特開2018-137583(P2018-137583A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-137583(P2018-137583A)
(43)【公開日】2018年8月30日
(54)【発明の名称】リモコン中継器
(51)【国際特許分類】
   H04Q 9/00 20060101AFI20180803BHJP
   H03K 17/78 20060101ALI20180803BHJP
【FI】
   H04Q9/00 321D
   H03K17/78 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-30262(P2017-30262)
(22)【出願日】2017年2月21日
(71)【出願人】
【識別番号】300038435
【氏名又は名称】▲吉▼川 英之
(72)【発明者】
【氏名】吉川 英之
【テーマコード(参考)】
5J050
5K048
【Fターム(参考)】
5J050AA12
5J050BB20
5J050CC12
5J050DD18
5J050EE31
5J050EE35
5J050EE37
5J050EE40
5J050FF02
5J050FF08
5K048AA06
5K048BA01
5K048DA07
5K048DB04
5K048EB02
(57)【要約】
【課題】赤外線を使用したリモコンシステムは、電気機器の遠隔操縦として普及しているが、弱い赤外線を使用しているので、一般に到達距離が短く、妨害物があると、電気機器のコントロールが難しい。
【解決手段】リモコンからの赤外線信号を、リモコン中継器で受信し、増幅して、受信した赤外線よりも強い赤外線を発する。
しかし、リモコン中継器は、単に、赤外線信号を受信し増幅し、増強した赤外線を発するという構造だけでは、目的を達成できない。本発明のリモコン中継器では、基本周波数を除去するハイパスフィルタとフリップフロップとを使用し、回路をデジタル化して誤動作を避けている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リモコンの発する赤外線信号を受信し、それを増強した赤外線信号を電気機器に対して送信するリモコン中継器であって、
リモコンの発する前記赤外線信号を受光し、電気信号に変換する受光手段と、前記電気信号に対し、基準搬送波の周波数及びそれ以下の周波数成分の通過を妨げ、基準搬送波の周波数より高い周波数の信号を増幅するハイパス増幅回路と、前記ハイパス増幅回路の出力に対し、一定レベルの(+)電圧を超えた時点を検出して、そこを(+)時点とし、一定レベルの(―)電圧を超えた時点を検出して、そこを(―)時点とするとき、(+)時点ではフリップフロップをセットし、(−)時点では前記フリップフロップをリセットするフリップフロップ回路と、前記フリップフロップ回路の出力信号を増幅し赤外線発光素子を駆動する赤外線発光手段とを、特徴とするリモコン中継器。
【請求項2】
前記請求項1に於いて、前記フリップフロップはオンの状態時間が、一定時間を超えると自動的にオフ状態に変わるフリップフロップであることを特徴とする請求項1に記載のリモコン中継器。
【請求項3】
リモコンの発する赤外線信号を受信し、それを増強した赤外線信号を電気機器に対して送信するリモコン中継器であって、
リモコンの発する前記赤外線信号を受光し、電気信号に変換する受光手段と、前記電気信号に対し、基準搬送波の周波数及びそれ以下の周波数成分の通過を妨げ、基準搬送波の周波数より高い周波数の信号を増幅するハイパス増幅回路と、前記ハイパス増幅回路の出力に対し、一定レベルの(+)電圧を超えた時点を検出して、そこを(+)時点とし、(+)時点では単安定マルチバイブレータをセットし、前記単安定マルチバイブレータは、セット後は、設定時間を経過すると自動的にリセットされるものであり、前記設定時間は前記基準搬送波の周期より短く設定されているものとし、前記単安定マルチバイブレータ回路の出力信号を増幅し赤外線発光素子を駆動する赤外線発光手段とを、特徴とするリモコン中継器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気製品などを遠隔操縦する赤外線通信利用のリモコンシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気製品のリモコンシステムとしては、赤外線通信の利用が一般的である。しかし、リモコンは小型電池を主電源とするため、赤外線放射強度は弱い。また、赤外線は、陰に回り込むと極端に減衰するため、操縦者は、リモコンを電気製品に向けながら、操縦を行うのが一般的である。
