【解決手段】 管継手10は、継手本体12およびその継手本体を構造物に取り付けるための台座部14を含む。継手本体12は、90°に曲がった曲管部16とその両端に形成され、同じ外径の第1および第2直管部18を有し、台座部14は、取付け部20とこの取付け部と一体的にしかしオフセットを有して形成される保持部22を有する。第1直管部または第2直管部が保持部に篏合され、保持部に形成された凹部24に継手本体に形成された凸部26が係合する。保持部に挿入する直管部を変更したり、凸部が係合する凹部を変更したりすることによって、継手本体を任意の位置、任意の方向で取り付けることができる。
前記第1係合部は凹部および凸部の一方であり、前記第2係合部は凹部および凸部の前記一方に係合する凸部および凹部の他方である、請求項1ないし3のいずれかに記載の管継手。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1を参照し、この発明の一実施例の管継手10は、継手本体12と、この継手本体12を構造物へ取り付けるための台座14を含む。
【0026】
さらに
図2を参照して、この実施例の継手本体12は、一例として、給水栓エルボである。この継手本体12は全体として、塩化ビニール、ポレオレフィン系樹脂やエンジニリアリングプラスチックなどの合成樹脂、金属などで形成される。
【0027】
継手本体12は、90゜に湾曲した曲管部16と、この曲管部16の両端からそれぞれ一体的に形成された直管部18Aおよび18Bを含む。第1直管部である直管部18Aは曲管部16から水平に配置され、第2直管部である直管部18Bは垂直に配置される。直管部18Aおよび18Bは同じ外径を有する。
【0028】
ただし、水平の直管部18Aの管端内面には、給水栓を取り付けることができる雌ねじ20が形成される。この雌ねじ20は、継手本体12が樹脂製であればインサートとして形成される。垂直の直管部18Bの管端は受口22(
図2(E))として形成され、たとえば給水管(図示せず)の管端の差し口(図示せず)を挿入することによって、継手本体12が給水管に接続される。
【0029】
さらに、
図1および
図2に示す実施例の継手本体12には、曲管部16からそれぞれの直管部18Aおよび18B上に突出して、凸部24Aおよび24Bが形成される。これら凸部24Aおよび24Bは、直管部18Aおよび18Bの周方向において、それぞれ、90°の間隔で互いに対応させて4つ形成される。
【0030】
具体的には、1つの凸部24Aが直管部18Aの管頂(
図2(B))に位置し、その凸部24Aから90°毎に他の3つの凸部24Aが形成される。同様に、1つの凸部24Bが直管部18Bの管頂に位置し、その凸部24Bから90°毎に他の3つの凸部24Bが形成される。
【0031】
図1および
図3に示す台座部14は、取付け部26を含み、取付け部26は、構造物(図示せず)側に向けられる裏面26aと表面26bとを有する板状に形成される。実施例では、裏面26aは取付け面となるため平坦面として形成される。表面26bは取付け部26の幅方向両端から中央に向かうにつれて徐々に肉厚に形成され、その中央部において支持部28を介して、上述の継手本体12の直管部18Aまたは18Bを保持するための保持部30が一体的に形成される。
【0032】
保持部30の内面は、継手本体12の直管部18Aおよび18Bの外面に添う形状に形成される。実施例では、保持部30は直管部18Aおよび18Bの外径と等しいかそれより僅かに大きい内径を有しかつ保持部30の管軸方向に一定の幅を持つ環状板状に形成される。
【0033】
保持部30の管軸方向の両端には、管軸方向においてそれぞれ奥側に凹む凹部32Aおよび32Bが形成される。これら凹部32Aおよび32Bは、それぞれ、保持部30の周方向において、90°の間隔で4つ互いに対応させて形成される。
【0034】
1つの凹部32Aが保持部30の管頂(
図3(B))に位置し、その凹部32Aから90°毎に他の3つの凹部32Aが形成される。同様に、1つの凹部32Bが保持部30の管頂(
図4(D))に位置し、その凹部32Bから90°毎に他の3つの凹部32Bが形成される。
【0035】
