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特開2018-139065在庫レコード抽出装置、在庫レコード抽出方法および在庫レコード抽出プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-139065(P2018-139065A)
(43)【公開日】2018年9月6日
(54)【発明の名称】在庫レコード抽出装置、在庫レコード抽出方法および在庫レコード抽出プログラム
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/418 20060101AFI20180810BHJP
   G06Q 50/04 20120101ALI20180810BHJP
【FI】
   G05B19/418 Z
   G06Q50/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-33797(P2017-33797)
(22)【出願日】2017年2月24日
(71)【出願人】
【識別番号】398040527
【氏名又は名称】株式会社オービック
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中峰 和哉
(72)【発明者】
【氏名】芹澤 邦明
【テーマコード(参考)】
3C100
5L049
【Fターム(参考)】
3C100AA45
3C100BB31
3C100BB36
5L049CC04
(57)【要約】
【課題】各材料についての在庫レコードを記憶する在庫データ内において、各材料と製品の製番とを紐づけて管理することにより、所望の製番を含む在庫レコードを抽出し、当該抽出した在庫レコードを用いることにより、容易に在庫振替および在庫戻しを行うことができる在庫レコード抽出装置、在庫レコード抽出方法および在庫レコード抽出プログラムの提供を課題とする。
【解決手段】本実施形態では、指定された所在識別情報が自社製造倉庫または仕入先倉庫であり、指定された製番情報を含み、指定された製品状態識別情報が未完成状態である在庫レコードを、在庫データから抽出する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部および記憶部を備える在庫レコード抽出装置であって、
前記記憶部には、
製品を製造するために使用するまたは使用した各材料を識別するための材料識別情報と、前記各材料が、自社材料倉庫、自社製造倉庫、仕入先倉庫のいずれにあるかを示す所在識別情報と、前記製品の受注単位で前記製品に対して採番される番号である製番情報と、前記各材料についての在庫数量と、前記製品が未完成状態および完成状態のどちらであるかを示す製品状態識別情報と、を含む在庫レコードを記憶する在庫データ
が格納されており、
前記制御部は、
指定された所在識別情報が前記自社製造倉庫または前記仕入先倉庫であり、指定された製番情報を含み、指定された製品状態識別情報が前記未完成状態である在庫レコードを、前記在庫データから抽出する第一抽出手段
を備えること、
を特徴とする在庫レコード抽出装置。
【請求項2】
前記在庫レコードが、
前記各材料についての金額と、前記各材料が自社資産および他社資産のどちらであるかを示す資産区分識別情報と、を更に含み、
前記制御部は、
指定された製番情報を含み、指定された製品状態識別情報が前記未完成状態であり、指定された資産区分識別情報が前記自社資産である在庫レコードを、前記在庫データから抽出する第二抽出手段
を更に備えること、
を特徴とする請求項1に記載の在庫レコード抽出装置。
【請求項3】
制御部および記憶部を備える情報処理装置で実行される在庫レコード抽出方法であって、
前記記憶部には、
製品を製造するために使用するまたは使用した各材料を識別するための材料識別情報と、前記各材料が、自社材料倉庫、自社製造倉庫、仕入先倉庫のいずれにあるかを示す所在識別情報と、前記製品の受注単位で前記製品に対して採番される番号である製番情報と、前記各材料についての在庫数量と、前記製品が未完成状態および完成状態のどちらであるかを示す製品状態識別情報と、を含む在庫レコードを記憶する在庫データ
が格納されており、
前記制御部で実行される、
指定された所在識別情報が前記自社製造倉庫または前記仕入先倉庫であり、指定された製番情報を含み、指定された製品状態識別情報が前記未完成状態である在庫レコードを、前記在庫データから抽出する第一抽出ステップ
を含むこと、
を特徴とする在庫レコード抽出方法。
【請求項4】
制御部および記憶部を備える情報処理装置に実行させるための在庫レコード抽出プログラムであって、
前記記憶部には、
