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特開2018-137211機能強化された端子保持ビームを備える電気コネクタシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-137211(P2018-137211A)
(43)【公開日】2018年8月30日
(54)【発明の名称】機能強化された端子保持ビームを備える電気コネクタシステム
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/42 20060101AFI20180803BHJP
   H01R 43/00 20060101ALI20180803BHJP
   H01R 43/18 20060101ALI20180803BHJP
   H01R 43/20 20060101ALI20180803BHJP
【FI】
   H01R13/42 D
   H01R13/42 B
   H01R13/42 F
   H01R43/00 B
   H01R43/18
   H01R43/20
   H01R13/42 E
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-9340(P2018-9340)
(22)【出願日】2018年1月24日
(31)【優先権主張番号】15/414,701
(32)【優先日】2017年1月25日
(33)【優先権主張国】US
(71)【出願人】
【識別番号】599023978
【氏名又は名称】デルファイ・テクノロジーズ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100092967
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 修
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・アール・モレッロ
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ・エム・レイニー
(72)【発明者】
【氏名】ジェラルド・エイ・ラインハート,ジュニア
【テーマコード(参考)】
5E051
5E063
5E087
【Fターム(参考)】
5E051BA04
5E051BB04
5E063HA08
5E063HB15
5E063HB17
5E063HB19
5E063XA04
5E063XA08
5E087EE02
5E087EE07
5E087FF08
5E087FF13
5E087FF16
5E087GG14
5E087GG15
5E087GG24
5E087GG32
5E087GG37
5E087KK03
5E087MM05
5E087RR06
5E087RR15
5E087RR47
(57)【要約】      (修正有)
【課題】機能強化された端子保持ビームを備える電気コネクタシステムを提供すること。
【解決手段】電気コネクタシステムは床部から端子空洞内に延びるロック爪部24および床部の上にある可撓性部材26を有する第1のコネクタ本体12を含む。ビーム26は端子受入れ空洞の中に延びる2つの端子押えバンプ34を有する。電気コネクタシステムはロック縁部50を有する端子14も含む。端子は端子空洞に受けられその結果押えバンプ34が端子の上面52に係合して端子を床部に向かって付勢する力を加える。ロック爪部24はロック縁部に係合しそれによって端子が端子空洞から意図せずに引き抜かれるのを防止する。第2のコネクタ本体は第1のコネクタ本体の一部が中に挿入されるシュラウドを画定しビーム26は第2のコネクタ本体の内面に圧縮的に接触して端子に加えられる力をさらに増加させる。第1のコネクタ本体は付加製造工程によって形成されてもよい。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気コネクタシステム(10)であって、
前記電気コネクタシステム(10)は、第1のコネクタ本体(12)と、端子(14)とを備えており、
前記第1のコネクタ本体(12)は、該第1のコネクタ本体(12)の中に形成される端子受入れ空洞(20)を有しており、
前記端子受入れ空洞(20)は、剛性床部(22)と可撓性部材(26)とによって部分的に画定されており、
