特開2018-14195(P2018-14195A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 越田 原司の特許一覧

<>
  • 特開2018014195-スピーカーケーブル 図000003
  • 特開2018014195-スピーカーケーブル 図000004
  • 特開2018014195-スピーカーケーブル 図000005
  • 特開2018014195-スピーカーケーブル 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-14195(P2018-14195A)
(43)【公開日】2018年1月25日
(54)【発明の名称】スピーカーケーブル
(51)【国際特許分類】
   H01B 11/00 20060101AFI20171222BHJP
   H04R 1/06 20060101ALI20171222BHJP
【FI】
   H01B11/00 Z
   H04R1/06 310
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-142027(P2016-142027)
(22)【出願日】2016年7月20日
(71)【出願人】
【識別番号】308034914
【氏名又は名称】越田 原司
(72)【発明者】
【氏名】越田 原司
【テーマコード(参考)】
5D017
5G319
【Fターム(参考)】
5D017AH10
5G319CA03
5G319CB10
(57)【要約】      (修正有)
【課題】単線ケーブルの音のキレの良さはそのままに、低音域から高音域まで再生周波数帯域が広く全帯域鮮明で、制作時に再生音の調音が容易にでき、どんなサイズのスピーカーでも、その再生能力を最大限に引き出すことができるスピーカーケーブルを提供する。
【解決手段】線径0.2mm以上から線径0.7mm以下の線径の異なる多数本の単線導体1〜5を、段階的線径で混用しスピーカーケーブルの導体とする。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
線径0.7mm以下の段階的に線径の異なる多数本の単線導体からなるスピーカーケーブルであって、導体の線径の範囲により、線径0.2mm以上から0.3mm未満の範囲のグループ、線径0.3mm以上から0.4mm未満の範囲のグループ、線径0.4mm以上から0.5mm未満の範囲のグループ、線径0.5mm以上から0.7mm以下の範囲のグループに分類し、各線径の範囲グループから、少なくとも各1本以上を混用し導体としたことを特徴とするスピーカーケーブル。

























【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オーディオ機器のアンプとスピーカーを接続するケーブルの音質向上に関するものである。
【背景技術】
【0002】
オーディオにおいてケーブルで音が変わることは近年では良く知られていることである。スピーカーケーブルやヘッドホンケーブルをはじめ、RCAケーブルやUSBケーブル、そして電源ケーブルまで含め、すべてのケーブルにおいて音は変わるのである。それは絶縁体やシールドやシース、導体の素材や純度、そして撚り線か単線か、さらに導体の線径などによって音が変わるのである。
【0003】
導体の線径においては、線径の細い導体は高音再生向きであり、線径の太い導体は低音再生向きという認識は既に定着している。単線ケーブルにおいては顕著であるが、撚り線ケーブルにおいても同様である。線径0.15mmなどの細い導体からなる撚り線ケーブルは高音域が良く再生され音に広がりがあり、本数が増えるほど音像が厚くなるが、豊かな低音を再生するには多くの本数が必要となる。線径0.5mmなどの太い導体からなる撚り線ケーブルは、線径の細い導体からなる撚り線ケーブルより少ない本数で音像が厚く低音域が豊かとなる。これは、スピーカーケーブル・RCAケーブルなどのアナログケーブルや電源ケーブルに共通の、導体線径と音質の関係である。
【0004】
数年前より高解像度で情報量の多いハイレゾ音源がインターネットでダウンロード購入できるようになり、自宅でもポータブル環境でも録音スタジオの音が聞けるようになった。音源が良くなればスピーカーケーブルには再生周波数帯域が広く、全帯域鮮明でキレの良さが求められる。ケーブルで特定帯域が強調されたり響きが加わったりすることなく、記録されている音をそのまま再現するためである。
