特開2018-141111(P2018-141111A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-141111(P2018-141111A)
(43)【公開日】2018年9月13日
(54)【発明の名称】微粒子分散液及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C09K 11/82 20060101AFI20180817BHJP
   C09K 11/78 20060101ALI20180817BHJP
   C09K 11/08 20060101ALI20180817BHJP
   C01G 31/00 20060101ALI20180817BHJP
   C08L 89/00 20060101ALI20180817BHJP
   C08K 3/08 20060101ALI20180817BHJP
   B82Y 20/00 20110101ALI20180817BHJP
   B82Y 30/00 20110101ALI20180817BHJP
   B82Y 40/00 20110101ALI20180817BHJP
   G01N 21/64 20060101ALN20180817BHJP
【FI】
   C09K11/82CQA
   C09K11/78CPB
   C09K11/08 A
   C09K11/08 G
   C01G31/00
   C08L89/00
   C08K3/08
   B82Y20/00
   B82Y30/00
   B82Y40/00
   G01N21/64 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-37319(P2017-37319)
(22)【出願日】2017年2月28日
(71)【出願人】
【識別番号】000000206
【氏名又は名称】宇部興産株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504150461
【氏名又は名称】国立大学法人鳥取大学
(74)【代理人】
【識別番号】100090479
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 一
(74)【代理人】
【識別番号】100195877
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻木 伸一郎
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 徹
(72)【発明者】
【氏名】大観 光徳
(72)【発明者】
【氏名】石垣 雅
【テーマコード(参考)】
2G043
4G048
4H001
4J002
【Fターム(参考)】
2G043AA03
2G043BA17
2G043CA04
2G043DA02
2G043EA01
2G043FA02
2G043KA01
2G043KA02
4G048AA03
4G048AB02
4G048AB04
4G048AC08
4G048AD04
4G048AD10
4G048AE05
4G048AE08
4H001CA02
4H001CA04
4H001CC13
4H001CF01
4H001XA08
4H001XA21
4H001XA23
4H001XA39
4H001XA57
4H001XA64
4H001XA67
4H001XA71
4H001YA60
4H001YA70
4J002AD001
4J002DA117
4J002DC007
4J002DE026
4J002FB267
4J002FB291
4J002GB01
4J002GE00
4J002HA06
(57)【要約】
【課題】 微粒子の利用効率が高く、かつ、微粒子の発光強度が高いことから、安定した生体イメージング方法が可能な微粒子分散液を提供すること。
【解決手段】 蛍光体からなる微粒子が分散されている微粒子分散液であって、微粒子分散液の微粒子の累積粒度分布を、動的光散乱法を用いて測定すると、D50が20〜80nmであり、Williamson−Hallの式を用いて算出される前記微粒子の結晶子径が6.5nm以上である。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蛍光体からなる微粒子が分散されている微粒子分散液であって、
前記微粒子分散液の微粒子の累積粒度分布を、動的光散乱法を用いて測定すると、D50が20〜60nmであり、Williamson−Hallの式を用いて算出される前記微粒子の結晶子径が6.5nm以上であることを特徴とする微粒子分散液。
【請求項2】
請求項1に記載の微粒子分散液において、前記D50をx(nm)とし、前記結晶子径をy(nm)としたとき、x/yが5.0よりも小さいことを特徴とする微粒子分散液。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の微粒子分散液において、前記微粒子は、発光波長の少なくとも一部が700〜1200nmの範囲に含まれる蛍光体であることを特徴とする微粒子分散液。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の微粒子分散液において、前記微粒子がLn:Nd、Ln:Nd,Yb、LnVO:Nd及びLnVO:Nd,Ybから選ばれるいずれか1種の組成を有する蛍光体(但し、LnはLa、Gd、Y、Ho、Sc、Luから選ばれる1種又は2種以上の元素)であることを特徴とする微粒子分散液。