したがって、操縦者と家電製品との距離が遠い場合や、邪魔な物体がその間に存在する場合などでは、コントロールが困難となる。
従来、第1図(B)や(C)のように、リモコンの赤外線が電気機器に直接届かない場合には、第1図(D)のように、受信機11で赤外線を受光し電気信号変換後、電気信号をケーブル10で送り、送信機12で再び赤外線に変換して、家電製品を制御するということが行われていた。
しかし、近距離の場合は、送信器からの赤外線は、周囲物体で反射して、受信器に入り、信号がループすることになり、ループゲインが大きいと発振現象もしくは、ロック現象が起こり、リモコンシステムは正常には動作しないことが起こる。
特に、リモコン側でデータ表示機能がある場合は、双方向データー送受信が必要であり、さらに困難になる。
【0003】
別の従来例として、スマートフォン等にリモコンのプログラムをインストールしてリモコンとして動作させていた。この場合は、リモコンから受信器11までは電波で、送信器12から電気機器5までは赤外線である。
この場合には、赤外線が電波にフィードバックすることはありえないので、信号のループは存在せず、電気機器とリモコンの距離が近くても、問題は生じない。しかしこのやり方では、電気機器に付属しているリモコンは、使用できないし、すべての電気機器のリモコンプログラムをスマートフォンに組み込むなど手間も費用もかかる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−180187号公報
【特許文献2】特開平10−117390号公報
【発明の概要】
【0005】
本発明は、主として同室内に於ける赤外線リモコンシステムの到達性を改善することが課題であり、通常の赤外線リモコンシステムはそのままにして、新たに、リモコン中継器を追加設置するだけで、極めて到達性の良いリモコンシステムに変えることが課題である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
リモコン中継器は、リモコンから放射される赤外線を受光し、新たな強力な赤外線信号を発生し赤外線非到達の問題を解決する。ただし、次の2点を解決する必要がある。
【0007】
第1に、リモコンから放射される赤外線信号と、前記信号を受信した操縦中継器から新たに放射される赤外線信号との混合赤外線信号を、電気機器は受信することになるが、混合の割合にかかわらず、正常に受信解読されること。
【0008】
第2に、リモコン中継器から出力放射される赤外線信号Bは、外部反射などにより、受光側に回り込み、入力信号となる。この出力と入力のループゲインが1より大きくなると、発振現象やロック現象が起きて、リモコンシステムが働かなくなる可能性がある。
本発明の操縦中継器は、上記第1と第2の問題が起こらないように、工夫し構成されている。
【0009】
リモコン1と電気機器5の接続の問題について、第1図で説明する。
第1図(A)は、リモコン1が赤外線信号5を使って、基本通りに、電気機器5をコントロールする場合の図である。
第1図(B)は、(A)のリモコンシステムが、障害物6の妨害により、動作できない状態を示す。第1図(C)は両者の距離が遠い場合に、信号が届かないことを示す。
【0010】
第2図(A)は、障害物6の妨害に対処するために、リモコン中継器7を天井などに設置した図を示す。リモコン1からの赤外線信号3は、赤外線受光器8で受信し、リモコン中継器7で処理され、赤外線発光器9から新たな赤外線信号3aを放射し、電気機器5の受光素子4で受信して、電気機器は正常にコントロールされる。
第2図(B)は、リモコンからの赤外線3は、電気機器5の受光素子4に直接入力され、かつ、受光素子8とリモコン中継器7と発光素子9を経て、赤外線3aも受光素子4に入力される。この場合2種類の赤外線信号3と3aの混合信号が入力されるが、誤動作することがないように構成されている。
