【解決手段】凹部130に磁石が設けられたタブレット端末に対してタッチペン200を固定する固定構造であって、磁石140に対して固定可能な磁性部材240と、磁性部材240をタッチペン200に対して所定位置に保持するとともに磁性部材240が所定位置から変位した場合に付勢力を発生するスプリング250と、を備える固定構造を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態にかかる情報処理システムについて図面を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態の情報処理システムは、タブレット端末(第1機器)100と、タッチペン(第2機器)200とを備える。
本実施形態の情報処理システムは、携帯型情報端末としてタブレット端末100を備えるものとしたが、スマートフォン等の他の携帯型情報端末を備えるものであってもよい。
【0012】
図1に示すように、タブレット端末100は、筐体110と、筐体110に取り付けられたタッチパネル120とを備える。筐体110の内部には、CPU,メモリ,通信モジュール等を搭載した回路基板(図示略)やバッテリー(図示略)などが内蔵されている。タブレット端末100の筐体110には、筐体110の内部へ向けて凹んだ凹部130が設けられている。
【0013】
図1および
図2に示すように、凹部130には、凹部130の底面130aの一部を形成するように4つの磁石141,142,143,144が設けられている。以下では、4つの磁石141,142,143,144を総称して磁石140という。
なお、
図1は、タブレット端末100を上方からみた平面図を示している。一方、
図2は、タブレット端末100を正面からみた正面図を示している。
【0014】
磁石140は、タブレット端末100にオプションパーツを固定するために設けられたものである。オプションパーツとは、タブレット端末100に対してキー入力を行うためのキーボード、タブレット端末100のタッチパネル120を保護するための保護カバー、バッテリー容量を増強するバッテリーユニットなどである。これらのオプションパーツには、磁石140に対して固定可能な磁性部材(例えば、鉄製の部材)が取り付けられている。オプションパーツに取り付けられた磁性部材を凹部130に挿入することにより磁性部材が磁石140に固定される。
【0015】
コネクタ150は、オプションパーツとしてキーボードが装着された場合に、キーボードとタブレット端末100との間で信号線等を電気的に接続するためのものである。キーボードに設けられたコネクタをタブレット端末100のコネクタ150に接続することにより、キーボードとタブレット端末100とが電気的に接続された状態となる。
【0016】
タッチペン200は、タブレット端末100のタッチパネル120に対して操作者が入力操作を行うためのペン型の機器である。例えば、タッチパネル120が静電容量式である場合には、タッチペン200として導電性を備えるものが用いられる。導電性のタッチペン200を介して操作者の手から微弱な静電気をタッチパネル120に伝達することにより、タッチパネル120に対する操作者の入力操作が行われる。
【0017】
図1および
図3に示すように、タッチペン200は、円筒状に形成される本体部210と、ペン先部220と、クリップ230と、磁性部材240と、スプリング(付勢力発生部)250とを備える。
本体部210は、導電性を有する材料により形成されており、一端にペン先部220が取り付けられている。
クリップ230は、タッチペン200をポケット等に保持するための部材であり磁性材料(例えば、鉄)により形成されている。
【0018】
磁性部材240は、磁石140に対して固定可能な磁性材料(例えば、鉄)により形成された部材である。
図3に示すように、磁性部材240は、本体部210の内部の空間部分に配置されるスプリング250によって、本体部210に対して所定位置に保持されている。
図3は、自然長のスプリング250を示しており、自然長のスプリング250によって磁性部材240は本体部210の外周面と同じ位置に保持されている。
【0019】
スプリング250は、
図3に示す自然長よりも伸びた場合(磁性部材240が本体部210の外周面から突出する場合)には、磁性部材240を本体部210の内部へ向けて引き寄せる付勢力を発生する。一方、スプリング250は、
図3に示す自然長よりも短くなった場合(磁性部材240が本体部210の内部へ押し込まれた場合)には、磁性部材240を本体部210の外周面へ向けて押し出す付勢力を発生する。
【0020】
