【解決手段】第1の観察光学系を有する第1の内視鏡と、第1の観察光学系とは異なる第2の観察光学系を有し、射出瞳径が第1の内視鏡の射出瞳径より大きい第2の内視鏡と、第1および第2の内視鏡のうちのいずれかが接続され、該接続された内視鏡からの光を通過させる開口絞り、及び、開口絞りを通過した光を受光して電気信号に変換する撮像部を有する撮像装置と、撮像装置が生成した電気信号を用いて画像を生成する画像処理装置と、を備え、開口絞りの最小絞り径が、第1の内視鏡の射出瞳径より大きい。
前記画像処理装置は、前記第1の内視鏡が前記撮像装置に接続されている場合に、前記第2の内視鏡が前記撮像装置に接続された場合に対し輪郭強調処理による強調度合いを大きくして前記画像を生成する
ことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡装置。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「実施の形態」という)を説明する。実施の形態では、本発明にかかる内視鏡装置の一例として、患者等の被検体内の画像を撮像して表示する医療用の内視鏡装置について説明する。また、この実施の形態により、この発明が限定されるものではない。さらに、図面の記載において、同一部分には同一の符号を付して説明する。
【0020】
(実施の形態)
図1は、本発明の実施の形態にかかる内視鏡装置1の概略構成を示す図である。内視鏡装置1は、医療分野において用いられ、人等の観察対象物の内部(生体内)の被写体を観察する装置である。この内視鏡装置1は、
図1に示すように、内視鏡2と、撮像装置3(医療用撮像装置)と、表示装置4と、制御装置5(画像処理装置)と、光源装置6とを備え、撮像装置3と制御装置5とで、医療用画像取得システムを構成している。なお、本実施の形態1では、内視鏡2と撮像装置3及び制御装置5により、例えば硬性鏡等の内視鏡を用いた内視鏡装置を構成している。
【0021】
光源装置6は、ライトガイド7の一端が接続され、当該ライトガイド7の一端に生体内を照明するための例えば白色等の照明光を供給する。ライトガイド7は、一端が光源装置6に着脱自在に接続されるとともに、他端が内視鏡2に着脱自在に接続される。そして、ライトガイド7は、光源装置6から供給された光を一端から他端に伝達し、内視鏡2に供給する。
【0022】
撮像装置3は、内視鏡2からの被写体像を撮像して当該撮像結果を出力する。この撮像装置3は、
図1に示すように、信号伝送部である伝送ケーブル8と、カメラヘッド9とを備える。本実施の形態1では、伝送ケーブル8とカメラヘッド9とにより医療用撮像装置が構成される。
【0023】
内視鏡2は、硬質で細長形状を有し、生体内に挿入される。この内視鏡2の内部には、1または複数のレンズを用いて構成され、被写体像を集光する観察光学系が設けられている。内視鏡2は、ライトガイド7を介して供給された光を先端から出射し、生体内に照射する。そして、生体内に照射された光(被写体像)は、内視鏡2内の観察光学系(レンズユニット92)により集光される。
【0024】
カメラヘッド9は、内視鏡2の基端に着脱自在に接続される。そして、カメラヘッド9は、制御装置5による制御の下、内視鏡2にて集光された被写体像を撮像し、当該撮像による撮像信号を出力する。なお、カメラヘッド9の詳細な構成については、後述する。
【0025】
伝送ケーブル8は、一端がコネクタを介して制御装置5に着脱自在に接続されるとともに、他端がコネクタを介してカメラヘッド9に着脱自在に接続される。具体的に、伝送ケーブル8は、最外層である外被の内側に複数の電気配線(図示略)が配設されたケーブルである。当該複数の電気配線は、カメラヘッド9から出力される撮像信号を制御装置5に、制御装置5から出力される制御信号、同期信号、クロック、及び電力をカメラヘッド9にそれぞれ伝送するための電気配線である。
【0026】
