【解決手段】人体用揺動装置10は、使用者が横たわり、揺動により、マッサージやリハビリを施術したり、睡眠の誘導を促したりする成人用の揺動ベッドである。人体用揺動装置10は、設置場所に配置される固定部11と、固定部11の上に配置された被揺動部12と、被揺動部12を往復移動させる揺動用駆動部13と、固定部に対して前記被揺動部を滑らせる滑り機構14と、各駆動部を制御する制御部15と、各種のセンサと、操作盤とを備えている。第1滑り機構および第2滑り機構により厚みや高さが不要なので、揺動方向F3から横ずれする揺動を規制しつつ、揺動機構の小型化が可能な人体用揺動装置10とすることができる。
前記第1滑り機構部は、前記取付面に配置されたベース板と、前記ベース板に固定され、前記取付面より摩擦係数が低い低摩擦部材とを備えた請求項1または2記載の人体用揺動装置。
前記第1滑り機構部は、揺動方向と直交する方向に沿って並ぶように、かつ隙間を空けて複数配置された低摩擦部材により形成された請求項1から4のいずれかの項に記載の人体用揺動装置。
前記柵が開放状態のときの下端から前記設置場所の設置面までの隙間に、操作者の足部分が挿入され、前記柵の下方を通過できるように、前記柵が形成されている請求項12記載の人体用揺動装置。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施の形態に係る人体用揺動装置を図面に基づいて説明する。
図1および
図2に示す人体用揺動装置10は、使用者(人体)が横たわり、揺動により、マッサージやリハビリを施術したり、睡眠の誘導を促したりする成人用の揺動ベッドである。
人体用揺動装置10は、設置場所に配置される固定部11と、固定部11の上に配置された被揺動部12と、被揺動部12を往復移動させる揺動用駆動部13と、固定部に対して被揺動部12を滑らせる滑り機構14と、各駆動部を制御する制御部15と、各種のセンサと、操作盤16(
図5参照)とを備えている。
【0024】
固定部11は、設置場所を走行するための4個の車輪111と、設置場所に立つ4個のレベルフット型の脚部112と、脚部112に支持される固定側フレーム113とを備えている。
車輪111は、人体用揺動装置10の移動を容易とするもので、固定側フレーム113の角部の下部に、それぞれに取り付けられている。
脚部112は、人体用揺動装置10を水平とすると共に、使用者が載る際や揺動時に、人体用揺動装置10が車輪111により移動してしまわないように、車輪111に対応させて取り付けられている。
固定側フレーム113は、平面視矩形状に形成された金属製フレームである。固定側フレーム113に、揺動用駆動部13が取り付けられている。
【0025】
被揺動部12は、揺動を受ける使用者を支持する揺動側フレーム121と、揺動側フレーム121に設置されたマット部122とを備えている。
揺動側フレーム121は、平面視矩形状に形成されたフレーム本体1211と、フレーム本体1211を補強するための補強部材1212と、マット部122を揺動側フレーム121に固定するための固定板1213とを備えた金属製フレームである。
【0026】
フレーム本体1211は、長さ方向(身長方向)F1の長さが、固定側フレーム113と同じ長さに形成されている。
フレーム本体1211の幅方向F2の長さは、固定側フレーム113より短く形成されている。フレーム本体1211は、長さ方向F1に沿った内側面と、固定側フレーム113の内側面とが同じ位置となるように形成される。また、フレーム本体1211を形成する管部材の幅が固定側フレーム113を形成する管部材より小さい。従って、フレーム本体1211を固定側フレーム113の上面113aに配置すると、固定側フレーム113の上面113aに後述する第2滑り機構部を搭載するスペースが確保できる。
補強部材1212は、フレーム本体1211の長さ方向F1の中央にて幅方向F2に延びて、フレーム本体1211の幅方向F2を横断している。
固定板1213は、フレーム本体1211の長さ方向F1に沿った側面1211aに取り付けられ、上方に向かって突出させた金属製プレートである。
【0027】
マット部122は、揺動側フレーム121と同様に、平面視矩形状に形成された金属製のベッドフレーム1221と、クッション性を有するマットレス1222とを備えている。
【0028】
揺動用駆動部13は、揺動用駆動部13の各部材と制御部15とを固定側フレーム113に取り付けるための支持部材131と、被揺動部12を揺動させる駆動源となるモータ132と、モータ132の回転軸の回転を直線往復移動に変換するクランク機構部133とを備えている。
