【解決手段】本発明による貼付剤(10)は、支持体(1)と、支持体(1)の一面に積層された粘着層(2)と、粘着層(2)に剥離可能に付着され、一方の縁部からこれに対向する他方の縁部に延びる切れ目(5)を有する剥離シート(4)とを備え、切れ目(5)から離れた箇所に設けられた折曲げ線(7)に沿って折り曲げられてなり、折り曲げられた部分(8)の一部が当該貼付剤(10)の縁部からはみ出すよう折曲げ線(7)が形成されていることを特徴としている。
支持体と、前記支持体の一面に形成された粘着層と、前記粘着層に剥離可能に付着され、一方の縁部からこれに対向する他方の縁部に延びる切れ目を有する剥離シートとを備えた貼付剤において、
前記切れ目から離れた箇所に設けられた折曲げ線に沿って折り曲げられてなり、
折り曲げられた部分の一部が当該貼付剤の縁部からはみ出すよう前記折曲げ線が形成されていることを特徴とする貼付剤。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したような従来の貼付剤には、それを包装する包材を可能な限り小さくしたいという要請、いわゆる省資源化の要請がある。
【0006】
また、より容易に包材から取り出すことができる貼付剤というものも望まれている。
【0007】
さらに、従来の貼付剤においては、剥離シートの中央部分を除去した後、残りの剥離シートを除去しようとした際、剥離シートから誤って指を離すと、剥離シートが再び粘着層に付着してしまうという問題もある。この再付着によって、貼付剤本体はシワが寄り易くなるという問題も生じる。
【0008】
本発明の目的は上記課題を解決することのできる新規な貼付剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様による貼付剤は、支持体と、支持体の一面に積層された粘着層と、粘着層に剥離可能に付着され、一方の縁部からこれに対向する他方の縁部に延びる切れ目を有する剥離シートとを備えた貼付剤であって、切れ目から離れた箇所に設けられた折曲げ線に沿って折り曲げられてなり、折り曲げられた部分の一部が当該貼付剤の縁部からはみ出すよう前記折曲げ線が形成されていることを特徴としている。
【0010】
切れ目は、波形で、2本あることが好ましく、これらの切れ目の間に画成された中央部分を挟むように2本の折曲げ線が設けられることが、剥離シートの除去の容易化のために有効である。
【0011】
この場合、2本の折曲げ線のうちの少なくとも一方に沿って折り曲げられた部分がはみ出し部分を有すればよい。
【発明の効果】
【0012】
上述した構成においては、貼付剤が折り曲げられることによって小型化され、その結果として、貼付剤を持ち運び易くなったり、貼付剤を包む包材の省資源化を図ったりすることができる。
【0013】
また、折曲げ線に沿って折り曲げられた部分の一部が貼付剤の縁部からはみ出すが、そのはみ出し部分が貼付剤に段差面を形成するため、包材の内面に貼付剤が密着して取り出しにくいという状況を抑制することできる。加えて、このはみ出し部分は摘み易いので、貼付剤を包材から引き出し易くするという効果もある。
【0014】
さらに、貼付剤を折り曲げたことにより、剥離シートには折りグセが付く。その結果、剥離シートの折曲げ部分を粘着層から剥離すると、折曲げ部分は粘着層から離れた立ち上がり状態を維持することができ、剥離シートの再付着を防止し、シワの発生を抑制することができる。また、この立ち上がり状態では、折曲げ部分を容易に摘まむことができ、それによって貼付作業を円滑に行うことができるという効果も奏する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図中、同一又は相当部分には同一符号を付することとする。
【0017】
図1〜
図6は本発明の貼付剤の第1実施形態を示す図であり、
図1は斜視図、
図2は正面図、
図3は背面図、