表示装置4は、制御装置5による制御のもと、制御装置5により生成された画像を表示する。表示装置4は、観察時の没入感を得やすくするために、表示部が55インチ以上を有するものが好ましいが、これに限らない。
【0027】
制御装置5は、カメラヘッド9から伝送ケーブル8を経由して入力された撮像信号を処理し、表示装置4へ画像信号を出力するとともに、カメラヘッド9及び表示装置4の動作を統括的に制御する。なお、制御装置5の詳細な構成については、後述する。
【0028】
次に、撮像装置3及び制御装置5の構成について説明する。
図2は、カメラヘッド9及び制御装置5の構成を示すブロック図である。なお、
図2では、カメラヘッド9及び伝送ケーブル8同士を着脱可能とするコネクタの図示を省略している。
【0029】
以下、制御装置5の構成、及びカメラヘッド9の構成の順に説明する。なお、以下では、制御装置5の構成として、本発明の要部を主に説明する。制御装置5は、
図2に示すように、信号処理部51と、画像生成部52と、通信モジュール53と、入力部54と、制御部55と、メモリ56とを備える。なお、制御装置5には、制御装置5及びカメラヘッド9を駆動するための電源電圧を生成し、制御装置5の各部にそれぞれ供給するとともに、伝送ケーブル8を介してカメラヘッド9に供給する電源部(図示略)などが設けられていてもよい。
【0030】
信号処理部51は、カメラヘッド9が出力した撮像信号に対してノイズ除去や、必要に応じてA/D変換等の信号処理を行うことによって、デジタル化された撮像信号(パルス信号)を画像生成部52に出力する。
【0031】
また、信号処理部51は、撮像装置3及び制御装置5の同期信号、及びクロックを生成する。撮像装置3への同期信号(例えば、カメラヘッド9の撮像タイミングを指示する同期信号等)やクロック(例えばシリアル通信用のクロック)は、図示しないラインで撮像装置3に送られ、この同期信号やクロックを基に、撮像装置3は駆動する。
【0032】
画像生成部52は、信号処理部51から入力される撮像信号をもとに、表示装置4が表示する表示用の画像信号を生成する。画像生成部52は、撮像信号に対して、所定の信号処理を実行して被写体画像を含む表示用の画像信号を生成する。ここで、画像生成部52は、画像処理としては、補間処理や、色補正処理、色強調処理、及び輪郭強調処理等の各種画像処理等の公知の画像処理のほか、後述する瞳変調フィルタ21fによって瞳関数位相分布が変調された信号を復元処理し、被写界深度を拡大する撮像画像の生成を行う。画像生成部52は、点像分布関数(PSF)を用いたデジタル処理を施すことによって復元する。画像生成部52は、生成した画像信号を表示装置4に出力する。
【0033】
通信モジュール53は、制御部55から送信された後述する制御信号を含む制御装置5からの信号を撮像装置3に出力する。また、撮像装置3からの信号を制御装置5内の各部に出力する。つまり通信モジュール53は、撮像装置3へ出力する制御装置5の各部からの信号を、例えばパラレルシリアル変換等によりまとめて出力し、また撮像装置3から入力される信号を、例えばシリアルパラレル変換等により振り分け制御装置5の各部に出力する、中継デバイスである。
【0034】
入力部54は、キーボード、マウス、タッチパネル等のユーザインタフェースを用いて実現され、各種情報の入力を受け付ける。
【0035】
制御部55は、制御装置5及びカメラヘッド9を含む各構成部の駆動制御、及び各構成部に対する情報の入出力制御などを行う。制御部55は、メモリ56に記録されている通信情報データ(例えば、通信用フォーマット情報など)を参照して制御信号を生成し、該生成した制御信号を、通信モジュール53を介して撮像装置3へ送信する。また、制御部55は、伝送ケーブル8を介して、カメラヘッド9に対して制御信号を出力する。
【0036】
制御部55は、識別部55aを有する。識別部55aは、カメラヘッド9から出力される検出情報に基づいて、カメラヘッド9に接続された内視鏡2の種別を識別する。
【0037】
