特開2018-137148(P2018-137148A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特開2018-137148故障検出ユニットおよび車両用照明装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-137148(P2018-137148A)
(43)【公開日】2018年8月30日
(54)【発明の名称】故障検出ユニットおよび車両用照明装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 37/03 20060101AFI20180803BHJP
   H05B 37/02 20060101ALI20180803BHJP
   B60Q 1/38 20060101ALI20180803BHJP
   B60Q 11/00 20060101ALI20180803BHJP
【FI】
   H05B37/03 B
   H05B37/02 J
   B60Q1/38 B
   B60Q11/00 610D
   B60Q11/00 610E
   B60Q11/00 625A
   B60Q11/00 630B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-31279(P2017-31279)
(22)【出願日】2017年2月22日
(71)【出願人】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】596076986
【氏名又は名称】株式会社アイ・シー・エル
(74)【代理人】
【識別番号】100105050
【弁理士】
【氏名又は名称】鷲田 公一
(72)【発明者】
【氏名】平原 英人
(72)【発明者】
【氏名】中野 金一郎
【テーマコード(参考)】
3K273
3K339
【Fターム(参考)】
3K273AA02
3K273BA24
3K273BA28
3K273BA30
3K273CA02
3K273CA04
3K273DA08
3K273EA07
3K273EA25
3K273EA40
3K273FA14
3K273FA22
3K273FA30
3K273FA32
3K273FA38
3K339AA22
3K339AA25
3K339AA38
3K339BA07
3K339BA11
3K339BA22
3K339BA25
3K339CA12
3K339DA01
3K339DA06
3K339GB01
3K339GB21
3K339JA04
3K339JA11
3K339JA16
3K339JA21
3K339KA13
3K339KA18
3K339KA38
3K339MC41
3K339MC70
3K339MC71
3K339MC77
(57)【要約】
【課題】車両用照明装置においてさらなる省電力化を図ることが可能な故障検出ユニットおよび車両用照明装置を提供する。
【解決手段】故障検出ユニットは、光源を有する照明部の故障検出ユニットであって、光源に対して並列に接続され、所定電流を消費する負荷部と、負荷部に電流が流れるオン状態と、流れないオフ状態とに切り替え可能であり、少なくとも照明部が点灯する際にオン状態に設定される切替部と、照明部で消費される電流を取得し、取得した電流に応じて、光源が故障しているか否かを検出する故障検出部と、を備え、切替部は、照明部の点灯中において、故障検出部が光源の故障を検出した場合、オン状態からオフ状態に切り替わるように制御される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源を有する照明部の故障検出ユニットであって、
前記光源に対して並列に接続され、所定電流を消費する負荷部と、
前記負荷部に電流が流れるオン状態と、流れないオフ状態とに切り替え可能であり、少なくとも前記照明部が点灯する際に前記オン状態に設定される切替部と、
前記照明部で消費される電流を取得し、取得した電流に応じて、前記光源が故障しているか否かを検出する故障検出部と、
を備え、
前記切替部は、前記照明部の点灯中において、前記故障検出部が前記光源の故障を検出した場合、前記オン状態から前記オフ状態に切り替わるように制御される、
故障検出ユニット。
【請求項2】
前記照明部は、ハザードランプを含み、
車両がハザード状態であるか否かを検出するハザード状態検出部を備え、
前記切替部は、前記ハザード状態検出部により前記車両が前記ハザード状態であると検出された場合、前記オン状態から前記オフ状態に切り替わるように制御される、
請求項1に記載の故障検出ユニット。
【請求項3】
前記照明部は、車両の方向指示器用のランプを含む、
請求項1または請求項2に記載の故障検出ユニット。
【請求項4】
前記光源は、発光ダイオードである、
請求項1〜3の何れか1項に記載の故障検出ユニット。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか1項に記載の故障検出ユニットと、
