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特開2018-135619合成繊維用処理剤、合成繊維及び合成繊維加工品の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-135619(P2018-135619A)
(43)【公開日】2018年8月30日
(54)【発明の名称】合成繊維用処理剤、合成繊維及び合成繊維加工品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   D06M 13/224 20060101AFI20180803BHJP
   D06M 15/53 20060101ALI20180803BHJP
   D06M 13/17 20060101ALI20180803BHJP
   D06M 13/292 20060101ALI20180803BHJP
【FI】
   D06M13/224
   D06M15/53
   D06M13/17
   D06M13/292
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-32038(P2017-32038)
(22)【出願日】2017年2月23日
(11)【特許番号】特許第6203444号(P6203444)
(45)【特許公報発行日】2017年9月27日
(71)【出願人】
【識別番号】000210654
【氏名又は名称】竹本油脂株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081798
【弁理士】
【氏名又は名称】入山 宏正
(72)【発明者】
【氏名】亀田 信
(72)【発明者】
【氏名】早川 秀弥
(72)【発明者】
【氏名】榊原 千秋
【テーマコード(参考)】
4L033
【Fターム(参考)】
4L033AA07
4L033AB01
4L033AC09
4L033BA21
4L033BA39
4L033CA48
(57)【要約】
【課題】硬水を用いて作製したエマルションの状態で合成繊維用処理剤を合成繊維に付着させ、またかかる合成繊維用処理剤を付着させた合成繊維から硬水を用いて合成繊維加工品を製造するときに、作製したエマルションが適正な粘度を維持して安定であり、また合成繊維加工品を製造するときにスカム堆積や毛羽の発生を充分に抑制し、結果として優れた工程通過性を発揮することができる合成繊維用処理剤、かかる合成繊維用処理剤が付着した合成繊維及びかかる合成繊維を用いた合成繊維加工品の製造方法を提供する。
【解決手段】合成繊維用処理剤として、特定の平滑剤、特定の非イオン性界面活性剤及び特定のイオン性界面活性剤を含有し、且つ該平滑剤、該非イオン性界面活性剤及び該イオン性界面活性剤の合計量中に該イオン性界面活性剤を2〜8質量%の割合で含有して成るものを用いた。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の平滑剤、下記の非イオン性界面活性剤及び下記のイオン性界面活性剤を含有し、且つ該平滑剤、該非イオン性界面活性剤及び該イオン性界面活性剤の合計量中に該イオン性界面活性剤を2〜8質量%の割合で含有して成ることを特徴とする合成繊維用処理剤。
平滑剤:下記の化1で示される化合物及び/又は下記の化2で示される化合物を平滑剤中に60〜90質量%の割合で含有する平滑剤。
非イオン性界面活性剤:分子中にエステル結合を有さず水酸基を有する有機化合物1モル当たり炭素数2〜4のアルキレンオキシドを1〜100モルの割合で付加させた化合物、分子中にエステル結合を有さずアミノ基を有する有機化合物1モル当たり炭素数2〜4のアルキレンオキシドを1〜100モルの割合で付加させた化合物、トリグリセライド1モル当たり炭素数2〜4のアルキレンオキシドを1〜100モルの割合で付加させた化合物及びトリグリセライド1モル当たり炭素数2〜4のアルキレンオキシドを1〜100モルの割合で付加させた化合物と脂肪酸とのエステル化物から選ばれる少なくとも一つを含有する非イオン性界面活性剤。
イオン性界面活性剤:脂肪族有機リン酸エステル塩を含有するイオン性界面活性剤。
【化1】
(化1において、
:炭素数6〜22の脂肪族モノカルボン酸のカルボキシル基から水素原子を除いた残基
1:1〜20個の炭素数2〜4のオキシアルキレン単位で構成された(ポリ)オキシアルキレン基を有する(ポリ)アルキレングリコールから全ての水酸基を除いた残基
:炭素数6〜22の脂肪族モノカルボン酸のカルボキシル基から水素原子を除いた残基、炭素数6〜22の脂肪族モノアルコールの水酸基から水素原子を除いた残基又は水酸基)
【化2】
(化2において、
,R:水酸基、炭素数6〜22の脂肪族モノアルコールの水酸基から水素原子を除いた残基又は炭素数6〜22の脂肪族モノカルボン酸のカルボキシル基から水素原子を除いた残基
,X:1〜20個の炭素数2〜4のオキシアルキレン単位で構成された(ポリ)オキシアルキレン基を有する(ポリ)アルキレングリコールから全ての水酸基を除いた残基
:炭素数3〜12の脂肪族ジカルボン酸のカルボキシル基から水素原子を除いた残基)
【請求項2】
化1で示される化合物が、化1のRが炭素数6〜22の脂肪族モノアルコールの水酸基から水素原子を除いた残基又は水酸基である場合のものである請求項1記載の合成繊維用処理剤。
【請求項3】
化1のX中の(ポリ)オキシアルキレン基及び化2のX、X中の(ポリ)オキシアルキレン基が(ポリ)オキシエチレン基である場合のものである請求項1又は2記載の合成繊維用処理剤。
【請求項4】
