【解決手段】基体と、前記基体に設けられ、複数の柱状部を有する積層体と、を含み、前記柱状部は、第1半導体層と、前記第1半導体層と導電型の異なる第2半導体層と、前記第1半導体層と前記第2半導体層との間に設けられた活性層と、を有し、前記第1半導体層は、前記基体と前記活性層との間に設けられ、前記柱状部の根元の径をa、前記活性層の径をb、前記柱状部の先端の径をc、前記第1半導体層の積層方向の大きさをL
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような発光装置において、GaN系の材料でポスト(柱状部)を形成する場合、例えばn型半導体層やp型半導体層にAlを多く含有させると、半導体層の屈折率を小さくすることができる。しかしながら、半導体層にAlを多く含有させると、結晶の品質が悪化してしまう。したがって、半導体層にAlを多く含有させることにより半導体層の屈折率を十分に小さくすることは、困難である。
【0006】
そのため、特許文献1のように、例えばn型半導体層の径と活性層の径が同じ柱状部を有する発光装置では、活性層と空隙との平均屈折率(n型半導体層と活性層との積層方向と直交する方向における平均屈折率)に対して、n型半導体層と空隙との平均屈折率を十分に小さくすることができない。また、基体の屈折率は、活性層と空隙との平均屈折率、n型半導体層と空隙との平均屈折率、およびp型半導体層と空隙との平均屈折率よりも、十分に高い。したがって、上記のようは発光装置では、活性層で発生した光が基体側に漏れてしまう場合がある。
【0007】
一方、n型半導体層側からp型半導体層側に向けて(基体から遠ざかるについて)徐々に径が大きくなる柱状部を有する発光装置が知られている。このような発光装置の柱状部は、基体に近づくにつれて徐々に径が小さくなっていくため、活性層で発生した光は、基体側に漏れ難い。しかしながら、基体から遠ざかるにつれて徐々に径が大きくなっていくため、活性層で発生した光がp型半導体側に漏れてしまう場合がある。そして、活性層で発生した光がp型半導体層上に設けられた電極に吸収されてしまう場合がある。
【0008】
本発明のいくつかの態様に係る目的の1つは、光が基体側に漏れること、かつ、光が基体側とは反対の電極側に漏れることを抑制することができる発光装置を提供することにある。また、本発明のいくつかの態様に係る目的の1つは、上記発光装置を含むプロジェクターを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る発光装置は、
基体と、
前記基体に設けられ、複数の柱状部を有する積層体と、
を含み、
前記柱状部は、
第1半導体層と、
前記第1半導体層と導電型の異なる第2半導体層と、
前記第1半導体層と前記第2半導体層との間に設けられた活性層と、
を有し、
前記第1半導体層は、前記基体と前記活性層との間に設けられ、
前記柱状部の根元の径をa、前記活性層の径をb、前記柱状部の先端の径をc、前記第1半導体層の積層方向の大きさをL
1、前記第2半導体層の積層方向の大きさをL
2、としたとき、
(b−a)/L
1>(c−b)/L
2、かつ、a<cの関係を満たす。
【0010】
このような発光装置では、例えば、第1半導体層と空隙(隣り合う第1半導体層の間の空隙)との平均屈折率を、活性層と空隙(隣り合う活性層の間の空隙)との平均屈折率よりも十分に小さくすることができ、かつ、第2半導体層と空隙(隣り合う第2半導体層の間の空隙)との平均屈折率を、活性層と空隙との平均屈折率よりも十分に小さくすることができる。したがって、このような発光装置では、活性層に発生した光が、基体側に漏れること、かつ、基体側とは反対の電極側に漏れることを抑制することができる。
【0011】
本発明に係る発光装置において、
前記第1半導体層と前記活性層との間に設けられ、前記第1半導体層の径よりも大きい径を有する第3半導体層を含み、
前記第3半導体層の積層方向における径の拡大率は、前記第1半導体層の積層方向における径の拡大率、前記活性層の積層方向における径の拡大率、および前記第2半導体層の積層方向における径の拡大率よりも大きくてもよい。
【0012】
このような発光装置では、第3半導体層の積層方向における径の拡大率を、第1,第2半導体層および活性層の積層方向における径の拡大率よりも大きくすることによって、(b−a)/L
1>(c−b)/L
2、かつ、a<cの関係を満たすことができる。
【0013】
本発明に係る発光装置において、
前記第3半導体層は、径が前記第1半導体層側から前記活性層側に向けて大きくなっている部分を有してもよい。
【0014】
このような発光装置では、例えば、径が第1半導体層側から活性層側に向けて大きくなっている部分と、空隙(隣り合う該部分の間の空隙)との平均屈折率を、第1半導体層側から活性層側に向けて高くすることができる。
【0015】
本発明に係る発光装置において、
前記第1半導体層の積層方向における径の拡大率は、前記活性層の積層方向における径の拡大率、および前記第2半導体層の積層方向における径の拡大率よりも大きくてもよい。
【0016】
このような発光装置では、例えば、ガイド層として活性層を挟む第3半導体層および第4半導体層を含む場合に、第3半導体層および第4半導体層の設計の自由度を高くすることができる。これにより、このような発光装置では、活性層に発生した光が、活性層と重なる領域を多くすることができ、利得を得やすくすることができる。
【0017】
本発明に係る発光装置において、
前記第1半導体層は、径が前記基体側から前記活性層側に向けて大きくなっている部分を有してもよい。
【0018】
このような発光装置では、例えば、径が基体側から活性層側に向けて大きくなっている部分と、空隙(隣り合う該部分の間の空隙)との平均屈折率を、基体側から活性層側に向けて高くすることができる。
【0019】