図4は第1実施形態に係る貼付剤を開いた状態の正面図、
図5は
図4のV−V線に沿っての断面図、
図6は第1実施形態に係る貼付剤の使用態様を示す説明図である。
【0018】
図1〜
図5に示すように、第1実施形態に係る貼付剤10は、略矩形の支持体1、及びこの支持体1の表面のほぼ全面に積層した粘着層2からなる貼付剤本体3と、粘着層2の表面のほぼ全面に使用時に剥がすために貼着された剥離シート4とから構成されている。
【0019】
支持体1の構成材料は、特に限定されないが、ポリエチレンテレフ夕レート(PET)、エチレン一酢酸ビニル共重合体(EVA)、塩化ビニル、ポリエチレン、ポリブタジエン、スチレン一ブタジエンもしくはスチレン一イソプレンを主体とするブロック共重合樹脂、ブタジエン一スチレン-メ夕クリル酸メチル共重合樹脂、ナイロン、ポリウレタン、アルコキシアルキル(メタ)アクリレート共重合体、ポリビニルアセタール、ポリアミド、レイヨン等の合成樹脂からなるフィルム、織布、編布、不織布、又はこれらの積層体が好ましく使用される。
【0020】
また、支持体1は、取扱い性等の観点から、適度な柔軟性、及び伸縮性を有していることが好ましい。
【0021】
さらに、支持体1の厚みは0.01mm〜5mmが好ましい。支持体1の厚みが0.01mm未満となると取扱い性が悪くなり、シワが生じ易くなる傾向にあり、他方、5mmを超えると柔軟性が低下し、貼付時に違和感が生じ、また物理的な刺激が付与され易くなる傾向にあるからである。
【0022】
粘着層2の主成分は感圧性接着剤である。その構成材料は、特に限定されないが、常温で薬物を皮膚表面に長時間固定し得る粘着力を有するものが好ましく、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコン系粘着剤等が挙げられる。中でも粘着物性及び薬物の放出性がよいという観点からゴム系粘着剤が好ましく用いられ、特に、天然ゴム、合成イソプレンゴム、ポリイソプチレン、ポリビニルエーテル、ポリウレタン、ポリイソプレン、ポリブタジエン、スチレン-ブタジエン共重合体、スチレン-イソプレン共重合体、スチレン-イソプレン-スチレンブロック(SIS)共重合体等がより好ましく用いられる。さらに、SIS共重合体を用いる場合は、シェル化学社製のSIS基剤(商品名:カリフレックスTR-1107、カリフレックスTR-1111、カリフレックスTR-1112、カリフレックスTR-1117)、日本合成ゴム社製のSIS基剤(商品名:JSR5000、JSR5002、JSR5100)、日本ゼオン社製のSIS基剤(商品名:クインタック3570C)等が最も好ましく用いられる。
【0023】
粘着層2には、必要に応じて粘着付与剤、軟化剤、充填剤、老化防止剤、吸収促進剤等の配合剤を添加してもよい。このような配合剤としては、例えば、脂環族飽和炭化水素樹脂(荒川化学工業社製、商品名:アルコンP-100等)、ロジンエステル(荒川化学工業社製、商品名:KE-311、KE-100等)、水素添加ロジンエステル(ハーキュレス社製、商品名:フォーラル105、フォーラル85等)、水素化脂環族系炭化水素(エクソン化学社製、商品名:エスコレッツ5300等)、ポリテルペン樹脂、石油樹脂、フェノール樹脂の粘着付与剤;流動パラフィン、ポリブテン、液状ポリイソプチレン、動植物油等の軟化剤;その他充填剤;老化防止剤等が挙げられる。また必要に応じて、薬剤の皮膚透過性を向上させるために感圧性接着剤中に吸収促進剤を含有してもよく、このような吸収促進剤としては、例えば、ミリスチン酸イソプロピル、セバシン酸ジエチル、ソルビタンモノラウレート、オレイルリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、オクチルフェ二ルエーテル、ラウリルエーテル、ソルビ夕ンモノラウレート、ラウロイルジエタノールアミド、ラウロイルサルコシン、オレオイルサルコシンシュガーエステル、レシチン、グリチルレチン、尿素、サリチル酸、チオグリコール酸カルシウム、乳酸、乳酸エステル、オリーブ油、スクワレン、ラノリン、流動パラフィン、グリセリン等が挙げられる。その他、色素、香料、紫外線吸収剤、界面活性剤、pH調整剤等も貼付剤の目的に応じて感圧性接着剤中に適宜配合してもよい。
