(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-136908(P2018-136908A)
(43)【公開日】2018年8月30日
(54)【発明の名称】カバー及び携帯情報端末
(51)【国際特許分類】
G06F 1/16 20060101AFI20180803BHJP
H04M 1/02 20060101ALI20180803BHJP
H04M 1/04 20060101ALI20180803BHJP
【FI】
G06F1/16 312J
G06F1/16 312G
G06F1/16 312Q
H04M1/02 C
H04M1/04 Z
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-119635(P2017-119635)
(22)【出願日】2017年6月19日
(31)【優先権主張番号】特願2017-29323(P2017-29323)
(32)【優先日】2017年2月20日
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】505205731
【氏名又は名称】レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】中田 和夫
(72)【発明者】
【氏名】宮本 旅人
(72)【発明者】
【氏名】堀越 正太
(72)【発明者】
【氏名】プランケット ジョセフ デイビッド
【テーマコード(参考)】
5K023
【Fターム(参考)】
5K023AA07
5K023KK07
5K023LL06
5K023MM03
5K023MM25
(57)【要約】
【課題】筐体に設けられて、スタンドの機能を有しつつ、表示部とは反対側の他面の全面にわたって一体性を持たせることが可能なカバー及び携帯情報端末を提供することを目的とする。
【解決手段】カバー4は、一面側に表示部が設けられたタブレット端末1の筐体2において、一面側とは反対側の他面側に設置される平板材であって、筐体2と接しているとき、他面の一部を覆い、筐体2に対して回動可能な可動板5と、筐体2の他面側に固定される面状の固定板6と、固定板6及び可動板5と接続され、可動板5を固定板6に支持させるヒンジ7と、可動板5、固定板6及びヒンジ7よりも表面側に設けられ、他面の全面にわたって隙間のない平滑な表面を有する表面部材8とを備える。
【選択図】
図22
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一面側に表示部が設けられた携帯情報端末の筐体において、前記一面側とは反対側の他面側に設置される平板材であって、前記筐体と接しているとき、前記他面の一部を覆い、前記筐体に対して回動可能な可動部と、
前記筐体の前記他面側に固定される面状の固定部と、
前記固定部及び前記可動部と接続され、前記可動部を前記固定部に支持させるヒンジ部と、
前記可動部、前記固定部及び前記ヒンジ部よりも表面側に設けられ、前記他面の全面にわたって隙間のない平滑な表面を有する表面部材と、
を備えるカバー。
【請求項2】
一面側に表示部が設けられた携帯情報端末の筐体において、前記一面側とは反対側の他面側に設置される平板材であって、前記筐体と接しているとき、前記他面の一部を覆い、前記筐体に対して回動可能な可動部と、
前記筐体及び前記可動部と接続され、前記可動部を前記筐体に支持させるヒンジ部と、
前記可動部及び前記ヒンジ部よりも表面側に設けられ、前記他面の全面にわたって隙間のない平滑な表面を有する表面部材と、
を備えるカバー。
【請求項3】
前記表面部材は、伸縮性を有する材料である請求項1又は2に記載のカバー。
【請求項4】
前記ヒンジ部は、互いに平行に配置された複数本の回動軸を有する多軸ヒンジである請求項1から3のいずれか1項に記載のカバー。
【請求項5】
前記表面部材は、表面側に設けられ、エラストマー材料とされたエラストマー層と、裏面側に設けられ、金属材料とされた金属層と、を備えている請求項1から4のいずれか1項に記載のカバー。
【請求項6】
一面側に設けられた表示部と、
前記一面側とは反対側の他面側に設けられた請求項1から5のいずれか1項に記載のカバーと、
を備える携帯情報端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カバー及び携帯情報端末に関するものである。
【背景技術】
【0002】
タブレット端末(タブレットコンピュータ)等の携帯情報端末は、CPUやメモリ等の回路基板が内蔵された筐体にタッチパネルが設けられて、ユーザーが画面上に触れることで端末への入力が可能である。タブレット端末の使用方法として、ユーザーが手で持ちながら、ディスプレイの表示内容を見たり、入力したりすることもあるが、スタンドを利用して、机やテーブルなどの載置面に立てられた状態で使用されることもある。
