【解決手段】第1の電子部品と第2の電子部品とを接続する接着フィルムであって、第1の接着剤層23と、第1の接着剤層23に積層され、第1の電子部品に貼付される第2の接着剤層24とを有し、第2の接着剤層24は、第1の接着剤層23よりも幅が狭く、第1の電子部品への仮貼温度においてタック性を有し、かつ第1の接着剤層23よりも粘度が低い。
第1の電子部品と第2の電子部品とを、上記請求項1〜11のいずれか1項に記載の接着フィルムを介在させて、圧着するとともに上記接着フィルムを硬化させる工程を有する接続体の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明が適用された接着フィルム、フィルム巻装体、接続体の製造方法について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が可能であることは勿論である。また、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることがある。具体的な寸法等は以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0017】
本発明が適用されたフィルム巻装体1は、
図1に示すように、接着フィルム2がリール3に巻回されることにより形成される。
【0018】
[リール]
リール3は、接着フィルム2を巻き取る筒状の巻芯10と、巻芯10の両端にそれぞれ設けられた板状のフランジ11とを備える。巻芯10は、リール3を回転させるための回転軸が挿入される軸穴10aを有する。巻芯10には、接着フィルム2の長手方向の一方の端部が接続され、接着フィルム2が巻回されている。
【0019】
巻芯10及びフランジ11は、例えば、種々のプラスチック材料を用いて形成することができる。フランジ11は、接着フィルム2と接する面に、静電処理を施すようにしてもよい。静電処理を施す方法としては、例えば、ポリチオフェン等の化合物をフランジ11に塗布する方法が挙げられる。
【0020】
[接着フィルム]
リール3に巻回されフィルム巻装体1を構成する接着フィルム2としては、電子部品を回路基板等に実装するCOG実装や、基板同士を接続するFOG実装などに用いられる異方性導電フィルム(ACF:Anisortropic Conductive Film)、あるいは太陽電池の電極とタブ線とを接続する導電性接着フィルム等が例示される。
【0021】
以下では、接着フィルム2として異方性導電フィルム20を例に説明する。
図2は、異方性導電フィルム20の構成例を示す断面図である。異方性導電フィルム20は、剥離フィルム21と、剥離フィルム21上に形成されたバインダー樹脂層22とを備える。異方性導電フィルム20は、テープ状に成型されており、フランジ11に挟持された巻芯10に、剥離フィルム21が外周側となるように巻回されることにより、巻芯10とフランジ11とで形成された領域に、フィルム巻装体1を構成する。
【0022】
[剥離フィルム]
剥離フィルム21は、例えば、基材にシリコーン等の剥離剤が塗布されており、テープ状に成型されている。剥離フィルム21は、異方性導電フィルム20の乾燥を防ぐとともに、異方性導電フィルム20の形状を維持する。剥離フィルム21に用いられる基材としては、例えば、PET(Poly Ethylene Terephthalate)、OPP(Oriented Polypropylene)、PMP(Poly-4-methylpentene-1)、PTFE(Polytetrafluoroethylene)等が挙げられる。
【0023】
[バインダー樹脂層]
図2、
図3に示すように、バインダー樹脂層22は、第1の接着剤層23と、第1の接着剤層23に積層され、第1の接着剤層23よりも幅が狭く、かつ30℃における粘度が第1の接着剤層23よりも低い第2の接着剤層24とを有する。
【0024】
[第1の接着剤層]
第1の接着剤層23は、膜形成樹脂、硬化性樹脂、潜在性硬化剤、シランカップリング剤等を含有する通常のバインダー樹脂からなり、導電性粒子25が分散されている。
【0025】
バインダー樹脂に含有される膜形成樹脂としては、平均分子量が10000〜80000程度の樹脂が好ましい。膜形成樹脂としては、エポキシ樹脂、変形エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、フェノキシ樹脂等の各種の樹脂が挙げられる。中でも、膜形成状態、接続信頼性等の観点からフェノキシ樹脂が特に好ましい。