製品を製造するために使用するまたは使用した各材料を識別するための材料識別情報と、前記各材料が、自社材料倉庫、自社製造倉庫、仕入先倉庫のいずれにあるかを示す所在識別情報と、前記製品の受注単位で前記製品に対して採番される番号である製番情報と、前記各材料についての在庫数量と、前記製品が未完成状態および完成状態のどちらであるかを示す製品状態識別情報と、を含む在庫レコードを記憶する在庫データ
が格納されており、
前記制御部に実行させるための、
指定された所在識別情報が前記自社製造倉庫または前記仕入先倉庫であり、指定された製番情報を含み、指定された製品状態識別情報が前記未完成状態である在庫レコードを、前記在庫データから抽出する第一抽出ステップ
を含むこと、
を特徴とする在庫レコード抽出プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、在庫レコード抽出装置、在庫レコード抽出方法および在庫レコード抽出プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、生産ラインにおける仕掛り在庫台数、仕掛り在庫金額等を管理する技術に関し、特に、生産ラインにおいて生産中の製品の製造リードタイム等を算出しながら、リアルタイムで仕掛り在庫台数、仕掛り在庫金額等を管理する生産履歴情報管理装置、それを用いた生産履歴情報管理システム、生産履歴情報管理方法、そのコンピュータ・プログラムおよびそのプログラムを記録した記録媒体が開示されている(0001段落等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−258927号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような在庫管理の分野においては、従来、大型装置等の製品を構成する各材料を以下のように管理していた。すなわち、前記各材料と前記大型装置に対して採番される製番とを、仕入データ内で紐づけて管理することにより、製番振替(ある製品の製造に使用する予定だった材料を、他の製品の製造に使用する材料へと振替すること)および在庫戻し(ある製品の製造に使用する予定だった材料を、原材料段階へと戻す)を行っていた。
【0005】
具体的には、A装置の製造に材料X10個を使用する予定だったが、9個で済んだため、残りの材料X1個を、装置Bの製造に用いる(製番振替)または原材料倉庫に戻す(在庫戻し)という処理である。
【0006】
しかしながら、仕入データを用いて在庫振替および在庫戻しを行うと、仕入データに含まれる仕入数量をマイナス・プラスする必要があるため、処理が煩雑で、債務処理にも影響が出ていた。これに対して、在庫データを用いれば、在庫データに含まれる在庫数量をマイナス・プラスして在庫データを適宜更新していくことにより、在庫振替および在庫戻しを行うことができるため、作業が容易かつ迅速となる。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、各材料についての在庫レコードを記憶する在庫データ内において、各材料と製品の製番とを紐づけて管理することにより、所望の製番を含む在庫レコードを抽出し、当該抽出した在庫レコードを用いることにより、容易に在庫振替および在庫戻しを行うことができる在庫レコード抽出装置、在庫レコード抽出方法および在庫レコード抽出プログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る在庫レコード抽出装置は、制御部および記憶部を備える在庫レコード抽出装置であって、前記記憶部には、製品を製造するために使用するまたは使用した各材料を識別するための材料識別情報と、前記各材料が、自社材料倉庫、自社製造倉庫、仕入先倉庫のいずれにあるかを示す所在識別情報と、前記製品の受注単位で前記製品に対して採番される番号である製番情報と、前記各材料についての在庫数量と、前記製品が未完成状態および完成状態のどちらであるかを示す製品状態識別情報と、を含む在庫レコードを記憶する在庫データが格納されており、前記制御部は、指定された所在識別情報が前記自社製造倉庫または前記仕入先倉庫であり、指定された製番情報を含み、指定された製品状態識別情報が前記未完成状態である在庫レコードを、前記在庫データから抽出する第一抽出手段を備えること、を特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る在庫レコード抽出装置は、前記在庫レコードが、前記各材料についての金額と、前記各材料が自社資産および他社資産のどちらであるかを示す資産区分識別情報と、を更に含み、前記制御部は、指定された製番情報を含み、指定された製品状態識別情報が前記未完成状態であり、指定された資産区分識別情報が前記自社資産である在庫レコードを、前記在庫データから抽出する第二抽出手段を更に備えること、を特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る在庫レコード抽出方法は、制御