脂肪族有機リン酸エステル塩が、炭素数8〜18の脂肪族アルコール1モル当たり炭素数2〜4のアルキレンオキシドを1〜30モルの割合で付加させた化合物と五酸化二リンとのエステル化物のアルカリ金属塩である請求項1〜3のいずれか一つの項記載の合成繊維用処理剤。
【請求項5】
平滑剤を3〜60質量%、非イオン性界面活性剤を38〜95質量%及びイオン性界面活性剤を2〜8質量%(合計100質量%)の割合で含有して成る請求項1〜4のいずれか一つの項記載の合成繊維用処理剤。
【請求項6】
下記の硬水を用いて作製した合成繊維用処理剤の15質量%硬水水性液が、30℃で24時間静置した場合の動粘度が1.5〜4.5mm/sとなり、また硬水水性液作製直後の透過率と30℃で24時間静置後の透過率の変化が5%以内となるものである請求項1〜5のいずれか一つの項記載の合成繊維用処理剤。
硬水:25℃で測定した場合の電気伝導度が130μS/cmの水
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一つの項記載の合成繊維用処理剤が付着していることを特徴とする合成繊維。
【請求項8】
請求項7記載の合成繊維を25℃の電気伝導度が30μS/cm以上である硬水を用いて捲縮加工及び/又は製織加工することを特徴とする合成繊維加工品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は合成繊維用処理剤、合成繊維及び合成繊維加工品の製造方法に関し、更に詳しくは硬水を用いて作製したエマルションの状態で合成繊維用処理剤を合成繊維に付着させ、またかかる合成繊維用処理剤を付着させた合成繊維から硬水を用いて合成繊維加工品を製造するときに、優れた工程通過性を発揮する合成繊維用処理剤、合成繊維及び合成繊維加工品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
合成繊維は一般に、紡糸、延伸等を経た後に、仮撚り、整経、製織、製編等の後加工を経て製品化される。後加工の一つにタスラン加工があり、このタスラン加工には、多くの場合に湿式流体噴射法を採用している。この方法は合成繊維用処理剤が付着している合成繊維に水を付与した後にエアー交絡処理を施す方法であるが、この方法にはエアー交絡ノズル部分に合成繊維に付着していた合成繊維用処理剤に起因するスカムが堆積して加工不良を引き起こすという問題がある。かかる問題を解決する合成繊維用処理剤として、乳化剤の配合比率を10重量%未満とし、水を付与した場合の最大粘度が1000センチポイズ以下となるようにしたもの(例えば特許文献1参照)、アルキレンオキシド共重合体、アマイド化合物及びポリオキシアルキレン変性シリコーンを含有する合成繊維用処理剤であって湿潤時の繊維−繊維間耐摩擦性を向上したもの(例えば特許文献2参照)等が提案されている。しかし、これら従来の合成繊維用処理剤には、加水粘度の低下が不充分であり、依然として水に含まれる金属イオンと合成繊維用処理剤とに起因するスカムの堆積によって加工性が低下するという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平3−213576号公報
【特許文献2】特開2001−181984号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、硬水を用いて作製したエマルションの状態で合成繊維用処理剤を合成繊維に付着させ、またかかる合成繊維用処理剤を付着させた合成繊維から硬水を用いて合成繊維加工品を製造するときに、作製したエマルションが適正な粘度を維持して安定であり、また合成繊維加工品を製造するときにスカム堆積や毛羽の発生を充分に抑制し、結果として優れた工程通過性を発揮することができる合成繊維用処理剤、かかる合成繊維用処理剤が付着した合成繊維及びかかる合成繊維を用いた合成繊維加工品の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、前記の課題を解決するべく研究した結果、特定の平滑剤、特定の非イオン性界面活性剤及び特定のイオン性界面活性剤を特定の割合で含有する合成繊維用処理剤が正しく好適であることを見出した。
【0006】
すなわち本発明は、下記の平滑剤、下記の非イオン性界面活性剤及び下記のイオン性界面活性剤を含有し、且つ該平滑剤、該非イオン性界面活性剤及び該イオン性界面活性剤の合計量中に該イオン性界面活性剤を2〜8質量%の割合で含有して成ることを特徴とする合成繊維用処理剤に係る。また本発明はかかる合成繊維用処理剤が付着した合成繊維、かかる合成繊維を用いた合成繊維加工品の製造方法に係る。
【0007】
平滑剤:下記の化1で示される化合物及び/又は下記の化2で示される化合物を平滑剤中に60〜90質量%の割合で含有する平滑剤。
【0008】
非イオン性界面活性剤:分子中にエステル結合を有さず水酸基を有する有機化合物1モル当たり炭素数2〜4のアルキレンオキシドを1〜100モルの割合で付加させた化合物、分子中にエステル結合を有さずアミノ基を有する有機化合物1モル当たり炭素数2〜4のアルキレンオキシドを1〜100モルの割合で付加させた化合物、トリグリセライド1モル当たり炭素数2〜4のアルキレンオキシドを1〜100モルの割合で付加させた化合物及びトリグリセライド1モル当たり炭素数2〜4のアルキレンオキシドを1〜100モルの割合で付加させた化合物と脂肪酸とのエステル化物から選ばれる少なくとも一つを含有する非イオン性界面活性剤。
【0009】
イオン性界面活性剤:脂肪族有機リン酸エステル塩を含有するイオン性界面活性剤。
【0010】
【化1】
【0011】
化1において、
:炭素数6〜22の脂肪族モノカルボン酸のカルボキシル基から水素原子を除いた残基