メモリ56は、フラッシュメモリやDRAM(Dynamic Random Access Memory)等の半導体メモリを用いて実現され、通信情報データ(例えば、通信用フォーマット情報など)が記録されている。なお、メモリ56は、制御部55が実行する各種プログラム等が記録されていてもよい。
【0038】
なお、信号処理部51が、入力されたフレームの撮像信号を基に、各フレームの所定のAF用評価値を出力するAF処理部、及び、AF処理部からの各フレームのAF用評価値から、最も合焦位置として適したフレームまたはフォーカスレンズ位置等を選択するようなAF演算処理を行うAF演算部を有していてもよい。
【0039】
上述した信号処理部51、画像生成部52、通信モジュール53及び制御部55は、プログラムが記録された内部メモリ(図示略)を有するCPU(Central Processing Unit)等の汎用プロセッサやASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の機能を実行する各種演算回路等の専用プロセッサを用いて実現される。また、プログラマブル集積回路の一種であるFPGA(Field Programmable Gate Array:図示略)を用いて構成するようにしてもよい。なおFPGAにより構成される場合は、コンフィグレーションデータを記憶するメモリを設け、メモリから読み出したコンフィグレーションデータにより、プログラマブル集積回路であるFPGAをコンフィグレーションしてもよい。
【0040】
次に、カメラヘッド9の構成として、本発明の要部を主に説明する。カメラヘッド9は、
図2に示すように、開口絞り91と、レンズユニット92と、撮像部93と、駆動部94と、通信モジュール95と、カメラヘッド制御部97と、検出部96とを備える。
【0041】
開口絞り91は、カメラヘッド9の光軸が通過する位置、かつレンズユニット92の入射瞳位置に配置される。開口絞り91には、内視鏡2にて集光された光を通過させる開口が形成されている。開口絞り91は、開閉自在なシャッタにより構成され、駆動部94による制御の下で開口の径を変更することが可能である。本実施の形態において、開口絞り91は、例えばカメラヘッド9に設けられたボタン(図示せず)の押下をトリガとして、駆動部94により開口の径の変更動作を電気的に行うものとして説明するが、ボタンの押下等によって機械的に開口の径を変更可能としてもよい。開口絞り91が取り得る開口の径については、後述する。
【0042】
レンズユニット92は、1または複数のレンズを用いて構成され、開口絞り91を通過した被写体像を、撮像部93を構成する撮像素子の撮像面に結像する。当該1または複数のレンズは、光軸に沿って移動可能に構成されている。そして、レンズユニット92には、当該1または複数のレンズを移動させて、画角を変化させる光学ズーム機構(図示略)や焦点位置を変化させるフォーカス機構が設けられている。なお、レンズユニット92は、光学ズーム機構及びフォーカス機構のほか、光軸上に挿脱自在な光学フィルタ(例えば赤外光をカットするフィルタ)等が設けられていてもよい。
【0043】
撮像部93は、カメラヘッド制御部97による制御の下、被写体を撮像する。この撮像部93は、レンズユニット92が結像した被写体像を受光して電気信号に変換する撮像素子を用いて構成されている。撮像素子は、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサまたはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサにより構成される。撮像素子がCCDの場合は、例えば、当該撮像素子からの電気信号(アナログ信号)に対して信号処理(A/D変換等)を行って撮像信号を出力する信号処理部(図示略)がセンサチップなどに実装される。撮像素子がCMOSの場合は、例えば、光から電気信号に変換された電気信号(アナログ信号)に対して信号処理(A/D変換等)を行って撮像信号を出力する信号処理部(図示略)が撮像素子に含まれる。撮像部93は、生成した電気信号を通信モジュール95に出力する。
