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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-138317(P2018-138317A)
(43)【公開日】2018年9月6日
(54)【発明の名称】教示操作端末
(51)【国際特許分類】
   B25J 19/06 20060101AFI20180810BHJP
   G05B 19/18 20060101ALI20180810BHJP
   B25J 9/22 20060101ALI20180810BHJP
【FI】
   B25J19/06
   G05B19/18 X
   B25J9/22 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-33016(P2017-33016)
(22)【出願日】2017年2月24日
(71)【出願人】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】日本電産サンキョー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(72)【発明者】
【氏名】南雲 大輔
【テーマコード(参考)】
3C269
3C707
【Fターム(参考)】
3C269AB33
3C269BB12
3C269PP02
3C269QC10
3C269SA04
3C707BS10
3C707JU02
3C707JU14
3C707MS21
3C707MS28
3C707MS29
(57)【要約】
【課題】ロボットの教示操作に使用される教示操作端末において、教示操作中のロボットに異常が発生したときに、ロボットの教示操作を行う作業者にロボットの異常を速やかに認識させることが可能な教示操作端末を提供する。
【解決手段】ロボットの教示操作に使用される教示操作端末1は、ロボットの教示操作を行う作業者に把持される把持部27aを備えている。この教示操作端末1には、ロボットの異常を知らせる振動モータ31が内蔵されている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットの教示操作に使用される教示操作端末において、
前記ロボットの教示操作を行う作業者に把持される把持部を備えるとともに、前記ロボットの異常を知らせる振動モータが内蔵されていることを特徴とする教示操作端末。
【請求項2】
前記振動モータは、前記把持部に内蔵されていることを特徴とする請求項1記載の教示操作端末。
【請求項3】
前記ロボットの異常を知らせるブザーが内蔵されていることを特徴とする請求項1または2記載の教示操作端末。
【請求項4】
前記ロボットを動作させる操作部材と、前記操作部材による前記ロボットの動作が可能となるサーボオン状態と前記操作部材による前記ロボットの動作ができなくなるサーボオフ状態との切替を行うイネーブルスイッチと、前記ロボットを非常停止させる非常停止スイッチと、前記操作部材、前記イネーブルスイッチおよび前記非常停止スイッチが電気的に接続される第1の回路基板と、前記第1の回路基板と別体で形成されるとともに前記振動モータが実装される第2の回路基板とを備えることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の教示操作端末。
【請求項5】
前記操作部材によって前記ロボットを動作させる際の座標系を切り替える第1のスライドスイッチと、前記操作部材によって動作する前記ロボットの動作箇所および動作方向の少なくともいずれか一方を切り替える第2のスライドスイッチと、前記ロボットの現在位置を記録するための押ボタンとを備え、
前記第1のスライドスイッチ、前記第2のスライドスイッチおよび前記押ボタンは、前記第1の回路基板に電気的に接続されていることを特徴とする請求項4記載の教示操作端末。
【請求項6】
前記第2の回路基板は、前記把持部に内蔵されていることを特徴とする請求項4または5記載の教示操作端末。
【請求項7】
前記ロボットの異常を知らせるブザーが内蔵され、