1:1〜20個の炭素数2〜4のオキシアルキレン単位で構成された(ポリ)オキシアルキレン基を有する(ポリ)アルキレングリコールから全ての水酸基を除いた残基
:炭素数6〜22の脂肪族モノカルボン酸のカルボキシル基から水素原子を除いた残基、炭素数6〜22の脂肪族モノアルコールの水酸基から水素原子を除いた残基又は水酸基
【0012】
【化2】
【0013】
化2において、
,R:水酸基、炭素数6〜22の脂肪族モノアルコールの水酸基から水素原子を除いた残基又は炭素数6〜22の脂肪族モノカルボン酸のカルボキシル基から水素原子を除いた残基
,X:1〜20個の炭素数2〜4のオキシアルキレン単位で構成された(ポリ)オキシアルキレン基を有する(ポリ)アルキレングリコールから全ての水酸基を除いた残基
:炭素数3〜12の脂肪族ジカルボン酸のカルボキシル基から水素原子を除いた残基
【0014】
先ず、本発明に係る合成繊維用処理剤(以下、本発明の処理剤という)について説明する。本発明の処理剤は前記の平滑剤、前記の非イオン性界面活性剤及び前記のイオン性界面活性剤を含有し、且つ該平滑剤、該非イオン性界面活性剤及び該イオン性界面活性剤の合計量中に該イオン性界面活性剤を2〜8質量%の割合で含有して成るものである。
【0015】
本発明の処理剤に供する平滑剤において、化1中のRは炭素数6〜22の脂肪族モノカルボン酸のカルボキシル基から水素原子を除いた残基である。炭素数6〜22の脂肪族モノカルボン酸としては、飽和若しくは不飽和のもの、又は直鎖若しくは分岐のものの何れでもよい。また炭素数の異なる脂肪族モノカルボン酸の混合物を用いることもできる。炭素数6〜22の脂肪族モノカルボン酸としては、ヘキサン酸、オクタン酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、2−エチルヘキサン酸、イソステアリン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エルカ酸等が挙げられる。
【0016】
化1中のX1は1〜20個の炭素数2〜4のオキシアルキレン単位で構成された(ポリ)オキシアルキレン基を有する(ポリ)アルキレングリコールから全ての水酸基を除いた残基であるが、なかでも(ポリ)オキシアルキレン基が(ポリ)オキシエチレン基である場合のものが好ましい。炭素数2〜4のオキシアルキレン基としてはオキシエチレン基、オキシプロピレン基、1,2−オキシブチレン基、1,4−オキシブチレン基等が挙げられるが、なかでもオキシエチレン基が好ましい。
【0017】
化1中のRは炭素数6〜22の脂肪族モノカルボン酸のカルボキシル基から水素原子を除いた残基、炭素数6〜22の脂肪族モノアルコールの水酸基から水素原子を除いた残基又は水酸基であるが、なかでも炭素数6〜22の脂肪族モノアルコールの水酸基から水素原子を除いた残基又は水酸基である場合のものが好ましい。炭素数6〜22の脂肪族モノカルボン酸としては、化1中のRと同様のものが挙げられる。炭素数6〜22の脂肪族モノアルコールとしては、飽和若しくは不飽和のもの、又は直鎖若しくは分岐のものの何れでもよい。また炭素数の異なる脂肪族モノアルコールの混合物を用いることもできる。炭素数6〜22の脂肪族モノアルコールとしては、ヘキシルアルコール、2−メチル−ペンチルアルコール、ヘプチルアルコール、オクチルアルコール、2−エチル−ヘキシルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、2−プロピル−ヘプチルアルコール、ウンデシルアルコール、ドデシルアルコール、2−ブチル−オクチルアルコール、トリデシルアルコール、テトラデシルアルコール、ペンタデシルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、エイコシルアルコール、ドコシルアルコール等が挙げられる。
【0018】
本発明の処理剤に供する平滑剤において、化2中のR、Rは水酸基、炭素数6〜22の脂肪族モノアルコールの水酸基から水素原子を除いた残基又は炭素数6〜22の脂肪族モノカルボン酸のカルボキシル基から水素原子を除いた残基である。炭素数6〜22の脂肪族モノアルコールとしては化1中のRと同様のものが挙げられる。また炭素数6〜22の脂肪族モノカルボン酸としては化1中のRと同様のものが挙げられる。
【0019】
化2中のX、Xは1〜20個の炭素数2〜4のオキシアルキレン単位で構成された(ポリ)オキシアルキレン基を有する(ポリ)アルキレングリコールから全ての水酸基を除いた残基である。炭素数2〜4のオキシアルキレン単位としては化1中のXと同様のものが挙げられる。
【0020】
化2中のYは炭素数3〜12の脂肪族ジカルボン酸のカルボキシル基から水素原子を除いた残基である。炭素数3〜12の脂肪族ジカルボン酸としてはマロン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸等が挙げられる。
【0021】