【請求項5】
請求項4に記載の微粒子分散液において、前記Lnの80モル%以上がGdであることを特徴とする微粒子分散液。
【請求項6】
請求項4に記載の微粒子分散液において、前記Lnの80モル%以上がYであることを特徴とする微粒子分散液。
【請求項7】
請求項4に記載の微粒子分散液において、前記Lnの80モル%以上がLuであることを特徴とする微粒子分散液。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の微粒子分散液において、前記微粒子の表面が両親媒性高分子で表面処理されていることを特徴とする微粒子分散液。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の微粒子分散液において、前記微粒子の表面が糖類又はタンパク質で修飾されていることを特徴とする微粒子分散液。
【請求項10】
混合すると合成反応により蛍光体からなる微粒子を生成する複数種の原料溶液を準備する第1工程と、
前記複数種の原料溶液を混合する原料混合工程を有するマイクロリアクター法を用いて微粒子を生成させた第1の微粒子分散液を得る第2工程と、
前記第1の微粒子分散液をオートクレーブ内で100℃以上に保持して、Williamson−Hallの式を用いて算出される前記微粒子の結晶子径を6.5nm以上に成長させた第2の微粒子分散液を得る第3工程と、
前記第2の微粒子分散液から所定の粒径の微粒子を分離し、分散媒に分散して第3の微粒子分散液を得る第4工程と、
を有することを特徴とする微粒子分散液の製造方法。
【請求項11】
請求項10に記載の微粒子分散液の製造方法において、前記複数種の原料溶液が酸性原料からなる原料溶液と塩基性原料からなる原料溶液とを含むことを特徴とする微粒子分散液の製造方法。
【請求項12】
請求項10又は11に記載の微粒子分散液の製造方法において、前記原料混合工程を10〜80℃で行うことを特徴とする微粒子分散液の製造方法。
【請求項13】
請求項12に記載の微粒子分散液の製造方法において、前記原料混合工程を30〜60℃で行うことを特徴とする微粒子分散液の製造方法。
【請求項14】
請求項10乃至13のいずれか1項に記載の微粒子分散液の製造方法において、前記原料混合工程をpH7.5〜11.0で行うことを特徴とする微粒子分散液の製造方法。
【請求項15】
請求項10乃至14のいずれか1項に記載の微粒子分散液の製造方法において、前記第3工程の微粒子の分離に遠心分離を用いることを特徴とする微粒子分散液の製造方法。
【請求項16】
請求項10乃至15のいずれか1項に記載の微粒子分散液の製造方法において、前記微粒子がLn:Nd、Ln:Nd,Yb、LnVO:Nd及びLnVO:Nd,Ybから選ばれるいずれか1種の組成を有する蛍光体(但し、LnはLa、Gd、Y、Ho、Sc、Luから選ばれる1種又は2種以上の元素)であることを特徴とする微粒子分散液の製造方法。
【請求項17】
請求項16に記載の微粒子分散液の製造方法において、前記Lnの80モル%以上がGdであり、前記第3工程において第1の微粒子分散液をオートクレーブ内で125℃以上に保持することを特徴とする微粒子分散液の製造方法。
【請求項18】
請求項16に記載の微粒子分散液の製造方法において、前記Lnの80モル%以上がYであり、前記第3工程において第1の微粒子分散液をオートクレーブ内で135℃以上に保持することを特徴とする微粒子分散液の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体イメージング方法に好適な微粒子分散液及びその製造方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、蛍光体の新たな用途として生体イメージング方法への応用に注目されている。生体イメージング方法は、特定の生体組織に集まる物質と発光物質とを組み合わせて生体内に注入し、特定の生体組織で発光物質を発光させ、生体外からその発光を観察することで特定の生体組織をイメージングすることができる。
【0003】
発光物質には蛍光体からなる微粒子が用いられる。生体外からその発光を観察するため、蛍光体の発光強度は高いことが望まれる。また、蛍光体からなる微粒子は分散液として生体内に注入されるが、微粒子の粒径が小さすぎると腎臓でろ過され、又は、蛍光体の粒径が大きすぎると肝臓でろ別されて、生体外に排出されるため、安定した生体イメージング方法を行うことが難しい。微粒子が生体外に排出されないためには、微粒子の粒径は20〜80nmであることが好ましい。例えば、特許文献1には、難溶性塩を含有する水溶液又は懸濁液を噴霧、熱分解して平均粒径が2〜50nmの近赤外蛍光体微粒子を得る方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】WO2008/152891