【0003】
下記の特許文献1では、電子機器に搭載された機器への磁力の影響をなくし、電子機器の起立姿勢での安定性を向上させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016−201062号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
タブレット端末を載置面に立てるためのスタンドには、端末の筐体の背面に常に取り付けられており、ヒンジを介して開閉可能な構成を有するものがある。ユーザーがタブレット端末を手で持っているとき、スタンドは筐体側へ閉じられ、タブレット端末が机等の載置面に立てられるとき、スタンドは、筐体から離れた位置に開かれる。スタンドの形状は、例えば、平板状であって、筐体の背面のほぼ下半分を占めるものや、コの字形状を有し、平行な2本の垂直材と、2本の垂直材の下端部に接続される1本の水平材から構成されるものなどがある。いずれの場合も、スタンドは、筐体の高さ方向中央部分付近で、筐体の背面と接続される。
【0006】
上述した従来のスタンドは、筐体の背面に常に取り付けられているが、筐体とは別部材であるため、スタンドを閉じた状態でも、タブレット端末の背面側には、筐体とスタンド端部との間の境界部分に線状に隙間が形成されている。そのため、回動部分に塵埃が入り込む可能性がある。また、筐体とスタンドが別部材であるため、スタンドを閉じた状態で、背面側において段差がなく面一となるように製造することが困難である。さらに、スタンドが取り付けられていないタブレット端末に比べて、背面側の見た目に一体性がなく、洗練されたデザインとすることができない。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、筐体に設けられて、スタンドの機能を有しつつ、表示部とは反対側の他面の全面にわたって一体性を持たせることが可能なカバー及び携帯情報端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1態様に係るカバーは、一面側に表示部が設けられた携帯情報端末の筐体において、前記一面側とは反対側の他面側に設置される平板材であって、前記筐体と接しているとき、前記他面の一部を覆い、前記筐体に対して回動可能な可動部と、前記筐体の前記他面側に固定される面状の固定部と、前記固定部及び前記可動部と接続され、前記可動部を前記固定部に支持させるヒンジ部と、前記可動部、前記固定部及び前記ヒンジ部よりも表面側に設けられ、前記他面の全面にわたって隙間のない平滑な表面を有する表面部材とを備える。
【0009】
本発明の第2態様に係るカバーは、一面側に表示部が設けられた携帯情報端末の筐体において、前記一面側とは反対側の他面側に設置される平板材であって、前記筐体と接しているとき、前記他面の一部を覆い、前記筐体に対して回動可能な可動部と、前記筐体及び前記可動部と接続され、前記可動部を前記筐体に支持させるヒンジ部と、前記可動部及び前記ヒンジ部よりも表面側に設けられ、前記他面の全面にわたって隙間のない平滑な表面を有する表面部材とを備える。
【0010】
本発明の第3態様に係る携帯情報端末は、一面側に設けられた表示部と、前記一面側とは反対側の他面側に設けられた上記第1態様又は第2態様のカバーとを備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、筐体に設けられて、スタンドの機能を有しつつ、表示部とは反対側の他面の全面にわたって一体性を持たせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態に係るタブレット端末を示す正面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るタブレット端末を示す背面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るタブレット端末を示す平面図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係るタブレット端末を示す底面図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係るタブレット端末を示す右側面図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係るタブレット端末を示す左側面図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係るタブレット端末を正面から見た斜視図であり、カバーを閉じた状態を示している。
【