本発明の処理剤に供する化1で示される平滑剤の具体例としては、ポリオキシエチレンジラウレート、ポリオキシプロピレンラウレート、ポリオキシエチレンパルミテート、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンパルミテート、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンラウレート、ポリオキシエチレンポリオキシブチレンオレート、ポリオキシエチレンオクチルエーテルオクテート、ポリオキシエチレンノニルエーテルラウレート、ポリオキシエチレンオクチルエーテルデカネート、ポリオキシエチレンデシルエーテルオクテート、ポリオキシエチレンデシルエーテルデカネート、ポリオキシエチレンドデシルエーテルオクテート、ポリオキシエチレンドデシルエーテルデカネート、ポリオキシプロピレンオレイルエーテルラウレート、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンオクテートオレート、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンオクテートステアレート、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンオクテートリノレート、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンオクテートリノレネート、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンオクテートパルミテート、ポリオキシエチレンデカネートオレート、ポリオキシエチレンデカネートステアレート、ポリオキシエチレンデカネートリノレート、ポリオキシエチレンデカネートリノレネート、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンデカネートパルミテート、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンデカネートパルミトレート等が挙げられるが、なかでもポリオキシエチレンオクチルエーテルオクテート、ポリオキシエチレンノニルエーテルラウレート、ポリオキシエチレンオクチルエーテルデカネート、ポリオキシエチレンデシルエーテルオクテート、ポリオキシエチレンデシルエーテルデカネート、ポリオキシエチレンドデシルエーテルオクテート、ポリオキシエチレンドデシルエーテルデカネート、ポリオキシプロピレンオレイルエーテルラウレート等のRが炭素数6〜22の脂肪族モノアルコールの水酸基から水素原子を除いた残基であるもの、又はポリオキシプロピレンラウレート、ポリオキシエチレンパルミテート、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンパルミテート、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンラウレート、ポリオキシエチレンポリオキシブチレンオレート等のRが水酸基であるもの、ポリオキシエチレンオクチルエーテルオクテート、ポリオキシエチレンノニルエーテルラウレート、ポリオキシエチレンオクチルエーテルデカネート、ポリオキシエチレンデシルエーテルオクテート、ポリオキシエチレンデシルエーテルデカネート、ポリオキシエチレンドデシルエーテルオクテート、ポリオキシエチレンドデシルエーテルデカネート、ポリオキシエチレンパルミテート、ポリオキシエチレンデカネートオレート、ポリオキシエチレンデカネートステアレート、ポリオキシエチレンデカネートリノレート、ポリオキシエチレンデカネートリノレネート等のX中の(ポリ)オキシアルキレン基が(ポリ)オキシエチレン基であるものが好ましい。
【0022】
本発明の処理剤に供する化2で示される平滑剤の具体例としては、ビス(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンオクテート)サクシネート、ビス(ポリオキシプロピレンミリステート)サクシネート、ビス(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンオクテート)アジペート、ビス(ポリオキシプロピレンミリスチルエーテル)アジペート、ビス(ポリオキシプロピレンポリオキシブチレンオクチルエーテル)セバケート、ビス(ポリオキシエチレンデシルエーテル)サクシネート、ビス(ポリオキシエチレントリデシルエーテル)アジペート、ビス(ポリオキシエチレンテトラデシルエーテル)アジペート、ビス(ポリオキシエチレンペンタデシルエーテル)アジペート、ポリオキシエチレントリデシルエーテルポリオキシエチレンテトラデシルエーテルアジペート、ポリオキシエチレントリデシルエーテルポリオキシエチレンペンタデシルエーテルアジペート、ポリオキシエチレンテトラデシルエーテルポリオキシエチレンペンタデシルエーテルアジペート、ビスポリオキシエチレンサクシネート、ビスポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアジペート、ビスポリオキシエチレンポリオキシブチレンセバケート等が挙げられるが、なかでもビス(ポリオキシエチレンデシルエーテル)サクシネート、ビス(ポリオキシエチレントリデシルエーテル)アジペート、ビス(ポリオキシエチレンテトラデシルエーテル)アジペート、ビス(ポリオキシエチレンペンタデシルエーテル)アジペート、ポリオキシエチレントリデシルエーテルポリオキシエチレンテトラデシルエーテルアジペート、ポリオキシエチレントリデシルエーテルポリオキシエチレンペンタデシルエーテルアジペート、ポリオキシエチレンテトラデシルエーテルポリオキシエチレンペンタデシルエーテルアジペート、ビスポリオキシエチレンサクシネート等のX、X中の(ポリ)オキシアルキレン基が(ポリ)オキシエチレン基であるものが好ましい。
【0023】
本発明の処理剤に供する平滑剤としては、化1で示される化合物や化2で示される化合物の他に、アルコールとカルボン酸のエステル化合物、鉱物油、天然油脂等、合成繊維用処理剤に採用されている公知の平滑剤が挙げられる。
【0024】