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この微粒子の粒度分布は不明だが、粒径の制御を行っていないため20nm以下又は80nm以上の粒子を多く含むと考えられる。また、粒径が小さな一次粒子は凝集力が大きくなるため、一部は凝集して粒径が大きな二次粒子を形成していると考えられる。このような微粒子を微粒子分散液として生体内に注入すると、所定の範囲外の粒径を有する微粒子は生体外に排出されやすい。このため、微粒子の利用効率が低下し、安定した生体イメージング方法を行うことが難しい。したがって、生体イメージング方法にさらに好適な微粒子が求められている。
【0006】
本発明の幾つかの態様は、微粒子の利用効率が高く、かつ、微粒子の発光強度が高いことから、安定した生体イメージング方法が可能な微粒子分散液及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
なお、本発明において一次粒子(primary particle)とは、一般的な粉体系における単位粒子(ultimate particle)をいい、一次粒子が複数個集合した粒子を二次粒子(secondary particle)という。また、微粒子とは、分散状態の一次粒子と、一次粒子の一部が凝集力によって凝集した二次粒子の集合体をいう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明の一態様は、蛍光体からなる微粒子が分散されている微粒子分散液であって、前記微粒子分散液の微粒子の累積粒度分布を、動的光散乱法を用いて測定すると、D50(篩下の累積粒度分布が50%となる粒子の粒径)が20〜60nmであり、Williamson−Hallの式を用いて算出される前記微粒子の結晶子径が6.5nm以上であることを特徴とする微粒子分散液に関する。D50が20〜60nmの微粒子が分散されている微粒子分散液が生体内に注入されると、粒径が小さくて腎臓でろ過される、又は、粒径が大きくて肝臓でろ別される微粒子が少ない。微粒子は生体外に排出されにくいため、微粒子の利用効率が向上する。また、Williamson−Hallの式を用いて算出される結晶子径が6.5nm以上である微粒子は結晶性が高く、発光強度が高い。このような微粒子分散液は生体イメージング方法に好適である。
【0009】
(2)本発明の一態様では、前記D50をx(nm)とし、前記結晶子径をy(nm)としたとき、x/yが5.0よりも小さいことが好ましい。このような微粒子は小さくても発光強度がより高いため、安定した生体イメージング方法が可能になるからである。
【0010】
(3)本発明の一態様では、前記微粒子は、発光波長の少なくとも一部が700〜1200nmの範囲に含まれる蛍光体であることが好ましい。この波長はいわゆる生体の窓(700〜1200nm)に含まれるため、蛍光体が発光した近赤外線を生体外から観察することができるからである。
【0011】
(4)本発明の一態様では、前記微粒子がLn:Nd、Ln:Nd,Yb、LnVO:Nd及びLnVO:Nd,Ybから選ばれるいずれか1種の組成を有する蛍光体(但し、LnはLa、Gd、Y、Ho、Sc、Luから選ばれる1種又は2種以上の元素)であることが好ましい。Ln:Nd、Ln:Nd,Yb、LnVO:Nd及びLnVO:Nd,Ybから選ばれるいずれか1種の組成を有する蛍光体(但し、LnはLa、Gd、Y、Ho、Sc、Luから選ばれる1種又は2種以上の元素)は生体の窓に含まれる波長でより強く発光するからである。
【0012】
(5)本発明の一態様では、前記Lnの80モル%以上がGdであることが好ましい。前記Lnの80モル%以上がGdであると、生体の窓に含まれる波長での発光強度がさらに高くなるからである。
【0013】
(6)本発明の一態様では、前記Lnの80モル%以上がYであることが好ましい。前記Lnの80モル%以上がYであると、生体の窓に含まれる波長での発光強度がさらに高くなるからである。
【0014】
(7)本発明の一態様では、前記Lnの80モル%以上がLuであることが好ましい。前記Lnの80モル%以上がLuであると、生体の窓に含まれる波長での発光強度がさらに高くなるからである。
【0015】
(8)本発明の一態様では、前記微粒子の表面が両親媒性高分子で表面処理されていることが好ましい。両親媒性高分子で表面処理されることによって微粒子の凝集力を弱め、分散性をより高めることができるからである。凝集が抑制されるため、微粒子が生体外に排出されにくく、微粒子の利用効率が向上する。
【0016】
(9)本発明の一態様では、前記微粒子の表面が糖類又はタンパク質で修飾されていることが好ましい。例えば、がん細胞は細胞分裂のためにブドウ糖を異常に消費するため、微粒子をがん細胞に集中させることができるように、微粒子を生体内の特定の生体組織に集中させることができるからである。その結果、特定の生体組織をイメージングすることができる。
【0017】