【0026】
硬化性樹脂としては、特に限定されず、例えば、市販のエポキシ樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。
【0027】
エポキシ樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらは単独でも、2種以上の組み合わせであってもよい。
【0028】
アクリル樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じてアクリル化合物、液状アクリレート等を適宜選択することができる。例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、イソブチルアクリレート、エポキシアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート、テトラメチレングリコールテトラアクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−ジアクリロキシプロパン、2,2−ビス[4−(アクリロキシメトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(アクリロキシエトキシ)フェニル]プロパン、ジシクロペンテニルアクリレート、トリシクロデカニルアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート等を挙げることができる。なお、アクリレートをメタクリレートにしたものを用いることもできる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0029】
潜在性硬化剤としては、特に限定されないが、例えば、加熱硬化型、UV硬化型等の各種硬化剤が挙げられる。潜在性硬化剤は、通常では反応せず、熱、光、加圧等の用途に応じて選択される各種のトリガにより活性化し、反応を開始する。熱活性型潜在性硬化剤の活性化方法には、加熱による解離反応などで活性種(カチオンやアニオン、ラジカル)を生成する方法、室温付近ではエポキシ樹脂中に安定に分散しており高温でエポキシ樹脂と相溶・溶解し、硬化反応を開始する方法、モレキュラーシーブ封入タイプの硬化剤を高温で溶出して硬化反応を開始する方法、マイクロカプセルによる溶出・硬化方法等が存在する。熱活性型潜在性硬化剤としては、イミダゾール系、ヒドラジド系、三フッ化ホウ素−アミン錯体、スルホニウム塩、アミンイミド、ポリアミン塩、ジシアンジアミド等や、これらの変性物があり、これらは単独でも、2種以上の混合体であってもよい。中でも、マイクロカプセル型イミダゾール系潜在性硬化剤が好適である。
【0030】
シランカップリング剤としては、特に限定されないが、例えば、エポキシ系、アミノ系、メルカプト・スルフィド系、ウレイド系等を挙げることができる。シランカップリング剤を添加することにより、有機材料と無機材料との界面における接着性が向上される。
【0031】
バインダー樹脂を構成する接着剤組成物は、このように膜形成樹脂、硬化性樹脂、潜在性硬化剤、シランカップリング剤等を含有する場合に限定されず、通常の異方性導電フィルムの接着剤組成物として用いられる何れの材料から構成されるようにしてもよい。
【0032】
[導電性粒子]
導電性粒子25としては、異方性導電フィルム1において使用されている公知の何れの導電性粒子を挙げることができる。導電性粒子25としては、例えば、ニッケル、鉄、銅、アルミニウム、錫、鉛、クロム、コバルト、銀、金等の各種金属や金属合金の粒子、金属酸化物、カーボン、グラファイト、ガラス、セラミック、プラスチック等の粒子の表面に金属をコートしたもの、或いは、これらの粒子の表面に更に絶縁薄膜をコートしたもの等が挙げられる。樹脂粒子の表面に金属をコートしたものである場合、樹脂粒子としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、アクリロニトリル・スチレン(AS)樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ジビニルベンゼン系樹脂、スチレン系樹脂等の粒子を挙げることができる。