前記ブザーは、前記第2の回路基板に実装されていることを特徴とする請求項4から6のいずれかに記載の教示操作端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットの教示操作に使用される教示操作端末に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ロボットの教示操作に使用される教示操作端末が知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の教示操作端末は、LCDディスプレイと非常停止スイッチとイネーブルスイッチとを備えている。LCDディスプレイは、教示操作端末の表面中央に配置されている。非常停止スイッチは、LCDディスプレイの斜め上方に配置され、イネーブルスイッチは、教示操作端末の背面に配置されている。LCDディスプレイの左右の両側および下側には、複数のキー(スイッチ)が配置されている。また、イネーブルスイッチの近傍には、教示操作端末を把持するための把持部が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−88241号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された教示操作端末等の場合、一般に、教示操作中のロボットに異常が発生すると、LCDディスプレイ等の表示装置に異常が発生したことが表示され、ロボットの教示操作を行う作業者は、表示装置の表示を見て、教示操作中のロボットに異常が発生したことを認識する。そのため、特許文献1に記載された教示操作端末等では、たとえば、ロボットの教示操作を行う作業者が表示装置から目を離しているときにロボットに異常が発生すると、ロボットの異常を作業者に速やかに認識させることはできない。
【0005】
そこで、本発明の課題は、ロボットの教示操作に使用される教示操作端末において、教示操作中のロボットに異常が発生したときに、ロボットの教示操作を行う作業者にロボットの異常を速やかに認識させることが可能な教示操作端末を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明の教示操作端末は、ロボットの教示操作に使用される教示操作端末において、ロボットの教示操作を行う作業者に把持される把持部を備えるとともに、ロボットの異常を知らせる振動モータが内蔵されていることを特徴とする。
【0007】
本発明の教示操作端末には、ロボットの異常を知らせる振動モータが内蔵されている。そのため、本発明では、教示操作中のロボットに異常が発生したときに、教示操作端末に内蔵された振動モータを振動させて、ロボットの教示操作を行う作業者が把持する把持部を振動させることが可能になる。したがって、本発明では、教示操作中のロボットに異常が発生したときに、ロボットの教示操作を行う作業者にロボットの異常を速やかに認識させることが可能になる。
【0008】
本発明において、振動モータは、把持部に内蔵されていることが好ましい。このように構成すると、教示操作中のロボットに異常が発生したときに、作業者が把持する把持部を振動モータによって直接的に振動させることが可能になる。したがって、教示操作中のロボットに異常が発生したときに、振動モータによって把持部をより大きく振動させたり、より強く振動させたりすることが可能になる。その結果、教示操作中のロボットに異常が発生したときに、作業者にロボットの異常をより速やかに認識させることが可能になる。
【0009】
本発明において、教示操作端末には、ロボットの異常を知らせるブザーが内蔵されていることが好ましい。このように構成すると、教示操作中のロボットに異常が発生したときに、教示操作端末に内蔵されたブザーで警報を発生させることが可能になる。したがって、教示操作中のロボットに異常が発生したときに、作業者にロボットの異常をより速やかに認識させることが可能になる。
【0010】
本発明において、教示操作端末は、ロボットを動作させる操作部材と、操作部材によるロボットの動作が可能となるサーボオン状態と操作部材によるロボットの動作ができなくなるサーボオフ状態との切替を行うイネーブルスイッチと、ロボットを非常停止させる非常停止スイッチと、操作部材、イネーブルスイッチおよび非常停止スイッチが電気的に接続される第1の回路基板と、第1の回路基板と別体で形成されるとともに振動モータが実装される第2の回路基板とを備えていることが好ましい。
【0011】
このように構成すると、操作部材、イネーブルスイッチおよび非常停止スイッチが電気的に接続される第1の回路基板に、振動モータで発生する振動が伝達されにくくなる。したがって、振動モータで発生する振動が操作部材等に及ぼす影響を低減することが可能になる。また、このように構成すると、第1の回路基板と第2の回路基板とが一体で形成されている場合と比較して、教示操作端末の内部に第1の回路基板と第2の回路基板とを配置しやすくなる。