本実施形態の情報処理システムは、キーボード等のオプションパーツを固定するために設けられた磁石140を用いることにより、タブレット端末100に対してタッチペン200を固定する固定構造を備える。本実施形態においては、タブレット端末100の凹部130に設けられる磁石140と、タッチペン200に設けられる磁性部材240,スプリング250とを含む構造を、タブレット端末100に対してタッチペン200を固定する固定構造という。
【0021】
図3に示すように、本実施形態の固定構造においては、タブレット端末100の凹部130に設けられた磁石140に対して固定可能な磁性部材240が、スプリング250によりタッチペン200に対して所定位置に保持されている。
図3に示すタッチペン200の磁性部材240をタブレット端末100の凹部130に近づけた場合、磁石140による引力が磁性部材240に与えられる。
【0022】
図4に示すように、スプリング250の変位により与えられる付勢力を上回る引力が磁性部材240に与えられた場合、磁性部材240が磁石140に引き寄せられて磁石140に固定された状態となる。
図4は、
図2に示すタブレット端末100のII−II矢視部分断面図であって、タブレット端末100に対してタッチペン200が固定された状態を示している。
図4に示すように、磁石140が凹部130の底面130aの一部を形成するように設けられているため、タッチペン200の一部が凹部130に収容された状態となる。そのため、本実施形態の固定構造によれば、タブレット端末100を大型化させることなくタブレット端末100にタッチペン200を固定することができる。
【0023】
また、凹部130に設けられた磁石140は、キーボード等のタブレット端末100のオプションパーツを固定するために設けられたものである。そのため、本実施形態の固定構造によれば、タッチペン200を固定するための磁石を新たに設けることなく、既存の磁石140を用いてタブレット端末100に対してタッチペン200を固定することができる。
【0024】
また、
図4に示すように、本実施形態のタッチペン200のクリップ230は磁性材料により形成されているため、クリップ230が磁石141および磁石142に固定された状態となる。そのため、本実施形態においては、タッチペン200の先端側に配置される磁性部材240が磁石143,144に固定され、タッチペン200の後端側に配置されるクリップ230が磁石141,142に固定される。よって、タブレット端末100に対してタッチペン200が強固に固定された状態となる。
【0025】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態にかかる情報処理システムについて図面を参照して説明する。
本実施形態の情報処理システムは、タブレット端末(第1機器)100Aと、タッチペン(第2機器)200Aとを備える。
本実施形態のタブレット端末100Aは、磁性部材が磁石140から離間することを防止する離間防止機構を備える点で第1実施形態のタブレット端末100と異なる。
また、本実施形態のタッチペン200Aは、一対の磁性部材と一対のスプリングを備える点で第1実施形態のタッチペン200と異なる。
【0026】
図5に示すように、本実施形態のタッチペン200は、本体部210と、ペン先部220と、クリップ230と、第1磁性部材241と、第2磁性部材242と、第1スプリング(第1付勢力発生部)251と、第2スプリング(第2付勢力発生部)252とを備える。
本体部210,ペン先部220,クリップ230については、第1実施形態と同様であるので以下での説明を省略する。
【0027】
第1磁性部材241および第2磁性部材242は、磁石140に対して固定可能な磁性材料(例えば、鉄)により形成された部材である。
図5に示すように、第1磁性部材241および第2磁性部材242は、本体部210の内部の空間部分に配置される第1スプリング251および第2スプリング252によって、それぞれ本体部210に対して所定値に保持されている。
図5は、自然長の第1スプリング251および自然長の第2スプリング252を示しており、自然長の第1スプリング251および第2スプリング252によって第1磁性部材241および第2磁性部材242はそれぞれ本体部210の外周面と同じ位置に保持されている。
【0028】
第1スプリング251および第2スプリング252は、
図5に示す自然長よりも伸びた場合(磁性部材が本体部210の外周面から突出する場合)には、第1磁性部材241および第2磁性部材242を本体部210の内部へ向けて引き寄せる付勢力を発生する。一方、第1スプリング251および第2スプリング252は、
図5に示す自然長よりも短くなった場合(磁性部材が本体部210の内部へ押し込まれた場合)には、第1磁性部材241および第2磁性部材242を本体部210の外周面へ向けて押し出す付勢力を発生する。
【0029】
