【解決手段】基体と、前記基体に設けられ、複数の柱状部を有する積層体と、を含み、前記柱状部は、第1半導体層と、前記第1半導体層と導電型の異なる第2半導体層と、前記第1半導体層と前記第2半導体層との間に設けられた活性層と、を有し、隣り合う前記柱状部の間に、第1層と、前記第1層の屈折率よりも高い屈折率を有する第2層と、が設けられ、前記第1層は、前記基体と前記第2層との間に設けられ、前記第1層と前記第2層との境界と、前記基体と、の間の距離は、前記活性層と前記基体との間の距離よりも小さい、発光装置。
基体に、第1半導体層、前記第1半導体層と導電型の異なる第2半導体層、および前記第1半導体層と前記第2半導体層との間に設けられた活性層を備えた複数の柱状部を有する積層体を形成する工程と、
隣り合う前記柱状部の間に、第1層を形成する工程と、
前記第1層を形成する工程の後に、隣り合う前記柱状部の間に、前記第1層の屈折率よりも高い屈折率を有する第2層を形成する工程と、
を含み、
前記第1層を形成する工程では、
前記第1層と前記第2層との境界と、前記基体と、の間の距離が、前記活性層と前記基体との間の距離よりも小さくなるように前記第1層を形成する、発光装置の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のようなGaNナノコラムでは、n型半導体層の側方および活性層の側方には、ともにSiO
2膜が設けられており、n型半導体層とSiO
2膜との平均屈折率(n型半導体層と活性層との積層方向と直交する方向における平均屈折率)を、活性層とSiO
2膜との平均屈折率よりも十分に小さくすることができない場合がある。そのため、上記のようなGaNナノコラムを含む発光装置では、活性層で発生した光が基体側に漏れてしまう場合がある。
【0006】
本発明のいくつかの態様に係る目的の1つは、光が基体側に漏れることを抑制することができる発光装置を提供することにある。また、本発明のいくつかの態様に係る目的の1つは、上記発光装置を含むプロジェクターを提供することにある。本発明のいくつかの態様に係る目的の1つは、光が基体側に漏れることを抑制することができる発光装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る発光装置は、
基体と、
前記基体に設けられ、複数の柱状部を有する積層体と、
を含み、
前記柱状部は、
第1半導体層と、
前記第1半導体層と導電型の異なる第2半導体層と、
前記第1半導体層と前記第2半導体層との間に設けられた活性層と、
を有し、
隣り合う前記柱状部の間に、第1層と、前記第1層の屈折率よりも高い屈折率を有する第2層と、が設けられ、
前記第1層は、前記基体と前記第2層との間に設けられ、
前記第1層と前記第2層との境界と、前記基体と、の間の距離は、前記活性層と前記基体との間の距離よりも小さい。
【0008】
このような発光装置では、例えば、前記第1層と前記第2層との境界と、前記基体と、の間の距離が、前記活性層と前記基体との間の距離よりも大きい場合や、第2層の屈折率が第1層の屈折率よりも低いまたは等しい場合に比べて、第1層と第1半導体層との平均屈折率を、第2層と活性層との平均屈折率よりも小さくすることができる。したがって、このような発光装置では、活性層に発生した光が、基体側に漏れることを抑制することができる。
【0009】
本発明に係る発光装置において、
前記第1層には、空隙が設けられていてもよい。
【0010】
このような発光装置では、空隙と第1半導体層との平均屈折率を、第2層と活性層との平均屈折率よりも小さくすることができる。したがって、このような発光装置では、活性層に発生した光が、基体側に漏れることを、より確実に抑制することができる。
【0011】
本発明に係る発光装置において、
前記柱状部は、
前記第1半導体層を有する第1柱状部と、
前記第1半導体層、前記活性層、および前記第2半導体層を有する第2柱状部と、
を有し、
前記第1柱状部は、前記基体と前記第2柱状部との間に設けられていてもよい。
【0012】
このような発光装置では、例えば第2柱状部が第1半導体層を有していない場合に比べて、活性層の結晶の品質を向上させることができる。
【0013】
本発明に係る発光装置において、
前記第1層は、酸化シリコン層であり、
前記第2層は、酸化チタン層であってもよい。
【0014】
このような発光装置では、第2層の屈折率を、第1層の屈折率よりも高くすることができる。
【0015】
本発明に係る発光装置において、
隣り合う前記第2半導体層の間に、表面プラズモン共鳴を発生させるプラズモン発生層を含み、
前記第1層と前記プラズモン発生層との間に、前記第2層が設けられていてもよい。
【0016】
このような発光装置では、光を増強させることができる。
【0017】
本発明に係る発光装置において、
隣り合う前記第1半導体層の間に、表面プラズモン共鳴を発生させるプラズモン発生層を含み、
前記基体と前記第1層との間に、前記プラズモン発生層が設けられていてもよい。
【0018】
このような発光装置では、光を増強させることができる。
【0019】
本発明に係るプロジェクターは、
本発明に係る発光装置を含む。
【0020】
このようなプロジェクターでは、本発明に係る発光装置を含むことができる。
【0021】
本発明に係る発光装置の製造方法は、
基体に、第1半導体層、前記第1半導体層と導電型の異なる第2半導体層、および前記第1半導体層と前記第2半導体層との間に設けられた活性層を備えた複数の柱状部を有する積層体を形成する工程と、
隣り合う前記柱状部の間に、第1層を形成する工程と、
