【実施例】
【0071】
実施例および比較例
以下の実施例により本開示を詳細に説明する。それら実施例において、MMAEおよびAFはConcortis Biotherapeuticsから購入したものである。上記化合物の構造は当業者には周知であるため、簡潔とするためにここには記載しない
【0072】
リンカー−薬物に用いる略称およびそれらの対応する化学構造を表1に列挙する。
【0073】
【表1】
【0074】
実施例1:リンカー−薬物1の作製
ステップ1:化合物1aの合成
下記スキームに示される手順に従ってリンカー−薬物 1を合成した。
【0075】
化合物1aの合成は、特許文献である米国特許第9086416B2号に記載されているとおりに行った。3,4−ジアミノ安息香酸(1.52g、10mmol)およびジ−tert−ブトキシジカルボネート(di-tert-butoxy dicarbonate,(t−Boc)
2O)(6.55g、30mmol)とトリエチルアミン(NEt
3)(7.0mL、60mmol)をCH
2Cl
2(200mL)中で室温(25℃)にて終夜(24時間)撹拌した。得られた溶液を水で抽出し、Na
2SO
4で乾燥させて、茶色の粉末として化合物1a(N−Boc−3,4−ジアミノ安息香酸)を得た(1.37g、収率54%)。
【0076】
化合物1aの化学式はC
17H
24N
2O
6である。
1H NMR(500MHz,CDCl
3)δ8.04(s,1H,ArH),7.91−7.89(dd,2H,ArH),7.23(s,1H),6.60(brs,2H,NH),1.54(s,18H,CH3)。M/Z(ES+):354.0(M+H)
+,376.0(M+Na)。
【0077】
ステップ2:化合物1bの合成
DCM(6mL)中の化合物1a(60mg、0.17mmole)およびペンタフルオロフェノール(38mg、0.20mmol)の混合溶液にDCC(42mg、0.20mmole)を加えた。その混合物を室温で12時間撹拌し、その沈殿物をろ過し、真空下で濃縮した。カラムをn−ヘキサン/EtOAc(4:1)で溶出した。目的の化合物を含有する画分を収集し、減圧下で濃縮して、化合物1bを生成した(76mg、0.14mmole、収率80%)。
【0078】
化合物1bの化学式はC
23H
23F
5N
2O
6である。
1H−NMR(500MHz;CDCl
3)d:8.12(s;1H);7.97(s;2H),7.25(s;1H),1.5(s,18H),MS(ESI,negative ion):M/Z:517.9(M
−)。
【0079】
ステップ3:化合物1cの合成
DCM(1mL)およびDMF(2mL)中の化合物1b(11.6mg、0.22mmole)の溶液に、L1(55mg、0.33mmole)、DIPEA(47.4mg、0.55mmole)を加えた。室温下で1時間反応させた。溶媒を除去した後、化合物1cを分取HPLCにより精製した(50%CH
3CN/H
2O+0.1%TFA、UV210nm、Inertsil ODS−3カラム30×250mm、流量32mL/min、化合物1c RT、14.6min)。化合物1cを白色の固体として得た(48mg、収率57%)。
【0080】
化合物1cの化学式はC
27H
44N
3O
11である。ESI−HIMS(positive ion),M/Z:586.2972,[M+H]
+ for C
27H
44N
3O
11,err:−0.3ppm。
【0081】
ステップ4:化合物1dの合成
4mL共溶媒DCM/DMF(1:1)中の化合物1c(28mg、0.04mmole)および2mL DMF中のMMAE(60mg、0.07mmole)の溶液に、TBTU(44mg)およびDIPEA(36mg)を加えた。4時間後に反応が完了した。減圧下で溶媒を除去した。Inertsil ODS−3 カラム30×250mm、流量32mL/min、化合物1d RT、17min。化合物1dを白色の固体として得た(42mg、収率70%)。
【0082】
化合物1dの化学式はC
66H
108N
8O
17である。(ESI,positive ion):M/Z:1286.9,(M+1);1308.8(M+Na)。
【0083】
ステップ5: リンカー−薬物1の合成
2mL DCM中の化合物1d(62mg、0.048mmole)の溶液に25〜27℃でトリフルオロ酢酸1mL(11.5mmole)を滴下して加えた。水浴を取り除き、4時間撹拌を続けた。減圧下で溶媒を除去し、残留物に5mLメタノールを加え、5分攪拌してから、溶媒を除去した。最小量のDIW(1.5mL)を加え、凍結乾燥して、TFA塩としての粗生成物化合物1d−deBocを得た(49mg)。
【0084】
次いで、DCM(1.5mL)溶液中のTFA塩(49mg、0.048mmole)の溶液に、0〜5℃で撹拌しながら、トリメチルアミン(45μL、0.613mmole)、次いでDCM(0.3mL)中のクロロアセチルクロリド(43mg、0.377mmole)の溶液を加えた。撹拌後、トリメチルアミンの第2の部分(45μl、0.613mmole)を加えた。2時間後に冷却浴を取り除き、撹拌を15時間続けた。HPLCにより反応が完了したかをチェックすると共に、その混合物を蒸発させ乾燥させた。精製をRP−HPLCにより行った(残留物は3mL M.P.溶媒で希釈、Inertsil ODS−3カラム30×250mm、10μm、流量31mL/min、M.P.43%から55%(グラジエント)AcN/H
2O+0.1%TFA、UV220nm)。生成物を含有した画分(Rt 16.1min)を凍結乾燥して化合物1、つまりリンカー−薬物1を得た(43mg、68.3%収率)。
【0085】
リンカー−薬物1の化学式はC
80H
94Cl
2N
8O
5である。(ESI,positive ion):M/Z:[M+H]
+=1238.7,[M+Na]+=1260.7。
【0086】
実施例2:リンカー−薬物2の作製
下記スキームに示される手順に従ってリンカー−薬物2を合成した。
【0087】
ステップ1〜4:化合物2a、2b、2c、2dの合成
実施例1に記載したステップ1〜4と同じ合成法により化合物2a、2b、2c、および2dを合成した。
【0088】
ステップ5:リンカー−薬物2の合成
1mL DCM中の化合物2d(40mg、0.031mmole)の溶液に、20〜23℃の水浴で、トリフルオロ酢酸(0.8mL、9.12mmole)を滴下して加えた。水浴を取り除き、撹拌を2時間続けた。減圧下で溶媒を除去し、残留物に2mLメタノールを加え、5分攪拌してから、溶媒を除去した。最小量のDIW(2mL)を加え、凍結乾燥し、TFA塩として粗生成物化合物2d−deBocを得た(27mg)。
【0089】
次いで、DCM(1mL)溶液中のTFA塩(27mg、0.031mmole)の溶液に、0〜5℃で撹拌しながら、DCM(0.3mL)中のトリメチルアミン(20μL、0.136mmole)、次いでDCM(0.3mL)中のブロモアセチルブロミド(42mg、0.208mmole)の溶液を加えた。2時間後に冷却浴を取り除き、15時間撹拌を続けた。HPLCにより反応が完了したかをチェックすると共に、その混合物を蒸発させ乾燥させた。精製をRP−HPLCにより行い(残留物は4mL M.P.溶媒で希釈、Inertsil ODS−3カラム30×250mm、10μm、流量31mL/min、M.P.43%から62%(グラジエント)AcN/H
2O+0.1%TFA、UV220nm)、生成物を含有した画分(Rt 17〜19min)を凍結乾燥して、化合物2、つまりリンカー−薬物2を得た(2.6mg、収率6.8%)。
【0090】
リンカー−薬物2の化学式はC
60H
84Br
2N
8O
15である。(ESI,positive ion):M/Z:[M+H]
+=1326.8。
【0091】
実施例3:リンカー−薬物3の作製
下記スキームに示される手順に従ってリンカー−薬物3を合成した。
【0092】
ステップ1:化合物3a(N−Boc−3,6−ジオキサオクタン−1,8−ジアミン)の合成
文献に記載されている方法(Bioorganic)に従って化合物DAB−2を作製した。CH
2Cl
2(10mL)中の二炭酸ジ−tert−ブチル((Boc)
2O)(0.7g、3.21mmol)の溶液を、tris(エチレングリコール)−1,8−ジアミン(5.0g,278mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(10mL、57mmol)の混合物に、室温で2時間にわたって滴下して加えた。その反応混合物を6時間撹拌し、その後、真空下で濃縮した。フラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製を行い(CH
2Cl
2/CH
3OH、10/1、v/v)、N−Boc−3,6−ジオキサオクタン−1,8−ジアミンを得た(0.6g、75.6%)。1H NMR(500MHz,CDCl
3):δ3.61(s,4H),3.55−3.53(t,2H),3.52−3.49(t,2H),3.31−3.30(t,2H),2.88−2.85(t,2H),1.43(s,9H)。
【0093】
ステップ2:化合物3b(Boc−PEG−AF)の合成
DCM(2mL)およびDMF(2mL)中のアウリスタチンF(200mg、0.23mmole)の溶液に、化合物3a(75mg、0.30mmole)、DIPEA(180mg、1.39mmole)、TBTU(220mg、0.68mmole)を加えた。室温で1時間24時間反応させた。溶媒を除去した後、化合物3bを分取HPLCにより精製した(Inertsil ODS−3 カラム30×250mm、移動相43%AcN/H
2O+0.1%TFA、流量32mL/min、Boc−PEG−AF RT 9.3min)。上掲の化合物3bを白色の固体として得た(203mg、89%)。ESI,positive ion:M/Z:977.5(M+1);993.2(M+Na)。
【0094】
ステップ3:化合物3cの合成
DCM(4mL)中の化合物3b(203mg、0.21mmol)の溶液に、TFA(2mL)を加えた。その反応混合物を室温で1時間撹拌し、その後、真空下で溶媒を除去した。その粗生成物を、さらなる精製をせずに用いた。ESI,positive ion:M/Z:877.4(M+1);899.4(M+Na)。
【0095】
ステップ4:化合物3の合成
4mL共溶媒DCM/DMF(1:1)中の化合物3c(180mg、0.20mmole)および2mL DMF中の化合物3,4−bis(2−クロロアセトアミド)安息香酸(62mg、0.20mmole)の溶液に、TBTU(191mg)およびDIPEA(154mg)を加えた。4時間後に反応が完了した。減圧下で溶媒を除去した。RP−HPLCにより精製し(Inertsil ODS−3 カラム30×250mm、流量32mL/min、化合物3 RT 17min)、上掲の化合物3、つまりリンカー−薬物3を白色の固体として得た(167mg、70%)。
【0096】
リンカー−薬物3の化学式はC
57H
89Cl
2N
9O
12である。ESI,positive ion:M/Z:1163.5(M+1);1185.3(M+Na)。ESI−HIMS,positive ion:M/Z:1162.6082,[M+H]+for C
57H
90C
l2N
9O
12,err:−0.1ppm。
【0097】
実施例4:リンカー−薬物4の作製
下記スキームに示される手順に従ってリンカー−薬物4を合成した。
【0098】
ステップ1〜3:化合物4a、4b、4cの合成
実施例3に記載したステップ1〜3と同じ合成法により化合物4a、4bおよび4cを合成した。
【0099】
ステップ4:リンカー−薬物4の合成
4mL DCM中の化合物4b(90mg、0.074mmole)の溶液に、20〜23℃の水浴中で、トリフルオロ酢酸(2mL、10.4mmole)を滴下して加えた。水浴を取り除き、撹拌を2時間続けた。減圧下でその溶媒を除去し、その残留物に2mLメタノールを加え、5分間攪拌してから、溶媒を除去した。最小量のDIW(2mL)を加え、凍結乾燥し、TFA塩として化合物4cの粗生成物を得た(90mg)。
【0100】
DCM(1.5mL)溶液中のTFA塩(90mg、0.074mmole)の溶液に、0〜5℃で撹拌しながら、トリメチルアミン(26μL、0.18mmole)、次いでDCM(0.3mL)中のブロモアセチルブロミド(64mg、0.31mmole)の溶液を加えた。5分撹拌した後、トリメチルアミンの第2の部分(52μL、0.36mmole)を加えた。2時間後に冷却浴を取り除き、15時間撹拌を続けた。HPLCにより反応が完了したかをチェックし、その混合物を蒸発させ乾燥させた。RP−HPLCにより精製を行い(残留物は3mL M.P.溶媒で希釈、Inertsil ODS−3 カラム30×250mm、10um、流量31mL/min、M.P.43%AcN/H