支持部材131は、固定側フレーム113の長さ方向F1における一方側(例えば、脚側)寄りに、幅方向F2に延びて、固定側フレーム113の幅方向F2を横断するように形成されている。
モータ132は、本実施の形態では、交流モータを使用しており、例えば、出力200Wのものが使用できる。
クランク機構部133は、
図3に示すように、モータ132の水平軸(駆動軸)を垂直軸1331に伝達する傘歯車(図示せず)と、垂直軸1331を中心に回転するクランクディスク1332と、クランクディスク1332の偏心した位置に一端1333aが連結されていると共に、揺動側フレーム121の長さ方向F1の一方の端部に、他端1333bが連結された揺動アーム1333とを備えている。
【0029】
図1および
図2に示すように、滑り機構14は、固定側フレーム113および揺動側フレーム121の長さ方向F1に沿ったそれぞれの側部に2箇所ずつ、少なくとも4箇所に設けられている。
図4(A)および同図(B)に示すように、滑り機構14は、固定部11の固定側フレーム113の上面113aに対して被揺動部12の揺動側フレーム121の底面121aを滑らせる第1滑り機構部141と、被揺動部12が揺動方向F3以外の方向へ移動することを規制する第2滑り機構部142と、ガイド板143(
図2参照)とを備えている。
【0030】
第1滑り機構部141は、固定側フレーム113の上面113aまたは揺動側フレーム121の底面121aのいずれか一方または両方の取付面に設けることができるが、本実施の形態では、固定側フレーム113の上面113aを取付面S1として配置されている。
第1滑り機構部141は、取付面S1に配置されたベース板1411と、ベース板1411に取り付けられ、揺動側フレーム121の底面121aより摩擦係数が低い低摩擦部材1412とを備えている。
【0031】
ベース板1411は、矩形状の金属板である。ベース板1411は、固定側フレーム113の上面113aの水平度を確保するために、厚みが調整されたスペーサである。
低摩擦部材1412は、ベース板1411とほぼ同形状に形成されたテープ状部材である。低摩擦部材1412は、ナイロン樹脂製のものや、ふっ素樹脂製のものが使用できる。例えば、低摩擦部材1412として、テープ状のポリスライダー(登録商標)やニトフロン(登録商標)が使用できる。また、低摩擦部材1412は、粒状・液状スライダや板状のポリアセタール・ポリアミド・ポリテトラフルオロエチレン・ポリフェニレンサルファイドなども使用できる。
【0032】
第2滑り機構部142は、固定側フレーム113および揺動側フレーム121の外側面に設けられている。第2滑り機構部142は、固定部11の固定側フレーム113に形成された第1摺動部材1421と、被揺動部12の揺動側フレーム121に形成された第2摺動部材1422とを備えている。
第1摺動部材1421は、固定側フレーム113の長さ方向F1に沿った側面113bに取り付けられ、上方に向けて突出させた固定板1421aと、固定板1421aの内側に取り付けられた四角柱状の摺動ブロック材1421bとを備えている。
【0033】
摺動ブロック材1421bは、四角柱状に形成され、長さ方向F1(揺動方向F3)に沿って配置されているため、揺動側フレーム121に向いた面が、揺動方向F3と平行な垂直面1421s1となり、固定側フレーム113の上面113aに向いた面が、下方を向いた水平面1421s2となる。
【0034】
第2摺動部材1422は、第1摺動部材1421における摺動ブロック材1421bの垂直面1421s1に摺動する第1対向面1422s1を有すると共に、第1摺動部材1421における摺動ブロック材1421bの水平面1421s2に摺動する第2対向面1422s2を有するL字状の金具である。
この第2摺動部材1422は、第1対向面1422s1が被揺動部12の揺動側フレーム121の長さ方向F1に沿った側面に固定され、第2対向面1422s2が第1対向面1422s1から摺動ブロック材1421bの下方に向かって水平方向に突出して形成されている。
【0035】
ガイド板143は、固定側フレーム113の内側面に設けられ、揺動側フレーム121の内側面に突出するように形成された板状部材である。
ガイド板143は、滑り機構14と同様に、固定側フレーム113のそれぞれの側部に2箇所ずつ、少なくとも4箇所に設けられている。ガイド板143の揺動側フレーム121の内側面に向く面には、第1滑り機構部141で採用したシート状の低摩擦部材が貼り付けられている。
