(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-137712(P2018-137712A)
(43)【公開日】2018年8月30日
(54)【発明の名称】認知症患者の方々を含めた高齢者向けバリアフリー映画又は映像の製造方法又は制作編集システム
(51)【国際特許分類】
H04N 5/91 20060101AFI20180803BHJP
H04N 5/265 20060101ALI20180803BHJP
G06Q 50/22 20180101ALI20180803BHJP
【FI】
H04N5/91
H04N5/265
G06Q50/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】書面
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-75561(P2017-75561)
(22)【出願日】2017年3月21日
(31)【優先権主張番号】特願2016-174054(P2016-174054)
(32)【優先日】2016年8月22日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2016-198495(P2016-198495)
(32)【優先日】2016年9月20日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2017-26406(P2017-26406)
(32)【優先日】2017年1月31日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2017-45434(P2017-45434)
(32)【優先日】2017年2月22日
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】511049510
【氏名又は名称】株式会社ピー・ビー・エヌ
(72)【発明者】
【氏名】楠 裕史
【テーマコード(参考)】
5C023
5C053
5L099
【Fターム(参考)】
5C023AA18
5C023AA38
5C023BA11
5C023EA02
5C053FA14
5C053GB11
5C053JA16
5L099AA13
(57)【要約】
【課題】特定の出演者が出現した場合の評価点を大きくした上で特定の出演者の出現シーンを選択して映像を編集する方法は存在した。しかし、高齢者の記憶の回想を促進する又は回想法に有効とする為に、映像を必要な映像時間の長さにし、画面に指定項目を表示し、著作権切れ映画の映像を基に制作した編集著作物である事を示す表示をし、及び、司会用台本を合わせて制作しセットする映像の編集や製造の方法やコンピュータシステムはなかった。
【解決手段】映画又は映像の画面に、制作の基にした映画のタイトルと制作年又は公開年、有名な音楽が流れるシーンの画面には音楽の名前、著名出演者の出現シーンの画面には出演者の名前、及び著作権切れ映画を用いた編集著作物である事を示す表示又はマークを、表示し、及び、解説を行う司会者用の台本を制作しセットする。及び完成映画の長さを20分以内とする認知症を含む高齢者向けバリアフリー映画又は映像データの製造方法又は編集システム。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
認知症の予防や治療に役立つことを目的とした治療法やケア方法、又は高齢者を対象としたレクレーションや営業用映像、に用いる「高齢者に過去の記憶を回想していただくための専用映画又は映像(以下「回想用映画」という)」を、制作又は編集して新たに生み出すための映画又は映像の製造又は編集方法であって、回想用映画の画面(以下「画面」という)内には制作又は編集に用いた「映画等を示すタイトル名」と「映画等の制作年又は公開年」とを表示し、及び、指定した歌や音楽(以下「指定音楽」という)が流れているシーンの画面内には「指定音楽の名前」を表示し、及び、画面内に指定した出演者(以下「指定出演者」という)の姿又は顔が登場するシーンの画面内には「指定出演者の名前」を指定出演者の姿や顔に重なるように又は指定出演者を示すように表示する、ことを特徴とする認知症患者の方々を含めた高齢者向けバリアフリー映画又は映像の製造方法
【請求項2】
回想用映画の映像時間の長さを「20分以内」として、編集又は制作することを特徴とする、請求項1に記載の認知症患者の方々を含めた高齢者向けバリアフリー映画又は映像の製造方法
【請求項3】