2O+0.1%TFA、UV220nm)、生成物を含有した画分(Rt=7.66min)を凍結乾燥して、化合物4、つまりリンカー−薬物4を得た(85mg、収率92%)。
【0101】
リンカー−薬物4の化学式はC
57H
89Br
2N
9O
12である。(ESI,positive ion):M/Z:M+H=1251.6。
【0102】
実施例5:リンカー−薬物5の作製
下記スキームに示される手順に従ってリンカー−薬物5を合成した。
【0103】
ステップ1:化合物5aの合成
化合物5aは、ジ−tert−ブチル(イミノジエタン−2,1−ジイル)ビスカルバメート(di-tert-butyl(iminodiethane-2,1-diyl) biscarbamate ,DETA−3)と称されることもある。文献に記載されている方法(Org. Lett. 2000, 2, 2117-2120)により化合物5aを作製した。
【0104】
先ず、下記の方法によりDETA−2を合成した。ジエチレントリアミン(0.82g、6.2mmol)およびトリエチルアミン(2.6mL、8.6mmol、3eq.)をテトラヒドロフラン(40mL)中に溶解し、氷浴中で冷却した。次いで、テトラヒドロフラン(20mL)中のBoc
2O(3.1g、12.4mmol、2eq.)の溶液を2.5時間かけて滴下して加えた。その反応混合物を、一晩かけて周囲温度に到達させる前に、0℃でさらに1時間撹拌した。次いで、その反応混合物を真空下で濃縮した。その残留物をジクロロメタン中に溶解し、1M aq.NaOHで洗浄した。Na
2SO
4により有機相を乾燥し、真空下で濃縮した。その粗物質をフラッシュクロマトグラフィーで精製し、ジ−tert−ブチル(イミノジエタン−2,−ジイル)ビスカルバメート(DETA−2、M/Z(ES−)、302.9(M−H)−.)およびDETA−2−1(M/Z(ES−)、403.0(M−H)−.)の混合物を黄色の粘性油として得た。DCM(20mL)中の化合物DETA−2およびDETA−2−1(0.86g)の溶液に、無水コハク酸(0.3g、3mmol)を加えた。その反応混合物を室温で16時間撹拌した。真空下で溶媒を除去し、その残留物をカラムクロマトグラフィーにより精製して(シリカゲル、DCM/MeOH 20/1)、白色の固体を得た(0.43g)。1H NMR(500MHz,CDCl
3)δ5.21(br,1H),4.98(br,1H),3.32(br,6H),3.24(bs,6H),1.45(s,9H,CH
3),1.46(s,9H,CH
3),1.42(s,9H,CH
3);M/Z(ES+),404.9(M+H),426.7(M+Na)。
【0105】
次いで、DCM(20mL)中の化合物DETA−2(0.86g、2.84mmol)の溶液に無水コハク酸(0.3g、3mmol)を加えた。その反応混合物を室温で16時間撹拌した。真空下で溶媒を除去し、その残留物をカラムクロマトグラフィーにより精製し(シリカゲル、DCM/MeOH 20/1)、化合物5aを白色の固体として得た(0.43g)。1H NMR(500MHz,CDCl
3)δ 5.21(br,1H),4.98(br,1H),3.68−3.71(m,4H),3.46−3.48(m,4H),2.62−2.69(m,4H),1.45(s,18H,CH
3)MS:(ESI
+)M/Z,404.9(M+H)
+.426.2(M+Na)。
【0106】
ステップ2:化合物5bの合成
DCM(6mL)中の化合物5a(170mg、0.42mmole)およびペンタフルオロフェノール(93mg、0.50mmol)の混合溶液にDCC(104mg、0.50mmole)を加えた。その混合物を室温で12時間撹拌し、その沈殿物をろ過し、真空下で濃縮した。カラムをn−ヘキサン/EtOAc(4:1)で溶出した。目的の化合物を含有する画分を収集し、減圧下で濃縮して、化合物5bを生成した(168mg、0.29mmole、収率70%)。MS(ESI,negative ion):M/Z:570.9(M+1)
+,592.8(M+Na)+。
【0107】
ステップ3:化合物5cの合成
DCM(2mL)およびDMF(2mL)中の化合物5b(168mg、0.29mmole)の溶液に、CJ35−5(111mg、0.43mmole)、DIPEA(95mg、0.50mmole)を加えた。室温で2時間反応させた。溶媒を除去した後、化合物5cを分取HPLCにより精製した(50%CH
3CN/H
2O+0.1%TFA、UV220nm、Inertsil ODS−3 カラム30×250mm、流量31mL/min、化合物5c、RT6.9min)。上掲の化合物5cを白色の固体として得た(125mg、67%)。MS(ESI,negative ion):M/Z:635.7(M−H)+。
【0108】
ステップ4:化合物5dの合成
4mL共溶媒DCM/DMF(1:1)中の化合物5c(125mg、0.04mmole)および2mL DMF中の化合物MMAE(141mg、0.07mmole)の溶液に、TBTU(183mg)およびDIPEA(147mg)を加えた。4時間後に反応が完了した。減圧下で溶媒を除去した。Inertsil ODS−3 カラム30×250mm、移動相:1%から50%のグラジエントのAcN/H
2O
4、流量32mL/min、化合物5d RT 23.7min。上掲の化合物5dを白色の固体として得た(186mg、71%)。ESI−MS(ESI,positive ion):M/Z:1338.0(M+H)
+,1359.9(M+Na)
+。
【0109】
ステップ5:リンカー−薬物5の合成
1mL DCM中の化合物5d(92mg、0.068mmole)の溶液に5〜8℃でトリフルオロ酢酸(0.8mL、10.4mmole)を滴下して加えた。冷却浴を取り除き、撹拌を4時間続けた。減圧下で溶媒を除去し、その残留物に2mLメタノールを加え、5分間攪拌してから、溶媒を除去した。最小量のDIW(3mL)を加え、凍結乾燥して、TFA塩として化合物5−deBocの粗生成物を得た(62mg)。
【0110】
1.7mL DCM中のTFA塩(62mg、0.054mmole)の溶液に、0〜5℃で撹拌しながら、トリメチルアミン(40μL、0.272mmole)、次いでDCM(0.3mL)中のブロモアセチルブロミド(60mg、0.297mmole)の溶液を加えた。2時間後に冷却浴を取り除き、15時間撹拌を続けた。HPLCにより反応が完了したかをチェックし、その混合物を蒸発させ乾燥させた。RP−HPLCにより精製を行った(残留物は4mL移動相溶媒で希釈、Inertsil ODS−3 カラム30×250mm、流量31mL/min、移動相40%から60%のグラジエントのAcN/H
2O+0.1%TFA、化合物5、つまりリンカー−薬物5 RT 11.08min UV215nm)。生成物を含有した画分を凍結乾燥して、リンカー−薬物5を得た(15mg)。
【0111】
リンカー−薬物5の化学式はC
61H
103Br
2N
9O
16である。(ESI,positive ion):M/Z:[M+H]
+=1377.6。
【0112】
実施例6:リンカー−薬物6の作製
下記スキームに示される手順に従ってリンカー−薬物6を合成した。
【0113】
ステップ1〜4:化合物6a、6b、6c、6dの合成
実施例5に記載したステップ1〜4と同じ合成法により化合物6a、6b、6cおよび6dを合成した。
【0114】
ステップ5:リンカー−薬物6の合成
アセトニトリル(2mL)中の化合物5(7.9mg、5.7μmol)およびヨウ化ナトリウム(8.6g、57.3μmol)の混合物を室温で8時間撹拌し、真空下で溶媒を蒸発させた。化合物6を分取HPLCで精製した(43%CH
3CN/H
2O+0.1%TFA、UV220nm;Inertsil ODS−3カラム20×250mm、流量19mL/min、化合物6、つまりリンカー−薬物6、RT 23.2min)。上掲の化合物、リンカー−薬物6を白色の固体として得た(6.7mg、4.5μmol,収率80%)。
【0115】
リンカー−薬物6の化学式はC
61H
103I
2N
9O
1である。ESI−HIMS(positive ion)M/Z:1473.6,(M+H)
+1495.5(M+Na)
+。
【0116】
実施例7:リンカー−薬物7の作製
下記スキームに示される手順に従ってリンカー−薬物7を合成した。
【0117】
ステップ1:化合物7aの合成
クロロホルム(CHCl
3、200mL)中の3,4−ジアミノ安息香酸(1.52g、10mmol)およびジ−tert−ブトキシジカーボネート(di-tert-butoxy dicarbonate,(t−Boc)
2O)(6.55g、30mmol)とトリエチルアミン(NEt
3;7.0mL、60mmol)を室温(25℃)で終夜(24時間)撹拌した。得られた溶液を水で抽出し、Na
2SO
4で乾燥させて、茶色の粉末として化合物7a(N−Boc−3,4−ジアミノ安息香酸)を得た(2.0g、収率79%)。
【0118】
化合物7aの化学式はC
17H
24N
2O
6である。
1H NMR(500MHz,d−MeOH)δ7.96(s,1H),7.75(dd,1H,J=8.4,1.9Hz),7.60(d,1H,J=8.4,1.9Hz),4.80(brs,2H,NH),1.52(s,18H)。13C NMR(150MHz,d−MeOH)δ173.2,156.4,155.5,135.7,133.6,130.3,127.9,127.8,123.6,81.7,81.6,28.8,28.7。化合物7aの質量を測定した(C
17H
24N
2O
6;352.4Da)。
【0119】
ステップ2:化合物7bの合成
DCM(8mL)中の化合物7a(500mg、1.42mmole)およびペンタフルオロフェノール(313mg、1.70mmol)の混合溶液に、DCC(351mg、1.70mmole)を加えた。その混合物を室温で12時間撹拌し、その沈殿物をろ過し、真空下で濃縮した。DCM(1mL)およびDMF(2mL)中のPFPエステルの溶液に、L1(534.8mg、2.12mmole)、DIPEA(457.8mg、3.54mmole)を加えた。室温で2時間反応させた。溶媒を除去した後、化合物7bを分取HPLCで精製した(50%CH
3CN/H
2O+0.1%TFA;UV210nm、Inertsil ODS−3 カラム30×250mm、流量32mL/min、化合物7b RT、14.6min)。化合物7bを白色の固体として得た(557mg、収率67%)。
【0120】
化合物7bの化学式はC
27H
44N
3O
11である。ESI(positive ion)M/Z:586.2972 for C
27H
44N
3O
11,err −0.3ppm。
【0121】
ステップ3:化合物7cの合成
4mL共溶媒DCM/DMF(1:1)中の化合物7b(40mg、68.3mmole)および2mL DMF中のVal−Cit−APEA−AF(95mg、85.4mmole)の溶液に、TBTU(68mg)およびDIPEA(52mg)を加えた。3時間後に反応が完了した。減圧下で溶媒を除去した。化合物7cを分取HPLCで精製した。生成物を含有した画分を凍結乾燥し、化合物7cを白色の固体として得た(63.5mg、収率55%)。
【0122】
化合物7cの化学式はC
86H
138N
14O
20である。ESI,positive ion:M/Z:1689.2(M+1),1711.2(M+Na)。
【0123】
ステップ4:リンカー−薬物7の合成
1.5mL DCM中の化合物7c(20.1mg、0.012mmole)の溶液に、25〜27℃でトリフルオロ酢酸(0.8mL、10.4mmole)を滴下して加えた。水浴を取り除き、撹拌を4時間続けた。減圧下で溶媒を除去し、その残留物に2mLメタノールを加え、5分攪拌してから、溶媒を除去した。最小量のDIW(2mL)を加え、凍結乾燥して、TFA塩として粗生成物化合物7c−deBocを得た(23mg)。
【0124】
化合物7c−deBocの化学式はC
76H
122N
14O
16である。ESI,positive ion:M/Z:1489.0(M+1),1511.0(M+Na), ESI,negative ion:M/Z:1487.2(M−1)。
【0125】
次いで、DCM/DMF(1/0.3mL)溶液中のTFA塩(22mg、0.012mmole)の溶液に、0〜5℃で撹拌しながら、トリメチルアミン(8μL、0.057mmole)、続いてDCM(0.3mL)中のクロロアセチルクロリド(22mg、0.19mmole)の溶液を加えた。5分撹拌した後、トリメチルアミンの第2の部分(8μL、0.057mmole)を加えた。2時間後に冷却浴を取り除き、撹拌を15時間続けた。HPLCにより反応が完了したかをチェックし、その混合物を蒸発させ乾燥させた。RP−HPLCにより精製を行い(残留物は2mL M.P.溶媒で希釈、Inertsil ODS−3カラム 20×250mm、5μm、流量17.5mL/min、M.P.43% AcN/H
2O+0.1%TFA、UV215nm)、生成物を含有した画分(Rt=6.5min)を凍結乾燥して、化合物7、つまりリンカー−薬物7を得た(16mg、84%収率)。