光源を有する照明部と、
前記照明部を点灯させる制御を行う制御部と、
を備える車両用照明装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記故障検出ユニットに流れる電流状態に応じて、前記光源における点灯状態を制御する、
請求項5に記載の車両用照明装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源の故障を検出可能な故障検出ユニットおよび車両用照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用照明装置において、複数の光源の何れかが故障した際に、当該故障を検出する機能を有するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。このような車両用照明装置において、省電力化の観点から、光源を発光ダイオードに変更した場合、白熱電球に対して消費電力が格段に小さいため、複数の光源が故障していなくても、故障を誤検出してしまう。
【0003】
そのため、ダミー抵抗等で構成される負荷部を設けて、複数の光源を点灯させる際に、白熱電球相当の電流を当該負荷部に流すことで故障の誤検出を抑制する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016−12471号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような車両用照明装置においては、光源を点灯させる際に負荷部に電流が流れてしまうので、さらなる省電力化を図る必要があった。
【0006】
本発明の目的は、車両用照明装置においてさらなる省電力化を図ることが可能な故障検出ユニットおよび車両用照明装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る故障検出ユニットは、
光源を有する照明部の故障検出ユニットであって、
前記光源に対して並列に接続され、所定電流を消費する負荷部と、
前記負荷部に電流が流れるオン状態と、流れないオフ状態とに切り替え可能であり、少なくとも前記照明部が点灯する際に前記オン状態に設定される切替部と、
前記照明部で消費される電流を取得し、取得した電流に応じて、前記光源が故障しているか否かを検出する故障検出部と、
を備え、
前記切替部は、前記照明部の点灯中において、前記故障検出部が前記光源の故障を検出した場合、前記オン状態から前記オフ状態に切り替わるように制御される。
【0008】
本発明に係る車両用照明装置は、
上記した故障検出ユニットと、
光源を有する照明部と、
前記照明部を点灯させる制御を行う制御部と、
を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、車両用照明装置においてさらなる省電力化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施の形態に係る車両用照明装置を示す図である。
図2】車両用照明装置における照明部の点灯制御の動作例の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本実施の形態に係る車両用照明装置1を示す図である。
【0012】
図1に示すように、車両用照明装置1は、車両の方向指示器用のランプやハザードランプに適用され、制御部2と、左側の照明部3と、右側の照明部4と、左右切替部5と、ハザード切替部6と、故障検出ユニット100とを備えている。
【0013】
制御部2は、電源及びグランドに接続されており、内部に有する回路に接続された配線2A,2Bに電流を流すことにより、左側の照明部3および右側の照明部4を点灯させる。具体的に、制御部2は、左側の照明部3および右側の照明部4を点滅させるように点灯させる。
【0014】
左側の照明部3および右側の照明部4は、方向指示器用のランプやハザードランプに適用され、それぞれ複数の光源を有する。左側の照明部3は、配線2Aに接続され、右側の照明部4は、配線2Bに接続される。
【0015】
左右切替部5は、一端がグランドに接続され、他端が制御部2の内部の回路に接続された配線2C,2Dの何れかに接続可能なスイッチである。例えば、運転者が方向指示器を操作することにより、左右切替部5が、配線2C,2Dの何れかに接続され、各照明部3,4の何れかが点灯される。
【0016】
具体的には、左右切替部5が配線2Cに接続された場合、制御部2を介して左側の照明部3が点灯され、左右切替部5が配線2Dに接続された場合、制御部2を介して右側の照明部4が点灯される。
【0017】
ハザード切替部6は、一端がグランドに接続され、他端が制御部2の内部の回路に接続された配線2Eに接続可能なスイッチである。例えば、運転者がハザードランプを点灯させる操作をすることにより、ハザード切替部6が、配線2Eに接続され、各照明部3,4が点灯する。