このように、保持部30の管軸方向先端に形成された4つの凹部32Aおよび保持部30の管軸方向後端に形成された4つの凹部32Bが90°間隔で周方向においてそれぞれ対応する位置に形成される。そして、前述したように凸部24Aの1つが直管部18Aの管頂位置に形成され、凹部32Aおよび32Bのそれぞれの1つが保持部30の管頂位置に形成されているので、凸部24Aと凹部32Aおよび32Bはすべて、水平の直管部18Aの周方向において、互いに対応する位置に90°毎に形成される。他方、上述のように直管部18Aに形成された4つの凸部24Aと直管部18Bに形成された4つの凹部32Bが周方向において互いに対応する位置に形成される。
【0036】
取付け部26は保持部30の管軸方向に一定の幅を有して板状に形成されるが、保持部30は、この取付け部26の管軸方向の前端(
図4(C))において、取付け部26の表面側に、支持部28によって、取付け部26と一体的に形成される。したがって、保持部30は、平面視において、取付け部26から前方に突出する。つまり、保持部30は取付け部26に対して
図4(C)に示すオフセット34を有して形成される。このオフセット34は、後述するように、継手本体12の直管部18Aを保持部30で保持したときに、継手本体12と壁(図示せず)との干渉を回避するために設定されている。
【0037】
取付け部26には管軸方向のほぼ中央に、管軸方向に直交する方向すなわち保持部30の幅方向に間隔を隔てて、1対の取付け孔36が形成される。たとえば、取付け部26の裏面26aを構造物(図示せず)に押し当て、取付け部26の表面26b側から取付け孔36にタッピングねじを螺入して、取付け部26を構造物に取り付ける。取付け孔36は、平面視において保持部30と重ならない位置に形成される。つまり、取付け孔36は、保持部30の管径より大きい間隔を隔てて形成される。したがって、取付け部26を構造物へ取り付けるときだけでなく、構造物から取付け部を取り外すときにも保持部30の干渉がなく(保持部が邪魔にならないので)、作業がし易い。
【0038】
ただし、取付け孔36は、少なくとも1対あればよく、2対すなわち4つ以上の取付け孔があってもよい。この場合、必要なら、取付け部26の面積(大きさ)を変更すればよい。
【0039】
図1‐
図3に示す実施例の管継手において、
図4に示す取付け状態は、いわゆる上座取付け状態である。この上座取付け状態では、まず、台座部14の取付け部26の裏面26aを
図4(B)に示すように上側の構造物38の下面に当てて、取付け孔36にたとえばタッピングねじ(図示せず)を螺入し、その構造部38に取付け部26を取付ける。
【0040】
そして、継手本体12の水平直管部18Aを台座部14の保持部30内へ、保持部30の管軸方向後端から挿入し、直管部18Aの外周面上に突出する凸部24Aを、保持部26の後端の凹部32Bへ篏合させる。このとき、特に
図4(C)からよくわかるように、直管部18Aの管頂位置に突出している凸部24Aを保持部30の管頂位置に形成された後端凹部32Bへ係合させ、残りの凸部18Aを残りの凹部32Bの対応するものに係合させる。これによって、すべての凸部24Aがすべての凹部32Bに係合するので、保持部30は直管部18Aを固定的に保持することができる。したがって、
図4(C)に示すように、直管18Aが水平に配置され、直管部18Bが垂直に配置される。
【0041】
ただし、継手本体12と台座部14とを固定する手段、たとえば接着などを用いれば、
図4の状態(および後述の各状態)を安定的に保持することができる。
【0042】
なお、
図4に示す上座状態では、台座部14にオフセット34を設定しているので、保持部30すなわち直管部18A(ねじ20を有する)を、室内壁37に形成した貫通孔37aを通して室内側に臨ませることができる。つまり、台座部14の保持部30が、室内壁37の貫通孔37a内にあっても、
図4のような上座や後述の横座として、構造物38に取り付けることが可能となる。その意味で、オフセット34は、保持部30の取付け部26からの前方への突出量を規定するということができる。
【0043】
ただし、このようなオフセット34は、管継手10の後方にこの管継手10を取り付けるためのものではない奥壁39がある場合でも、継手本体12と奥壁39との干渉が回避でき、取付け場所の制限が可及的緩和され得るという別の利点ももたらす。
【0044】
ただし、オフセット34の大きさは、保持部30の取付け部26の前方への必要な突出量に応じて設定すればよい。
【0045】
図5に示す上座取付け状態では、
図4(C)の取付け状態に比べて、直管部18Aおよび18Bが、直管部18Bを右にして、それぞれ水平に配置される。
図4(C)では保持部30の管頂位置の後端凹部32Bに直管部18Aの管頂位置の凸部24Aを係合させた。これに対して、