【0126】
リンカー−薬物7の化学式はC
80H
124Cl
2N
14O
18である。(ESI,positive ion):M/Z:M+H=1641.0。
【0127】
実施例8:リンカー−薬物8の作製
下記スキームに示される手順に従ってリンカー−薬物8を合成した。
【0128】
ステップ1〜3:化合物8a、8b、8cの合成
実施例7に記載したステップ1〜4と同じ合成法により化合物8a、8b、および8cを合成した。
【0129】
ステップ4:リンカー−薬物8の合成
1.5mL DCM中の化合物8c(20mg、0.031mmole)の溶液に、8〜10℃でトリフルオロ酢酸(1mL、13mmole)を滴下して加えた。氷水浴を取り除き、撹拌を4時間続けた。減圧下で溶媒を除去し、その残留物に2mLメタノールを加え、5分間攪拌してから、溶媒を除去した。最小量のDIW(2mL)を加え、凍結乾燥し、TFA塩として化合物8c−deBocの粗生成物を得た(18mg)。
【0130】
1mL DCM中のTFA塩の溶液に、0〜5℃で撹拌しながら、トリメチルアミン(13μL、0.093mmole)、次いでDCM(0.3mL)中のブロモアセチルブロミド(13mg、0.064mmole)の溶液を加えた。15分撹拌した後、トリメチルアミンの第2の部分(13μL、0.094mmole)を加えた。2時間後に冷却浴を取り除き、撹拌を4時間続けた。HPLCにより反応が完了したかをチェックし、その混合物を蒸発させ乾燥させた。RP−HPLCにより精製を行った(残留物は3mL M.P.溶媒で希釈、Inertsil ODS−3 カラム30×250mm、流量31mL/min、44%AcN/H
2O+0.1%TFA、UV220nm)。生成物を含有した画分(Rt=7.1min)を凍結乾燥し、化合物8、つまりリンカー−薬物8を得た(12.4mg)。
【0131】
リンカー−薬物8の化学式はC
80H
124Br
2N
14O
18である。(ESI,positive ion):M/Z:M+H=1728.3。
【0132】
実施例9:リンカー−薬物9の作製
下記スキームに示される手順に従ってリンカー−薬物9を合成した。
【0133】
ステップ1:化合物9aの合成
文献(Synthesis, 1986, 48.)に記載されているとおりに化合物9aの合成を行った。3,5−ジアミノ安息香酸(0.45g、2.96mmol)およびジ−tert−ブトキシジカーボネート((t−Boc)
2O)(0.57g、8.9mmol)とトリエチルアミン(NEt
3;2.1mL、10.6mmol)をDCM(60mL)中で室温(25℃)にて終夜(24時間)撹拌した。得られた溶液を水で抽出し、Na
2SO
4で乾燥させて、化合物9a(N−Boc−3,5−ジアミノ安息香酸)を茶色の粉末として得た(0.87g、収率83%)。
【0134】
化合物9aの化学式はC
17H
24N
2O
6である。
1H NMR(500MHz,CDCl
3)δ7.87(s,1H,ArH),7.70(s,2H,ArH),6.90 (bs,2H,NH),1.52(s,18H,CH
3)。
【0135】
ステップ2:化合物9bの合成
DCM(6mL)中の化合物9a(74.6mg、0.21mmole)およびペンタフルオロフェノール(46mg、0.25mmol)の混合溶液にDCC(42mg、0.25mmole)を加えた。その混合物を室温で12時間撹拌し、その沈殿物をろ過し、真空下で濃縮した。DCM(1mL)およびDMF(2mL)中の化合物9aの溶液に、L1(80mg、0.31mmole)、DIPEA(68mg、0.53mmole)を加えた。室温で2時間反応させた。溶媒を除去した後、化合物9bを分取HPLCで精製した(50%CH
3CN/H
2O+0.1%TFA、UV210nm、Inertsil ODS−3 カラム30×250mm、流量32mL/min、化合物9b RT,14.6min)。化合物9bを白色の固体として得た(25mg)。
【0136】
化合物9bの化学式はC
27H
43N
3O
11である。ESI(positive ion)M/Z:586.9,608.8。収率99%。
【0137】
ステップ3:化合物9cの合成
4mL共溶媒DCM/DMF(1:1)中の化合物9b(25mg、0.04mmole)および2mL DMF中のVal−Cit−APEA−AF(48mg、0.04mmole)の溶液に、TBTU(44mg)およびDIPEA(36mg)を加えた。4時間後に反応が完了した。減圧下で溶媒を除去した。50%CH
3CN/H
2O+0.1%TFA、UV210nm、Inertsil ODS−3 カラム30×250mm、流量32mL/min、化合物9b RT、14.6min。化合物9cを白色の固体として得た(52mg、収率70%)。
【0138】
化合物9cの化学式はC
86H
138N
14NaO
10である。(ESI,positive ion):M/Z:1689.9(M+1)。ESI−HIMS(positive ion)M/Z:1710.0214[M+Na]
+ for C
86H
138N
14NaO
10,err:6.4ppm。
【0139】
ステップ4:リンカー−薬物9の合成
1.5mL DCM中の化合物9c(52mg、0.031mmole)の溶液に、8〜10℃でトリフルオロ酢酸(0.8mL、10.4mmole)を滴下して加えた。氷水浴を取り除き、撹拌を4時間続けた。減圧下で溶媒を除去し、その残留物に2mLメタノールを加え、5分間攪拌してから、溶媒を除去した。最小量のDIW(2mL)を加え、凍結乾燥して化合物9c−deBocの粗生成物をTFA塩として得た(35mg)。
【0140】
1mL DCM中のTFA塩(35mg、0.021mmole)の溶液に、0〜5℃で撹拌しながら、トリメチルアミン(13μL、0.093mmole)、次いでDCM(0.3mL)中のブロモアセチルブロミド(19mg、0.094mmole)の溶液を加えた。15分撹拌した後、トリメチルアミンの第2の部分(13μL、0.094mmole)を加えた。2時間後に冷却浴を取り除き、15時間撹拌を続けた。HPLCにより反応が完了したかをチェックし、その混合物を蒸発させ乾燥させた。RP−HPLCにより精製を行った(残留物は3mL M.P.溶媒で希釈、Inertsil ODS−3 カラム30×250mm、流量32mL/min、43%AcN/H
2O+0.1%TFA、UV220nm)。生成物を含有した画分(Rt=7.6min)を凍結乾燥し、化合物9、つまりリンカー−薬物9を得た(13.3mg)。
【0141】
リンカー−薬物9の化学式はC
80H
124Br
2N
14O
18である。(ESI,positive ion):M/Z:M+H=1728.5,ESI−HIMS(positive ion)M/Z:1727.7682,[M+H]
+ for C
60H
94Br
2N
8 NaO
15,1727.7658 err:1.4ppm。
【0142】
Val−Cit−APEA−AFの合成
実施例9のステップ3において、下記スキームに示される手順に従って化合物Val−Cit−APEA−AFを合成した。
【0143】
ステップ3−1:Z−Val−Cit−APEA−Bocの合成
Z−L−Val−Cit−OH(4.0g、9.79mmol)をジクロロメタン(250mL)およびイソプロパノール(50mL)の混合物に入れた。次いで、tert−ブチル4−アミノフェネチルカルバメート(2.95g、12.5mmol)およびEEDQ(4.95g、20mmol)をその混合物に加えた。その混合物を室温(25℃)で36時間撹拌した。減圧下40℃で溶媒を除去してから、残留物にエーテル(300mL)を加えた。その混合物を1時間遠心分離機にかけた。澄んだ(clear)エーテル溶液を除去した。固体生成物をエーテル(300mL)中に再懸濁し、10分間超音波処理した。その混合物を再び1時間遠心分離機にかけた。次いで、固体生成物を上述のように収集した。このプロセスを再度繰り返した。最後に、収集した固体生成物を真空下で乾燥し、目的の生成物(4.5g)を純度約90%で得た。(HPLC、210nm)収率は65.5%であった。
【0144】
ステップ3−2:Z−Val−Cit−APEA−AFの合成
DCM(4mL)中のZ−Val−Cit−APEA−Boc(169mg、0.642mmol)の溶液にTFA(2mL)を加えた。その混合物を室温で1時間撹拌し、その後、溶媒を真空下で除去した。その粗生成物を、さらなる精製を行わずに用いた。DeBoc粗化合物Z−Val−Cit−APEA(184mg、0.28mmole)を10mL混合溶媒(DCM:DMF=1:0.1)およびAF(300mg、0.35mmole)、TBTU(200mg)、ならびにDIPEA(162mg、0.353mmole)中に溶解した。その反応混合物を室温で17時間撹拌した。溶媒を真空下で蒸発させ、分取カラムを用いてHPLCにより精製した(50%CH
3CN/H
2O+0.1%TFA、UV210nm;Inertsil ODS−3 カラム30×250mm、流量32mL/min、Z−Val−Cit−APEA−AF RT 14.6min、223mg、収率62%)。
【0145】
Z−Val−Cit−APEA−AFの化学式はC
67H
103N
11O
12である。ESI(positive ion)M/Z:1256.1。
【0146】
ステップ3−3:Val−Cit−APEA−AFの合成
エタノール(10mL)中のZ−Val−Cit−APEA−AF(90mg、0.0717mmol)の溶液に、10% Pd/C(9mg)を加えた。得られた混合物をH
2の雰囲気下で4時間撹拌し、その後、その混合物をセライトパッドでろ過した。そのセライトパッドをEtOAcで洗浄し、ろ液を真空下で濃縮して、生成物Val−Cit−APEA−AFを得た。収率は99%であった。
【0147】
Val−Cit−APEA−AFの化学式はC
59H
97N
11O
10である。ESI−HIMS(negative ion)M/Z:1142.7316[M+Na]
+ for C
59H
97N
11NaO
10,err:−0.3ppm。
【0148】
実施例10:リンカー−薬物10の作製
下記スキームに示される手順に従ってリンカー−薬物10を合成した。
【0149】
ステップ1:化合物10aの合成
DCM溶液(10mL/mmol)中のジアミン(1当量)をBoc
2O(0.15当量)で5時間室温にて処理した。未反応のジアミンが全て抽出されるまで、有機相を水で洗浄した。乾燥(MgSO
4)および真空下での濃縮の後、Boc保護(Boc-protected)化合物10aを定量的に回収した。
1H NMR(CDC1
3,500MHz)3.74(m,1H),3.70(m,1H),3.62(m,8H),3.54(m,4H),3.31(m,2H),1.44(s,9H),ESI,positive ion:M/Z:293.7(M+1),316.7(M+Na)。
【0150】
ステップ2:化合物10bの合成
4mL共溶媒DCM/DMF(1:1)中のアウリスタチンF(200mg、0.23mmole)および2mL DMF中の化合物10a(75mg、0.25mmole)の溶液に、TBTU(220mg、0.68mmole)およびDIPEA(180mg、1.39mmole)を加えた。反応は2時間後に完了した。減圧下で溶媒を除去した。Inertsil ODS−3 カラム30×250mm、10μm、アセトニトリル43%、流量32mL/min、UV220、RT 9.3min。上掲の化合物10bを白色の固体として得た(151mg、0.14mmole、64%)。ESI,positive ion:M/Z:1021.7(M+1),1043.7(M+Na)。
【0151】
ステップ3:化合物10cの合成
DCM(4mL)中の化合物10b(151mg)の溶液にTFA(2mL)を加えた。その混合物を室温で1時間撹拌し、その後、溶媒を真空下で除去した。化合物10cの粗生成物を、さらなる精製を行わずに用いた。
【0152】
ステップ4:化合物10dの合成
DCM(6mL)中のN−Boc−3,4−ジアミノ安息香酸(60mg、0.17mmole)およびペンタフルオロフェノール(47mg、0.25mmol)の混合溶液にDCC(51.5mg、0.25mmole)を加えた。その混合物を室温で12時間撹拌し、その沈殿物をろ過し、真空下で濃縮した。PFPエステルの溶液に化合物10c(235mg、0.25mmole)およびDIPEA(55mg、0.42mmole)を加えた。室温で1時間反応させた。溶媒を除去した後、化合物10dを分取HPLCで精製した(Inertsil ODS−3 カラム30×250mm、5μm、アセトニトリル42%(0−5min)から50%(5−13min)から55%(13−25min)、流量31mL/min、UV220、T31−3、RT 13.8min)。上掲の化合物10dを白色の固体として得た(173mg、0.13mmole、81%)。ESI,positive ion:M/Z:1255.3,12773(M+Na)。