【0044】
駆動部94は、カメラヘッド制御部97による制御の下、開口絞り91のシャッタを動作させて開口の径を変更させたり、光学ズーム機構やフォーカス機構を動作させ、レンズユニット92の画角や焦点位置を変化させたりするドライバを有する。
【0045】
通信モジュール95は、制御装置5から送信された信号をカメラヘッド制御部97等のカメラヘッド9内の各部に出力する。また、通信モジュール95は、カメラヘッド9の現在の状態に関する情報などを予め決められた伝送方式に応じた信号形式に変換し、伝送ケーブル8を介して当該変換した信号を制御装置5に出力する。つまり通信モジュール95は、制御装置5や伝送ケーブル8から入力される信号を、例えばシリアルパラレル変換等により振り分けカメラヘッド9の各部に出力し、また制御装置5や伝送ケーブル8へ出力するカメラヘッド9の各部からの信号を、例えばパラレルシリアル変換等によりまとめて出力する、中継デバイスである。
【0046】
検出部96は、例えば、内視鏡2Aおよび内視鏡2Bに設けられ、互いに異なる配置パターンを有する複数のピンの配置を電気的に検出する。検出部96は、内視鏡2が接続された際に、ピンの配置パターンを電気的に検出する。検出部96は、検出したピンの配置パターンに関する検出情報を生成する。この検出情報は、上述した識別部55aによる内視鏡2の識別に用いられる。なお、検出部96は、内視鏡2A及び内視鏡2Bに設けられたICタグやバーコードが読み取った情報、メモリに格納された情報を参照する等によって、検出情報を生成するようにしてもよい。
【0047】
カメラヘッド制御部97は、伝送ケーブル8を介して入力した駆動信号や、カメラヘッド9の外面に露出して設けられたスイッチ等の操作部へのユーザ操作により操作部から出力される指示信号等に応じて、カメラヘッド9全体の動作を制御する。また、カメラヘッド制御部97は、伝送ケーブル8を介して、カメラヘッド9の現在の状態に関する情報を制御装置5に出力する。
【0048】
なお、上述した駆動部94、通信モジュール95、カメラヘッド制御部97及び検出部96は、プログラムが記録された内部メモリ(図示略)を有するCPU等の汎用プロセッサやASIC等の特定の機能を実行する各種演算回路等の専用プロセッサを用いて実現される。また、プログラマブル集積回路の一種であるFPGAを用いて構成するようにしてもよい。なお、FPGAにより構成される場合は、コンフィグレーションデータを記憶するメモリを設け、メモリから読み出したコンフィグレーションデータにより、プログラマブル集積回路であるFPGAをコンフィグレーションしてもよい。
【0049】
なお、カメラヘッド9や伝送ケーブル8に、通信モジュール95や撮像部93により生成された撮像信号に対して信号処理を施す信号処理部を構成するようにしてもよい。また、カメラヘッド9内部に設けられた発振器(図示略)で生成された基準クロックに基づいて、撮像部92を駆動するための撮像用クロック、及び駆動部94を駆動するための駆動用クロックを生成し、撮像部92及び駆動部94にそれぞれ出力するようにしてもよいし、伝送ケーブル8を介して制御装置5から入力した同期信号に基づいて、撮像部92、駆動部94、及びカメラヘッド制御部97における各種処理のタイミング信号を生成し、撮像部92、駆動部94、及びカメラヘッド制御部97にそれぞれ出力するようにしてもよい。また、カメラヘッド制御部97をカメラヘッド9ではなく伝送ケーブル8や制御装置5に設けてもよい。
【0050】
図3A及び
図3Bは、本発明の実施の形態にかかる内視鏡2及びカメラヘッド9の構成を説明する模式図である。カメラヘッド9に取り付けられる内視鏡2としては、
図3A及び
図3Bに示すような内視鏡2A,2Bがある。内視鏡2A,2Bは、先端側で外部の光を取り込んで、基端側でカメラヘッド9に接続する。内視鏡2A,2Bは、互いに異なる観察光学系を有している。