前記剛性床部(22)は、剛性床部(22)から前記端子受入れ空洞(20)内に延びる剛性ロック爪部(24)を有しており、
前記可撓性部材(26)は、前記端子受入れ空洞(20)内に延び、前記剛性床部(22)の上にあり、
前記可撓性ビーム(26)は、前記第1のコネクタ本体(12)に固定された少なくとも1つの固定端部(28)と、接触部分(30)とを有しており、
前記接触部分(30)は、前記端子受入れ空洞(20)内に延びる第1の端子押えバンプ(34)と、前記端子受入れ空洞(20)内に延び、前記第1の端子押えバンプ(34)とは異なる第2の端子押えバンプ(34)とを有しており、
前記端子(14)は、対応する相手側端子(18)に連結するように構成された第1の端部(40)と、電線に固定されるように構成された第2の端部(42)と、前記第1および第2の端部(40、42)の中間にある本体部分(44)とを有しており、
前記本体部分(44)は、剛性ロック縁部(50)を画定する下面(46)を有しており、
前記本体部分(44)は、前記剛性ロック縁部(50)の前方の第1の部分(54)と、前記剛性ロック縁部(50)の後方の第2の部分(56)とを有しており、
前記端子(14)は、前記端子受入れ空洞(20)に受けられて、その結果、前記第1の端子押えバンプ(34)が、前記上面(52)の前記第1の部分(54)に係合し、前記第2の端子押えバンプ(34)が、前記上面(52)の前記第2の部分(56)に係合し、それによって前記端子(14)が前記剛性床部(22)に向かって付勢され、前記剛性ロック爪部(24)が、前記剛性ロック縁部(50)に係合し、それによって前記端子(14)が意図せずに前記端子受入れ空洞(20)から引き抜かれるのを防止する、電気コネクタシステム(10)。
【請求項2】
請求項1に記載の電気コネクタシステム(10)において、
前記電気コネクタシステム(10)は、コネクタ受入れ空洞(60)を画定する第2のコネクタ本体(16)をさらに備え、
前記接触部分(30)が、前記第1および第2の端子押えバンプ(34)の反対側中間に位置するビーム(26)押えバンプ(34)を画定しており、
前記第1のコネクタ本体(12)が、前記コネクタ受入れ空洞(60)に受けられ、その結果、前記ビーム(26)押えバンプ(34)が、前記コネクタ受入れ空洞(60)の内面(62)に係合し、それによって前記可撓性ビーム(26)が前記剛性床部(22)に向かってさらに付勢され、前記第1および第2の押えバンプ(34)によって前記端子(14)の前記上面(52)に加えられる通常の力を増加させることを特徴とする、電気コネクタシステム(10)。
【請求項3】
請求項2に記載の電気コネクタシステム(10)において、
前記第1のコネクタ本体(12)は、第1の開口(70)を画定する第1の面を有しており、
第1の開口(70)は、前記端子受入れ空洞(20)に対して開口しており、
前記端子受入れ空洞(20)は、前記第1の開口(70)を通して、前記対応する相手側端子(18)を受けことができ、
前記第1のコネクタ本体(12)は、また、第2の開口(74)を画定する第2の面を有しており、
前記第2の面は、前記端子受入れ空洞(20)に対して開口しており、
前記端子受入れ空洞(20)は、前記第2の開口(74)を通して、前記端子(14)を受けることができる
ことを特徴とする、電気コネクタシステム(10)。
【請求項4】
請求項3に記載の電気コネクタシステム(10)において、
前記第1の面が、前記端子受入れ空洞(20)と連通する通路(78)用の第3の開口(76)を含み、
前記通路(78)は、細長いツール(80)を挿入して該細長いツール(80)が前記端子受入れ空洞(20)内にある前記端子(14)の前記下面(46)に接触できるように構成されていることを特徴とする、電気コネクタシステム(10)。
【請求項5】
請求項4に記載の電気コネクタシステム(10)において、
前記通路(78)が、前記剛性床部(22)に対して平行でないことを特徴とする、電気コネクタシステム(10)。
【請求項6】
請求項5に記載の電気コネクタシステム(10)において、
前記通路(78)が、前記剛性床部(22)に対して10〜60度の範囲の鋭角を画定することを特徴とする、電気コネクタシステム(10)。
【請求項7】
請求項4に記載の電気コネクタシステム(10)において、