【0011】
第2図(C)は、リモコン中継器7が単純に増幅だけの機能であれば、発光素子9の出力赤外線3aが複数の反射物体10で反射して、入力の受光素子8に戻り、ループすることになる。このようなループができるとループゲインが1より大きくなると、発振またはロック現象が起きて、正常な動作ができなくなる恐れがある。本発明ではこのような不具合が起こらないように以下の説明のように構成されている。
【発明の効果】
【0012】
この発明のリモコン中継器7では、リモコンからの赤外線信号を受信し、増幅し、強力な赤外線信号を発することができる。しかも、リモコンからの直接信号と混合させても、悪影響は及ぼさないことが特徴である。
また、当然ながら、リモコン中継器7は、内部を2つに分断し、分断されたものを、電線でつなぎ合わせても同じリモコン中継器の動作ができることは言うまでもない。
またさらに、3個以上のリモコン中継器7を適当な間隔で並べて中継し、より遠い間隔のリモコン中継器システムを動作をさせることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】従来のリモコンシステムの説明図
図2】本発明のリモコンシステムの説明図
図3】リモコンからの赤外線の波形図
図4】本発明のリモコン中継システムの説明図
図5】本発明のリモコン中継システムがループした時の説明図
図6】本発明のリモコン中継システムの別例の説明図
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0014】
現在いろいろな電気機器に赤外線リモコンシステムは、使われているが、基本原理はほぼ同じである。リモコンには複数の押し釦スイッチがあり、その操作情報を読み取り、電気機器に赤外線信号が送られる。
図3は、その信号波形を表す。赤外線信号は、概ね38〜40kHz近辺のオンオフの断続波であり、オンオフの割合は、(A)のように、1:2〜1:1(デユーテイ1/3〜1/2)くらいで、(B)のように、その連続時間と無信号時間の組み合わせでデータを表す。データとしては(C)のように、直列信号になって、2値の通信が行える。
【0015】
図4に、本発明のリモコン中継器システムを示す。図4の左側にリモコンシステムのブロック図、右側に信号波形図を示す。
図4、左側の縦の点線は、従来のリモコンシステムであり、リモコン1からの赤外線は、電気機器5に直接伝えられることを、示している。
図4、右側の縦の点線は、赤外線信号が、リモコン1からリモコン中継器2を経由して、電気機器5に伝えられることを示している。これは本発明による新しい信号経路である。
【0016】
ここで、リモコン中継器2を通る信号について説明する。
リモコン1からの赤外線波形は(A)の右に示すようなオンオフ信号であり、デユーテイ1/3〜1/2くらいで、38kHzくらいの信号である。
この信号は受光素子8に入り、電気信号になって、ハイパスフィルタを構成する増幅器でパルスの立ち上がり、立下りのみ増幅されて(B)の波形になる。平均値は0であり、+側と―側のコンパレータを通すと、(C1)と(C2)のパルス信号になり、これがフリップフロップ22のセット、リセット端子に入ると、(D)のようなデジタル信号に変わる。これは、リモコン1からの赤外線オンオフ波形とほとんど同じである。これは、増幅器24赤外線発光素子9を通ると赤外線(E)となって、電気機器5に向けて放射される。
ここでリモコン1から放射される赤外線(A)とリモコン中継器2から放射される赤外線(E)とは、わずかに(E)が(A)に比べて、内部回路の遅延時間だけ遅れるだけで、ほとんど同じ信号波形である。
【0017】
(A)と(E)の赤外線が混合して電気機器5に入ったとしても、図4(F)のような波形になるのであり、電気機器5の内部では、いったん基準周波数38kHzのバンドパスフィルタを通して、(G)のような基準正弦波になってから、検波されるので、リモコンから直接の赤外線だけの場合と全く同じことになる。
すなわち、赤外線は、リモコン1からの直接信号とリモコン中継器2からの間接信号がどのように混合されても、誤動作は起こらないことになる。
