(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-134427(P2018-134427A)
(43)【公開日】2018年8月30日
(54)【発明の名称】進入及び追跡用迅速交換拡張器を持つ頸動脈シース並びに使用方法
(51)【国際特許分類】
A61M 25/06 20060101AFI20180803BHJP
A61M 25/098 20060101ALI20180803BHJP
A61M 25/00 20060101ALI20180803BHJP
A61M 25/14 20060101ALI20180803BHJP
【FI】
A61M25/06 550
A61M25/098
A61M25/00 612
A61M25/14 500
A61M25/00 530
【審査請求】有
【請求項の数】24
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-40861(P2018-40861)
(22)【出願日】2018年3月7日
(62)【分割の表示】特願2014-552283(P2014-552283)の分割
【原出願日】2013年1月10日
(31)【優先権主張番号】13/349,060
(32)【優先日】2012年1月12日
(33)【優先権主張国】US
(71)【出願人】
【識別番号】514176893
【氏名又は名称】フィシェル イノベーションズ,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】100106840
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100131451
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 理
(74)【代理人】
【識別番号】100167933
【弁理士】
【氏名又は名称】松野 知紘
(74)【代理人】
【識別番号】100174137
【弁理士】
【氏名又は名称】酒谷 誠一
(74)【代理人】
【識別番号】100184181
【弁理士】
【氏名又は名称】野本 裕史
(72)【発明者】
【氏名】フィシェル,ロバート イー.
(72)【発明者】
【氏名】フィシェル,ティム エー.
【テーマコード(参考)】
4C167
【Fターム(参考)】
4C167AA16
4C167BB02
4C167BB06
4C167BB11
4C167BB43
4C167BB63
4C167CC09
4C167HH11
(57)【要約】 (修正有)
【課題】最少侵襲性の脈管治療において使用するための拡張器及びシースを提供する。
【解決手段】拡張器10は、拡張器内のガイドワイヤ内腔にアクセスするスロット23を含む。スロットは、1つの拡張器の別の拡張器への迅速交換を容易にする。別では、拡張器は、進入を容易にするために十分に硬いが、蛇行性経路に沿って拡張器の配置を容易にするようにも設計される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シースと関連して使用するための拡張器であって、
遠位端及び近位端を画定する、細長い本体であって、遠位部分及び近位部分が前記遠位端と前記近位端との間に延在する、細長い本体と、
前記本体内に位置付けられる内腔であって、前記本体の前記遠位端において遠位開口部を画定する、内腔と、
前記内腔から前記近位部分における前記細長い本体の側壁を通して延在する、スロットであって、前記スロットが、前記細長い本体の前記近位端から長手方向に延在し、前記細長い本体及び前記スロットが、前記近位部分内に前記内腔の偏心して位置付けられる部分を画定する、スロットと、
を備える、拡張器。
【請求項2】
前記スロットが、前記細長い本体の前記近位端から前記細長い本体の前記遠位端に延在する前記細長い本体の長さの大部分に沿って延在する、請求項1に記載の拡張器。
【請求項3】
前記拡張器が、ショアDスケール上で50超のデュロメータ硬度を有する材料で形成される、請求項1に記載の拡張器。
【請求項4】
前記拡張器が、前記シースの遠位端を越えて少なくとも10cm延在するように構成される、請求項1に記載の拡張器。
【請求項5】
前記拡張器が、ショアDスケール上で45以下のデュロメータ硬度を有する材料で形成される、請求項4に記載の拡張器。
【請求項6】
前記拡張器が、該拡張器の前記遠位端に隣接した先細でない円筒部分を含む、請求項4に記載の拡張器。
【請求項7】
前記先細でない円筒部分が、少なくとも3cmの長さである、請求項6に記載の拡張器。
【請求項8】
前記先細でない円筒部分が、0.025cm(0.010インチ)未満の側壁の厚さを有する、請求項6に記載の拡張器。
【請求項9】
前記拡張器が、前記先細でない円筒部分に隣接した先細の部分を形成する、請求項6に記載の拡張器。
【請求項10】
前記先細の部分が、少なくとも10cmの長さである、請求項9に記載の拡張器。
【請求項11】
前記拡張器が、放射線不透過性材料で形成される、請求項1に記載の拡張器。
【請求項12】