【0018】
ところで、各照明部3,4は、それぞれ複数の光源を有するため、複数の光源の何れかが故障する場合がある。そこで、制御部2は、配線2Aおよび配線2Bに流れる電流を検出する機能を有しており、点灯させた照明部における複数の光源の何れかが故障している場合、配線2Aおよび配線2Bに流れる電流の変動を検出する。
【0019】
そのため、各照明部3,4における光源が白熱電球である場合、制御部2は、配線2Aおよび配線2Bに流れる電流が、故障してない場合と故障した場合とで異なるため、各光源の何れかが故障した旨を検出することができる。
【0020】
制御部2は、各光源の何れかの故障を検出した場合、当該照明部における点滅回数を増やす制御を行う。これにより、運転者等が照明部における故障を容易に識別することができる。
【0021】
しかしながら、省電力化の観点から、複数の光源を、発光ダイオードに変更した場合、白熱電球を有する構成に対して消費電力が格段に小さい。そのため、複数の光源の何れかが故障していなくても、白熱電球において故障が生じた場合よりも、配線2A,2Bに流れる電流が小さくなるので、制御部2は複数の光源の何れかが故障したと誤検出してしまう。
【0022】
そこで、本実施の形態では、故障検出ユニット100により、複数の光源が発光ダイオードである場合においても、複数の光源の何れかが故障した旨を正確に検出する。以下、故障検出ユニット100について詳細に述べる。
【0023】
故障検出ユニット100は、複数の光源の何れかが故障したか否かを検出する部分であり、電流取得部110と、故障検出部120と、誤検出防止部130とを備えている。
【0024】
電流取得部110は、配線2A,2Bのそれぞれに設けられており、内部に有する回路により、配線2A,2Bに流れる電流、より詳細に各照明部3,4に流れる電流を取得する。電流取得部110は、取得した電流を故障検出部120に出力する。
【0025】
故障検出部120は、電源及びグランドに接続されており、電流取得部110により取得した電流に応じて、複数の光源の何れかが故障しているか否かを検出する。故障検出部120は、各照明部3,4が点灯する際において、複数の光源の何れかが故障している旨を検出した場合、後述するコイル部134Bの通電状態を制御する。
【0026】
誤検出防止部130は、制御部2が複数の光源の何れかが故障している旨を誤検出することを防止するための部分であり、2つのダイオード131,132と、負荷部133と、リレー部134とを有する。
【0027】
負荷部133は、一端が2つのダイオード131,132の各カソードに接続され、他端がリレー部134を介してグランドに接続された抵抗である。また、2つのダイオード131,132は、各アノードが配線2A,2Bのそれぞれに接続されている。このように接続されることで、負荷部133は、各照明部3,4に対して並列になるように配線2A,2Bに接続されている。
【0028】
リレー部134は、スイッチ部134Aと、コイル部134Bとを有する。スイッチ部134Aは、負荷部133に電流が流れるオン状態と、流れないオフ状態とに切り替え可能なスイッチである。スイッチ部134Aは、本発明の「切替部」に対応する。
【0029】
スイッチ部134Aは、コイル部134Bに通電されることにより、オン状態にされる。スイッチ部134Aがオン状態になると、配線2A,2Bの少なくとも一方に電流が流れた際に、2つのダイオード131,132の少なくとも一方により、負荷部133の部分に複数の光源が白熱電球である場合に相当する所定電流が流れる。そのため、複数の光源が発光ダイオードである場合においても、制御部2が発光ダイオードの低電流に起因して故障の誤検出することを防止することができる。
【0030】
コイル部134Bは、故障検出部120に接続されており、故障検出部120により通電状態と非通電状態とに切り替える制御がなされる。コイル部134Bは、少なくとも各照明部3,4の何れかが点灯する際に、スイッチ部134Aがオン状態になるように通電状態とされる。
【0031】
ところで、複数の光源が発光ダイオードである場合において、複数の光源の何れかが故障した場合、スイッチ部134Aがオン状態とされていると、光源が白熱電球である場合に相当する電流が負荷部133に流れるため、複数の光源の何れかが故障した旨を制御部2により認識できない。
【0032】
しかし、本実施の形態では、故障検出部120がコイル部134Bを非通電状態とすることにより、スイッチ部134Aをオン状態からオフ状態に変更する。これにより、負荷部133に電流が流れなくなるため、制御部2は各照明部3,4に流れる電流のみを検出する。そのため、制御部2は発光ダイオード相当の電流しか検出できず、当該電流になったことに基づいて、容易に故障が発生した旨を識別することができる。
【0033】
そして、故障が発生した場合、負荷部133に電流が流れないため、車両用照明装置1全体における消費電力を低減することができる。