【0033】
[第2の接着剤層]
第1の接着剤層23に積層されている第2の接着剤層24も、第1の接着剤層23と同様に、膜形成樹脂、硬化性樹脂、潜在性硬化剤、シランカップリング剤等を含有する通常のバインダー樹脂からなる。第2の接着剤層24は、
図3に示すように、第1の接着剤層23よりも幅が狭く形成され、かつ30℃における粘度が第1の接着剤層23よりも低い。
【0034】
これにより、異方性導電フィルム20は、フィルム巻装体1として形成されたときに、巻き締りによる応力が掛かり、より粘度の低い第2の接着剤層24に変形が生じても、第2の接着剤層24のバインダー樹脂がフィルム巻装体1の側面よりはみ出すことを防止することができる。したがって、異方性導電フィルム20、及びこれを用いたフィルム巻装体1は、異方性導電フィルム20を長尺化して巻き締りの応力が増大しても、バインダー樹脂がリールフランジに接着することによるブロッキングの発生が防止される。
【0035】
また、異方性導電フィルム20は、第2の接着剤層24の30℃における粘度が第1の接着剤層23よりも低いため、フィルム巻装体1から引き出され回路部材等に仮貼りされる際に、第1の接着剤層23のみからなる異方性導電フィルムに比して、良好なタック性を発現する。したがって、低温低圧短時間で確実に仮貼りを行うことができる。
【0036】
なお、30℃という温度は、通常、異方性導電フィルムの巻装体から異方性導電フィルムが引き出される際の環境温度の上限である。
【0037】
[30℃粘度比]
第2の接着剤層24の30℃における粘度は、第1の接着剤層23の30℃における粘度の0.05倍以上0.5倍以下であることが好ましい。0.05倍未満であると、流動性が大きすぎ、はみ出しに起因するブロッキングが生じやすくなり、また、0.5倍より大きいと、タック性が不十分なため、低温で仮貼りした場合などにめくれ等が生じ、仮貼り性に劣るからである。
【0038】
[第2の接着剤層の幅]
第2の接着剤層24の幅は、第1の接着剤層23の幅の30%以上80%以下であることが好ましい。30%未満であると、仮貼り時に面積が少ないため、めくれや位置ズレ等が生じ、仮貼り性を損なうおそれがある。また、80%より大きいと、フィルム巻装体1から異方性導電フィルムを引き出す際に生じる応力による第2の接着剤層24の変形で、はみ出しが生じやすくなり、また、本圧着工程においては、バインダー樹脂が過剰となり、端子間における粒子捕捉性を損なう等の弊害も懸念される。
【0039】
[製法]
なお、第2の接着剤層24は、導電性粒子を含有しない絶縁性接着剤層として形成される。すなわち、異方性導電フィルム20は、導電性粒子含有層である第1の接着剤層23に、絶縁性接着剤層である第2の接着剤層24が積層されている。
【0040】
異方性導電フィルム20は、何れの方法で作製するようにしてもよいが、例えば以下の方法によって作製することができる。第1の接着剤層23を構成する膜形成樹脂、硬化性樹脂、潜在性硬化剤、シランカップリング剤、導電性粒子25等を含有する接着剤組成物を調整する。同様に、第2の接着剤層24を構成する接着剤組成物を調整する。それぞれ調整した接着剤組成物をバーコーター、塗布装置等を用いて剥離フィルム21上に塗布し、オーブン等によって乾燥させることにより、剥離フィルム21に第1の接着剤層23が積層支持された第1の接着フィルム及び剥離フィルム21に第2の接着剤層24が積層支持された第2の接着フィルムを得る。
【0041】
第1、第2の接着フィルムは、適宜所定の幅にスリットされた後、第1、第2の接着剤層23,24の位置合わせを行い、ラミネートされる。これにより、異方性導電フィルム20を得る。異方性導電フィルム20は、所定の長さだけリール3に巻回されることにより、フィルム巻装体1が製造される。
【0042】
[接続工程]
使用時には、異方性導電フィルム20は、フィルム巻装体1より引き出され、所定の長さに切断されて回路基板に仮貼りされる。このとき、異方性導電フィルム20は、第2の接着剤層24が第1の接着剤層23よりも幅が狭く形成され、かつ30℃における粘度が第1の接着剤層23よりも低く形成されているため、巻き締りによる応力が掛かったときにも、第2の接着剤層24のバインダー樹脂がフィルム巻装体1の側面よりはみ出してブロッキングが発生することもなく、スムーズに引き出すことができる。