本発明に係る発光装置において、
b≧cの関係を満たしてもよい。
【0020】
このような発光装置では、例えば、第2半導体層と空隙との平均屈折率を、活性層と空隙との平均屈折率よりも小さくすることができる。したがって、このような発光装置では、活性層に発生した光が、基体側とは反対の電極側に漏れることを、より確実に抑制することができる。
【0021】
本発明に係る発光装置において、
隣り合う前記柱状部の間に設けられ、前記活性層で発生した光を伝搬する光伝搬層を含んでもよい。
【0022】
このような発光装置では、光伝搬層の材質によって、活性層と光伝搬層との平均屈折率を調整することができる。
【0023】
本発明に係る発光装置において、
隣り合う前記第1半導体層の間には、空隙が設けられていてもよい。
【0024】
このような発光装置では、隣り合う第1半導体層の間に光伝搬層が充填されている場合に比べて、第1半導体層を含む部分の平均屈折率を小さくすることができる。
【0025】
本発明に係る発光装置において、
前記光伝搬層の屈折率は、空気の屈折率よりも前記活性層の屈折率に近くてもよい。
【0026】
このような発光装置では、例えば製造ばらつきにより柱状部の径がばらついたとしても、柱状部の径のばらつきが平均屈折率に与える影響を小さくすることができる。
【0027】
本発明に係る発光装置において、
前記活性層は、
第1部分と、
前記第1部分の周囲に設けられ、前記第1部分のバンドギャップよりも大きなバンドギャップを有する第2部分と、
を有してもよい。
【0028】
このような発光装置では、活性層は、積層方向と直交する方向においてキャリアを閉じ込めのやすく、表面再結合を抑制することができる。
【0029】
本発明に係るプロジェクターは、
本発明に係る発光装置を含む。
【0030】
このようなプロジェクターは、本発明に係る発光装置を含むことができる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0033】
1. 第1実施形態
1.1. 発光装置
まず、第1実施形態に係る発光装置について、図面を参照しながら説明する。
図1は、第1実施形態に係る発光装置100を模式的に示す断面図である。
図2は、第1実施形態に係る発光装置100を模式的に示す平面図である。なお、
図1は、
図2のI−I線断面図である。
【0034】
発光装置100は、
図1および
図2に示すように、基体10と、積層体20と、第1電極40と、第2電極42と、を含む。なお、便宜上、
図2では、積層体20の柱状部30以外の部材の図示を省略している。
【0035】
基体10は、例えば、板状の形状を有している。基体10は、例えば、Si基板、サファイア基板などである。
【0036】
積層体20は、基体10に(基体10上に)設けられている。積層体20は、バッファー層22と、柱状部30と、を有している。
【0037】
バッファー層22は、基体10上に設けられている。バッファー層22は、例えば、第1導電型(例えばn型)のGaN層(具体的にはSiがドープされたGaN層)である。バッファー層22は、例えば、基部24と、凸部26と、を有している。基部24は、基体10上に設けられている。基部24の上面には、凸部26、および柱状部30を形成するためのマスク層50が設けられている。凸部26は、マスク層50に挟まれている。
【0038】
柱状部30は、バッファー層22上に設けられている。柱状部30は、複数設けられている。隣り合う柱状部30の間は、空隙2が設けられている。柱状部30の断面形状(積層方向と直交する方向における断面形状)は、例えば、円、多角形(図示の例では正六角形)などである。柱状部30の径は、例えば、nmオーダーであり、具体的には10nm以上500nm以下である。柱状部30は、例えば、ナノコラム、ナノワイヤー、ナノロ
ッド、ナノピラーとも呼ばれる。柱状部30の積層方向の大きさは、例えば、0.1μm以上5μm以下である。複数の柱状部30は、互いに離間している。隣り合う柱状部30の間隔は、例えば、1nm以上500nm以下である。
【0039】
なお、本発明において、「径」とは、柱状部の積層方向から見た平面視における形状が円の場合は、直径であり、柱状部の断面形状が
図2に示すように多角形の場合は、該多角形の内接円の直径である。また、本発明において、「積層方向」とは、積層体20の積層方向(第1半導体層31と第3半導体層33との積層方向、図示の例では上下方向)のことである。また、本発明において、「上」とは、積層方向において、積層体20からみて基体10から遠ざかる方向のことであり、「下」とは、積層方向において、積層体20からみて基体10に近づく方向のことである。
【0040】
複数の柱状部30は、平面視において(積層方向からみて)、所定の方向に所定のピッチで配列されている。
図2に示す例では、複数の柱状部30は、平面視において、正三角格子状に配列されている。複数の柱状部30は、平面視において、最密充填に配列されている。このような周期構造においては、ピッチと各部位の径および各部位の屈折率により決定されるフォトニックバンド端波長λにおいて光閉じ込め効果を得ることができる。発光装置100では、柱状部30の活性層35において生じる光は波長λを含むため、フォトニック結晶の効果を発現することができる。
【0041】
なお、平均屈折率は、積層方向のある位置において、誘電率ε
1の柱状部30が充填率φで配置されているとすると、空気(空隙2)の誘電率をε
airとして、(ε
1×φ+ε
air(1−φ))の平方根として求めることができる。誘電率ε
1は、柱状部30の第1半導体層31、第2半導体層32、第3半導体層33、第4半導体層34、または、活性層35の誘電率である。また、隣り合う柱状部30の間に、部材が設けられる場合は、空気の誘電率ε
airを該部材の誘電率と置き換えて、平均屈折率を求めることができる。