(10)本発明の他の態様は、混合すると合成反応により蛍光体からなる微粒子を生成する複数種の原料溶液を準備する第1工程と、前記複数種の原料溶液を混合する原料混合工程を有するマイクロリアクター法を用いて前記微粒子を生成させた第1の微粒子分散液を得る第2工程と、前記第1の微粒子分散液をオートクレーブ内で100℃以上に保持して、Williamson−Hallの式を用いて算出される前記微粒子の結晶子径(W−H法による結晶子径)を6.5nm以上に成長させた第2の微粒子分散液を得る第3工程と、前記第2の微粒子分散液から所定の粒径の微粒子を分離し、分散媒に分散して第3の微粒子分散液を得る第4工程と、を有することを特徴とする微粒子分散液の製造方法に関する。混合すると合成反応により蛍光体からなる微粒子を生成する複数種の原料溶液を用いたマイクロリアクター法によって、均一性及び分散性が高い微粒子を生成させた第1の微粒子分散液を得ることができる(第2工程)。第1の微粒子分散液をオートクレーブ内で100℃以上に保持することによって、W−H法による前記微粒子の結晶子径を6.5nm以上に成長させた第2の微粒子分散液を得ることができる。第2の微粒子分散液から所定の粒径の微粒子を分離し、分散媒に分散することによって、微粒子の粒径の均一性及び分散性が極めて高い第3の微粒子分散液を得ることができる。第3の微粒子分散液の微粒子は粒径の均一性及び分散性が極めて高いため、生体内に注入すると生体外に排出されにくく、利用効率が高い。また、微粒子の結晶子径が大きいため発光強度が高い。よって、生体イメージング方法に好適な微粒子分散液を製造することができる。
【0018】
(11)本発明の他の態様では、前記複数種の原料溶液が酸性原料からなる原料溶液と塩基性原料からなる原料溶液とを含むことが好ましい。酸性原料からなる原料溶液と塩基性原料からなる原料溶液とを用いることによって、pH等、第2、第3工程の反応条件を容易に制御できるからである。
【0019】
(12)本発明の他の態様では、前記原料混合工程を10〜80℃で行うことが好ましい。原料溶液の混合を10〜80℃で行うことによって、得られる微粒子の結晶性を向上させることができるからである。
【0020】
(13)本発明の他の態様では、前記原料混合工程を30〜60℃で行うことが好ましい。原料溶液の混合を30〜60℃で行うことによって、得られる微粒子の結晶性をさらに向上させることができるからである。
【0021】
(14)本発明の他の態様では、前記原料混合工程をpHが7.5〜11.0で行うことが好ましい。原料混合工程をpHが7.5〜11.0で行うことによって、得られる微粒子の結晶性を向上させることができるからである。
【0022】
(15)本発明の他の態様では、前記第4工程の微粒子の分離に遠心分離を用いることが好ましい。所定の粒径の微粒子をより確実に分離することができるからである。
【0023】
(16)本発明の他の態様では、前記微粒子がLn:Nd、Ln:Nd,Yb、LnVO:Nd及びLnVO:Nd,Ybから選ばれるいずれか1種の組成を有する蛍光体(但し、LnはLa、Gd、Y、Ho、Sc、Luから選ばれる1種又は2種以上の元素)であることが好ましい。Ln:Nd、Ln:Nd,Yb、LnVO:Nd及びLnVO:Nd,Ybから選ばれるいずれか1種の組成を有する蛍光体(但し、LnはLa、Gd、Y、Ho、Sc、Luから選ばれる1種又は2種以上の元素)は生体の窓に含まれる波長でより強く発光するからである。
【0024】
(17)本発明の他の態様では、前記Lnの80モル%以上がGdであり、前記第3工程において第1の微粒子分散液をオートクレーブ内で125℃以上に保持することが好ましい。前記Lnの80モル%以上がGdであり、前記第3工程において第1の微粒子分散液をオートクレーブ内で125℃以上に保持すると、生体の窓に含まれる波長での発光強度がさらに高くなるからである。
【0025】
(18)本発明の他の態様では、前記Lnの80モル%以上がYであり、前記第3工程において第1の微粒子分散液をオートクレーブ内で135℃以上に保持することが好ましい。前記Lnの80モル%以上がYであり、前記第3工程において第1の微粒子分散液をオートクレーブ内で135℃以上に保持すると、生体の窓に含まれる波長での発光強度がさらに高くなるからである。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本実施形態に用いられたマイクロリアクターを概略的に示す。
図2】実施例2、4で得られた第3の微粒子分散液の粒度分布を示す。
図3】実施例1〜2、比較例2〜3で得られた微粒子(蛍光体)のフォトルミネッセンス(PL)スペクトルを示す。
図4】実施例3〜4、比較例4〜5で得られた微粒子(蛍光体)のPLスペクトルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
【0028】
(1)微粒子分散液の製造方法
本実施形態における微粒子分散液の製造方法は、混合すると合成反応により蛍光体からなる微粒子を生成する複数種の原料溶液を準備する第1工程と、複数種の原料溶液を混合する原料混合工程を有するマイクロリアクター法を用いて蛍光体からなる微粒子を生成させた第1の微粒子分散液を得る第2工程と、第1の微粒子分散液をオートクレーブ内で100℃以上に保持して、Williamson−Hallの式を用いて算出される前記微粒子の結晶子径(W−H法による結晶子径)を6.5nm以上に成長させた第2の微粒子分散液を得る第3工程と、記第2の微粒子分散液から所定の粒径の微粒子を分離し、分散媒に分散して第3の微粒子分散液を得る第4工程と、を有する。以下、さらに詳しく説明する。
【0029】
(1−1)第1工程
