特開2018-136520(P2018-136520A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特開2018-136520シャッター部材を備えた光ファイバーアダプター
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-136520(P2018-136520A)
(43)【公開日】2018年8月30日
(54)【発明の名称】シャッター部材を備えた光ファイバーアダプター
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/36 20060101AFI20180803BHJP
【FI】
   G02B6/36
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-131673(P2017-131673)
(22)【出願日】2017年7月5日
(31)【優先権主張番号】106106165
(32)【優先日】2017年2月23日
(33)【優先権主張国】TW
(71)【出願人】
【識別番号】317011067
【氏名又は名称】ヤン,ムー−チン
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,ムー−チン
【テーマコード(参考)】
2H036
【Fターム(参考)】
2H036JA02
2H036QA42
2H036QA47
2H036QA49
2H036QA57
(57)【要約】      (修正有)
【課題】シャッター部材を備えた光ファイバーアダプターを提供する。
【解決手段】光ファイバーアダプターは、本体500、第1のシャッター部材700、第2のシャッター部材800および、第1の開口部517から本体の中に配置される内側ハウジング600を備える。第1のシャッター部材は、第1の基部730が本体の第1の壁面に配置され、第1の接続部が第1の基部に接続しており、第1の支持部が第1の接続部から延在しており、第1のシャッター板710が第1の支持部に接続して本体の第3の壁に向かって延在している。第2のシャッター部材は、第2の基部830が本体の第3の壁面に配置され、第2の接続部820が第2の基部に接続しており、第2の支持部850が第2の接続部820から延在しており、第2のシャッター板810が第2の支持部に接続して本体の第1の壁に向かって延在している。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の壁、第2の壁、第3の壁および第4の壁によって画定された収容室を有する本体であって、前記第1の壁は前記第3の壁に面し、かつ前記第2の壁と第4の壁とを接続しており、前記収容室は、軸方向に対向する第1および第2の開口部を有し、前記第2の開口部は、第1の光ファイバーコネクターを前記収容室に挿入することができるように構成されている本体と、
前記収容室内に配置される弾性の第1のシャッター部材であって、
前記第1の壁面に配置される第1の基部、
第1の支持部、
前記第1の基部と前記第1の支持部とを接続する第1の接続部、および
前記第1の支持部から前記第3の壁に向かって延在する第1のシャッター板
を含み、前記第1の支持部は前記第1のシャッター板を駆動して移動させるように構成されている第1のシャッター部材と、
前記収容室内に配置される弾性の第2のシャッター部材であって、
前記第3の壁面に配置される第2の基部、
第2の支持部、
前記第2の基部と前記第2の支持部とを接続する第2の接続部、および
前記第2の支持部から前記第1の壁に向かって延在する第2のシャッター板
とを含み、前記第2の支持部は前記第2のシャッター板を駆動して移動させるように構成されている前記第2のシャッター部材と、
前記本体の前記収容室内に配置される内側ハウジングであって、前記内側ハウジングは第5の壁、第6の壁、第7の壁および第8の壁によって画定された収容室を有し、前記第5の壁は前記第1および第7の壁に面し、かつ前記第6の壁と第8の壁とを接続しており、前記内側ハウジングの前記収容室は、軸方向に対向する第3および第4の開口部を有し、前記第3の開口部は、第2の光ファイバーコネクターを前記内側ハウジングの前記収容室に挿入することができるように構成されている内側ハウジングと
を備え、
前記第1の光ファイバーコネクターを前記第2の開口部から挿入することにより前記第1および第2のシャッター板をそれぞれ前記第1および第3の壁に向かって揺動させることを特徴とする、2つの光ファイバーコネクターを互いに光学的に結合するための光ファイバーアダプター。
【請求項2】
前記第2の接続部は実質的にC字形の断面を有し、かつ前記第1の光ファイバーコネクターを前記第2の開口部から前記本体の前記収容室に挿入した際に前記第1の光ファイバーコネクターと直接接触した状態になるように構成されている、請求項1に記載の光ファイバーアダプター。
【請求項3】
前記第1の接続部は実質的にC字形の断面を有し、かつは前記第1の光ファイバーコネクターを前記第2の開口部から前記本体の前記収容室に挿入した際に前記第1の光ファイバーコネクターと直接接触した状態にならないようにサイズ決めされている、請求項2に記載の光ファイバーアダプター。