図5の場合、
図4(C)で保持部30の管頂位置の凹部32Bに係合させた凸部から時計方向(
図4(C)において)に90°離れた位置に形成されている凸部24Aを、保持部30の管頂位置の凹部32Bに係合させる。つまり、
図4(C)の係合位置から反時計方向に90°ずらせた係合位置で凸部24Aと凹部32Bを係合させる。
【0046】
これに対して、
図6に示す上座取付け状態では、
図4(C)の取付け状態に比べて、直管部18Aおよび18Bが、直管部18Bを左にして、それぞれ水平に配置される。
図4(C)では保持部30の管頂位置の後端凹部32Bに直管部18Aの管頂位置の凸部24Aを係合させた。これに対して、
図6の場合、
図4(C)で保持部30の管頂位置の凹部32Bに係合させた凸部から反時計方向(
図4(C)において)に90°離れた位置に形成されている凸部24Aを、保持部30の管頂位置の凹部32Bに係合させる。つまり、
図4(C)の係合位置から時計方向に90°ずらせた係合位置で凸部24Aと凹部32Bを係合させる。
【0047】
図7に示す取付け状態は、いわゆる横座取付け状態である。この横座取付け状態では、まず、台座部14の取付け部26の裏面26aを
図7(A)に示すように横側の構造物38の側面(横壁)に当てて、取付け孔36にたとえばタッピングねじ(図示せず)を螺入し、その構造部38に取付け部26を取付ける。このとき、
図7(B)に示すように、台座部14において保持部30が下側に向くように取り付けられる。つまり、保持部30は、後端側の凹部32Bが上になり前端側の凹部32Aが下になるよう配置される。
【0048】
そして、継手本体12の垂直直管部18Bを台座部14の保持部30内へ、保持部30の管軸方向後端(
図7(B)で上端)から挿入し、直管部18Bの外周面上に突出する凸部24Bを、保持部26の後端の凹部32Bへ篏合させる。このとき、特に
図7(C)からよくわかるように、直管部18Bの管頂位置に突出している凸部24Bを保持部30の管頂位置から時計方向(
図7(A))において90°ずれた凹部32Bへ係合させ、残りの凸部18Bを残りの凹部32Bの対応するものに係合させる。これによって、すべての凸部24Bがすべての凹部32Bに係合するので、保持部30は直管部18Bを固定的に保持することができる。したがって、
図7(B)に示すように、継手本体12は、直管部18Aが水平に配置され、直管部18Bが垂直に配置される。
【0049】
なお、横座状態において、凹部32Bと係合する凸部24Bを
図7に示すものとは180°ずらせることによって、水平の直管部18Aの管端の方向を
図7(A)とは逆に変更することができる。
【0050】
さらに、
図7の横座状態では、保持部26の後端側の凹部32Bが上になり前端側の凹部32Aが下になるように、台座部14の取付け部26を水平状態とした。しかしながら、
図8に示すように、保持部26の後端側の凹部32Bが右(または左)になり前端側の凹部32Aが左(または右)になるように、台座部14の取付け部26を垂直状態に配置して、横の構造物38に取付け部26を取り付けることができる。
【0051】
そして、その状態で、保持部30に直管部18Aを保持部30の後端から篏合させ、その際に
図4‐
図6のいずれかに示すように角度を変えることも可能である。
【0052】
図9に示す取付け状態は、いわゆる背面上座取付け状態である。この背面上座取付け状態では、まず、台座部14の取付け部26の裏面26aを
図9(B)に示すように背面の構造物38の側面に当てて、取付け孔36にたとえばタッピングねじ(図示せず)を螺入し、その構造部38に取付け部26を水平に取付ける。このとき、
図9に示すように、台座部14において保持部30が下側に向くように取り付けられる。つまり、保持部30は、後端側の凹部32Bが上になり前端側の凹部32Aが下になるよう配置される。
【0053】
そして、継手本体12の垂直直管部18Bを台座部14の保持部30内へ、保持部30の管軸方向後端(
図9(B)で上端)から挿入し、直管部18Bの外周面上に突出する凸部24Bを、保持部26の後端の凹部32Bへ篏合させる。このとき、直管部18Bの管頂位置に突出している凸部24Bを保持部30の管頂位置の凹部32Bへ係合させ、残りの凸部18Bを残りの凹部32Bの対応するものに係合させる。これによって、すべての凸部24Bがすべての凹部32Bに係合するので、保持部30は直管部18Bを固定的に保持することができる。したがって、
