【解決手段】コイル組立体と、磁性粉末及び樹脂を含む混合材とを容器に投入する投入工程S401と、容器に投入された混合材に圧力を加える加圧工程S402と、少なくとも加圧工程S402による加圧中に、混合材が置かれた環境を大気圧よりも低い負圧環境にする減圧工程S403と、少なくとも減圧工程S403による減圧中に、混合材に振動を加えて容器内に混合材を充填する振動付与工程S404と、減圧工程S403及び振動付与工程S404を経過した混合材とコイル組立体の一体化物において混合材に含まれる樹脂を硬化させる硬化工程S409と、を含むコイル部品の製造方法でコイル部品を製造する。
前記減圧工程が前記加圧工程の開始後に開始され、前記振動付与工程が前記減圧工程の開始後に開始される、請求項1から4のいずれか1項に記載のコイル部品の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[第一実施形態]
以下、本発明の第一実施形態のコイル部品10の製造方法、製造装置について説明する。以下の説明においては、必要に応じてXYZ直交座標系を用いる。XYZ直交座標系においてX方向とは、
図1において端末43a、43bが並ぶ方向を指し、X1側は
図1における右手前を指し、X2側はそれとは逆の左奥側を指す。また、Y方向は、端末43a、43bが下底面31Cにて延伸する方向を指し、Y1側は
図1における右奥側を指し、Y2側はそれとは逆の左手前側を指す。また、Z方向は柱状芯部32の軸線方向を指し、Z1側は上側を指し、Z2側は下側を指す。
【0011】
<コイル部品>
先ず、第一実施形態のコイル部品10の製造方法及び製造装置の説明に先立って、第一実施形態の製造方法及び製造装置によって製造される、コイル部品10について説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るコイル部品10の内部構成を透過的に示す斜視図である。
図2は、
図1に示した矢線B−Bに沿う断面図である。
図2では、磁性カバー部50のみの断面を示し、コイル組立体20については側面図を示している。
第一実施の形態のコイル部品10は、インダクタ、トランスまたはチョークコイル等のような電子部品を構成する。コイル部品10は、コイル組立体20と、磁性カバー部50とを主要な構成要素としている。コイル組立体20は、磁性体コア30と、コイル40とを有している。
【0012】
磁性体コア30には、鍔部31と、柱状芯部32とが設けられていて、これらが一体的に設けられている。磁性体コア30は、フェライトを焼成したフェライトコアや、磁性粉末を圧縮成型した圧粉コアを材料としている。ここで、圧粉コアの磁性粉末としては、鉄(Fe)を主成分とし、シリコン(Si)及びクロム(Cr)がそれぞれ1wt%以上、10wt%以下の割合で添加された磁性粉末を用いることができる。磁性粉末は、防錆性や比透磁率等の面で優れている。コア損失を低減する観点から、磁性体コア30は、磁性粉末と非晶質金属とを混合した金属磁性粉末を用いて構成されるものであってもよい。非晶質金属としては、鉄(Fe)を主成分とし、シリコン(Si)とクロム(Cr)をそれぞれ1wt%以上、10wt%以下、更に炭素(C)を0.1wt%以上、5wt%以下含有する炭素含有非晶質金属を用いることができる。さらに、第一実施形態では、磁性体コア30がマンガン(Mn)を含むようにしてもよい。
【0013】
鍔部31は、板状の形状を有し、
図1に示す構成では、鍔部31の平面形状は略正方形状を成している。ただし、鍔部31の平面形状は略正方形に限られるものではなく、円形状、楕円形状、多角形状等、種々の形状であってもよい。また、鍔部31の中央部には、柱状芯部32が立設されている。柱状芯部32は、上方側(Z1側)に向かうように延伸している円柱形状を有しているが、円柱以外の形状(四角柱等の多角柱)であってもよい。柱状芯部32は、後述するコイル40のコイル孔42aに差し込まれる。
【0014】
また、コイル40は、幅寸法が厚み寸法よりも十分に大きい平角線41(導線に対応)を用いており、平角線41を巻回することで巻線部42が形成され、巻線部42の内周側にはコイル孔42aが設けられている。コイル孔42aには、上述した柱状芯部32が差し込まれる。なお、
図1及び
図2に示す構成では、巻線部42は、エッジワイズ巻きにて形成されていて、その巻線部42の軸線方向は、柱状芯部32の軸線方向と一致するように設けられている。また、巻線部42の下面側は、鍔部31の上面に対して接着剤によって固定されていてもよい。かかる接着剤としては、絶縁性の樹脂接着剤を用いることができる。
【0015】
平角線41の一方の端末43aは、巻線部42の上面側から、磁性体コア30の鍔部31の上面31Aと平行を成す方向(Y1側)に伸びた後、鍔部31のうち