個々の回想用映画に係る説明又は解説が入った、回想用映画の上映又は放映時の進行役を務める司会者(以下「司会者」という)用の台本(以下「司会者用台本」という)を回想用映画毎に制作する又は制作してセットすることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の認知症患者の方々を含めた高齢者向けバリアフリー映画又は映像の製造方法
【請求項4】
著作権の保護期間が切れた著作物である映画、映像、画像又は音楽(以下「著作権切れ映画等」という)を用いて制作又は編集して、新たな回想用映画を生み出すことを特徴とする、請求項1ないし請求項3に記載の認知症患者の方々を含めた高齢者向けバリアフリー映画又は映像の製造方法
【請求項5】
認知症患者、要介護認定者又は高齢者の方々向けのバリアフリー映画である事を示す表示やマーク、又は著作権切れ映画等の映像を用いた編集著作物である事を示す表示やマークを、回想用映画の画面内に表示することを特徴とする、請求項1ないし請求項4に記載の認知症患者の方々を含めた高齢者向けバリアフリー映画又は映像の製造方法
【請求項6】
回想用映画の前に、体操の映像、歌の映像、又は昔の道具や風景や人の映像や画像の少なくともいずれか1つを挿入することを特徴とする、請求項1ないし請求項5に記載の認知症患者の方々を含めた高齢者向けバリアフリー映画又は映像の製造方法
【請求項7】
前記指定出演者の姿又は顔が画面全体の大きさに対して指定率以上の大きさで出現するシーンの画面、又は前記指定出演者が衣装を替えて登場したシーンの画面には、「指定出演者の名前」を指定出演者の姿や顔に重なるように又は指定出演者を指し示すように表示して編集することを、特徴とする請求項1ないし請求項6に記載の認知症患者の方々を含めた高齢者向けバリアフリー映画又は映像の製造方法
【請求項8】
認知症の予防や治療に役立つことを目的とした治療法やケア方法、又は高齢者を対象としたレクレーションや営業用映像、に用いる「高齢者に過去の記憶を回想していただくための専用映画又は映像(以下「回想用映画」という)」を、制作又は編集して新たに生み出すための映画又は映像の製造又は編集方法であって、回想用映画の画面(以下「画面」という)内には制作又は編集に用いた「映画等を示すタイトル名」と「映画等の制作年又は公開年」とを表示し、及び、指定した歌や音楽(以下「指定音楽」という)が流れているシーンの画面内には「指定音楽の名前」を表示し、及び、画面内に指定した出演者(以下「指定出演者」という)の姿又は顔が登場するシーンの画面内には「指定出演者の名前」を指定出演者の姿や顔に重なるように又は指定出演者を示すように表示し、及び、個々の回想用映画に係る説明又は解説が入った「司会者用台本」を回想用映画毎に制作する又は制作してセットする、ことを特徴とする認知症患者の方々を含めた高齢者向けバリアフリー映画又は映像の編集又は製造のシステム又はコンピュータプログラム
【請求項9】
回想用映画の映像時間の長さを「20分以内」として、編集又は制作することを特徴とする、請求項8に記載の認知症患者の方々を含めた高齢者向けバリアフリー映画又は映像の編集又は製造のシステム又はコンピュータプログラム
【請求項10】
個々の回想用映画に係る説明又は解説が入った台本(以下「司会者用台本」という)を回想用映画毎に制作する又は制作してセットすることを特徴とする、請求項8または請求項9に記載の認知症患者の方々を含めた高齢者向けバリアフリー映画又は映像の編集又は製造のシステム又はコンピュータプログラム
【請求項11】
著作権の保護期間が切れた著作物である映画、映像、画像又は音楽(以下「著作権切れ映画等」という)を用いて制作又は編集して、新たな回想用映画を生み出すことを特徴とする、請求項8ないし請求項10に記載の認知症患者の方々を含めた高齢者向けバリアフリー映画又は映像の編集又は製造のシステム又はコンピュータプログラム
【請求項12】
認知症患者、要介護認定者又は高齢者の方々向けのバリアフリー映画である事を示す表示やマーク、又は著作権切れ映画等の映像を用いた編集著作物である事を示す表示やマークを、回想用映画の画面内に表示することを特徴とする、請求項8ないし請求項11に記載の認知症患者の方々を含めた高齢者向けバリアフリー映画又は映像の編集又は製造のシステム又はコンピュータプログラム
【請求項13】
回想用映画の前に、体操の映像、歌の映像、又は昔の道具や風景や人の映像や画像の少なくともいずれか1つを挿入することを特徴とする、請求項8ないし請求項12に記載の認知症患者の方々を含めた高齢者向けバリアフリー映画又は映像の編集又は製造のシステム又はコンピュータプログラム
【請求項14】