図9(B)に示すように、継手本体12は、直管部18Aが水平に配置され、直管部18Bが垂直に配置される。
【0054】
なお、
図9に示す背面上座状態において、凹部32Bと係合する凸部24Bを
図9に示すものとは左または右に90°ずらせることによって、水平の直管部18Aの管端の方向を変更することができる。
【0055】
図10に示す取付け状態は、いわゆる背面下座取付け状態である。この背面下座取付け状態では、まず、台座部14の取付け部26の裏面26aを
図10(B)に示すように背面の構造物38の側面に当てて、構造部38に取付け部26を水平に取付ける。このとき、
図10に示すように、台座部14において保持部30が上側に向くように取り付けられる。つまり、保持部30は、前端側の凹部32Aが上になり後端側の凹部32Bが下になるよう配置される。
【0056】
そして、継手本体12の垂直直管部18Bを台座部14の保持部30内へ、保持部30の管軸方向前端(
図10で上端)から挿入し、直管部18Bの外周面上に突出する凸部24Bを、保持部26の後端の凹部32Bへ篏合させる。このとき、直管部18Bの管頂位置に突出している凸部24Bを保持部30の管頂位置の凹部32Bへ係合させ、残りの凸部18Bを残りの凹部32Bの対応するものに係合させる。これによって、すべての凸部24Bがすべての凹部32Bに係合するので、保持部30は直管部18Bを固定的に保持することができる。したがって、
図10(B)に示すように、継手本体12は、直管部18Aが水平に配置され、直管部18Bが垂直に配置される。
【0057】
なお、
図10に示す背面上座状態において、凹部32Bと係合する凸部24Bを
図10に示すものとは左または右に90°ずらせることによって、水平の直管部18Aの管端の方向を変更することができる。
【0058】
図9の背面上座状態と
図10の背面下座状態とを比較すればわかるように、それぞれ取付け部26を背面の構造物38に取り付けることは同じである。しかしながら、保持部30の位置が前者は下側に配置されているが、後者では上側に配置されている。つまり、保持部30の高さ位置が変更されている。そのような保持部30に直管部18Bを篏合させると、当然、直管部18Aの高さ位置も変わる。継手本体10の各部の寸法は変更していない、同じ継手本体12を使用しているからである。
【0059】
このように、この実施例によれば、直管部18Aすなわち雌ねじ20の高さ位置を変更することができる。
【0060】
上述の実施例では、第1係合部としての保持部30に形成された凹部32A、32Bと第2係合部としての凸部24A、24Bはそれぞれ90°毎に周方向に4か所ずつ形成した。しかしながら、第1係合部は凹部なので4か所必要だが、第2係合部は凸部であるため1か所あればよい。つまり、凸部は周方向に1つだけあれば、4か所の凹部の任意のものに係合させることができる。この場合でも第1係合部と第2係合部は、第1直管部または第2直管部の周方向において90°間隔で保持部と第1直管部または第2直管部とを固定的に保持することができる。
【0061】
図11は、この発明の第2の実施例の台座部14を示す図解図である。先の実施例の台座部14と同様に、オフセット34を有して取付け部26の前端から突出するように保持部30が支持部28を介して取付け部26と一体的に形成される。
【0062】
保持部30は、この実施例でも環状板状に形成されているが、先の実施例では継手本体12の直管部18Aまたは18Bの全周を保持するように、360°の環状であったのに対し、この実施例の保持部30は、270°の環状に形成される。つまり、全円に対して3/4円の環状板状である。ただし、360°未満であれば(つまり一部欠損していれば)270°より大きくてもよい。
【0063】
そして、その270°の範囲の中に、
図11(E)からよくわかるように、保持部30の管頂に相当する位置に1つ、そこから左右に90°離れた位置に1つずつ、計3つの透孔40が形成される。この透孔40は、後述の
図12に示す継手本体12の凸部が係合する凹部として機能する。つまり、透孔40は第1係合部である。
【0064】
さらに、この実施例の保持部30の一部欠損環状の両端、
図11(B)での2つの下端にフック42が形成される。このフック42は、後述のように、
図12の継手本体12の直管部がこの保持部30に篏合したとき、両者を強固に固定する機能を果たす。フック42は、保持部30の両端が内側(保持部の中心に向かって)に突出して形成されたかえり(返り)である。