図6に示すように、本実施形態のタブレット端末100Aの凹部130には、凹部130の底面130aの一部を形成するように4つの磁石141,142,143,144が設けられている。
また、凹部130には、磁石143が配置される凹部130の底面130aに対して鋭角θ1をなす第1傾斜面161aを形成する第1傾斜部材161と、磁石144が配置される凹部130の底面130aに対して鋭角θ2をなす第2傾斜面162aを形成する第2傾斜部材162とが設けられている。以下では、第1傾斜部材161と第2傾斜部材162を総称して傾斜部材(離間防止機構)160という。また、第1傾斜面161aと第2傾斜面162aを総称して傾斜面160aという。
【0030】
傾斜部材160は、第1磁性部材241および第2磁性部材242が磁石140から離間することを防止する離間防止機構として機能する部材である。傾斜部材160は、磁石140に対して第1磁性部材241および第2磁性部材242が固定された場合に、第1磁性部材241および第2磁性部材242の一部を凹部130の底面130aと傾斜面160aとの間に収容する。
【0031】
図6に示すように、タブレット端末100Aの筐体110には、スプリング172と離間部材171とを有する解除機構170が設けられている。解除機構170は、第1磁性部材241および第2磁性部材242の一部が凹部130の底面130aと傾斜面160aとの間に収容された状態を解除するための機構である。解除機構170は、自然長のスプリング172によって、離間部材171が凹部130へ突出した状態に保持される機構である。
【0032】
解除機構170は、スプリング172の付勢力に対向して離間部材171を凹部130へ突出しないように移動機構(図示略)により移動させることにより、第1磁性部材241および第2磁性部材242の一部が凹部130の底面130aと傾斜面160aとの間に収容された状態を解除する。
ここで、移動機構とは、例えば、離間部材171に連結された部材を操作者が指で操作できるようにした機構である。
【0033】
本実施形態の情報処理システムは、キーボード等のオプションパーツを固定するために設けられた磁石140を用いることにより、タブレット端末100Aに対してタッチペン200Aを固定する固定構造を備える。本実施形態においては、タブレット端末100Aの凹部130に設けられる磁石140,傾斜部材160,解除機構170と、タッチペン200Aに設けられる第1磁性部材241,第2磁性部材242,第1スプリング251,第2スプリング252とを含む構造を、タブレット端末100Aに対してタッチペン200Aを固定する固定構造という。
【0034】
図5に示すように、本実施形態の固定構造においては、タブレット端末100Aの凹部130に設けられた磁石140に対して固定可能な第1磁性部材241が、第1スプリング251によりタッチペン200Aに対して所定位置(第1所定位置)に保持されている。同様に、磁石140に対して固定可能な第2磁性部材242が、第2スプリング252によりタッチペン200Aに対して所定位置(第2所定位置)に保持されている。
図7に示すように、タッチペン200Aの第1磁性部材241および第2磁性部材242をタブレット端末100Aの凹部130に近づけた場合、磁石140による引力が第1磁性部材241および第2磁性部材242に与えられる。
【0035】
図7に示す状態となると、第1スプリング251の変位により与えられる付勢力を上回る引力が第1磁性部材241に与えられ、第1磁性部材241が第1傾斜面161aに沿って移動する。同様に、
図7に示す状態となると、第2スプリング252の変位により与えられる付勢力を上回る引力が第2磁性部材242に与えられ、第2磁性部材242が第2傾斜面162aに沿って移動する。その結果、
図8に示すように、第1磁性部材241が磁石143に固定され、第2磁性部材242が磁石144に固定され、タブレット端末100Aに対してタッチペン200Aが固定された状態となる。
【0036】
図8に示すように、磁石140が凹部130の底面130aの一部を形成するように設けられているため、タッチペン200Aの一部が凹部130に収容された状態となる。そのため、本実施形態の固定構造によれば、タブレット端末100Aを大型化させることなくタブレット端末100Aにタッチペン200Aを固定することができる。
【0037】
また、凹部130に設けられた磁石140は、キーボード等のタブレット端末100Aのオプションパーツを固定するために設けられたものである。そのため、本実施形態の固定構造によれば、タッチペン200Aを固定するための磁石を新たに設けることなく、既存の磁石140を用いてタブレット端末100Aに対してタッチペン200Aを固定することができる。
【0038】
また、