アルコールとカルボン酸のエステルとしてはブチルラウレート、ブチルパルミテート、ブチルステアレート、ブチルオレート、オクチルラウレート、オクチルパルミテート、オクチルステアレート、オクチルオレート、ラウリルラウレート、ラウリルパルミテート、ラウリルオレート、1,6−ヘキサンジオールジデカネート、トリメチロールプロパンモノオレートモノラウレート、ソルビタントリオレート、グリセリンモノラウレート、ジラウリルアジペート、ジオレイルアゼレート、ジイソセチルチオジプロピオナート、ビスポリオキシエチレンラウリルアジペート、ベンジルオレート、ベンジルラウレート、ビスフェノールAジラウレート、ビス2−エチルヘキシルフタレート、ジイソステアリルイソフタレート、トリオクチルトリメリテート等が挙げられるが、なかでもブチルラウレート、ブチルパルミテート、ブチルステアレート、ブチルオレート、オクチルラウレート、オクチルパルミテート、オクチルステアレート、オクチルオレートが好ましい。これらは単独で用いることもできるし、また二つ以上を混合して用いることもできる。
【0025】
天然油脂としては、ヤシ油、ナタネ油、ヒマワリ油、大豆油、ヒマシ油、ゴマ油、魚油及び牛脂等が挙げられる。
【0026】
本発明の処理剤に供する非イオン性界面活性剤は、分子中にエステル結合を有さず水酸基を有する有機化合物1モル当たり炭素数2〜4のアルキレンオキシドを1〜100モルの割合で付加させた化合物、分子中にエステル結合を有さずアミノ基を有する有機化合物1モル当たり炭素数2〜4のアルキレンオキシドを1〜100モルの割合で付加させた化合物、トリグリセライド1モル当たり炭素数2〜4のアルキレンオキシドを1〜100モルの割合で付加させた化合物及びトリグリセライド1モル当たり炭素数2〜4のアルキレンオキシドを1〜100モルの割合で付加させた化合物と脂肪酸とのエステル化物から選ばれる少なくとも一つを含有する非イオン性界面活性剤である。
【0027】
分子中にエステル結合を有さず水酸基を有する有機化合物1モル当たり炭素数2〜4のアルキレンオキシドを1〜100モルの割合で付加させた化合物としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルエーテル、ポリオキシブチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシブチレンノニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンオクチルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルエーテル、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリオキシプロピレンラウリルエーテルメチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール等が挙げられる。また分子中にエステル結合を有さずアミノ基を有する有機化合物1モル当たり炭素数2〜4のアルキレンオキシドを1〜100モルの割合で付加させた化合物としては、ポリオキシエチレンラウリルアミノエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンオクチルアミノエーテル、ポリオキシエチレンドデシルアミノエーテル等が挙げられる。更にトリグリセライド1モル当たり炭素数2〜4のアルキレンオキシドを1〜100モルの割合で付加させた化合物としては、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン硬化ヒマシ油エーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油エーテル、ポリオキシプロピレン硬化ヒマシ油エーテル、ポリオキシプロピレンポリオキシエチレンヒマシ油エーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油エーテル、ポリオキシプロピレンヒマシ油エーテル等が挙げられる。更にまたトリグリセライド1モル当たり炭素数2〜4のアルキレンオキシドを1〜100モルの割合で付加させた化合物と脂肪酸とのエステル化物としては、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン硬化ヒマシ油エーテルラウレート、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油エーテルオクテート、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油エーテルジパルミテート、ポリオキシプロピレンヒマシ油エーテルステアレート等が挙げられる。これらの非イオン性界面活性剤は単独で用いることもできるし、また二つ以上を混合して用いることもできる。本発明の処理剤に供する非イオン性界面活性剤としては、以上説明したもの以外の非イオン性界面活性剤であって、化1で示される化合物及び化2で示される化合物を除く非イオン性界面活性剤も用いることができるが、これらはできるだけ少量とするのが好ましい。
【0028】