【0065】
図12に示す第2の実施例の継手本体12は、先の実施例と同様に、曲管部16の端部からそれぞれ延びて形成される2つの直管部18Aおよび18Bを含む。直管部18Aの管軸方向の中央またはほぼ中央には
図11の保持部30の透孔40に係合する、第2係合部としての凸部44Aが、直管部18Aの周方向において90°の間隔で4つ形成される。同様に、直管部18Bの管軸方向の中央またはほぼ中央には
図11の保持部30の透孔40に係合する、第2係合部としての凸部44Bが、直管部18Bの周方向において90°の間隔で4つ形成される。
【0066】
凸部44Aおよび44Bは、先の実施例の凸部24Aおよび24Bは直管部18Aおよび18Bのそれぞれの管軸方向に突出していたのに対して、直管部18Aおよび18Bのそれぞれの径方向に突出する。したがって、保持部30の管軸方向に窪んでいた先の実施例の凹部32Aおよび32Bとは異なり保持部30の径方向に、保持部30を貫通して形成される透孔40とうまく係合できる。
【0067】
直管部18Aの周面には、上記の4つの凸部44Aのそれぞれの間において管軸方向に延びて、断面矩形(
図12(E))の4つの溝46Aが形成される。この溝46Aも90°の間隔で形成される。同様に、直管部18Bの周面には、上記の4つの凸部44Bのそれぞれの間において管軸方向に延びて、断面矩形の4つの溝46Bが形成される。この溝46Bも90°の間隔で形成される。これらの溝46Aおよび46Bには、
図11に示す台座部14の保持部30の欠損端部に形成されたフック42が係合する。
【0068】
図13に示す上座取付け状態では、先の
図4と同様に、
図11に示す台座部14の取付け部26は、上側の構造物38の下面に取付けられる。そして、
図12に示す継手本体12の水平の直管部18Aを保持部30の後端から、保持部30に挿入する。このとき、
図13(B)に示すように、第2係合部である3つの凸部44Aが第1係合部である保持部30の3つの透孔40に係合する。
【0069】
同時に、透孔40と係合しなかった(余った)1つの凸部44Aを挟む2つの溝46Aに、保持部30の2つのフック42がそれぞれ係合する。したがって、継手本体12の直管部18Aが台座部14の保持部30に安定的に固定的に保持され得る。そのため、たとえば、継手本体12が金属製(またはオレフィン系樹脂製)であり台座部14が塩化ビニール製の場合のように、両者を接着できない場合でも、直管部18Aが強固に保持部30に保持される。
【0070】
このような両者の係合すなわち透孔40と凸部44Aの係合を一層強固にするために、場合によっては、台座部14の保持部30の直径(内径)を全体的にまたは部分的に直管部18A(または18B)の直径(外径)より少し小さくして、いわゆる「無理嵌め」の状態に設定することも可能である。
【0071】
図13の取付け状態においても、台座部14にオフセット34を設定しているので、保持部30すなわち直管部18Aを、室内壁37に形成した貫通孔37aを通して室内側に臨ませることができる。
【0072】
図14または
図15の上座状態は、先の実施例における
図5または
図6に示す上座状態と同様に、第1係合部である透孔40と第2係合部である凸部44Aとの係合位置を
図13(C)の位置から、反時計方向または時計方向に90°変更した状態である。これらの場合でも、保持部30の後端から、直管部18Aを保持部30に挿入し、3つの凸部44Aが3つの透孔40に係合するとともに、フック42が透孔40と係合しなかった凸部44Aを挟む2つの溝46Aに係合する。そのため、継手本体12が安定して強固に台座部14に保持される。
【0073】
この第2の実施例においても、先の第1の実施例で説明した、横座取付け状態(
図7または
図8)あるいは背面上座取付け状態(
図9)または背面下座取付け状態(
図10)のように、取付け位置、取付け方向などを適宜変更できることは容易に推測可能であろう。
【0074】
この第2実施例においても、第1係合部は透孔40なので90°毎に3か所必要だが、第2係合部は凸部44Aまたは44Bであるため1か所あればよい。つまり、凸部44Aまたは44Bは周方向に1つだけあれば、3か所の透孔40の任意のものに係合させることができる。したがって、この場合でも、第1係合部と第2係合部は、第1直管部または第2直管部の周方向において90°間隔で保持部と第1直管部または第2直管部とを固定的に保持することができる。