図2のY1側の側面31Bと平行に当接し、さらに鍔部31の下底面31Cと当接しつつY2側に向かうように折り曲げられている。下底面31Cと当接している部分は、磁性カバー部50から下方に露出し、他の基板等と電気的に接続される端子部44aとなる。端子部44aは、さらに、鍔部31のY2側の側面31Dと当接しつつ上方に向かうように折り曲げられ、最後に、鍔部31の柱状芯部32の側に傾くように折り曲げられている。
【0016】
同様に、平角線41の他方の端末43bは、巻線部42の下面側から、鍔部31の上面と平行を成す方向(Y1側)に伸びた後、鍔部31のうち
図1のY1側の側面31Bと平行をなして当接し、さらに鍔部31の下底面31Cと当接しつつY2側に向かうように折り曲げられている。なお、この下底面31Cと当接している部分は、磁性カバー部50から下方に露出し、他の基板等と電気的に接続される端子部44bとなる。かかる端子部44bとなる部分となり、さらに鍔部31のY2側の側面31Dと当接しつつ上方に向かうように折り曲げられ、最後に、鍔部31の柱状芯部32側に傾くように折り曲げられている。
【0017】
なお、鍔部31の下底面31Cには、端子部44a、44bを入り込ませるための溝部(図示省略)が上方に向かって窪むように設けられていてもよい。この溝部は、平角線41の厚みよりも小さく、電極溝は端子部44a、44bの厚みの一部を収容する。そのため、端子部44a、44bの下方側は、下底面31Cよりも下方に突出した状態となる。なお、端子部44a、44bの上面側を、接着剤により溝部の壁面に接着固定してもよい。
【0018】
なお、導線としては、上述した平角線41に代えて、断面形状が円形の丸線を用いるようにしてもよい。その場合、端子部44a、44bは、平坦に押し潰すことで形成してもよい。
【0019】
また、鍔部31のY2側の側面31Dには、端末43a、43bを位置させるための側面凹部(図示せず)が形成されている。このため、端末43a、43bの厚みの一部または全部が側面凹部に収容され、鍔部31の側面から端末43a、43bが突出するのを防止可能となる。また、側面凹部の壁面に対して、端末43a、43bが接着されるようにしてもよい。
【0020】
次に、磁性カバー部50について説明する。磁性カバー部50は、磁性粉末及び熱硬化性樹脂を含む材料から形成されている。磁性粉末としては、上述した磁性体コア30と同様の材料を用いてもよく、異なる材料を用いてもよい。また、樹脂としては、特定の条件の下で硬化するものであればよく、熱硬化性樹脂や二液硬化型樹脂及びUV等の光の照射で硬化する光硬化性樹脂のいずれを用いてもよい。樹脂を熱硬化性樹脂とする場合、熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂及びシリコーン樹脂を用いることができる。
【0021】
磁性カバー部50は、上述した端子部44a、44bを除き、コイル組立体20を全体的に覆うように設けられている。なお、鍔部31の下底面31Cも露出していても良く、コイル組立体20のうち、下底面31Cや端子部44a、44b以外の部分が露出していてもよい。
図1に示すように、磁性カバー部50は、略直方体形状に設けられている。ただし、磁性カバー部50の形状は、任意の形状とすることができ、略直方体状に限られるものではない。磁性カバー部50は、磁性体コア30の柱状芯部32及びコイル40の巻線部42を覆うように設けられている。
【0022】
<コイル部品の製造装置>
次に、コイル部品10を製造するために用いられる、コイル部品の製造装置(以下、単に「製造装置」とも記す)100の構成を説明する。
図3は、コイル部品10の製造に用いられる製造装置100の構成を示す図である。
図3においては、製造装置100の断面を示し、このうち、コイル組立体20、混合材200及び押圧部材150については便宜上ハッチングを省略している。製造装置100は、基台部110と、下方支持プレート120と、筒状のダイ130と、蓋部材140と、押圧部材150と、加圧機構160と、振動発生機構170と、制御部180と、を備えている。このような構成のうち、ダイ130は、コイル組立体20と、磁性粉末及び熱硬化性樹脂を含む混合材200とを収容する容器である。押圧部材150は、ダイ130の内部の混合材200に圧力を加える。振動発生機構は、ダイ130内の混合材200に振動を加え、ダイ130内に混合材200を充填する。さらに、第一実施形態の製造装置100は、少なくとも振動発生機構170による振動の付与中に、混合材200が置かれた環境を、大気圧よりも低い負圧環境にする減圧機構190を備えている。制御部180は、加圧機構160、振動発生機構170及び減圧機構190の動作タイミングや動作条件を制御している。
上記した内容のうち、本明細書では、「充填」の語句を、内筒部132(
図3)内に投入された混合材200が振動付与の前よりも内筒部132内及びコイル組立体20の隅々にまで行き渡り、混合材200を空隙(ボイド)の少ない状態になることを指す。
以下、このような各構成について、順に説明する。
【0023】
(基台部)