【0036】
図1および
図2に示すように、制御部15は、揺動用駆動部13の支持部材131に搭載される。制御部15は、
図5に示す操作盤16からの指示により、揺動用駆動部13のモータ132を制御して揺動を調整したり、モータ132への負荷(電流)を監視したりする機能を備えている。
【0037】
以上のように構成された本発明の実施の形態に係る人体用揺動装置10の動作および使用状態について、図面に基づいて説明する。
使用者は、
図5に示す操作盤16を操作して、人体用揺動装置10に揺動を指示する。
操作盤16から制御部に揺動開始の指示が通知されると、制御部は、揺動用駆動部13のモータ132に通電する。
モータ132に通電が開始されることで、モータ132が回転する。
図3に示すように、モータ132が回転することにより、クランク機構部133の垂直軸1331が回転して、クランクディスク1332が回転する。
クランクディスク1332の回転により、クランクディスク1332の偏心した位置に回転自在に連結された揺動アーム1333の一端1333aが円移動するため、揺動アーム1333の他端1333bが直線往復移動する。
揺動アーム1333の他端1333bが直線往復移動することで、揺動アーム1333の他端1333bに連結された揺動側フレーム121が長さ方向F1に往復移動する。
【0038】
このとき、
図4(A)および同図(B)に示すように、被揺動部12の揺動側フレーム121の底面121aは、固定部11の固定側フレーム113の上面113aに設けられた第1滑り機構部141の低摩擦部材1412上を摺動するため、スムーズに往復移動することができる。
また、固定側フレーム113の上面113aに凸状または凹状の撓みがあっても、第1滑り機構部141のベース板1411の厚みにより、上面113aに搭載される揺動側フレーム121の水平度が調整できるため、低摩擦部材1412がテープ状の薄い部材であっても、揺動側フレーム121を安定して揺動させることができる。
【0039】
揺動用駆動部13が被揺動部12を直線的な往復移動させているが、被揺動部12が固定部11上で揺動するときに、第1滑り機構部141だけでは被揺動部12が水平方向にずれる横ずれしたり、上下方向に移動する縦ずれしたりすることが心配される。しかし、第2滑り機構部142が揺動方向F3以外の方向へ移動することを規制する。
【0040】
例えば、被揺動部12が、揺動方向F3と水平に交差する方向F4(
図4(B)参照)に移動しようとすると、第1摺動部材1421における摺動ブロック材1421bの垂直面1421s1が揺動方向F3と平行に形成され、この垂直面1421s1に第2摺動部材1422の第1対向面1422s1が摺動しており、揺動方向F3に対して左右のいずれも、第2滑り機構部142が設けられているため、被揺動部12が、長さ方向F1に対して幅方向F2にずれてしまうことを防止することができる。
【0041】
また、被揺動部12が揺動方向F3と上下に交差する方向F5(
図4(B)参照)に移動しようとすると、摺動ブロック材1421bの水平面1421s2が揺動方向F3と平行に、下方を向いて形成されており、この水平面1421s2に第2摺動部材1422の第2対向面1422s2が摺動しているため、被揺動部12が上下方向にずれてしまうことを防止することができる。
【0042】
このように、第1滑り機構141は被揺動部12を揺動方向F1に沿って揺動させればよいので厚みが厚くなくてもよい。従って、低摩擦部材1412のようなもので第1滑り機構141を形成することができる。また、第2滑り機構142は、被揺動部12が横ずれする際に接触してそれ以上の横ずれを規制できればよい。従って、垂直面1421s1を有する摺動ブロック材1421bのようなもので、第2滑り機構142を形成することができる。
よって、人体用揺動装置10の滑り機構14は、揺動方向F3から横ずれする揺動を規制しつつ、小型化が可能である。
【0043】
更に、横ずれを規制する第2滑り機構部142と共に、ガイド板143が揺動側フレーム121の内側面に接触して、被揺動部12の横ずれを規制するため、第2滑り機構部142への過大な横ずれによる応力を分散する。そのため、耐久性を向上させることができると共に、安全性を向上させることができる。
【0044】
特許文献1に記載のベッドの揺動装置では、駆動部が床面に近いところにあり、脚部を含むベッド全体を揺動させている。しかし、比較的強度が低い脚部を介してマットレスを載せるボトムを揺動させると、脚部が撓むことで、撓み重量が重いボトムおよびマットレスが、脚部の上で揺動に追従できずに揺らぐように往復移動する可能性がある。