前記拡張器が、該拡張器の前記遠位端に隣接した放射線不透過性マーカーバンドを含む、請求項1に記載の拡張器。
【請求項13】
潤滑性コーティングを更に備える、請求項1に記載の拡張器。
【請求項14】
細長いシースと、進入拡張器と、追跡拡張器とを備えるシースアセンブリであって、
前記進入拡張器は、
遠位端及び近位端を画定する、細長い本体であって、遠位部分及び近位部分が前記遠位端と前記近位端との間に延在する、細長い本体と、
前記本体内に位置付けられる内腔であって、前記本体の前記遠位端において遠位開口部を画定する、内腔と、
前記内腔から前記近位部分における前記進入拡張器の側壁を通して延在する、スロットであって、前記スロットが、前記細長い本体の前記近位端から長手方向に延在し、前記細長い本体及び前記スロットが、前記近位部分内に前記内腔の偏心して位置付けられる部分を画定する、スロットと、
を備え、
前記追跡拡張器は、
遠位端及び近位端を画定する、細長い本体と、
前記本体内に位置付けられる内腔であって、前記本体の前記遠位端において遠位開口部を画定する、内腔と、
前記内腔から近位部分における前記追跡拡張器の側壁を通して延在する、スロットであって、前記スロットが、前記細長い本体の前記近位端から長手方向に延在し、前記細長い本体及び前記スロットが、前記近位部分内に前記内腔の偏心して位置付けられる部分を画定する、スロットと、
前記追跡拡張器の前記遠位端に隣接した先細でない円筒部分と、
を備える、シースアセンブリ。
【請求項15】
前記シースアセンブリは、第3の拡張器を更に備え、
前記第3の拡張器は、
遠位端及び近位端を画定する、細長い本体と、
前記本体内に位置付けられる内腔であって、前記本体の前記遠位端において遠位開口部を画定する、内腔とを備え、
前記第3の拡張器が、該第3の拡張器の前記遠位端に隣接した先細でない円筒部分と、前記先細でない円筒部分に隣接した先細の部分と、を備え、
前記第3の拡張器が、ショアDスケール上で45以下のデュロメータ硬度を有する材料で形成される、請求項14に記載のシースアセンブリ。
【請求項16】
患者の頸動脈の中への頸動脈シースの配置のために設計される迅速交換拡張器であって、前記拡張器が、細長い本体、及び該細長い本体の全長に延在する内腔を有し、前記内腔が、遠位開口部を画定する遠位端における中央に位置する円形部分を備え、近位部分におけるスロットを有し、前記スロットが、前記内腔から前記拡張器の外壁を通して、かつ前記内腔から前記拡張器の外壁を通して延在し、また、前記拡張器の近位端から遠位部分に長手方向に延在し、前記遠位部分が、前記遠位端から前記近位部分まで連続した外周を含み、前記スロットが、前記細長い本体の前記遠位部分から前記近位端まで前記細長い本体の残りの長さに沿って延在し、前記スロットが、前記拡張器の長さの大部分に沿って配設され、前記細長い本体及び前記スロットが、前記内腔の偏心して位置付けられる区分を画定する、迅速交換拡張器。
【請求項17】
前記拡張器は、迅速交換拡張器であって、
前記患者の皮膚を通して前記患者の鼠径部の大腿動脈の中に進入するために明示的に設計される進入拡張器であり、50超のショアDデュロメータを持つ比較的硬いプラスチック材料から形成される、請求項1に記載の拡張器。
【請求項18】
前記拡張器は、迅速交換拡張器であって、
頸動脈狭窄を通して配置されたガイドワイヤ上を、前記ガイドワイヤを前記狭窄から引き出すことなく容易に前進するように明示的に設計される追跡拡張器であり、少なくとも10cmの前記頸動脈シースの末端を越えて延在する長さを有し、前記拡張器の前記プラスチック材料が、45以下のショアDデュロメータを持ち、比較的柔らかい、請求項1に記載の拡張器。
【請求項19】
前記拡張器は、迅速交換追跡拡張器であって、
前記拡張器の前記遠位部分が、少なくとも3cmの長さを有する薄壁円筒管であり、前記頸動脈シースの前記遠位端に対して遠位にある前記拡張器の残りの部分が、略先細の区分であり、その最大直径が、前記頸動脈シースの前記遠位端に位置し、前記残りの部分の前記遠位端が、前記薄壁円筒管と同一の直径を有し、前記拡張器の前記先細の区分の長さが、少なくとも10cmである、請求項4に記載の拡張器。
【請求項20】
前記拡張器は、迅速交換拡張器であって、
前記拡張器を放射線不透過性にするように、タングステン等の金属粒子で充填されるプラスチックから形成される、請求項1に記載の拡張器。
【請求項21】
前記拡張器は、迅速交換拡張器であって、
該拡張器の前記遠位端、又はその付近に位置する放射線不透過性マーカーバンドを有する、請求項1に記載の拡張器。
【請求項22】
前記拡張器は、追跡拡張器であって、
前記拡張器を放射線不透過性にするように、タングステン等の金属粒子で充填されるプラスチックから形成される、請求項7に記載の拡張器。
【請求項23】
前記拡張器は、追跡拡張器であって、
該拡張器の前記遠位端、又はその付近に位置する放射線不透過性マーカーバンドを有する、請求項7に記載の拡張器。
【請求項24】
前記拡張器は、追跡拡張器であって、