【0012】
本発明において、教示操作端末は、たとえば、操作部材によってロボットを動作させる際の座標系を切り替える第1のスライドスイッチと、操作部材によって動作するロボットの動作箇所および動作方向の少なくともいずれか一方を切り替える第2のスライドスイッチと、ロボットの現在位置を記録するための押ボタンとを備え、第1のスライドスイッチ、第2のスライドスイッチおよび押ボタンは、第1の回路基板に電気的に接続されている。
【0013】
この場合には、第1のスライドスイッチ、第2のスライドスイッチおよび押ボタンが電気的に接続される第1の回路基板に、振動モータで発生する振動が伝達されにくくなる。したがって、振動モータで発生する振動が、第1のスライドスイッチ、第2のスライドスイッチおよび押ボタンに及ぼす影響を低減することが可能になる。
【0014】
本発明において、第2の回路基板は、把持部に内蔵されていることが好ましい。このように構成すると、教示操作中のロボットに異常が発生したときに、作業者が把持する把持部を振動モータによって直接的に振動させることが可能になる。したがって、教示操作中のロボットに異常が発生したときに、振動モータによって把持部をより大きく振動させたり、より強く振動させたりすることが可能になる。その結果、教示操作中のロボットに異常が発生したときに、作業者にロボットの異常をより速やかに認識させることが可能になる。
【0015】
本発明において、教示操作端末には、ロボットの異常を知らせるブザーが内蔵され、ブザーは、第2の回路基板に実装されていることが好ましい。このように構成すると、教示操作中のロボットに異常が発生したときに、教示操作端末に内蔵されたブザーで警報を発生させることが可能になる。したがって、教示操作中のロボットに異常が発生したときに、作業者にロボットの異常をより速やかに認識させることが可能になる。また、このように構成すると、第1の回路基板に、ブザーで発生する振動が伝達されにくくなる。したがって、ブザーで発生する振動が操作部材等に及ぼす影響を低減することが可能になる。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明の教示操作端末では、教示操作中のロボットに異常が発生したときに、ロボットの教示操作を行う作業者にロボットの異常を速やかに認識させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施の形態にかかる教示操作端末が使用されるロボットシステムのブロック図である。
図2図1に示すロボットの斜視図である。
図3図1に示す教示操作端末の斜視図である。
図4図3に示す教示操作端末の側面図である。
図5図3に示す教示操作端末の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0019】
(ロボットシステムの概略構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかる教示操作端末1が使用されるロボットシステム3のブロック図である。図2は、図1に示すロボット2の斜視図である。
【0020】
本形態の教示操作端末1は、ロボット2の教示操作に使用される端末である。この教示操作端末1は、ロボット2を備えるロボットシステム3で使用される。ロボットシステム3は、教示操作端末1およびロボット2に加えて、ロボット2を制御するコントローラ4と、ロボット2の教示操作を行う際に教示操作端末1と一緒に使用されるタブレット端末(タブレットPC)5とを備えている。教示操作端末1、ロボット2およびタブレット端末5は、コントローラ4に電気的に接続されている。
【0021】
ロボット2は、垂直多関節ロボットである。具体的には、ロボット2は、6軸の垂直多関節ロボットである。ロボット2は、図2に示すように、ロボット2の基端部分を構成する支持部材8と、6個の関節部9と、2本のアーム10と、ロボット2の先端部分を構成する先端部材11とを備えている。支持部材8は、ロボット2が設置される床面に固定されている。関節部9は、モータと、モータの出力軸に連結される減速機と、モータおよび減速機が収容されるケース体とを備えている。アーム10は、細長い円筒状に形成されている。
【0022】