部および記憶部を備える情報処理装置で実行される在庫レコード抽出方法であって、前記記憶部には、製品を製造するために使用するまたは使用した各材料を識別するための材料識別情報と、前記各材料が、自社材料倉庫、自社製造倉庫、仕入先倉庫のいずれにあるかを示す所在識別情報と、前記製品の受注単位で前記製品に対して採番される番号である製番情報と、前記各材料についての在庫数量と、前記製品が未完成状態および完成状態のどちらであるかを示す製品状態識別情報と、を含む在庫レコードを記憶する在庫データが格納されており、前記制御部で実行される、指定された所在識別情報が前記自社製造倉庫または前記仕入先倉庫であり、指定された製番情報を含み、指定された製品状態識別情報が前記未完成状態である在庫レコードを、前記在庫データから抽出する第一抽出ステップを含むこと、を特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る在庫レコード抽出プログラムは、制御部および記憶部を備える情報処理装置に実行させるための在庫レコード抽出プログラムであって、前記記憶部には、製品を製造するために使用するまたは使用した各材料を識別するための材料識別情報と、前記各材料が、自社材料倉庫、自社製造倉庫、仕入先倉庫のいずれにあるかを示す所在識別情報と、前記製品の受注単位で前記製品に対して採番される番号である製番情報と、前記各材料についての在庫数量と、前記製品が未完成状態および完成状態のどちらであるかを示す製品状態識別情報と、を含む在庫レコードを記憶する在庫データが格納されており、前記制御部に実行させるための、指定された所在識別情報が前記自社製造倉庫または前記仕入先倉庫であり、指定された製番情報を含み、指定された製品状態識別情報が前記未完成状態である在庫レコードを、前記在庫データから抽出する第一抽出ステップを含むこと、を特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、各材料についての在庫レコードを記憶する在庫データ内において、各材料と製品の製番とを紐づけて管理することにより、所望の製番を含む在庫レコードを抽出し、当該抽出した在庫レコードを用いることにより、容易に在庫振替および在庫戻しを行うことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、在庫レコード抽出装置の構成の一例を示すブロック図である。
図2図2は、在庫データの更新の一例を示す図である。
図3図3は、在庫データの更新の一例を示す図である。
図4図4は、製番振替の一例を示す図である。
図5図5は、在庫戻しの一例を示す図である。
図6図6は、実績管理・進捗管理の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明に係る在庫レコード抽出装置、在庫レコード抽出方法および在庫レコード抽出プログラムの実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。なお、本実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0015】
[1.概要]
大型機械製造業界等の分野においては、従来、製品の製番(製品に対して受注単位で発番する製造番号)を仕入データに持たせていたため、製番振替や在庫戻しについては、仕入データにおける仕入数量のマイナス・プラスにより行っていたため、処理が煩雑で、債務にも影響が出ていた。また、製番を在庫データに持たせた場合も、前記製品を構成する各材料の平均単価しか出せないため、仕入時の前記各材料の実際原価の把握ができなかった。
【0016】
そこで、本実施形態においては、製品の製番を在庫データに持たせ、あらゆる条件で在庫データから在庫レコードを抽出することにより、仕掛品の材料の在庫金額、原材料の在庫金額、完成品の在庫金額、有償支給および無償支給の材料の在庫金額等を把握できるようにした。また、本実施形態においては、個別原価管理が必要な大型機械業界で頻繁に行われている製番振替や在庫戻しを容易にできるようにした。そして、本実施形態においては、前記各材料を仕入時ロット別単価で管理することにより、リアルタイムで前記各材料の個別原価を確認できるようにし、これにより、予算に対する実績管理・進捗管理を行えるようにした。
【0017】
ここで、本実施形態における在庫データの更新について、図2および図3を用いて順を追って説明する。
【0018】
(原材料段階)
まず、図2の「1.原材料を仕入」に示すように、各材料(フレーム固定金具A、フレーム固定金具B、六角穴付ボルト)を、どの製品の製造に使用するか未確定の段階(すなわち、原材料の段階)では、前記各材料に対して製番は割り当てられない。
【0019】
(仕掛品段階)
