ部材50によって消音(吸音)されてから、上記第2の流路本体9bを通じて大気に放出されることとなる。
【0043】
このように、上記電磁弁用マニホールドベース1においては、マニホールドブロック2の弁搭載面2Aに開口する第1及び第2の連通口10a,10bに、電磁弁30からの排気音を抑制するためのサイレンサ部材50が嵌合された構成を採用し、マニホールドブロック2にサイレンサ部材50を内蔵させていることで、例えば、サイレンサ部材50を内蔵させることを前提としてマニホールドブロック2を設計することができ、マニホールドブロック2の構造の簡略化や小型軽量化等、サイレンサ付き電磁弁用マニホールドベースのより合理的な設計が可能となる。
【0044】
以上、本発明に係る電磁弁用マニホールドベース、及びそれを用いたマニホールド形電磁弁集合体について詳細に説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されることなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない範囲で様々な設計変更が可能であることは言うまでもない。
【0045】
例えば、本実施形態では、マニホールドブロックの弁搭載面2Aに、単一のパイロット弁31を備えたシングルパイロット式の電磁弁30が搭載されているが、2つのパイロット弁を備えるダブルパイロット式の電磁弁を搭載しても良い。
また、第1及び第2の連通口10a,10bを、弁搭載面2Aにおける全ての固定領域3を連続して横切るように形成しているが、各固定領域3に開設されていさえすれば、例えば、上記複数の固定領域3を複数のグループに分けてそのグループ毎に延設しても良いし、又は各固定領域に個別に開設しても良い。
さらに、サイレンサ部材50が消音材によって一体成形されているが、少なくとも該消音材が弁搭載面2A上の各固定領域3に配置されるように形成されていれば良く、例えば、消音材と他の非通気性の材料とを長手方向に交互に組み合わせることよって形成されていても良い。
【符号の説明】
【0046】
1 電磁弁用マニホールドベース
2 マニホールドブロック
2A 弁搭載面
3 固定領域
5 一括給気路
6 個別給気路
8a,8b 排気流路
9a,9b 流路本体
10a,10b 連通口
15 起立突起
30 電磁弁
50 サイレンサ部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6