図8】本発明の一実施形態に係るタブレット端末を背面から見た斜視図であり、カバーを閉じた状態を示している。
【
図9】本発明の一実施形態に係るタブレット端末を正面から見た斜視図であり、カバーを開いた状態を示している。
【
図10】本発明の一実施形態に係るタブレット端末を背面から見た斜視図であり、カバーを開いた状態を示している。
【
図11】本発明の一実施形態に係るタブレット端末を示す背面図であり、カバーを薄墨を施して示している。
【
図12】本発明の一実施形態に係るタブレット端末を示す平面図であり、カバーを薄墨を施して示している。
【
図13】本発明の一実施形態に係るタブレット端末を示す底面図であり、カバーを薄墨を施して示している。
【
図14】本発明の一実施形態に係るタブレット端末を示す右側面図であり、カバーを薄墨を施して示している。
【
図15】本発明の一実施形態に係るタブレット端末を示す左側面図であり、カバーを薄墨を施して示している。
【
図16】本発明の一実施形態に係るタブレット端末を正面から見た斜視図であり、カバーを閉じた状態を示しており、カバーを薄墨を施して示している。
【
図17】本発明の一実施形態に係るタブレット端末を背面から見た斜視図であり、カバーを閉じた状態を示しており、カバーを薄墨を施して示している。
【
図18】本発明の一実施形態に係るタブレット端末を正面から見た斜視図であり、カバーを開いた状態を示しており、カバーを薄墨を施して示している。
【
図19】本発明の一実施形態に係るタブレット端末を背面から見た斜視図であり、カバーを開いた状態を示しており、カバーを薄墨を施して示している。
【
図20】本発明の一実施形態に係るタブレット端末を示す縦断面図であり、カバーを閉じた状態を示している。
【
図21】本発明の一実施形態に係るタブレット端末を示す背面図であり、表面部材が取り外された状態の可動板及び固定板を示している。
【
図22】本発明の一実施形態に係るタブレット端末を示す縦断面図であり、カバーを開いた状態を示している。
【
図23】本発明の一実施形態に係るタブレット端末に適用されるヒンジの一例を示す側面図である。
【
図24】本発明の一実施形態に係るタブレット端末に適用されるヒンジの一例を示す側面図である。
【
図25】本発明の一実施形態に係るタブレット端末の変形例を示す縦断面図であり、カバーを閉じた状態を示している。
【
図26】本発明の一実施形態に係るタブレット端末の変形例を示す縦断面図であり、カバーを開いた状態を示している。
【
図27】本発明の一実施形態に係るタブレット端末を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態に係るタブレット端末1について、図面を用いて説明する。
タブレット端末1は、携帯情報端末の一例であり、
図1〜
図10に示すように、パネル状の筐体2を備え、筐体2にディスプレイモジュール3が設けられる。筐体2には、内部にCPU及びメモリ等を搭載した回路基板や、バッテリー等の電源部などが収容される。タブレット端末1は、上述したCPU等によって実現される制御部を備える。
【0014】
筐体2の一面側に設けられるディスプレイモジュール3は、例えば、液晶ディスプレイを備えて、液晶ディスプレイによって画像を表示する。なお、画像を表示するディスプレイモジュール3は、液晶ディスプレイを備える場合に限定されず、有機ELディスプレイ等でもよい。ディスプレイモジュール3は、タッチパネルを備え、表示面上で触れられた指等の外部からの接触を検出して、入力を行うことができる。
【0015】
タブレット端末1の筐体2において、ディスプレイモジュール3が設けられた筐体2の一面(正面)側とは反対側の他面(背面)側に、カバー4が設置される。カバー4は、
図11〜
図19に示すように、筐体2の背面側の全面を覆うように設けられる。
図11〜
図19では、カバー4について薄墨を施して示している。
【0016】
カバー4は、
図20〜
図22に示すように、例えば、開かれた状態でスタンドの機能を有する可動板5と、筐体2に取り付けられる固定板6と、可動板5及び固定板6と接続されるヒンジ7と、平滑な表面を有する表面部材8などを備える。なお、可動板5、固定板6、ヒンジ7は、それぞれ可動部、固定部、ヒンジ部の一例である。
【0017】
図21に示すように、可動板5と固定板6は、それぞれ例えば1枚ずつの金属製の平板状部材である。可動板5と固定板6は、長方形状を有しており、互いに隣接して配置される。可動板5と固定板6を合わせた形状は、筐体2の背面とほぼ同一である。
【0018】
可動板5と固定板6の隣接する位置は、筐体2の短辺方向中央部分付近に位置する。可動板5の長辺と固定板6の長辺は、筐体2の長辺とほぼ同一長さであり、可動板5の外側の長辺と、固定板6の外側の長辺は、筐体2の長辺の端部に沿って設けられる。
【0019】