基台部110は、製造装置100の土台となる部分であり、下方支持プレート120やダイ130を支持する部分である。また、基台部110は、後述する振動発生機構170によって、振動が付与される部分である。かかる基台部110への振動の付与により、ダイ130の内筒部132内の混合材200に振動が与えられる。なお、
図3に示す構成では、基台部110には、排気孔111が形成されている。この排気孔111は、下方支持プレート120の挿通孔122と連通していて、内筒部132の内部から外部に空気を排出させることができる。排気孔111は、図示しない排気ホースやバルブ等を介して減圧機構190と接続されている。
第一実施形態では、
図3に示すように、挿通孔122を鍔部31の下面に対向する位置に形成したことで、混合材200が挿通孔122に侵入し難くなっている。また、挿通孔122を蓋部材140の反対側に配置したことにより、内筒部132内部全体が加圧されて内筒部132中の空気が挿通孔122から排気されやすくなる。
【0024】
(下方支持プレート)
下方支持プレート120は、シート状または薄板状の部材であり、ダイ130の内筒部132の下側の開口部を封止する部分である。この下方支持プレート120には、その下方支持プレート120の上面よりも凹んだ位置決め凹部121が設けられていて、その位置決め凹部121には、コイル組立体20の端子部44a、44bが入り込む。それにより、ダイ130の内筒部132に対するコイル組立体20の位置が定められる。
また、下方支持プレート120には、挿通孔122が設けられていて、この挿通孔122は、上述した排気孔111と連通する。そのため、ダイ130の内筒部132で、混合材200を押し込む場合に、内筒部132に存在している空気を、排気孔111と挿通孔122を介して、外部に排出することができる。
【0025】
(ダイ)
ダイ130は、筒状の外筒部131を有する部材であり、その外筒部131で囲まれる部分(外筒部131の内壁131aで囲まれる部分)が内筒部132となる。そして、この内筒部132にコイル組立体20を配置したり、混合材200を充填したりすることが可能となっている。
なお、ダイ130は、下方支持プレート120に対して、不図示の位置決め部材を介して位置決めされる。このような位置決め部材としては、例えば下方支持プレート120とダイ130のうちのいずれか一方に突起を設け、いずれか他方に突起が嵌まり込む凹部を設ける構成が挙げられるが、位置決め部材としては、その他の構成を用いてもよい。また、内壁131aには、離型剤を塗布しておくことが好ましい。離型剤を塗布する場合、後述する取出工程S408を実行する際に、成形された混合材200とコイル組立体20の一体化物を、内筒部132から容易に取り出すことができる。
【0026】
(蓋部材)
蓋部材140は、混合材200を内筒部132に充填した後に、内筒部132の上方側(Z1側)から混合材200を覆うように配置される部材である。この蓋部材140は、良離型性の樹脂材料から形成されることが好ましい。そのような樹脂材料の一例としてポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素樹脂材料を用いることができる。なお、蓋部材140の厚さは特に限定されず、いわゆるシート状のほか、プレート状やブロック状等でもよい。また、蓋部材140は、内筒部132を平面視したときの形状と略同一に設けられていて、内筒部132に充填された混合材200が蓋部材140と外筒部131の内壁131aの隙間から漏れるのを防ぎながら良好に押圧することができる。
【0027】
(押圧部材)
押圧部材150は、蓋部材140を、その上方から押圧する部材であり、蓋部材140よりも小径に設けられている。そのため、押圧部材150が外筒部131と衝突するのを防止可能となっている。また、押圧部材150は、蓋部材140よりも厚みが大きく設けられていることが好ましい。押圧部材150としては、例えばブロック状の部材を用いることができる。ただし、押圧部材150は、ブロック状の部材に限定されるものでなく、例えば、蓋部材140を一方向に押し込むアーム等であってもよい。
【0028】
(加圧機構)
加圧機構160は、押圧部材150の上方から、押圧部材150に加圧力を与える機構である。かかる加圧機構160によって、内筒部132の内部に存在する混合材200を加圧させることが可能となる。なお、加圧機構160は、所定の加圧力を与え続けるものでも良く、所定の加圧力を周期的に与えるものでもよい。
第一実施形態の加圧機構160は、製品1個あたり1mm
2から30mm
2の面積に対して加圧することを想定していて、このような範囲に0.01MPa以上、20MPa以下の圧力を加えることが好ましい。さらに、0.5MPa以上、2MPa以下の圧力を加えることがより好ましい。
【0029】
(振動発生機構)