従って、特許文献1に記載のベッドの揺動装置では、駆動部とボトムとの間に揺動タイミングの時間ずれが起きやすく、ねじれも生じやすい。これはスライダの揺動方向の規制部分に不必要な摺接力となって表れ、スライダに偏った摩耗が生じるおそれがある。
【0045】
本実施の形態1に係る人体用揺動装置10によれば、滑り機構14が、脚部112が設けられた固定側フレーム113と、揺動側フレーム121との間に設けられている。従って、脚部112はしっかりと床面(設置場所)に立った状態で、揺動しないので、固定部11に対して被揺動部12を安定して揺動させることができるため、耐久性が高い人体用揺動装置10とすることができる。
【0046】
図5に示す制御部15が、揺動用駆動部13のモータ132に始動を指示するときに、使用者の体重が重かったり、複数の使用者がマット部122(
図1参照)に載り、合計の体重が重かったりする場合がある。制御部15は、モータ132に流れる電流を監視しており、過電流を検出すると、モータ132への通電を停止して、始動を中止する。
また、揺動中に、急に他の使用者がマット部122に載り、モータ132に過電流が流れようとするときがある。このような場合においても、制御部15は、モータ132への通電を停止して、揺動を中止する。
このように、制御部15はモータ132への過電流を検知して過負荷とならないようにすることで、モータ132の破損を防止することができる。
【0047】
本実施の形態1では、第2滑り機構部142が固定側フレーム113および揺動側フレーム121の外側面に設けられ、ガイド板143が固定側フレーム113の内側面に設けられ、揺動側フレーム121の内側面に摺動しているが、第2滑り機構部142が固定側フレーム113および揺動側フレーム121の内側面に、ガイド板143が固定側フレーム113の外側面に設けられていてもよい。
第2滑り機構部142が固定側フレーム113および揺動側フレーム121の内側面に、設けられていると、外部から物が衝突したときに、第2滑り機構部142に直接当ってしまうことを防止することができる。
【0048】
次に、本発明の実施の形態2に係る人体用揺動装置の変形例を図面に基づいて説明する。なお、
図6(A)および同図(B)においては、
図4と同じ構成のものは同符号を付して説明を省略する。
図6に示す人体用揺動装置の変形例は、第1滑り機構部141Aが2枚の低摩擦部材(第1低摩擦部材1412a,第2低摩擦部材1412b)を備えている。
第1低摩擦部材1412aは、固定側フレーム113の上面113a(金属プレートであるベース板1411)に設けられている。また、第2低摩擦部材1412bは、揺動側フレーム121の底面121aに設けられている。
第1低摩擦部材1412aと第2低摩擦部材1412bとは、低摩擦部材1412(
図4参照)と同様のものが使用できるが、異種の材料を組み合わせて採用することが望ましい。これらの低摩擦部材は、対摩耗性、自己潤滑性を有し、低摩擦係数のものから選択することができる。
【0049】
図4(B)と、
図6(A)および同図(B)とに示す第1滑り機構部141,141Aでは、テープ状の、低摩擦部材1412、または第1低摩擦部材1412aと第2低摩擦部材1412bとが、それぞれ1枚、揺動方向F3に沿って貼り付けられているが、揺動方向F3と直交する方向に沿って複数枚、隙間Sを空けて並ぶように配置されていてもよい。
例えば、
図7に示すように、固定側フレーム113の上面113aと揺動側フレーム121の底面121aとのそれぞれに、3枚のテープ状の低摩擦部材(第1低摩擦部材1412A,第2低摩擦部材1412B)が貼り付けられている。
第1低摩擦部材1412Aは、両側をニトフロン、中央をポリスライダーとすることができる。第2低摩擦部材1412Bは、両側をポリスライダー、中央をニトフロンとすることができる。
図7に示す対向する第1低摩擦部材1412Aと第2低摩擦部材1412Bとは、
図6に示す第1低摩擦部材1412aおよび第2低摩擦部材1412bと同様に、異種の材料同士が摺動するように配置する。そうすることで、同種同士が摺動したときの焼付きを防止することができる。
また、第1低摩擦部材1412Aと第2低摩擦部材1412Bとは、それぞれの低摩擦部材の間に隙間Sが設けられている。従って、この隙間Sを、第1低摩擦部材1412Aおよび第2低摩擦部材1412Bの各低摩擦部材が過熱したときの放熱スペースとすることができると共に、摺動により発生する摩耗粉の排出スペースとすることができる。