蛇行性動脈を通過するその能力を強化するように、潤滑性コーティングを有する、請求項7に記載の拡張器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、シース、カテーテル、及び拡張器等の最小侵襲性処置デバイスに関する。より具体的には、本開示は、頸動脈を含むヒト脈管構造内での処置に使用するためのシース、カテーテル、及び拡張器に関する。
【図面の簡単な説明】
【0002】
本明細書に開示される実施形態は、添付図面と併せて、以下の説明及び別記の請求項からより完全に明らかとなる。これらの図面は、典型的な実施形態のみを描き、添付図面の使用を通して追加の特異性及び詳細と共に説明される。
【0003】
【
図1】迅速交換進入拡張器及び頸動脈シースの一実施形態の部分の長手方向断面である。
【
図2】頸動脈シース内に配設される迅速交換追跡拡張器の一実施形態の長手方向断面である。
【
図3】線3−3を通して取られる、
図2の追跡拡張器の横断断面図である。
【
図4】線4−4を通して取られる、
図2の追跡拡張器の横断断面図である。
【
図5】頸動脈シース内に配設される拡張器の長手方向断面である。
【
図6】線6−6を通して取られる、
図5の拡張器の一部分の横断断面図である。
【
図7】線7−7を通して取られる、
図5の拡張器の一部分の横断断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0004】
カテーテル、シース、拡張器、ガイドワイヤ、及び他の処置デバイスは、最小侵襲性の処置及び治療、例えば、ヒト脈管構造内の最小侵襲性の治療に関連して使用される。以下の開示は、具体的に、とりわけ頸動脈内の狭窄又は他の閉塞にアクセスして処置するためのそのようなデバイスの配置及び使用に関する。これらの特定の例及び参照にも関わらず、本開示は、体内腔の細長いデバイスの配設を伴う任意の処置に適用可能である。
【0005】
いくつかの手技では、ステント、バルーン、フィルター、又は他の処置デバイスは、細長いカテーテル又はシースの使用を通して患者の脈管構造内を前進させられる。更に、そのようなシース又はカテーテルは、拡張器及び/又はガイドワイヤに関連して配置、前進、後退、又は移動させることができる。具体的に、場合によっては、細長いシース又はガイディングカテーテルは、その遠位端が頸動脈の一部分にアクセスするように、脈管構造内に配設される。そのようなシース若しくはガイディングカテーテルは、脈管構造内で治療を提供するように設計され得るか、又は他の器具、例えば、ステント若しくは他の処置デバイスを含むカテーテルを処置部位に前進させるために導管として使用され得る。場合によっては、シース又はガイディングカテーテルは、拡張器及び/又はガイドワイヤの使用を通して配置及び位置付けられる。本明細書で使用する際、「頸動脈シース」は、頸動脈へのアクセスを提供するように構成されるシース又はカテーテルを指す。
【0006】
概して本明細書に記載され、図面に示されるとおり、実施形態の構成要素が、多様な構成で配置及び設計され得ることは容易に理解されるであろう。したがって、様々な実施形態に関する以下のより詳細な説明は、図面に表されるとおり、本開示の範囲を制限するものではなく、単に様々な実施形態を代表するに過ぎない。実施形態の様々な態様が図面に提示されるが、これらの図面は、特に指示がない限り、必ずしも原寸に比例して描かれているとは限らない。
【0007】
「に接続して」、「に連結して」、及び「と連通して」という表現は、機械的、電気的
、磁気的、電磁的、液体、及び熱相互作用を含む、2つ以上の実体間の任意の形態の相互作用を指す。2つの構成要素は、互いに直接接触していないとしても、互いに連結され得る。例えば、2つの構成要素は、中間構成要素を通して互いに連結され得る。
【0008】
「近位」及び「遠位」という用語は、医療デバイスの反対端を指す。本明細書で使用する際、医療デバイスの近位端は、施術者がデバイスを使用又は操作している間、施術者に最も近い末端であり、一方、遠位端は反対端である。例えば、最小侵襲性の脈管処置において使用されるカテーテル又はシースの近位端は、使用中に施術者がアクセス可能な末端であり、一方、遠位端は使用中に患者の体内に配設される。
【0009】
細長い構成要素の「軸方向」は、細長い構成要素の中心軸に沿った方向を指す。
【0010】
場合によっては、施術者は、大腿動脈内の進入点により頸動脈にアクセスする。次いで、比較的小さなカテーテル及び/又はガイドワイヤを、大腿動脈から大動脈弓、及び大動脈弓から右若しくは左総頸動脈のいずれかに(場合によっては、右総頸動脈の場合は、無名動脈を介して)前進させることができる。内部又は外部頸動脈へのアクセスは、一般に、いずれかの総頸動脈を介して得られる。次いで、最初のカテーテル及び/又はガイドワイヤを使用して、後次のより硬いカテーテル又はガイドワイヤの位置付けを助けることができる。
【0011】
大動脈弓からいずれかの総頸動脈へのアクセス経路、及びその任意の後次の分岐は、比較的蛇行性であり得る。場合によっては、ステント送達デバイスのための導管として作用するように構成される頸動脈シースは、比較的硬いため、この蛇行性経路内に位置付けることは困難である。頸動脈シースを適切に配置することができないことは、最小侵襲性のステント留置を不可能にし得るため、結果として外科的動脈内膜切除等の侵襲性の高い手技に至る。