【0043】
フィルム巻装体1より引き出された異方性導電フィルム20は、第2の接着剤層24が回路基板に仮貼りされる。このとき、異方性導電フィルム20は、第2の接着剤層24の30℃における粘度が第1の接着剤層23よりも低いため、第1の接着剤層23のみからなる異方性導電フィルムに比して、良好なタック性を発現する。したがって、低温低圧短時間で確実に仮貼りを行うことができる。
【0044】
仮貼り後、異方性導電フィルム20は、剥離フィルム21が第1の接着剤層23より剥離され、ICチップ等の各種電子部品が搭載された後、熱加圧や紫外線照射等による本圧着工程に供される。これにより、回路基板に異方性導電フィルム20を介して電子部品が接続された接続体が製造される。
【0045】
なお、異方性導電フィルム20は、第2の接着剤層24を導電性粒子含有層として形成してもよい。
【0046】
[第2の接着剤層]
また、
図4に示すように、第2の接着剤層24を複数のドット24aによって構成してもよい。複数のドット24aによって構成することにより、各ドット24a間にスペースが介在するため、フィルム巻装体1から異方性導電フィルムを引き出す際に生じる応力によっても各ドット24aがドット間のスペース内で変形するにとどまり、はみ出しやブロッキングを防止することができる。
【0047】
また、複数のドットによって構成することにより、実装時に流動する接着層が少なくなるため、粒子捕捉効率が向上することも期待できる。さらに、粒子量を増やすこと無く対応面積を維持でき、ショートリスクも低減できる。
【0048】
このような第2の接着剤層24は、例えば第1の接着剤層23上に、所定の開口径及びピッチを有するニッケルシーブを用いてバインダー樹脂をスクリーン印刷し、乾燥させることにより形成することができる。ドット24aの形状は、円形、楕円形、方形等、いずれの形状であってもよく、大きさやピッチ等も適宜設計することができる。
【0049】
なお、第2の接着剤層24を複数のドット24aによって構成した場合、第2の接着剤層24の幅とは、ドット24aの形成時における第1の接着剤層23の幅方向の最も外側にあるドット24a間の距離をいう。
【0050】
[第1の接着剤層]
また、異方性導電フィルム20は、第1の接着剤層23を複数層で形成するとともに少なくとも1層を導電性粒子含有層とし、かつ、この導電性粒子含有層に第2の接着剤層24を積層させてもよい。例えば、
図5に示すように、第1の接着剤層23は、導電性粒子25を含有する導電性接着剤層23aと、導電性粒子が含まれない絶縁性接着剤層23bとを積層させてなる2層構造としてもよい。この場合、異方性導電フィルム20のバインダー樹脂層22は、第1の接着剤層23の絶縁性接着剤層23bが剥離フィルム21に支持され、導電性粒子含有層23a上に第2の接着剤層24が積層された3層構造となる。第2の接着剤層24は、フィルム状でもドット状でもよく、また絶縁性接着剤層でも導電性粒子含有層であってもよい。
【0051】
導電性粒子含有層23aは、上述した第1の接着剤層23と同じ材料で構成することができ、絶縁性接着剤層23bは、導電性粒子含有層23aから導電性粒子25を除いたバインダー樹脂成分と同じ材料で構成することができる。
【0052】
第1の接着剤層23は、導電性粒子含有層23aを構成する各接着剤組成物を剥離フィルムに塗布、乾燥させるとともに、絶縁性接着剤層23bを構成する各接着剤組成物を剥離フィルム21に塗布、乾燥させた後、導電性粒子含有層23aと絶縁性接着剤層23bをラミネートすることにより形成することができる。
【0053】
その後、第1の接着剤層23は、導電性粒子含有層23aから剥離フィルムが剥離され、第2の接着剤層24がラミネートされることにより、3層構造のバインダー樹脂層22を有する異方性導電フィルム20を得る。
【実施例】
【0054】
次いで、本発明の実施例について説明する。本実施例では、第1の接着剤層及び第2の接着剤層の成分を変えて形成した異方性導電フィルムのサンプルと、第1の接着剤層のみからなる異方性導電フィルムのサンプルとを用いて、それぞれフィルム巻装体を製造し、引出時におけるはみ出し性、及び基板への仮貼り性について測定、評価した。
【0055】
異方性導電フィルムの第1、第2の接着剤層を構成するバインダー樹脂層として、表1に示すものを使用した。
【0056】
【表1】
【0057】