なお、
図7では、固定側フレーム113の上面113aと揺動側フレーム121の底面121aとのそれぞれに、低摩擦部材が配置されているが、いずれか一方でもよい。
【0050】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2に係る人体用揺動装置を図面に基づいて説明する。
なお、
図8および
図9においては、被揺動部12を往復移動させる揺動用駆動部13、滑り機構14は図示してないが、実施の形態1に係る人体用揺動装置10と同様に、揺動用駆動部13および滑り機構14を有している。
【0051】
図8および
図9に示すように、本実施の形態2に係る人体用揺動装置20は、ギャッチアップと称される背上げ機能を有している。背上げ機能は、マット部122に横臥する使用者の背中部分を押し上げる背上げ用駆動部21により実現している。
背上げ用駆動部21は、被揺動部12に設けられている。背上げ用駆動部21は、駆動源となる背上げ用アクチュエータ211と、腕部212と、背上げ用フレーム213とを備えている。また、人体用揺動装置20は、マット部122の傾斜度を検知する背上げ用センサ22を備えている。
【0052】
背上げ用アクチュエータ211は、制御部15(
図1参照)の指示により、固定部11の中央下方から頭部側上方へ向かって斜めに延びる軸線が伸縮するリニアアクチュエータである。背上げ用アクチュエータ211は電動式や油圧式など様々なものを使用することができる。
腕部212は、背上げ用アクチュエータ211の先端に回転自在に連結されている。
背上げ用フレーム213は、マット部122のマットレス1222に載る使用者の背中部分に対応する位置に配置され、背上げ用フレーム213の端部が揺動側フレーム121の長さ方向F1の中央部に連結された金属製フレームである。
背上げ用センサ22は、背上げ用フレーム213に取り付けられ、マットレス1222の傾斜度を、背上げ用フレーム213の傾斜によって検知する傾斜センサである。
【0053】
以上のように構成された本発明の実施の形態2に係る人体用揺動装置20の動作および使用状態を図面に基づいて説明する。
人体用揺動装置20は、実施の形態1でも説明したように、使用者を載せて、被揺動部12が揺動しているものとする。その状態で、使用者は、
図10に示す操作盤16を操作して、マット部122の背上げを指示したものとする。この操作は、使用者が操作盤16の背上げボタンを押下している間、制御部15へ通知される。従って、背上げボタンの押下が解除されれば背上げは停止する。
【0054】
操作盤16から背上げが制御部15へ通知されると、制御部15は、背上げ用駆動部21の背上げ用アクチュエータ211へ伸長を指示する。
背上げ用アクチュエータ211が伸長することで、腕部212が押し上げられるため、背上げ用フレーム213は、揺動側フレーム121に連結された位置を中心に円弧を描きながら上昇して、使用者の背中部分に対応する位置のマット部122を、水平状態から傾斜状態とする。
【0055】
このように、人体用揺動装置20は、背上げ用駆動部21によりマット部122が背上げされる。このとき、使用者による背上げボタンの押下時間が長く、マット部122の傾斜角度が所定の角度より大きくなると、背上げ用センサ22は、所定の傾斜度を検知したことを制御部15へ通知する。
【0056】
被揺動部12を揺動させながら、マット部122の頭部側を上昇させ、傾斜した状態とすると、マット部122に横臥した使用者の上半身が不安定になるため、使用者が人体用揺動装置20から外へ出てしまうおそれがある。
そこで、制御部15は、背上げ用センサ22が所定の傾斜度を検知したことの通知により、揺動用駆動部13による往復移動を減速または停止する。
減速または停止は、制御部15の設定により選択したり、または予めいずれかに決めておいたりすることができる。例えば、所定の傾斜度は、45度とすることができる。
【0057】
このように、人体用揺動装置20では、マット部122の傾斜度を所定より大きく傾斜させたときに、被揺動部12の揺動が抑えられたり、停止したりすることにより、使用者が人体用揺動装置20から外へ出てしまうことが防止できるため、被揺動部12を揺動させながら背上げ機能を安心して使用することができる。
【0058】
次に、本発明の実施の形態2に係る人体用揺動装置の変形例を図面に基づいて説明する。
図11および
図12に示すように、人体用揺動装置25は、膝上げ機能を有している。膝上げ機能は、マット部122に横臥した使用者の膝部分を押し上げる膝上げ用駆動部26により実現している。