【請求項4】
前記第1のシャッター部材は、前記第1の基部から横方向に延在して前記第2の壁および第4の壁をそれぞれ押圧する2つの第1のフラップをさらに含む、請求項1に記載の光ファイバーアダプター。
【請求項5】
前記第6の壁および第8の壁はそれぞれ前記2つの第1のフラップを前記第2の開口部に向かって押圧するように構成されている、請求項4に記載の光ファイバーアダプター。
【請求項6】
前記第2の支持部は前記第2の接続部から前記第2の基部に向かって延出している、請求項4に記載の光ファイバーアダプター。
【請求項7】
前記第1の支持部に湾曲部が設けられており、前記湾曲部は、前記第1の光ファイバーコネクターを前記第2の開口部から前記本体の前記収容室に挿入した際に前記第1の光ファイバーコネクターと直接接触した状態になるように構成されている、請求項3に記載の光ファイバーアダプター。
【請求項8】
前記第1の接続部の前記第2の開口部に向かうさらなる移動を制限するための前記本体の前記第1の壁に結合された停止ブロックをさらに備え、前記停止ブロック内には前記第1の光ファイバーコネクターに形成されたキー突起部が通過するための切れ目が形成されている、請求項3に記載の光ファイバーアダプター。
【請求項9】
前記第1の壁または前記第3の壁に第5の開口部が形成されており、前記内側ハウジングは、
アームと、
前記アームに結合された係合突起部と
をさらに備え、
前記係合突起部は前記第5の開口部内に配置されている、請求項1に記載の光ファイバーアダプター。
【請求項10】
前記本体は、前記第2の壁面および第4の壁面にそれぞれ形成された2つの突起部をさらに備え、前記各突起部は前記第1の開口部に面する接触面を有し、前記2つの接触面は前記第1および第2のシャッター板と接触した状態になるように構成されている、請求項1に記載の光ファイバーアダプター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は光ファイバーアダプターに関し、より詳細にはシャッター部材を備えた光ファイバーアダプターに関する。
【背景技術】
【0002】
最近では、光ファイバーはその高帯域幅および低損失性により信号伝送媒体として広く使用されている。中継器を必要とすることなくより長い距離にわたって伝送させるために、高出力ダイオードレーザーを使用してレーザー光を光ファイバーに入射するのが一般的である。しかし、情報を運ぶために使用される高出力レーザー光は通常は目に見えない。言い換えると、高出力レーザー光がファイバーケーブルの開放端から出る場合に、人の目はそれを感知することができない。従って、レーザー光が光ファイバーから出る際の目への損傷を回避するために、高出力レーザー光を遮断する必要がある。
【0003】
図1を参照すると、従来の光ファイバーアダプター100は複数の側壁160を有するハウジング110を備える。側壁160は受入凹部120を画定している。側壁160の1つには、コネクター190を受入凹部120に挿入した際に光ファイバーコネクター190のキー192と嵌合するためのスロット130が設けられている。また、2つの対向する側壁160の外面には、アダプター100のパネルへの装着を容易にするためのクリップ(図示せず)をその上に配置することができる凹部140が設けられている。
【0004】
一般に、アダプター100は、別の受入凹部120を画定する別のセットの側壁160をさらに有する。2つの受入凹部120は対向しており、コネクター190をそれぞれ受け入れることができる。当然ながら、アダプター100の2つの受入凹部120は2つの異なる種類のコネクターと嵌合するように設計されていてもよい。コネクター190は常に光ファイバーケーブル194の一端に取り付けられ、光線は光ファイバーケーブル194の先まで伝搬してコネクター190のフェルール196から放射することができる。同様に、光線をフェルール196の端面から光ファイバーケーブル194の中に結合させることができる。
【0005】
アダプター100を使用して2つのコネクター190を互いに結合させる場合、2つのコネクター190を受入凹部120にそれぞれ挿入する。このようにしてコネクター190のフェルール196を中空のスリーブ(図示せず)の中に滑り込ませ、互いに軸方向に位置合わせして接触させる。光線はコネクター190の光ファイバーケーブル194から2つのフェルール196の間のインタフェースを通って伝搬し、次いで他のコネクター190の光ファイバーケーブル194に到達することができ、その逆もまた同様である。
【0006】
1つのコネクター190をアダプター100から外した場合、アダプター100内になお維持されているコネクター190から現在外されているコネクター190まで元々伝搬している光線は、その時フェルール196から出て受入凹部120から放射される。放射している光線が高出力であり、かつ遮断されていない場合、そのような光線への持続的曝露は人々に有害であり、特に目に有害である。従って、高出力光線への曝露を回避するためにキャップ180を使用して、使用されていない受入凹部120を塞ぐのが一般的である。これにより光線を遮断することができると共に、受入凹部120を埃から保護することもできる。コネクター190をアダプター100と嵌合させたい場合には、キャップ180を取り外す必要がある。しかし、キャップ180は紛失しやすく、それらが嵌合している間も目が光線に曝露される可能性はまだある。