前記第1層を形成する工程の後に、隣り合う前記柱状部の間に、前記第1層の屈折率よりも高い屈折率を有する第2層を形成する工程と、
を含み、
前記第1層を形成する工程では、
前記第1層と前記第2層との境界と、前記基体と、の間の距離が、前記活性層と前記基体との間の距離よりも小さくなるように前記第1層を形成する。
【0022】
このような発光装置の製造方法では、光が基体側に漏れることを抑制することができる発光装置を製造することができる。
【0023】
本発明に係る発光装置の製造方法は、
基体に、第1半導体層を備えた複数の第1柱状部を有する積層体を形成する工程と、
隣り合う前記第1柱状部の間に、第1層を形成する工程と、
前記第1層を形成する工程の後に、前記第1柱状部の端部に、前記第1半導体層と導電型の異なる第2半導体層、および前記第1半導体層と前記第2半導体層との間に設けられた活性層を備えた第2柱状部を形成する工程と、
隣り合う前記第2柱状部の間に、前記第1層の屈折率よりも高い屈折率を有する第2層を形成する工程と、
を含み、
前記第1層を形成する工程では、
前記第1層と前記第2層との境界と、前記基体と、の間の距離が、前記活性層と前記基体との間の距離よりも小さくなるように前記第1層を形成する。
【0024】
このような発光装置の製造方法では、第1層を形成する際の第1柱状部のアスペクト比を、小さくすることができる。これにより、このような発光装置の製造方法では、隣り合う柱状部の間に空隙が生じないように、第1層を形成することができる。
【0025】
本発明に係る発光装置の製造方法において、
前記第2層を形成する工程は、
前記第1層を形成する工程の後であって、前記第2柱状部を形成する工程の前に、隣り合う前記第1柱状部の間に、前記第2層の第1部分を形成する工程と、
隣り合う前記第2柱状部の間に、前記第2層の第2部分を形成する工程と、
を有してもよい。
【0026】
このような発光装置の製造方法では、第2層の第1部分をマスクとして、第2柱状部を形成することができる。
【0027】
本発明に係る発光装置の製造方法は、
前記第1層は、酸化シリコン層であり、
前記第2層は、酸化チタン層であってもよい。
【0028】
このような発光装置の製造方法では、第2層の屈折率を第1層の屈折率よりも高くしつつ、第2柱状部を形成する際のマスクとして適した酸化チタン層をマスクとすることができる。
【0029】
本発明に係る発光装置の製造方法は、
前記第1部分を形成する工程では、
前記第1柱状部の端部を覆うように前記第1部分を成膜した後、前記第1部分の一部をエッチングして隣り合う前記第1柱状部の間に前記第1部分を形成し、前記第1柱状部の端部を露出させてもよい。
【0030】
このような発光装置の製造方法では、第1柱状部の端部が第1部分によって覆われても、第1柱状部の端部を露出させることができるので、第1柱状部の端部に第2柱状部を形成することができる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0033】
1. 第1実施形態
1.1. 発光装置
まず、第1実施形態に係る発光装置について、図面を参照しながら説明する。
図1は、第1実施形態に係る発光装置100を模式的に示す断面図である。
【0034】
発光装置100は、
図1に示すように、基体10と、積層体20と、第1層40と、第2層42と、第1電極50と、第2電極52と、を含む。
【0035】
基体10は、例えば、板状の形状を有している。基体10は、例えば、Si基板、サファイア基板などである。
【0036】
積層体20は、基体10に(基体10上に)設けられている。積層体20は、バッファー層22と、柱状部30と、を有している。
【0037】
バッファー層22は、基体10上に設けられている。バッファー層22は、例えば、第1導電型(例えばn型)のGaN層(具体的にはSiがドープされたGaN層)である。
図示の例では、バッファー層22上には、柱状部30を形成するためのマスク層60が設けられている。
【0038】
柱状部30は、バッファー層22上に設けられている。柱状部30は、複数設けられている。柱状部30の断面形状(積層体20の積層方向と直交する方向における断面形状)は、例えば、円、多角形(例えば六角形)などである。柱状部30の径(多角形の場合は内接円の径)は、例えば、nmオーダーであり、具体的には10nm以上500nm以下である。柱状部30は、例えば、ナノコラム、ナノワイヤー、ナノロッド、ナノピラーとも呼ばれる。柱状部30の積層体20の積層方向(以下、単に「積層方向」ともいう)の大きさは、例えば、0.1μm以上5μm以下である。複数の柱状部30は、互いに離間している。隣り合う柱状部30の間隔は、例えば、1nm以上500nm以下である。
【0039】
なお、本発明において、「上」とは、積層方向において、積層体20からみて基体10から遠ざかる方向のことであり、「下」とは、積層方向において、積層体20からみて基体10に近づく方向のことである。
【0040】
複数の柱状部30は、平面視において(積層方向からみて)、所定の方向に所定のピッチで配列されている。このような周期構造においては、ピッチと各部位の径および各部位の屈折率により決定されるフォトニックバンド端波長λにおいて光閉じ込め効果を得ることができる。発光装置100では、柱状部30の活性層35において生じる光は、波長λを含むため、フォトニック結晶の効果を発現することができる。なお、平均屈折率は、積層方向のある位置において、誘電率ε
1の柱状部30が充填率φで配置されているとすると、隣り合う柱状部30の間の層の誘電率をε
2として、(ε