【0012】
例示的な手技は、最初に鼠径部の大腿動脈を通して血管系へのアクセスを得ることを含む。場合によっては、針及び/又はガイドワイヤがこの工程で用いられる。次いで、医師は、ガイドワイヤ及び/又は診断カテーテル(例えば、小カテーテル寸法5若しくは6フレンチ)を、進入点から大動脈弓、次いで大動脈弓から総頸動脈に前進させる。場合によっては、ガイドワイヤ及び/又は診断カテーテルを、内部又は外部頸動脈の中に更に前進させる。次いで、診断カテーテルを用いて、硬いガイドワイヤを処置部位に前進させることができる。いくつかの手技の過程の間、硬いガイドワイヤの遠位端は、処置中にこれらの遠位位置のうちの1つに係留されたままである。例示的な手技において、医師は、次いで進入及び/又は追跡拡張器を使用して、シースを進入点、及び処置場所の直近位にある位置に導入及び前進させる。シースのそのような位置付けは、医師が、シースを用いて、バルーン、ステント等の処置デバイスを処置部位に前進させることを可能にする。場合によっては、シースは非常に硬い。そのような場合、比較的硬いシースを前進させるための追跡拡張器の使用は、シースによって、硬いガイドワイヤの遠位端がその係留場所から変位させられる危険性を低減することができる。
【0013】
以下で更に記載されるとおり、いくつかの実施形態では、1つ以上の拡張器が、頸動脈シースの処置場所への前進に関連して用いられる。本明細書で使用する際、「拡張器」は、細長いシース内に配設されるように構成され得る細長い器具を指し、シースが経路に沿って前進するにつれてシースを先導するように構成される。いくつかの実施形態では、拡張器は、高抵抗点を越えて、例えば、アクセス点での動脈壁を通して拡張器及び/又はシースを前進させることを補助するために、比較的硬いか、又は弾力性がある(例えば、瘢痕組織又は石灰化がアクセスを特に困難にしている場合)。いくつかの拡張器は、ガイドワイヤ等の他の器具を収容するように構成される内腔を含む。更に、以下に記載される実
施形態の一部では、拡張器は、拡張器間の迅速交換を容易にするように構成される特徴を含む。例えば、以下に詳述されるとおり、本開示の範囲内のいくつかの拡張器は、迅速交換を容易にするためのスロットを含む。迅速交換は、例えば、第1の拡張器が主に進入に使用される(「進入拡張器」)一方で、第2の拡張器が、遠位蛇行性経路に沿って、例えば、大動脈弓から頸動脈にシースを前進させる場合に用いられる(「追跡拡張器」)。
【0014】
図1は、迅速交換進入拡張器10及び頸動脈シース40の一実施形態の部分の長手方向断面である。図示されるとおり、各構成要素の遠位端は、近位端の左に位置付けられる。図示される実施形態では、図面の右側の切欠線により示されるように、各構成要素の(遠位端に隣接した)部分のみが示される。
【0015】
図示される進入拡張器10は、頸動脈シース40内に配設されるように構成される細長い本体21を含む。頸動脈シース40は、放射線不透過性マーカーバンド42を伴って構成され、いくつかの実施形態では、頸動脈シース40の遠位端に、又はそれに隣接して位置付けられる。
図1の進入拡張器10は、ガイドワイヤ(図示せず)を収容するように構成される中心内腔22を更に含む。いくつかの実施形態では、中心内腔22は、特定寸法のガイドワイヤ、例えば、約0.030cm〜約0.097cm(約0.012インチ〜約0.038インチ)を収容するように寸法決定され、約0.046cm〜約0.081cm(約0.018インチ〜約0.032インチ)及び約0.056cm〜約0.071cm(約0.022インチ〜約0.028インチ)のガイドワイヤを含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、進入拡張器10及び頸動脈シース40は、互いに対して各構成要素の軸方向に変位可能である。しかしながら、ある治療の間に、2つの構成要素は、脈管構造内で一緒に前進又は後退させられ、2つの構成要素が、互いに対して軸方向変位することなく、1つのユニットとして移動することを意味する。追加として、場合によっては、2つの構成要素は、それらの構成要素を一緒に移動させることと、それらを互いに対して変位させることとの組み合わせにより前進させられる。
【0017】
進入拡張器10及び頸動脈シース40が一緒に前進させられる実施形態では、距離L1は、頸動脈シース40の遠位端から延在する進入拡張器10の一部の長さである。いくつかの実施形態では、L1は、約2cm〜約8cmの長さであり、約3cm〜約7cmの長さ及び約4cm〜約6cmの長さを含む。ある実施形態では、進入拡張器10は、頸動脈シース40に対して変位可能であるため、距離L1は、一定の値ではなく、むしろ一般的なパラメータを表し得る。他の実施形態では、L1は、進入拡張器10が頸動脈シース40から延在するように構成される最大距離を表す。換言すれば、いくつかの例では、進入拡張器10は、頸動脈シース40に対してある点まで変位可能であるように構成されるが、頸動脈シース40に対して進入拡張器10の遠位端の最大変位を制限するように構成される、連結機構(例えば、近位端上のルアー取付具)を更に含むことができる。