前記通路(78)が、前記剛性ロック爪部(24)の前方で前記端子受入れ空洞(20)に入ることを特徴とする、電気コネクタシステム(10)。
【請求項8】
請求項4に記載の電気コネクタシステム(10)において、
前記第1のコネクタ本体(12)が、複数の端子(14)受入れ空洞(20)を画定しており、
前記第1の面は、前記複数の端子(14)受入れ空洞(20)に対して開口する、複数の第1の開口(70)と、複数の第3の開口(76)とを画定し、前記複数の端子(14)受入れ空洞(20)に対するいかなる他の開口も画定していないことを特徴とする、電気コネクタシステム(10)。
【請求項9】
請求項4に記載の電気コネクタシステム(10)において、
前記ツール(80)が、第1のツール(80)であり、
前記第1のツール(80)は、前記端子(14)が前記端子受入れ空洞(20)内に存在していることを確認するように構成されており、
前記第1のツール(80)は、また、前記下面(46)が、前記剛性床部(22)に接触していることを確認するように構成されていることを特徴とする、電気コネクタシステム(10)。
【請求項10】
請求項4に記載の電気コネクタシステム(10)において、
前記ツール(80)は、第2のツール(80)であり、
前記第2のツール(80)は、前記端子(14)を前記剛性床部(22)から離れるように押し、その結果、前記剛性ロック縁部(50)が、前記剛性ロック爪部(24)との係合から解除するように構成されていることを特徴とする、電気コネクタシステム(10)。
【請求項11】
請求項1に記載の電気コネクタシステム(10)において、
前記第1のコネクタ本体(12)は、ステレオリソグラフィ(SLA)、デジタルライトプロセッシング(DLP)、熱溶解積層法(FDM)、熱溶解フィラメント製法(FFF)、選択的レーザー焼結(SLS)、選択的加熱焼結(SHS)、マルチジェットモデリング(MJM)、および3Dプリンティング(3DP)からなるリストから選択される付加製造工程によって形成されていることを特徴とする、電気コネクタシステム(10)。
【請求項12】
請求項11に記載の電気コネクタシステム(10)において、
前記可撓性ビーム(26)が、ガラス充填高分子材料で形成されることを特徴とする、電気コネクタシステム(10)。
【請求項13】
請求項1に記載の電気コネクタシステム(10)において、
前記剛性ロック爪部(24)の先細りになった側壁が、前記端子(14)の前記下面(46)の凹部(48)の側壁に係合し、それによって、前記端子受入れ空洞(20)内での前記端子(14)の横方向の運動が抑えられることを特徴とする、電気コネクタシステム(10)。
【請求項14】
請求項1に記載の電気コネクタシステム(10)において、
前記端子(14)が、雌端子(14)であり、前記第1の端部(40)が、対応する雄端子(18)を受けるように開口していることを特徴とする、電気コネクタシステム(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年1月25日に出願された米国特許出願第15/414,701号の優先権の利益を主張する。
【0002】
[0001]本発明は、一般に電気コネクタシステムに関し、より詳細には、コネクタ本体の端子受入れ空洞内に保持された端子を有する電気コネクタシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
[0002]従来技術では、コネクタ本体の端子空洞内に受けられる端子を有する電気コネクタを提供することが一般的である。この端子は、可撓性ロック先端部または可撓性ロック指部によって、コネクタ本体の中に保持されうる。この可撓性ロック先端部または可撓性ロック指部は、端子またはコネクタ本体の一部として形成されてもよい。可撓性ロック先端部または可撓性ロック指部を有する端子は、組み合わせられる少なくとも2つの別個の部品をしばしば有するので、製造が複雑な構造であり、またしばしば大型で嵩張る。同様に、可撓性ロック先端部または可撓性ロック指部を有するコネクタ本体は大型で嵩張り、工具による加工および射出成形を行うのが困難である。可撓性ロック先端部または可撓性ロック指部を有するこれらの装置の別の欠点は、このシステムが、剛性ロック部材と係合する可撓性ロック部材のみを提供することである。都合の悪いことには、意図せずに可撓性ロック部材の係合が解除し、それによって端子がコネクタ本体から外れる恐れがある。