【0007】
図2を参照すると、従来の光ファイバーアダプター200はアダプター100とほぼ同じであるが、ハウジング110に枢動可能に接続されたカバー250をさらに備える。カバー250はその閉鎖位置において受入凹部120を覆う。受入凹部120がコネクター190と嵌合していない場合、バネ260はカバー250を付勢してその閉鎖位置まで枢動させることができる。従って、カバー250はその閉鎖位置において受入凹部120から放射している光線を遮断することができる。使用者がコネクター190をアダプター200に嵌合させたい場合には、最初にカバー250をその閉鎖位置から持ち上げ、次いでコネクター190を受入凹部120に挿入する必要がある。コネクター190を引き抜くと、カバー250はバネ260により枢動して受入凹部120を覆う。それにより、使用者が高出力光線に曝露される可能性はなくなる。しかし、アダプター200の構造はアダプター100の構造よりも非常に複雑である。
【0008】
図3を参照すると、光ファイバーアダプター100のための従来の保護キャップ300は、2つの対向する開口部を有する中空のハウジング310と、ハウジング310に枢動可能に接続されたカバー350とを備える。カバー350はバネ360によって枢動して2つの開口部のうちの一方を覆う。保護キャップ300をアダプター100に付けて、側壁160の外面およびアダプター100の受入凹部120を覆うことができる。使用者がコネクター190をアダプター200に嵌合させたい場合には、カバー350をその閉鎖位置から持ち上げ、次いでコネクター190を受入凹部120に挿入する必要がある。同様に、コネクター190を引き抜くと、バネ360によってカバー350は枢動して受入凹部120を覆う。それにより、使用者は受入凹部120から放射している高出力光線に曝露される可能性はなくなる。しかし、保護キャップ300の構造は若干複雑であるため安価ではない。保護キャップ300を導入して光線を遮断するには非常にコストがかかる。
【0009】
従って、上記問題を解決するための解決法を提供する必要がある。
【発明の概要】
【0010】
本開示は、収容室から放射している光線を遮断し、それにより光線への曝露から目を保護することができるシャッター部材を備えた光ファイバーアダプターを提供する。また、本光ファイバーアダプターは埃を防ぐこともできる。
【0011】
一実施形態では、本開示の光ファイバーアダプターは、本体、第1のシャッター部材、第2のシャッター部材および内側ハウジングを備える。本体は、第1の壁、第2の壁、第3の壁および第4の壁によって画定された収容室を有し、第1の壁は第3の壁に面し、かつ第2の壁と第4の壁とを接続している。収容室は、軸方向に対向する第1および第2の開口部を有し、第2の開口部は、第1の光ファイバーコネクターを収容室に挿入することができるように構成されている。第1のシャッター部材は弾性であり、金属で一体形成されている。第1のシャッター部材は第1の開口部から本体の収容室内に配置されてもよい。第1のシャッター部材は、第1の基部、第1の支持部、第1の接続部および第1のシャッター板を含む。第1の基部は第1の壁面に配置されている。第1の接続部は第1の基部と第1の支持部とを接続している。第1のシャッター板は第1の支持部から第3の壁まで延在し、第1の支持部は、第1のシャッター板を駆動して移動させるように構成されている。第2のシャッター部材は弾性であり、金属で一体形成されている。第2のシャッター部材は第1の開口部から本体の収容室内に配置されてもよい。第2のシャッター部材は、第2の基部、第2の支持部、第2の接続部および第2のシャッター板を含む。第2の基部は第3の壁面に配置されている。第2の接続部は第2の基部と第2の支持部とを接続している。第2のシャッター板は第2の支持部から第1の壁まで延在し、第2の支持部は、第2のシャッター板を駆動して移動させるように構成されている。内側ハウジングは第1の開口部から本体の収容室内に配置される。内側ハウジングは、第5の壁、第6の壁、第7の壁および第8の壁によって画定された収容室を有し、第5の壁は第7の壁に面し、かつ第6の壁と第8の壁とを接続している。内側ハウジングの収容室は、軸方向に対向する第3および第4の開口部を有し、第3の開口部は、第2の光ファイバーコネクターを内側ハウジングの収容室に挿入することができるように構成されている。第1の光ファイバーコネクターを第2の開口部から挿入することで第1および第2のシャッター板をそれぞれ第1および第3の壁に向かって揺動させる。
【0012】
本開示の上記ならびにさらなる目的、特徴および利点は、添付の図面を参照しながら進める以下の詳細な説明からより容易に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】従来の光ファイバーアダプターおよび従来の光ファイバーコネクターを示す正面斜視図である。