1×φ+ε
2(1−φ))の平方根として求めることができる。誘電率ε
1は、柱状部30の第1半導体層32、活性層34、または第2半導体層36の誘電率である。誘電率ε
2は、第1層40または第2層42の誘電率である。
【0041】
柱状部30は、第1半導体層32と、活性層34と、第2半導体層36と、を有している。
【0042】
第1半導体層32は、バッファー層22上に設けられている。第1半導体層32は、バッファー層22は、例えば、第1導電型(例えばn型)のGaN層(具体的にはSiがドープされたGaN層)である。図示の例では、第1半導体層32の積層方向の大きさは、第2半導体層36の積層方向の大きさよりも大きい。
【0043】
活性層34は、第1半導体層32上に設けられている。活性層34は、第1半導体層32と第2半導体層36との間に設けられている。活性層34は、電流が注入されることで光を発することが可能な層である。活性層34は、例えば、GaN層とInGaN層とから構成された量子井戸構造を有している。活性層34を構成するGaN層およびInGaN層の数は、特に限定されない。
【0044】
第2半導体層36は、活性層34上に設けられている。第2半導体層36は、第1半導体層32と導電型の異なる層である。第2半導体層36は、例えば、第2導電型(例えばp型)のGaN層(具体的にはMgがドープされたGaN層)である。半導体層32,36は、活性層34に光を閉じ込める(活性層34から光が漏れることを抑制する)機能を有するクラッド層である。
【0045】
発光装置100では、p型の第2半導体層36、不純物がドーピングされていない活性層34、およびn型の第1半導体層32により、pinダイオードが構成される。第1半導体層32および第2半導体層36の各々は、活性層34よりもバンドギャップが大きい層である。発光装置100では、第1電極50と第2電極52との間に、pinダイオードの順バイアス電圧を印加すると(電流を注入すると)、活性層34において電子と正孔
との再結合が起こる。この再結合により発光が生じる。活性層34において発生した光は、半導体層32,36により積層方向と直交する方向に伝搬し、柱状部30によるフォトニック結晶の効果により、積層方向と直交する方向に定在波を形成し、活性層34において利得を受けてレーザー発振する。そして、発光装置100は、+1次回折光および−1次回折光をレーザー光として、積層方向に(第2電極52側および基体10側に)出射する。
【0046】
なお、図示はしないが、基体10とバッファー層22との間もしくは基体10の下に反射層が設けられていてもよい。該反射層は、例えば、DBR(Distributed Bragg Reflector)層である。該反射層によって、活性層34において発生した光を反射させることができ、発光装置100は、第2電極52側からのみ光を出射することができる。
【0047】
第1層40は、マスク層60上に設けられている。もしくは、第1層40を形成する前にマスク層60は除去されており、第1層40は、バッファー層22上に設けられていてもよい。第1層40は、基体10と第2層42との間に設けられている。第1層40は、隣り合う柱状部30の間に設けられている。第1層40は、例えば、酸化シリコン層(例えばSiO
2層)、酸化窒化シリコン層(例えばSiON層)、酸化アルミニウム層(例えばAl
2O
3層)、酸化ハフニウム層(例えばHfO
2層)などである。例えば、SiO
2の屈折率は1.46であり、Al
2O
3の屈折率は1.77であり、HfO
2の屈折率は1.94である。第1層40は、例えば、隣り合う柱状部30の間に埋め込まれている第1埋め込み層である。
【0048】
第2層42は、第1層40上に設けられている。第2層42は、隣り合う柱状部30の間に設けられている。第2層42は、第1層40の屈折率よりも高い屈折率を有している。第2層42は、例えば、酸化チタン層(例えばTiO
2層)、酸化ジルコニウム層(例えばZrO
2層)、窒化シリコン層(例えばSiN層)などである。例えば、TiO
2(アモルファス)の屈折率は2.5であり、TiO
2(ルチル)の屈折率は2.985であり、ZrO
2の屈折率は2.2であり、SiNの屈折率は2.036である。例えば、第1層40は、酸化シリコン層であり、第2層42は、酸化チタン層である。第2層42は、例えば、隣り合う柱状部30の間に埋め込まれている第2埋め込み層である。
【0049】
第2層42は、平面視において、活性層34の周囲に設けられている。図示の例では、活性層34および第2半導体層36は、第2層42と接している。第1半導体層32は、第1層40と接している部分と、第2層42と接している部分と、を有している。
【0050】
第1層40と第2層42との境界と、基体10と、の間の距離D1は、活性層34と基体10との間の距離D2よりも小さい。距離D1は、第2層42と基体10との間の距離である。隣り合う柱状部30の間は、例えば、第1層40および第2層42によって、充填されている。図示の例では、第2層42の上面と第2半導体層36の上面とは、面一である。図示はしないが、第2層42の上面は、第2半導体層36の上面よりも下方に位置して(第2半導体層36の上面よりも凹んで)いてもよい。
【0051】
なお、本実施形態において、第1層40と第2層42との境界と、基体10と、の間の距離D1は、第1層40と第2層42との境界と、基体10と、の間の積層方向における最小の距離のことであり、活性層34と基体10との間の距離D2は、活性層34と基体10との間の積層方向における最小の距離のことである。
【0052】