前記指定出演者の姿又は顔が画面全体の大きさに対して指定率以上の大きさで出現するシーンの画面、又は前記指定出演者が衣装を替えて登場したシーンの画面には、「指定出演者の名前」を指定出演者の姿や顔に重なるように又は指定出演者を指し示すように表示して編集することを、特徴とする請求項8ないし請求項13に記載の認知症患者の方々を含めた高齢者向けバリアフリー映画又は映像のシステム又はコンピュータプログラム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、認知症の予防や治療に役立つことを目的とした治療法やケア方法である回想法、又は高齢者向けのレクレーションや営業に用いる、「認知症の患者を含めた高齢者(以下「当該対象者」という)」の方々に過去の記憶を回想していただくための専用の映画又は映像(以下「回想用映画」という)を制作又は編集して新たに製造する、及び、介護施設の職員や当該対象者の家族や親族が回想用映画の上映又は放映時に回想用映画の解説者や司会者となって、個々の回想用映画に係る説明や解説を行う、又は回想用映画を見せながら行うレクリエーションの司会進行を行うための「個々の回想用映画に係る説明又は司会進行用台本(以下「司会者用台本」という)」を回想用映画毎に制作する又は制作してセットする映像の製造方法又は映像データの編集システムに関する。
【0002】
映像編集を、各映像シーンに係る評価点数に応じて行い、及び特定の出演者が出現した場合の評価点を大きくした上で個々の映像シーンを選択して映像を編集する方法は存在した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許4449216号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のシステムでは、特定の出演者が出現した映像シーンを優先的に選択して上で、映像を編集することは出来た。
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のシステムでは、映像の編集時に映画の長さを、当該対象者にも無理なく見続けていただける時間(20分など)内に編集することは出来なかった。及び、映画の画面内に映画のタイトル名と映画の制作年又は公開年とを表示する事、及び、指定した音楽(以下「指定音楽」という)が流されるシーンの画面には指定音楽の名前を表示する事、及び、指定した映画等の出演者(以下「指定出演者」という)の姿が出現するシーンの画面には指定出演者の氏名を高齢者にも認識が出来やすくするために目立つように表示する事とを、合わせて行う事が出来なかった。よって、当該対象者に過去の記憶を回想していただく目的の回想用映画を、著作権切れ映画等の映像を用いての編集や制作は、従来からの映像の編集製造方法や編集システムでは出来ず回想用映画となる映画や映像は創れなかった。及び、回想用映画が著作権切れ映画等の映画や映像を用いて創られた新たな著作物である事を、指定のマークや表示方法で示す方法やシステムも望まれていた。
【0006】
尚、特に認知症患者の方々は、その症状の特性により、1つの映画や映像を楽しんで見続けていただける範囲の時間が20分以下程度であるので、回想用映画の映像はその時間範囲内に編集とする事が必要である。そのような内容の本発明の編集製造の方法又は編集システムによって著作権切れ映画等の映画や映像を用いて創り出された「回想用映画」が、主に介護施設において実施される当該対象者に対する「回想法」(回想療法)に用いるために、又は、当該対象者に過去を回想して楽しんでいただくキッカケを提供する目的で、当該対象者に介護を行っている方々や、高齢者の方々自身からも望まれていた。及び、当該対象者に映像等を見せて回想法を行う場合には、当該対象者に見た映像をキーとして語ってもらうと効果的である。その為には回想用映画の映像を流して見ていただくだけではなく、回想用映画の映像と合わせて、その映像の解説を行う司会者のような人が回想用映画を放映するテレビ等の機器や画面の横に付き、当該対象者に見ている映像について解説説明や質問を行うと良い。その為には、昔の映画等を基にして制作されている回想用映画については当該対象者より年下の司会者は知らない場合が多いので、個々の回想用映画の内容や音楽や出演者やその他の挿入映像他に係る説明や解説の入った台本(以下「司会者用台本」という)が、司会や説明を行う人には必要不可欠という現実や問題が存在していた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、認知症の予防や治療に役立つことを目的とした治療法やケア方法、又は高齢者を対象としたレクレーションや営業用映像、に用いる「高齢者に過去の記憶を回想していただくための専用映画又は映像(以下「回想用映画」という)」を、制作又は編集して新たに生み出すための映画又は映像の製造又は編集方法であって、回想用映画の画面(以下「画面」という)内には制作又は編集に用いた「映画等を示すタイトル名」と「映画等の制作年又は公開年」とを表示し、及び、指定した歌や音楽(以下「指定音楽」という)が流れているシーンの画面内には「指定音楽の名前」を表示し、及び、画面内に指定した出演者(以下「指定出演者」という)の姿又は顔が登場するシーンの画面内には「指定出演者の名前」を指定出演者の姿や顔に重なるように又は指定出演者を示すように表示する、ことを特徴とする認知症患者の方々を含めた高齢者向けバリアフリー映画又は映像の製造方法である。