【0024】
また、貼付剤10に薬剤を保持させる場合には、前記の感圧性接着剤に配合すればよい。このような薬剤としては、例えば、全身麻酔剤、睡眠剤、鎮痛剤、解熱消炎鎮痛剤、ステロイドホルモン剤、興奮・覚醒剤、精神神経用剤、局所麻酔剤、骨格筋弛緩剤、自立神経用剤、抗アレルギー剤、抗ヒスタミン剤、強心剤、不整脈用剤、利尿剤、血圧降下剤、血管収縮剤、血管拡張剤、カルシウム拮抗剤、抗殺菌剤、寄生性皮膚疾患用剤、皮膚軟化剤、抗生物質、解毒剤、鎮咳剤、鎮痒剤、催眠剤、精神活力剤、ぜんそく剤、ホルモン分泌促進剤、抗潰瘍剤、制癌剤、ビタミン剤等が挙げられる。
【0025】
粘着層2の厚み(塗工厚)は、10μm〜400μmが好ましい。粘着層2の厚みが400μmを超えると感圧性接着剤に含まれる薬剤の放出性が悪くなる傾向にあり、他方、10μm未満では皮膚への接着性が劣り、剥がれの原因となる傾向にあるからである。
【0026】
剥離シート4は、粘着層2の全面に剥離可能に付着されているもので、使用時には剥離されるが、貼付剤本体3を使用する前において、粘着層2の全面に剥離可能に貼着されることで、柔軟性、伸縮性の高い貼付剤本体3にシワができてしまうことを防止する効果や粘着層2中の薬効成分や水分の逃散を防止する効果を有する。この剥離シート4の構成材料は特に制限されず、剥離処理が施された厚さ10μm〜300μm程度のポリエチレンテレフタレート等の樹脂フィルム、紙等が適宜選択される。なお、剥離シート4は適度な剛性を有することが好ましい。剥離シート4の剥離作業の取扱い性の向上やきれいな貼付を行うためである。さらに、剥離シート4は、後述するように折り曲げることとなるが、その折曲げ状態から平面状態に完全に復元するほどの弾性復元力を有しないことが好ましい。
【0027】
このような剥離シート4には、
図4に明示するように、略中央部に一方の縁部からこれに対向する他方の縁部に延びる波形の切れ目5が2本、好ましくは実質的に平行な状態で形成されている。ここで、「実質的に平行」とは、2本の波形の切れ目5を完全な波に近似し、さらにこの波の振幅を2等分する波の中心線が剥離シート4の略長方形の短辺と平行であることを示す。さらに、2本の切れ目5を設ける場合には、切れ目5同士の間隔が20mm〜30mmとして形成されることが好ましい。この2本の切れ目5間に画成される中央部分6は、貼付剤10の使用開始時にまず除去されるものであり(
図6の(a)参照)、中央部分6が除去されると、残った剥離シート4の縁部が波形として現れ、その部分を浮き上がらせて摘み易くできるという効果を奏する。
【0028】
貼付剤10は、
図1〜
図3に示すように、両端が折り曲げられている。この折曲げは、
図4に示す線7に沿って行われる。以下、この線7を折曲げ線7と称する。折曲げ線7は2本あり、これらは、2本の切れ目5によって画成された中央部分6を挟むように切れ目5よりも外側に配置されている。また、これらの折曲げ線7は互いに平行であるが、中央部分6の長手方向中央軸線Aとは非平行とされている。このような配置においては貼付剤10は、折曲げ線7に沿って折り曲げると、
図4と
図1〜
図3とを比較すれば容易に理解されるとおり、元の貼付剤(
図4の状態に相当)よりも大幅に小型化される。したがって、貼付剤10は、例えばプラスチック製包装袋、金属層(例えばアルミニウム層)が形成されたプラスチック製包装袋、金属製包装袋(例えばアルミニウム製包装袋)等の包材(図示せず)により個別包装されていることが一般的であるが、この小型化によって包材に使用する材料の量を減らすことができ、省資源という要請に応えることが可能となる。