第1電極50は、基体10の下に設けられている。基体10は、第1電極50とオーミックコンタクトしていてもよい。第1電極50は、第1半導体層32と電気的に接続され
ている。図示の例では、第1電極50は、基体10およびバッファー層22を介して、第1半導体層32と電気的に接続されている。第1電極50は、活性層34に電流を注入するための一方の電極である。第1電極50としては、例えば、基体10側から、Ti層、Al層、Au層の順序で積層したものや、ITO(Indium Tin Oxide)等の透明電極などを用いる。
【0053】
なお、基体10が絶縁性の場合には、図示はしないが、第1電極50は、バッファー層22上に(バッファー層22の柱状部30が設けられていない領域に)設けられていてもよい。
【0054】
第2電極52は、第2半導体層36上および第2層42上に設けられている。第2電極52は、第2半導体層36と電気的に接続されている。第2電極52は、活性層34に電流を注入するための他方の電極である。第2電極52としては、例えば、ITOなどの透明電極を用いる。これにより、活性層34において発光した光は、第2電極52を透過して出射されることができる。
【0055】
なお、図示はしないが、第2電極52と第2半導体層36との間、および第2電極52と第2層42との間には、コンタクト層が設けられていてもよい。コンタクト層は、第2電極52とオーミックコンタクトしていてもよい。コンタクト層は、p型のGaN層であってもよい。
【0056】
発光装置100は、例えば、以下の特徴を有する。
【0057】
発光装置100では、隣り合う柱状部30の間に、第1層40と、第1層40の屈折率よりも高い屈折率を有する第2層42と、が設けられ、第1層40は、基体10と第2層42との間に設けられ、第1層40と第2層42との境界と、基体10と、の間の距離D1は、活性層34と基体10との間の距離D2よりも小さい。そのため、発光装置100では、例えば、距離D1が距離D2よりも大きい場合や、第2層42の屈折率が第1層40の屈折率よりも低いまたは等しい場合に比べて、第1層40と第1半導体層32との平均屈折率を、第2層42と活性層34との平均屈折率よりも、十分に小さくすることができる。したがって、発光装置100では、活性層34に発生した光が、積層方向と直交する方向に伝搬する際に、基体10側に漏れることを抑制することができる。例えば、一般的に、基体の屈折率は、柱状部を含む平均屈折率(積層方向と直交する方向における平均屈折率)よりも高く、光が基体側に漏れ易い場合があるが、発光装置100では、光が基体10側に漏れることを抑制することができる。
【0058】
さらに、発光装置100では、例えば、基体10とバッファー層22との格子定数が異なることに起因する格子歪に伴う転位を、活性層34に到達しないようにするために、第1半導体層32の積層方向の大きさを、第2半導体層36の積層方向の大きさよりも大きくしている。そのため、例えば、活性層34が柱状部30の中心よりも上方に位置することに起因して、仮に、積層方向における光強度のピーク(活性層34に発生した光が、積層方向と直交する方向に伝搬する際の光強度のピーク)が活性層34の位置からずれたとしても、発光装置100では、第1層40と柱状部30との平均屈折率を、第2層42と柱状部30との平均屈折率よりも小さくすることができため、積層方向における光強度のピークを活性層34の位置に合わせることができる。
【0059】
発光装置100では、第1層40は、酸化シリコン層であり、第2層42は、酸化チタン層である。そのため、発光装置100では、第2層42の屈折率を、第1層40の屈折率よりも高くすることができる。
【0060】
1.2. 発光装置の製造方法
次に、第1実施形態に係る発光装置100の製造方法について、図面を参照しながら説明する。
図2は、第1実施形態に係る発光装置100の製造方法を説明するためのフローチャートである。
図3および
図4は、第1実施形態に係る発光装置100の製造工程を模式的に示す断面図である。
【0061】
図3に示すように、基体10上に、積層体20を形成する(ステップS11)。具体的には、まず、基体10上に、バッファー層22をエピタキシャル成長させる。エピタキシャル成長させる方法としては、例えば、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法、MBE(Molecular Beam Epitaxy)法などが挙げられる。
【0062】
次に、バッファー層22上にマスク層60を形成する。マスク層60は、例えば、酸化シリコン層、酸化窒化シリコン層、酸化アルミニウム層、酸化ハフニウム層、チタン、酸化チタン層、酸化ジルコニウム層、窒化シリコン層や、これらの積層膜などである。マスク層60は、MOCVD法やMBE法などによる成膜、ならびにフォトリソグラフィー技術およびエッチング技術によるパターニングによって形成される。
【0063】
次に、マスク層60をマスクとして、MOCVD法やMBE法などにより、バッファー層22上に、第1半導体層32、活性層34、および第2半導体層36を、この順でエピタキシャル成長させる。これにより、柱状部30を形成することができる。以上の工程により、積層体20を形成することができる。
【0064】
図4に示すように、隣り合う柱状部30の間に、第1層40を形成する(ステップS12)。第1層40は、例えば、スピンコート法、ALD(Atomic Layer Deposition)法などによって形成される。本工程では、第1層40の厚さが第1半導体層32の厚さよりも小さくなるように、第1層40を形成する。すなわち、距離D1が距離D2よりも小さくなるように、第1層40を形成する。このように、発光装置100の製造方法では、第1層40の厚さを調整することによって、活性層34に対する、第1層40と第2層42との境界の高さを容易に調整するこができる。