可動板5は、筐体2の短辺の約半分又は半分以下の長さであり、固定板6の短辺は、可動板5の短辺と合わせて、筐体2の短辺の長さとなる長さである。可動板5の対向する二つの短辺と、固定板6の対向する二つの短辺は、筐体2の短辺に沿って設けられる。
【0020】
図20及び
図22に示すように、可動板5は、ヒンジ7によって筐体2に対して開閉するように回動可能である。可動板5は、固定板6と隣接する長辺の端部近傍を中心にして回動する。可動板5は、
図20に示すように、筐体2と接しているとき、すなわち、閉じた状態で、筐体2の背面の一部を覆う。
図7及び
図8には、カバー4が閉じられた状態のタブレット端末1の斜視図を示す。
図22に示すように、可動板5は、筐体2から離れたとき、すなわち、開いた状態で、タブレット端末1を支持するスタンド(脚部)として使用可能である。
図9及び
図10には、カバー4が開いた状態のタブレット端末1の斜視図を示す。
【0021】
固定板6は、筐体2の背面側に固定される。固定板6と筐体2とは、例えばねじ止め、又は、接着によって互いに固定される。
【0022】
図20及び
図22に示すように、ヒンジ7は、一側が可動板5と接続され、他側が固定板6と接続される。ヒンジ7によって、可動板5は固定板6に支持される。固定板6が筐体2に固定されていることから、可動板5は、ヒンジ7及び固定板6を介して筐体2に支持される。
【0023】
ヒンジ7は、回動軸が1本であってもよいし、
図23及び
図24に示すように、複数本の回動軸10A,10B,10Cが平行に設けられる多軸ヒンジであってもよい。回動軸が1本であるヒンジを用いた場合、可動板5を回動させたとき、固定板6から可動板5の距離が短いことから、折れ曲がり部分の曲率半径が小さく、表面部材8が急に折れた状態となりやすい。一方、ヒンジ7として、
図23及び
図24に示すような多軸ヒンジを用いた場合、可動板5を回動させたとき、固定板6から可動板5を離すことができ、回動軸が1本であるヒンジを用いた場合と比べて、表面部材8を緩やかに湾曲させることができる(
図22参照)。これにより、可動板5の開閉が繰り返されたとしても、表面部材8が塑性変形しづらく、折れ筋等が生じるおそれが低減される。
【0024】
多軸ヒンジとしてのヒンジ7は、例えば、接続部9A,9Bと、回動軸10A,10B,10Cと、連結板11A,11Bなどを備える。接続部9Aは、例えば固定板6に接続され、接続部9Bは、例えば可動板5に接続される。回動軸10Aは、接続部9Aと連結板11Aに貫通して設けられており、回動軸10Bは、連結板11Aと連結板11Bに貫通して設けられており、回動軸10Cは、連結板11Bと接続部9Bに貫通して設けられている。接続部9Bと連結板11Aは、
図23及び
図24に示すように、側端面に形成された歯車12,13によって互いに噛み合っている。接続部9Aと連結板11Bも、図示しないが、接続部9Bと連結板11Aの関係と同様に、側端面に形成された歯車によって互いに噛み合っている。
【0025】
固定板6に対して可動板5を回動させると、回動軸10Aを中心にして接続部9Aと連結板11Aが相対的に回動し、回動軸10Bを中心にして連結板11Aと連結板11Bが相対的に回動し、回動軸10Cを中心にして連結板11Bと接続部9Bが相対的に回動する。これにより、
図22に示すように、可動板5と固定板6の間における表面部材8の折れ曲がり部分が緩やかな湾曲形状となる。
【0026】
図20及び
図22に示すように、表面部材8は、可動板5、固定板6及びヒンジ7よりも表面側に設けられ、
図1〜
図19に示すように、筐体2の背面の全面にわたって隙間のない平滑な表面を有する。表面部材8は、例えば、合成樹脂製、ゴム製、皮革製、布製などである。表面部材8は、可動板5と固定板6を覆うように設けられ、可動板5と固定板6に対して接着剤によって接合される。
【0027】
表面部材8によって、可動板5と固定板6との間の境界部分に形成される隙間が塞がれ、回動部分に塵埃が入り込みにくくなる。表面部材8は、一定の厚みを有することで、可動板5と固定板6の段差を吸収することができ、筐体2の背面側に段差がなく面一となるように製造できる。これにより、可動板5を開かずに、筐体2の背面を机等の載置面に載せたとき、タブレット端末1を安定して載置できる。
【0028】
また、例えば
図2及び
図8に示すように、スタンドが取り付けられていないタブレット端末と同様に、筐体2の背面側の見た目に一体性を生じさせ、洗練されたデザインとすることができる。さらに、表面部材8を滑りにくい材質としたり、表面部材8に滑りにくい表面処理が施されることによって、筐体2の背面を机等の載置面に載せたとき、タブレット端末1が載置面上で滑ることを防止できる。
【0029】