【0042】
柱状部30は、第1半導体層31と、第2半導体層32と、第3半導体層33と、第4半導体層34と、活性層35と、を有している。
【0043】
第1半導体層31は、バッファー層22上に設けられている。第1半導体層31は、基体10と活性層35との間に設けられている。図示の例では、第1半導体層31の径は、積層方向において変化していない。第1半導体層31は、例えば、第1導電型(例えばn型)のGaN層(具体的にはSiがドープされたGaN層)である。
【0044】
第3半導体層33は、第1半導体層31上に設けられている。第3半導体層33は、第1半導体層31と活性層35との間に設けられている。第3半導体層33は、第1半導体層31の径よりも大きい径を有している。図示の例では、第3半導体層33の径は、積層方向において変化していない。第3半導体層33は、例えば、GaN層とInGaN層とから構成された半導体超格子(SL)構造を有している。第3半導体層33を構成するGaN層およびInGaN層の数は、特に限定されない。
【0045】
活性層35は、第3半導体層33上に設けられている。活性層35は、第1半導体層31と第2半導体層32との間に設けられている。活性層35は、電流が注入されることで光を発することが可能な層である。図示の例では、活性層35の径は、積層方向において変化していない。活性層35の径は、例えば、第3半導体層33の径と同じである。活性層35は、例えば、GaN層とInGaN層とから構成された量子井戸(MQW)構造を有している。活性層35を構成するGaN層およびInGaN層の数は、特に限定されない。
【0046】
第4半導体層34は、活性層35上に設けられている。図示の例では、第4半導体層34の径は、積層方向において変化していない。第4半導体層34の径は、例えば、活性層35の径と同じである。第4半導体層34は、例えば、GaN層とInGaN層とから構成された半導体超格子(SL)構造を有している。第4半導体層34を構成するGaN層およびInGaN層の数は、特に限定されない。半導体層33,34は、活性層35と、積層方向とは直交した方向に伝搬する光と、の重なりを大きくする(光閉じ込め係数を大きくする)機能を有するガイド層である。
【0047】
第2半導体層32は、活性層35上に設けられている。第2半導体層32は、活性層35の径よりも大きい径を有している。図示の例では、第2半導体層32の径は、積層方向において変化していない。第2半導体層32は、第1半導体層31と導電型の異なる層である。第2半導体層32は、例えば、第2導電型(例えばp型)のGaN層(具体的にはMgがドープされたGaN層)、AlGaN層などである。半導体層31,32は、活性層35に光を閉じ込める(活性層35から光が漏れることを抑制する)機能を有するクラッド層である。
【0048】
発光装置100では、p型の第2半導体層32、不純物がドーピングされていない活性層35および半導体層33,34、およびn型の第1半導体層31により、pinダイオードが構成される。第1半導体層31および第2半導体層32の各々は、活性層35よりもバンドギャップが大きい層である。発光装置100では、第1電極40と第2電極42との間に、pinダイオードの順バイアス電圧を印加すると(電流を注入すると)、活性層35において電子と正孔との再結合が起こる。この再結合により発光が生じる。活性層35において発生した光は、半導体層31,32により積層方向と直交する方向に伝搬し、柱状部30によるフォトニック結晶の効果により、積層方向と直交する方向に定在波を形成し、活性層35において(半導体層33,34においてより効果的に)利得を受けてレーザー発振する。そして、発光装置100は、+1次回折光および−1次回折光をレーザー光として、積層方向に(第2電極42側および基体10側に)出射する。
【0049】
なお、図示はしないが、基体10とバッファー層22との間もしくは基体10の下に反射層が設けられていてもよい。該反射層は、例えば、DBR(Distributed Bragg Reflector)層である。該反射層によって、活性層35において発生した光を反射させる ことができ、発光装置100は、第2電極42側からのみ光を出射することができる。
【0050】
発光装置100では、柱状部30の根元の径をa、活性層35の径をb、柱状部30の先端の径をc、第1半導体層31の積層方向の大きさ(厚さ)をL
1、第2半導体層32の積層方向の大きさをL
2としたとき、下記式(1)の関係を満たす。
【0051】
なお、本実施形態において、活性層35の径bは、活性層35の最大の径のことであり、第1半導体層31の積層方向の大きさL
1は、第1半導体層31の積層方向の最大の大きさのことであり、第2半導体層32の積層方向の大きさL
2は、第2半導体層32の積層方向の最大の大きさのことである。
【0052】
(b−a)/L
1>(c−b)/L
2、かつ、a<c ・・・ (1)
【0053】
図示の例では、柱状部30の根元の径aは、第1半導体層31の下面(基体10側の端部)における径である。図示の例では、柱状部30の先端の径cは、第2半導体層32の上面(第2電極42側の端部)における径である。(b−a)/L
1は、第1半導体層31の下面から上面までの径の拡大率であり、(c−b)/L
2は、第2半導体層32の下
面から上面までの拡大率である。
【0054】
第1電極40は、基体10の下に設けられている。基体10は、第1電極40とオーミックコンタクトしていてもよい。第1電極40は、第1半導体層31と電気的に接続されている。図示の例では、第1電極40は、基体10およびバッファー層22を介して、第1半導体層31と電気的に接続されている。第1電極40は、活性層35に電流を注入するための一方の電極である。第1電極40としては、例えば、基体10側から、Ti層、Al層、Au層の順序で積層したものや、ITO(Indium Tin Oxide)等の透明電極などを用いる。