第1工程で準備される複数種の原料溶液は酸性原料からなる原料溶液と塩基性原料からなる原料溶液とを含み、混合すると合成反応により蛍光体からなる微粒子を生成する。酸性原料及び塩基性原料は、合成反応の目的物に応じて適当な材料が選択される。酸性原料としては水和物が好ましい。合成反応の目的物がYVO:Nd,Ybの場合、酸性原料としては、例えば、酢酸イットリウム四水和物((CHCOO)Y・4HO)、酢酸ネオジウム一水和物((CHCOO)Nd・HO)、酢酸イッテルビウム四水和物((CHCOO)Yb・4HO)及びクエン酸ナトリウム二水和物(CNa・2HO)の混合水溶液が選択される。酢酸イットリウム四水和物、酢酸ネオジウム一水和物及び酢酸イッテルビウム四水和物の濃度は、それぞれ0.01〜5Mが好ましい。酸性原料のpHは1〜6.5が好ましく、例えば、クエン酸ナトリウム二水和物等を用いて調整される。
【0030】
塩基性原料としては、例えば、バナジウム酸ナトリウム(NaVO)及び水酸化ナトリウム(NaOH)の混合水溶液が選択される。バナジウム酸ナトリウムの濃度は、0.01〜5Mが好ましい。塩基性原料のpHは10〜14が好ましく、例えば、水酸化ナトリウム等を用いて調整される。
【0031】
(1−2)第2工程
(1−2−1)マイクロリアクター法
第2工程で用いられる、いわゆるマイクロリアクター法とは、断面積が0.001〜100mmの流路に、複数種の原料溶液を混合した原料混合物を供給し、流路として形成される微小反応領域を原料混合物が通過する間に連続的に合成反応を行うものである。マイクロリアクター法の長所としては、以下のように合成反応条件の制御が容易であることが挙げられる。
・複数種の原料溶液の混合が容易であること
・均一な混合が容易であること
・単位流量に対する表面積(表面積/単位流量)が大きいこと
・合成反応条件の均一化が容易であること
・合成反応における温度制御が容易であること
・合成反応時間の制御が容易であること
・スケールアップが容易であること
【0032】
マイクロリアクター法では、特に、微小反応領域の断面積は重要である。断面積をある程度小さくすると、原料混合物を均一にすることや、合成反応の重要なパラメーターの一つである原料混合物のpHを制御することが容易になる。
【0033】
第2工程で用いられるマイクロリアクター法は、第1工程で準備した複数種の原料溶液を混合して原料混合物を得る原料混合工程と、原料混合物の合成反応により蛍光体からなる微粒子を生成させて第1の微粒子分散液を得る反応工程と、を有する。以下、本実施形態に用いられたマイクロリアクター法を、図1を用いて説明する。図1は、いわゆるマイクロリアクター11を概略的に示す。
【0034】
(1−2−2)原料混合工程
原料混合工程で混合される複数種の原料溶液は、酸性原料12及び塩基性原料13を含む。酸性原料12及び塩基性原料13の例は第1工程で説明したとおりである。酸性原料12及び塩基性原料13はそれぞれ原料供給路14,15に送液ポンプ16,17を介して連続的に供給される。酸性原料12の流速は0.01〜10ml/分が好ましく、0.5〜2ml/分がより好ましい。塩基性原料13の流速は0.01〜10ml/分が好ましく、0.5〜2ml/分がより好ましい。送液ポンプ16,17としては、例えば、シリンジ型ポンプやマイクロロータリーポンプが好適である。送液の脈動を抑え、正確な流速の連続送液を行うことができる。
【0035】
酸性原料12及び塩基性原料13の原料供給路14,15はコネクター18に接続される。原料供給路14,15の材料については特に制限はなく、例えば、ガラス、石英及びセラミック等の無機材料、ポリオレフィン樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂及びシリコーン樹脂等の熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂及びフェノール樹脂等の熱硬化性樹脂並びにテフロン(登録商標)等のフッ素系樹脂を用いることができる。コネクター18内にはY字形等の流路が形成されており、原料供給路14,15はY字形等の流路の結節点に形成される混合空間19で合流する。したがって、酸性原料12及び塩基性原料13は混合空間19で連続的に混合され、原料混合物が得られる(原料混合工程)。コネクター18内の流路の形状については、酸性原料12と塩基性原料13を混合することができれば特に制限はなく、Y字形の他、例えば、T字形を用いてもよい。コネクター18内の流路の内径20は0.5〜2mm程度が好ましい。コネクター18の材料については特に制限はなく、例えば、原料供給路14,15用に記載された公知の材料を用いることができる。
【0036】
原料混合工程の温度は、10〜80℃が好ましく、15〜70℃がより好ましく、30〜60℃がさらに好ましく、40〜55℃が特に好ましい。ここで、原料混合工程の温度とは、コネクター18の温度をいい、コネクター18を外部から加熱することによって調整することができる。酸性原料12と塩基性原料13が混合される際のpHは、7.5〜11.0が好ましく、8.0〜9.0がより好ましく、8.2〜8.8が特に好ましい。得られる微粒子の結晶性又は発光強度を向上させることができる。酸性原料12と塩基性原料13が混合される際のpHを調整するために、酸性原料12と塩基性原料13とは異なる酸性又は塩基性の化合物をさらに別の流路(図1には図示されない)から加えてもよい。
【0037】
(1−2−3)反応工程