振動発生機構170は、基台部110に取り付けられ、その基台部110に対して振動を与えるための機構である。振動発生機構170は、振動付与部材に対応する。振動発生機構170としては、例えばボールバイブレータ171と、コンプレッサ(図示省略)を用いる機構を採用することができる。ボールバイブレータ171は、鋼鉄製の鉄球と、鉄球を回転させるための円筒ケースを備えていて、円筒ケースの内部に、コンプレッサから圧縮空気が供給される。円筒ケース内に供給された圧縮空気の圧力によって鉄球が高速回転し、それによって基台部110に振動が与えられる。
【0030】
基台部110に与えられた振動は、下方支持プレート120、ダイ130及び混合材200に与えられる。混合材200は、与えられた振動によって振動し、その成形度が高くなる。ここで、成形度とは、材料が変形して他の形状になる「成り易さ」を表すもので、成形度が高いとは、その材料が一定の条件の下で所定の形状になりやすいことを指し、成形度が低いとは、同様な条件でもその材料が所定の形状になり難いことを指す。混合材200の成形度は、加えられる振動の周波数と相関関係を有する。本発明者らは、混合材200の成形度が大きく向上する振動の周波数の範囲を見出し、この周波数で基台部110に振動を加えている。第一実施形態の基台部110に加えるのに好ましい振動は、例えば、130Hz以上、190Hz以下である。なお、第一実施形態で混合材200に加えられる振動は、基台部110を縦方向に振動させるものであってもよいし、横方向に振動させるものであってもよい。換言すると、振動の方向は、加圧機構160の加圧方向に対して直交する方向でもよく、同方向でもよい。
混合材200は、成形度が高まったことによって振動付与以前には入り込んでいなかった内筒部132の隅々やコイル組立体20の間隙に入り込む。また、混合材200も内部に空隙等のない状態になる。
【0031】
ここで、ボールバイブレータ171は、上述したように、鉄球が直線方向に一次元的に移動する訳ではなく、円筒ケース内を円状に回転する。そのため、基台部110には、ボールバイブレータ171によって、直線的ではなく平面的な(二次元的な)振動が与えられる。したがって、混合材200は、一層良好に空隙に充填される。なお、鉄球の回転によって形成される回転面は、XY平面に平行としても良く、XZ平面やZX平面のようにZ方向が回転面に平行となるようにしてもよい。また、XY平面、YZ平面、またはZX平面に所定角度をなして傾斜するように取り付けても良く、その取り付け方は限定されない。このうち、加圧機構160の加圧方向に対して直交方向に基台部110を振動させると、加圧機構160による加圧状態を維持したまま、振動発生機構170で混合材200を好適に振動させることができる。
【0032】
なお、振動発生機構170は、ボールバイブレータ171を用いたものには限られない。例えば、モータに回転体を偏心した状態で取り付けて、その回転体を回転させることで、振動を発生させるタイプの駆動装置を、振動発生機構170に用いてもよい。その他、超音波方式の駆動装置、電磁石を用いるタイプの駆動装置等、種々のタイプの駆動装置を、振動発生機構170に用いることができる。
【0033】
(減圧機構)
減圧機構190は、内筒部132と連通する排気孔111と連通する真空ポンプを有している。真空ポンプは、内筒部132内を混合材200の充填に必要な真空度にできるものであればどのような構成のものであってもよい。第一実施形態では、減圧機構190の能力を、内筒部132内を大気圧以下から大気圧までとすることができるものとし、具体的には、10
−2Pa以上、10
5Pa以下の真空度を達成できるものとする。このような真空度を達成できる真空ポンプとしては、例えば、ロータリーポンプやダイヤフラムポンプ等がある。また、減圧機構190は、内筒部132内の真空度をモニターする真空計等を含むものであってもよい。
【0034】
(制御部)
制御部180は、加圧機構160、振動発生機構170及び減圧機構190の動作を制御する構成である。ここで、加圧機構160の動作とは、加圧の開始、終了のタイミングや蓋部材140にかける圧力等を指す。また、振動発生機構170の動作とは、振動付与の開始、終了のタイミングや振動の周波数や方向を指す。さらに、減圧機構190の動作とは、減圧の開始、終了のタイミングや内筒部132内の圧力等を指す。第一実施形態の制御部180は、予め設定された条件にしたがって自動で各機構を制御するものであってもよいし、少なくとも一部の動作を操作者が入力する、あるいは手動で行うものであってもよい。このような制御部180は、汎用的なコンピュータや専用のマイコン等を使っても実現することができる。
【0035】
<コイル部品の製造方法>
次に、以上説明したコイル部品の製造装置によって行われる、コイル部品の製造方法について説明する。
図4は、第一実施形態のコイル部品の製造方法のフローチャートである。第一実施形態のコイルの製造方法は、磁性体コア30にコイルが装着されたコイル組立体20を形成するコイル部品の製造方法である。