図2】受入凹部から放射している光線を遮断するためのカバーを備えた従来の光ファイバーアダプターの正面斜視図である。
図3】光ファイバーアダプターのための従来の保護キャップの正面斜視図である。
図4a】従来のMPO雄型光ファイバーコネクターの正面斜視図である。
図4b】従来のMPO雌型光ファイバーコネクターの正面斜視図である。
図5】本開示の光ファイバーアダプターの分解図である。
図6a】本開示の光ファイバーアダプターの本体の異なる正面斜視図である。
図6b】本開示の光ファイバーアダプターの本体の異なる正面斜視図である。
図6c】本開示の光ファイバーアダプターの本体の異なる正面斜視図である。
図6d】本開示の光ファイバーアダプターの本体の異なる正面斜視図である。
図6e図6aのA−A線に沿った横断面図である。
図6f図6aのB−B線に沿った横断面図である。
図6g】本開示の光ファイバーアダプターの本体の正面図である。
図7a】本開示の光ファイバーアダプターの内側ハウジングの異なる正面斜視図である。
図7b】本開示の光ファイバーアダプターの内側ハウジングの異なる正面斜視図である。
図7c】本開示の光ファイバーアダプターの内側ハウジングの異なる正面斜視図である。
図7d】本開示の光ファイバーアダプターの内側ハウジングの異なる正面斜視図である。
図8a】本開示の光ファイバーアダプターの第1のシャッター部材の異なる正面斜視図である。
図8b】本開示の光ファイバーアダプターの第1のシャッター部材の異なる正面斜視図である。
図8c】本開示の光ファイバーアダプターの第1のシャッター部材の異なる正面斜視図である。
図8d図8aのC−C線に沿った横断面図である。
図8e図8aのD−D線に沿った横断面図である。
図9a】本開示の光ファイバーアダプターの第2のシャッター部材の異なる正面斜視図である。
図9b】本開示の光ファイバーアダプターの第2のシャッター部材の異なる正面斜視図である。
図9c】本開示の光ファイバーアダプターの第2のシャッター部材の異なる正面斜視図である。
図9d】本開示の光ファイバーアダプターの第2のシャッター部材の異なる正面斜視図である。
図9e図9aのE−E線に沿った横断面図である。
図9f図9aのF−F線に沿った横断面図である。
図10】本開示の光ファイバーアダプターの組み立て方法を示す。
図11】本開示の光ファイバーアダプターの正面斜視図である。
図12図11のG−G線に沿った横断面図である。
図13】本開示の光ファイバーアダプターの第1および第2のシャッター部材の動作原理を示す。
図14】2つの光ファイバーコネクターを互いに結合するための本開示の光ファイバーアダプターの使用方法を示す。
図15】2つの光ファイバーコネクターを互いに結合するための本開示の光ファイバーアダプターの使用方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
従来の多心MPO雄型および雌型光ファイバーコネクター400aおよび400bをそれぞれ示す図4aおよび図4bを参照する。それぞれの光ファイバーコネクター400aおよび400bは、その前部の上面に形成された矩形のキー突起部412を有する。前部の2つの対向する外側面には2つの凹部414が位置している。複数の光ファイバー430が前部の前端面420から露出されており、それと同一平面上にある。光ファイバーコネクター400aの端面420から2つのガイドピン440が突出しており、光ファイバーコネクター400bの端面420にはコネクター400aのガイドピン440をそれぞれ受け入れるための2つのガイドホール450が形成されている。
【0015】
図5を参照すると、本開示に係る光ファイバーアダプターはMPO型光ファイバーアダプターであってもよく、本体500、内側ハウジング600、第1のシャッター部材700および第2のシャッター部材800を備える。
【0016】
次に、本開示の本体500を示す図6a〜図6gを参照する。本体500は射出成形プロセスによってプラスチックで作られていてもよい。本体500は中空であり、実質的に矩形状の断面を有する。本体500は、頂壁511、底壁512、右側壁513および左側壁514によって画定された収容室515を有し、頂壁511は底壁512に面し、かつ右側壁513と左側壁514とを接続している。収容室515は、長手方向すなわち軸方向に第1の開口部517および対向する第2の開口部518を有する。頂壁511は第1の開口部517の近くに位置する矩形の開口部521と共に形成されている。同様に、底壁512は第1の開口部517の近くに位置する矩形の開口部522と共に形成されている。一実施形態では、開口部521および522は貫通孔である。右側壁513および左側壁514のそれぞれにフック542が形成されている。2つのフック542は互いに面し、かつ第2の開口部518に向かって軸方向に延在するように配置されている。第2の開口部518の近くの収容室515内の頂壁511には少なくとも1つの停止ブロック550が形成されている。停止ブロック550は、頂壁511から横方向に突出する垂直部551および垂直部551から第1の開口部517に向かって横方向に突出する水平部552を含む。従って、停止ブロック550はL字形の断面を有する。