【0008】
本発明によれば、完成した回想用映画の画面内に、制作の基として用いた映画の「タイトル又は名前」と「映画の制作年又は公開年」が表示さえる事により、表示している回想用映画の制作の基となっている個別の映画を示す事が出来るようになる。及び、指定音楽が流れているシーンの画面内には「指定音楽の名前」を表示する、及び、指定出演者の姿又は顔が登場するシーンには「指定出演者の名前」を指定出演者の姿又は顔に重なるように画面内に表示される事で、回想用映画の当該対象者の興味の対象が、映画自体のストーリー自体より、著名な出演者や音楽に向かう事に対応が出来るようになる。
【0009】
請求項2に係る発明は、回想用映画の映像時間の長さを「20分以内」として、編集又は制作することを特徴とする、請求項1に記載の認知症患者の方々を含めた高齢者向けバリアフリー映画又は映像の製造方法である。
【0010】
本発明によれば、新たに創り出される回想用映画の時間の長さが20分以内程度となる事により、認知症患者の方でも、映画や映像を楽しんで見続けていただける範囲の時間内に編集した映画や映像を製造する事が出来るようになる。
【0011】
請求項3に係る発明は、個々の回想用映画に係る説明又は解説が入った、回想用映画の上映又は放映時の進行役を務める司会者(以下「司会者」という)用の台本(以下「司会者用台本」という)を回想用映画毎に制作する又は制作してセットすることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の認知症患者の方々を含めた高齢者向けバリアフリー映画又は映像の製造方法である。
【0012】
本発明によれば、当該対象者より年下と考えられる司会者に必要不可欠であった「司会者用台本」が回想用映画毎に合わせて制作され、これを使って司会者が、まるで紙芝居のように説明を付けて回想用映画を当該対象者に見せる事が出来るようになる。それによって、当該対象者の方々への回想法の効果を高める事が出来るようになる。又は、当該対象者に過去を回想して楽しんでいただくキッカケを提供する事が出来るようにもなる。
【0013】
請求項4に係る発明は、著作権の保護期間が切れた著作物である映画、映像、画像又は音楽(以下「著作権切れ映画等」という)を用いて制作又は編集して、新たな回想用映画を生み出すことを特徴とする、請求項1ないし請求項3に記載の認知症患者の方々を含めた高齢者向けバリアフリー映画又は映像の製造方法である。
【0014】
本発明によれば、著作権切れ映画等を用いて、新たな回想用映画を創り出すことが出来る。尚、著作権切れ映画等を用いる場合には、編集又は制作の基とする著作権切れ映画等に係る著作権を一切考慮する必要はなく新たな回想用映画を創り出すことが出来る。
【0015】
請求項5に係る発明は、認知症患者、要介護認定者又は高齢者の方々向けのバリアフリー映画である事を示す表示やマーク、又は著作権切れ映画等の映像を用いた編集著作物である事を示す表示やマークを、回想用映画の画面内に表示することを特徴とする、請求項1ないし請求項4に記載の認知症患者の方々を含めた高齢者向けバリアフリー映画又は映像の製造方法である。
【0016】
本発明によれば、完成した映画又は今観ている映画が、認知症患者、要介護認定者又は高齢者の方々向けのバリアフリー映画である事、又は著作権切れ映画等を使って、新たに編集して新たに制作された映画、映像又は編集著作物である事を示す、又は観る人に対して示す又は証明することが出来るようになる。
【0017】
請求項6に係る発明は、回想用映画の前に、体操の映像、歌の映像、又は昔の道具や風景や人の映像や画像の少なくともいずれか1つを挿入することを特徴とする、請求項1ないし請求項5に記載の認知症患者の方々を含めた高齢者向けバリアフリー映画又は映像の製造方法である。
【0018】
本発明によれば、回想用映画を、映画に係る映像だけで構成するのではなく、映画に係る映像の前に、体操の映像、歌の映像、又は、昔の道具や風景や人やニュースの映像を挿入する事で、まず「当該対象者の思考を昔に向けること」といった回想用映画を観るための頭のウォーミングアップを行う事が出来て、当該対象者は無理なく自然に回想用映画が観られるようになる。