【0153】
ステップ5:化合物10の合成
4mL DCM中の化合物10d(20mg、0.016mmole)の溶液に、20〜23℃の水浴で、トリフルオロ酢酸(2mL、10.4mmole)を滴下して加えた。その水浴を取り除き、撹拌を2時間続けた。減圧下で溶媒を除去し、その残留物に2mLメタノールを加え、5分間攪拌してから、溶媒を除去した。最小量のDIW(2mL)を加え、凍結乾燥して、TFA塩として粗生成物化合物10d−deBocを得た(23mg)。
【0154】
DCM/DMF(1/0.5mL)溶液中のTFA塩(23mg、0.016mmole)の溶液に、0〜5℃で撹拌しながら、トリメチルアミン(10μL、0.072mmole)、次いでDCM(0.3mL)中のブロモアセチルブロミド(24mg、0.12mmole)の溶液を加えた。5分撹拌した後、トリメチルアミンの第2の部分(10μL、0.072mmole)を加えた。2時間後に冷却浴を取り除き、15時間撹拌を続けた。HPLCにより反応が完了したかをチェックし、その混合物を蒸発させ乾燥させた。RP−HPLCにより精製を行い(残留物は2mL M.P.溶媒で希釈、Inertsil ODS−3カラム20×250mm、5μm、流量17.5mL/min、M.P.42%AcN/H
2O+0.1%TFA、UV215nm)、生成物を含有した画分(RT=7.47min)を凍結乾燥して、化合物10、つまりリンカー−薬物10を得た(12mg、収率58%)。
【0155】
リンカー−薬物10の化学式はC
59H
93Br
2N
9O
13である。(ESI,positive ion):M/Z:M+H=1297.5。
【0156】
実施例11:リンカー−薬物11の作製
下記スキームに示される手順に従ってリンカー−薬物11を合成した。
【0157】
ステップ1:化合物11aの合成
L1(0.79g、3.14mmol)およびK
2CO
3(1.04g、7.50mmol)を水5.8mL中に溶解し、室温で15分撹拌した後、N−(9−フルオレニルメトキシカルボニル)スクシンイミド(N-(9-fluorenylmethoxycarbonyl) succinimide,Fmoc−OSu)(1.28g、3.79mmol)を加え、反応の進行をTLC(CHCl
3/MeOH/AcOH,5:1:0.06)でモニタリングしながら、その混合物を24時間撹拌した。塩をろ過し、そのろ物をEt
2Oで洗浄し、3N HClで酸性化してpH1とし、そしてDCMで所望の化合物を抽出した。真空下で溶媒を除去した後、RP−HPLCで精製し、生成物を含有した画分を凍結乾燥して、化合物11aを得た(1.08g、収率73%)。
【0158】
化合物11aの化学式はC
25H
31NO
8である。required[M+H]
+=474.2,found[M+H]
+=474.9,[M+Na]
+=496.9。
【0159】
ステップ2:化合物11bの合成
イミダゾール(0.78g、11.5mmol)を室温で10mL DCM中に懸濁させた。二炭酸ジ−tert−ブチル(Boc
2O)(2.62g、12mmol)を数回に分けて(portion wise)加えた。その反応混合物を室温で1時間撹拌した。その反応混合物を水で洗浄し、Na
2S0
4で乾燥し、ろ過し、揮発性物質を減圧下で除去した。その残留物を4mLトルエン中に溶解し、ジエチレントリアミン(0.595mL、5.5mmol)を加えた。その反応混合物を60℃で2時間撹拌した。10mL DCMを加え、有機相を水で洗浄した。その有機相をNa
2S0
4で乾燥し、ろ過し、減圧下で還元した。トリエチルアミンを含むDCM中のメタノール(MeOH)のグラジエントを用いたシリカフラッシュカラムにより、タイトルの化合物を無色の固体として得た(化合物11b、1.02g、収率61%)。
【0160】
化合物11bの化学式はC
14H
29N
3O
4である。
1H−NMR(500MHz,CDCl
3):1.41(s,18H),1.58(bs,1H),2.66−2.77 (m,4H),3.13−3.26(m,4H),4.96(bs,2H)。
【0161】
ステップ3:化合物11cの合成
4mL DCM中の化合物11a(645.2mg、1.36mmole)および2mL DMF中の化合物11b(413mg、1.36mmole)の溶液に、TBTU(110mg)およびDIPEA(844mg)を加えた。反応は2時間後に完了した。減圧下で溶媒を除去した。Inertsil ODS−3 カラム30×250mm、流量32mL/min、化合物11c RT、17min。化合物11cを白色の固体として得た(738mg、収率76%)。
【0162】
化合物11cの化学式はC
39H
58N
4O
11Naである。(ESI, positive ion):M/Z:760.4(M+1);782.4(M+Na)。HRMS found 781.4005 for C
39H
58N
4O
11Na,err:1.3ppm。
【0163】
ステップ4:化合物11dの合成
4mL DCM中の化合物11c(218.6mg、0.288mmole)の溶液に0℃でトリフルオロ酢酸2mLを滴下して加えた。冷却浴を除去し、3時間撹拌を続けた。減圧下で溶媒を除去した。その残留物に2mLメタノールを加えて5分撹拌し、次いで溶媒を除去した。最小量のDIW(2mL)を加え、凍結乾燥して、TFA塩として粗生成物化合物11c−deBocを得た(27mg)。
【0164】
化合物11c−deBocの化学式はC
29H
42N
4O
7である。(ESI,positive ion):M/Z:558.4(M+1);580.3(M+Na)。
【0165】
次いで、4mL DCM中のTFA塩(250mg、0.44mmole)および2mL DMF中の化合物N−Boc−L1(628mg、1.76mmole)の溶液に、TBTU(831.6mg)およびDIPEA(552mg)を加えた。反応は3時間後に完了した。減圧下で溶媒を除去した。化合物11dを分取HPLCで精製した。生成物を含有した画分を凍結乾燥して、化合物11dを白色の固体として得た(356mg、収率65%)。
【0166】
化合物11dの化学式はC
59H
96N
6O
21である。ESI,positive ion:M/Z:1226.7(M+1),1248.8(M+Na)。
【0167】
ステップ5:化合物11eの合成
4mL DCM中の化合物11d(300mg、0.288mmole)の溶液に、0℃でトリフルオロ酢酸2mLを滴下して加えた。冷却浴を除去し、3時間撹拌を続けた。減圧下で溶媒を除去した。その残留物に2mLメタノールを加え、5分撹拌してから、溶媒を除去した。最小量のDIW(2mL)を加え、凍結乾燥して、粗生成物化合物11d−deBocをTFA塩として得た。
【0168】
化合物11d−deBocの化学式はC
49H
80N
6O
17である。Required[MH
+]1024.56,found_[M+H]
+1026.7。[M+Na]
+1048.7。
【0169】
次いで、2mL DCM中のTFA塩(130mg、0.12mmole)および2mL DMF中のアウリスタチンF(272mg、0.3mmole)の溶液に、TBTU(235mg、0.73mmole)およびDIPEA(173mg、1.34mmole)を加えた。反応は1時間後に完了した。減圧下で溶媒を除去した。Inertsil ODS−3 カラム30×250mm、流量32mL/min、化合物11e RT、17min。化合物11eを白色の固体として得た(261mg、収率83%)。
【0170】
化合物11eの化学式はC
129H
210N
16O
31である。(ESI,positive ion):M/Z:1242.3(M+2H)
2+;829.0(M+3H)
3+。
【0171】
ステップ6:化合物11fの合成
2mL DCM中の化合物11e(20.8mg、0.288mmole)の溶液に0℃でジエチルアミン1mLを滴下して加えた。冷却浴を除去し、撹拌を4時間続けた。減圧下で溶媒を除去した。その残留物に2mLメタノールを加え、5分撹拌してから、溶媒を除去した。最小量のDIW(2mL)を加え、凍結乾燥して、粗生成物化合物11e−deFmocをTFA塩として得た。
【0172】
化合物11e−deFmocの化学式はC
114H
200N
16O
29である。ESI,positive ion:2259.5(M+1),2281.5(M+Na)。
【0173】
次いで、4mL共溶媒DCM(6mL)中のCJ24−1(64mg、0.11mmole)および2mL DMF中の化合物11e−deFmoc(123.5mg、0.054mmole)の溶液に、EDC(26mg、0.13mmole)およびDIPEA(14mg、0.11mmole)を加えた。反応は12時間後に完了した。減圧下で溶媒を除去した。化合物11fを分取HPLCで精製した。生成物を含有した画分を凍結乾燥して、化合物11fを白色の固体として得た(169.8mg、収率55%)。
【0174】
化合物11fの化学式はC
125H
211N
19O
33である。ESI,positive ion:1415(M+2H)
2+
【0175】
ステップ7:リンカー−薬物11の合成
4mL DCM中の化合物11f(26.3mg、0.0092mmole)の溶液に、20〜23℃の水浴で、トリフルオロ酢酸(2mL、10.4mmole)を滴下して加えた。水浴を取り除き、撹拌を2時間続けた。減圧下で溶媒を除去し、その残留物に2mLメタノールを加え、5分間攪拌してから、溶媒を除去した。最小量のDIW(2mL)を加え、凍結乾燥して、TFA塩として粗生成物化合物11f−deBocを得た(26mg)。
【0176】
次に、DCM/DMAc(1/0.5mL)溶液中のTFA塩(26mg、0.0092mmole)の溶液に、0〜5℃で撹拌しながら、DCM(0.2mL)中のトリメチルアミン(40μL、0.288mmole)、次いでDCM(0.3mL)中のブロモアセチルブロミド(30mg、0.148mmole)の溶液を加えた。2時間後に冷却浴を取り除き、15時間撹拌を続けた。HPLCにより反応が完了したかをチェックし、その混合物を蒸発させ乾燥させた。RP−HPLCにより精製を行い(残留物は3.5mL M.P.溶媒で希釈、Inertsil ODS−3 カラム30×250mm、10μm、流量31mL/min、M.P.35%(0−6.5min)から43%(6.5−20min)AcN/H
2O+0.1%TFA、UV220nm)、生成物を含有した画分(Rt=11.71min)を凍結乾燥して、化合物11、つまりリンカー−薬物11を得た(12mg、収率46%)。
【0177】
リンカー−薬物11の化学式はC
135H
227Br
2N
19O
37である。(ESI,positive ion):M/Z:[M+H]
+2=1435.9。
【0178】
実施例12:リンカー−薬物12の作製
下記スキームに示される手順に従ってリンカー−薬物12を合成した。
【0179】
ステップ1:化合物12aの合成
アセトニトリル中の二炭酸ジ−t−ブチル(5.2g、23.8mm)の溶液を、(s)−5−(アミノメチル)ピロリジン−2−オン((s)-5-(aminomethyl)pyrrolidin-2-one,EDA−4)(1.29g、11.3mmol)の撹拌溶液(stirred solution)にゆっくりと加え、次いでDMAP(180mg、1.5mmole)を加えた。反応は6時間以内に完了した(TLCでモニター )。その溶液を濃縮し、固体をフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/EtoAC(1:5))で精製して、di−boc保護(di-boc-protected)中間体EDA−5を固体として得た(1.82g、51%)。水(12mL)中のLiOH×H
2O(0.36g、19mmol)の溶液を、10mL THF中のEDA−5(1.03g、3.28mmol)の撹拌溶液に加えた。その混合物を終夜撹拌し、次いで1N HClで酸性化した。その溶液を濃縮し、その混合物をEtOAcで抽出し、塩水で洗浄し、MgSO
4で乾燥し、そして濃縮した。その固体をフラッシュカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン(1/4))で精製し、タイトルの化合物12aを固体として得た(0.81g、75%)。M/Z=333.9[M+H]+,M/Z=331.8[M−1]
−;.1H NMR(CDCl
3)1.41(s,9H);1.43(s,9H);1.61−1.84(m,2H),2.42−2.45(m,2H),3.17−3.22(t,2H),3.67(s,1H),4.95(bs,2H)。
【0180】
ステップ2:化合物12bの合成
DCM(6mL)中の化合物12a(133mg、0.40mmole)およびペンタフルオロフェノール(110mg、0.60mmol)の混合溶液に、DCC(123mg、0.60mmole)を加えた。その混合物を室温で12時間撹拌し、化合物12bの粗生成物を得た。