それにより、停止ブロック550と頂壁511との間に室553が画定される。室553は第1の開口部517に面する開口部を有する。水平部552の後端には傾斜した接触面554が形成されている。接触面554は頂壁511および第1の開口部517に面するように配置されている。一実施形態では、頂壁511に形成された2つの停止ブロック550があり、停止ブロック550の一方は右側壁513の近くに位置し、他方の停止ブロック550は左側壁514の近くに位置している。2つの停止ブロック550の垂直部551は互いに向かって延在し、かつ互いに接続して連続的な垂直部551を形成していてもよい。但し、連続的な垂直部551には、光ファイバーコネクター400aまたは400bを第2の開口部518から収容室515に挿入した際にキー突起部412が通過するための切れ目558が形成されており、その切れ目は光ファイバーコネクター400aまたは400bのキー突起部412の幅よりも僅かに大きい幅を有する。同様に、第2の開口部518の近くの収容室515内の底壁512には少なくとも1つの停止ブロック560が形成されている。停止ブロック560は、底壁512から横方向に突出する垂直部561および垂直部561から第1の開口部517に向かって横方向に突出する水平部562を含む。従って、停止ブロック560はL字形の断面を有する。それにより、停止ブロック560と底壁512との間に室563が画定される。室563は第1の開口部517に面する開口部を有する。水平部562の後端には傾斜した接触面564が形成されている。接触面564は、底壁512および第1の開口部517に面するように配置されている。一実施形態では、底壁512に形成された2つの停止ブロック560があり、停止ブロック560の一方は右側壁513の近くに位置し、他方の停止ブロック560は左側壁514の近くに位置している。2つの停止ブロック560の垂直部561は互いに向かって延在し、かつ互いに接続して連続的な垂直部561を形成していてもよい。また、右側壁513および左側壁514にはそれぞれ突起部570が形成されている。各突起部570は、第1の開口部517に面するようにその外面に形成された傾斜した接触面572を有する。
【0017】
次に、本開示の内側ハウジング600を示す図7a〜図7dを参照する。内側ハウジング600は射出成形プロセスによってプラスチックで作られていてもよい。内側ハウジング600は中空であり、実質的に矩形状の断面を有する。内側ハウジング600は頂壁611、底壁612、右側壁613および左側壁614によって画定された収容室615を有し、頂壁611は底壁612に面し、かつ右側壁613と左側壁614とを接続している。収容室615は、長手方向すなわち軸方向に第3の開口部617および対向する第4の開口部618を有する。右側壁613および左側壁614のそれぞれにフック642が形成されている。2つのフック642は互いに面し、かつ第3の開口部617に向かって軸方向に延在するように配置されている。頂壁611は軸方向に延在するスロットと共に形成されており、このスロットは矩形の切れ目651を画定している。切れ目651内にはアーム621が形成されており、頂壁611から第3の開口部617に向かって軸方向に突出している。それに応じて、アーム621は頂壁611に結合された根元を有する。底壁612も軸方向に延在するスロットと共に形成されており、このスロットは矩形の切れ目652を画定している。切れ目652内にはアーム622が形成されており、底壁612から第3の開口部617に向かって軸方向に突出している。それに応じて、アーム622は底壁612に結合された根元を有する。収容室615の外側にあるアーム621および622の表面にはそれぞれ係合突起部631および632が形成されている。係合突起部631および632は、それぞれのアーム621および622の根元に向かって傾斜しているそれぞれの角度のある外面、すなわち傾斜した外面を画定している。収容室615内の頂壁611には軸方向に延在する矩形の凹部641が形成されている。一実施形態では、アーム621は凹部641の底を画定している。凹部641は、光ファイバーコネクター400aまたは400bを第3の開口部617から収容室615に挿入した際にキー突起部412を受け入れるために光ファイバーコネクター400aまたは400bのキー突起部412の幅よりも僅かに大きい幅を有する。
【0018】
次に、本開示の第1のシャッター部材700を示す図8a〜図8eを参照する。第1のシャッター部材700は弾性であり、金属シートで一体形成されている。第1のシャッター部材700は、シャッター板710、接続部720、基部730、2つのフラップ740および支持部750を含む。基部730はほぼ矩形であり、接続部720は基部730の前側から延出している。2つのフラップ740はそれぞれ基部730の右側および左側から横方向に突出している。接続部720は実質的にC字形の断面を有し、基部730と支持部750とを接続している。また、接続部720は、第1のシャッター部材700を本体500に挿入した際に連続的な垂直部551よりも低い位置にあり、かつ基部730が頂壁511の表面に配置されるようにサイズ決めされている。