【0004】
[0003]米国特許第5,980,318号は、剛性床壁から端子受入れ空洞内へ上方に延びる剛性ロック爪部(すなわち、剛性ロック尖端部)を有するこの剛性床壁によって部分的に画定される端子受入れ空洞を有する電気コネクタを開示する。可撓性ビームがこの剛性床壁に対向しており、天井壁は、剛性ロック爪部に概ね対向する位置で剛性床壁に向かって延びる端子押えバンプを含む。コネクタ本体は、各端子受入れ空洞で端子を受ける。それぞれの端子は、剛性ロックバーによって部分的に画定された凹部を有する。この剛性ロックバーは、端子の側壁に取り付けられる。剛性ロックバーが剛性ロック爪部に係合して端子が端子空洞内に完全に据え付けられ、それによってこの据え付けられた端子が端子空洞から引き抜かれるのが防止されるとき、この剛性ロック爪部は端子凹部内に配置される。
【0005】
[0004]本明細書で説明される本発明は、従来技術の代替策および従来技術に勝る利点を提供する。背景技術の項で述べられる主題は、単に背景技術の項で述べられているということによって、従来技術であると想定されるべきではない。同様に、背景技術の項で述べられた課題、または背景技術の項の主題に関連する課題は、従来技術においてこれまで理解されてきたものであると想定されるべきではない。背景技術の項の主題は、単に様々な手法を示すものであり、これらの手法は、それ自体も発明である可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願第15/414,701号
【特許文献2】米国特許第5,980,318号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
[0005]一実施形態によれば、電気コネクタシステムが提示される。この電気コネクタシステムは、第1のコネクタ本体の中に形成される端子受入れ空洞を有する、この第1のコネクタ本体を含む。端子受入れ空洞は、剛性床部から端子受入れ空洞内に延びる剛性ロック爪部(すなわち、剛性ロック尖端部)を有するこの剛性床部と、剛性床部の上にある、端子受入れ空洞内に延びる可撓性部材とによって、部分的に画定される。この可撓性ビームは、第1のコネクタ本体に固定された少なくとも1つの固定端部、および接触部分を有する。この接触部分は、端子受入れ空洞の中に延びる第1の端子押えバンプと、端子受入れ空洞の中に延びる、第1の端子押えバンプとは異なる第2の端子押えバンプとを有する。この電気コネクタシステムは、対応する相手側端子に連結するように構成された第1の端部と、電線に固定されるように構成された第2の端部と、この第1の端部と第2の端部の中間にある本体部分とを有する端子も含む。この本体部分は、剛性ロック縁部を含む下面を有する。この本体部分は、剛性ロック縁部の前方にある第1の部分と、剛性ロック縁部の後方にある第2の部分とを有する上面を有する。端子は、端子受入れ空洞内に受けられ、その結果、第1の端子押えバンプは、上面のこの第1の部分に係合し、第2の端子押えバンプは、上面のこの第2の部分に係合し、それによって端子を剛性床部に向かって付勢する(偏らせる)。剛性ロック爪部は剛性ロック縁部に係合し、それによって、この端子が意図せずに端子受入れ空洞から引き抜かれるのを防止する。
【0008】
[0006]この電気コネクタシステムは、コネクタ受入れ空洞を画定する第2のコネクタ本体をさらに含むことができる。接触部分は、第1の端子押えバンプと第2の端子押えバンプの反対側中間に位置するビーム押えバンプを画定することができる。第1のコネクタ本体は、コネクタ受入れ空洞内に受けられ、その結果、このビーム押えバンプがコネクタ受入れ空洞の内面に係合し、それによって可撓性ビームが剛性床部に向かってさらに付勢され(偏り)、第1の押えバンプおよび第2の押えバンプによって端子の上面に加えられる通常の力を増加させる。
【0009】
[0007]第1のコネクタ本体は、端子受入れ空洞に対して開く、対応する相手側端子を通して受けるための第1の開口を画定する第1の面と、端子受入れ空洞に対して開く、端子を通して受けるための第2の開口を画定する第2の面とを有することができる。
【0010】