【0034】
また、制御部2は、ハザード切替部6が配線2Eに接続されると、ハザードランプに対応する各照明部3,4を点灯する。ハザードランプについては、法規に定められている通り、複数の光源の何れかが故障しても、光源の点滅回数を増やす必要がない。そのため、制御部2は、各照明部3,4における点滅回数を増やす制御を行わない。つまり、制御部2は、車両がハザード状態である場合、故障検出を行わない。
【0035】
この場合において、故障検出部120は、スイッチ部134Aをオン状態からオフ状態に切り替える。これにより、車両がハザード状態である場合、負荷部133に電流が流れないので、車両用照明装置1全体における消費電力を低減することができる。
【0036】
また、本実施の形態では、配線2Eが故障検出部120の内部の回路に接続されているため、故障検出部120により、車両がハザード状態であるか否かについて検出することができる。故障検出部120は、本発明の「ハザード状態検出部」に対応する。
【0037】
次に、車両用照明装置1における各照明部3,4の点灯制御の動作例について説明する。図2は、車両用照明装置1における各照明部3,4の点灯制御の動作例の一例を示すフローチャートである。図2における処理は、例えば、車両の走行中において、適宜実行される。
【0038】
図2に示すように、制御部2は、左右切替部5が配線2C,2Dの何れかに接続されたか否かについて判定する(ステップS101)。判定の結果、左右切替部5が配線2C,2Dの何れかに接続されていない場合(ステップS101、NO)、処理はステップS105に遷移する。
【0039】
一方、左右切替部5が配線2C,2Dの何れかに接続された場合(ステップS101、YES)、制御部2は、配線2A,2Bの何れかの電流が発光ダイオード相当の電流であるか否かについて判定する(ステップS102)。
【0040】
判定の結果、配線2A,2Bの何れかの電流が発光ダイオード相当の電流ではない場合(ステップS102、NO)、制御部2は、各照明部3,4の点滅回数を第1回数に設定する(ステップS103)。一方、配線2A,2Bの何れかの電流が発光ダイオード相当の電流である場合(ステップS102、YES)、制御部2は、各照明部3,4の点滅回数を第1回数より多い第2回数に設定する(ステップS104)。
【0041】
ステップS103,S104の後、制御部2は、ハザード切替部6が配線2Eに接続されたか否かについて判定する(ステップS105)。判定の結果、ハザード切替部6が配線2Eに接続されていない場合(ステップS105、NO)、本制御は終了する。
【0042】
一方、ハザード切替部6が配線2Eに接続された場合(ステップS105、YES)、制御部2は各照明部3,4の点滅回数を第1回数に設定する(ステップS106)。その後、本制御は終了する。
【0043】
以上のように構成された本実施の形態によれば、故障が発生した場合、負荷部133に電流が流れないため、車両用照明装置1全体における消費電力を低減することができる。
【0044】
また、車両がハザード状態である場合、負荷部133に電流が流れないので、車両用照明装置1全体における消費電力を低減することができる。
【0045】
つまり、本実施の形態によれば、車両用照明装置1においてさらなる省電力化を図ることができる。
【0046】
また、故障検出ユニット100により、光源が発光ダイオードである場合の故障を検出できるため、制御部2を白熱電源に用いたものと共用化することができる。そのため、ユーザーの意向に応じて白熱電球および発光ダイオードを適宜選択することができる。
【0047】
また、白熱電球を用いる場合、例えば、スイッチ部134Aをオフ状態にするように制御しても良いし、また、故障検出ユニット100を配線2A,2Bに接続しないようにしても良い。
【0048】
また、制御部2は、故障検出ユニット100に流れる電流状態に応じて、複数の光源における点灯状態を制御するので、故障した場合において運転者等が容易に各照明部3,4の故障を識別することができる。
【0049】
なお、上記実施の形態では、故障検出部120によりスイッチ部134Aを切り替えていたが、本発明はこれに限定されず、制御部2によりスイッチ部134Aの切替制御を行っても良い。
【0050】
その他、上記実施の形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本開示の故障検出ユニットは、車両用照明装置においてさらなる省電力化を図ることが可能な故障検出ユニットおよび車両用照明装置として有用である。
【符号の説明】
【0052】
1 車両用照明装置
2 制御部
3 左側の照明部
4 右側の照明部
5 左右切替部
6 ハザード切替部
100 故障検出ユニット
110 電流取得部
120 故障検出部
130 誤検出防止部
133 負荷部
134 リレー部
134A スイッチ部
134B コイル部
図1
図2