図4に示すように、第一実施形態のコイルの製造方法は、コイル組立体20と、磁性粉末及び樹脂を含む混合材200とを容器である内筒部132に投入する投入工程(S401)と、内筒部132に投入された混合材200に圧力を加える加圧工程(S402)と、少なくとも加圧工程S402による加圧中に、混合材200が置かれた環境を、大気圧よりも低い負圧環境にする減圧工程(S403)と、少なくとも減圧工程S403による減圧中に、混合材200に振動を加えて内筒部132に混合材200を充填する振動付与工程(S404)と、減圧工程及び振動付与工程S404を経過した混合材200とコイル組立体20の一体化物において混合材に含まれる樹脂を硬化させる硬化工程(S408)と、を含んでいる。ここで、「少なくとも加圧工程による加圧中に」とは、減圧工程S403が加圧工程402の開始以前から開始されてもよいし、開始後に開始されてもよいことを表している。また、「少なくとも減圧工程による減圧中に、」とは、振動付与工程S404が減圧工程S403の開始前に開始されてもよいし、開始後に開始されてもよいことを表している。なお、第一実施形態では、S408において熱硬化性樹脂を使用する例をあげて説明する。このため、上記工程においては、S408の硬化工程以外、全て室温の下で行われている。ただし、前記したように、第一実施形態は、熱硬化性樹脂を使用することに限定されず、二液硬化型樹脂や光硬化性樹脂を使用するものであってもよい。
以下、上記各工程について説明する。
【0036】
(投入工程)
第一実施形態の投入工程S401では、コイル組立体20を内筒部132の内部の下方支持プレート120に載置すると共に、混合材200を内筒部132の内部に投入する。このとき、端子部44a、44bが下方支持プレート120の図示しない位置決め凹部に入り込むことで、コイル組立体20が内筒部132の内部で位置決めされる。
第一実施形態の混合材200は、金属製の磁性粉末と、樹脂とを混合して、溶剤を添加したパテ状(言い換えれば、粘土状)のものである。そのため、混合材200の成形度は、例えば何らかの形状となるように形成した場合に、その形状を維持可能な、粘土と同程度またはそれに近い状態となっている。なお、混合材200から磁性カバー部50が形成されるので、磁性粉末と樹脂は、上述した磁性カバー部50と同じ材料となっている。また、溶剤としては、アセトン、MEK(メチルエチルケトン)、エタノール、αテルピネオール、IPA(イソプロピルアルコール)等の公知の有機溶媒が適宜利用できる。
【0037】
混合材200の例としては、金属磁性粉末とエポキシ樹脂との構成比を、質量比で90:10〜99:1(両端値を含む)で混合したものがある。さらに、混合材200の粘度は、選択的に溶剤を添加して調製することができる。金属磁性粉末の一例としては、鉄、シリコン、クロム及び炭素を少なくとも含有する非晶質金属磁性粉末と、鉄−シリコン−クロム系の合金粉末と、を質量比で1:1で混合した粉末を挙げることができる。
【0038】
また、混合材200に添加される溶剤としてテルピネオールを用い、溶剤の添加量を混合材200の質量に対して5wt%未満とすることができる。これにより、混合材200を、比較的粘度が高いパテ(putty)状とすることができる。このとき、混合材200の粘度は、30〜3000Pa・sの範囲内となる。
また、混合材200を内筒部132に投入する場合、予め適量の混合材200となるように、また内筒部132に投入し易い形状となるように、混合材200のブロック体を形成しておく。そして、コイル組立体20を下方支持プレート120に載置した後に、混合材200のブロック体をコイル組立体20の上部に載置する。
【0039】
(加圧工程)
次に、第一実施形態では、加圧工程S402を実行する。加圧工程S402では、混合材200の上部に蓋部材140を載置し、蓋部材140の上部に押圧部材150を配置した後に加圧機構160を作動させる。それにより、蓋部材140が加圧機構160によって
図3に示したZ2方向に押し込まれ、加圧機構160が混合材200に圧力を加える。加圧された混合材200は、内筒部132内の間隙に入り込んで内筒部132内に充填されていく。このような本実施の形態の加圧工程S402は、混合材200のうちの空隙を除いた体積を実質的に変えずに、混合材200を内筒部132に充填させるものである。このため、加圧工程S402は、フェライトや鉄粉等の加工対象を高圧で圧縮して体積を有意に減少させる、周知の圧縮工程とは異なるものとなっている。周知の圧縮工程は、一般に0.5トン/cm
2から数トン/cm
2程度の高い押圧力を加工対象に負荷するのに対し、第一実施形態の加圧工程S402は、例えば0.5kg/cm
2から50kg/cm
2程度の押圧力を混合材200に負荷すれば足りる。したがって、加圧工程S402は、周知の圧縮工程に比べてダイ130へのダメージも少なくなり、ダイ130の材料の選択範囲が広くなるというメリットがある。加圧工程S402では、後の減圧等の工程の間にも押圧部材150の位置を維持して混合材200に圧力を加え続けている。