次に、図2の「2.仕掛品に引当て」に示すように、前記各材料をどの製品の製造に使用するかが確定すると、前記各材料に対して、前記製品の製番(MT001A001)が割り当てられる。
【0020】
そして、前記製品を自社の社内倉庫で製造するために、フレーム固定金具Aを自社の社内倉庫に移動した場合には、図3の「3−1.自社で製造する場合」の1行目の在庫レコード(在庫レコードとは、在庫データ106aにおける横一行の情報を指す)に示すように、在庫場所名が、「材料倉庫」から「製造倉庫」に更新される。
【0021】
別の例として、前記製品の製造を仕入先Aに外注するために、フレーム固定金具Aを仕入先倉庫に有償支給して移動した場合には、図3の「3−2.外注先で製造する場合−有償支給−」の1行目の在庫レコードに示すように、在庫場所名が、「材料倉庫」から「仕入先A」に更新され、また、資産区分が、「1:自社」から「2:他社」に更新される。
【0022】
更に別の例として、前記製品の製造を仕入先Aに外注するために、フレーム固定金具Aを仕入先倉庫に無償支給して移動した場合には、図3の「3−3.外注先で製造する場合−無償支給−」の1行目の在庫レコードに示すように、在庫場所名は、「材料倉庫」から「仕入先A」に更新されるが、資産区分は、「1:自社」のままとなり更新されない。
【0023】
(完成品段階)
最後に、前記製品が完成すると、図3の「4.製品になる」に示すように、在庫場所名が、「社内倉庫」に更新され、また、完成フラグが、「0(製品が未完成であることを示す)」から「1(製品が完成したことを示す)」に更新される。
【0024】
なお、オペレータは、以下に示す条件を設定することにより、所望の在庫レコードを、在庫データ106aから抽出することができる。
【0025】
(原材料段階の材料についての在庫レコードの抽出条件)
完成フラグ 0
製番 なし(指定しない)
【0026】
(仕掛品段階の材料についての在庫レコードの抽出条件)
完成フラグ 0
製番 あり(指定する)
【0027】
(有償支給で外注している材料についての在庫レコードの抽出条件)
完成フラグ 0
在庫場所 仕入先
資産区分 2:他社
【0028】
(無償支給で外注している材料についての在庫レコードの抽出条件)
完成フラグ 0
在庫場所 仕入先
資産区分 1:自社
【0029】
(完成段階の製品についての在庫レコードの抽出条件)
完成フラグ 1
以下、具体的な構成および動作について説明する。
【0030】
[2.構成]
本実施形態に係る在庫レコード抽出装置100の構成について、図1を用いて説明する。図1は、在庫レコード抽出装置100の構成の一例を示すブロック図である。
【0031】
在庫レコード抽出装置100は、市販のデスクトップ型パーソナルコンピュータである。なお、在庫レコード抽出装置100は、デスクトップ型パーソナルコンピュータのような据置型情報処理装置に限らず、市販されているノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistants)、スマートフォン、タブレット型パーソナルコンピュータなどの携帯型情報処理装置であってもよい。
【0032】
在庫レコード抽出装置100は、図1に示すように、制御部102と通信インターフェース部104と記憶部106と入出力インターフェース部108と、を備えている。在庫レコード抽出装置100が備えている各部は、任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【0033】
通信インターフェース部104は、ルータ等の通信装置および専用線等の有線または無線の通信回線を介して、在庫レコード抽出装置100をネットワーク300に通信可能に接続する。通信インターフェース部104は、他の装置と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。ここで、ネットワーク300は、在庫レコード抽出装置100とサーバ200とを相互に通信可能に接続する機能を有し、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)等である。なお、後述する記憶部106に格納されるデータは、サーバ200に格納されてもよい。
【0034】
入出力インターフェース部108には、入力装置112および出力装置114が接続されている。出力装置114には、モニタ(家庭用テレビを含む)の他、スピーカやプリンタを用いることができる。入力装置112には、キーボード、マウス、およびマイクの他、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタを用いることができる。なお、以下では、出力装置114を、表示部としてのモニタ114とし、入力装置112をキーボード112またはマウス112として記載する場合がある。
【0035】