【0051】
内視鏡2Aは、挿入部21の内部に観察光学系21Aを備えている。観察光学系21Aは、当該観察光学系21Aの光軸N
Aに沿って、先端側から対物レンズ21a、第1リレー光学系21b、第2リレー光学系21c、第3リレー光学系21d、接眼レンズ21eの順で配置されてなる。また、三つのリレー光学系のうち最も基端側に位置する第3リレー光学系21dには、位相変調素子である瞳変調フィルタ21fが設けられている。瞳変調フィルタ21fは、位相板を用いて構成され、観察光学系21Aの結像特性を変化させてぼけた中間像を形成する。この中間像は、焦点位置のずれに依存しない像となる。
【0052】
内視鏡2Bは、挿入部22の径が、挿入部21の径よりも大きい。内視鏡2Bは、挿入部22の内部に観察光学系22Aを備えている。観察光学系22Aは、当該観察光学系22Aの光軸N
Bに沿って、先端側から対物レンズ22a、第1リレー光学系22b、第2リレー光学系22c、第3リレー光学系22d、接眼レンズ22eの順で配置されてなる。観察光学系22Aの光軸N
B方向の最大径は、観察光学系21Aの光軸N
A方向の最大径より大きい。
【0053】
また、内視鏡2Bの観察光学系22Aにより形成される被写体像の大きさである射出瞳SBの径r
Bは、内視鏡2Aの観察光学系21Aにより形成される射出瞳SAの径r
Aより大きい。言い換えれば、内視鏡2Aの射出瞳SAの径r
Aは、内視鏡2Bの射出瞳SBの径r
Bより小さい。
【0054】
図4A及び
図4Bは、本発明の実施の形態にかかる開口絞り91の開口径について説明する図である。開口絞り91は、第1開口91a(
図4A参照)と、開口の径R
2が第1開口91aの径R
1よりも小さい第2開口91b(
図4B参照)との二つの開口パターンを取り得る。第1開口91aの径R
1は、例えば、内視鏡2Bの射出瞳SBの径r
Bよりも大きい。第2開口91bの径R
2は、内視鏡2Bの射出瞳SBの径r
Bよりも小さく、かつ内視鏡2Aの射出瞳SAの径r
Aよりも大きい。
【0055】
また、制御装置5では、接続された内視鏡2が、内視鏡2Aであるか、内視鏡2Bであるかを、検出部96が生成した検出情報に基づいて識別する。具体的には、識別部55aが、検出部96が検出したピンの配置パターンに基づいて、接続された内視鏡2を識別する。
【0056】
制御装置5において、制御部55は、識別部55aにより接続された内視鏡2の種別が識別されると、画像生成部52に、接続された内視鏡2に応じた画像処理を実行させる。具体的に、制御部55は、瞳変調フィルタ21fを有するとともに射出瞳径が内視鏡2Bより小さい内視鏡2Aが接続されたと識別部55aにより識別された場合、画像生成部52に、上述した復元処理を含む画像生成処理を行わせる。これにより、被写界深度が拡大された画像が生成される。
【0057】
これに対し、制御部55は、瞳変調フィルタ21fを有さず射出瞳径が内視鏡2Aより大きい内視鏡2Bが接続されたと識別部55aにより識別された場合、画像生成部52に、上述した復元処理以外の画像生成処理を行わせる。この際、開口絞り91の開口が第1開口91aであれば、解像度を優先した画像が生成される。一方、開口絞り91の開口が第2開口91bであれば、被写界深度の拡大を優先した画像が生成され、この画像は、第1開口91aの場合に対して被写界深度が拡大した画像となる。ユーザの操作によって開口絞り91の開口の径を変えることにより、解像度、及び被写界深度の拡大のうちのいずれかを優先した画像を生成することができる。
【0058】
観察光学系21Aに瞳変調フィルタ21fを配置し、この瞳変調フィルタ21fを通過した光に基づいて画像を生成する際に、点像分布関数(Point Spread Function:PSF)を用いて画像を生成することによって被写界深度を拡大する技術は、一般に波面符号化(Wevefront Coding:WFC)と呼ばれている。
【0059】
上述した実施の形態によれば、カメラヘッド9が、第1開口91aと、内視鏡2Bの射出瞳SBの径r