【0065】
次に、隣り合う柱状部30の間に、第2層42を形成する(ステップS13)。第2層42は、例えば、スピンコート法、ALD法などによって形成される。なお、第2層42を形成した後に、例えばエッチングやCMP(Chemical Mechanical
Polishing)によって、第2半導体層36の上面と第2層42の上面とを面一にしてもよい。
【0066】
図1に示すように、第1層40および第2層42を所定の形状にパターニングする(ステップS14)。パターニングは、例えば、フォトリソグラフィーおよびエッチングによって行われる。
【0067】
次に、基体10の下に第1電極50を形成し、第2半導体層36上および第2層42上に第2電極52を形成する(ステップS15)。電極50,52は、例えば、真空蒸着法などにより形成される。なお、第1電極50および第2電極52の形成順序は、特に限定されない。
【0068】
以上の工程により、発光装置100を製造することができる。
【0069】
発光装置100の製造方法では、光が基体10側に漏れることを抑制することができる発光装置100を製造することができる。
【0070】
1.3. 発光装置の変形例
次に、第1実施形態の変形例に係る発光装置について、図面を参照しながら説明する。
図5は、第1実施形態の変形例に係る発光装置110を模式的に示す断面図である。以下、第1実施形態の変形例に係る発光装置110において、上述した第1実施形態に係る発光装置100の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0071】
発光装置110では、
図5に示すように、第1層40には、空隙2が設けられている点において、上述した発光装置100と異なる。
【0072】
空隙2は、第1層40の基体10側の端部に設けられている。空隙2は、例えば、第1層40を成膜する際に、マスク層60上には成膜のための材料が侵入しないように柱状部30のアスペクト比を設定することにより、形成される。
【0073】
発光装置110では、発光装置100と同様の効果を得ることができる。
【0074】
発光装置110では、第1層40には、空隙2が設けられて要る。そのため、発光装置110では、空隙2と第1半導体層32との平均屈折率を、第2層42と活性層34との平均屈折率よりも小さくすることができる。したがって、発光装置110では、活性層34に発生した光が、基体10側に漏れることを、より確実に抑制することができる。
【0075】
なお、第1層40を空気層としてもよい。この場合、活性層34と基体10とに挟まされて(接して)空隙が設けられる。
【0076】
2. 第2実施形態
2.1. 発光装置
次に、第2実施形態に係る発光装置について、図面を参照しながら説明する。
図6は、第2実施形態に係る発光装置200を模式的に示す断面図である。以下、第2実施形態に係る発光装置200において、上述した第1実施形態に係る発光装置100の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0077】
発光装置200では、
図6に示すように、柱状部30は、第1柱状部30aと、第2柱状部30bと、を有する点において、上述した発光装置100と異なる。
【0078】
第1柱状部30aは、バッファー層22上に設けられている。第1柱状部30aは、基体10と第2柱状部30bとの間に設けられている。第1柱状部30aは、第1半導体層32を有している。図示の例では、第1柱状部30aは、第1半導体層32によって構成されている。
【0079】
第2柱状部30bは、第1柱状部30a上に設けられている。第2柱状部30bは、活性層34および第2半導体層36を有している。図示の例では、第2柱状部30bは、第1半導体層32、活性層34、および第2半導体層36を有し、活性層34および半導体層32,36によって構成されている。第1層40と第2層42との境界と、基体10と、の間の距離D1は、第2柱状部30bと基体10との間の距離D3よりも小さい。
【0080】
第2層42は、例えば、第1部分42aと、第2部分42bと、を有している。第1部分42aは、第2柱状部30bを形成する前に、形成される部分であり、第2部分42bは、第2柱状部30bを形成した後に、形成される部分である(詳細は、後述する「2.2. 発光装置の製造方法」参照)。
【0081】
発光装置200では、発光装置100と同様の効果を得ることができる。
【0082】
発光装置200では、柱状部30は、第1半導体層32を有する第1柱状部30aと、第1半導体層32、活性層34、および第2半導体層36を有する第2柱状部30bと、を有し、第1柱状部30aは、基体10と第2柱状部30bとの間に設けられている。そのため、発光装置200では、例えば第2柱状部30bが第1半導体層32を有していない場合に比べて、活性層34の結晶の品質を向上させることができる(詳細は、後述する「2.2. 発光装置の製造方法」参照)。
【0083】
2.2. 発光装置の製造方法
次に、第2実施形態に係る発光装置200の製造方法について、図面を参照しながら説明する。
図7は、第2実施形態に係る発光装置200の製造方法を説明するためのフローチャートである。
図8〜