記憶部106には、各種のデータベース、テーブル、およびファイルなどが格納される。記憶部106には、OS(Operating System)と協働してCPU(Central Processing Unit)に命令を与えて各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録される。記憶部106として、例えば、RAM(Random Access Memory)・ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスクのような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および光ディスク等を用いることができる。
【0036】
記憶部106は、在庫データ106aを備えている。以下、在庫データ106aが含む各項目について説明する。
【0037】
在庫データ106aは、図2および図3に示すように、製品を製造するために使用するまたは使用した各材料を識別するための材料識別情報(図では、品目CD)と、前記各材料が、自社材料倉庫(図では、材料倉庫)、自社製造倉庫(図では、製造倉庫)、仕入先倉庫(図では、仕入先A)のいずれにあるかを示す所在識別情報(図では、在庫場所名)と、前記製品の受注単位で前記製品に対して採番される番号である製番情報(図では、製番)と、前記各材料についての在庫数量と、前記製品が未完成状態(図では、0)および完成状態(図では、1)のどちらであるかを示す製品状態識別情報(図では、完成フラグ)と、を含む在庫レコードを記憶する。なお、前記在庫レコードは、在庫データ106aにおける、横一行の情報を意味する。
【0038】
前記品目CDは、材料名称(または部品名称)、材料コード(または部品コード)等である。なお、前記品目CDは、製品名称、製品コード等であってもよい。前記在庫場所名は、物理的な在庫が存在する場所である。前記製番は、1製品ごとに製品に対して付与される製造番号である。前記在庫数量は、在庫の数量である。前記完成フラグは、前記製品が未完成状態(例えば、仕掛状態)および完成状態のどちらであるかを示す区分である。
【0039】
在庫データ106aにおいて、前記在庫レコードは、図2および図3に示すように、前記各材料についての金額(図では、在庫金額)と、前記各材料が自社資産(図では、1:自社)および他社資産(図では、2:他社)のどちらであるかを示す資産区分識別情報(図では、資産区分)と、を更に含んでいてもよい。なお、前記各材料についての金額は、図6に示すように、仕掛金額と表現されてもよい。
【0040】
前記在庫金額は、在庫の金額であり、在庫数×在庫単価により算出することができる。前記資産区分は、所有資産が、自社資産および他社資産のどちらであるかを示す区分である。
【0041】
在庫データ106aは、図2および図3に示すように、ロケーション識別情報(図では、ロケーション)、ロット識別情報(図では、ロット番号)等を更に含んでいてもよい。
【0042】
前記ロケーションは、前記各材料または前記製品が、前記在庫場所内のどのロケーション(位置)に存在するかを示す情報である。前記ロット番号は、仕入・製造時に、前記各材料に対して自動的に採番される番号である。詳細は[3.処理の具体例]で説明するが、前記ロット番号ごとに単価を持たせることで、前記各材料の個別原価を把握することができる。
【0043】
制御部102は、在庫レコード抽出装置100を統括的に制御するCPU等である。制御部102は、OS等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データなどを格納するための内部メモリを有し、格納されているこれらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。
【0044】
制御部102は、機能概念的に、(1)指定された所在識別情報が前記自社製造倉庫または前記仕入先倉庫であり、指定された製番情報を含み、指定された製品状態識別情報が前記未完成状態である在庫レコードを、前記在庫データから抽出する第一抽出手段としての第一抽出部102aと、(2)指定された製番情報を含み、指定された製品状態識別情報が前記未完成状態であり、指定された資産区分識別情報が前記自社資産である在庫レコードを、前記在庫データから抽出する第二抽出手段としての第二抽出部102bと、を備えている。これらのうち、第二抽出部102bは、任意の構成要素であるが、制御部102に含まれることが好ましい。なお、各部が実行する処理の詳細については、以下の[3.処理の具体例]で説明する。
【0045】
[3.処理の具体例]
以下、本実施形態に係る処理の具体例について、主に図4図6を用いて説明する。本実施形態に係る処理としては、大別すると、製番振替および在庫戻しと、進捗管理と、が存在するため、以下この順で項目立てて説明する。
【0046】
[3−1.製番振替および在庫戻し]