Bより小さく、かつ瞳変調フィルタ21fを有する内視鏡2Aの射出瞳SAの径r
Aより大きい径の第2開口91bを形成する開口絞り91を設けるようにしたので、内視鏡2Aを接続した場合や、瞳変調フィルタ21fを有さない内視鏡2Bを接続した場合であっても、後段の制御装置5において被写界深度を拡大した画像を生成することができる。
【0060】
また、上述した実施の形態によれば、内視鏡2Aに瞳変調フィルタ21fを設けることによって、径の小さい内視鏡2からの光を絞ることなく、被写界深度を拡大した画像を生成することができる。さらには、内視鏡2Aとカメラヘッド9との装着時のガタつき等により、内視鏡2Aの観察光学系21Aの光軸N
Aと、カメラヘッド9の開口絞り91の開口中心とにズレが生じたとしても、適切に被写界深度を拡大した画像を生成することができる。これにより、本実施の形態によれば、解像度を低下させることなく、被写界深度を拡大した画像を生成することができる。
【0061】
また、上述した実施の形態において、内視鏡2の挿入部21の径や射出瞳の径に応じて選択的に瞳変調フィルタ21fを設ければ、解像度の低下を抑制しつつ、被写界深度を拡大した画像を生成することが可能である。このため、すべての内視鏡2において瞳変調フィルタ21fを設けずとも、被写界深度を拡大した画像を生成することが可能であり、使用し得る内視鏡2について、瞳変調フィルタ21fを設けるためのコストを削減することができる。
【0062】
ここで、観察光学系における光軸上の色収差の影響により、赤外光を照明した際の焦点位置と、白色光を照明した際の焦点位置とがずれてしまう。このずれによって、焦点位置を固定して撮像した際に、生成される画像の一方がぼけてしまうという問題がある。本実施の形態によれば、上述したWFCを用いることによって、焦点位置のずれを含めて被写界深度を拡大することができるため、焦点位置を固定して、照明光を変えた場合であっても、画像のぼけの発生を抑制することが可能である。特に、赤外光による赤外画像と、白色光による白色画像とを重畳した重畳画像を生成する場合において、被写界深度が深く、かつ明瞭な重畳画像を得ることができる。
【0063】
なお、上述した実施の形態において、内視鏡2Aのほか、瞳変調フィルタを有し、射出瞳の径が異なる内視鏡2がカメラヘッド9に取り付けられうる場合、第2開口91bの径R
2は、瞳変調フィルタを有する内視鏡2の射出瞳径のうち、最大の射出瞳径よりも大きくする。すなわち、第2開口91bの径R
2は、第1開口91aの径R
1よりも小さく、瞳変調フィルタを有する内視鏡2の最大の射出瞳径よりも大きい。
【0064】
また、上述した実施の形態では、カメラヘッド9に内視鏡2Bを接続した場合において、開口絞り91の開口に応じて解像度を優先する画像と被写界深度の拡大を優先する画像とが選択可能である例を説明したが、被写界深度の拡大を優先した画像のみを生成する構成であれば、開口絞り91の開口を第2開口91bで固定してもよい。すなわち、被写界深度の拡大を優先した画像を生成するのみの内視鏡装置1の構成では、開口絞り91は、第2開口91bに固定された中空円盤状をなすものになる。
【0065】
また、上述した実施の形態において、内視鏡2Bのほか、瞳変調フィルタを有さず、射出瞳の径が異なる内視鏡2がカメラヘッド9に取り付けられうる場合、開口絞り91の第1開口91aの径R
1を可変としてもよい。すなわち、第1開口91aの径R
1の大きさは、瞳変調フィルタを有さない内視鏡2の射出瞳径のうちの最大の射出瞳径よりも大きい径を上限値とし、瞳変調フィルタを有さない内視鏡2の射出瞳径のうち、最小の射出瞳径よりも小さい径を下限値とする。そして、開口絞り91の第1開口91aの径R
1を可変とし、接続される内視鏡2に応じ開口絞りの開口径を調整可能とする。
【0066】