[0008]この第1の面は、端子受入れ空洞と通じる通路用の、第3の開口を含むことができる。この通路は、端子受入れ空洞内にある端子の下面に接触する細長いツールを挿入するように構成される。この通路は、剛性床部に対して平行でなくてもよい。この通路は、剛性床部に対して、10〜60度の範囲の鋭角を画定することができる。この通路は、剛性ロック爪部の前方で端子受入れ空洞に入ることができる。
【0011】
[0009]第1のコネクタ本体は、複数の端子受入れ空洞を画定してもよい。第1の面は、複数の端子受入れ空洞に対する複数の第1の開口および複数の第3の開口を画定してもよく、これらの複数の端子受入れ空洞に対するいかなる他の開口も画定しない。
【0012】
[0010]このツールは、端子が端子受入れ空洞内に存在し、この端子の下面が剛性床部に接触していることを確認するように構成された第1のツールでもよい。追加的には、また別法としては、このツールは、この端子を剛性床部から離れるように押し、その結果、剛性ロック縁部と剛性ロック爪部との係合が解除するように構成された、第2のツールである。
【0013】
[0011]第1のコネクタ本体は、ステレオリソグラフィ(SLA)、デジタルライトプロセッシング(DLP)、熱溶解積層法(FDM)、熱溶解フィラメント製法(FFF)、選択的レーザー焼結(SLS)、選択的加熱焼結(SHS)、マルチジェットモデリング(MJM)、または3Dプリンティング(3DP)などの付加製造工程によって形成されてもよい。
【0014】
[0012]可撓性ビームは、ガラス充填高分子材料で形成されてもよい。
[0013]剛性ロック爪部は、端子の下面の側壁に係合する、先細りになった側壁を有し、それによって端子受入れ空洞内での端子の横方向の運動を抑えることができる。
【0015】
[0014]この端子は、雌端子でもよく、その第1の端部は、対応する雄端子を受けるように開口している。
[0015]本発明のさらなる特徴および利点は、非限定的な例を挙げるためだけに添付図面を参照して示される、本発明の好ましい実施形態に関する以下の詳細な説明を読めば、より明らかになろう。
【0016】
[0016]本発明は、ここで添付図面を参照して、例として説明されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】[0017]一実施形態による電気コネクタシステムの分解斜視図である。
図2】[0018]端子を挿入する前の、一実施形態による図1の電気コネクタシステムの第1のコネクタ本体の切断側面図である。
図3】[0019]端子を挿入した後、図1の電気コネクタシステムの第2のコネクタ本体に第1のコネクタ本体を挿入する前の、一実施形態による図2の第1のコネクタ本体の切断側面図である。
図4】[0020]第1のコネクタ本体を第2のコネクタ本体に挿入した後の、一実施形態による図1の電気コネクタシステムの第1のコネクタ本体および第2のコネクタ本体の切断側面図である。
図5】[0021]一実施形態による、図1の電気コネクタシステムの第1のコネクタ本体の端子受入れ空洞の切断端面図である。[図5][0022]一実施形態による、図1の電気コネクタシステムの第1のコネクタ本体の端子受入れ空洞の切断端面図である。
図6】[0023]図6Aは、一実施形態による図1の電気コネクタシステムの第1のコネクタ本体の上面図である。[0024]図6Bは、一実施形態による図1の電気コネクタシステムの第1のコネクタ本体の斜視図である。[0025]図6Cは、一実施形態による図1の電気コネクタシステムの第1のコネクタ本体の下面図である。[0026]図6Dは、一実施形態による図1の電気コネクタシステムの第1のコネクタ本体の端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[0027]本明細書で説明される電気コネクタシステムは、第1のコネクタ本体の端子空洞内に配置された端子にばね力を加えて、この端子と、この端子が端子空洞から外れるのを防止する端子ロック爪部(すなわち、端子ロック尖端部)との係合を保つように構成された、端子押えビームを含む。この端子押えビームは、第2のコネクタ本体のシュラウドの内側の面に接触するようにも構成される。このシュラウドと接触することにより、端子を端子空洞の床部に押しつけて保持する端子押えビームに追加的な力が及ぼされ、それによって、振動によって生じる、端子と端子空洞の間の相対運動が抑えられる。
【0019】