[実施例1]
実施例1では、第1の接着剤層となる、表1中1−1に記載の材料をトルエンに溶解した後、バーコーターにて剥離処理を施したPETフィルム上に塗布し、70℃10分間乾燥させることにより第1の接着フィルムを作成した。次いで、第2の接着剤層となる、表1中2−1に記載の材料をトルエンに溶解した後、バーコーターにて剥離処理を施したPETフィルム上に塗布し、70℃10分間乾燥させることにより第2の接着フィルムを作成した。
【0058】
次いで、第1の接着フィルムを幅1.0mmに、第2の接着フィルムを幅0.5mmにそれぞれスリットした後、ラミネータによって貼り合わせることにより、第1の接着剤層に、第1の接着剤層よりも幅狭のフィルム状の第2の接着剤層が積層された異方性導電フィルムを得た。実施例1に係る異方性導電フィルムは、第2の接着剤層が第1の接着剤層と幅方向の中心が略一致されて積層されている(
図3参照)。
【0059】
第1の接着剤層と第2の接着剤層の粘度を、回転式レオメータ(TA Instruments社製)を用い、昇温速度10℃/分、測定圧力0〜5g、使用測定プレート直径8mm、1Hzの条件で動的粘弾性測定を行い、30℃における粘度を測定した。実施例1に係る異方性導電フィルムは、第1の接着剤層の粘度が20000Pa・s/30℃、第2の接着剤層の粘度が600Pa・s/30℃、第2の接着剤層の粘度/第1の接着剤層の粘度=0.03である。
【0060】
[実施例2]
実施例2では、第2の接着剤層として、表1中2−2に記載の材料を用いた他は、実施例1と同じ条件とした。実施例2に係る異方性導電フィルムは、第1の接着剤層の粘度が20000Pa・s/30℃、第2の接着剤層の粘度が1000Pa・s/30℃、第2の接着剤層の粘度/第1の接着剤層の粘度=0.05である。
【0061】
[実施例3]
実施例3では、第2の接着剤層として、表1中2−3に記載の材料を用いた他は、実施例1と同じ条件とした。実施例3に係る異方性導電フィルムは、第1の接着剤層の粘度が20000Pa・s/30℃、第2の接着剤層の粘度が2000Pa・s/30℃、第2の接着剤層の粘度/第1の接着剤層の粘度=0.1である。
【0062】
[実施例4]
実施例4では、第2の接着剤層として、表1中2−4に記載の材料を用いた他は、実施例1と同じ条件とした。実施例4に係る異方性導電フィルムは、第1の接着剤層の粘度が20000Pa・s/30℃、第2の接着剤層の粘度が10000Pa・s/30℃、第2の接着剤層の粘度/第1の接着剤層の粘度=0.5である。
【0063】
[実施例5]
実施例5では、第2の接着剤層として、表1中2−5に記載の材料を用いた他は、実施例1と同じ条件とした。実施例5に係る異方性導電フィルムは、第1の接着剤層の粘度が20000Pa・s/30℃、第2の接着剤層の粘度が16000Pa・s/30℃、第2の接着剤層の粘度/第1の接着剤層の粘度=0.8である。
【0064】
[実施例6]
実施例6では、第2の接着フィルムを幅0.2mmにスリットした他は、実施例3と同じ条件とした。実施例6に係る異方性導電フィルムは、第1の接着剤層の粘度が20000Pa・s/30℃、第2の接着剤層の粘度が2000Pa・s/30℃、第2の接着剤層の粘度/第1の接着剤層の粘度=0.1である。
【0065】
[実施例7]
実施例7では、第2の接着フィルムを幅0.3mmにスリットした他は、実施例3と同じ条件とした。実施例7に係る異方性導電フィルムは、第1の接着剤層の粘度が20000Pa・s/30℃、第2の接着剤層の粘度が2000Pa・s/30℃、第2の接着剤層の粘度/第1の接着剤層の粘度=0.1である。
【0066】
[実施例8]
実施例8では、第2の接着フィルムを幅0.8mmにスリットした他は、実施例3と同じ条件とした。実施例8に係る異方性導電フィルムは、第1の接着剤層の粘度が20000Pa・s/30℃、第2の接着剤層の粘度が2000Pa・s/30℃、第2の接着剤層の粘度/第1の接着剤層の粘度=0.1である。
【0067】
[実施例9]
実施例9では、第2の接着フィルムを幅0.9mmにスリットした他は、実施例3と同じ条件とした。実施例9に係る異方性導電フィルムは、第1の接着剤層の粘度が20000Pa・s/30℃、第2の接着剤層の粘度が2000Pa・s/30℃、第2の接着剤層の粘度/第1の接着剤層の粘度=0.1である。
【0068】
[実施例10]