図10は、第2実施形態に係る発光装置200の製造工程を模式的に示す断面図である。以下、第2実施形態に係る発光装置200の製造方法において、上述した第1実施形態に係る発光装置100の例と異なる点について説明し、同様の点については説明を省略ないし簡略する。
【0084】
図8に示すように、基体10上に、第1柱状部30aおよびバッファー層22を含む積層体20aを形成する(ステップS21)。第1柱状部30aは、マスク層60をマスクとして、MOCVD法やMBE法などにより形成される。
【0085】
次に、隣り合う第1柱状部30aの間に、第1層40を形成する(ステップS22)。
【0086】
次に、隣り合う第1柱状部30aの間に、第2層42の第1部分42aを形成する(ステップS23)。具体的には、まず、
図9に示すように、第1柱状部30aの上面31を覆うように第1部分42aを成膜する。第1部分42aは、例えば、スピンコート法、ALD法などによって形成される。次に、
図10に示すように、第1部分42aの一部をエッチングして隣り合う第1柱状部30aの間に第1部分42aを形成し、第1柱状部30aの上面31を露出させる。以上の工程により、第2層42の第1部分42aを形成することができる。上面31は、第1柱状部30aの基体10側とは反対側の端部である。
【0087】
なお、
図10に示す例では、第1柱状部30aの上面31は、第1部分42aの上面43よりも上方(基体10側とは反対側)に位置している。図示はしないが、上面31は、上面43と面一であってもよいし、上面43よりも下方(基体10側)に位置していてもよい。
【0088】
次に、
図6に示すように、第1柱状部30aの上面31に、第2柱状部30bを形成する(ステップS24)。これにより、第1柱状部30aと第2柱状部30bとを有する柱状部30を形成することができる。第2柱状部30bは、第2層42の第1部分42aをマスクとして、MOCVD法やMBE法などにより形成される。
【0089】
次に、隣り合う第2柱状部30bの間に、第2層42の第2部分42bを形成する(ステップS25)。これにより、第1部分42aと第2部分42bとを有する第2層42を形成することができる。第2部分42bは、例えば、スピンコート法、ALD法などによって形成される。
【0090】
次に、第1層40および第2層42を所定の形状にパターニングする(ステップS26)。
【0091】
次に、第1電極50および第2電極52を形成する(ステップS27)。
【0092】
以上の工程により、発光装置200を製造することができる。
【0093】
発光装置200の製造方法では、光が基体10側に漏れることを抑制することができる発光装置200を製造することができる。
【0094】
発光装置200の製造方法では、第1柱状部30aを形成し、次に、第1層40を形成し、次に、第1柱状部30aの上面31に第2柱状部30bを形成する。そのため、発光装置200の製造方法では、第1層40を形成する際の第1柱状部30aのアスペクト比を、発光装置100の製造方法における第1層40を形成する際の柱状部30のアスペクト比よりも小さくすることができる。これにより、発光装置200の製造保法では、隣り合う柱状部30の間に空隙が生じないように、第1層40を形成することができる。
【0095】
発光装置200の製造方法では、第2柱状部30bを形成する前に、隣り合う第1柱状部30aの間に、第2層42の第1部分42aを形成する。そのため、発光装置200の製造方法では、第2層42の第1部分42aをマスクとして、第2柱状部30bを形成することができる。
【0096】
発光装置200の製造方法では、第1層40は、酸化シリコン層であり、第2層42は、酸化チタン層である。そのため、発光装置200の製造方法では、第2層42の屈折率を第1層40の屈折率よりも高くしつつ、第2柱状部30bを形成する際のマスクとして適した酸化チタン層をマスクとすることができる。
【0097】
発光装置200の製造方法では、第1柱状部30aの上面31を覆うように第2層42の第1部分42aを成膜した後、第1部分42aの一部をエッチングして隣り合う第1柱状部30aの間に第1部分42aを形成し、第1柱状部30aの上面31を露出させる。そのため、発光装置200の製造方法では、第1柱状部30aの上面31が第1部分42aによって覆われても、第1柱状部30aの上面31を露出させることができるので、第1柱状部30aの上面31に第2柱状部30bを形成することができる。
【0098】
さらに、発光装置200では、第1柱状部30aは、第1半導体層32を有し、第2柱状部30bは、第1半導体層32、活性層34、および第2半導体層36を有する第2柱状部30bを有する。そのため、発光装置200では、第1柱状部30aの上面31を露出させる際に上面31がエッチングダメージを受けたとしても、上面31の上に、さらに第1半導体層32を形成するため、例えば第2柱状部30bが第1半導体層32を有していない場合に比べて、活性層34の結晶の品質を向上させることができる。
【0099】
なお、図示はしないが、第2柱状部30bを形成する前に、第2層42の第1部分42aを形成せず、第2柱状部30bを形成した後に、第2層42を形成してもよい。
【0100】
3. 第3実施形態
3.1. 発光装置
次に、第3実施形態に係る発光装置について、図面を参照しながら説明する。
図11は、第3実施形態に係る発光装置300を模式的に示す断面図である。以下、第3実施形態に係る発光装置300において、上述した第1実施形態に係る発光装置100の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0101】
発光装置300は、