シャッター板710は湾曲しており、対向する前面717および背面718を有する。シャッター板710は、前面717に凹面711aを画定する湾曲部711をさらに有する。シャッター板710は約180°の角度で支持部750から延出している。シャッター板710は接続部720の周りを基部730に向かって枢動可能に移動させることができる。シャッター板710は前面717に加わる押力により基部730の近くまで曲げられ、押力を取り除くと素早くその元の位置に戻る。シャッター板710を基部730の近くに移動させると接続部720は変形する。支持部750は波形状の断面を有し、均一な幅を有する。支持部750は、シャッター板710に接続する側面と接続部720に接続する対向する側面とを有する。支持部750は対向する前面757および背面758を有し、背面758は基部730に面し、かつシャッター板710の背面718まで連続的に延在している。支持部750の前面757はシャッター板710の前面717まで連続的に延在している。支持部750はシャッター板710および接続部720の両方よりも幅が狭い。支持部750は第1の湾曲部751、第2の湾曲部752および第3の湾曲部753をさらに有し、第1の湾曲部751は接続部720の近くに位置し、第3の湾曲部753はシャッター板753の近くに位置し、第2の湾曲部752は第1の湾曲部751と第3の湾曲部753との間に位置する。第1の湾曲部751は前面757に凹面751aを画定しており、第2の湾曲部752は、背面758に凹面752aを画定しており、第3の湾曲部753は、支持部750の前面757に凹面753aを画定している。支持部750は、第1の湾曲部751から第2の湾曲部752までの部分において基部730から離れるように延在しており、第2の湾曲部752と第3の湾曲部753との間の部分は基部730に実質的に平行である。
【0019】
次に、本開示の第2のシャッター部材800を示す図9a〜図9fを参照する。第2のシャッター部材800は弾性であり、金属シートで一体形成されている。第2のシャッター部材800は、シャッター板810、接続部820、基部830、2つのフラップ840および支持部850を含む。基部830はほぼ矩形であり、接続部820は基部830の前側から延出している。2つのフラップ840はそれぞれ基部830の右側および左側から横方向に突出している。接続部820は実質的にC字形の断面を有し、基部830と支持部850とを接続している。また、接続部820は、第2のシャッター部材800を本体500に挿入した際に連続的な垂直部561よりも高い位置にあり、かつ基部830が底壁512の表面に配置されるようにサイズ決めされている。接続部820は接続部720よりも大きい曲げ半径を有する。シャッター板810は湾曲しており、対向する前面817および背面818を有する。シャッター板810は、前面817に凹面811aを画定する湾曲部811をさらに有する。シャッター板810は約180°の角度で支持部850から延出している。シャッター板810は接続部820の周りを基部830に向かって枢動可能に移動させることができる。シャッター板810は前面817に加わる押力によって基部830の近くまで曲げられ、押力を取り除くと素早くその元の位置に戻る。シャッター板810を基部830の近くまで移動させると接続部820は変形する。支持部850は均一な幅を有し、約180°の角度で接続部820から延出している。支持部850は、シャッター板810に接続する側面および接続部820に接続する対向する側面を有する。支持部850は対向する前面857および背面858を有し、背面858は基部830に面し、かつシャッター板810の背面818まで連続的に延在している。支持部850の前面857はシャッター板810の前面817まで連続的に延在している。支持部850はほぼ矩形であり、基部810に向かって接続部820から延出している。支持部850は接続部820と幅が等しいが、シャッター板810よりも幅が狭い。湾曲部851が支持部850の後側に形成されており、支持部850の前面857に凹面851aを画定している。
【0020】
図10を参照すると、本開示の光ファイバーアダプターを組み立てる準備をする場合、最初に、接続部720を停止ブロック550の方に向けてそこに向かって移動させるように、第1のシャッター部材700を第1の開口部517から本体500に挿入する。接続部720が垂直部551に近づいた後、基部730は本体500の頂壁511の表面に位置し、シャッター板710の前面717は第2の開口部518に面する。この状態では、シャッター板710は底壁512に向かって延在し、接続部720は連続的な垂直部551よりも低い位置にある。さらに、2つのフラップ740はそれぞれ本体500の右側壁513および左側壁514を押圧する。第1のシャッター部材700が本体500内の適所に到達した後、次いで、接続部820を停止ブロック560の方に向けてそこに向かって移動させるように、第2のシャッター部材800を第1の開口部517から本体500に挿入する。接続部820が垂直部561に近づいた後、基部830は本体500の底壁512の表面に位置し、シャッター板810の前面817は第2の開口部518に面し、背面718の後部において第1のシャッター部材700のシャッター板710を押圧する。この状態では、シャッター板810は頂壁511に向かって延在し、接続部820は連続的な垂直部561よりも高い位置にある。さらに、2つのフラップ840はそれぞれ本体500の右側壁513および左側壁514を押圧する。