【0040】
(減圧工程)
次に、第一実施形態では、減圧工程S403を実行する。減圧工程では、加圧機構160が押圧部材150及び蓋部材140を加圧した状態を維持している。この加圧状態の維持は、加圧工程S402の継続と解しても良く、振動付与工程S404の一部と解してもよい。このように、混合材200が加圧された状態で、制御部180が減圧機構190を作動させる。減圧機構190は、内筒部132内の圧力を、例えば100Pa以上、10
4Pa以下にする。内筒部132内の圧力は、減圧機構190の排気能力と、内筒部132の内部に流れ込んでくる大気の流量(内筒部132の気密性)とのバランスによって決まる。
【0041】
(振動付与工程)
第一実施形態の振動付与工程S404は、混合材200に振動を与える工程である。振動付与工程S404では、制御部180が振動発生機構170を制御して混合材200に対する振動の付与が開始される。このとき、内筒部132においては混合材200が加圧され、内部の気圧が減圧状態になっている。このとき、基台部110に振動が与えられ、与えられた振動が混合材200にも伝達される。
振動発生機構170で与えられる振動は、振幅が0.1μmから1cmの範囲内となっている。また、与えられる振動の周波数は、2Hzから500Hzの範囲内となっている。このような範囲のうち、第一実施形態では、特に周波数が130Hz以上、190Hz以下の振動を混合材200に与えることが好ましい。
また、第一実施形態において、振動発生機構170で振動を付与する時間は、1秒から300秒の範囲内となっている。なお、振動付与の時間は上述の範囲に限られるものではなく、例えば100秒を超える時間、混合材200を振動させてもよい。
【0042】
混合材200は、振動が加えられることによって成形度が急激に高くなる。そのため、混合材200の成形度が急激に高くなった状態で、混合材200を上記のような条件にて一方向に加圧し、周囲気圧を減圧することにより、内筒部132の内部で混合材200が空隙に充分入り込み、内筒部132の内部に充填される。また、混合材200を加圧して減圧環境に置くことにより、混合材200内に生じている空隙が押しつぶされて消滅する。このような現象により、第一実施形態は、混合材200がコイル組立体20の周囲を隙間なく覆うようになり、充填漏れをなくすことができる。
【0043】
加圧工程S402、減圧工程S403及び振動付与工程S404の開始後、第一実施形態では、制御部180が、これら各工程の終了のタイミングを判断する(S405)。各工程終了のタイミングは、例えば、いずれかの工程の開始から予め定められた時間の経過によって判断してもよい。また、各工程の終了は、振動停止工程S406、減圧工程S407の順で停止するようにしてもよい。ただし、減圧工程S403、振動付与工程S404、振動停止工程S406及び減圧工程S407は、
図4のフローチャートに示した順番で行われることに限定されない。例えば、減圧工程S403、振動付与工程S404は、同時に開始するものであってもよいし、減圧工程S403よりも振動付与工程S404を先に行うものであってもよい。また、蓋部材140が混合材200に圧力を加えて閉じられるものであれば、減圧工程S403、振動付与工程S404に加えて加圧工程S402を同時に行ってもよい。
さらに、振動停止工程S406及び減圧工程S407は、同時に行ってもよいし、振動停止工程S406よりも減圧工程S407を先に行うものであってもよい。
【0044】
(取出工程)
次に、第一実施形態では、取出工程S408を実行する。取出工程S408では、制御部180が加圧機構160を制御して押圧部材150を
図3に示したZ1の方向に押し上げて混合材200の加圧を解除する。加圧の解除後に蓋部材140が開けられて、内筒部132の内部から混合材200とコイル組立体20の一体化物が取り出される。このとき、混合材200の上面部分は、蓋部材140に密着しているので、例えばピン状の突き上げ部材を内筒部132内に一体物の下面に挿入して、一体化物を上方へ押し上げることにより、蓋部材140に上面が密着した状態で一体化物を取り出すことができる。
【0045】
(硬化工程)
次に、第一実施形態では、硬化工程S409を実行する。硬化工程S409では、取り出された一体化物の混合材200を、熱硬化温度以上に加熱して熱硬化させる。このとき、混合材200に含まれている溶剤は、揮発して除去される。そして、混合材200が十分に硬化して磁性カバー部50となった後に、一体化物の上面から、蓋部材140を取り外す。それにより、コイル部品10が形成される。
なお、取出工程S408と硬化工程S409については、このような手順で行われることに限定されるものではない。すなわち、取出工程S408を行う前に、内筒部132に一体化物が充填されたままの状態で、硬化工程S409を実行するようにしてもよい。そして、硬化工程S409において一体化物を完全に硬化させた後に、取出工程S408を実行するようにしてもよい。