図11に示すように、プラズモン発生層70を含む点において、上述した発光装置100と異なる。
【0102】
プラズモン発生層70は、第2層42上に設けられている。第2層42は、第1層40とプラズモン発生層70との間に設けられている。プラズモン発生層70は、隣り合う第2半導体層36の間に設けられている。柱状部30の側面には、絶縁層80が設けられている。第2半導体層36とプラズモン発生層70との間には、絶縁層80が設けられている。さらに、絶縁層80は、マスク層60上にも設けられている。図示の例では、第2電極52は、複数の柱状部30の各々の上面に設けれ、プラズモン発生層70は、第2電極52を覆っている。プラズモン発生層70は、隣り合う第1半導体層32の間、および隣り合う活性層34の間には設けられていない。
【0103】
プラズモン発生層70は、例えば、Al層、Ag層、Au層などである。活性層34に発生する光が紫外光の場合は、プラズモン発生層70はAl層が好ましい。活性層34に発生する光が青色光の場合は、プラズモン発生層70はAg層が好ましい。活性層34に発生する光が赤色光の場合は、プラズモン発生層70はAu層が好ましい。プラズモン発生層70は、例えば、Al、Ag、Auなどの金属微粒子を含む層であってもよい。絶縁層80は、例えば、酸化シリコン層である。
【0104】
プラズモン発生層70は、表面プラズモン共鳴を発生させる層である。活性層34に注入されたキャリアは、プラズモン発生層70で発生する表面プラズモンと結合して、高効率に光に変換される。また、複数の柱状部30とプラズモン発生層70は、所定の方向に周期的に配列されているため、積層方向へ狭い放射角を持つ光として取り出すことができる。それに加えて、複数の柱状部30と第1層40や第2層42は、所定の方向に周期的に配列されているため、フォトニック結晶効果を有しており、活性層34で発生した光はフォトニック結晶効果も受けることでより高効率・狭放射角の光を実現することができる。また、上記の効果を発現するためには、必ずしも第1層40と第2層42は必要でなく、第1層40および第2層40を備えていなくてもよく、どちらか一層のみを備えていても構わない。なお、活性層34に発生した光が赤色光の場合、柱状部30の周期は、200nm以上250nm以下であることが好ましい。
【0105】
発光装置300では、発光装置100と同様の効果を得ることができる。
【0106】
発光装置300では、隣り合う第2半導体層36の間に、表面プラズモン共鳴を発生させるプラズモン発生層70を含み、第1層40と前記プラズモン発生層70との間に、第2層42が設けられている。そのため、発光装置300では、積層方向に放射した光のうち、第2電極52側に向かう光を、プラズモン発生層70や第2電極52において反射させることができ、基体10側から光を出射させることができる。発光装置300では、プラズモン発生層70は、隣り合う第1半導体層32の間、および隣り合う活性層34の間には設けられていないため、隣り合う第1半導体層32の間や隣り合う活性層34の間にもプラズモン発生層70が設けられている場合に比べて、プラズモン発生層70による光の損失を低減させつつ、光を増強させることができる。したがって、発光装置300は、高い効率を有することができる。
【0107】
発光装置300では、第2半導体層36とプラズモン発生層70との間には、絶縁層80が設けられている。そのため、発光装置300では、第2半導体層36に注入された電流がプラズモン発生層70にリークすることを抑制することができる。
【0108】
なお、上述した発光装置100,110,200において、発光装置300のように、プラズモン発生層70を含んでいてもよい。
【0109】
3.2. 発光装置の製造方法
次に、第3実施形態に係る発光装置300の製造方法について、説明する。
【0110】
発光装置300の製造方法では、柱状部30の表面にスパッタ法やCVD(Chemical Vapor Deposition)法などにより、絶縁層80を形成する。次に、エッチングやCMP法によって柱状部30の上面を露出させる。さらに、第2層42を形成した後に、スピンコート法、ALD法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法、スパッタ法などによって、プラズモン発生層70を形成する。
【0111】
上記のこと以外は、発光装置300の製造方法は、基本的に、上述した発光装置100の製造方法と同様である。したがって、その詳細な説明を省略する。
【0112】
3.3. 発光装置の変形例
次に、第3実施形態の変形例に係る発光装置について、図面を参照しながら説明する。
図12は、第3実施形態の変形例に係る発光装置310を模式的に示す断面図である。以下、第3実施形態に係る発光装置310において、上述した第1実施形態に係る発光装置100、第3実施形態に係る発光装置300の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0113】
発光装置300は、
図11に示すように、プラズモン発生層70は、隣り合う第2半導体層36の間に設けられていた。
【0114】
これに対し、発光装置310では、
図12に示すように、プラズモン発生層70は、隣り合う第1半導体層32の間に設けられている。プラズモン発生層70は、基体10と第1層40との間に設けられている。プラズモン発生層70は、隣り合う活性層34の間、および隣り合う第2半導体層36の間には設けられていない。
【0115】
発光装置310は、第1層40を形成する前に、プラズモン発生層70を形成することにより、製造されることができる。