【0059】
膝上げ用駆動部26は、被揺動部12に設けられている。膝上げ用駆動部26は、駆動源となる膝上げ用アクチュエータ261と、腕部262と、膝上げバー263とを備えている。
【0060】
膝上げ用アクチュエータ261は、制御部15の指示により、マット部122に横臥した使用者の下腿部分から上腿部分に向かって延びる軸線方向が伸縮するリニアアクチュエータである。膝上げ用アクチュエータ261は電動式や油圧式など様々なものが使用することができる。
腕部262は、膝上げ用アクチュエータ261の先端に回転自在に連結されている。
膝上げバー263は、腕部262の先端に連結され、マット部122の幅方向に沿って延びる金属製棒体である。
【0061】
以上のように構成された本発明の実施の形態2に係る人体用揺動装置25の変形例の動作および使用状態を図面に基づいて説明する。
使用者が背上げを、
図13に示す操作盤16により指示すると、
図8および
図9を用いて説明した順序で背上げが実施される。このとき、制御部15は、膝上げ用駆動部26の膝上げ用アクチュエータ261へ伸長を指示する。
膝上げ用アクチュエータ261が伸長することで、腕部262が押し上げられるため、膝上げバー263は、使用者の膝部分に対応する位置のマット部122のマットレス1222を押し上げることで、使用者の膝が持ち上がる。
【0062】
このように、人体用揺動装置25は、背上げ用駆動部21によりマット部122が背上げされるときに、マット部122の膝部分も膝上げ用駆動部26により高くなる。そのため、被揺動部12を揺動させながら背上げ機能を使用したときに、膝上げが実施されることで、揺動する使用者の安定性が向上する。
【0063】
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3に係る人体用揺動装置を図面に基づいて説明する。
なお、
図14および
図15においては、被揺動部12を往復移動させる揺動用駆動部13、滑り機構14は図示してないが、実施の形態1に係る人体用揺動装置10と同様に、揺動用駆動部13および滑り機構14を有している。
【0064】
図14および
図15に示すように、本実施の形態3に係る人体用揺動装置30は、昇降機能を有している。昇降機能は、固定側フレーム31が、下側フレーム311と上側フレーム312とから構成され、下側フレーム311と上側フレーム312との間に、昇降用駆動部32が設けられていることで実現している。また、上側フレーム312に揺動用駆動部13(
図14および
図15では図示せず)が設けられ、被揺動部12を往復移動させている。
【0065】
昇降用駆動部32は、駆動源となる昇降用アクチュエータ321と、リンク部322と、下側フレーム用連結部323と、上側フレーム用連結部324とを備えている。また、人体用揺動装置30は、被揺動部12の昇降高さを検知する昇降用センサ33を備えている。
【0066】
昇降用アクチュエータ321は、上側フレーム312の下方に、昇降用アクチュエータ321の軸線を長さ方向F1に沿って延びるにようにして配置されたリニアアクチュエータである。昇降用アクチュエータ321は、両端部がリンク部322に連結されている。昇降用アクチュエータ321は、制御部15(
図16参照)の指示により伸縮する。
【0067】
リンク部322は、上側フレーム用連結部324に連結された折曲部322aの角度を90度としたL字状に形成されている。リンク部322の一端322bは、下側フレーム用連結部323と連結されている。リンク部322の他端322cは、昇降用アクチュエータ321の端部に連結されている。
昇降用センサ33は、被揺動部12の昇降高さを検知するために、リンク部322に取り付けられた傾斜センサである。
【0068】
以上のように構成された本発明の実施の形態3に係る人体用揺動装置30の動作および使用状態を図面に基づいて説明する。
人体用揺動装置30は、実施の形態1でも説明したように、使用者を載せて被揺動部12が揺動しているものとする。その状態で、使用者は、
図16に示す操作盤16を操作して、被揺動部12の上昇を指示したものとする。この操作は、使用者が操作盤16の上昇ボタンを押下している間、制御部15へ通知される。従って、上昇ボタンの押下が解除されれば上昇は停止する。
【0069】
操作盤16から上昇が制御部15へ通知されると、制御部15は、昇降用駆動部32の昇降用アクチュエータ321へ縮小を指示する。