【0055】
なお、基体10が絶縁性の場合には、図示はしないが、第1電極40は、バッファー層22上に(バッファー層22の柱状部30が設けられていない領域に)設けられていてもよい。
【0056】
第2電極42は、第2半導体層32上に設けられている。第2電極42は、第2半導体層32と電気的に接続されている。第2電極42は、活性層35に電流を注入するための他方の電極である。第2電極42としては、例えば、ITOなどの透明電極を用いる。これにより、活性層35において発光した光は、第2電極42を透過して出射されることができる。
【0057】
なお、図示はしないが、第2電極42と第2半導体層32との間には、コンタクト層が設けられていてもよい。コンタクト層は、第2電極42とオーミックコンタクトしていてもよい。コンタクト層は、p型のGaN層であってもよい。
【0058】
発光装置100は、例えば、以下の特徴を有する。
【0059】
発光装置100では、柱状部30の根元の径をa、活性層35の径をb、柱状部30の先端の径をc、第1半導体層31の積層方向の大きさ(厚さ)をL
1、第2半導体層32の積層方向の大きさをL
2としたとき、(b−a)/L
1>(c−b)/L
2、かつ、a<cの関係を満たす。そのため、発光装置100では、上記の関係を満たさない場合(例えばa=b=cの場合や、第1半導体層31の下面から第2半導体層32の上面まで一定の拡大率で徐々に径が大きくなる場合など)に比べて、第1半導体層31と空隙2との平均屈折率を、活性層35と空隙2との平均屈折率よりも十分に小さくすることができ、かつ、第2半導体層32と空隙2との平均屈折率を、活性層35と空隙2との平均屈折率よりも十分に小さくすることができる。したがって、発光装置100では、活性層35に発生した光が、積層方向と直交する方向に伝搬する際に、基体10側に漏れること、かつ、基体10側とは反対の第2電極42側に漏れることを抑制することができる。よって、発光装置100では、活性層35に発生した光を、積層方向において活性層35および半導体層33,34に閉じ込めることができ、フォトニック結晶の効果を強めることができる。さらに、発光装置100では、活性層35に発生した光が第2電極42において吸収されることを抑制することができ、レーザー発振が阻害されることを防ぐことができる。発光装置100では、例えば、活性層35に発生した光が、積層方向と直交する方向に伝搬する際に、光の強度が第1半導体層31側よりも第2半導体層32側の方が高く、柱状部30の上部側で光を閉じ込めるキャップレイヤーモード(CLM)が発生していてもよい。
【0060】
さらに、発光装置100では、柱状部30は、貫通転位の少ない高い結晶性を有する。そのため、発光装置100では、優れた発光特性を有することができる。
【0061】
なお、本発明に係る発光装置は、発光装置100と同様の効果を得ることができれば、
半導体レーザーに順ずるスーパールミネッセントダイオードや高Q値LED(Light
Emitting Diode)であってもよい。
【0062】
1.2. 発光装置の製造方法
次に、第1実施形態に係る発光装置100の製造方法について、図面を参照しながら説明する。
図3は、第1実施形態に係る発光装置100の製造工程を模式的に示す断面図である。
【0063】
図3に示すように、基体10上に、バッファー層22の基部24をエピタキシャル成長させる。エピタキシャル成長させる方法としては、例えば、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法、MBE(Molecular Beam Epitaxy)法などが挙げられる。
【0064】
次に、バッファー層22上にマスク層50を形成する。マスク層50は、例えば、酸化シリコン層、酸化チタン層、チタン層、これらの積層膜などである。マスク層50は、例えば、電子ビーム蒸着法やプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法などによる成膜、ならびにフォトリソグラフィー技術およびエッチング技術によるパターニングによって形成される。
【0065】
図1に示すように、マスク層50をマスクとして、MOCVD法やMBE法などにより、バッファー層22の基部24上に、バッファー層22の凸部26、第1半導体層31、第3半導体層33、活性層35、第4半導体層34、および第2半導体層32を、この順でエピタキシャル成長させる。これにより、柱状部30を形成することができる。
【0066】
なお、活性層35および半導体層33,34の成長温度を、第1半導体層31の成長温度よりも低くすることで(例えば200℃程度低くすることで)、活性層35および半導体層33,34の径を、第1半導体層31の径よりも大きくすることができる。
【0067】
また、第2半導体層32は、例えば、Mgがドープされているため、径が大きくなりやすい。しかし、
図2に示すように、平面視において、柱状部30を正三角格子状に配列させて最密充填に配置することにより、複数の柱状部30の間の距離を小さくすることができる。そのため、第2半導体層32を成長させる際の原料が複数の柱状部30の間に入りにくくなり(シャドウ効果)、第2半導体層32の径が活性層35の径に対して大きくなりすぎることを抑制することができる。
【0068】
次に、基体10の下に第1電極40を形成し、第2半導体層32上に第2電極42を形成する。電極40,42は、例えば、真空蒸着法などにより形成される。なお、第1電極40および第2電極42の形成順序は、特に限定されない。
【0069】
以上の工程により、発光装置100を製造することができる。
【0070】
2. 第2実施形態
2.1. 発光装置
次に、第2実施形態に係る発光装置について、図面を参照しながら説明する。