ロボット2では、たとえば、図2(A)に示す正対姿勢から図2(B)に示す姿勢へのロボット2の動作が可能となるように、6個の関節部9と2本のアーム10とが連結されている。ロボット2の最も基端側に配置される関節部9は、支持部材8に回動可能に連結されており、この関節部9は、上下方向を回動の軸方向として回動可能となっている。先端部材11は、ロボット2の最も先端側に配置される関節部9に回動可能に連結されている。先端部材11には、所定のエンドエフェクタ(図示省略)が取付可能となっている。このエンドエフェクタは、たとえば、所定の搬送対象物を把持する把持機構や、所定の加工対象物を加工する加工工具である。
【0023】
タブレット端末5は、液晶ディスプレイ等の表示装置14と、タッチパネルまたはキーボード等の入力装置15とを備えている。このタブレット端末5は、たとえば、LANケーブルを介してコントローラ4に接続されている。タブレット端末5には、ロボット2の教示用のソフトウエアがインストールされており、タブレット端末5は、上述のように、ロボット2の教示操作を行う際に教示操作端末1と一緒に使用される。ロボット2の教示操作の設定や教示操作の設定の変更等は、タブレット端末5で行われる。
【0024】
本形態の教示操作端末1は、ロボット2の教示操作を行う作業者が片手で把持することが可能となっており、作業者は、たとえば、所定の台の上に載置されたタブレット端末5を一方の手で操作しながら、他方の手で教示操作端末1を把持して操作する。本形態では、教示操作端末1とタブレット端末5とによって、教示操作システム16が構成されている。
【0025】
(教示操作端末の構成)
図3は、図1に示す教示操作端末1の斜視図である。図4は、図3に示す教示操作端末1の側面図である。図5は、図3に示す教示操作端末1の断面図である。
【0026】
教示操作端末1は、ロボット2を動作させる操作部材20と、操作部材20によるロボット2の動作が可能となるサーボオン状態と操作部材20によるロボット2の動作ができなくなるサーボオフ状態との切替を行うイネーブルスイッチ21と、ロボット2を非常停止させる非常停止スイッチ22とを備えている。また、教示操作端末1は、ロボット2の状態および教示操作端末1の状態を知らせるための複数の発光部23を備えている。本形態の教示操作端末1は、3個の発光部23を備えている。
【0027】
また、教示操作端末1は、操作部材20によってロボット2を動作させる際の座標系を切り替える第1のスライドスイッチとしてのスライドスイッチ24と、操作部材20によって動作するロボット2の動作箇所および動作方向の少なくともいずれか一方を切り替える第2のスライドスイッチとしてのスライドスイッチ25と、ロボット2の現在位置を記録するための押ボタン26とを備えている。
【0028】
さらに、教示操作端末1は、ロボット2の異常を知らせるブザー30および振動モータ31と、2枚の回路基板32、33とを備えている。ブザー30、振動モータ31および回路基板32、33は、教示操作端末1の筐体27に収容されている。すなわち、ブザー30、振動モータ31および回路基板32、33は、教示操作端末1に内蔵されている。本形態の回路基板32は、第1の回路基板であり、回路基板33は、第2の回路基板である。
【0029】
操作部材20、非常停止スイッチ22、スライドスイッチ24、25および押ボタン26は、教示操作端末1の表側に配置されている。すなわち、操作部材20、非常停止スイッチ22、スライドスイッチ24、25および押ボタン26は、筐体27の表側に配置されている。具体的には、ロボット2の教示操作を行う作業者によって操作される操作部材20の操作部20a、非常停止スイッチ22の操作部22a、スライドスイッチ24の操作部24a、スライドスイッチ25の操作部25aおよび押ボタン26の操作部26aが筐体27の表側に配置されている。
【0030】
また、発光部23も、筐体27の表側に配置されている。具体的には、筐体27の表側から発光部23の光が見えるように発光部23が配置されている。一方、イネーブルスイッチ21は、教示操作端末1の裏側に配置されている。すなわち、イネーブルスイッチ21は、筐体27の裏側に配置されている。具体的には、ロボット2の教示操作を行う作業者によって操作されるイネーブルスイッチ21の操作部21aが筐体27の裏側に配置されている。
【0031】
筐体27の基端部分は、ロボット2の教示操作を行う作業者に把持される把持部27aとなっている。把持部27aは、作業者の片手で把持される。具体的には、把持部27aは、作業者の中指、薬指および小指と、手のひらとによって把持される。あるいは、把持部27aは、作業者の薬指および小指と、手のひらとによって把持される。筐体27の先端部分は、操作部材20および非常停止スイッチ22等が配置されるスイッチ配置部27bとなっている。筐体27は、把持部27aとスイッチ配置部27bとによって構成されている。コントローラ4に接続される教示操作端末1のケーブル(図示省略)は、筐体27の基端から引き出されている。