【0181】
ステップ3:化合物12cの合成
CJ35−5(151mg、0.60mmole)およびDIPEA(130mg、1.00mmole)を加えた。室温で2時間反応させた。溶媒を除去した後、化合物12cを分取HPLCで精製した(50%CH
3CN/H
2O+0.1%TFA、UV220nm、Inertsil ODS−3 カラム30×250mm、流量31mL/min、化合物12c、RT 6.9min)。上掲の化合物12cを白色の固体として得た(160mg、0.28mmole、70%)。MS(ESI,negative ion):M/Z:564.8(M−H)
+。
【0182】
ステップ4:化合物12dの合成
4mL 共溶媒DCM/DMF(2:2)中の化合物12c(60mg、0.106mmole)および2mL DMF中の化合物Val−Cit−APEA−AF(118.8mg、0.106mmole)の溶液に、TBTU(113mg、0.297mmole)およびDIPEA(79.5mg、0.616mmole)を加えた。4時間後に反応が完了した。減圧下で溶媒を除去した。Inertsil ODS−3 カラム30×250mm、10μm、アセトニトリル43%、流量32mL/min、UV220、化合物12d、RT 9.3min。上掲の化合物12dを白色の固体として得た(113.8mg、0.068mmole、収率64.2%)。ESI,positive ion:M/Z:1671.7(M+1),1693.7(M+Na)。
【0183】
ステップ5:リンカー−薬物12の合成
1.5mL DCM中の化合物12d(24mg、0.014mmole)の溶液に、8〜10℃でトリフルオロ酢酸(1mL、13mmole)を滴下して加えた。氷水浴を取り除き、撹拌を4時間続けた。減圧下で溶媒を除去し、その残留物に2mLメタノールを加え、5分間攪拌してから、溶媒を除去した。最小量のDIW(2mL)を加え、凍結乾燥して粗生成物化合物12d−deBocをTFA塩として得た(19mg)。
【0184】
1mL DCM中のTFA塩の溶液に、0〜5℃で撹拌しながら、トリメチルアミン(13μL、0.093mmole)、次いでDCM(0.3mL)中のブロモアセチルブロミド22mg(0.119mmole)の溶液を加えた。15分撹拌した後、トリメチルアミンの第2の部分(13μL、0.094mmole)を加えた。2時間後に冷却浴を取り除き、15時間撹拌を続けた。HPLCにより反応が完了したかをチェックし、その混合物を蒸発させ乾燥させた。RP−HPLCにより精製を行い(残留物は3mL M.P.溶媒で希釈、Inertsil ODS−3 カラム30×250mm、流量31mL/min、44%(0−15min)、50%(15−25min)のAcN/H
2O、化合物12、つまりリンカー−薬物12、18.3min、UV220nm)、生成物を含有した画分(保持時間=18.3min)を凍結乾燥して、リンカー−薬物12を得た(1.4mg)(ESI,positive ion):M/Z:M+H=1711.8(Br79,M+1),1713.9(Br81,M+1)。
【0185】
実施例13:リンカー−薬物13の作製
下記スキームに示される手順に従ってリンカー−薬物13を合成した。
【0186】
ステップ1:化合物13a(1.3−di(tert−ブトキシカルボニルアミノ)プロパン−2−オール(1.3-di(tert-butyloxycarbonylamino)propan-2-ol) )の合成
文献に記載されている方法(Chem. Eur. J. 2004, 10, 1215-1226)に従って化合物13aを作製した。
【0187】
CH
2Cl
2(4mL)中の二炭酸ジ−tert−ブチル(4.80g、22mmol)を、THF/MeOH(1:5、10mL)中の1,3−ジアミノ−プロパノール(901mg、10.0mmol)およびトリエチルアミン(164mL、1.18mmol)の撹拌溶液にゆっくり加えた。反応は2時間以内に完了した(TLCでモニター)。その溶液を濃縮し、油性残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc(1:4))で精製し、Boc保護中間体化合物13aを無色の固体として得た(1.59g、55%);1H NMR(500MHz,CDCl
3)δ=5.16(bs,2H),3.73(m,1H),3.22−3.16(m,4H),1.43(s,18H)ppm;M/Z(ES+),291.7(M+H),313.7(M+Na)。
【0188】
ステップ2:化合物13b(N−(3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−2−(エトキシカルボニルメチル−オキシ)−プロパ−1イル)カルバミン酸tert−ブチルエステル)((N-(3-(tert-Butoxycarbonylamino)-2-(ethoxycarbonylmethyl-oxy)- prop-1yl) carbamic acid tert-butyl ester))の合成
ブロモ酢酸tert−ブチル(2.07g、10.7mmol)を、乾燥THF (2mL)中の化合物13a(1.23g、4.23mmol)の撹拌溶液に室温で加えた。水素化ナトリウム(0.47g、4.5モル当量)を1時間かけてゆっくり添加した。さらに5時間経過した後、その反応混合物をセライトで濾過し、蒸発させた。その残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製し(ヘキサン/EtOAc(8:2))、化合物13bを透明の油として得た。
1H NMR(500MHz,CDCl
3):=4.21(q,J=7Hz,2H),4.15(s,2H),3.45(m,1H), 3.48−3.06(m,4H),1.42(s,18H),1.27(t,J=7Hz,3H);MSm/z(ES
−),348.2(M−
t−BuO)。
【0189】
ステップ3:化合物13c(N−(3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−2−(エトキシカルボニルメチル−オキシ)−プロパ−1イル)カルバミン酸((N-(3-(tert-Butoxycarbonylamino)-2-(ethoxycarbonylmethyl-oxy)- prop-1yl) carbamic acid)) の合成
化合物13b(30mmol)をTHF(100mL)およびMeOH(100mL)中に溶解し、6N NaOH(150mL)を加え、その反応混合物を室温で1時間撹拌した。真空下で溶媒を除去し、0℃で6N HCl(155mL)を加えた。CH
2Cl
2で抽出した後、Na
2SO
4で乾燥し、乾燥剤をろ過すると共に、溶媒を留去して、粗生成物を得、それをカラムクロマトグラフィーにより精製し(シリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル3/1から1/3)、白色の固体を得た(3.9g、74.5%)。1H NMR(500MHz,CDCl
3):δ5.21(br,1H),4.72(br,1H),4.62(br,1H),3.92(s,2H),3.71−3.68(t,1H),3.44−3.29(m,4H),1.39(s,18H,CH3);MS m/z(ES
−),347.7(M−1),273.6(M−
t−BuO)。
【0190】
ステップ4:化合物13dの合成
DCM(6mL)中のDETA−4(58mg、0.16mmole)およびペンタフルオロフェノール(36.8mg、0.20mmol)の混合溶液に、DCC(41.2mg、0.20mmole)を加えた。その混合物を室温で12時間撹拌した。CJ35−5(62.7mg、0.25mmole)、DIPEA(54mg、0.41mmole)を加えた。室温で3時間反応させた。溶媒を除去した後、化合物13dを分取HPLCで精製した(50%から35%CH
3CN/H
2O+0.1%TFA、UV220nm、Inertsil ODS−3 カラム30×250mm、流量31mL/min、化合物13d)。上掲の化合物13dを白色の固体として得た(73mg、76%)。MS(ESI,negative ion):M/Z:581.1(M−H)
+。
【0191】
ステップ5:化合物13eの合成
4mL共溶媒DCM/DMF(1:1)中の化合物13d(57.5mg、0.098mmole)および2mL DMF中の化合物MMAE(70.5mg、0.098mmole)の溶液に、TBTU(47.6mg、0.14mmole)およびDIPEA(31.8mg、0.24mmole)を加えた。4時間後に反応が完了した。減圧下で溶媒を除去した。Inertsil ODS−3カラム30×250mm、10μm、アセトニトリル50−35%、流量32mL/min、UV220、化合物13e。上掲の化合物13eを白色の固体として得た(101.6mg、収率80.2%)。ESI,positive ion:M/Z:1286.9(M+1),1304.9(M+Na)。
【0192】
ステップ6:リンカー−薬物13の合成
1mL DCM中の化合物13e(12mg、0.009mmole)の溶液に8〜10℃でトリフルオロ酢酸(0.8mL、10.4mmole)を滴下して加えた。1時間後に氷水浴を取り除き、室温で4時間撹拌を続けた。減圧下で溶媒を除去し、その残留物に2mLメタノールを加え、5分間攪拌してから、溶媒を除去した。最小量のDIW(2mL)を加え、凍結乾燥して、TFA塩として粗生成物化合物13e−deBocを得た(11mg)。
【0193】
1mL DCM中のTFA塩の溶液に、0〜3℃で撹拌しながら、トリメチルアミン(20μL、0.136mmole)、次いでDCM(0.25mL)中のブロモアセチルブロミド15mg(0.074mmole)の溶液を加えた。15分撹拌した後、トリメチルアミンの第2の部分(10μL、0.068mmole)を加えた。2時間後に冷却浴を取り除き、15時間撹拌を続けた。HPLCにより反応が完了したかをチェックし、その混合物を蒸発させ乾燥させた。RP−HPLCにより精製を行い(残留物は3mL M.P.溶媒で希釈、Inertsil ODS−3 カラム30×250mm 10μm、アセトニトリル43%(0−9min) 50%(9−15min) 60%(15−25min) 流量31mL/min、UV220nm)、生成物を含有した画分(保持時間=14.1min)を凍結乾燥して、化合物13、つまりリンカー−薬物13を得た(3.5mg)。(ESI,positive ion):M/Z:M+H=1322.7(Br79,M+1)1324.7(Br81,M+1)。
【0194】
実施例14:リンカー−薬物14の作製
下記スキームに示される手順に従ってリンカー−薬物14を合成した。
【0195】
ステップ1:化合物14aの合成
DCM溶液(100mL)中の2,2’−(エチレンジオキシ)ビス(エチルアミン)(2,2’-(Ethylenedioxy)bis(ethylamine))(10g)をBoc
2O(2.25g、0.01mole)で0℃5時間、および室温18時間処理した。その有機相を、未反応のジアミンが全て抽出されるまで水100mLで洗浄した。乾燥(MgSO
4)および真空下での濃縮の後、Boc保護化合物を定量的に回収した(2.53g、0.01mole)。
1H NMR(500MHz,CDCl
3):d 1.42(s,9H),1.63(br m,2H,NH
2),2.86(t,2H,J =5.5Hz),3.30(m,2H),3.50(m,4H),3.49−3.61(m,8H),5.30(br s,1H,NHCO
2)。
【0196】
ステップ2:プロリン−AFの合成
12mL DCM中のアウリスタチンF(500mg、0.58mmole)の溶液およびプロリン−t−ブチルエステル(110mg、0.64mmole)に、HATU(330mg、0.86mmole)およびDIPEA(188mg、1.45mmole)を加えた。反応は3〜4時間後に完了した。減圧下で溶媒を除去した。DCM(6mL)中の上記溶液にTFA(2mL)を加えた。その混合物を室温で5時間撹拌し、その後、溶媒を真空下で除去した。Inertsil ODS−3 カラム30×250mm、流量31mL/min、移動相AcN35%(0−7min) 43%(7−16min) 43%(7−16min)、100%(16min−)、水+0.1%TFA UV220nm、プロリン−AF、保持時間9.1min。上掲の化合物、プロリン−AFを白色の固体として得た(441.2mg、90%)。ESI(positive ion),844.1[M+H]
+,866.6[M+Na]
+。
【0197】
ステップ3:化合物14bの合成