【0018】
いくつかの実施形態では、進入拡張器10は、偏在するスロット23を含む。(拡張器の別の実施形態における類似スロットの横断断面図も
図4に示される。)以下に更に概説されるとおり、
図1のスロット23は、進入拡張器10の別の拡張器との迅速交換を容易にするように構成される。図示される実施形態では、スロット23は、中心内腔22と連通する進入拡張器10の側壁内の細長い開口部として構成される。スロット23は、進入拡張器10の近位端まで延在する。
図1に示される距離L2は、頸動脈シース40の遠位端からスロット23の始まりまでの距離を表す。換言すれば、L2は、頸動脈40内に配設されるが、スロット23を含まない進入拡張器10の長さである。いくつかの実施形態では、L2は、約5cm〜約15cmであり、約7cm〜約12cm及び約9cm〜約11cmの実施形態を含む。
【0019】
図示される進入拡張器10は、進入拡張器10の遠位端に隣接した先細の部分24を有する。いくつかの実施形態では、先細の部分24は、頸動脈シース40から完全に延在するように構成され、つまり、いくつかの実施形態では、先細の部分24は、L1の長さを有する。他の実施形態では、先細の部分24は、L1より長いか、又は短い。
【0020】
図示される実施形態では、距離L3は、スロット23の遠位端から頚動脈シース40の近位端(図示せず)までの進入拡張器10及び頸動脈シース40の長さに対応する。いくつかの実施形態では、進入拡張器10は、頸動脈シース40の近位端から近位に延在するが、他の実施形態では、近位端の頸動脈シース40とぴったり重なるか、又はそれより短い。いくつかの実施形態では、L3は、約60〜100cmであり、約70cm〜90cmの実施形態及び約75cm〜約85cmの実施形態を含む。ある実施形態では、頸動脈シース40は、トーイ−ボースト取付具に連結可能なルアーを含む、近位端のルアー取付具を含む。
【0021】
図示される実施形態では、進入拡張器10は、脈管構造の中への進入を容易にするように構成される。例えば、いくつかの実施形態では、進入拡張器10は、大腿動脈等の石灰化動脈を通しての進入を容易にするために、(例えば、以下に記載される追跡拡張器と比較して)比較的硬い。したがって、ある実施形態では、進入拡張器10は比較的硬い材料、例えば、ポリプロピレン又はナイロンで構成される。更に、いくつかの実施形態では、拡張器に用いられる材料は、ショアDスケール上で50以上のデュロメータ硬度を有し、ショアDスケール上で約50〜約80の硬度を有する材料、又はショアDスケール上で約60〜約70の硬度を有する材料を含む。
【0022】
図2は、頸動脈シース60内に配設される追跡拡張器30の長手方向断面である。
図1は、進入拡張器10を示し、
図2は、追跡拡張器30を示すが、それぞれのある要素及びサブコンポーネントは、ある観点では、他の要素及びサブコンポーネントに類似し得る。当然のことながら、図示される実施形態の全てが、類似の特徴を有し得る。したがって、そのような特徴の関連記述は、追跡拡張器30の特徴及び
図2の関連構成要素に等しく適用される。
図1に図示される構成要素に対して記載される、特徴及びそれらの変型の任意の好適な組み合わせは、
図2の構成要素と共に用いることができ、逆もまた同様である。更に、1つの図に示される類似又は実質的に類似の特徴は、類似の特徴が類似の図面においてそのように指定されているか否かに関わらず、参照番号により指定されてもされなくてもよい。この開示パターンは、本明細書に記載される更なる実施形態及び構成要素に等しく適用される。
【0023】
図2は、頸動脈シース60内に配設される追跡拡張器30を示す。
図1の頸動脈シース40と同様に、
図2の頸動脈シース60は、放射線不透過性マーカーバンド62を含む。図示される実施形態では、追跡拡張器30は、本体31内に配設される中心内腔32を持つ本体31を含む。いくつかの実施形態では、中心内腔32は、ガイドワイヤを収容するように構成され、
図1の中心内腔22に類似する。更に、
図2に示される追跡拡張器30は、偏心して配置されたスロット33を含む。図示される実施形態では、スロット33は、頸動脈シース60の遠位端から距離L6に位置する。いくつかの実施形態では、L6は、約60〜100cmであり、約70cm〜90cmの実施形態、及び約75cm〜約85cmの実施形態を含む。
図1のスロット23のように、
図2の追跡拡張器30のスロット33は、追跡拡張器30の近位端(図示せず)に示される位置から延在する。
【0024】
以下に更に詳述されるとおり、いくつかの実施形態では、追跡拡張器30は、脈管構造の比較的蛇行性の部分へのアクセスを容易にするように構成される。例えば、いくつかの手技において、比較的小さな直径の針は、アクセス点で大腿動脈の中に挿入され、薄いガイドワイヤは、針を通して挿入される。例示的な手技では、次に針が除去され、進入拡張
器(例えば、