【0046】
また、第一実施形態では、取出工程S408を行う前に、第一温度で第一段階目の硬化工程S409を実行して一体化物の混合材200を半硬化させる。このとき、第一温度は、熱硬化性樹脂の熱硬化温度未満とするものの、混合材200に含まれている溶剤を揮発させる温度として、一体化物を半硬化させる。その後に取出工程S408を実行して、半硬化した混合材200を含む一体化物を内筒部132から取り出す。そして、第一温度よりも高温の第二温度で第二段階目の硬化工程S409を実行する。このとき、第2温度は、熱硬化性樹脂の熱硬化温度以上とする。なお、第一温度は、熱硬化性樹脂の硬化開始温度以上、かつ完全硬化温度未満としてもよい。
また、硬化工程S409を実行した後に、後処理工程を行ってもよい。後処理工程としては、磁性カバー部50の表面の研磨や、熱硬化性樹脂等による被膜形成等が挙げられる。
【0047】
以上説明した第一実施形態によれば、ダイ130の内筒部132において、混合材200が充填されない間隙が形成されるのを防ぐことができる。すなわち、パテ状の混合材200は粘度が高く、内筒部132に投入された混合材200を加圧したとしても、混合材200が内筒部132の内部で十分に充填されない箇所(充填漏れ)が生じる虞がある。
しかしながら、第一実施形態では、加圧工程S402で混合材200を内筒部132に投入した後に、減圧工程S403を実行して混合材200を内筒部132の内壁に押し付けると共に、振動付与工程S404を実行して混合材200の成形度を高くする。なお、成形度とは、先に述べたように、材料が変形して他の形状になる「成り易さ」を表すものであるから、成形度が高まった混合材200は、内筒部132やコイル組立体20の形に合わせて変形し、内筒部132の間隙やコイル組立体20の間隙に入り込み易くなる。したがって、第一実施形態は、内筒部132の内部で混合材200が充填されない箇所(充填漏れ)が形成されることを防ぐことができる。このような第一実施形態は、その後の取出工程S408、硬化工程S409等を経て形成されたコイル部品10の品質を均一化することができる。
【0048】
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態を説明する。
図5は、本発明の第二実施形態のコイル部品の製造方法を説明するための図である。第二実施形態においては、第一実施形態で説明した構成と同様の構成については同様の符号を付し、その説明及び図示を省く。
第二実施形態のコイル部品の製造方法は、第一実施形態の減圧工程S403において、複数の容器が収容可能な減圧室300で複数の容器である空洞部62を有する型体60を同時に減圧するものである。このようなコイル部品の製造方法を実現するため、第二実施形態のコイル部品の製造装置400は、複数の空洞部62を備える型体60と、型体60を支持する基台部310と、型体60に投入された混合材200を加圧する蓋部材141、押圧部材151及び加圧機構161と、を有している。型体60、基台部310及び蓋部材141は減圧室300内に収容されている。
【0049】
さらに、第二実施形態の製造装置400は、基台部310に排気孔311が形成されていて、排気孔311から減圧室300内を減圧する減圧機構191を有している。さらに、製造装置400は、基台部310を介して混合材200に振動を加える振動発生機構173と、加圧機構161、減圧機構191及び振動発生機構173の動作を制御する制御部180を備えている。なお、図示は略すが、型体60の内部には各空洞部62と排気孔311とを連通させる排気路が形成されていて、減圧機構191が排気を開始すると、空洞部62の内部から空気が排気孔311を通って減圧機構191により排気される。
型体60は、良離型性の樹脂材料で形成されている。型体60の樹脂材料としてはシリコーンゴム材料を例示することができる。型体60は、
図5に示すように、一体治具59と底部64とが一体形成された構成を有している。型体60は可撓性を有し、かつ配列された複数の空洞部62を備えている。
図4に示した投入工程S401では、複数の空洞部62に混合材200とコイル組立体20をそれぞれ投入する。具体的には、空洞部62にコイル組立体20を投入し、空洞部62の底面に設けられている図示しない凹部にコイル組立体20を嵌合させて固定する。そして、混合材200を空洞部62に投入する。
【0050】
次に、第二実施形態では、型体60に蓋部材141で蓋をし、押圧部材151が蓋部材141上に置かれる。制御部180は、加圧機構161によって混合材200を加圧し、続いて減圧室300内を減圧機構191によって減圧し、振動発生機構173を制御して基台部310を介して混合材200に振動を付与する。以上の動作により、第二実施形態は、複数の空洞部62において同時に複数のコイル組立体20と混合材200との一体化物を製造することができる。