【0116】
発光装置310では、発光装置100と同様の効果を得ることができる。
【0117】
発光装置310では、隣り合う第1半導体層32の間に、表面プラズモン共鳴を発生させるプラズモン発生層70を含み、基体10と第1層40との間に、プラズモン発生層70が設けられている。そのため、発光装置300では、積層方向に放射した光のうち、基体10側に向かう光を、プラズモン発生層70において反射させることができ、第2電極52側から光を出射させることができる。発光装置300では、プラズモン発生層70は、隣り合う活性層34の間、および隣り合う第2半導体層36の間には設けられていないため、隣り合う活性層34の間やおよび隣り合う第2半導体層36の間にもプラズモン発生層70が設けられている場合に比べて、プラズモン発生層70による光の損失を低減させつつ、光を増強させることができる。したがって、発光装置310は、高い効率を有することができる。
【0118】
なお、図示はしないが、プラズモン発生層70は、隣り合う活性層34の間にのみ設けられていてもよい。
【0119】
4. プロジェクター
次に、第4実施形態に係るプロジェクターについて、図面を参照しながら説明する。
図13は、第4実施形態に係るプロジェクター900を模式的に示す図である。
【0120】
本発明に係るプロジェクターは、本発明に係る発光装置を含む。以下では、本発明に係る発光装置として発光装置100を含むプロジェクター900について説明する。
【0121】
プロジェクター900は、
図13に示すように、赤色光、緑色光、青色光を出射する赤色光源100R、緑色光源100G、青色光源100Bを含む。赤色光源100R、緑色光源100G、および青色光源100Bの各々は、例えば、複数の発光装置100を積層方向と直交する方向にアレイ状に配置させ、複数の発光装置100において基体10を共通基板としたものである。光源100R,100G,100Bの各々を構成する発光装置100の数は、特に限定されない。なお、便宜上、
図13では、プロジェクター900を構成する筐体を省略し、さらに光源100R,100G,100Bを簡略化している。
【0122】
プロジェクター900は、さらに、レンズアレイ902R,902G,902Bと、透過型の液晶ライトバルブ(光変調装置)904R,904G,904Bと、投射レンズ(投射装置)908と、を含む。
【0123】
光源100R,100G,100Bから出射された光は、各レンズアレイ902R,902G,902Bに入射する。光源100R,100G,100Bから出射された光は、レンズアレイ902R,902G,902Bによって、集光され、例えば重畳(一部重畳)されることができる。これにより、均一性よく液晶ライトバルブ904R,904G,904Bを照射することができる。
【0124】
各レンズアレイ902R,902G,902Bによって集光された光は、各液晶ライトバルブ904R,904G,904Bに入射する。各液晶ライトバルブ904R,904G,904Bは、入射した光をそれぞれ画像情報に応じて変調する。そして、投射レンズ908は、液晶ライトバルブ904R,904G,904Bによって形成された像(画像)を拡大してスクリーン(表示面)910に投射する。
【0125】
また、プロジェクター900は、液晶ライトバルブ904R,904G,904Bから出射された光を合成して投射レンズ908に導くクロスダイクロイックプリズム(色光合成手段)906を、含むことができる。
【0126】
各液晶ライトバルブ904R,904G,904Bによって変調された3つの色光は、クロスダイクロイックプリズム906に入射する。このプリズムは、4つの直角プリズムを貼り合わせて形成され、その内面に赤色光を反射する誘電体多層膜と青色光を反射する誘電体多層膜とが十字状に配置されている。これらの誘電体多層膜によって3つの色光が合成され、カラー画像を表す光が形成される。そして、合成された光は、投射光学系である投射レンズ908によりスクリーン910上に投射され、拡大された画像が表示される。
【0127】
なお、光源100R,100G,100Bは、光源100R,100G,100Bを構成する発光装置100を映像の画素として画像情報に応じて制御する(変調する)ことで、液晶ライトバルブ904R,904G,904Bを用いずに、直接的に映像を形成してもよい。そして、投射レンズ908は、光源100R,100G,100Bによって形成された映像を、拡大してスクリーン910に投射してもよい。
【0128】
また、上記の例では、光変調装置として透過型の液晶ライトバルブを用いたが、液晶以外のライトバルブを用いてもよいし、反射型のライトバルブを用いてもよい。このようなライトバルブとしては、例えば、反射型の液晶ライトバルブや、デジタルマイクロミラーデバイス(Digital Micromirror Device)が挙げられる。また、投射光学系の構成は、使用されるライトバルブの種類によって適宜変更される。
【0129】
また、光源100R,100G,100Bを、光源100R,100G,100Bからの光をスクリーン上で走査させることにより、表示面に所望の大きさの画像を表示させる画像形成装置である走査手段を有するような走査型の画像表示装置(プロジェクター)の光源装置にも適用することが可能である。
【0130】
本発明は、本願に記載の特徴や効果を有する範囲で一部の構成を省略したり、各実施形態や変形例を組み合わせたりしてもよい。
【0131】
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。