表面部材8は、伸縮性を有する材料であることが好ましい。これにより、表面部材8は、可動板5の動きに追従して伸縮可能である。例えば、表面部材8は、
図20に示すように、可動板5を筐体2から離して開いたとき収縮し、
図22に示すように、可動板5を筐体2に接触させたとき伸張する。表面部材8において伸縮性がない場合、可動板5を筐体2から離して開いたときに、表面部材8が収縮できずに皺が生じやすいが、表面部材8が伸縮性を有するによって皺が生じにくくなる。
【0030】
表面部材8は、
図20及び
図22に示すように、端部において、可動板5や固定板6の側端部も覆うように取り付けられてもよい。例えば、表面部材8の端部付近では、表面部材8は、R面が形成される。これにより、表面部材8が可動板5や固定板6から剥がれにくくなり、また、タブレット端末1の側端面と他の面との接触における滑りに対しても、滑り防止機能を発揮させることができる。
【0031】
上述したカバー4を製造する際、まず、可動板5、固定板6、ヒンジ7及び表面部材8を組み合わせることによって、一つの組立体(アッセンブリ)とする。そして、一つの組立体としてのカバー4を製造した後、カバー4の固定板6を筐体2に取り付ける。したがって、カバー4を組立体として扱うことができることから、タブレット端末1のスタンド機能を有する背面側部材を容易に形成、組み立てることができる。
【0032】
なお、本発明は、カバー4が固定板6を必ずしも備えなくてもよく、
図25及び
図26に示すように、ヒンジ7の一側が筐体2’に直接固定され、可動板5がヒンジ7を介して筐体2’に支持されてもよい。この場合、筐体2’の背面側は、
図20及び
図22に示した固定板6の代替となる形状を有する。
図25に示すように、筐体2’は、可動板5を閉じたとき、筐体2’の背面と可動板5とが段差がなく面一となるように形成される。そして、表面部材8は、筐体2’、可動板5及びヒンジ7よりも表面側に設けられ、筐体2’の背面側の全面にわたって隙間のない平滑な表面を有する。表面部材8は、可動板5と筐体2’を覆うように設けられる。この場合も、表面部材8によって、可動板5と筐体2’との間の境界部分に形成される隙間が塞がれ、回動部分に塵埃が入り込みにくくなる。
【0033】
この変形例では、筐体2’の背面に対して可動板5及びヒンジ7を取り付けた後、筐体2’の背面及び可動板5に対して表面部材8を接着剤等によって接合することによって、タブレット端末1のスタンド機能を有する背面側部材が形成、組み立てられる。
【0034】
以上、本実施形態によれば、タブレット端末1のスタンド機能を有する背面側部材について、スタンドのないタブレット端末のような一体性のある外観デザインとすることができる。また、筐体2と可動板5の間の隙間が表面部材8によって塞がれていることから、可動部分に対して塵埃が侵入しづらく、可動板5の回動が妨げられにくくなる。
【0035】
図27には、タブレット端末1の断面の一例が示されおり、表面部材8が複数層から構成されていることが示されている。同図に示すように、表面部材8は、シリコンゴム(エラストマー材料)とされたエラストマー層8aと、ステンレス(金属)とされた金属層8bとから構成されている。エラストマー層8aは、表面部材8の外形状を構成する板状体とされている。エラストマー層8aは、金属層8bの表面側(同図において上側)の全体を覆うように設けられている。エラストマー層8aは、金属層8b、可動板5及び固定板6の周囲の端部をも覆うように設けられている。なお、同図では、
図20等で示したヒンジ7は省略している。
【0036】
エラストマー層8aの厚さは、例えば、200μm以上300μm以下とされている。金属層8bの厚さは、例えば、30μm以上50μm以下とされている。
【0037】
このように、金属層8bを採用することで、可動板5を固定板6に対して回動させる際に、折曲げ部8cに生じる曲げに対して強度を持たせることができる。これにより、金属層8bを覆うエラストマー層8aの厚さを薄くすることができ、表面部材8を曲げた際にエラストマー層8aの表面に生じるシワを可及的に少なくする(好ましくは無くす)ことができる。
なお、エラストマー層8aの材料としては、シリコンゴムに代えて、他のエラストマー材料を用いることとしても良い。金属層8bの材料としては、ステンレスに代えて、他の金属材料を用いることとしても良い。
また、金属層8bは、表面部材8の全体に設けることとしたが、少なくとも折曲げ部8cを含む領域に設けられていれば部分的に設けても良い。
【符号の説明】
【0038】
1 :タブレット端末
2,2’ :筐体
3 :ディスプレイモジュール
4 :カバー
5 :可動板
6 :固定板
7 :ヒンジ
8 :表面部材
8a:エラストマー層
8b:金属層
8c:折曲げ部
9A,9B :接続部
10A,10B,10C :回動軸
11A,11B :連結板
12,13 :歯車