[0028]以下の説明では、「長手方向」などの向きを表す用語は、嵌合軸Xのことを指すようになるが、「横方向」は、この嵌合軸Xに対して垂直な軸を指し、これは必ずしも横軸ではないと理解されたい。さらに、「上面」や「下面」などの他の用語は、嵌合軸Xに垂直な軸に対するものであり、この嵌合軸Xに垂直な軸は、必ずしも縦軸ではないと理解されたい。本明細書では、「前面」および「前方」という用語は、コネクタ本体を基準にして、対応する相手側コネクタ本体に向かう横の向きを指し、「背面」、「後部」、「後方」、および「後ろ」という用語は、対応する相手側コネクタ本体を基準にして、コネクタ本体に向かう横の向きを指す。
【0020】
[0029]図1〜5は、電線ケーブル(図示せず)を終端させるように構成された複数の雌電気端子14を保持する第1のコネクタ本体12と、第1のコネクタ本体12と嵌合するように構成され、第1のコネクタ本体12内の雌電気端子14に相互連結するように構成された複数の雄電気端子18を保持する第2のコネクタ本体16と、を有する電気コネクタシステム10の非限定的な例を示す。
【0021】
[0030]図2に示されるように、第1のコネクタ本体12は、第1のコネクタ本体12の中に形成される端子受入れ空洞20(これ以降端子空洞20と称される)を有する。端子空洞20は、剛性床部22から端子空洞20内に延びる剛性ロック爪部(すなわち、剛性ロック尖端部)24を有するこの床部22によって、部分的に画定される。端子空洞20は、端子空洞20内に延び、かつ端子空洞20の床部22の上にある可撓性部材26(これ以降端子押えビーム26と称される)も含む。端子押えビーム26は、第1のコネクタ本体12に固定される固定端部28と、端子押えビーム26の自由端部32によって終端される接触部分30とを有する。自由端部32は、床部22に向かって端子空洞20内へ下方に延び、また第1の端子押えバンプ34を形成する丸い端部を有する。接触部分30は、第1の端子押えバンプ34の後方の位置で端子押えビーム26から下方に延びる、J形状の突出部36も含む。J形状の突出部36は、第2の端子押えバンプ38を形成する丸い端部を有する。ここに示される端子押えビーム26はカンチレバー式(片持ちばり式)の可撓性ビームであるが、端子押えビームが固定された可撓性ビームである、本発明の他の実施形態が想定されてもよい。
【0022】
[0031]示された雌端子14は、対応する雄端子18を受けるように構成された開口端部40と、取付け端部42と、開口端部40と取付け端部42の中間にある本体部分44とを有する。本体部分44は、ロック爪部24を受けるように構成されて本体部分44内に画定された凹部48または開口を含む下面46を有する。凹部48は、ロック爪部24が係合する下面46に、剛性のロック縁部50を画定する。本体部分44は、上面52も有する。上面52は、ロック縁部50の前方に配置された第1の部分54と、ロック縁部50の後方に配置された第2の部分56とを有する。ここに示される取付け端部42は、電線の台と機械的にかしめられるように構成された、1対のかしめ羽根部を備える。端子14に電線を取り付けるための、半田付けや超音波溶接などの他の手段が使用されてもよく、取付け端部42の設計は、それに応じて変更されてもよい。端子14は、打抜きおよび曲げの工程によって、錫めっき銅材料などの導電性材料シートで形成されてもよい。図2に示された実施形態は、雄ブレード端子18を受けるように構成された雌ソケット端子14であるが、他のタイプの端子を使用する、この電気コネクタシステムの他の実施形態が想定されてもよい。さらに、図2に示される端子14は、端子14の下面46の凹部48によって画定されるロック縁部を有するが、ロック縁部が端子本体の後部の縁部によって画定される代替実施形態が想定されてもよい。
【0023】