【0019】
請求項7に係る発明は、前記指定出演者の姿又は顔が画面全体の大きさに対して指定率以上の大きさで出現するシーンの画面、又は前記指定出演者が衣装を替えて登場したシーンの画面には、「指定出演者の名前」を指定出演者の姿や顔に重なるように又は指定出演者を指し示すように表示して編集することを、特徴とする請求項1ないし請求項6に記載の認知症患者の方々を含めた高齢者向けバリアフリー映画又は映像の製造方法である。
【0020】
本発明によれば、指定出演者の名前を画面内に表示するシーンの基準を定め、その基準に沿って映画や映像の画面に指定出演者の名前を挿入して編集する事が出来るようになる。これにより回想用映画を製造又は編集する場合に、映画や映像の内容や物語の流れ等を気にせずに、及び、映画や映像を編集する個人毎に異なる芸術的な感覚に頼ることなく、誰でも基準に則り指定出演者の名前を映画や映像の画面に表示する事が出来るようになる。
【0021】
請求項8に係る発明は、認知症の予防や治療に役立つことを目的とした治療法やケア方法、又は高齢者を対象としたレクレーションや営業用映像、に用いる「高齢者に過去の記憶を回想していただくための専用映画又は映像(以下「回想用映画」という)」を、制作又は編集して新たに生み出すための映画又は映像の製造又は編集方法であって、回想用映画の画面内には制作又は編集に用いた「映画等を示すタイトル名」と「映画等の制作年又は公開年」とを表示し、及び、指定した歌や音楽(以下「指定音楽」という)が流れているシーンの画面内には「指定音楽の名前」を表示し、及び、画面内に指定した出演者(以下「指定出演者」という)の姿又は顔が登場するシーンの画面内には「指定出演者の名前」を指定出演者の姿や顔に重なるように又は指定出演者を示すように表示し、及び、個々の回想用映画に係る説明又は解説が入った「司会者用台本」を回想用映画毎に制作する又は制作してセットする、ことを特徴とする認知症患者の方々を含めた高齢者向けバリアフリー映画又は映像の編集又は製造のシステム又はコンピュータプログラムである。
【0022】
本発明によれば、映像等データの編集コンピュータシステム又はプログラムによって、請求項1の発明と同様の効果がある回想用映画を創ることが出来るようになる。
【0023】
請求項9に係る発明は、回想用映画の映像時間の長さを「20分以内」として、編集又は制作することを特徴とする、請求項8に記載の認知症患者の方々を含めた高齢者向けバリアフリー映画又は映像の編集又は製造のシステム又はコンピュータプログラムである。
【0024】
本発明によれば、本発明によれば映像等データの編集コンピュータシステム又はプログラムによって請求項2の発明と同様の効果がある回想用映画を創ることが出来るようになる。
【0025】
請求項10に係る発明は、個々の回想用映画に係る説明又は解説が入った台本(以下「司会者用台本」という)を回想用映画毎に制作する又は制作してセットすることを特徴とする、請求項8または請求項9に記載の認知症患者の方々を含めた高齢者向けバリアフリー映画又は映像の編集又は製造のシステム又はコンピュータプログラムである。
【0026】
本発明によれば、映像等データの編集コンピュータシステム又はプログラムによって、請求項3の発明と同様の効果がある回想用映画を創ることが出来るようになる。
【0027】
請求項11に係る発明は、著作権の保護期間が切れた著作物である映画、映像、画像又は音楽(以下「著作権切れ映画等」という)を用いて制作又は編集して、新たな回想用映画を生み出すことを特徴とする、請求項8ないし請求項10に記載の認知症患者の方々を含めた高齢者向けバリアフリー映画又は映像の編集又は製造のシステム又はコンピュータプログラムである。
【0028】
本発明によれば、映像等データの編集コンピュータシステム又はプログラムによって、請求項4の発明と同様の効果のある回想用映画を創ることが出来るようになる。
【0029】
請求項12に係る発明は、認知症患者、要介護認定者又は高齢者の方々向けのバリアフリー映画である事を示す表示やマーク、又は著作権切れ映画等の映像を用いた編集著作物である事を示す表示やマークを、回想用映画の画面内に表示することを特徴とする、請求項8ないし請求項11に記載の認知症患者の方々を含めた高齢者向けバリアフリー映画又は映像の編集又は製造のシステム又はコンピュータプログラムである。
【0030】
本発明によれば、映像等データの編集コンピュータシステム又はプログラムによって、請求項5の発明と同様の効果のある回想用映画を創ることが出来るようになる。
【0031】