コネクター18内の混合空間19で酸性原料12と塩基性原料13が混合された原料混合物内で合成反応が開始する。原料混合物は、反応チューブ21内の流路として形成される微小反応領域に供給される。反応チューブ21の形状については、合成反応が連続的に行われるための微小反応領域が確保されていれば特に制限はなく、チューブ状の他、キャピラリー状や基板状でもよい。反応チューブ21の材料については特に制限はなく、例えば、原料供給路14,15用に記載された公知の材料を用いることができる。反応チューブ21(微小反応領域)内の流路の内径は通常3mm以下であり、好ましくは0.5〜2mmである。反応チューブ21(微小反応領域)の長さは、合成反応の目的物や合成反応の条件等に応じて適宜決定されるが、一般的には50〜15000mm程度である。原料混合物が反応チューブ21(微小反応領域)を通過する間に合成反応が連続的に生じ、微粒子が生成され、第1の微粒子分散液23が得られる(反応工程)。
【0038】
連続的な合成反応を安定させるため、反応チューブ21は超音波恒温槽22内に配置されることが好ましい。超音波恒温槽22は50〜90℃、好ましくは60〜80℃の間の一定の温度に保持される。これによって原料混合物の温度が一定に保持される。反応チューブ21(微小反応領域)を通過する原料混合物の流速は、反応チューブ21(微小反応領域)の通過時間、即ち、合成反応時間等に基づいて適宜決定される。反応チューブ21に超音波を照射することが好ましい。超音波によって原料混合物が均一に撹拌されるため、合成反応が促進され、原料溶液の利用効率が向上し、また、微粒子の結晶性が向上する。さらに、一次粒子が撹拌されるため、二次粒子が形成されにくい。このように、安定した合成反応を所定時間行うことによって、高い分散性と高い結晶性を有する第1の微粒子分散液23を高効率で得ることができる。即ち、第1の微粒子分散液において、微粒子は、一部は凝集して二次粒子を形成している可能性はあるものの、多くは分散状態を保持すると考えられる。
【0039】
(1−3)第3工程
第3工程のオートクレーブ内の温度は100℃以上であり、好ましくは125℃以上であり、より好ましくは135℃以上であり、さらに好ましくは145℃以上であり、特に好ましくは155℃以上である。オートクレーブ内では水熱合成が行われ、第1の微粒子分散液23中の微粒子は所定の大きさに成長(熟成)させる。その際、W−H法による微粒子の結晶子径も成長し、微粒子の結晶性を向上させた第2の微粒子分散液を得ることができる。
【0040】
(1−4)第4工程
第4工程では、第3工程で得られた第2の微粒子分散液から、公知の分離方法を用いて所定の粒径の微粒子を分離し、分散媒に分散することによって、第3の微粒子分散液を得ることができる。分離方法としては、特に制限はなく、例えば、遠心分離、ろ過等、公知の方法を用いることができるが、より確実に分離することができるため、遠心分離が好ましい。また、第2の微粒子分散液から所定の粒径の微粒子を分離する工程は、複数回繰り返すことが好ましい。微粒子の均一性及び分散性が極めて高い第3の微粒子分散液を得ることができる。分散媒は、生理食塩水や純水等、目的に応じて適宜決定される。
【0041】
(2)微粒子
本実施形態の第3の微粒子分散液において、微粒子は、発光波長の少なくとも一部が700〜1200nmの範囲に含まれる蛍光体であることが好ましい。この波長はいわゆる生体の窓(700〜1200nm)に含まれるため、蛍光体が発光した近赤外線を生体外から観察することができる。
【0042】
また、微粒子は、Ln:Nd、Ln:Nd,Yb、LnVO:Nd及びLnVO:Nd,Ybから選ばれるいずれか1種の組成を有する蛍光体(但し、LnはLa、Gd、Y、Ho、Sc、Luから選ばれる1種又は2種以上の元素)であることが好ましい。Lnは80モル%以上がGdであることが好ましく、90モル%以上がGdであることがより好ましく、100モル%がGdであることがさらに好ましい。また、Lnは80モル%以上がYであることが好ましく、90モル%以上がYであることがより好ましく、100モル%がYであることがさらに好ましい。さらに、Lnは80モル%以上がLuであることが好ましく、90モル%以上がLuであることがより好ましく、100モル%がLuであることがさらに好ましい。これらの組成を有する蛍光体は、生体の窓に含まれる波長でより強く発光する。
【0043】
また、微粒子は、W−H法による結晶子径が6.5nm以上であり、好ましくは8.0nm以上であり、より好ましくは10nm以上であり、さらに好ましくは13nm以上である。結晶子径が大きいと結晶性が高くなり、一般に発光強度が高くなる。
【0044】
さらに、微粒子は、シェラーの式を用いて算出される結晶子径(シェラー法による結晶子径)が最大となる面における結晶子径が10nm以上であり、好ましくは13nm以上であり、より好ましくは15nmである。例えば、微粒子がLnVO:Nd又はLnVO:Nd,Ybいずれかの組成を有する蛍光体(但しLnはLa、Gd、Y、Ho、Sc、Luから選ばれる1種又は2種以上の元素)の場合、シェラー法による結晶子径が最大となる面は(200)面である。
【0045】
(3)第3の微粒子分散液