図4は、第2実施形態に係る発光装置200を模式的に示す断面図である。
【0071】
以下、第2実施形態に係る発光装置200において、上述した第1実施形態に係る発光装置100の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0072】
上述した発光装置100では、
図1に示すように、活性層35の径は、第2半導体層32の径よりも小さく、b<cの関係を満たしていた。
【0073】
これに対し、発光装置200では、
図4に示すように、b≧cの関係を満たしている。図示の例では、活性層35の径と第2半導体層32の径とは、同じである。なお、図示はしないが、活性層35の径は、第2半導体層32の径よりも大きくてもよい。
【0074】
発光装置200は、発光装置100と同様の効果を得ることができる。
【0075】
発光装置200では、b≧cの関係を満たしている。そのため、発光装置200では、b<cの場合に比べて、第2半導体層32と空隙2との平均屈折率を、活性層35と空隙2との平均屈折率よりも小さくすることができる。したがって、発光装置200では、活性層35に発生した光が、第2電極42側に漏れることを、より確実に抑制することができる。
【0076】
2.2. 発光装置の製造方法
次に、第2実施形態に係る発光装置200の製造方法について、説明する。発光装置200の製造方法は、例えば、シャドウ効果および柱状部30の成長温度を調整することにより、活性層35の径と第2半導体層32の径とを同じに形成すること以外は、基本的に、上述した発光装置100の製造方法と同様である。したがって、その詳細な説明を省略する。
【0077】
2.3. 発光装置の変形例
2.3.1. 第1変形例
次に、第2実施形態の第1変形例に係る発光装置について、図面を参照しながら説明する。
図5は、第2実施形態の第1変形例に係る発光装置210を模式的に示す断面図である。
【0078】
以下、第2実施形態の第1変形例に係る発光装置210において、上述した第1実施形態に係る発光装置100、第2実施形態に係る発光装置200の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。このことは、以下に示す第2実施形態の第2変形例に係る発光装置において、同様である。
【0079】
上述した発光装置200では、
図4に示すように、第3半導体層33の径は、積層方向において、変化していなかった。
【0080】
これに対し、発光装置210では、
図5に示すように、第3半導体層33は、径が第1半導体層31側から活性層35側に向けて徐々に大きくなっている部分(テーパー部)33aを有している。
【0081】
第3半導体層33の積層方向における径の拡大率は、第1半導体層31の積層方向における径の拡大率、第2半導体層32の積層方向における径の拡大率、第4半導体層34の積層方向における径の拡大率、および活性層35の積層方向における径の拡大率よりも大きい。
【0082】
なお、「層の積層方向における径の拡大率R」とは、層の上面における径をD
top、層の下面における径をD
bottom、層の積層方向における大きさ(厚さ)をLとしたとき、下記式(2)で表される。
【0083】
R=(D
top−D
bottom)/L ・・・ (2)
【0084】
図示の例では、第3半導体層33の積層方向における径の拡大率は、ゼロより大きい値であり、半導体層31,32,34および活性層35の積層方向における径の拡大率は、ゼロである。
【0085】
発光装置200は、発光装置100と同様の効果を得ることができる。
【0086】
発光装置210では、第3半導体層33の積層方向における径の拡大率は、半導体層31,32,34および活性層35の積層方向における径の拡大率よりも大きい。このように、発光装置210では、第3半導体層33の積層方向における径の拡大率を、半導体層31,32,34および活性層35の積層方向における径の拡大率よりも大きくすることによって、上記式(1)を満たすことができる。
【0087】
発光装置210では、第3半導体層33は、径が第1半導体層31側から活性層35側に向けて大きくなっているテーパー部33aを有している。そのため、発光装置210では、テーパー部33aと空隙2との平均屈折率を、第1半導体層31側から活性層35側に向けて高くすることができる。
【0088】
なお、上述した発光装置100において、発光装置210のように、第3半導体層33の積層方向における径の拡大率は、半導体層31,32,34および活性層35の積層方向における径の拡大率よりも大きくてもよいし、第3半導体層33はテーパー部33aを有していてもよい。
【0089】
2.3.2. 第2変形例
次に、第2実施形態の第2変形例に係る発光装置について、図面を参照しながら説明する。
図6は、第2実施形態の第2変形例に係る発光装置220を模式的に示す断面図である。
【0090】
上述した発光装置200では、
図4に示すように、第1半導体層31の径は、積層方向において、変化していなかった。
【0091】
これに対し、発光装置220では、
図6に示すように、第1半導体層31は、径が基体10側から活性層35側に向けて徐々に大きくなっている部分(テーパー部)31aを有している。
【0092】
第1半導体層31の積層方向における径の拡大率は、第2半導体層32の積層方向における径の拡大率、第3半導体層33の積層方向における径の拡大率、第4半導体層34の積層方向における径の拡大率、および活性層35の積層方向における径の拡大率よりも大きい。
【0093】
図示の例では、第1半導体層31の積層方向における径の拡大率は、ゼロより大きい値であり、半導体層32,33,34および活性層35の積層方向における径の拡大率は、ゼロである。
【0094】
発光装置220は、発光装置100と同様の効果を得ることができる。