本発明の処理剤に供するイオン性界面活性剤は脂肪族有機リン酸エステル塩を含有するイオン性界面活性剤である。脂肪族有機リン酸エステル塩としては、脂肪族有機リン酸エステルを、1)水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等で中和して得られるアルカリ金属塩、2)ジエタノールアミン、ジブチルエタノールアミン等の有機アミンで中和して得られる有機アミン塩、3)オクチルアミンのエチレンオキサイド付加物、ラウリルアミンのエチレンオキサイド付加物、ステアリルアミンのエチレンオキサイド付加物等の有機アミン1モルに炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを1〜50モル付加させた化合物で中和して得られる有機アミンのアルキレンオキサイド付加物との塩等が挙げられるが、なかでも炭素数8〜18の脂肪族アルコール1モル当たり炭素数2〜4のアルキレンオキシドを1〜30モルの割合で付加させた化合物と五酸化二リンとのエステル化物のアルカリ金属塩が好ましい。炭素数8〜18の脂肪族アルコールとしてはオクチルアルコール、イソオクチルアルコール、2−エチル−ヘキシルアルコール、ノニルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、デシルアルコール、2−メチルオクチルアルコール、2−プロピル−ヘプチルアルコール、ウンデシルアルコール、ラウリルアルコール、2−ブチル−オクチルアルコール、トリデシルアルコール、テトラデシルアルコール、ペンタデシルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール等が挙げられる。
【0029】
脂肪族有機リン酸エステル塩の脂肪族炭化水素基としては、飽和若しくは不飽和のもの、又は直鎖若しくは分岐のものの何れでもよい。また分子中のアルキル鎖長の異なる脂肪族有機リン酸エステル塩の混合物を用いることもできる。
【0030】
脂肪族有機リン酸エステルの具体例としては、メチルリン酸エステル、ジエチルリン酸エステル、オクチルリン酸エステル、メチルオレイルリン酸エステル、ラウリルリン酸エステル、ポリオキシプロピレンブチルリン酸エステル、ポリオキシエチレンノニルリン酸エステル、ポリオキシエチレンデシルリン酸エステル、ポリオキシエチレンウンデシルリン酸エステル、ポリオキシエチレンラウリルリン酸エステル、ポリオキシエチレントリデシルリン酸エステル、ポリオキシエチレンオレイルリン酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンオクチルリン酸エステル等が挙げられるが、なかでもポリオキシエチレンノニルリン酸エステル、ポリオキシエチレンデシルリン酸エステル、ポリオキシエチレンウンデシルリン酸エステル、ポリオキシエチレンラウリルリン酸エステル、ポリオキシエチレントリデシルリン酸エステル、ポリオキシエチレンオレイルリン酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンオクチルリン酸エステル等が好ましい。
【0031】
本発明の処理剤に供するイオン性界面活性剤としては、脂肪族有機リン酸エステル塩の他に従来公知のものも使用できる。これには例えば、アニオン性界面活性剤としては、1)オクチル酸カリウム、オレイン酸カリウム等の有機脂肪酸塩、2)デカンスルホネートカリウム、テトラデカンスルホネートナトリウム、ペンタデカンスルホネートナトリウム等の有機スルホン酸塩、3)ドデシル硫酸ナトリウム等の有機硫酸塩等が挙げられ、またカチオン性界面活性剤としては、テトラブチルアンモニウム塩等の第4級アンモニウム塩等が挙げられ、更に両性界面活性剤としては、1)ジメチルステアリルアミンオキサイド等の有機アミンオキサイド、2)オクチルジメチルアンモニオアセタート等のベタイン型両性界面活性剤、3)N,N−ビス(2−カルボキシエチル)−オクチルアミンナトリウム等のアラニン型両性界面活性剤等が挙げられるが、これらはできるだけ少量とするのが好ましい。
【0032】
本発明の処理剤は、いずれも以上説明したような平滑剤、非イオン性界面活性剤及びイオン性界面活性剤を含有して成るものであるが、平滑剤を3〜60質量%、非イオン性界面活性剤を38〜95質量%及びイオン性界面活性剤を2〜8質量%(合計100質量%)の割合で含有するものが好ましい。
【0033】
本発明の処理剤には、合目的的に他の成分、例えば消泡剤、酸化防止剤、防腐剤、防錆剤等を併用することができるが、その併用量は本発明の効果を損なわない範囲内でできるだけ少量とすることが好ましい。
【0034】
本発明の処理剤は、下記の硬水を用いて作製した15質量%硬水水性液が、30℃で24時間静置した場合の動粘度が1.5〜4.5mm/sとなり、また硬水水性液作製直後の透過率と30℃で24時間静置後の透過率の変化が5%以内となるものが好ましい。
【0035】
硬水:25℃で測定した場合の電気伝導度が130μS/cm の水
【0036】
次に本発明に係る合成繊維について説明する。本発明に係る合成繊維は、以上説明したような処理剤を合成繊維に付着して成るものである。
【0037】
本発明の処理剤を付着させる合成繊維としては、1)ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリ乳酸エステル等のポリエステル系繊維、2)ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド系繊維、3)ポリアクリル、モダアクリル等のポリアクリル系繊維、4)ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系繊維、ポリウレタン系繊維等が挙げられる。
【0038】
本発明の処理剤を付着させる方法としては、公知の方法が使用できるが、例えばローラー給油法、計量ポンプを用いたガイド給油法、浸漬給油法、スプレー給油法等が挙げられる。更に本発明の処理剤を合成繊維に付着させる際の形態としては、ニート、有機溶剤溶液、水性液等が挙げられるが、水性液が好ましい。
【0039】