実施例10では、第1の接着剤層となる、表1中1−1に記載の材料をトルエンに溶解した後、バーコーターにて剥離処理を施したPETフィルム上に塗布し、70℃10分間乾燥させることにより第1の接着フィルムを作成した。次いで、第1の接着フィルムを幅1.0mmにスリットした。
【0069】
次いで、第2の接着剤層となる、表1中2−3に記載の材料をトルエンに溶解した後、第1の接着フィルムの第1の接着剤層上に、開口10μm×10μm、30μmピッチのニッケルシーブ(筒井理化学製)を用いてスクリーン印刷を行い、乾燥させることにより、第1の接着剤層に、ドット状の複数のバインダー樹脂層からなる第2の接着剤層が積層された異方性導電フィルムを得た(
図4参照)。
【0070】
実施例10に係る異方性導電フィルムは、第2の接着剤層が第1の接着剤層の幅方向の中心部に幅0.5mmの領域にわたって配設され、第1の接着剤層と幅方向の中心が略一致されて積層されている。また、実施例10に係る異方性導電フィルムは、第1の接着剤層の粘度が20000Pa・s/30℃、第2の接着剤層の粘度が2000Pa・s/30℃、第2の接着剤層の粘度/第1の接着剤層の粘度=0.1である。
【0071】
[実施例11]
実施例11では、第1の接着剤層として、表1中1−2Aに記載の材料を用いた導電性接着剤層と、表1中1−2Nに記載の材料を用いた絶縁性接着剤層とを積層させた2層の接着剤層を用いた他は、実施例10と同じ条件とした。
【0072】
第1の接着剤層は、表1中1−2Aに記載の材料をトルエンに溶解した後、バーコーターにて剥離処理を施したPETフィルム上に塗布し、70℃10分間乾燥させることにより第1の導電性接着フィルムを作成した。次いで、表1中1−2Nに記載の材料をトルエンに溶解した後、バーコーターにて剥離処理を施したPETフィルム上に塗布し、70℃10分間乾燥させることにより第1の絶縁性接着フィルムを作成した。これら第1の導電性接着フィルム及び第1の絶縁性接着フィルムを幅1.0mmにそれぞれスリットした後、ラミネータによって貼り合わせることにより、導電性接着剤層と絶縁性接着剤層とが積層された第1の接着フィルムを得た。
【0073】
次いで、第1の接着フィルムの導電性接着剤層上に、実施例10と同様にしてドット状の複数のバインダー樹脂層からなる第2の接着剤層を積層させ、実施例11に係る異方性導電フィルムを得た。
【0074】
実施例11に係る異方性導電フィルムは、第1の接着剤層の導電性接着剤層の粘度が25000Pa・s/30℃、第1の接着剤層の絶縁性接着剤層の粘度が1500Pa・s/30℃、第2の接着剤層の粘度が2000Pa・s/30℃、第2の接着剤層の粘度/第1の接着剤層の粘度=0.1である。第2の接着剤層の粘度/第1の接着剤層の粘度=0.1である。
【0075】
[比較例1]
比較例1では、第1の接着剤層として、表1中1−1に記載の材料を用いた第1の接着フィルムのみからなる異方性導電フィルムを用いた。比較例1に係る異方性導電フィルムは、第1の接着剤層を実施例1と同様に製造し、また、幅1.0mmにスリットした。
【0076】
[比較例2]
比較例2では、第1の接着剤層として、表1中1−3に記載の材料を用いた他は、比較例1と同じ条件とした。
【0077】
[はみ出し性の評価]
上記各実施例及び比較例に係る異方性導電フィルムを、それぞれ100m、200m、250m、300m巻回したフィルム巻装体を製造した。このフィルム巻装体を引出し、先端に重りを付けて50gの張力が掛かっている状態で30℃、6時間静置した。その後、異方性導電フィルムを引き出してブロッキングの発生を確認した。
【0078】
100m巻きの巻装体でブロッキングが発生した場合を×、100m巻きの巻装体でブロッキングが発生しなかった場合を△、200m巻きの巻装体でブロッキングが発生しなかった場合を○、250m巻きの巻装体でブロッキングが発生しなかった場合を◎、300m巻きの巻装体でブロッキングが発生しなかった場合を◎◎とした。ブロッキングは巻回距離が長いほど生じやすいことから、ブロッキングが発生しない巻装体で巻回距離が長いものほど良好である。
【0079】
[仮貼り性の評価]
また、上記各実施例及び比較例に係る異方性導電フィルムを、それぞれガラス基板に熱圧着することにより仮貼りした際の仮貼り性について評価した。異方性導電フィルムの仮貼りは、緩衝材(テフロン(登録商標)、150μm厚)を介して、ツール幅1.5mmの仮圧着機によって、1MPa、1秒、所定の仮圧着温度で熱圧着したときに、第1、第2の接着剤層にめくれなどを生じることなく貼り付けられた温度を確認した。