本実施形態の第3の微粒子分散液において、微粒子の累積粒度分布を、動的光散乱法を用いて測定すると、D50(篩下の累積粒度分布が50%となる粒子の粒径)は20〜60nmであり、好ましくは25〜50nmであり、より好ましくは30〜45nmである。また、D90(篩下の累積粒度分布が90%となる粒子の粒径)/D10(篩下の累積粒度分布が10%となる粒子の粒径)は3以下であり、より好ましくは2以下であり、さらに好ましくは1.5以下である。微粒子分散液が生体内に注入されたとき、粒径が均一な微粒子は生体外に排出されにくいため、微粒子の利用効率が向上する。
【0046】
また、第3の微粒子分散液において、D50の値をx(nm)とし、W−H法による結晶子径の値をy(nm)としたとき、x/yは5.0よりも小さく、好ましくは4.0よりも小さく、より好ましくは3.6よりも小さい。微粒子は生体外に排出されにくいため、微粒子の利用効率が向上するとともに、結晶性が高いため、発光強度が高くなる。
【0047】
(4)生体イメージング方法への応用
微粒子の表面は、両親媒性高分子で表面処理されてもよい。両親媒性高分子はポリエチレングリコール(PEG)がより好ましい。両親媒性高分子で表面処理された微粒子は凝集力が弱まり、分散性が向上する。凝集によって粒径が80nmを超える微粒子が少なくなるため、生体内に注入したとき肝臓でろ別されにくく、微粒子の利用効率が向上する。
【0048】
微粒子の表面を両親媒性高分子で表面処理する方法は、例えば、両親媒性高分子を所定の割合でpH7.0の分散媒に添加する工程と、この分散媒に微粒子分散液を添加、撹拌する工程を有する。
【0049】
微粒子の表面は、糖類又はタンパク質で修飾されてもよい。糖類はブドウ糖がより好ましい。例えば、がん細胞は細胞分裂のためにブドウ糖を異常に消費するため、微粒子をがん細胞に集中させることができる。その結果、がん細胞を生体イメージングすることができる。
【0050】
微粒子の表面を糖類又はタンパク質で修飾する方法は、例えば、両親媒性高分子(好ましくはPEG)で表面処理された微粒子の分散液にブドウ糖を添加、撹拌する工程を有する。
【実施例】
【0051】
以下、本発明の実施例について詳細に説明する。
【0052】
(1)実施例1
(1−1)第1工程
目的の微粒子(蛍光体)の組成をY0.925VO:Nd0.05,Yb0.025とし、酸性原料12として、0.925Mの酢酸イットリウム四水和物((CHCOO)Y・4HO)、0.050Mの酢酸ネオジウム一水和物((CHCOO)Nd・HO)、0.025Mの酢酸イッテルビウム四水和物((CHCOO)Yb・4HO)及び0.308Mのクエン酸ナトリウム二水和物(CNa・2HO)からなる混合水溶液(原料溶液)を準備した。酸性原料12(原料溶液)のpHは5.0であった。次に、塩基性原料13として、1.000Mのバナジウム酸ナトリウム(NaVO)及び水酸化ナトリウム(NaOH)からなる混合水溶液(原料溶液)を準備した。塩基性原料13(原料溶液)のpHを12.4に調整した。
【0053】
(1−2)第2工程(マイクロリアクター法)
酸性原料12は流速1.5ml/分、塩基性原料13は流速0.9ml/分で原料供給路14,15に供給され、流路の内径20が1.0mmのテフロン(登録商標)製のコネクター18を通過させることによって原料混合物を得た(原料混合工程)。原料混合工程の温度(コネクター18の温度)は50℃とした。
【0054】
原料混合物は長さ10000mmのテフロン(登録商標)製の反応チューブ21(微小反応領域)を通過させた(反応工程)。反応チューブ21(微小反応領域)は、70℃に保持された超音波恒温槽22内に配置され、超音波を照射した。反応チューブ21(微小反応領域)を通過する原料混合物の流速は2.4ml/分とし、合成反応開始からすべての原料混合物が反応チューブ21(微小反応領域)を通過し終えるまでの時間を2分とした。
【0055】
(1−3)第3、第4工程
得られた第1の微粒子分散液23は、オートクレーブ内で140℃に6時間保持して、W−H法による微粒子の結晶子径を成長(熟成)させた(第3工程)。その後、12000回毎分で1時間の遠心分離を行い、ゲル状の微粒子を回収した。ゲル状の微粒子を純水(分散媒)に分散し、遠心分離を行なう操作をさらに2回行なった。回収したゲル状の微粒子を純水(分散媒)に分散することで粒径の均一性及び分散性が極めて高い微粒子が分散された第3の微粒子分散液を得た(第4工程)。また、回収したゲル状の微粒子の一部を分取し、凍結乾燥してY0.925VO:Nd0.05,Yb0.025の組成を有する微粒子(蛍光体)を得た。
【0056】
(2)実施例2
第1の微粒子分散液23をオートクレーブ内で180℃に保持した以外は実施例1と同様にして、Y0.925VO:Nd0.05,Yb0.025の組成を有する微粒子(蛍光体)及びその微粒子が分散された第3の微粒子分散液を得た。
【0057】
(3)実施例3
目的の微粒子(蛍光体)の組成をGd0.925VO:Nd0.50,Yb0.025とし、酸性原料12の一部として酢酸イットリウム四水和物に代えて酢酸ガドリニウム四水和物((CHCOO)Gd・4HO)を用いた以外は実施例1と同様にして、Gd0.925VO:Nd0.05,Yb0.025の組成を有する微粒子(蛍光体)及びその微粒子が分散された第3の微粒子分散液を得た。
【0058】
(4)実施例4
第1の微粒子分散液23をオートクレーブ内で180℃に保持した以外は実施例3と同様にして、Gd0.925VO:Nd0.05,Yb0.025の組成を有する微粒子(蛍光体)及びその微粒子が分散された第3の微粒子分散液を得た。