[0032]端子14が端子空洞20内に受け入れられるとき、端子14の下面46は、ロック爪部24の傾斜した後方の面に接触し、上面52は、第2の端子押えバンプ38の傾斜した後方の面に接触する。端子14が端子空洞20の中に押し込まれるとき、端子14は、ロック爪部24によって端子空洞20内で上方に押され、それによって端子押えビーム26が上方に曲がる。ロック縁部50が、ロック爪部24の後方の面と前方の面の接合部によって形成された隆起部を越えて押された後、端子14押えビーム26は、部分的に曲げられた位置にはね返り、ロック爪部24は凹部48に受けられ、その結果、このロック縁部50がロック爪部24に係合し、それによってこの端子が意図せずに端子空洞20から引き抜かれるのを防ぐ。ロック爪部24が凹部48に受け入れられるとき、第1の端子押えバンプ34は上面52の第1の部分54に係合し、第2の端子押えバンプ38は上面52の第2の部分56に係合し、端子押えビーム26は、部分的に曲がったままで、第1の端子押えバンプ34および第2の端子押えバンプ38を介して端子14にばね力を及ぼし、それによって端子14が床部22に向かって付勢される。端子押えビーム26によって端子14に及ぼされるばね力は、第1のコネクタ本体12を第2のコネクタ本体16に組み付ける間、端子14を端子空洞20内に保持するのに十分な力である。
【0024】
[0033]図3および4に示されるように、接触部分30は、端子押えビーム26の上側にあり、第1の端子押えバンプ34と第2の端子押えバンプ38の反対側中間に位置する、ビーム押えバンプ58を画定する。ビーム押えバンプ58は、第1のコネクタ本体12を越えて延びる。第1のコネクタ本体12がコネクタ受入れ空洞60(これ以降第2のコネクタ本体16のシュラウド60と称される)に受けられるとき、ビーム押えバンプ58は、シュラウド60の内面62に圧縮的に係合する。ビーム押えバンプ58とシュラウド60の内面62とが圧縮されて接触することより、端子押えビーム26の接触部分30に圧縮力が生じ、この圧縮力によって、第1の押えバンプ34および第2の押えバンプ38によって端子14の上面52に加えられる通常の力が増加する。いかなる特定の作動理論に与することなく、この増加した通常の力により、振動によって生じる可能性がある、端子14と端子空洞20の間の相対運動が抑えられる。
【0025】
[0034]図5に示されるように、ロック爪部24の側壁は、側方の楔部64を画定する。楔部64の側部は、床部22に隣り合う端子空洞20の側壁から離れて先細り、端子14の下面46の凹部の2つの側壁66に係合するように構成される。楔部64の側部は、凹部48の2つの側壁66に密着する。いかなる特定の作動理論に与することなく、楔部64が凹部48に係合することにより、端子空洞20内での端子14の横方向の運動が抑えられる。端子14の長手方向の運動を制限するロック縁部50と、端子14の縦方向の運動を制限する端子押えビーム26とを組み合わせて、3本の直行する軸において、端子空洞20内での端子14の運動が抑えられる。
【0026】
[0035]図4を再び参照すると、第1のコネクタ本体12は、対応する雄端子18を通して受けるように構成された端子空洞20に対して開口する第1の開口70を画定する前面68と、端子を通して受けるように構成された、端子空洞20に対して開口する第2の開口74を画定する後面72とを有する。前面68は、前面68から端子空洞20に至る通路78用の第3の開口76も画定する。通路78は、端子空洞20内にある端子14の下面46に接触する細長いツール80が挿入されるように構成されている。前面68は、第1の開口70および第3の開口76以外に、端子空洞20に対して開口するいかなる他の開口も画定していない。
【0027】
[0036]通路78は、端子空洞20の床部22に対して平行ではない。通路78は、床部22に対して10〜60度の範囲の鋭角を画定する。通路78は、ロック爪部24の前方で端子空洞20に入る。ツール80は、少なくとも2つの異なる目的のために使用されうる。ツール80は、端子14が端子空洞20の中に存在し、下面46が床部22と接触していることを確認するために使用されうる。ツール80は、通路78への挿入の、端子14の存在が適切に検知される適切な深さを示す計器でもよい。ツール80は、追加的に、または別法として、通電された端子14とツール80の間の電気的導通を試験するように構成された導電性ツールでもよい。追加的に、または別法として、ツール80を使用して、端子14を床部22から離れるように押すことができ、その結果、ロック縁部50は、ロック爪部24との係合が解除し、それによって端子14を、第2の開口74を通して端子空洞20から取り外すことが可能になる。ツール80は、端子14の下面46に接触するように構成されるので、ツール80は、第1の開口を通って接触可能な、端子14の開口端部40の嵌合面82を損傷させる可能性は低い。
【0028】