【0029】
次に、上述したような貼付剤10を使用する場合について説明する。
【0030】
まず、貼付剤10を包装している包材の一部を除去し、貼付剤10を包材から取り出す。貼付剤10には、折曲げ線7に沿って折り曲げられた折曲げ部分8の一部がはみ出し部分(
図3のハッチング部分)として形成されているため、このはみ出し部分を使用者が摘むことで貼付剤10を包材から容易に取り出すことが可能となる。
【0031】
また、このはみ出し部分については、貼付剤10の他の部分の面とはずれており、この部分で段差が生じている。貼付剤10に段差が形成されることで、包材に入れられたとき、包材の内面に貼付剤が密着しにくくなり、これにより貼付剤の取出しが容易になるという効果も奏する。
【0032】
次いで、貼付剤10を剥離シート4の波形の切れ目7に沿ってわずかに屈曲させると、切れ目7に沿う剥離シート4の縁部の一部が粘着層2から浮き上がる。そして、粘着層2から浮き上った剥離シート4の一部を摘まんで引っ張ることで、
図6の(a)に示すように中央部分6を容易に除去することが可能となる。
【0033】
ここで、
図6の(a)に示す状態では貼付剤本体3は平坦になっているが、実際には折曲げ線7に沿って折り曲げられた剥離シート4は、いわゆる折曲げのクセがついており、中央部分6のあった側の縁部が浮き上がろうとする。その結果として、使用者が折曲げ部分8の縁部と貼付剤本体3との間が離れるよう貼付剤10を軽く屈曲させただけで、
図6の(b)のように折曲げ部分8が貼付剤本体3から立ち上がった状態に移行する。
【0034】
また、たとえ粘着層2の粘着力が強く、貼付剤10を屈曲させただけでは折曲げ部分8全体が粘着層2から離れなくとも、その縁部が波形であるため、波形の一部は浮き上がり易く、そこを摘まむことで容易に折曲げ部分8を粘着層2から引き離すことが可能である。そして、一旦粘着層2から引き離された折曲げ部分8は
図6の(b)の立ち上がり状態で保持されることになる。
【0035】
これによって、例えば、剥がした剥離シート4から指を離して、剥離シート4が粘着層2に再び付着したり、その付着によって貼付剤本体3にシワが寄ったりするということが防止される。
【0036】
また、
図6の(b)に示す状態では、立ち上がった部分8、すなわち折曲げ部分8を摘まむことは容易であり、その結果として、剥離シート4の残りの部分を除去して、皮膚患部等にシワが生じないようにしてきれいに貼付することが可能となる。
【0037】
なお、上述した第1実施形態では、折曲げ部分8を折り曲げると、その先端同士が重なり合うが、折曲げ線7同士の間隔は適宜定めることができるので、
図7に示すように折曲げ線7同士の間隔を大きくすることで、
図8に示すように折曲げ部分8の先端が互いに重ならないようにすることもできる。このような態様でもその効果は
図1〜
図6に示した貼付剤10と同様であることは、容易に理解されよう。
【0038】
図9及び
図10は、本発明の第2実施形態に係る貼付剤10を示している。
図9から理解されるとおり、第2実施形態に係る貼付剤10は折曲げ線7同士が非平行であり、貼付剤10の片側の縁部に向けて末広がりに配置されている。その結果、折曲げ線7に沿って折り曲げた貼付剤10は
図10に示す状態となる。
【0039】
この状態では、片側にはみ出し部分が2つできるため、包材の開封箇所が1か所の場合、その開封箇所に2つのはみ出し部分を配置することで、包材からの貼付剤10の取出しをより容易化することができる。
【0040】
なお、折曲げ線7同士の間隔は適宜定めることができる。
図11及び
図12に示す貼付剤10は折曲げ線7の間隔を
図9及び
図10に示すものよりも広げたものであるが、その効果においては両者は実質的に同等である。
【0041】
さらに、折曲げ線7同士のなす角度も適宜定めることができる。例えば、