昇降用アクチュエータ321が縮小することで、
図15に示すリンク部322,322の他端322c同士が互いに接近する方向へ引っ張られる。そうすることで、リンク部322,322の一端322bを中心として、リンク部322,322の折曲部322aが回転移動するため、リンク部322,322が起き上がる。
【0070】
これにより、リンク部322,322の折曲部322aが下側フレーム用連結部323を介して連結された上側フレーム312が上昇する。
【0071】
このように、人体用揺動装置30は、昇降用駆動部32により下側フレーム311を上昇させることで、被揺動部12が上昇する。
このとき、使用者による上昇ボタンの押下時間が長く、被揺動部12の上昇が所定の高さより大きくなると、リンク部322が所定の傾斜角度より大きくなるため、
図15に示す昇降用センサ33が、所定の傾斜度となったことを制御部15へ通知する。
【0072】
被揺動部12を揺動させながら、使用者が横臥したマット部122が所定高さより高くなったときに、使用者がマット部122から外に出てしまい、床に落ちると、使用者への衝撃が大きくなる。
そこで、制御部15(
図16参照)は、被揺動部12が所定高さより高くなったことを、リンク部322が所定の傾斜角度となったことにより検知することで、揺動用駆動部13による往復移動を減速または停止する。
減速または停止は、制御部15の設定により選択したり、または予めいずれかに決めておいたりすることができる。例えば、所定の高さは、50cmとすることができる。
【0073】
このように、人体用揺動装置30では、被揺動部12の昇降高さが所定の高さより高くなったときに、被揺動部12の揺動が抑えられたり、停止したりするため、被揺動部12を揺動させながら昇降機能を、安心して使用することができる。
【0074】
(実施の形態4)
本発明の実施の形態4に係る人体用揺動装置を図面に基づいて説明する。
図17および
図18に示す本実施の形態4に係る人体用揺動装置40は、子供用の揺動ベッドである。
なお、
図17および
図18においては、被揺動部12を往復移動させる揺動用駆動部13および滑り機構14は図示してないが、実施の形態1に係る人体用揺動装置10と同様に、揺動用駆動部13および滑り機構14を有している。
【0075】
また、人体用揺動装置40は、安全性を更に向上させるために、ヘッドボード41、フットボード42および柵43が、マット部122(
図1参照)の周囲を囲うように、被揺動部12の一部として設けられている。
ヘッドボード41は、揺動側フレーム121の頭部側に立設されている。フットボード42は、揺動側フレーム121の足側に立設されている。
柵43は、それぞれが、ヘッドボード41の端部と、フットボード42の端部に支持され、マット部122の側部に沿って、一対配置されている。
【0076】
一対の柵43は、開放状態と閉鎖状態とが選択できるように形成されている。
図19に示すように柵43の4つの角部には、外側に向かって水平方向に突出する突起431が形成されている。この突起431は、ヘッドボード41(
図19では図示せず)およびフットボード42の長さ方向(人体用揺動装置40の幅方向F2)の端部であり、ヘッドボード41およびフットボード42の下部に形成された直線状の溝411と、ヘッドボード41およびフットボード42の上部に形成された逆L字状の溝412とに嵌め込まれている。
【0077】
柵43は、開放状態としたときの下端43aから設置場所の設置面S2までの隙間Hに、補助者(例えば、介助者または介護者などの人体用揺動装置40を操作する操作者)の足部分が挿入され、柵43の下方を通過できるように、形成されている。
【0078】
柵用センサ44は、例えば、フットボード42に埋設されたプッシュスイッチとすることができる。柵43の端面と対向する位置のフットボード42に、柵用センサ44を埋設しておけば、柵43が閉鎖状態のときに、フットボード42から突出したスイッチ頭部を押圧するので、柵用センサ44を押下状態とすることができる。また、柵43が開放状態となれば、柵43が柵用センサ44のスイッチ頭部から外れるため、柵用センサ44を非押下状態とすることができる。
【0079】
ヘッドボード41とフットボード42とには、それぞれ、幅方向F2に沿って、クッション性部材45が設けられている。
図20に示すように、クッション性部材45の厚みTは、被揺動部12が一方側に寄った位置から他方側に寄った位置までの長さ方向に移動する移動幅(移動距離M)以上に形成されている。
【0080】