請求項13に係る発明は、回想用映画の前に、体操の映像、歌の映像、又は昔の道具や風景や人の映像や画像の少なくともいずれか1つを挿入することを特徴とする、請求項8ないし請求項12に記載の認知症患者の方々を含めた高齢者向けバリアフリー映画又は映像の編集又は製造のシステム又はコンピュータプログラムである。
【0032】
本発明によれば、映像等データの編集コンピュータシステム又はプログラムによって、請求項6の発明と同様の効果のある回想用映画を創ることが出来るようになる。
【0033】
請求項14に係る発明は、前記指定出演者の姿又は顔が画面全体の大きさに対して指定率以上の大きさで出現するシーンの画面、又は前記指定出演者が衣装を替えて登場したシーンの画面には、「指定出演者の名前」を指定出演者の姿や顔に重なるように又は指定出演者を指し示すように表示して編集することを、特徴とする請求項8ないし請求項13に記載の認知症患者の方々を含めた高齢者向けバリアフリー映画又は映像編集又は製造のシステム又はコンピュータプログラムである。
【0034】
本発明によれば、請求項7の発明と同様の効果のある回想用映画を創ることが出来るようになる。
【発明の効果】
【0035】
介護業界や医療関係業界などで回想法又は回想療法(以下「回想法」という)と呼ばれている、介護関係施設や高齢者を対象とした施設、病院、又は店舗等にて、高齢者に対しての認知症の予防又はケアとして行われている治療、レクリエーションの方法がある。この回想法とは、具体的には、高齢者に対して、高齢者が昔使っていた道具や物の現物やそれらが写った写真、又は昔の風景等の写真や映像を見せることで、高齢者に過去の記憶を蘇らせる、又はそれらに係る記憶を語らせることで高齢者の脳を活性化するという治療法又はレクレーションの方法である。この回想法の実施方法の1つとして「テレビ回想法」と呼ばれている方法がある。これは高齢者にテレビ機器等の視聴機器を用いて、昔使われていた道具や物や風景等が映った映像を見せて回想法を実施する方法であり、昔使った道具や物の実物や写真を用意する必要のない「手間の掛からない回想法の実施方法」である。よって、このテレビ回想法は家庭でも簡単に行える回想法の実施方法として、今後の認知症患者の方が増えると予想されている高齢者社会において、極めて有効な治療方法又はレクレーション方法とも言われている。
【0036】
そして、この高齢者にテレビ回想法として見せるための回想用映画に係る素材映画や回想用映像のデータ編集に際しては、映画に係る映像又は映像データを編集して制作の特に大切なポイントがある。それは、対象者が大なり小なり「認知症の影響を受けている可能性が高い」と想定される事から、認知症の影響である「今見たものを直ぐに忘れてしまう事」により、当該対象者が常に「今何を見ているのか」と不安になってしまう、又は、常に「これは何の映画なのか」と常に新たに考えなくてはならない、という点(特性)である。そこで、回想用映画又は回想用映画データに係る映像の画面(以下、「画面」ともいう)内には、今見られている映画に係る「名前又はタイトル名」と「制作又は公開年」が常に表示されている必要があり、それを本発明で実現が出来るのである。
【0037】
このようにして製造又は編集された映画や映像である認知症患者の方々を含めた高齢者向けの回想用映画は、障害者の1つである認知症の方々に向けた「バリアフリー映画又は映像」という事が出来る。バリアフリー映画とは、障害者の方々に健常者と同じように映画を楽しんでいただけるように配慮を技術で行った障害者差別解消法に沿った映画である。例えば、聴覚障害の方々向けには、特殊な眼鏡を掛けることで、通常の映画の画面には記載されていない字幕が見られるようにする技術を用いた映画である。これと同様に、本発明による映像の製造方法又は製造システムやコンピュータプログラムによって、認知症患者の方々(精神障害者)を含めた高齢者の方々でも、健常者と同じように映画を楽しむことができる「バリアフリー映画」を製造又は編集する事が出来るようになるのである。
【0038】
また、本発明の映像編集方法及び映像編集システムにおいて、回想用映画の制作又は編集に用いる又は基とする映画の1つは著作権切れ映画である。これは映画が法律(著作権法)で著作権としての権利が保護されるべき期間が終了した(切れた)映画は、「公共財として誰もが自由に利用して良い事」に基づいて、著作権切れ映画に係る全てのシーンの映像や音楽等を、法律上、誰の許可を得る必要なく自由に用いて編集して、新たな回想用映画を制作する事及び公開する事が可能である。そこで、この回想用映画の基となっている著作権切れ映画は、法律上において自由に使って良いという事実、及び、著作権切れ映画を用いてこの回想用映画に係る映像を制作した事実を、完成した回想用映画の画面に常に示す目的で、編集及び制作の基とした著作権切れ映画に係る「タイトル名又は名称」と「制作又は公開年」、又は「著作権切れ映画の映像を用いて、新たに編集して制作した映画又は映像である事を示す表示又はマーク」を常に画面に表示する事によって、このように常に表示するマーク等によって、観ている人に示すことが出来る内容又は意味には、「今観ている映画又は映像が著作権切れ映画の映像を使って創られている事(又は編集されて制作されている事」と「今観ている映画又は映像が新たに編集された編集著作物である事」の2点の事実や意味を全ての完成した回想用映画を観る人に対して伝える事が出来るようになる。