4mL共溶媒DCM/DMF(1:1)中のプロリン−AF(504.3mg、0.59mmole)および2mL DMF中の化合物N−Boc−PEG−アミン(N−Boc−2,2’−(エチレンジオキシ)ジエチルアミン)(163mg、0.106mmole)の溶液に、HATU(340mg、0.89mmole)およびDIPEA(193mg、1.49mmole)を加えた。反応は2時間後に完了した。減圧下で溶媒を除去した。Inertsil ODS−3 カラム30×250mm、10μm、AcN43%(0−15min) 100%(15min−)、流量32mL/min、UV220、化合物14b、RT 11.5min。上掲の化合物14bを白色の固体として得た(530mg、収率82.8%)。ESI,positive ion:M/Z:1074.6[M+H]
+,1096.9[M+Na]
+。
【0198】
ステップ4:化合物14cの合成
DCM(4mL)中の化合物14b(530mg)の溶液にTFA(2mL)を加えた。その混合物を0℃で1.6時間撹拌し、その後、溶媒を真空下で除去した。その化合物14cの粗生成物(TFA塩)を、さらに精製することなく用いた。ESI,positive ion:M/Z:974.8[M+H]
+,996.9[M+Na]
+。
【0199】
ステップ5:化合物14dの合成
DCM(18mL)中のN−Boc−3,4−ジアミノ安息香酸(1g、2.84mmole)およびペンタフルオロフェノール(784mg、4.26mmol)の混合溶液にDCC(880mg、4.27mmole)を加えた。その混合物を室温で12時間撹拌し、その沈殿物をろ過し、真空下で濃縮した。カラムをn−ヘキサン/EtOAc(4:1)で溶出した。目的の化合物を含有する画分を収集し、減圧下で濃縮して、N−Boc−3,4−ジアミノ安息香酸PFPエステル(11−1、1.47g、2.84mmole、収率80%)を生成した;
1H−NMR(500MHz;CDCl
3)d:8.12(s;1 H);7.97(s;2H),7.25(s;1H),1.5(s,18H),ESI, negative ion):M/Z:517.9(M
−)。
【0200】
4mL共溶媒DCM/DMF(1:1)中のN−Boc−3,4−ジアミノ安息香酸PFPエステル(255mg、0.49mmole)および2mL DMF中の化合物14c(480.6mg、0.49mmole)の溶液に、DIPEA(317.5mg、2.46mmole)を加えた。反応は5時間後に完了した。減圧下で溶媒を除去した。Inertsil ODS−3 カラム30×250mm、10μm、AcN35%(0−5min) 43%(5−11min) 50%(11−20min) 55%(20−25min) 65%(25−30min) 100%(30min−)、流量32mL/min、UV220、化合物14d、保持時間18.1min。上掲の化合物14dを白色の固体として得た(450mg、0.344mmole、収率70%)。ESI(positive ion):1309.0[M+H]
+,1331.0[M+Na]
+。
【0201】
ステップ6:リンカー−薬物14の合成
4mL DCM中の化合物14d(25mg、19μmole)の溶液に、20〜23℃の水浴で、トリフルオロ酢酸2mL(10.4mmole)を滴下して加えた。その水浴を取り除き、撹拌を2時間続けた。減圧下で溶媒を除去し、その残留物に2mLメタノールを加え、5分間攪拌してから、溶媒を除去した。最小量のDIW(2mL)を加え、凍結乾燥して、粗生成物化合物14d−deBocをTFA塩として得た。ESI(Positive ion):1108.9[M+H]
+,1130.9[M+Na]
+。
【0202】
DCM/DMF(1.2/0.5mL)溶液中のTFA塩(24mg、19μmole)の溶液に、0〜5℃で撹拌しながら、DCM(0.2mL)中のトリメチルアミン(40μL、0.288mmole)、次いでDCM(0.3mL)中のクロロアセチルクロリド(21mg、0.185mmole)の溶液を加えた。2時間後に冷却浴を取り除き、室温で15時間撹拌を続けた。HPLCにより反応が完了したかをチェックし、その混合物を蒸発させ乾燥させた。RP−HPLCにより精製を行い(残留物は3.5mL M.P.溶媒で希釈、Inertsil ODS−3 カラム30×250mm、10μm、流量31mL/min、M.P.35%(0−5.5min) 43%(5.5−16min) 100%(16min−)AcN+0.1%TFA、UV220nm)、生成物を含有した画分(保持時間10.81min)を凍結乾燥して、化合物14、つまりリンカー−薬物14を得た(20mg、83%収率)。ESI,positive ion:M/Z:1260.8[M+H]
+,1282.9[M+Na]
+ =1282.9。
【0203】
実施例15:リンカー−薬物15の作製
下記スキームに示される手順に従ってリンカー−薬物15を合成した。
【0204】
ステップ1:化合物15aの合成
DCM 6mL中のプロリン−AF(51.3mg、0.06mmole)および2mL DCM中の化合物N−Boc−1,6−ヘキサンジアミン(CAS:194920−62−2)(22.4mg、0.07mmole)の溶液に、HATU (34.2mg、0.09mmole)およびDIPEA(19.3mg、0.15mmole)を加えた。4時間後に反応が完了した。減圧下で溶媒を除去した。 分取HPLCにより精製を行った(Inertsil ODS−3 カラム30×250mm、流量31mL/min、移動相35%(0−5min) 43%(5−21min) 100%(21min−)AcN+0.1%TFA、UV220nm、化合物15a、RT 13.6min)。上掲の化合物15aを白色の固体として得た(52mg、収率74.6%)。ESI,positive ion:M/Z:1146.7[M+1]
+,1169.0[M+Na]
+。
【0205】
ステップ2:化合物15bの合成
DCM(4mL)中の化合物15a(52mg、0.05mmole)の溶液にTFA(2mL)を加えた。その混合物を室温で1時間撹拌し、その後、溶媒を真空下で除去した。化合物15b粗生成物をさらに精製することなく用いた。ESI,positive ion:M/Z:1046.9[M+1]
+,1069.0[M+Na]
+。
【0206】
ステップ3:化合物15cの合成
DCM(18mL)中のN−Boc−3,4−ジアミノ安息香酸(16mg、0.04mmole)およびペンタフルオロフェノール(12.5mg、0.06mmol)の混合溶液にDCC(12.3mg、0.06mmole)を加えた。その混合物を室温で12時間撹拌し、その沈殿物をろ過し、真空下で濃縮した。カラムをn−ヘキサン/EtOAc(4:1)で溶出した。目的の化合物を含有する画分を収集し、減圧下で濃縮して、N−Boc−3,4−ジアミノ安息香酸PFPエステルを生成した。
【0207】
N−Boc−3,4−ジアミノ安息香酸PFPエステルの溶液に、2mL DMF中の化合物15b(47.4mg、0.03mmole)およびDIPEA(29.3mg、0.23mmole)を加えた。反応は2時間後に完了した。減圧下で溶媒を除去した。Inertsil ODS−3 カラム30×250mm、10μm、AcN43%(0−5min) 50%(5−10min) 55%(10−15min) 65%(15−20min) 100%(20min−)、流量32mL/min、UV220、T69−3、RT 13.9min。上掲の化合物15cを白色の固体として得た(28.9mg、0.022mmole、収率50%)。ESI(positive ion):1380.9[M+1]
+,1403.2[M+Na]
+。
【0208】
ステップ4:リンカー−薬物15の合成
4mL DCM中の化合物15c(8.6mg、6μmole)の溶液に、20〜23℃でトリフルオロ酢酸2mL(10.4mmole)を滴下して加えた。水浴を取り除き、撹拌を2時間続けた。減圧下で溶媒を除去した。その残留物に2mLメタノールを加え、5分撹拌してから、溶媒を除去した。最小量のDIW(2mL)を加え、凍結乾燥して、TFA塩として化合物15c−deBocの粗生成物を得た(8.1mg)。ESI(positive ion):1277.0[M+1]
+,1298.9[M+Na]
+。
【0209】
DCM/DMF(1.2/0.5mL)溶液中のTFA塩(8.1mg、6μmole)の溶液に、0〜5℃で撹拌しながら、DCM(0.2mL)中のトリメチルアミン(45μL、0.324mole)、次いでDCM(0.3mL)中のクロロアセチルクロリド(21mg、0.185mmole)の溶液を加えた。2時間後に冷却浴を取り除き、室温で15時間撹拌を続けた。HPLCにより反応が完了したかをチェックし、その混合物を蒸発させ乾燥させた。RP−HPLCにより精製を行い(残留物は4mL M.P.溶媒により希釈、Inertsil ODS−3 カラム30×250mm、10μm、流量31mL/min、M.P.35%(0−5min) 43%(5−15min) 100%(15min−)AcN+0.1%TFA、UV220nm)、生成物を含有した画分(保持時間=11.45min)を凍結乾燥して、化合物15、つまりリンカー−薬物15を得た(6mg、4.5μmole、75%収率)。ESI,positive ion:M/Z:1333.0 [M+H]
+,1355.0[M+Na]
+。
【0210】
実施例16:リンカー−薬物16の作製
下記スキームに示される手順に従ってリンカー−薬物16を合成した。
【0211】
ステップ1:化合物16aの合成
8mL DCM中のプロリン−アウリスタチンF(117mg、0.14mmole)およびN−Boc−1,6−ヘキサンジアミン(45mg、0.21mmole)の溶液に、HATU(80mg、0.21mmole)およびDIPEA(45mg、0.35mmole)を加えた。反応は1時間後に完了した。減圧下で溶媒を除去した。分取HPLCにより精製を行った(Inertsil ODS−3 カラム30×250mm、流量31mL/min、移動相43%(0−10min) 50%(10−17min) 100%(17min−)AcN+0.1%TFA、UV220nm、化合物16a、RT 14.4min。上掲の化合物16aを白色の固体として得た(137.8mg、収率95%)。ESI,positive ion: M/Z:1042.4[M+H]
+,1064.9[M+Na]
+。
【0212】
ステップ2:化合物16bの合成
DCM(4mL)中の化合物16a(137.8mg、0.13mmole)の溶液にTFA(2mL)を加えた。その混合物を室温で1時間撹拌し、その後、真空下で溶媒を除去した。化合物16bの粗生成物をさらに精製することなく用いた。ESI,positive ion:M/Z:942.6[M+H]
+,964.8[M+Na]
+。
【0213】
ステップ3:化合物16cの合成
DCM(6mL)中のN−Boc−3,4−ジアミノ安息香酸(12.7mg、0.03mmole)およびペンタフルオロフェノール(10mg、0.05mmol)の混合溶液にDCC(11.1mg、0.05mmole)を加えた。その混合物を室温で12時間撹拌し、その沈殿物をろ過し、真空下で濃縮した。PFPエステルの溶液に化合物16b(33.9mg、0.03mmole)およびDIPEA(27.3mg、0.18mmole)を加えた。室温で1時間反応させた。溶媒を除去した後、化合物16cを分取HPLCで精製した(Inertsil ODS−3カラム、サイズ30×250mm、流量31mL/min、移動相:43%(0−5min)、50%(5−10min)、55%(10−20min)、100%(20min−)AcN/水+0.1%TFA、UV220nm、化合物16c、 RT 15.2min。上掲の化合物16cを白色の固体として得た(32mg、70%)。ESI,positive ion:M/Z:1277.0[M+H]
+,1299.0[M+Na]
+。
【0214】
ステップ4:リンカー−薬物16の合成
4mL DCM中の化合物16c(7.5mg、5.8μmole)の溶液に20〜23℃の水浴でトリフルオロ酢酸2mL(10.4mmole)を滴下して加えた。水浴を取り除き、撹拌を2時間続けた。減圧下で溶媒を除去し、その残留物に2mLメタノールを加え、5分撹拌してから、溶媒を除去した。最小量の水(2mL)を加え、凍結乾燥して、粗生成物化合物16c−deBocをTFA塩として得た。ESI for positive ion,M/Z:1077.0[M+H]
+,1098.9[M+Na]
+。
【0215】
DCM/DMF(1.0/0.5mL)溶液中のTFA塩(7mg、5.8μmole)の溶液に、0〜5℃で撹拌しながら、DCM(0.2mL)中のトリメチルアミン(40μL、0.288mmole)、次いでDCM(0.3mL)中のクロロアセチルクロリド(18mg、0.159mmole)の溶液を加えた。2時間後に冷却浴を取り除き、室温で15時間撹拌を続けた。HPLCにより反応が完了したかをチェックし、その混合物を蒸発させ乾燥させた。RP−HPLCにより精製を行い(残留物は3.5mL M.P.溶媒で希釈、Inertsil ODS−3 カラム30×250mm、10μm、流量31mL/min、M.P.35%から43%(グラジエント)AcN/H