【0059】
(5)比較例1
第1の微粒子分散液23をオートクレーブ内で130℃に保持した(第3工程)以外は実施例1と同様にして、Y0.925VO:Nd0.05,Yb0.025の組成を有する微粒子(蛍光体)及びその微粒子が分散された第3の微粒子分散液を得た。
【0060】
(6)比較例2
酸性原料12を撹拌しながら塩基性原料13を滴下し、微粒子分散液を得た(第2工程)以外は実施例1と同様にして、Y0.925VO:Nd0.05,Yb0.025の組成を有する微粒子(蛍光体)及びその微粒子が分散された第3の微粒子分散液を得た。
【0061】
(7)比較例3
第2工程で得られた微粒子分散液をオートクレーブ内で180℃に保持した(第3工程)以外は比較例2と同様にして、Y0.925VO:Nd0.05,Yb0.025の組成を有する微粒子(蛍光体)及びその微粒子が分散された第3の微粒子分散液を得た。
【0062】
(8)比較例4
目的の微粒子(蛍光体)の組成をGd0.925VO:Nd0.05,Yb0.025とし、酸性原料12の一部として、酢酸イットリウム四水和物に代えて酢酸ガドリニウム四水和物((CHCOO)Gd・4HO)を用いた以外は比較例2と同様にして、Gd0.925VO:Nd0.05,Yb0.025の組成を有する微粒子(蛍光体)及びその微粒子が分散された第3の微粒子分散液を得た。
【0063】
(9)比較例5
第2工程で得られた微粒子分散液をオートクレーブ内で180℃に保持した(第3工程)以外は比較例4と同様にして、Gd0.925VO:Nd0.05,Yb0.025の組成を有する微粒子(蛍光体)及びその微粒子が分散された第3の微粒子分散液を得た。
【0064】
実施例1〜4及び比較例1〜5の製造方法の概要を表1に示す。
【表1】
【0065】
(10)評価方法
実施例1〜4及び比較例1〜5で得られた第3の微粒子分散液及び微粒子(蛍光体)について、粒度分布測定、フォトルミネッセンス(PL)測定又はX線回折(XRD)測定を行い、物性を評価した。PL測定に用いた励起光の波長は600nmとした。それぞれの測定に用いた装置は以下のとおりである。
<粒度分布測定>
日機装製動的光散乱式ナノトラック粒子系分布測定装置UPA−EX150
<PL測定>
日本分光製分光蛍光光度計FP−8700
<XRD測定>
Rigaku製試料水平型多目的X線回折装置Ultima−IV
【0066】
(11)評価結果
図2に実施例2、4で得られた第3の微粒子分散液の粒度分布を示す。いずれの粒度分布も40〜50nmの間に非常にシャープなピークを有し、粒径が均一な微粒子分散液であることがわかる。また、実施例2、4の累積粒度分布のD50(篩下の累積粒度分布が50%となる粒子の粒径)はそれぞれ40.1nm、45.3nmであった。
【0067】
図3に実施例1〜2、比較例2〜3で得られたY0.925VO:Nd0.050Yb0.025微粒子(蛍光体)のPLスペクトル、図4に実施例3〜4、比較例4〜5で得られたGd0.925VO:Nd0.050Yb0.025微粒子(蛍光体)のPLスペクトルを示す。また、実施例1〜4及び比較例1〜5の微粒子分散液のD10、D50、D90及びD90/D10並びにW−H法による微粒子の結晶子径、シェラー法による(200)面の結晶子径、x/y(ただし、xはD50(nm)、yはW−H法による結晶子径(nm))及び発光強度を表1に示す。なお、発光強度はピーク波長(985nm)における発光強度を示し、実施例4で得られた蛍光体の発光強度を1としたときの相対値で示す。
【表2】
【0068】
実施例1〜4のD90/D10はいずれも2.5以下であり、D10とD90が極めて接近し、粒径が均一な微粒子分散液であることが裏付けられている。また、D50はいずれも60nm以下である。このような微粒子分散液を生体内に注入すると、微粒子は生体外に排出されにくいため、微粒子の利用効率が向上する。また、実施例1〜4の結晶子径はいずれも6.5nm以上である。このような微粒子(蛍光体)は結晶性が高く、結晶子径が6.5nmよりも小さい微粒子(蛍光体)(例えば、比較例1、2、4)と比較して発光強度が高い。さらに、実施例1〜4のx/yは5.0より小さい。このような微粒子分散液は微粒子が小さくても発光強度が高いため、安定した生体イメージング方法が可能になる。
【0069】
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項及び効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。したがって、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれる。例えば、明細書において、少なくとも一度、より広義又は同義の異なる用語とともに記載された用語は、明細書のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。
【符号の説明】
【0070】
11 マイクロリアクター、12 酸性原料(原料溶液)、13 塩基性原料(原料溶液)、14,15 原料供給路、16,17 送液ポンプ、18 コネクター、19 混合空間、20 コネクター内の流路の内径、21 反応チューブ(微小反応領域)、22 超音波恒温槽、23 前駆体分散液(第1の微粒子分散液)
図1
図2
図3
図4