図1からの10)が、ガイドワイヤに沿って前進させられる。上記のとおり、
図1の進入拡張器10は比較的硬く、それが動脈壁を通して、又は動脈内の石灰化組織を通して押されることを可能にし、それにより、脈管構造へのより完全なアクセスを提供する。場合によっては、次いで、進入拡張器10は、血管内の蛇行性経路を横断するため、例えば、大動脈弓から総頸動脈、又はそれを越えて横断するために、追跡拡張器30に交換される。いくつかの手技では、頸動脈シース40は、追跡拡張器30を用いて前進させられる。
【0025】
いくつかの実施形態では、拡張器10、30のスロット23、33は、1つの拡張器10、30の別の拡張器への迅速交換を容易にする。例えば、施術者が拡張器「A」を体内で拡張器「B」と置換しようとするいくつかの手技では、各拡張器上のスロットがこの交換を容易にする。この例では、ガイドワイヤは、拡張器A内に配設される。拡張器Aがガイドワイヤの近位端を越えて除去される場合、施術者が、依然としてガイドワイヤを直接把持する(ないしは別の方法で固定する)ことができつつ、拡張器を除去することを可能にするために、体外に配設されるガイドワイヤの長さは、拡張器Aの全長より長い必要がある。しかしながら、拡張器内のスロットは、施術者が、拡張器をガイドワイヤからスロットを介して分離することを可能にし、施術者が、ガイドワイヤとの直接接触を挿入点付近に維持することを可能にする。拡張器A(スロットを有しない)の最遠位部分のみが、ガイドワイヤの近位端を越えて送給される必要がある。同様に、施術者が拡張器Aを拡張器Bと置き換えるとき、拡張器Bの遠位端(スロットを有しない)は、ガイドワイヤの近位端を越えて摺動させることができるが、拡張器の残りの部分は、スロットを介してガイドワイヤの上に送給され得る。したがって、ガイドワイヤが患者から各拡張器の非スロット部分の長さを超える距離だけ延在する限り、施術者は、ガイドワイヤとの固定接触を挿入点付近に維持しながら迅速に交換することができる。
【0026】
図2の追跡拡張器30の特徴は、比較的蛇行性の経路に沿って追跡拡張器30の前進を容易にするように構成される。いくつかの実施形態では、追跡拡張器30は、追跡拡張器30の遠位端に隣接した円筒部分35を含む。この円筒部分35は、その長さL5に沿って一定外径を画定する。L5は、いくつかの実施形態では約3cm〜約15cmであり、約5cm〜約12cmの実施形態、及び約7cm〜約11cmの実施形態を含む。更に、いくつかの実施形態では、円筒部分35は、比較的薄い壁設計で形成され、拡張器の壁は、場合によっては0.064cm(0.025インチ)未満であり、0.051cm(0.020インチ)未満、0.038cm(0.015インチ)未満、及び0.025cm(0.010インチ)未満の壁厚を含む。更に、いくつかの実施形態の追跡拡張器30は、比較的柔らかい材料、例えば、ショアDスケール上の45以下のデュロメータ硬度を持つエラストマーで構成される。場合によっては、追跡拡張器30は、例えば、
図1の進入拡張器10等の進入拡張器、又は
図1及び2の頸動脈シース40、60等の頸動脈シースより柔らかい。
【0027】
ある手技では、追跡拡張器30の柔軟性、及び/又は円筒部分35の薄壁設計は、蛇行性経路に沿った追跡拡張器の前進を容易にする。より硬い拡張器、例えば、
図1の進入拡張器10は、比較的蛇行性の経路上を前進することはより困難であり得る。更に、追跡拡張器30の設計は、より硬い拡張器と比較して、追跡拡張器30を配置するために使用されるガイドワイヤの遠位端を変位させる危険性を低下させ得る。
【0028】
いくつかの実施形態では、追跡拡張器30は、円筒部分35に隣接した先細の部分34を含む。図示された実施形態では、先細の部分34は、追跡拡張器30のより柔軟な円筒部分35とより硬い近位部分との間の遷移部分として構成される。例示的な実施形態では、したがって、追跡拡張器30は、異なる経路に沿って追跡拡張器30の前進を容易にするための柔軟な先端を有する一方で、追跡拡張器30の長さに沿ってより硬い部分も有す
る。このより硬い部分は、比較的硬い頚動脈シース60を処置場所に前進させることを容易にするように構成される。いくつかの実施形態では、先細の部分34は、約5cm〜約30cmの長さL4を有し、約10cm〜約20cm、及び約12cm〜約17cmの長さを含む。更に、いくつかの実施形態では、先細の部分34は、その全長に沿って先細であるか、又はその長さの一部分に沿って円筒であり、かつその長さの別の部分に沿って先細である。
【0029】
いくつかの実施形態では、追跡拡張器30は、放射線不透過性材料、例えば、タングステン粒子がその中に蒸着されるエラストマー材で形成される。同様に、
図1の進入拡張器10は、いくつかの実施形態では放射線不透過性材料で形成される。
【0030】
図3は、線3−3を通して取られる、
図2の追跡拡張器30の横断断面図である。この図は、先細の部分34内の追跡拡張器30の側壁を示す。いくつかの実施形態では、中心内腔32は、実質的に追跡拡張器30の中心軸に沿って位置する。同様に、いくつかの実施形態では、
図1の進入拡張器10の中心内腔22は、進入拡張器10の中心軸に沿って位置する。