【0095】
発光装置220では、第1半導体層31の積層方向における径の拡大率は、半導体層32,33,34および活性層35の積層方向における径の拡大率よりも大きい。そのため、発光装置220では、上記式(1)を満たしつつ、半導体層33,34の設計の自由度を高くすることができる。これにより、発光装置220では、活性層35に発生した光が
、積層方向と直交する方向に伝搬する際に、活性層35と重なる領域を多くすることができ、利得を得やすくすることができる。例えば、
図6に示す例では、柱状部30において、活性層35よりも下側の平均屈折率の方が活性層35よりも上側の平均屈折率が低いため、その平均屈折率の差を打ち消すように、第3半導体層33の厚さを第4半導体層34の厚さよりも大きくすることが好ましい。なお、半導体層33,34の組成を変えて、上記平均屈折率の差を打ち消してもよい。また、活性層35よりも下側の平均屈折率と活性層35よりも上側の平均屈折率とが等しい場合は、第3半導体層33と第4半導体層34とを、活性層35の中心を通り積層方向と直交する仮想面(図示せず)に関して、対称に設けることが好ましい。
【0096】
発光装置220では、第1半導体層31は、径が基体10側から活性層35側に向けて大きくなっているテーパー部31aを有している。そのため、発光装置220では、テーパー部31aと空隙2との平均屈折率を、基体10側から活性層35側に向けて高くすることができる。
【0097】
なお、上述した発光装置100において、発光装置220のように、第1半導体層31の積層方向における径の拡大率は、半導体層32,33,34および活性層35の積層方向における径の拡大率よりも大きくてもよいし、第1半導体層31はテーパー部31aを有していてもよい。
【0098】
3. 第3実施形態
3.1. 発光装置
次に、第3実施形態に係る発光装置について、図面を参照しながら説明する。
図7は、第3実施形態に係る発光装置300を模式的に示す断面図である。
【0099】
以下、第3実施形態に係る発光装置300において、上述した第1実施形態に係る発光装置100、第2実施形態に係る発光装置200の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0100】
発光装置300では、
図7に示すように、隣り合う柱状部30の間に設けられた光伝搬層60を含む点において、上述した発光装置200と異なる。
【0101】
光伝搬層60は、柱状部30の側面に設けられている。光伝搬層60は、隣り合う第2半導体層32の間、隣り合う第3半導体層33の間、隣り合う第4半導体層34の間、および隣り合う活性層35の間に充填されている。すなわち、隣り合う半導体層32,33,34および活性層35の間には、空隙が設けられていない。隣り合う第1半導体層31の間には、空隙2が設けられている。光伝搬層60と基体10との間には、空隙2が設けられている。
【0102】
光伝搬層60は、活性層35で発生した光を伝搬することができる。光伝搬層60の屈折率は、空気(空隙)の屈折率よりも活性層35の屈折率に近い。すなわち、活性層35の屈折率と光伝搬層60の屈折率との差は、光伝搬層60の屈折率と空気の屈折率との差異よりも小さい。光伝搬層60の屈折率は、例えば、半導体層31,32,33,34および活性層35の屈折率よりも低い。光伝搬層60は、例えば、酸化シリコン層(例えばSiO
2層)やAlGaN層である。
【0103】
発光装置300は、発光装置100と同様の効果を得ることができる。
【0104】
発光装置300では、隣り合う柱状部30の間に設けられ、活性層35で発生した光を伝搬する光伝搬層60を含む。そのため、発光装置300では、光伝搬層60の材質によ
って、活性層35と光伝搬層60との平均屈折率を調整することができる。
【0105】
発光装置300では、隣り合う第1半導体層31の間には、空隙2が設けられている。そのため、発光装置300では、隣り合う第1半導体層31の間に光伝搬層60が充填されている場合に比べて、第1半導体層31を含む部分の平均屈折率(図示の例では、第1半導体層31と空隙2との平均屈折率)を小さくすることができる。これにより、発光装置300では、活性層35に発生した光が、基体10側に漏れることを抑制することができる。さらに、発光装置300では、隣り合う第1半導体層31の間に光伝搬層60が充填されている場合に比べて、フォトニック結晶の効果を高めることができる。
【0106】
発光装置300では、光伝搬層60の屈折率は、空気の屈折率よりも活性層35の屈折率に近い。そのため、発光装置300では、例えば製造ばらつきにより柱状部30の径がばらついたとしても、柱状部30の径のばらつきが平均屈折率に与える影響を小さくすることができる。したがって、発光装置300では、安定した特性を有することができる。
【0107】
なお、上述した発光装置100,210,220において、発光装置300のように、隣り合う柱状部30の間に光伝搬層60が設けられていてもよい。
【0108】
3.2. 発光装置の製造方法
次に、第3実施形態に係る発光装置300の製造方法について、図面を参照しながら説明する。
図8は、第3実施形態に係る発光装置300の製造工程を模式的に示す断面図である。
【0109】
発光装置300の製造方法は、例えば、
図8に示すように、柱状部30の表面にスパッタ法やCVD法、MOCVD法などにより光伝搬層60を形成した後、
図7に示すように、エッチングやCMP(Chemical Mechanical Polishing)法によって柱状部30の上面を露出させる。
【0110】
発光装置300の製造方法は、上記のこと以外は、基本的に、上述した発光装置200の製造方法と同様である。したがって、その詳細な説明を省略する。
【0111】
なお、発光装置300では、
図9に示すように、隣り合う第1半導体層31の間には、光伝搬層60が設けられていなくてもよい。