このように形成された本発明の実施の形態4に係る人体用揺動装置40の使用状態について、図面に基づいて説明する。
使用者である子供が人体用揺動装置40に載り、揺動用駆動部13(
図20参照)により往復移動した状態で、補助者が使用者をマッサージするときには、
図17に示すように柵43を予め開放状態としておく。
柵43を開放状態とするときには、補助者が柵43の前に立ち、柵43を引き上げることで、柵43の突起431が、直線状の溝411と、逆L字状の溝412の上下方向に沿った部分を移動する。
そして、補助者が柵43の上部を手前に引くことで、柵43は、直線状の溝411に嵌まる突起431を中心として、逆L字状の溝412の水平方向に沿った部分を移動して、溝412から突起431が外れる。そうすることで、柵43は、円弧を描きながら手前に倒れ、開放状態となる。
【0081】
このように、柵43が開放状態となることで、人体用揺動装置40の一方の側部が大きく開くため、補助者は椅子に座った状態で、マッサージなどを使用者に施術することができる。
このとき、補助者の足部分を人体用揺動装置40の下方に挿入しても、開放状態としたときの柵43の下端43aから設置面S2までの隙間Hを充分に確保しているので、開放状態の柵43の下端は補助者の足部分に当たらない。従って、補助者は人体用揺動装置40に接近して施術ができるので、施術が容易である。
【0082】
使用者への施術のためには、柵43を開放状態としておかなければならないが、使用者の睡眠を誘導して睡眠させるために、柵43を閉鎖状態とし、被揺動部12を往復移動させているときに、使用者が覚醒して、柵43を勝手に開放状態とすることが想定される。
柵43が閉鎖状態で被揺動部12を往復移動させているときに、使用者が誤って柵43を開放状態とすると、被揺動部12の往復移動の勢いに伴って、使用者が開放状態となった柵43から外へ出てしまうおそれがある。
【0083】
人体用揺動装置40では、揺動中に、
図21に示す柵用センサ44が開放状態を検知して制御部15へ通知すると、制御部15は、揺動用駆動部13を停止する。そのため、使用者である子供が、揺動中に被揺動部12の往復移動の勢いに伴って、開放状態となった柵43から外へ出てしまうことを防止することができる。
【0084】
なお、本実施の形態4に係る人体用揺動装置40では、柵43が回転することで閉鎖状態から開放状態に遷移するが、上下方向にスライドして、閉鎖状態から開放状態へ遷移するようにしてもよい。
【0085】
ベッドは部屋の壁際に設置されやすい。従って、人体用揺動装置40も同様に部屋の壁際に設置される可能性がある。人体用揺動装置40の場合では、被揺動部12が往復移動するため、部屋の壁面に対して隙間なく配置することはできず、ヘッドボード41と壁面、またはフットボード42と壁面との間に、移動距離以上の隙間が必要である。
しかし、子供が誤ってこの隙間に入り込み、補助者が知らずに人体用揺動装置40を始動させてしまうと、被揺動部12の揺動時にヘッドボード41またはフットボード42と壁面との間に挟まれてしまう。
【0086】
従って、人体用揺動装置40を部屋に設置するときには、
図20に示すように、少なくとも、壁側に向いたヘッドボード41またはフットボード42(
図20では、フットボード42)から壁面Wまでの距離L1を、移動距離Mより厚く形成されたクッション性部材45の厚みTと、移動距離Mより大きな隙間L2(クッション性部材45の先端から壁面Wまでの隙間L2)との合計以上としている。
【0087】
このように、人体用揺動装置40が部屋に配置されることで、人体用揺動装置40と部屋の壁面との間に、使用者である子供が入り込んでも、クッション性部材45が子供に当たることで、揺動の衝撃を緩和することができる。また、クッション性部材45の厚みTを被揺動部12の移動距離M以上としているため、フットボード42が壁面Wに最接近しても、クッション性部材45が移動距離M以上の厚みTがあるため、使用者に当たっても充分に衝撃を吸収することができる。
【0088】
なお、実施の形態4に係る人体用揺動装置40は、子供用の揺動ベッドであるが、サイズを大人の身長に合わせて大きくすれば、大人用としても使用することができる。
また、この人体用揺動装置40に、実施の形態2のような背上げ機能、膝上げ機能、実施の形態3のような昇降機能を備えさせてもよい。
また、実施の形態1〜4に係る人体用揺動装置10,20,25,30,40は、使用者(人体)の全部を揺動するように被揺動部が形成されているが、人体の一部を揺動するように形成されていてもよい。