なお、第二実施形態では、第一実施形態と同様に、樹脂に熱硬化性樹脂を使用する例をあげて説明する。ただし、第二実施形態も、樹脂に熱硬化性樹脂を使用することに限定されず、二液硬化型樹脂や光硬化製樹脂を使用するものであってもよい。第二実施形態では、型体60の内部で混合材200をそれぞれ熱硬化させて、複数のコイル部品10(
図1、
図2)を成形するそして、成形された複数のコイル部品10を、型体60を空洞部62の配列方向に反り返るように撓ませることによって空洞部62から取り出すとよい。
【実施例】
【0051】
次に、以上説明した第一実施形態、第二実施形態の実施例を説明する。本実施例は、混合材200を加圧しながら振動を加えることによって混合材200の成形度が高くなることについて実験した結果を示すものである。
図6は、本実施例の実験に使用した装置を説明するための図である。
図6に示した装置は、シリンダ63と、シリンダ63内の混合材200を加圧する加圧ピン61と、を有している。本実施例では、シリンダ63内の混合材200に対し、加圧ピン61で加圧しながら
図5中の下方から、周波数が連続的に変化する振動Vを与えている。シリンダ63には吐出口65が形成されていて、加圧、振動付与された混合材200は、吐出口65からシリンダ63の外部に吐出する。混合材200の吐出量は、混合材200の成形度によって変化し、成形度が低いほど吐出量が多くなるものと考えられる。
なお、本実施例では吐出口65の内径の直径を2.0mmとした。また、振動Vの周波数の範囲を70Hzから210Hzとした。
【0052】
本実施例については、加圧ピン61が混合材200に対して0.5MPa以上、2MPa以下の圧力を加えている。混合材200の粘度は、10
7cPs以上、10
12cPs以下、より望ましくは3×10
10cPs以上、10
11cPs以下の範囲である。また、混合材200の粘度の範囲を樹脂の含有量を指標として規定した場合、樹脂含有量の範囲は5Vol%以上、80Vol%以下である。さらに、本実施例では。混合材200に圧力及び振動Vを60秒間付与している。
【0053】
図7は、
図6に示した装置を使って行った実験の結果を示すグラフである。
図6に示したグラフの横軸は、混合材200に加えた振動Vの周波数(振動数)を示し、縦軸は圧力及び振動Vを付与している間に吐出口65から吐出された混合材200の量を示している。
図7に示したように、混合材200の吐出量は、周波数が130Hzを超えた辺りから急峻な傾きを持って上昇し、150Hzにおいてピークに達する。吐出量は、振動Vの周波数150Hzを超えてから比較的急峻に下降する。
図7によれば、本実施例において、混合材200に140Hz以上、190Hz以下の周波数を有する周波数を印加することによって混合材200の成形度を効率的に高めることができることが分かる。
【0054】
上記実施形態は、以下の技術思想を包含するものである。
(1) 磁性体コアにコイルが装着されたコイル組立体を形成するコイル部品の製造方法であって、前記コイル組立体と、磁性粉末及び樹脂を含む混合材とを容器に投入する投入工程と、前記容器に投入された前記混合材に圧力を加える加圧工程と、少なくとも前記加圧工程による加圧中に、前記混合材が置かれた環境を大気圧よりも低い負圧環境にする減圧工程と、少なくとも前記減圧工程による減圧中に、前記混合材に振動を加えて前記容器内に前記混合材を充填する振動付与工程と、前記減圧工程及び前記振動付与工程を経過した前記混合材と前記コイル組立体の一体化物において、前記混合材に含まれる樹脂を硬化させる硬化工程と、を含むことを特徴とするコイル部品の製造方法。
(2) 前記減圧工程においては、複数の前記容器が収容可能な減圧室において、前記複数の容器を同時に減圧する、(1)のコイル部品の製造方法。
(3) 前記振動付与工程は、前記振動を加えることによって前記容器における前記混合材の成形度を低下させる、(1)または(2)のコイル部品の製造方法。
(4) 前記振動付与工程は、130Hz以上、190Hz以下の周波数を前記混合材に加える、(1)から(3)のいずれか一つのコイル部品の製造方法。
(5) 前記減圧工程が前記加圧工程の開始後に開始され、前記振動付与工程が前記減圧工程の開始後に開始される、(1)から(4)いずれか一つのコイル部品の製造方法。
(6) 前記硬化工程を除き、全ての前記工程は室温の下で行われている、(1)から(5)いずれか一つのコイル部品の製造方法。
(7) 磁性体コアにコイルが装着されたコイル組立体を形成するコイル部品の製造装置であって、前記コイル組立体と、磁性粉末及び樹脂を含む混合材とを収容する容器と、前記容器内の前記混合材に圧力を加える押圧部材と、前記容器内の前記混合材に振動を加え、前記容器内に前記混合材を充填する振動発生機構と、少なくとも前記振動発生機構による振動の付与中に、前記混合材が置かれた環境を、大気圧よりも低い負圧環境にする減圧機構と、を備えることを特徴とする、コイル部品の製造装置。