図13に示すように、一方の折曲げ線7を中央部分6の中心軸線Aと平行とし、他方の折曲げ線7を中心軸線Aとは非平行とすることでもよい。この場合、折曲げ線7に沿って折り曲げた貼付剤10は
図14に示す状態となり、はみ出し部分は1か所となるが、その機能については上述した実施形態と実質的に同等である。
【0042】
また、
図15は、
図9と概ね同じ図面であるが、この
図15の折曲げ線7と折曲げ線9のいずれか1本のみに沿って貼付剤10を折り曲げる態様も考えられる。
図16は線9に沿って折り曲げた状態を示している。このように1本の折曲げ線7,9に沿って貼付剤10を折り曲げても、その小型化、はみ出し部分による包材からの取出しの容易化、また、折曲げ部分の浮き上がりによる剥離シート4の剥離容易化等の効果を奏することができる。
【0043】
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。
【0044】
例えば、上記実施形態では、薬剤を含む非含水性の粘着剤を有するテープ剤等の貼付剤として説明したが、本発明の貼付剤は、いわゆるパップ剤のような含水性膏体を粘着剤として含む粘着層2を有するものであってもよい。
【0045】
含水性膏体としては特に限定されないが、常温で薬物を皮膚表面に長時間固定し得る粘着力を有するものが好ましく、水、増粘剤、湿潤剤、充填剤やその他必要に応じて架橋剤、重合剤、溶解補助剤、吸収促進剤、薬効補助剤、安定化剤、 抗酸化剤、乳化剤、薬剤等が添加される。
【0046】
含水性膏体に使用する増粘剤としては、水分30%〜80%を安定して保持でき、かつ保水性を有するものが望ましい。その具体例としてはグアーガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、寒天、アラビアガム、トラガカントガム、カラャガム、ぺクチン、デンプン等の植物系、ザンサンガム、アカシアガム等の微生物系、ゼラチン、コラーゲン等の動物系等の天然高分子;メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシェチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム等のセルロース系、可溶性デンプン、カルボキシメチルデンプン、ジアルデヒドデンプン等のデンプン系等の半合成高分子;ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメタクリレート等のビニル系、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム等のアクリル系、その他ポリエチレンオキサイド、メチルビ二ルエ一テル/無水マレイン酸共重合体等の合成高分子;等の水溶性高分子が好適に用いられる。
【0047】
特に、このような増粘剤としては、ゲル強度が強くかつ保水性に優れる点でポリアクリル酸が好ましく、平均重合度が20000〜70000のポリアクリル酸ナトリウムがより好ましい。平均重合度が20000より小さくなるにつれて増粘効果が乏しくなって十分なゲル強度が得られなくなる傾向にあり、他方、平均重合度が70000より大きくなるにつれて増粘効果が強すぎて作業性が低下する傾向にある。
【0048】
含水性膏体に使用する湿潤剤としては、グリセリン、プロピレングリコール、ソルビトール等の多価アルコールが挙げられ、充填剤としては、カオリン、酸化亜鉛、タルク、チタン、ベントナイト、珪酸アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、メタ珪酸アルミニウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム等が挙げられる。
【0049】