図9に示すような発光装置300では、例えば、隣り合う活性層35の間隙が非常に狭いため、成膜材料や原料ガスが第1半導体層31の間まで十分に入って行かないという現象を利用して、形成することができる。
【0112】
また、図示はしないが、光伝搬層60は、隣り合う活性層35の間に設けれ、隣り合う第1半導体層31の間、および隣り合う第2半導体層32の間には設けられていなくてもよい。隣り合う第1半導体層31の間、および隣り合う第2半導体層32の間には、空隙2が設けられていてもよい。これにより、第1半導体層31と空隙2との平均屈折率、および第2半導体層32と空隙2との平均屈折率を、活性層35と光伝搬層60との平均屈折率よりも、十分に小さくすることができる。例えば、第2半導体層32の間に形成された光伝搬層60をエッチングにより除去することにより、隣り合う第2半導体層32の間に空隙2を形成することができる。
【0113】
3.3. 発光装置の変形例
次に、第3実施形態の変形例に係る発光装置310について、図面を参照しながら説明する。
図10は、第3実施形態の変形例に係る発光装置310を模式的に示す断面図である。
【0114】
以下、第3実施形態の変形例に係る発光装置310において、上述した第1実施形態に係る発光装置100、第2実施形態に係る発光装置200、第3実施形態に係る発光装置300の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0115】
発光装置310では、
図10に示すように、活性層35は、第1部分35aと、第1部分35aの周囲に設けられ、第1部分35aのバンドギャップよりも大きなバンドギャップを有する第2部分35bと、を有する(コアシェル構造を有する)点において、上述した発光装置300と異なる。
【0116】
活性層35の第1部分35aは、第2部分35bに囲まれている。第2部分35bは、平面視において、第1部分35aの周囲に設けられている。例えば、第1部分35aのInGaN層のIn組成比は、第2部分35bのInGaN層のIn組成比よりも高い。これにより、第2部分35bのバンドギャップを第1部分35aのバンドギャップよりも大きくすることができる。
【0117】
例えば、複数の柱状部30のピッチを、活性層35で発生する光の波長の半分程度(例えば活性層35で発生する光の波長が530nmの場合はピッチを250nm等)にし、活性層35を成長させる際のIn組成や温度を調整することにより、第1部分35aのInGaN層のIn組成比を、第2部分35bのInGaN層のIn組成比よりも高くすることができる。
【0118】
発光装置310は、発光装置100と同様の効果を得ることができる。
【0119】
発光装置310では、活性層35は、第1部分35aと、第1部分35aの周囲に設けられ、第1部分35aのバンドギャップよりも大きなバンドギャップを有する第2部分35bと、を有する。そのため、発光装置310では、活性層35は、積層方向と直交する方向においてキャリアを閉じ込めのやすく、表面再結合を抑制することができる。したがって、発光装置310では、高効率な発光を実現することができる。さらに、発光装置310では、隣り合う活性層35の間には、活性層35のバンドギャップよりも大きなバンドギャップを有する光伝搬層60が設けられているため、よりキャリアを閉じ込めのやすく、より高効率な発光を実現することができる。
【0120】
なお、上述した発光装置100,210,220において、発光装置310のように、活性層35は、第1部分35aおよび第2部分35bを有していてもよい。
【0121】
4. プロジェクター
次に、第4実施形態に係るプロジェクターについて、図面を参照しながら説明する。
図11は、第4実施形態に係るプロジェクター900を模式的に示す図である。
【0122】
本発明に係るプロジェクターは、本発明に係る発光装置を含む。以下では、本発明に係る発光装置として発光装置100を含むプロジェクター900について説明する。
【0123】
プロジェクター900は、
図11に示すように、赤色光、緑色光、青色光を出射する赤色光源100R、緑色光源100G、青色光源100Bを含む。赤色光源100R、緑色光源100G、および青色光源100Bの各々は、例えば、複数の発光装置100を積層方向と直交する方向にアレイ状に配置させ、複数の発光装置100において基体10を共通基板としたものである。光源100R,100G,100Bの各々を構成する発光装置100の数は、特に限定されない。なお、便宜上、
図11では、プロジェクター900を構成する筐体を省略し、さらに光源100R,100G,100Bを簡略化している。
【0124】
プロジェクター900は、さらに、レンズアレイ902R,902G,902Bと、透過型の液晶ライトバルブ(光変調装置)904R,904G,904Bと、投射レンズ(投射装置)908と、を含む。
【0125】
光源100R,100G,100Bから出射された光は、各レンズアレイ902R,902G,902Bに入射する。光源100R,100G,100Bから出射された光は、レンズアレイ902R,902G,902Bによって、集光され、例えば重畳(一部重畳)されることができる。これにより、均一性よく液晶ライトバルブ904R,904G,904Bを照射することができる。
【0126】
各レンズアレイ902R,902G,902Bによって集光された光は、各液晶ライトバルブ904R,904G,904Bに入射する。各液晶ライトバルブ904R,904G,904Bは、入射した光をそれぞれ画像情報に応じて変調する。そして、投射レンズ908は、液晶ライトバルブ904R,904G,904Bによって形成された像(画像)を拡大してスクリーン(表示面)910に投射する。
【0127】