まず、製番振替および在庫戻しについて、図4および図5を用いて説明する。第一抽出部102aは、指定された所在識別情報が自社製造倉庫または仕入先倉庫であり、指定された製番情報を含み、指定された製品状態識別情報が未完成状態である在庫レコードを、在庫データ106aから抽出する。
【0047】
具体的には、所在識別情報(図では、在庫場所名)として「製造倉庫」が指定され、製番情報(図では、製番)として「MT001A001」が指定され、製品状態識別情報(図では、完成フラグ)として「0(製品未完成)」が指定されたとする。この場合、第一抽出部102aは、これらの条件すべてを満たす在庫レコードとして、「品目CD:六角穴付ボルト、在庫場所名:製造倉庫、製番:MT001A001、在庫数量:10、完成フラグ:図示していないが、0」を含む在庫レコードを、在庫データ106aから抽出する。抽出された在庫レコードを、図4および図5に、在庫データ106a(抽出レコード)として示す。そして、当該抽出された在庫レコードを用いて、以下のようにして、製番振替および在庫戻しを行うことができる。
【0048】
まず、製番振替について、図4を用いて説明する。製番MT001A001を有する製品を製造するために、六角穴付ボルトを10個、自社製造倉庫に出庫したものの、実際は9個しか使用せず、残り1個は、製番MT001A002を有する別の製品の製造に使用したとする。この場合、図4に示すように、製番MT001A001を含む在庫レコードについては、六角穴付ボルトの在庫数量を9個とし、更に、製番MT001A002を含む在庫レコードについては、六角穴付ボルトの在庫数量を1個とすることで、製番MT001A001を製番MT001A002へと振替する製番振替を行うことができる。
【0049】
次に、在庫戻しについて、図5を用いて説明する。製番MT001A001を有する製品を製造するために、六角穴付ボルトを10個、自社製造倉庫に出庫したものの、実際は9個しか使用せず、残り1個は、自社材料倉庫に戻したとする。この場合、図5に示すように、製番MT001A001を含む在庫レコードについて、六角穴付ボルトの在庫数量を9個とし、更に、残り1個の六角穴付ボルトについては製番をなし(図では、「_」)とすることで、製番MT001A001を自社材料倉庫へと戻す在庫戻しを行うことができる。
【0050】
このように、本実施形態に係る在庫レコード抽出装置100によれば、各材料についての在庫レコードを記憶する在庫データ内において、各材料と製品の製番とを紐づけて管理することにより、所望の製番を含む在庫レコードを抽出し、当該抽出した在庫レコードを用いることにより、容易に在庫振替および在庫戻しを行うことができる。
【0051】
[3−2.進捗管理]
次に、進捗管理について、図6を用いて説明する。第二抽出部102bは、指定された製番情報を含み、指定された製品状態識別情報が未完成状態であり、指定された資産区分識別情報が自社資産である在庫レコードを、在庫データ106aから抽出する。
【0052】
具体的には、製番情報(図では、製番)として「MT001A001」が指定され、製品状態識別情報(図では、完成フラグ)として「0(製品未完成)」が指定され、資産区分識別情報(図では、資産区分)として「1:自社」が指定されたとする。この場合、第二抽出部102bは、これらの条件すべてを満たす在庫レコードとして、図6に示す3つの在庫レコードを、在庫データ106aから抽出する。そして、当該抽出された3つの在庫レコードを用いて、以下のようにして進捗管理を行うことができる。
【0053】
図6に示す3つの在庫レコードに含まれる仕掛金額の合計は、100,000円+80,000円+40,000円=220,000円である。一方で、製番MT001A001を有する製品の予定原価が、図6に示すように、500,000円であるとする。ここで、通常、材料の仕掛金額の合計は、作業の進捗度に比例するため、製番MT001A001を有する製品を製造する作業の進捗率は、(220,000円/500,000円)×100%=44%と算出できる。このように、本実施形態に係る在庫レコード抽出装置100によれば、例えば、在庫データ106aが各材料についての仕掛金額を含めば、ある製品の予定原価および前記仕掛金額の合計値に基づいて、前記ある製品を製造する作業の進捗率を容易に算出することができる。
【0054】
また、当該抽出された3つの在庫レコードを用いることにより、進捗率管理に加えて、各材料の原価管理を行うことができる。従来は、ある製品を製造する際の材料原価は、在庫データを参照しても材料別に把握することができず、すなわち、「材料費○○○円」という様に大きな括りでしか把握できなかった。これに対して、本実施形態に係る在庫レコード抽出装置100によれば、例えば、在庫データ106aが各材料についての仕掛金額を含めば、各材料の仕掛金額(すなわち、材料別原価)を容易に把握することができる。