また、溶解補助剤又は吸収促進剤として、炭酸プロピレン、クロタミトン、1-メントール、ハッカ油、リモネン、ジイソプロビルアジペート等や、薬効補助剤として、サリチル酸メチル、サリチル酸グリコール、1-メントール、チモール、ハッカ油、リモネン、ノニル酸ワニリルアミド、トウガラシエキス等を本発明にかかる含水性膏体に添加してもよい。更に必要に応じて、本発明にかかる含水性膏体に安定化剤や抗酸化剤、乳化剤等を添加してもよい。
【0050】
その他必要に応じて、含水性膏体に架橋剤や重合剤等を添加し、含水性膏体(粘着剤)を強固にするとともに保水性を持たせることができる。このような架橋剤や重合剤は、増粘剤等の種類に応じて適宜選択できる。
【0051】
例えば、増粘剤にポリアクリル酸またはポリアクリル酸塩を適用した場合は、分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有する化合物、Ca、Mg、A1等の塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩、炭酸塩等の無機酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、グルコン酸塩、ステアリン酸塩等の有機酸塩、酸化亜鉛、無水珪酸等の酸化物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の水酸化物等の多価金属化合物が好適に用いられる。また、増粘剤にポリビニルアルコールを適用した場合は、アジピン酸、チオグリコール酸、エポキシ化合物(エピクロルヒドリン)、アルデヒド類、N−メチロール化合物、Al、Ti、Zr、Sn、V、Cu、B、Cr等を含む錯体等が好適に用いられる。また、増粘剤にポリピロリドンを適用した場合は、メチルビニルエステル/無水マレイン酸共重合体、ポリアシッド化合物またはアルカリ金属塩(ポリアクリル酸やタンニン酸およびその誘導体)等が好適に用いられる。また、増粘剤にポリエチレンオキサイドを適用した場合は、パーオキサイド、ポリスルホンアザイト等が好適に用いられる。また、増粘剤にメチルビ二ルエーテル/無水マレイン酸共重合体を適用した場合は、多官能ヒドロキシ化合物、ポリアミン、ヨウ素、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、鉄、水銀、鉛塩等が好適に用いられる。また、増粘剤にゼラチンを適用した場合は、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、ジアルデヒドデンプン等のアルデヒド類、グリオキサール、ブタジエンオキシド等のジエポキシド類、ジビニルケトン等のジケトン類、ジイソシアネート類が好適に用いられる。
【0052】
また、含水性膏体層に薬剤を保持させる場合には、含水性膏体層に薬剤を配合すればよい。このような薬剤としては、例えば、全身麻酔剤、睡眠剤、鎮痛剤、解熱消炎鎮痛剤、ステロイドホルモン剤、興奮・覚醒剤、精神神経用剤、局所麻酔剤、骨格筋弛緩剤、自立神経用剤、抗アレルギー剤、抗ヒスタミン剤、強心剤、不整脈用剤、利尿剤、血圧降下剤、血管収縮剤、血管拡張剤、カルシウム拮抗剤、抗殺菌剤、寄生性皮膚疾患用剤、皮膚軟化剤、抗生物質、解毒剤、鎮咳剤、鎮痒剤、催眠剤、精神活力剤、ぜんそく剤、ホルモン分泌促進剤、抗潰瘍剤、制癌剤、ビタミン剤、また美肌成分等美白効果があるもの等が挙げられる。
【0053】
支持体1上に積層する含水性膏体層(粘着層2)の厚み(塗工厚)は、0.lmm〜3mmが好ましい。含水性膏体層の厚みが3mmを超えると含水性膏体に含まれる薬剤の放出性が悪くなる傾向にあり、他方、0.1mm未満では皮膚への接着性が劣り、剥がれの原因となる傾向にある。
【0054】
支持体1と含水性膏体層2とを含む厚さ(貼付剤本体3の厚さ)は、0.5mm〜5mmが好ましい。パップ剤の厚さが5mmを超えると貼付時に衣類等にパップ剤の端が引っ掛かり、剥がれ易くなる傾向にあり、他方、0.5mm未満ではパップ剤に支持性がなくなり、貼付ミスを起こし易くなる傾向にある。