また、上述した実施の形態において、内視鏡2Aが瞳変調フィルタを有さない場合には、画像処理によって深度拡大を行ってもよい。この場合、画像生成部52は撮像信号に対して、点像分布関数(PSF)を用いた信号処理を行うのではなく、例えば輪郭強調処理を施すことにより、被写界深度を拡大する撮像画像の生成を行ってもよい。具体的には、瞳変調フィルタを有さない内視鏡2Aが接続された場合、内視鏡2Bが接続された場合よりも輪郭強調処理による強調度合いを大きくした画像処理を施し、撮像画像における輪郭が明瞭な領域を拡張することにより被写界深度の拡大を行う。なお、この時に、接続される内視鏡2AのMTF(Modulation Transfer Function:変調伝達関数)特性に応じ、輪郭強調の強度を、撮像した画像内の領域で変えるなど、輪郭強調のパラメータ設定を可変としてもよい。この場合も上述した実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0067】
なお、上述した実施の形態では、接続される内視鏡2の種別に応じ、開口絞りと波面符号化とを適用させ、または開口絞りと輪郭強調処理とを適用させることにより、被写界深度の拡大を行うものとして説明したが、これに限らず、開口絞り91を設けずに、波面符号化と輪郭強調処理とを適用させることにより、被写界深度の拡大を行ってもよい。具体的には、内視鏡2の射出瞳径の大きさにかかわらず、瞳変調フィルタを有する内視鏡2がカメラヘッド9に接続された場合には、画像生成部52が撮像信号に対して点像分布関数(PSF)を用いた信号処理を施すことにより被写界深度を拡大する撮像画像の生成を行い、瞳変調フィルタを有さない内視鏡2がカメラヘッド9に接続された場合には、画像生成部52が撮像信号に対して輪郭強調処理を施すことにより被写界深度を拡大する撮像画像の生成を行ってもよい。この場合も、接続された内視鏡2に応じ、被写界深度を拡大した画像を生成することが可能となる。この際、瞳変調フィルタを有さない内視鏡2の射出瞳径の大きさに応じて、輪郭強調処理による強調度合いを変えてもよい。例えば、内視鏡2の射出瞳径の大きさが小さくなるほど、相対的に強調度合いを大きくする。
【0068】
また、上述した実施の形態において、開口絞りや波面符号化を適用させることにより被写界深度の拡大を行う場合に、輪郭強調処理をさらに適用させ、被写界深度のさらなる拡大を行ってもよい。その際、開口絞りや波面符号化を適用対象外とする内視鏡2がカメラヘッド9に接続された場合には、開口絞りや波面符号化を適用対象とする内視鏡2がカメラヘッド9に接続された場合に対して、輪郭強調処理による強調度合いを大きくすることにより、被写界深度の拡大を行う。この場合も上述した実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0069】
ここまで、本発明を実施するための形態を説明してきたが、本発明は上述した実施の形態によってのみ限定されるべきものではない。上述した実施の形態では、制御装置5が信号処理などを行うものとして説明したが、カメラヘッド9側で行うものであってもよい。
【0070】
また、上述した実施の形態では、制御装置5に対し、画素数が比較的多い高画素な撮像素子を搭載し被写界深度の拡大が求められる撮像装置3が接続されることを前提としているが、これに限らず、被写界深度の拡大が不要な例えば比較的画素数が少ない撮像素子を搭載した撮像装置(図示略)も選択的に接続される構成であってもよい。この場合、制御装置5に撮像装置3が接続された場合と、比較的画素数が少ない撮像素子を搭載した撮像装置が接続された場合とで、被写界深度の拡大のための開口絞りや波面符号化や輪郭強調処理の適用と、これらの処理の非適用と、を選択的に切り替える構成としてもよい。さらには、接続される内視鏡2の種別に応じ、被写界深度の拡大のために、開口絞りと、波面符号化と、輪郭強調処理と、の少なくともいずれか二つを組み合わせて適用させてもよい。
【0071】
以上のように、本発明にかかる内視鏡装置は、接続される内視鏡の種別によらず、被写界深度を拡大した画像を生成するのに有用である。