【0075】
図16に示す第3の実施例の台座部14においても、保持部30と継手本体とが接着できない場合を想定した工夫が施されている。ただし、台座部14が取付け部26とその取付け部26の前方に偏倚して(オフセット34を有して)設けられる保持部30を含み、保持部30には周方向に90°の間隔を隔てて4つの透孔40が形成される。
【0076】
この保持部30は環状板状ではあるが、その環状の一部で分割されていて、分割端部には
図16(B)で拡大して示す鋸歯状爪48aおよび48bがそれぞれ形成される。この鋸歯状爪48aおよび48bは、一旦
図16(B)で示すように互いに噛合した状態になれば、無理に力を加えなければ、開放されることはない。
【0077】
図17に示す第3の実施例の継手本体12は、曲管部16とそこから延びて形成される直管部18Aおよび18Bを有し、各直管部18Aおよび18Bの外周面には、先の第2実施例と同様のそれぞれ4つの凸部44Aおよび44Bが、周方向において90°間隔で管軸方向に延びて形成される。
【0078】
図18に示す上座取付け状態では、先の
図4と同様に、
図16に示す台座部14の取付け部26は、上側の構造物38の下面に取付けられる。そして、
図17に示す継手本体12の水平の直管部18Aを保持部30に篏合する。詳しくいうと、保持部30の分割両端の鋸歯状爪48aおよび48bの係合状態を外し、保持部30の分割両端を開放し、その開放部分から、
図17に示す継手本体12の直管部18Aを嵌め込み、その後保持部30の分割両端の鋸歯状爪48aおよび48bを
図16(B)に示す係合状態とする。したがって、直管部18Aが保持部30に強固に保持される。このとき、
図18(B)に示すように、第2係合部である4つの凸部44Aが第1係合部である保持部30の4つの透孔40に係合する。
【0079】
図18の取付け状態においても、台座部14にオフセット34を設定しているので、保持部30すなわち直管部18Aを、室内壁37に形成した貫通孔37aを通して室内側に臨ませることができる。
【0080】
さらに、第3実施例においても、第1係合部である透孔40を周方向に90°毎に4か所設け、第2係合部である凸部44Aまたは44Bは周方向に1か所あればよい。つまり、凸部44Aまたは44Bは周方向に1つだけあれば、4か所の透孔40の任意のものに係合させることができる。この場合でも第1係合部と第2係合部は、第1直管部または第2直管部の周方向において90°間隔で保持部と第1直管部または第2直管部とを固定的に保持することができる。
【0081】
この第3の実施例においても、鋸歯状爪48aおよび48bによって直管部18Aが保持部30に強固に保持されるので、そのため、継手本体12と台座部14を接着できない場合でも、直管部18Aが強固に保持部30に保持される。
【0082】
図19または
図20の上座状態の場合は、先の実施例における
図5または
図6に示す上座状態と同様に、第1係合部である透孔40と第2係合部である凸部44Aとの係合位置を
図18(B)の位置から、反時計方向または時計方向に90°変更した状態である。これらの場合でも、鋸歯状爪48aおよび48bによって直管部18Aが保持部30に強固に保持されるので、継手本体12が安定して強固に台座部14に保持される。
【0083】
この第3の実施例においても、先の第1の実施例で説明した、横座取付け状態(
図7または
図8)あるいは背面上座取付け状態(
図9)または背面下座取付け状態(
図10)のように、取付け位置、取付け方向などを適宜変更できることは容易に推測可能であろう。
【0084】
図21に示す第4の実施例の台座部14は、基本構造においては
図11に示す第2実施例の台座部14と同じである。つまり、オフセット34を有して取付け部26の前端から突出するように保持部30が形成され、この保持部30は、270°の環状に形成される。
【0085】
ただし、
図11の台座部14では保持部30の周方向において90°間隔で3つの透孔40が形成されるのに対して、この実施例の台座部14では、保持部30の管頂を挟んで、保持部30の周方向において90°の間隔で、2つの凸部50が、保持部30の内面上に形成される。さらに、この実施例の保持部30の一部欠損環状の両端に
図11の実施例と同様のフック42が保持部30の周方向において90°の間隔で形成される。そして、凸部50とフック42の間の間隔もまた90°である。
【0086】
他方、