本発明の処理剤を用いた水性液に供する水としては、水道水、工業用水、イオン交換水、蒸留水等が挙げられる。本発明の処理剤は、硬水を用いて作製したエマルションの状態で合成繊維に付着させ、またかかる処理剤を付着させた合成繊維から硬水を用いて合成繊維加工品を製造するときに、特に優れた効果を発揮する。
【0040】
最後に本発明に係る合成繊維加工品の製造方法(以下、本発明の製造方法という)について説明する。本発明の製造方法は、前記した本発明の処理剤が付着している合成繊維を25℃の電気伝導度が30μS/cm以上の硬水を用いて捲縮加工及び/又は製織加工する方法である。
【0041】
本発明の製造方法において、硬水を用いて捲縮加工する方法としては湿式流体噴射法によるタスラン加工等が挙げられる。
【0042】
本発明の製造方法において、硬水を用いて製織加工する方法としてはウォータージェットルーム製織等が挙げられる。
【発明の効果】
【0043】
以上説明した本発明によると、硬水を用いて作製したエマルションの状態で合成繊維用処理剤を合成繊維に付着させ、またかかる合成繊維用処理剤を付着させた合成繊維から硬水を用いて合成繊維加工品を製造するときに、作製したエマルションが適正な粘度を維持して安定であり、また合成繊維加工品を製造するときにスカム堆積や毛羽の発生を充分に抑制し、結果として優れた工程通過性を発揮することができるという効果がある。
【実施例】
【0044】
以下、本発明の構成及び効果をより具体的にするため、実施例等を挙げるが、本発明がこれらの実施例に限定されるというものではない。尚、以下の実施例及び比較例において、部は質量部を、また%は質量%を意味する。
【0045】
試験区分1(合成繊維用処理剤の調製)
・実施例1
平滑剤として表1に記載のL−2を15%、表2に記載のA−2を15%、A−3を24%、非イオン性界面活性剤として表4に記載のN−1を5%、N−2を20%、N−3を18%、イオン性界面活性剤として表5に記載のEP−1を2%、E−3を1%(合計100%)の割合で均一に混合し、合成繊維用処理剤を調製した。
【0046】
実施例2〜7及び比較例1〜5
実施例1の合成繊維用処理剤と同様にして、実施例2〜7及び比較例1〜5の合成繊維用処理剤を調製した。以上で調製した各例の合成繊維用処理剤の内容を、実施例1も含めて表1にまとめて示した。

























【0047】
【表1】
【0048】
表1において、
平滑剤中の化合物の割合:平滑剤中の化1で示される化合物と化2で示される化合物の合計割合
L−1:鉱物油(30℃動粘度:47mm/s)
L−2:オクチルパルミテート
L−3:ブチルステアレート
L−4:ヤシ油
【0049】
A−1〜A−5:下記の表2に記載の化1で示される化合物
A−6,A−7:下記の表3に記載の化2で示される化合物
【0050】
N−1:ポリオキシエチレン(11モル)ポリオキシプロピレン(9モル)ラウリルエーテル
N−2:ポリオキシエチレン(10モル)ポリオキシプロピレン(13モル)ブチルエーテル
N−3:ポリオキシエチレン(7モル)ノニルエーテル
N−4:ジエタノールアミンモノラウロアミド
N−5:ポリオキシエチレンジエタノールアミンモノオレイルアミド
N−6:ポリオキシエチレン(3モル)硬化ヒマシ油エーテル
N−7:ポリオキシエチレン(15モル)硬化ヒマシ油エーテルジパルミテート
N−8:ポリオキシエチレン(5モル)ポリオキシプロピレン(12モル)グリコール
【0051】
EP−1:ポリオキシエチレン(3モル)ラウリルリン酸エステルカリウム
EP−2:ポリオキシエチレン(8モル)オレイルリン酸エステルナトリウム
EP−3:オクチルリン酸エステルカリウム
EP−4:ラウリルリン酸エステルジエタノールアミン
EPR−1:ポリオキシエチレン(3モル)ノニルフェニルリン酸エステルカリウム
E−1:オクチル酸カリウム
E−2:ジメチルステアリルアミンオキサイド
E−3:ペンタデカンスルホネートナトリウム
【0052】
【表2】
【0053】
表2において、
‐1:ラウリン酸のカルボキシル基から水素原子を除いた残基
‐2a:オクタン酸のカルボキシル基から水素原子を除いた残基
‐2b:デカン酸のカルボキシル基から水素原子を除いた残基
‐3:パルミチン酸のカルボキシル基から水素原子を除いた残基
‐4:ラウリン酸のカルボキシル基から水素原子を除いた残基
‐5a:オレイン酸のカルボキシル基から水素原子を除いた残基
‐5b:ステアリン酸のカルボキシル基から水素原子を除いた残基
‐5c:リノール酸のカルボキシル基から水素原子を除いた残基
‐5d:リノレン酸のカルボキシル基から水素原子を除いた残基
‐1:オキシエチレン単位(7モル)で構成されたポリオキシエチレン基を有するポリアルキレングリコールから水酸基を除いた残基
‐2:オキシエチレン単位(6モル)で構成されたポリオキシエチレン基を有するポリアルキレングリコールから水酸基を除いた残基
‐3:オキシエチレン単位(10モル)で構成されたポリオキシエチレン基を有するポリアルキレングリコールから水酸基を除いた残基
‐4:オキシエチレン単位(3モル)とポリオキシプロピレン単位(3モル)で構成されたポリオキシエチレン基を有するポリアルキレングリコールから水酸基を除いた残基
‐5:オキシエチレン単位(2モル)とポリオキシプロピレン単位(4モル)で構成されたポリオキシエチレン基を有するポリアルキレングリコールから水酸基を除いた残基
‐1:ノナノールの水酸基から水素原子を除いた残基
‐2:オクタノールの水酸基から水素原子を除いた残基
‐3:水酸基
−4:水酸基
−5:オクタン酸のカルボキシル基から水素原子を除いた残基
【0054】
【表3】
【0055】
表3において、