【0055】
なお、第二抽出部102bは、在庫データ106aが、各材料についての所在識別情報および在庫数量を含まなくても、在庫レコードを抽出することができる(第二抽出部102bが在庫レコードを抽出する際の検索項目に、所在識別情報および在庫数量は含まれないため)。また、当該抽出した在庫レコードを用いて行われる進捗管理および各材料の原価管理の際にも、各材料についての所在識別情報および在庫数量は必須の情報ではない。
【0056】
[4.他の実施形態]
本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0057】
例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0058】
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0059】
また、在庫レコード抽出装置100に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【0060】
例えば、在庫レコード抽出装置100が備える処理機能、特に制御部102にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPUおよび当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。尚、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて在庫レコード抽出装置100に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDD(Hard Disk Drive)などの記憶部などには、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部を構成する。
【0061】
また、このコンピュータプログラムは、在庫レコード抽出装置100に対して任意のネットワークを介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
【0062】
また、本実施形態で説明した処理を実行するためのプログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム商品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto−Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、および、Blu−ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。したがって、本明細書で説明したような処理又は処理方法を実行するためのプログラムを格納した記録媒体もまた本発明を構成することとなる。
【0063】
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードまたはバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0064】
記憶部106に格納される各種のデータベース等は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、および、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0065】
また、在庫レコード抽出装置100は、既知のパーソナルコンピュータまたはワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された当該情報処理装置として構成してもよい。また、在庫レコード抽出装置100は、当該装置に本実施形態で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラムまたはデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0066】
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じてまたは機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、特に、大型機械製造業界等において有用である。
【符号の説明】
【0068】
100 在庫レコード抽出装置
102 制御部
102a 第一抽出部
102b 第二抽出部
104 通信インターフェース部
106 記憶部
106a 在庫データ
108 入出力インターフェース部
112 入力装置
114 出力装置
200 サーバ
300 ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6