図22に示す第4の実施例の継手本体12も先の実施例と同様に、曲管部16の端部からそれぞれ延びて形成される2つの直管部18Aおよび18Bを含み、各直管部18Aおよび18Bのそれぞれの外表面には、
図12と同様に先のフック42または凸部50が係合できる溝46Aおよび46Bが管軸方向に延びて形成される。ただし、
図12の実施例では溝46Aおよび46Bはそれぞれ2条ずつ形成されていたのに対し、この実施例では特に
図22(E)からよく分かるように、90°間隔で4条ずつ形成されている。
【0087】
そして、各直管部18Aおよび18Bのそれぞれの管端には、台座部14の保持部30からの抜け防止のためのストッパ(かえり)52Aおよび52Bが形成される。そのために、ストッパ52Aおよび52Bの外径は、
図21に示す台座部14の保持部30の外径より大きく設定される。
【0088】
図23に示す上座取付け状態では、先の
図4と同様に、
図21に示す台座部14の取付け部26は、上側の構造物38の下面に取付けられる。そして、
図22に示す継手本体12の直管部18Aを保持部30のフック42の間から、保持部30に押し込む。上述のように2つフック42の間隔は保持部30の周方向において90°であり、2つの凸部50の間隔も90°であり、凸部50とフック42との間の間隔もまた90°であるので、
図23(B)に示すように、第2係合部である2つの溝46Aに第1係合部である保持部30の2つの凸部50が係合するとともに、フック42が残った2つの溝46Aにそれぞれ係合する。したがって、継手本体12の直管部18Aが台座部14の保持部30に安定的に固定的に保持され得る。このとき、直管部18Aの管端のストッパ52Aが保持部30の前端に当接するため、保持部30から直管部18Aが脱落しようとしてもその脱落がストッパ52によって阻止される。つまり、直管部18Aの保持部30からの脱落がストッパ52Aによって防止される。
【0089】
図24または
図25の上座状態の場合は、先の実施例における
図5または
図6に示す上座状態と同様に、第1係合部である凸部50と第2係合部である溝46Aとの係合位置を
図23(B)の位置から、反時計方向または時計方向に90°変更した状態である。これらの場合でも、溝46Aに凸部52およびフック42がそれぞれ係合するため、継手本体12が安定して強固に台座部14に保持される。
【0090】
図24の取付け状態においても、台座部14にオフセット34を設定しているので、保持部30すなわち直管部18Aを、室内壁37に形成した貫通孔37aを通して室内側に臨ませることができる。
【0091】
この第4の実施例においても、先の第1の実施例で説明した、横座取付け状態(
図7または
図8)あるいは背面上座取付け状態(
図9)または背面下座取付け状態(
図10)のように、取付け位置、取付け方向などを適宜変更できることは容易に推測可能であろう。
【0092】
なお、第4の実施例のように台座部14の保持部30の内面の凸部50が、直管部18A(18B)の溝46A(46B)に係合する実施例において、台座部14の保持部30に、上述のフック42ではなく、
図16の実施例と同様の鋸歯状爪48aおよび48bを設け、その鋸歯状爪48aおよび48bで保持部30と直管部18A(18B)を強固に固定するようにしてもよい。
【0093】
なお、第4の実施例において、
図21の台座部14では保持部30の内面に2つの凸部50を形成したが、どちらか1つの凸部を形成するだけでもよい。
【0094】
上述のいずれの実施例も、台座部14を室内壁37の奥の構造物38の下面や側面に取り付ける場合について説明した。しかしながら、この発明の管継手においては、台座部14を床や床下に取り付けることもできる。この場合、床や床下の水平面に台座部14を取り付ければ、継手本体12の直管部18Aを垂直に配置することができる。
【0095】
上述の各実施例は、継手本体12および台座部14を塩化ビニールで構成したものとして説明した。この場合、雌ねじ20は、一般的には銅合金製のねじ部品をインサート成形することによって、直管部18Aの内周面に形成する。しかしながら、継手本体12をたとえばエンジニアリングプラスチック等の高強度の樹脂で形成する場合、雌ねじ20を直管部18Aに一体成型することもできる。
【0096】
継手本体12の材質やそれに接合する給水管のような管部材の材質毎に両者の接合方法は適宜選定され得る。
【0097】
なお、上で挙げた具体的な材料などは単なる一例であり、製品の仕様などの必要に応じて適宜変更可能である。