【0032】
以下の説明では、教示操作端末1の表側(図4等のZ1方向側)を「上」側とし、その反対側(教示操作端末1の裏側、図4等のZ2方向側)を「下」側とし、上下方向に直交する教示操作端末1の基端側(図4等のX1方向側)を「後ろ」側とし、その反対側(教示操作端末1の先端側、図4等のX2方向側)を「前」側とする。また、上下方向と左右方向とに直交する図4等のY方向を「左右方向」とする。
【0033】
スイッチ配置部27bは、把持部27aの前上端部から斜め下前方に向かって突出している。スイッチ配置部27bの前端側に形成されるスイッチ配置部27bの底面(最下面)27cは、上下方向に直交する平面となっている。把持部27aの後端側に形成される把持部27aの底面(最下面)27dは、上下方向に直交する平面となっている。底面27cと底面27dとは、同一平面上に配置されている。
【0034】
把持部27aの上面27eは、凸曲面状に形成され、把持部27aの、底面27dを除いた部分の下面27fは、凹曲面状に形成されている。具体的には、上面27eは、左右方向から見たときの形状が円弧状となる凸曲面状に形成され、下面27fは、左右方向から見たときの形状が円弧状となる凹曲面状に形成されている。上面27eの曲率半径と下面27fの曲率半径とは等しくなっている。
【0035】
操作部材20は、ジョイスティックである。ジョイスティックである操作部材20の本体部20bは、図5に示すように、回路基板32の上面に実装されている。操作部材20の操作部20aは、把持部27aよりも前側に配置されている。また、操作部20aは、スイッチ配置部27bの左右方向の中心位置に配置されている。ジョイスティックである操作部材20の軸線Lは、左右方向に直交している。また、軸線Lは、下側に向かうにしたがって後ろ側に向かうように傾斜している。操作部材20は、作業者の親指によって操作される。具体的には、操作部20aが作業者の親指によって操作される。
【0036】
本形態の操作部材20は、操作部材20によってロボット2をアナログ操作するモード(アナログ操作モード)と、操作部材20によってロボット2をコマ送り操作(デジタル操作)するモード(デジタル操作モード)とに操作部材20の操作モードを切り替える機能も果たしている。操作部材20が軸線Lの方向に押されると、アナログ操作モードからデジタル操作モードに、あるいは、デジタル操作モードからアナログ操作モードに操作部材20の操作モードが切り替わる。
【0037】
イネーブルスイッチ21の操作部21aは、把持部27aの前下端部から斜め下前方に向かって突出している。操作部21aは、筺体27の左右方向の中心位置に配置されている。操作部21aの下端は、底面27c、27dよりも上側に配置されている。イネーブルスイッチ21は、斜め上後ろ側に向かって操作部21aが押されるように配置されている。図4に示すように、操作部21aは、操作部材20の軸線L上に配置されている。イネーブルスイッチ21の押込み方向(すなわち、操作部21aの押込み方向、図4の矢印Vで示す方向)と軸線Lとがなす角度θは、60°以上90°以下となっている。本形態では、角度θは、略75°となっている。
【0038】
イネーブルスイッチ21は、作業者の人差し指(または中指)によって操作される。イネーブルスイッチ21が押されていないとき(すなわち、操作部21aが押されていないとき)には、サーボオフ状態となっており、操作部21aが押込み方向Vに押されると、サーボオン状態に切り替わる。また、操作部21aが押込み方向Vに強く押し込まれると、サーボオン状態からサーボオフ状態に切り替わる。すなわち、イネーブルスイッチ21は、3ポジションイネーブルスイッチである。
【0039】
非常停止スイッチ22の操作部22aは、操作部材20の操作部20aよりも前側に配置されている。また、操作部22aは、スイッチ配置部27bの左右方向の中心位置に配置されている。非常停止スイッチ22は、斜め下後ろ側に向かって操作部22aが押されるように配置されている。
【0040】
スライドスイッチ24は、3接点のスライドスイッチである。スライドスイッチ24のスイッチ本体24bは、図5に示すように、回路基板32の上面に実装されている。スライドスイッチ24は、操作部材20によってロボット2を動作させる際の座標系を第1座標系と第2座標系と第3座標系との3つの座標系のいずれかに切り替える機能を果たしている。