2O+0.1%TFA、UV220nm)、生成物を含有した画分(保持時間12.27min)を凍結乾燥して、化合物16、つまりリンカー−薬物16を得た(5mg、4.1μmole、収率70%)。ESI,positive ion:M/Z:[M+H]
+=1228.9,1250.9[M+Na]
+。
【0216】
<抗体の還元>
ハーセプチンを2.0〜5.5モル当量のTCEPで37℃2時間処理し、還元した。脱塩した後、ハーセプチンのチオール濃度をDTNBにより測定し、かつタンパク質濃度をUV280nmで測定して、SHの数/IgGを算出した。還元ハーセプチンのバンドプロファイルをCEにより得た。4対の鎖間ジスルフィド結合が4.5〜5.0モル当量のTCEPにより還元され、8個の遊離チオールが得られたことが確認された。
【0217】
<抗体−薬物複合体(ADC)>
キャピラリー電気泳動(CE)および疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)を用い、架橋度および平均薬物抗体比(DAR)をそれぞれ測定した。
【0218】
HIC(疎水性相互作用クロマトグラフィー)分析
Butyl NPR(4.6×35mm)TOSOHカラムを有するAgilent HPLCを用い、薬物抗体比(DAR)プロファイルを分析した。移動相Aは25mMリン酸ナトリウム、1.5M硫酸アンモニウムからなり、pHは6.95、移動相Bは25mMリン酸ナトリウム、25%イソプロパノールからなり、pHは6.95であった。10μLの試料を流量0.8mL/minでカラムに注入した。グラジエントモード下、20分で分離した(表2)。吸光度を280nmで測定した。
【0219】
【表2】
【0220】
実施例17:ハーセプチン−リンカー−薬物1
抗体ハーセプチン(Rocheより購入)の凍結された結晶をDIW中に溶解した(初期濃度:11.36mg/mL)。抗体溶液40μLをTCEP0.77μL(5モル当量)で処理し、37℃で2時間撹拌した。脱塩カラムを用いて還元ハーセプチン中の余分なTCEPを除去し、緩衝液をホウ酸塩緩衝液に変えた。DMSO中で調製した20mMのリンカー−薬物1(2.618μL、17モル当量)を抗体溶液に25〜40℃で2時間かけて加え(混合溶液中の有機溶媒の最終濃度は約4.9%)、抗体−薬物複合体(ADC)を得た。脱塩カラム (ThermoFisher Scientific, MWCO:40K)を用い、生成物ADCであるハーセプチン−リンカー−薬物1を精製した。溶出時、緩衝液をPBS緩衝液(2.67mM KCl、1.47mM KH
2PO
4、137.93mM NaCl、8.06mM Na
2HPO
4−7H
2O)に変えた。
【0221】
図1は、ハーセプチン−リンカー−薬物1の平均DARが約3.9であり、D4の比率が約65%であることを示している。
【0222】
実施例18:ハーセプチン−リンカー−薬物2
抗体ハーセプチン(Rocheより購入)の凍結された結晶をDIW中に溶解した(初期濃度:11.36mg/mL)。抗体溶液40μLをTCEP3.07μL(5モル当量)で処理し、37℃で2時間撹拌した。脱塩カラムを用いて還元ハーセプチン中の余分なTCEPを除去し、緩衝液をホウ酸塩緩衝液に変えた。DMSO2.8μLを加え、均一に混合した。次いで、DMSO中で調製した20mMのリンカー−薬物2(1.386μL、9モル当量)を抗体溶液に0〜4℃で24時間かけて加え(混合溶液中の有機溶媒の最終濃度は約7.6%)、抗体−薬物複合体(ADC)を得た。脱塩カラム (ThermoFisher Scientific, MWCO:40K)を用い、生成物ADCであるハーセプチン−リンカー−薬物2を精製した。溶出時、緩衝液をPBS緩衝液(2.67mM KCl、1.47mM KH
2PO
4、137.93mM NaCl、8.06mM Na
2HPO
4−7H
2O)に変えた。
【0223】
図2は、ハーセプチン−リンカー−薬物2の平均DARが約4.3であり、D4の比率が約60%であることを示している。
【0224】
実施例19:ハーセプチン−リンカー−薬物3
抗体ハーセプチン(Rocheより購入)の凍結された結晶をDIW中に溶解した(初期濃度:11.36mg/mL)。抗体溶液40μLをTCEP3.07μL(5モル当量)で処理し、37℃で2時間撹拌した。脱塩カラムを用いて還元ハーセプチン中の余分なTCEPを除去し、緩衝液をホウ酸塩緩衝液に変えた。DMSO中で調製した20mMのリンカー−薬物3(3.234μL、21モル当量)を抗体溶液に0〜4℃で24時間かけて加え(混合溶液中の有機溶媒の最終濃度は約5.9%)、抗体−薬物複合体(ADC)を得た。脱塩カラム (ThermoFisher Scientific, MWCO:40K)を用い、生成物ADCであるハーセプチン−リンカー−薬物3を精製した。溶出時、緩衝液をPBS緩衝液(2.67mM KCl、1.47mM KH
2PO
4、137.93mM NaCl、8.06mM Na
2HPO
4−7H
2O)に変えた。
【0225】
図3は、ハーセプチン−リンカー−薬物3の平均DARが約3.6であり、D4の比率が約31%であることを示している。
【0226】
実施例20:ハーセプチン−リンカー−薬物5
抗体ハーセプチン(Rocheより購入)の凍結された結晶をDIW中に溶解した(初期濃度:11.36mg/mL)。抗体溶液40μLをTCEP3.07μL(5モル当量)で処理し、37℃で2時間撹拌した。脱塩カラムを用いて還元ハーセプチン中の余分なTCEPを除去し、緩衝液をホウ酸塩緩衝液に変えた。DMSO中で調製した20mMのリンカー−薬物5(1.386μL、9モル当量)を抗体溶液に0〜4℃で24時間かけて加え(混合溶液中の有機溶媒の最終濃度は約2.7%)、抗体−薬物複合体(ADC)を得た。脱塩カラム (ThermoFisher Scientific, MWCO:40K)を用い、生成物ADCであるハーセプチン−リンカー−薬物5を精製した。溶出時、緩衝液をPBS緩衝液(2.67mM KCl、1.47mM KH
2PO
4、137.93mM NaCl、8.06mM Na
2HPO
4−7H
2O)に変えた。
【0227】
図4は、ハーセプチン−リンカー−薬物5の平均DARが約4.0であり、D4の比率が約54%であることを示している。
【0228】
実施例21:ハーセプチン−リンカー−薬物7
抗体ハーセプチン(Rocheより購入)の凍結された結晶をDIW中に溶解した(初期濃度:11.36mg/mL)。抗体溶液40μLをTCEP3.07μL(5モル当量)で処理し、37℃で2時間撹拌した。脱塩カラムを用いて還元ハーセプチン中の余分なTCEPを除去し、緩衝液をホウ酸塩緩衝液に変えた。DMSO9.9μLを加え、均一に混合した。次いで、DMSO中で調製した20mMのリンカー−薬物7(1.694μL、11モル当量)を抗体溶液に0〜4℃で24時間かけて加え(混合溶液中の有機溶媒の最終濃度は約18.3%)、抗体−薬物複合体(ADC)を得た。脱塩カラム (ThermoFisher Scientific, MWCO:40K)を用い、生成物ADCであるハーセプチン−リンカー−薬物7を精製した。溶出時、緩衝液をPBS緩衝液(2.67mM KCl、1.47mM KH
2PO
4、137.93mM NaCl、8.06mM Na
2HPO
4−7H
2O)に変えた。
【0229】
図5は、ハーセプチン−リンカー−薬物7の平均DARが約3.9であり、D4の比率が約77%であることを示している。
【0230】
実施例22:ハーセプチン−リンカー−薬物8
抗体ハーセプチン(Rocheより購入)の凍結された結晶をDIW中に溶解した(初期濃度:11.36mg/mL)。抗体溶液440μLをTCEP33.78μL(5モル当量)で処理し、37℃で2時間撹拌した。脱塩カラムを用いて還元ハーセプチン中の余分なTCEPを除去し、緩衝液をホウ酸塩緩衝液に変えた。DMSO76.1μLを加え、均一に混合した。次いで、DMSO中で調製した20mMのリンカー−薬物8(15.25μL、9モル当量)を抗体溶液に25〜40℃で2時間かけて加え(混合溶液中の有機溶媒の最終濃度は約12.8%)、抗体−薬物複合体(ADC)を得た。脱塩カラム (ThermoFisher Scientific, MWCO:40K)を用い、生成物ADCであるハーセプチン−リンカー−薬物8を精製した。溶出時、緩衝液をPBS緩衝液(2.67mM KCl、1.47mM KH
2PO
4、137.93mM NaCl、8.06mM Na
2HPO
4−7H
2O)に変えた。
【0231】
図6は、ハーセプチン−リンカー−薬物8の平均DARが約4.2であり、D4の比率が約65%であることを示している。
【0232】
実施例23:ハーセプチン−リンカー−薬物9
抗体ハーセプチン(Rocheより購入)の凍結された結晶をDIW中に溶解した(初期濃度:11.36mg/mL)。抗体溶液40μLをTCEP3.07μL(5モル当量)で処理し、37℃で2時間撹拌した。脱塩カラムを用いて還元ハーセプチン中の余分なTCEPを除去し、緩衝液をホウ酸塩緩衝液に変えた。DMSO12.5μLを加え、均一に混合した。次いで、DMSO中で調製した20mMのリンカー−薬物9(0.924μL、6モル当量)を抗体溶液に25〜40℃で2時間かけて加え(混合溶液中の有機溶媒の最終濃度は約28.9%)、抗体−薬物複合体(ADC)を得た。脱塩カラム (ThermoFisher Scientific, MWCO:40K)を用い、生成物ADCであるハーセプチン−リンカー−薬物9を精製した。溶出時、緩衝液をPBS緩衝液(2.67mM KCl、1.47mM KH
2PO
4、137.93mM NaCl、8.06mM Na
2HPO
4−7H
2O)に変えた。
【0233】
図7は、ハーセプチン−リンカー−薬物9の平均DARが約4.0であり、D4の比率が約70%であることを示している。
【0234】
実施例24:ハーセプチン−リンカー−薬物11
抗体ハーセプチン(Rocheより購入)の凍結された結晶をDIW中に溶解した(初期濃度:11.36mg/mL)。抗体溶液40μLをTCEP3.07μL(5モル当量)で処理し、37℃で2時間撹拌した。脱塩カラムを用いて還元ハーセプチン中の余分なTCEPを除去し、緩衝液をホウ酸塩緩衝液に変えた。DMSO中で調製した20mMのリンカー−薬物11(1.078μL、7モル当量)を抗体溶液に0〜4℃で2時間かけて加え(混合溶液中の有機溶媒の最終濃度は約2.1%)、抗体−薬物複合体(ADC)を得た。脱塩カラム (ThermoFisher Scientific, MWCO:40K)を用い、生成物ADCであるハーセプチン−リンカー−薬物11を精製した。溶出時、緩衝液をPBS緩衝液(2.67mM KCl、1.47mM KH
2PO
4、137.93mM NaCl、8.06mM Na
2HPO
4−7H
2O)に変えた。
【0235】
図8は、ハーセプチン−リンカー−薬物11の平均DARが約8.0であり、D8の比率が約53%であることを示している。ハーセプチン−リンカー−薬物11のリンカーユニットは2つの薬物単位と結合する。よって、ハーセプチン−リンカー−薬物11の平均DARは、他のADCの2倍である。
【0236】
実施例25:ハーセプチン−リンカー−薬物12
抗体ハーセプチン(Rocheより購入)の凍結された結晶をDIW中に溶解した(初期濃度:11.36mg/mL)。抗体溶液40μLをTCEP3.07μL(5モル当量)で処理し、37℃で2時間撹拌した。脱塩カラムを用いて還元ハーセプチン中の余分なTCEPを除去し、緩衝液をホウ酸塩緩衝液に変えた。DMSO中で調製した20mMのリンカー−薬物12(2.615μL、17モル当量)を抗体溶液に25〜40℃で2時間かけて加え(混合溶液中の有機溶媒の最終濃度は約4.9%)、抗体−薬物複合体(ADC)を得た。脱塩カラム (ThermoFisher Scientific, MWCO:40K)を用い、生成物ADCであるハーセプチン−リンカー−薬物12を精製した。溶出時、緩衝液をPBS緩衝液(2.67mM KCl、1.47mM KH
2PO
4、137.93mM NaCl、8.06mM Na
2HPO
4−7H
2O)に変えた。
【0237】
図9は、ハーセプチン−リンカー−薬物12の平均DARが約3.2であり、D4の比率が約38%であることを示している。
【0238】
実施例26:ハーセプチン−リンカー−薬物13
抗体ハーセプチン(Rocheより購入)の凍結された結晶をDIW中に溶解した(初期濃度:11.36mg/mL)。抗体溶液40μLをTCEP3.07μL(5モル当量)で処理し、37℃で2時間撹拌した。脱塩カラムを用いて還元ハーセプチン中の余分なTCEPを除去し、緩衝液をホウ酸塩緩衝液に変えた。DMSO中で調製した20mMのリンカー−薬物13(0.924μL、6モル当量)を抗体溶液に25〜40℃で2時間かけて加え(混合溶液中の有機溶媒の最終濃度は約1.8%)、抗体−薬物複合体(ADC)を得た。脱塩カラム (ThermoFisher Scientific, MWCO:40K)を用い、生成物ADCであるハーセプチン−リンカー−薬物13を精製した。溶出時、緩衝液をPBS緩衝液(2.67mM KCl、1.47mM KH