図8に示すように、本実施形態のタッチペン200Aのクリップ230は磁性材料により形成されているため、クリップ230が磁石141に固定された状態となる。そのため、本実施形態においては、タッチペン200の先端側に配置される第1磁性部材241および第2磁性部材242が磁石143,144に固定され、タッチペン200Aの後端側に配置されるクリップ230が磁石141に固定される。よって、タブレット端末100Aに対してタッチペン200Aが強固に固定された状態となる。
【0039】
また、
図8に示すように、第1磁性部材241が磁石143に固定される場合、第1磁性部材241の一部が凹部130の底面130aと第1傾斜部材161の第1傾斜面161aとの間に収容される。第1傾斜面161aが底面130aに対して鋭角θ1をなすため、タッチペン200Aに衝撃が与えられた場合であっても、第1磁性部材241の一部と第1傾斜面161aとが接触し、第1磁性部材241が磁石143から離間することが防止される。
【0040】
また、
図8に示すように、第2磁性部材242が磁石144に固定される場合、第2磁性部材242の一部が凹部130の底面130aと第2傾斜部材162の第2傾斜面162aとの間に収容される。第2傾斜面162aが底面130aに対して鋭角θ2をなすため、タッチペン200Aに衝撃が与えられた場合であっても、第2磁性部材242の一部と第2傾斜面162aとが接触し、第2磁性部材242が磁石144から離間することが防止される。
【0041】
次に、解除機構170により、第1磁性部材241および第2磁性部材242の一部が凹部130の底面130aと傾斜面160aとの間に収容された状態を解除する動作について説明する。
図8に示す状態において、スプリング172の付勢力に対向して離間部材171を凹部130へ突出しないように移動機構(図示略)により退避させると、第1磁性部材241および第2磁性部材242が、互いに離間せずに近接した状態へ移動可能な状態となる。
【0042】
離間部材171の先端を凹部130へ突出しないように退避させた状態でタッチペン200Aに磁石140から引き離す方向の力を与える。そうすると、
図9に示すように、第1磁性部材241および第2磁性部材242が磁石140から離間し、かつ第1磁性部材241および第2磁性部材242が隣接した状態となる。このようにすることで、第1磁性部材241と第2磁性部材242とがそれぞれ第1傾斜部材161および第2傾斜部材162によって離間が防止された状態を解除することができる。
【0043】
<他の実施形態>
第1実施形態で説明したタッチペン200に変えて
図10に示す第1変形例のタッチペン200Bを採用してもよい。
図10に示すタッチペン200Bは、ボタン260を備えている点で第1実施形態のタッチペン200と相違している。
第1変形例のタッチペン200Bは、磁性部材240を操作者が押下して磁性部材240が接触した場合にオン状態となるボタン260を備えている。このボタン260は、オン状態となった場合にタッチペン200Bが備える通信モジュール(図示略)を介してオン状態となったことをタブレット端末100に通知するものである。例えば、ボタン260がオン状態となったことをクリック操作としてタブレット端末100へ通知することにより、タッチペン200によるタッチパネル120への入力操作とともにクリック操作を入力することができる。
【0044】
第1実施形態で説明したタッチペン200に変えて
図11に示す第2変形例のタッチペン200Cを採用してもよい。
図11に示すタッチペン200Cは、スプリング253およびスプリング254を備えている点で第1実施形態のタッチペン200と相違している。
第2変形例のタッチペン200Cは、磁性部材240Aを本体部210の内部の空間部分に配置されるスプリング253,254によって、本体部210に対して所定位置に保持している。
【0045】
第1実施形態のスプリング250は、自然長よりも伸びた場合に磁性部材240を本体部210の内部へ向けて引き寄せる付勢力を発生するものであった。一方、第2変形例のスプリング253,254は、自然長よりも伸びた場合に磁性部材240Aを本体部210の外周面へ向けて押し出す付勢力を発生するものである。第2変形例のスプリング253,254は、自然長よりも短くなった場合には、磁性部材240Aを本体部210の内部へ向けて引き寄せる付勢力を発生する。
【0046】
以上の説明においては、タブレット端末の凹部130に固定する対象はタッチペンであるものとしたが、他の態様であってもよい。例えば、以上で説明したタッチペンが備える構造を、タッチペン以外の保護カバー等の他のパーツに実装してもよい。この場合、以上の実施形態で説明した固定構造により、他のパーツがタブレット端末に固定される。