【0021】
最後に、そのフック642が本体500の第2の開口部518の後方に配置された状態で、内側ハウジング600を第1の開口部517から本体500に挿入する。本開示の光ファイバーアダプターでは、内側ハウジング600の頂壁611および底壁612がそれぞれ本体500の頂壁511および底壁512に直接面して配置された状態になるように、内側ハウジング600を本体500に挿入してもよい。あるいは、頂壁611および底壁612をそれぞれ本体500の底壁512および頂壁511に直接面するように配置してもよい。図10に示す組み立て方法では、内側ハウジング600を本体500に挿入した場合、内側ハウジング600の頂壁611および底壁612はそれぞれ本体500の頂壁511および底壁512に直接面する。内側ハウジング600を本体500の中に押し込むと、係合突起部631および632はそれぞれ頂壁511および底壁512の表面を摺動し、それによりアーム621および622を曲げる。係合突起部631、632がそれぞれ開口部521、522の中に収まるように内側ハウジング600を本体500の中に押し込み続けると、アーム621および622は跳ね上がり、本開示の光ファイバーアダプターの組み立ては終了する。この状態では、内側ハウジング600の右側壁613および左側壁614の後側はそれぞれ、第1のシャッター部材700の2つのフラップ740の後側および第2のシャッター部材800の2つのフラップ840の後側を押圧して、接続部720および820をそれぞれ停止ブロック550および560に向かってさらに押圧する。図11および図12は、本開示の組み立てられた光ファイバーアダプターを示す。
【0022】
図13を参照すると、1つの光ファイバーコネクターも第2の開口部518から本体500に挿入されていない場合には、第1のシャッター部材700のシャッター板710および第2のシャッター部材800のシャッター板810は弾性により跳ね上がる。図4aの光ファイバーコネクター400aを第3の開口部617から内側ハウジング600に挿入すると、光ファイバーコネクター400aの光ファイバー430から放射している光線はシャッター板710および810により遮断される。従って、有害な光線への曝露の発生を回避することができる。また、シャッター板710、810の縁は本体500の右側壁513および左側壁514にある突起部570の接触面572と接触する。本体500の水平部552、562にある傾斜した接触面554、564はそれぞれシャッター板710、810の前面717、817と接触した状態になる。これにより、挿入された光ファイバーコネクター400aは第2の開口部518から本体500の中に侵入した汚染物からさらに保護される。
【0023】
図14および図15を参照すると、そのキー突起部412が停止ブロック550の連続的な垂直部551内の切れ目558および2つの水平部552間の隙間を通過するように、図4bの光ファイバーコネクター400bを第2の開口部518から本体500に挿入することができる。接続部720は連続的な垂直部551よりも低い位置にあり、かつ接続部820は連続的な垂直部561より高い位置にあるため、挿入された光ファイバーコネクター400bは接続部820と最初に接触をする。接続部820は変形し、それにより支持部850を駆動して移動させる。次いで、移動している支持部850はシャッター板810を駆動して本体500の底壁512に向かって揺動させる。光ファイバーコネクター400bを本体500の中に押し込み続けると、次いでそのキー突起部412は第1のシャッター部材700の支持部750に接触する。押圧された支持部750はシャッター板710を駆動して本体500の頂壁511に向かって揺動させる。光ファイバーコネクター400bを本体500の中にさらに押し込むと、キー突起部412は支持部750の第2の湾曲部752に直接接触してシャッター板710を頂壁511に向かってさらに移動させる。挿入された光ファイバーコネクター400bが支持部750を押圧し始める際は、それが接続部820となお接触した状態であることが分かる。光ファイバーコネクター400bを本体500になおさらに押し込むと、シャッター板710、810の両方に直接接触してそれらの端部をそれぞれ頂壁511および底壁512により近づいた状態になるまで押圧する。
【0024】