[0037]第1のコネクタ本体12は、端子押えビーム26を含めて、ガラス充填高分子の材料で形成されることが好ましい。ビーム26から延びる第1の端子押えバンプ34および第2の端子押えバンプ38を備えた端子押えビーム26の形状は、所望の形状を形成するのに必要とされることになる金型の複雑さにより、従来の射出成形技術を使用して形成するのが非常に困難なはずである。したがって、第1のコネクタ本体12は、ステレオリソグラフィ(SLA)、デジタルライトプロセッシング(DLP)、熱溶解積層法(FDM)、熱溶解フィラメント製法(FFF)、選択的レーザー焼結(SLS)、選択的加熱焼結(SHS)、マルチジェットモデリング(MJM)、または3Dプリンティング(3DP)などの付加製造工程によって形成されるのが好ましい。
【0029】
[0038]本明細書で示される第1のコネクタ本体12および第2のコネクタ本体16は、端子14、空洞20、および関連した構造のペアを画定するが、単一の端子または3つ以上の端子を有するこのコネクタシステムの他の実施形態が想定されてもよい。これらの3つ以上の端子は、いくつかの異なる行と列に配置されてもよい。
【0030】
[0039]したがって、電気コネクタ組立体10が提供される。コネクタシステム10は、端子空洞20内での端子14の運動を制限するように構成され、これによって、振動による、端子14と相手側電気コネクタ16の対応する相手側端子18との間のフレッチング腐食(擦過腐食)を軽減するという利点がもたらされる。
第1のコネクタ本体12が第2のコネクタ本体16に挿入され、シュラウド60の内面62が端子押えビーム26を押し下げるときは、端子押えビーム26によって端子14に及ぼされるばね力は増加するが、端子14が端子空洞20に挿入されるときは、端子14は、端子押えビーム26のばね力に勝つだけでよいので、電気コネクタ組立体10によって、より小さな端子挿入力という利点ももたらされる。角度が付けられた通路78により、端子空洞20内に端子14が配置されていることを確認するために端子14の下面46にアクセスし、かつ端子14の嵌合面82に接触することなしに端子14を端子空洞20から取り外し、それによってツール80によって端子14の嵌合面82を傷つける可能性をなくするという利点がさらにもたらされる。付加製造工程を使用して第1のコネクタ本体12を形成することにより、従来の射出成形技法では得ることが困難、または不可能な可能性がある形状の端子押えビーム26を形作ることも可能になる。
【0031】
[0040]本発明は、その好ましい実施形態の観点から説明されてきたが、本発明はそれに限定されるものではなく、むしろ、後に続く特許請求の範囲に記載の範囲のみに限定されるものである。さらに、第1の、第2の、などの用語の使用は、いかなる重要性の順序も示すものではなく、むしろ第1の、第2の、などの用語は、ある要素を別の要素から区別するために使用されるものである。さらに、a、anなどの用語の使用は、量の限定を示すものではなく、むしろ言及された物品の少なくとも1つが存在することを示すものである。
【符号の説明】
【0032】
10 電気コネクタシステム、電気コネクタ組立体、コネクタシステム
12 第1のコネクタ本体
14 雌電気端子、雌端子、端子、雌ソケット端子
16 第2のコネクタ本体
18 雄電気端子、雄端子、雄ブレード端子、相手側端子
20 端子受入れ空洞(端子受入れキャビティ)、端子空洞(端子キャビティ)、空洞(キャビティ)
22 床部
24 ロック爪部(ロック尖端部)
26 可撓性部材、端子押えビーム、押えビーム、ビーム
28 固定端部
30 接触部分
32 自由端部
34 第1の端子押えバンプ(第1の端子押え隆起部)、第1の押えバンプ
36 突出部
38 第2の端子押えバンプ(第2の端子押え隆起部)、第2の押えバンプ
40 開口端部
42 取付け端部
44 本体部分
46 下面
48 凹部
50 ロック縁部
52 上面
54 第1の部分
56 第2の部分
58 ビーム押えバンプ(ビーム押え隆起部)
60 コネクタ受入れ空洞、シュラウド
62 内面
64 楔部
66 側壁
68 前面
70 第1の開口
72 後面
74 第2の開口
76 第3の開口
78 通路
80 ツール
82 嵌合面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【外国語明細書】
2018137211000001.pdf