2PO
4、137.93mM NaCl、8.06mM Na
2HPO
4−7H
2O)に変えた。
【0239】
図10は、ハーセプチン−リンカー−薬物13の平均DARが約3.9であり、D4の比率が約58%であることを示している。
【0240】
実施例27:ハーセプチン−リンカー−薬物14
抗体ハーセプチン(Rocheより購入)の凍結された結晶をDIW中に溶解した(初期濃度:11.36mg/mL)。抗体溶液40μLをTCEP0.77μL(5モル当量)で処理し、37℃で2時間撹拌した。脱塩カラムを用いて還元ハーセプチン中の余分なTCEPを除去し、緩衝液をホウ酸塩緩衝液に変えた。DMSO中で調製した20mMのリンカー−薬物14(2.002μL、13モル当量)を抗体溶液に0〜4℃で24時間かけて加え(混合溶液中の有機溶媒の最終濃度は約3.8%)、抗体−薬物複合体(ADC)を得た。脱塩カラム (ThermoFisher Scientific, MWCO:40K)を用い、生成物ADCであるハーセプチン−リンカー−薬物14を精製した。溶出時、緩衝液をPBS緩衝液(2.67mM KCl、1.47mM KH
2PO
4、137.93mM NaCl、8.06mM Na
2HPO
4−7H
2O)に変えた。
【0241】
図11は、ハーセプチン−リンカー−薬物14の平均DARが約4.0であり、D4の比率が約87%であることを示している。
【0242】
実施例28:ハーセプチン−リンカー−薬物15
抗体ハーセプチン(Rocheより購入)の凍結された結晶をDIW中に溶解した(初期濃度:11.36mg/mL)。抗体溶液40μLをTCEP0.77μL(5モル当量)で処理し、37℃で2時間撹拌した。脱塩カラムを用いて還元ハーセプチン中の余分なTCEPを除去し、緩衝液をホウ酸塩緩衝液に変えた。DMSO中で調製した20mMのリンカー−薬物15(2.002μL、13モル当量)を抗体溶液に0〜4℃で24時間かけて加え(混合溶液中の有機溶媒の最終濃度は約3.8%)、抗体−薬物複合体(ADC)を得た。脱塩カラム (ThermoFisher Scientific, MWCO:40K)を用い、生成物ADCであるハーセプチン−リンカー−薬物15を精製した。溶出時、緩衝液をPBS緩衝液(2.67mM KCl、1.47mM KH
2PO
4、137.93mM NaCl、8.06mM Na
2HPO
4−7H
2O)に変えた。
【0243】
図12は、ハーセプチン−リンカー−薬物15の平均DARが約4.0であり、D4の比率が約82%であることを示している。
【0244】
実施例29:ハーセプチン−リンカー−薬物16
抗体ハーセプチン(Rocheより購入)の凍結された結晶をDIW中に溶解した(初期濃度:11.36mg/mL)。抗体溶液40μLをTCEP3.07μL(5モル当量)で処理し、37℃で2時間撹拌した。脱塩カラムを用いて還元ハーセプチン中の余分なTCEPを除去し、緩衝液をホウ酸塩緩衝液に変えた。DMSO16.0μLを加え、均一に混合した。次いで、DMSO中で調製した20mMのリンカー−薬物16(2.002μL、13モル当量)を抗体溶液に0〜4℃で24時間かけて加え(混合溶液中の有機溶媒の最終濃度は約26.4%)、抗体−薬物複合体(ADC)を得た。脱塩カラム (ThermoFisher Scientific, MWCO:40K)を用い、生成物ADCであるハーセプチン−リンカー−薬物16を精製した。溶出時、緩衝液をPBS緩衝液(2.67mM KCl、1.47mM KH
2PO
4、137.93mM NaCl、8.06mM Na
2HPO
4−7H
2O)に変えた。
【0245】
図13は、ハーセプチン−リンカー−薬物16の平均DARが約4.0であり、D4の比率が約81%であることを示している。
【0246】
<保存試験(Storage Test)>
20mMリンカー−薬物7をDMSO中に−20℃で0日間、21日間、92日間および99日間保管した。LC−MSを用い、リンカー−薬物7の純度を分析した。LC−MS分析の条件は以下のとおりとした。
カラム:4.6mm×20mm XBridge C18 column(Waters, Milford USA)
流量:700μl/min
線形グラジエント:5から70% 溶媒B(100%アセトニトリルと0.1%ギ酸)
溶媒A(ddH
2O中、0.1%ギ酸)
溶媒B(100%アセトニトリルと0.1%ギ酸)
【0247】
図15に示されるように、異なる保管条件におけるリンカー−薬物7のLC−MS分析の結果から、DMSO中に溶解したときにリンカー−薬物7は安定であったということがわかる。
【0248】
<力価試験>
HER2陰性細胞株MDA−MB−468、抗ハーセプチン(登録商標)薬物耐性を有するHER2中程度発現(moderate-expressing)乳癌細胞株JIMT−1、およびHER2高発現乳癌細胞株BT−474をADCで処理し、これら細胞におけるADCの選択毒性を分析した。
【0249】
細胞をCorning CellBIND 96−ウェルプレートに密度6×10
3cells/wellで播種した。37℃で終夜、5%CO
2のインキュベーターで培養した後、段階希釈により異なる濃度のADCを細胞に加えた。次いで、細胞を72〜120時間、37℃、5%CO
2のインキュベーターで培養した。72〜120時間後、古い培地を除去し、細胞を1度リンスし、10倍希釈CCK−8試薬で37℃4時間処理した。その96ウェルプレートをELISAリーダーに入れ、450nmにおける吸光度を測定した。細胞生存率を次の式:細胞生存率(%)=(試料の強度/対照群の強度)×100%により算出した。ADC試料のIC50値をSigmaPlotソフトウェアを用いて算出した。
【0250】
表3および
図16によると、HER2陰性細胞株MDA−MB−468におけるハーセプチン−リンカー−薬物3、ハーセプチン−リンカー−薬物8、およびハーセプチン−リンカー−薬物9の毒性は、市販のKadcylaに比べて著しく低い。
【0251】
表4および
図17によると、HER2陰性細胞株MDA−MB−468におけるハーセプチン−リンカー−薬物14、ハーセプチン−リンカー−薬物15、およびハーセプチン−リンカー−薬物16の毒性は、市販のKadcylaに比べて著しく低い。
【0252】
また、表3、および
図18A〜18Cは、HER2中程度発現乳癌細胞株JIMT−1におけるハーセプチン−リンカー−薬物4、ハーセプチン−リンカー−薬物7、ハーセプチン−リンカー−薬物8、ハーセプチン−リンカー−薬物9、およびハーセプチン−リンカー−薬物11のIC50値が0.5nM未満であることを示している。JIMT−1細胞におけるこれらADCの力価は、市販のKadcylaに比べ良好である。特に、
図18Cはハーセプチン−リンカー−薬物11の細胞毒性を示しており、それは高DAR値を有し(DAR約8)、他のADCの細胞毒性よりも優れている。
【0253】
表4および
図19は、HER2中程度発現乳癌細胞株JIMT−1におけるハーセプチン−リンカー−薬物14、ハーセプチン−リンカー−薬物15、およびハーセプチン−リンカー−薬物16のIC50値が0.5nM未満であることを示している。JIMT−1細胞におけるこれらADCの力価は、市販のKadcylaに比べ良好である。
【0254】
また、表3および
図20A〜20Cは、HER2高発現乳癌細胞株BT−474におけるハーセプチン−リンカー−薬物2、ハーセプチン−リンカー−薬物3、ハーセプチン−リンカー−薬物4、ハーセプチン−リンカー−薬物7、ハーセプチン−リンカー−薬物8、ハーセプチン−リンカー−薬物9、およびハーセプチン−リンカー−薬物11のIC50値が0.5nM未満であることを示している。BT−474細胞におけるこれらADCの力価は、市販のKadcylaに比べて良好である。
【0255】
表4および
図21は、HER2高発現乳癌細胞株BT−474におけるハーセプチン−リンカー−薬物14、ハーセプチン−リンカー−薬物15、およびハーセプチン−リンカー−薬物16のIC50値が0.1nM未満であることを示している。BT−474細胞におけるこれらADCの力価は、市販のKadcylaに比べ良好である。
【0256】
結果から、表3中の部位特異的ADCは、HER2中程度発現乳癌細胞株JIMT−1およびHER2高発現乳癌細胞株BT−474において良好な選択毒性を備えることがわかる。
【0257】
【表3】
【0258】
【表4】
【0259】
<腫瘍増殖抑制試験:BT−474異種移植モデル>
1×10
7個の乳癌細胞株BT−474をNODSCIDマウスに皮下注射し、in vivoでのADCの薬効について試験した。
【0260】
先ず、雌マウスにエストラジオール試薬ペレット(0.36mg/ペレット;90days release,Innovative Research of America)を注入した。次いで、BT−474細胞をマウスに皮下注射し、腫瘍増殖を待った。腫瘍の長さおよび幅を測り、腫瘍のサイズを(長さ×幅×幅×1/2)(mm
3)で計算し、記録した。平均腫瘍サイズが約359mm
3になったとき、ビヒクル(DPBS)、Kadcyla(Rocheより購入)(10mg/kg)、ハーセプチン−リンカー−薬物5(5mg/kg)、ハーセプチン−リンカー−薬物5(2.5mg/kg)、ハーセプチン−リンカー−薬8(5mg/kg)、ハーセプチン−リンカー−薬8(2.5mg/kg)を、0日目および21日目に2回静脈内注射し(注入量10mL/kg B.W.)、薬力学的実験を行った。
【0261】
腫瘍増殖およびマウスの体重を60日目まで観察した。腫瘍増殖抑制(TGI)の計算式は、TGI(%)=[1―(△薬物処理群の腫瘍体積/△ビヒクル群の腫瘍体積)]×100(%)である。実験期間中、腫瘍がマウス体重の10%を上回るか、腫瘍体積が1500mm
3より大きくなるか、または他の副作用が同時に起こったら、人道的配慮からCO
2を用いてマウスを犠牲死させた。
【0262】
ADCで60日処理した後、ハーセプチン−リンカー−薬物5(5mg/kg)、ハーセプチン−リンカー−薬物8(5mg/kg)、およびハーセプチン−リンカー−薬物8(2.5mg/kg)処理群の腫瘍増殖は、大幅に抑制された。60日目に、ハーセプチン−リンカー−薬物5(5mg/kg)、ハーセプチン−リンカー−薬物8(5mg/kg)、およびハーセプチン−リンカー−薬物8(2.5mg/kg)処理群のTGIは、それぞれ133.8±9.4%、141.7±14%、および142.2±6.7%であり、一方、Kadcyla(10mg/kg)処理群のTGIは約64%であった(表5および
図22参照)。
【0263】
結果(表6参照)から、ADC投与後に、体重減少または他の顕著な異常臨床症状が生じなかったことがわかった。
【0264】
【表5】
【0265】
【表6】
【0266】
<腫瘍増殖抑制試験:EC PDXモデル>
国立台湾大学(National Taiwan University)より入手した子宮内膜癌腫瘍組織がHER2陽性(+1)であることを確認した。腫瘍(直径2〜3mm)をNODSCIDマウスに皮下移植し、in vivoでADCの薬効を試験した。
【0267】
平均腫瘍サイズが約100mm
3になったとき、マウスをグループ分けし、ADCを静脈注射した(注入量10mL/kg B.W.)。12日間ADCで処理した後、ハーセプチン−リンカー−薬物7(10mg/kg)、ハーセプチン−リンカー−薬物7(5mg/kg)、ハーセプチン−リンカー−薬物11(10mg/kg)、およびハーセプチン−リンカー−薬物11(5mg/kg)処理群の腫瘍増殖は大幅に抑制された。12日目に、ハーセプチン−リンカー−薬物7(10mg/kg)、ハーセプチン−リンカー−薬物7(5mg/kg)、ハーセプチン−リンカー−薬物11(10mg/kg)、およびハーセプチン−リンカー−薬物11(5mg/kg)処理群のTGIはそれぞれ95.6±2.3%、66.9±4.6%、101.7±0.5%、および95.0±3.2%であり、一方、Kadcyla(10mg/kg)処理群のTGIは 26.5±10.1%であった(表7および
図23参照)。
【0268】
結果(表8参照)から、ビヒクル、Kadcyla(10mg/kg)、ハーセプチン−リンカー−薬物7(10mg/kg)、およびハーセプチン−リンカー−薬物7(5mg/kg)投与後に、体重減少または他の顕著な異常臨床症状が生じなかったことがわかる。ハーセプチン−リンカー−薬物11(10mg/kg)およびハーセプチン−リンカー−薬物11(5mg/kg)投与後に著しい体重減少は生じたが、異常臨床症状は1週間後に回復した。
【0269】
【表7】
【0270】
【表8】
【0271】
当業者には、開示された実施形態に様々な修飾および変更を加え得ることは明かであろう。明細書および実施例は単に例とみなされることが意図されており、本開示の真の範囲は、以下の特許請求の範囲およびそれらの均等物によって示されるものである。