‐1a:トリデカノールの水酸基から水素原子を除いた残基
‐1b:トリデカノールの水酸基から水素原子を除いた残基
‐1c:テトラデカノールの水酸基から水素原子を除いた残基
‐1d:テトラデカノールの水酸基から水素原子を除いた残基
‐1e:ペンタデカノールの水酸基から水素原子を除いた残基
‐2:水酸基
‐1a:テトラデカノールの水酸基から水素原子を除いた残基
‐1b:ペンタデカノールの水酸基から水素原子を除いた残基
‐1c:テトラデカノールの水酸基から水素原子を除いた残基
‐1d:ペンタデカノールの水酸基から水素原子を除いた残基
‐1e:ペンタデカノールの水酸基から水素原子を除いた残基
‐2:水酸基
‐1:オキシエチレン単位(3モル)で構成されたポリオキシエチレン基を有するポリアルキレングリコールから水酸基を除いた残基
‐2:オキシエチレン単位(4モル)で構成されたポリオキシエチレン基を有するポリアルキレングリコールから水酸基を除いた残基
‐1:オキシエチレン単位(3モル)で構成されたポリオキシエチレン基を有するポリアルキレングリコールから水酸基を除いた残基
‐2:オキシエチレン単位(4モル)で構成されたポリオキシエチレン基を有するポリアルキレングリコールから水酸基を除いた残基
‐1:アジピン酸のカルボキシル基から水素原子を除いた残基
‐2:コハク酸のカルボキシル基から水素原子を除いた残基
【0056】
試験区分2(合成繊維用処理剤の硬水水性液の調製及び評価等)
試験区分1で調製した各例の合成繊維用処理剤について、合成繊維用処理剤15部と下記の硬水85部を均一混合して、合成繊維用処理剤の濃度15%硬水水性液を調製した。調製した硬水水性液を30℃で24時間静置した後(以下、静置後という)、キャノンフェンスケ法により30℃の動粘度(単位:mm/s)を測定し、測定結果を表4にまとめて示した。
硬水:25℃で測定した場合の電気伝導度が130μS/cmの水
【0057】
また調製した硬水水性液について、調製直後と静置後に下記の方法で透過率を測定し、調製直後の測定値と静置後の測定値の差の絶対値を表4にまとめて示した。
透過率測定方法:分光光度計(日立製作所社製の紫外線分光光度計U−2000)を用いて、750nmにおける透過率を測定した。セル長は10mmを用いた。
【0058】
更に調製した硬水水性液について静置後に目視観察し、下記の評価基準で析出粒子を評価し、その結果を表4にまとめて示した。
析出粒子の評価基準
◎:析出粒子が全く見えない
○:析出粒子が見えるが、分散している
×:析出粒子があり、沈殿している
【0059】
試験区分3(合成繊維用処理剤の加水粘度の測定)
試験区分1で調製した各例の合成繊維用処理剤について、所定量のイオン交換水と均一混合し、合成繊維用処理剤の濃度が40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%とした水性液を調製した。調製直後の処理剤水性液についてE型粘度計(東機産業社製の商品名TV−25形)を用いて30℃における粘度を測定し、その最大値を加水粘度(cP)として表4にまとめて示した。
【0060】
試験区分4(合成繊維用処理剤を付着した合成繊維、かかる合成繊維を用いた合成繊維加工品の製造及び評価)
試験区分1で調製した各例の合成繊維用処理剤について、合成繊維用処理剤10部と試験区分2と同じ硬水90部を均一混合して、濃度10%の合成繊維用処理剤の硬水水性液を調製した。固有粘度0.64、酸化チタン含有量0.2%のポリエチレンテレフタレートのチップを常法により乾燥した後、エクストルーダーを用いて295℃で紡糸し、口金から吐出して冷却固化した後、走行糸条に前記の硬水水性液を計量ポンプを用いたガイド給油法にて、走行糸条に対し合成繊維用処理剤として1.0%となるよう付着させた後、ガイドで集束させて、90℃に加熱した引取りローラーにより1400m/分の速度で引き取り、ついで引き取りローラーと4800m/分の速度で回転する延伸ローラーとの間で3.2倍に延伸し、83.3デシテックス(75デニール)36フィラメントのポリエステル繊維を得た。
【0061】
・加工時ノズルスカムの評価
前記の合成繊維を300m/分の速さで、試験区分2と同じ硬水を用いて湿式流体噴射法によりタスラン加工し、32時間加工後の交絡ノズル部の脱落物発生状況を目視観察し、以下の評価基準で加工時ノズルスカムを評価した。結果を表4にまとめて示した。
加工時ノズルスカムの評価基準
◎:スカム堆積が殆どない
○:スカムがやや堆積しているが、糸の安定加工に問題はなかった
×:スカムが堆積して、糸の安定加工に大きな問題があった
【0062】
・加工時毛羽の評価
前記の湿式流体噴射法によるタスラン加工を28時間行ったときの巻き取り直前に、毛羽計数装置(東レエンジニアリング社製の商品名DT−105)にて毛羽数を4時間測定し、以下の評価基準で加工時毛羽を評価した。結果を表4にまとめて示した。
加工時毛羽の評価基準
◎:測定された毛羽数が0〜5個
○:測定された毛羽数が6〜10個
×:測定された毛羽数が11〜20個
××:測定された毛羽数が20個以上
【0063】
【表4】
【0064】
表4において、
白濁:静置後の硬水水性液が完全に白濁しており、透過率測定ができなかった
【0065】
表4の結果から明らかなように、本発明によれば、硬水を用いて作製したエマルションの状態で合成繊維用処理剤を合成繊維に付着させ、またかかる合成繊維用処理剤を付着させた合成繊維から硬水を用いて合成繊維加工品を製造するときに、作製したエマルションが適正な粘度を維持して安定であり、また合成繊維加工品を製造するときにスカム堆積や毛羽の発生を充分に抑制し、結果として優れた工程通過性が得られる。