【0041】
第1座標系は、ロボット2を構成する6個の関節部9のモータの回転座標を用いて、先端部材11の位置を表す座標系である。第2座標系は、鉛直方向の座標(z座標)と、鉛直方向に直交するx方向の座標(x座標)と、鉛直方向とx方向とに直交するy方向の座標(y座標)と、最も先端側に配置される関節部9のモータの回転座標と、先端側から2番目に配置される関節部9のモータの回転座標と、最も基端側に配置される関節部9のモータの回転座標とを用いて先端部材11の位置を表す座標系である。第3座標系は、第2座標と同じ6個の座標を用いて、先端部材11に取り付けられるエンドエフェクタの位置を表す座標系である。
【0042】
スライドスイッチ25は、スライドスイッチ24と同様の3接点のスライドスイッチであり、スライドスイッチ25のスイッチ本体(図示省略)は、回路基板32の上面に実装されている。スライドスイッチ25は、上述のように、操作部材20によって動作するロボット2の動作箇所および動作方向の少なくともいずれか一方を切り替える機能を果たしている。
【0043】
具体的には、ロボット2の座標系が第1座標系に設定されている場合、スライドスイッチ25は、最も基端側に配置される関節部9のモータと基端側から2番目に配置される関節部9のモータとを操作部材20によって回転させる第1モードと、基端側から3番目に配置される関節部9のモータと基端側から4番目に配置される関節部9のモータとを操作部材20によって回転させる第2モードと、基端側から5番目に配置される関節部9のモータと最も先端側に配置される関節部9のモータとを操作部材20によって回転させる第3モードとのいずれかのモードに切り替える。
【0044】
また、ロボット2の座標系が第2座標系に設定されている場合には、スライドスイッチ25は、操作部材20によってx方向とy方向とに先端部材11を動作させる第1モードと、操作部材20によってz方向に先端部材11を動作させるとともに先端側から2番目に配置される関節部9のモータを回転させる第2モードと、最も先端側に配置される関節部9のモータと最も基端側に配置される関節部9のモータとを操作部材20によって回転させる第3モードとのいずれかのモードに切り替える。
【0045】
また、ロボット2の座標系が第3座標系に設定されている場合には、スライドスイッチ25は、操作部材20によってx方向とy方向とにエンドエフェクタを動作させる第1モードと、操作部材20によってz方向にエンドエフェクタを動作させるとともに先端側から2番目に配置される関節部9のモータを回転させる第2モードと、最も先端側に配置される関節部9のモータと最も基端側に配置される関節部9のモータとを操作部材20によって回転させる第3モードとのいずれかのモードに切り替える。
【0046】
押ボタン26のボタン本体26bは、図5に示すように、回路基板32の上面に実装されている。押ボタン26は、上述のように、ロボット2の現在位置を記録する(教示する)機能を果たしており、押ボタン26の操作部26aが押されると、ロボット2の現在位置が記録される。
【0047】
押ボタン26の操作部26aは、左右方向において、スライドスイッチ24の操作部24aとスライドスイッチ25の操作部25aとの間に挟まれた状態で配置されている。スライドスイッチ24の操作部24a、スライドスイッチ25の操作部25aおよび押ボタン26の操作部26aは、スイッチ配置部27bに配置されている。操作部26aは、スイッチ配置部27bの左右方向の中心位置に配置されている。また、操作部24a、操作部25aおよび操作部26aは、操作部材20の操作部20aと把持部27aとの間に配置されている。
【0048】
発光部23は、図5に示すように、光源23aと導光部材23bとを備えている。光源23aは、LED(発光ダイオード)であり、回路基板32の上面に実装されている。導光部材23bは、光源23aの上側に配置されており、光源23aから射出された光を筐体27の表側に導く機能を果たしている。
【0049】
3個の発光部23のうちの1個の発光部23は、所定の色で点灯したり、点滅したりすること等によって、サーボオン状態であるのかそれともサーボオフ状態であるのかを表示したり、ロボット2が規定の範囲外まで動作するオーバーランが発生していることを表示したり、所定のエラーが発生していることを表示したりする。残りの2個の発光部23のうちの1個の発光部23は、所定の色で点灯したり、点滅したりすること等によって、操作部材20の操作モードがアナログ操作モードであるのかそれともデジタル操作モードであるのかを表示したり、スライドスイッチ24、25のスライド位置が不明であることを表示したりする。残りの1個の発光部23は、所定の色で点灯すること等によって、教示操作端末1の電源のオンオフ状態を表示する。