【0080】
異方性導電フィルムを仮貼りするガラス基板は、厚さ0.5mm、所定の電極パターンが形成されたITOパターングラスを用いた。
【0081】
そして、ツール温度が70℃でも、第1又は第2の接着剤層にめくれなどが生じ、仮貼りできなかった場合を×、ツール温度70℃で仮貼りできた場合を△、ツール温度50℃で仮貼りできた場合を〇、ツール温度30℃で仮貼りできた場合を◎とした。異方性導電フィルムは、圧着温度が低温であるほどタック性が生じにくいことから、仮貼り温度が低いほど良好である。
【0082】
【表2】
【0083】
表2に示すように、実施例1〜11では、いずれもはみ出し性の評価は△以上であり、100m以上の巻装体においてブロッキングは発生しなかった。これは、実施例1〜11では、粘度が第1の接着剤層よりも低い第2の接着剤層を設けたにも関わらず、第2の接着剤層は、第1の接着剤層よりも幅狭に形成されているため、巻き締りによる応力が掛かり第2の接着剤層が変形してもバインダー樹脂成分がフィルム巻装体よりはみ出すことがなかったことによる。
【0084】
また、実施例1〜11では、いずれも仮貼り性の評価は△以上であり、ツール温度70℃で仮貼りが可能であった。これは、実施例1〜11では、第1の接着剤層に、第1の接着剤層よりも粘度が低く良好なタック性を有する第2の接着剤層を設け、この第2の接着剤層をガラス基板に仮貼りさせたことから、低温おいてもめくれ等も発生せずに確実に仮貼りを行うことができたものである。
【0085】
一方、比較例1では、粘度が20000Pa・s/30℃の表1中1−1に記載の材料を用いた第1の接着フィルムのみからなる異方性導電フィルムを用いたため、粘度が高く、仮貼り温度が70℃では仮貼りできなかった。
【0086】
また、比較例2では、粘度が10000Pa・s/30℃の表1中1−3に記載の材料を用いた第1の接着フィルムのみからなる異方性導電フィルムを用いたため、粘度が低く、100m巻きの巻装体のフィルムの引出時において巻き締りによる応力が掛かり、第1の接着剤層のバインダー樹脂成分がフィルム巻装体よりはみ出すことによるブロッキングが発生した。
【0087】
なお、実施例1では、第2の接着剤層の粘度/第1の接着剤層の粘度=0.03と、第2の接着剤層の粘度がやや低かったため、100m巻きの巻装体においてのみブロッキングの発生が抑えられた。また、実施例5では、第2の接着剤層の粘度/第1の接着剤層の粘度=0.8と、第2の接着剤層の粘度がやや高かったため、ツール温度70℃で仮貼りが可能となった。
【0088】
一方、実施例2では、第2の接着剤層の粘度/第1の接着剤層の粘度=0.05で、200m巻きの巻装体においてもブロッキングの発生が抑えられ、また、実施例4では、第2の接着剤層の粘度/第1の接着剤層の粘度=0.5で、ツール温度50℃で仮貼りが可能となった。さらに、実施例3では、第2の接着剤層の粘度/第1の接着剤層の粘度=0.1で、300m巻きの巻装体においてもブロッキングの発生が抑えられ、かつツール温度30℃で仮貼りが可能となった。
【0089】
これより、第2の接着剤層の30℃における粘度は、第1の接着剤層の30℃における粘度の0.05倍以上0.5倍以下であることが好ましく、さらに好ましくは、0.1倍であることが分かる。
【0090】
また、実施例6では、第2の接着剤層の幅(0.2mm)が第1の接着剤層の幅(1.0mm)の20%と、やや狭すぎたため、ツール温度70℃で仮貼りが可能となった。また、実施例9では、第2の接着剤層の幅(0.9mm)が第1の接着剤層の幅(1.0mm)の90%と、やや広すぎたため、100m巻きの巻装体においてのみブロッキングの発生が抑えられた。
【0091】
一方、第2の接着剤層の幅(0.3mm)を第1の接着剤層の幅(1.0mm)の30%とした実施例7や、第2の接着剤層の幅(0.8mm)を第1の接着剤層の幅(1.0mm)の80%とした実施例8では、200m巻きの巻装体においてもブロッキングの発生が抑えられ、また、ツール温度50℃で仮貼りが可能となった。これより、第2の接着剤層の幅は、第1の接着剤層の幅の30%以上80%以下であることが好ましいことが分かる。