また、プロジェクター900は、液晶ライトバルブ904R,904G,904Bから出射された光を合成して投射レンズ908に導くクロスダイクロイックプリズム(色光合成手段)906を、含むことができる。
【0128】
各液晶ライトバルブ904R,904G,904Bによって変調された3つの色光は、クロスダイクロイックプリズム906に入射する。このプリズムは、4つの直角プリズムを貼り合わせて形成され、その内面に赤色光を反射する誘電体多層膜と青色光を反射する誘電体多層膜とが十字状に配置されている。これらの誘電体多層膜によって3つの色光が合成され、カラー画像を表す光が形成される。そして、合成された光は、投射光学系である投射レンズ908によりスクリーン910上に投射され、拡大された画像が表示される。
【0129】
なお、光源100R,100G,100Bは、光源100R,100G,100Bを構成する発光装置100を映像の画素として画像情報に応じて制御する(変調する)ことで、液晶ライトバルブ904R,904G,904Bを用いずに、直接的に映像を形成してもよい。そして、投射レンズ908は、光源100R,100G,100Bによって形成された映像を、拡大してスクリーン910に投射してもよい。
【0130】
また、上記の例では、光変調装置として透過型の液晶ライトバルブを用いたが、液晶以外のライトバルブを用いてもよいし、反射型のライトバルブを用いてもよい。このようなライトバルブとしては、例えば、反射型の液晶ライトバルブや、デジタルマイクロミラーデバイス(Digital Micromirror Device)が挙げられる。また、投射光学系の構成は、使用されるライトバルブの種類によって適宜変更される。
【0131】
また、光源100R,100G,100Bを、光源100R,100G,100Bからの光をスクリーン上で走査させることにより、表示面に所望の大きさの画像を表示させる画像形成装置である走査手段を有するような走査型の画像表示装置(プロジェクター)の光源装置にも適用することが可能である。
【0132】
5. 実験例
以下に実験例を示し、本発明をより具体的に説明する。なお、本発明は、以下の実験例によって何ら限定されるものではない。
【0133】
5.1. モデル
図1,4に示すような発光装置のモデルを用いて、シミュレーションを行った。基体10を、サファイア基板(厚さ無限大)とし、屈折率を1.77とした。バッファー層22を、GaN層(厚さを3500nm)とした。第1半導体層31を、GaN層(厚さ500nm)とした。第3半導体層33を、InGaN層(厚さ1.5nm)とGaN層(厚さ1.5nm)とを50ペア重ねたSL構造とした。活性層35を、InGaN層(厚さ3nm)とGaN層(厚さ12nm)とを5ペア重ねたMQW構造とした。第4半導体層34を、InGaN層(厚さ1.5nm)とGaN層(厚さ1.5nm)とを50ペア重ねたSL構造とした。なお、活性層35および半導体層33,34において、InGaN層のIn組成を0.2とした。第2半導体層32を、Al
0.2Ga
0.8N層(厚さ600nm)とした。第2電極42をITO層(厚さ300nm)とし、屈折率を2.12とした。空隙(空気)の屈折率を1とした。
【0134】
活性層35に発生する光の波長を520nmした。複数の柱状部30を、平面視において三角格子状に配列されて、周期(格子状数)を250nmとした。
【0135】
5.2. 計算結果
上記のようなモデルにおいて、第1半導体層31の径Dn、活性層35および半導体層33,34の径Di、第2半導体層Dpを変化させて、各層の材料屈折率および充填率から空隙との平均屈折率を求め、一次元転送行列法により、積層方向の光閉じ込めモードについて計算した。なお、本計算(シミュレーション)では、マスク層50および第1電極40を考慮していない。
【0136】
図12は、Dp=230nm、Di=230nm、Dn=230nmとしたときの、積層方向における屈折率および電界強度を示すグラフである。
図13は、Dp=230nm、Di=230nm、Dn=200nmとしたときの、積層方向における屈折率および電界強度を示すグラフである。
図14は、Dp=240nm、Di=230nm、Dn=200nmとしたときの、積層方向における屈折率、ならびに活性層35および半導体層33,34への基本光閉じ込めモード(0次モード)に関する電界強度を示すグラフである。
【0137】
なお、
図12〜
図14において、横軸は積層方向の位置を示している。また、
図12〜
図14において、第2電極42の領域をITOと示し、第2半導体層32の領域をp型コラムと示し、活性層35および半導体層33,34の領域をi型コラムと示し、第1半導体層31の領域をn型コラムと示している。また、活性層35および半導体層33,34の各々は、屈折率の異なる2種類の層が多数積層されて構成されているため、
図12〜
図14に示す屈折率のグラフでは黒く塗りつぶされたようになっている。
【0138】
図12に示すように、Dn=Di=Dpの場合には、バッファー層への光の漏れが確認された。一方、
図13および
図14に示すように、Di>Dpの場合には、バッファー層への光の漏れが抑制できることがわかった。さらに、
図13および
図14に示すように、Di=Dpとした方がITO層側への光の漏れを抑制できることがわかった。本シミュレーションからも、上記式(1)を満たすことにより、活性層35に発生した光が、基体10側に漏れること、かつ、第2電極42側に漏れることを抑制できることがわかった。
【0139】
本発明は、本願に記載の特徴や効果を有する範囲で一部の構成を省略したり、各実施形態や変形例を組み合わせたりしてもよい。
【0140】
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施
の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。