【0050】
3個の発光部23は、左右方向で隣り合うように配置されている。また、3個の発光部23は、スイッチ配置部27bに配置されている。3個の発光部23のうちの左右方向の中心に配置される発光部23は、スイッチ配置部27bの左右方向の中心位置に配置されている。また、3個の発光部23は、操作部材20の操作部20aと非常停止スイッチ22の操作部22aとの間に配置されている。すなわち、3個の発光部23は、操作部材20の操作部20aよりも前側に配置されている。
【0051】
ブザー30および振動モータ31は、上述のように、ロボット2の異常を知らせる機能を果たしている。ブザー30は、たとえば、ロボット2の教示操作を行っているときに所定のエラーが発生すると警報を発生させる。振動モータ31は、たとえば、ロボット2が規定の範囲外まで動作するオーバーランが発生すると振動する。また、振動モータ31は、たとえば、ロボット2の周辺に配置される他の構成部材にロボット2が接触すると振動する。
【0052】
なお、ブザー30は、押ボタン26の操作部26aが押されたときにも鳴る。すなわち、ブザー30は、ロボット2の現在位置が記録されたときにも鳴る。また、ロボット2に生じた異常の種類や程度に応じて、ブザー30が発生させる警報の大きさを変えても良いし、振動モータ31の振動の大きさや強さを変えても良い。
【0053】
回路基板32および回路基板33は、ガラスエポキシ基板等のリジッド基板であり、たとえば、矩形の平板状に形成されている。回路基板32と回路基板33とは別体で形成されている。回路基板32の外形は、回路基板33の外形よりも大きくなっている。上述のように、回路基板32には、操作部材20の本体部20bと、発光部23の光源23aと、スライドスイッチ24のスイッチ本体24bと、スライドスイッチ25のスイッチ本体と、押ボタン26のボタン本体26bとが実装されており、回路基板32には、操作部材20と発光部23とスライドスイッチ24、25と押ボタン26とが電気的に接続されている。
【0054】
また、回路基板32には、イネーブルスイッチ21が図示を省略するケーブルを介して電気的に接続されるとともに、非常停止スイッチ22が図示を省略するケーブルを介して電気的に接続されている。回路基板33には、ブザー30と振動モータ31とが実装されている。具体的には、回路基板33の下面に、ブザー30と振動モータ31とが実装されている。本形態では、振動モータ31は、ブザー30よりも前側に配置されている。
【0055】
回路基板32は、筺体27の内部に固定されている。この回路基板32は、筺体27の内部の上端側に配置されている。すなわち、回路基板32は、教示操作端末1の表面側に配置されている。また、回路基板32の後端部分は、把持部27aの内部に配置され、回路基板32の、後端部分を除いた大半部分は、スイッチ配置部27bの内部に配置されている。平板状に形成される回路基板32は、左右方向と平行になるように配置されている。左右方向から見ると、回路基板32は、前側に向かうにしたがって下側へ向かうように傾斜している。
【0056】
回路基板33は、筺体27の内部に固定されている。この回路基板33は、筐体27の内部の下端側に配置されている。すなわち、回路基板33は、教示操作端末1の裏面側に配置されている。また、回路基板33は、把持部27aの内部に配置されている。すなわち、回路基板33は、把持部27aに内蔵されている。具体的には、回路基板33は、教示操作端末1の裏面側で把持部27aに内蔵されている。また、回路基板33が把持部27aに内蔵されているため、回路基板33に実装されるブザー30および振動モータ31も把持部27aに内蔵されている。平板状に形成される回路基板33は、左右方向と平行になるように配置されている。左右方向から見ると、回路基板33は、前側に向かうにしたがって下側へ向かうように傾斜している。回路基板32と回路基板33とは、略平行に配置されている。