【0018】
ここでリモコン中継器2の出力から入力に赤外線信号が漏れて、信号のループができたとする。その場合でも、内部のフリップフロップ22は、常時、セット状態またはリセット状態であるために、増幅率は0であり、ループゲインも0であり、発振やロック状態にはなりえない。
【0019】
さらに、リモコン1からのパルス信号を受信して、フリップフロップ22がセット状態に反転したときを考えると、図5の(E)の波形が(E’)としてリモコン中継器2の入力に戻ったとする。右側の点線の図形(E’)は(A)に比べてdelayの間隔だけ遅れていることになる。それがリモコン中継器2の赤外線受光素子8とハイパスフィルタ増幅器20を通ると、(B)の波形は、(A)の波形による微分波形10よりも遅れた位置に、微分波形11として現れ、比較器21で整形するとパルス14,パルス15となる。このパルス14によって、フリップフロップ22は(D)の、18位置のようにセットされているので、同じくセットパルス15が再度、19位置にセットしようとしても、何も変化は起こらないのである。
【0020】
フリップフロップ22のリセットに関しても、同様であり、最初の微分波形12、パルス16のみ、位置20でリセットに関与するが、2度目のリセット信号の微分波形13、パルス17は、位置21では、すでにリセットされているので、無効信号となり、何も起こらない。
すなわち、リモコン中継器2の出力から入力に回り込んだ信号は、何も影響は及ばさない。
【実施例2】
【0021】
上記の説明で、リモコン中継器2は正しく動作することは説明されたが、追加機能として、図4のフリップフロップ22に(時間リセット付)と書いてある。この意味は、フリップフロップ22には、安全のため、リセット状態からセットパルス14で、18位置のようにセットされた場合、リセットパルス16が失われたとしても、タイマーtr後に22位置で自動リセットがかかることが、望ましいことを追記している。
tr時間は、基本周波数の周期(概ね26.3μs)より少し短い時間である。
言い方を変えれば、tr時間の単安定マルチバイブレータとフリップフロップの両方の機能を持った回路ともいえる。
【実施例3】
【0022】
別の実施例として、図6を説明する。
図6図4のフリップフロップ22の代わりに、単安定マルチバイブレータ23を使用したものである。単安定マルチバイブレータ23を使用すると、出力信号のオン時間(デユーテイ)は、リモコン1のオン時間とは、無関係になり、単安定マルチバイブレータ23の回路の時定数で決まることになる。
また、比較器21の出力は(C)のように、セットパルスのみ使用する。これが単安定マルチバイブレータ23を、セットし、(D)のように、パルス幅trのデジタル波形を作る。trは単安定マルチバイブレータ23回路の時定数であり、デユーテイが1/3〜1/2となるように回路定数を決めることになる。
【0023】
図4と同様に増幅器24と赤外線発光素子を通って赤外線信号(E)を発する。これも図5と同様に(A)より少し遅れた信号であるから、リモコン中継器2の入力に戻った信号は、図5の11,15.19と同様の遅延パルス信号を作るが、単安定マルチバイブレータがセット(ON)中のセット信号は、何も動作には関与しない。
結局、図4のリモコン中継器と、図6のリモコン中継器とは、全く同じ機能を果たすが、図6のリモコン中継器のほうが構成は簡易化されている。
【産業上の利用可能性】
【0024】
家電製品のリモコンシステム、電子機器のリモコンシステム、ロボットのリモコンシステムなどの産業で利用される。
【符号の説明】
【0025】
1:リモコン
2:発光素子
3:赤外線信号
3a:赤外線信号
4:受光素子
5:電気機器
6:障害物
7:リモコン中継器
8:受光素子
9:発光素子
10:反射物体
11:受信器
12:送信器
20:ハイパスフィルタ
21:比較器(パルス整形器)
22:フリップフロップ
23:単安定マルチバイブレータ
24:増幅器
30、31:立上がり波
32、33:立下り波
34、35:セットパルス
36、37:リセットパルス
38、39:セットタイミング
40、41:リセットタイミング
42:時間リセットタイミング
図1
図2
図3
図4
図5
図6