【0039】
及び、本発明の方法又はシステムによって、完成した回想用映画の画面に「この映画は、著作権切れ映画の映像を基に用いて編集して制作された映画、映像又は編集著作物である事を示す表示又はマーク」を表示が出来ることで、この観ている映画や映像は「基にした映画が自由にだれでも使える著作権切れ映画である」という事実と「この観ている映画自体は新たに編集及び追加が行われた編集著作物等の著作物である」という事実とを映画又は映像を観る人に伝える又は認識させる事が出来る。それにより、基にした映画は使用許諾の必要なく使っている事、及び、この観てる映画自体は編集著作物等の著作物であり、使用許諾なく使用が出来ない事を、映像を観る人に伝える又は認識させる事が出来る。
【0040】
また、当該対象者は、今見たものを直ぐに忘れてしまうという認知症特有の特性がある事から、映画のストーリーを追うことが出来ないので、映画を楽しんで見続けていただける範囲の時間や映画のストーリーを覚えて追える時間は20分以下程度であり、映画のストーリーが分からなくなって見続ける事を拒否してしまう事が多い。及び、従来からの予告編では当該対象者が回想を行うには短すぎるという欠点もある。そこで、新たに編集又は制作する回想用映画の時間の長さは、当該対象者が無理なく楽しんで見続けられることが出来る時間の長さ範囲内で編集する事が必要もある。また、対象者に興味を持ってもらうためには、短い時間の長さで語れないであろう編集の基にした映画のストーリーに頼ることが出来ないので、その時々のシーンに登場している著名な出演者や流れている有名な音楽のみに向かってもらうしかない事も重要である。そこで、当該対象者が覚えていると想定される「著名な出演者の名前」をその著名な出演者の姿や顔又は指し示せる場所に表示しておくことや、「有名な音楽や歌の名称」を、その有名な音楽や歌が流れているシーンに合わせて、それぞれ表示するように編集又は制作しておくことが重要となる。これらが本発明によって実現できるようになるのであり、本発明によって、著作権切れ映画等を基として編集されて創られた新しい映画、映像、又は映像番組が、回想用映画となりえるのである。これらにより、本発明の編集方法又は本発明のシステムを使って編集して制作した回想用映画又は回想用映像データに係る映像や番組は、極めて当該対象者に対して、テレビ回想法又は回想法の効果を効率的に引き出すことが可能となるのである。もしも、本発明の編集方法又は編集システムによって創られる映画又は映像以外で、テレビ回想法又は回想法を当該対象者に対して実施した場合では、当該対象者が最悪直前に見ていた内容を忘れてしまい、今は何を見ているのか自体を改めて考える事になり、又はそれらの原因で映像を見続ける事を拒否してしまう事となってしまい、対象者の回想法の効果が出にくいという事になってしまうのである。
【0041】
また、当該対象者に対して回想法を行う場合には、当該対象者に見た映像をキーとして、昔の思い出を語ってもらうと効果的である。その為に、当該対象者に対して、今見せている回想用映画についての質問を行う司会者等のために、個々の回想用映画の映像に係る説明や解説が入った「司会用台本」が制作又は回想用映画毎にセットされる。これにより、当該対象者より年下である可能性が高い司会者等を行う介護職員や家族等が、回想用映画を当該対象者に見せながら質問や司会進行を容易に行う事が出来るようになるのである。
【0042】
及び、回想用映画の前に、体操の映像、歌の映像、又は昔の道具や風景や人の映像を挿入して当該対象者に観せることで当該対象者の思考を昔に向けることが出来、回想用映画を観る頭のウォーミングアップを行う事が出来る。これで該対象者は無理なく回想用映画を観られる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1】 回想用映画の完成した映像又はシーンの1例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0044】
次に、本発明の実施形態の1つの例を、