【0057】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、ロボット2の異常を知らせる振動モータ31が教示操作端末1に内蔵されている。そのため、本形態では、教示操作中のロボット2に異常が発生したときに教示操作端末1に内蔵された振動モータ31を振動させて、ロボット2の教示操作を行う作業者が把持する把持部27aを振動させることが可能になる。したがって、本形態では、教示操作中のロボット2に異常が発生したときに、ロボット2の教示操作を行う作業者にロボット2の異常を速やかに認識させることが可能になる。
【0058】
特に本形態では、振動モータ31が把持部27aに内蔵されているため、教示操作中のロボット2に異常が発生したときに、作業者が把持する把持部27aを振動モータ31によって直接的に振動させることができる。したがって、本形態では、教示操作中のロボット2に異常が発生したときに、振動モータ31によって把持部27aをより大きく振動させたり、より強く振動させたりすることが可能になる。その結果、本形態では、教示操作中のロボット2に異常が発生したときに、作業者にロボット2の異常をより速やかに認識させることが可能になる。
【0059】
また、本形態では、ロボット2の異常を知らせるブザー30が教示操作端末1に内蔵されているため、教示操作中のロボット2に異常が発生したときに、教示操作端末1に内蔵されたブザー30で警報を発生させることができる。したがって、本形態では、教示操作中のロボット2に異常が発生したときに、作業者にロボット2の異常をより速やかに認識させることが可能になる。
【0060】
本形態では、操作部材20とイネーブルスイッチ21と非常停止スイッチ22と発光部23とスライドスイッチ24、25と押ボタン26とが電気的に接続される回路基板32と、ブザー30および振動モータ31が実装される回路基板33とが別体で形成されている。そのため、本形態では、ブザー30や振動モータ31で発生する振動が回路基板32に伝達されにくくなり、その結果、ブザー30や振動モータ31で発生する振動が、操作部材20、イネーブルスイッチ21、非常停止スイッチ22、発光部23、スライドスイッチ24、25および押ボタン26に伝達されにくくなる。したがって、本形態では、ブザー30や振動モータ31で発生する振動が、操作部材20、発光部23、スライドスイッチ24、25および押ボタン26に及ぼす影響を低減することが可能になる。
【0061】
また、本形態では、回路基板32と回路基板33とが別体で形成されているため、回路基板32と回路基板33とが一体で形成されている場合と比較して、筐体27の内部に回路基板32、33を配置しやすくなる。したがって、本形態では、筐体27を小型化することが可能になる。
【0062】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0063】
上述した形態において、回路基板33は、スイッチ配置部27bに内蔵されていても良い。すなわち、ブザー30および振動モータ31は、スイッチ配置部27bに内蔵されていても良い。また、ブザー30および振動モータ31のいずれか一方がスイッチ配置部27bに内蔵されていても良い。また、上述した形態において、ブザー30および振動モータ31のいずれか一方、または、両方が回路基板32に実装されていても良い。
【0064】
上述した形態において、教示操作端末1は、ブザー30を備えていなくても良い。また、上述した形態において、操作部材20は、十字キーであっても良い。さらに、上述した形態において、ロボット2は、6軸以外の垂直多関節ロボットであっても良いし、水平多関節ロボットであっても良い。また、ロボット2は、垂直多関節ロボットおよび水平多関節ロボット以外のロボットであっても良い。
【0065】
上述した形態において、略U形状(コの字状)に形成されるとともに教示操作端末1と同様の機能を備える教示操作端末と、この教示操作端末に嵌め込まれたタブレット端末5とによって、ロボット2の教示操作が行われても良い。また、上述した形態において、教示操作端末1は、液晶ディスプレイ等の表示装置とタッチパネル等の入力装置とを備えていても良い。この場合には、教示操作端末1は、作業者の両手で把持されても良い。また、この場合には、タブレット端末5が不要になる。
【符号の説明】
【0066】
1 教示操作端末
2 ロボット
20 操作部材
21 イネーブルスイッチ
22 非常停止スイッチ
24 スライドスイッチ(第1のスライドスイッチ)
25 スライドスイッチ(第2のスライドスイッチ)
26 押ボタン
27a 把持部
30 ブザー
31 振動モータ
32 回路基板(第1の回路基板)
33 回路基板(第2の回路基板)
図1
図2
図3
図4
図5