【0031】
図4は、線4−4を通して取られる、
図2の追跡拡張器30の横断断面図である。
図4は、追跡拡張器30の本体31内のスロット33の位置を示す。
図4は、頸動脈シース60内の追跡拡張器30の軸方向の位置付けも示す。
図4は、いくつかの実施形態では、スロット33が、追跡拡張器30の本体31内にどのように偏心して位置付けられるかを示す。
図2にも示されるとおり、図示される実施形態のスロット33は、中心内腔32と連通している。スロット33と中心内腔32との間の関係は、追跡拡張器30の全長に延在する中心内腔32として理解されてよく、中心内腔32は、追跡拡張器30の遠位端付近に放射状に集中し、中心内腔32が、追跡拡張器30の残りの長さに沿って、側壁を渡って拡張器の外面に至る(スロット33を形成する)ように偏心して位置付けられる。したがって、スロット33を形成する中心内腔32の部分は、それが開いた部分又はスロット部分であるため、単なる部分的内腔である。他の実施形態では、中心内腔32は、追跡拡張器30の長さに沿って放射状に集中し、スロット33は、中心内腔32から追跡拡張器30の側壁を通して延在する。
図1の進入拡張器10のスロット23は、
図2のスロット33及び追跡拡張器30と関連して記載される各実施形態において記載されるとおり、同様に位置付けられ得る。
【0032】
図1〜4に関連して記載される、進入及び追跡拡張器10、30を用いる例示的な手技は、医師が最初に鼠径部の大腿動脈を通して血管系へのアクセスを得ることにより開始する。場合によっては、針及び薄いガイドワイヤを使用して、最初に動脈の壁を穿孔する。この例では、次に、薄いガイドワイヤを使用して、診断カテーテル及び/又は硬いガイドワイヤを処置部位に前進させる。次いで医師は、硬いガイドワイヤに沿って進入拡張器10を前進させ、この進入拡張器10は、進入部位の石灰化組織を押し通して進むように構成される。場合によっては、硬いガイドワイヤは、処置部位までの全長に渡って、又はそれを越えて延在し、例えば、内部又は外部頸動脈内に係留され得る。更に、場合によっては、薄いガイドワイヤは、最初に処置部位まで、又はそれを越えて前進させられ、硬いガイドワイヤの必要性をなくす。
【0033】
この例では、次いでガイドワイヤ及び/又は進入拡張器10を使用して、それが処置部位へのアクセスを提供するように、頸動脈シース40を前進させる。いくつかの実施形態では、頸動脈シース40の遠位端は、処置部位の直近位に位置付けられる。場合によっては、頸動脈シース40は比較的硬く、ガイドワイヤに沿って頚動脈シース40を前進させることで、ガイドワイヤが変位又は移動するという著しい危険性を課し、これにはガイドワイヤの遠位端がその係留場所から移動する場合も含まれる。したがって、いくつかの実
施形態では、進入拡張器10を使用して、頸動脈シース40を処置部位に前進させ、ガイドワイヤを移動させる危険性を軽減する。処置部位への経路が比較的非蛇行性である手技では、進入拡張器10(頚動脈シース40を処置部位まで全長に渡って先導するために十分な長さを持つ)を使用して、頸動脈シース40を完全に前進させる。
【0034】
いくつかの実施形態では、進入部位と処置部位との間の蛇行性経路は、進入拡張器10を過度に硬くするため、頸動脈シース40の前進を容易にすることができない。したがって、いくつかの実施形態では、施術者は、進入拡張器10を追跡拡張器30と交換し、次いで追跡拡張器30に沿って頚動脈シース40を前進させる。(注記:この例では、
図2の追跡拡張器30は、
図1の進入拡張器10と同一の頸動脈シース40と関連して用いられ得る。したがって、頚動脈シース40を、追跡拡張器30に関連して、頸動脈シース60の代わりに使用することができる。)これは、追跡拡張器30及び頸動脈シース40をガイドワイヤに沿って前進させることにより行われ、追跡拡張器30は、頸動脈シース40の遠位端から突出する。いくつかの実施形態では、追跡拡張器30は、頸動脈シース40より柔らかく、蛇行性経路に沿って、例えば、大動脈弓からいずれかの総頚動脈、又はそれを越える頚動脈シース40の前進を容易にするように構成される。一旦頚動脈シース40が位置付けられると、次に施術者は、治療の残りの工程、例えば、ステント配置を行う。
【0035】
進入拡張器10が追跡拡張器30の前に使用されるいくつかの実施形態では、スロット23、33は、1つの拡張器10、30の他方の拡張器への迅速交換を可能にするように構成される。いくつかの実施形態では、スロット23、33は、施術者が、依然として進入部位に比較的近いガイドワイヤを把持しつつ、拡張器10、30を除去又は挿入することを可能にする。上記のとおり、スロット23、33が存在しない場合、進入部位から近位に延在するガイドワイヤの長さは、施術者が、拡張器10、30を除去しつつ、ガイドワイヤを直接把持する(ないしは別の方法で固定する)ことを可能にするために、拡張器10、30の全長より長い必要がある。いくつかの実施形態では、スロット23、33は、全体拡張器10、30をガイドワイヤの近位端を越えて送給することを必要とせずに、拡張器10、30が患者の体内から除去されると、施術者がガイドワイヤから拡張器10、30を分離することを可能にするように構成される。したがって、場合によっては、これらの拡張器10、30の「迅速交換」性質は、施術者が、ガイドワイヤを進入点付近に固定する能力により、施術者がガイドワイヤの安定性及び位置を維持することがより可能になるため、拡張器10、30を交換することで、ガイドワイヤが移動又は変位する危険性を低減する。