光ファイバーコネクター400bを本体500に完全に挿入すると、本体500のフック542はそれぞれ光ファイバーコネクター400bにある凹部414に掛止される。光ファイバーコネクター400aのガイドピン440はそれぞれ光ファイバーコネクター400bのガイドホール450に挿入され、光ファイバーコネクター400aおよび400bから露出された光ファイバー430は互いに直接接触するため、1つのファイバーから放射している光線を結合されているファイバーに光学的に結合させることができる。光ファイバーコネクター400aおよび400bが互いに光学的に接触すると、シャッター板710および支持部750は本体500の頂壁511と光ファイバーコネクター400bとの間に配置される状態になるまで押圧され、シャッター板810および支持部850は底壁512と光ファイバーコネクター400bとの間に配置される状態になるまで押圧される。光ファイバーコネクター400bを本体500から引き抜くと、押圧されたシャッター板710、810は弾性によりそれぞれの元の位置に素早く跳ね返って光ファイバーコネクター400aの光ファイバー430から放射している光線を再び遮断する。その結果、有害な光線への曝露の発生を回避することができる。
【0025】
本開示の光ファイバーアダプターでは、内側ハウジング600の係合突起部631、632はそれぞれ頂壁511および底壁512にある開口部521、522内に収まり、内側ハウジング600が第1の開口部517から本体500の外に抜け出るのを防止する。内側ハウジング600の凹部641は光ファイバーコネクター400aまたは400bのキー突起部412を受け入れるように構成されているため、光ファイバーコネクター400a、400bを内側ハウジング600に所定の向きでのみ挿入することができる。内側ハウジング600を本体500の中に配置する場合に内側ハウジング600の頂壁611および底壁612をそれぞれ本体500の頂壁511および底壁512に面するように、あるいはそれぞれ底壁512および頂壁511に面するように配置することにより、光ファイバーコネクター400aおよび400bの結合極性を切り換えてもよい。本体500および内側ハウジング600のフック542、642は、光ファイバーコネクター400aまたは400bにある凹部414に掛止されるように構成されている。
【0026】
図14および図15を再度参照すると、光ファイバーコネクター400bを第2の開口部518から本体500に挿入する前に、第1シャッター部材700および第2のシャッター部材800を本体500から外す必要はない。光ファイバーコネクター400bを第2の開口部518から本体500に挿入する場合、シャッター板710、810はそれぞれ本体500の頂壁511および底壁512に近づくまで押圧される。光ファイバーコネクター400bを本体500から引き抜くと、押圧されたシャッター板710、810は弾性によりそれぞれの元の位置に素早く跳ね返る。従って、光ファイバーコネクター400aの光ファイバー430から放射している光線を再度遮断することができる。
【0027】
本開示の光ファイバーアダプターでは、シャッター部材700、800のフラップ740、840は、右側壁513および左側壁514を押圧するように本体500内に配置されているため、本体500の収容室515におけるシャッター部材700、800の横移動を制限することができる。本体500の2つの水平部552間の隙間は、支持部750の揺動の妨害を回避するために第1のシャッター部材700の支持部750の幅よりも大きい。同様に、本体500の2つの水平部562間の隙間は、それらの揺動の妨害を回避するために第2のシャッター部材800の接続部820および支持部850の両方の幅よりも大きい。本体500の水平部552、562にある傾斜した接触面554、564は、シャッター板710、810が第2の開口部518に向かってさらに揺動するのを防止するために、シャッター板710、810の前面717、817とそれぞれ接触した状態になるように構成されている。さらに、第1および第2のシャッター部材700、800は、第2の開口部518から本体500に挿入された光ファイバーコネクターによってシャッター板710よりも早くシャッター板810が駆動されて揺動されるように設計されていてもよい。これによりシャッター板710および810が互いに妨害し合うのを防止してもよい。
【0028】
さらに、開口部521、522が貫通孔である場合、開口部521、522を通して細長い物体を使用してアーム621、622を押し下げることができる。このようにして内側ハウジング600およびシャッター部材700、800を第1の開口部517を通して本体500から取り出してもよい。本体550の停止ブロック550、560はそれぞれシャッター部材700、800の接続部720、820のさらなる移動を制限するように配置されているため、シャッター部材700、800を第2の開口部518から引き抜くことはできない。
【0029】
本開示についてMPO型光ファイバーアダプターを用いて詳細に説明してきたが、当然のことながら本開示の光ファイバーアダプターは他の種類の光ファイバーアダプターを含んでもよい。
【0030】
例示を目的として本開示の好ましい実施形態について開示してきたが、当業者であれば、添付の特許請求の範囲に開示されている本開示の範囲および趣旨から逸脱することなく各種修正、追加および置換が可能であることが分かるであろう。
図1
図2
図3
図4a
図4b
図5
図6a
図6b
図6c
図6d
図6e
図6f
図6g
図7a
図7b
図7c
図7d
図8a
図8b
図8c
図8d
図8e
図9a
図9b
図9c
図9d
図9e
図9f
図10
図11
図12
図13
図14
図15