図1を参照しながら説明する。
図1は回想用映画の編集後の完成した映像又はシーンの1例を示す図である。この
図1のように回想用映画の映像(画面)の中には、映画の全部のシーン(瞬間ごとに表示される映像の画面をいう)には、回想用映画の制作に利用する素材となる映画又は映像(以下「素材映画」という)としての素材映画の制作年又は公開年(1)と素材映画の名称又はタイトル名(2)を画面内の指定場所に常に表示する(素材映画は著作権の保護期間が終了した「著作権切れ映画」の場合もある)、及び「素材映画として著作権切れ映画の映像を用いて制作した場合には、著作権切れ映画を新たに編集して制作した映画又は映像である事を示す表示又はマーク(以下「著作権切れ映画を用いた事を証明するマーク」という)(5)」を予め定めた画面の場所に常に表示されるようにする。そして、素材映画の制作年又は公開年(1)と素材映画の名称又はタイトル名(2)と、著作権切れ映画を用いた場合には著作権切れ映画を用いた事を証明するマーク(5)とを記憶し及び画面に挿入して常に表示されるように編集する。例えば、著作権切れ映画を用いた事を証明するマーク(5)の例としては、「PD新編集版」であり、その意味は、PD(パブリックドメイン)という言葉は、法的に著作権の保護期間が終了した公共財(誰もが自由に使って良い)を示すし、それを用いて新たに編集した映画を表す「新編集版」という言葉を合わせた言葉(マーク)である。
【0045】
その上で、当該対象者が覚えていると想定される著名な出演者(指定出演者)又は著名な音楽や歌(指定音楽)をリストにして記憶しておく。そして、その記憶したリスト内の指定出演者又は指定音楽が流れるシーンには、前記リスト内に記憶されている指定出演者又は指定音楽の名前又は名称を、今出現している指定出演者の名前(3)又は今流れている指定音楽の名称(4)をリストから抽出して挿入し画面に表示する。この場合の名前又は名称を表示する画像内の場所は、指定音楽の場合は予め定めた場所とし、指定出演者の場合は、指定出演者の姿に重なるような場所に又は指定出演者の姿や顔又は指し示すことの出来る場所に設定すると良い。また、指定出演者の場合には、指定出演者の出現する姿又は顔の大きさが、予め設定した画面の一定利率以上となった場合、又は前記指定出演者が衣装を替えて登場したシーン又は映画内の場面が代わった画面に表示する、というような表示基準の設定が出来るようにしても良い。そして、編集の基となる著作権切れ映画を必要又は指定の長さ(時間)は20分以下程度とするように前記の編集を行うようにする。尚、長さ(時間)を5分以上とするようにしても良い。そのように5分以上にすると完成した回想用映画の時間の長さが「従来からの映画の予告編」のように3分位と時間が短すぎず、思い出せないうちに回想用映画が終わってしまう事を防ぐことも出来るようになる。但し、素材映画を必要又は指定の長さ(時間)については著作権切れ映画の内容や当該対象者の状況に応じて、その都度、指定した時間の長さに指定する事も出来るようにしても良い。又、そのような映像の長さに製造された回想用映画の前に、体操の映像、歌の映像、又は昔の道具や風景や人の映像を挿入して、当該対象者が回想用映画を観る頭のウォーミングアップを行う事が出来るようにしても良い、本発明はこのようにして回想用映画又は回想用映像データを編集する映像の製造を行う製造方法、映像編集システム又はプログラムである。
【0046】
また、それらの回想用映画に含まれる個々の映像や映画についての解説や説明(例えば、昔の映画の場合は出演者のプロフィールなど)の入った「司会用台本」を、個々の回想用映画や回想用映像に合わせて制作する。そして、その司会用台本は、回想用映画がDVD他の電子媒体の形態で送付される場合には、紙の「司会用台本」を電子媒体と合わせて送付しても良い。又は、「司会用台本」のデータを閲覧又はダウンロード可能な電子アドレスを、電子媒体と合わせて送付することで、電子媒体を受け取った人が、インターネット経由で閲覧又はダウンロードが出来るようにしても良い。その場合には閲覧又はダウンロード用の専用IDを設定して送付した上で、閲覧又はダウンロードが可能な期間を設定しても良い。
【実施例2】
【0047】
実施例1で実施する映像の編集方法を、自動的に実施できるようにシステム化しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、映画又は映像データの編集に利用することが可能である。
【符号の説明】
【0049】
(1)素材映画の制作年又は公開年
(2)素材映画の名称又はタイトル名
(3)今出現している指定出演者の名前
(4)今流れている指定音楽の名称
(5)著作権切れ映画を用いた事を証明するマーク