【0036】
更に、いくつかの実施形態では、頸動脈シース40、60の遠位端は、親水性コーティングを含む。進入及び/又は追跡拡張器10、30の外面は、いくつかの実施形態では、親水性コーティングも含む。このコーティングは、摩擦を低減し、拡張器10、30の交換、及び拡張器10、30に沿った頚動脈シース40、60の前進を容易にする。
【0037】
図5は、頸動脈シース70内に配設される拡張器50の長手方向断面である。頚動脈シース70は、放射線不透過性マーカーバンド72を含む。
図1及び2と同様に、
図5は、拡張器50及び頸動脈シース70の遠位部分を図示するが、近位端は示されていない。本明細書に開示される任意の拡張器10、30、50は、任意の頸動脈シース40、60、70と関連して使用され得る。
【0038】
図示される拡張器50は、拡張器50の遠位部分及び拡張器50の本体51の両方において放射状に集中した位置に位置付けられる中心内腔52を伴って構成され、拡張器10、30の一部分に沿って偏心して配置される(及びスロット23、33を形成する)進入及び追跡拡張器10、30の内腔(22、32)とは異なる。
【0039】
いくつかの実施形態では、拡張器50は、拡張器50の遠位端に隣接した円筒部分55を伴って構成される。この円筒部分55は、長さL5’を画定する。L5’は、いくつかの実施形態では約3cm〜約15cmであり、約5cm〜約12cmの実施形態、及び約7cm〜約11cmの実施形態を含む。更に、いくつかの実施形態では、円筒部分55は、比較的薄い壁設計で形成され、拡張器50の壁は、場合によっては0.064cm(0.025インチ)未満であり、0.051cm(0.020インチ)未満、0.038cm(0.015インチ)未満、及び0.025cm(0.010インチ)未満の壁厚を含む。
【0040】
更に、図示される実施形態では、拡張器50は先細の部分54を含む。先細の部分54は、約5cm〜約30cmの長さL4’を画定し、いくつかの実施形態では約10cm〜約20cm及び約12cm〜約17cmの長さを含む。更に、
図2の先細の部分34と同様に、いくつかの実施形態では、先細の部分54は、その全長に沿って先細になるか、又はその長さの一部分に沿って円筒であり、その長さの別の部分に沿って先細になる。
【0041】
図6及び7は、
図5の拡張器50の一部分の横断断面図である。
図6は、中心内腔52が先細の部分54内にどのように軸方向に集中され得るかを示すが、
図7は、中心内腔52、拡張器本体51、及び頸動脈シース70がどのように同心円状に位置付けられ得るかを示す。
【0042】
いくつかの手技では、拡張器50は、進入拡張器10及び追跡拡張器30の両方の代わりに使用するために構成される。例えば、患者は、進入部位に著しい瘢痕組織又は石灰化を有しない(例えば、患者が以前に血管手術を受けていない)場合、比較的硬い進入拡張器は必須でない。そのような例では、
図5の拡張器50は、頸動脈シース70の最初の進入及び後次の先導を可能にするために十分に硬い。追加として、拡張器50は、特に薄壁の円筒部分55に関連して、十分に柔軟であり、ある手技に対して困難な経路に沿って拡張器50の前進を容易にする。したがって、この設計は、場合によっては、複数の拡張器及び拡張器の交換に対する必要性をなくす。本明細書に記載される拡張器50は、上記の例示的な手技のいずれかにおいて、進入拡張器10、追跡拡張器30、又は両方の代わりに用いられてよい。
【0043】
本明細書に記載される拡張器10、30、50のいずれかは、任意のエラストマー又は他の材料で構成されてよく、タングステン粒子を含むプラスチック等の放射線不透過性材料を含む。更に、いくつかの実施形態では、拡張器10、30、50は、拡張器10、30、50に沿ったいくつかの点、例えば、遠位端付近に位置付けられる放射線不透過性マーカーバンドを伴って構成される。いくつかの実施形態では、放射線不透過性マーカーバンドは、プラチナ合金で形成される。
【0044】
更に、いくつかの実施形態では、本明細書に記載される拡張器10、30、50のいずれかは、拡張器10、30、50と頚動脈シース40、60、70との間に潤滑を提供するためにコーティングを伴って構成されてよく、したがって、拡張器10、30、50に沿った頚動脈シース40、60、70の前進を補助する。
【0045】
本明細書に開示される実施例及び実施形態は、単なる例証及び例示として見なされるものであり、いかようにも本開示の範囲の制限として見なされるものではない。本開示を用いて、本明細書における開示の基本原理から逸脱することなく、上記実施形態の詳細に変更を行ってよいことが当業者には明らかとなるであろう。
【外国語明細書】