【0005】
これまで取り回しの良さから撚り線ケーブルが多く用いられてきたが、撚り線ケーブルは撚る本数が多いほど再生音のキレがあまくなり滲みが加わる。音が柔らかくなり響きが加わる感じで好まれる方も多いが、ハイレゾ音源の普及とともに、再生音のキレが良く鮮明な単線ケーブルも人気が出ている。
【0006】
しかし単線ケーブルの場合、線径が細いものは高音域が良く出て解像感は高いが低音域が少なく、線径の太いものは音像厚く低音豊かであるが高音域が少ないという欠点があった。広帯域に再生するためにラインケーブルでは、太いコア線材に細い信号線材を巻きつけたケーブルも発明されていが、太い線材はコア線材であり信号線材の線径は1種類となっている。(特許文献1参照)
【0007】
線径の違いにより高音域から低音域まで対応させた、段階的線径で構成されたオーディオ用ケーブルも考案されているが、線径も本発明とは大幅に異なり、解決しようとする課題も本発明とは異なるものである。(特許文献2参照)
【0008】
素線直径が異なり低音域、中音域、高音域に対応させた複合多芯ケーブルも考案されているが、低音用・中音用導体は単線あるいは撚り線で、高音用導体は撚り線である。また、バイワイヤリング接続時は低音用スピーカーには低音用導体を接続としており、1つのスピーカーターミナルに対して線径1種の接続となっている。本発明は、段階的に線径の異なる多数本の単線導体からなるスピーカーケーブルであって、一つのスピーカーターミナルへの接続に限定しているものであり、使用線径と周波数帯域についても明確にしている。(特許文献3参照)
【0009】
ケーブルメーカーであるZONOTONEからは、非常に複雑に線径の異なる高純度導体を組み合わせた、高額なケーブルも発売されている。数種販売されているがスピーカーケーブルの最上位シリーズは、プラス線は、(線径0.5mm×7本)×3+(線径1.4mm×1本)が2組で構成され、マイナス線は、(線径0.08×120本)+(線径0.12mm×70本)+(線径0.18×4+26)+(線径0.32×19本)が2組の構成となっており、非常に太いケーブルとなっている。
【0010】
単線のスピーカーケーブルとしては、オーディオテクニカから線径1.2mm、アコースティックリバイブから線径1.8mm、オーディオクエストから線径1.450mm(15AWG)×2と線径2.081mm(14AWG)×2、(株)イルンゴ・オーディオからは純銀単線で線径4.0mmと線径2.5mm、47研究所からはもっとも細い単線ケーブルと思われるが、線径0.4mmと線径0.65mmなどが販売されている。
【0011】
撚り線スピーカーケーブルでは、BELDENからは、実質導体断面積に換算して、0.5174mm、0.8226mm、1.309mm、2.081mm、3.309mmが、カナレ電気からは実質導体断面積では、1.0mm、2.5mm、4.3mmなど数種販売されている。
【0012】
線径の細い導体は高音再生向きで、線径の太い導体は低音再生向きという認識は一般的に既にあるのだが、ケーブルの線径は細いものから極端に太いものまであり、競争のように導体純度は高められ、ハイエンドなスピーカーケーブルではペアで300万円のものまで存在する。オーディオケーブルの現状を見ると混迷期と言えるのである。ケーブルにおいて導体以外の絶縁体やシースなどが音質に与える影響は確かにあるが、もっとも音質に影響するのは導体そのものであり導体の線径である。導体の線径と再生周波数帯域の関係が明らかにされていないことこそが混迷の原因と言えるのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2004−273240
【特許文献2】実願平10−10786
【特許文献3】実願平8−2254
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
スピーカーケーブルにおいて、単線ケーブルの音のキレの良さはそのままに、低音域から高音域まで再生周波数帯域が広く全帯域鮮明で、制作時に再生音の調音が容易にでき、どんなサイズのスピーカーシステムでも、その再生能力を最大限に引き出すことができるスピーカーケーブルを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明のケーブルは線径の異なる導体の混用からなるため、1本の導体という意味で絶縁の有無にかかわらず単線導体と表現するものである。
【0016】
1.0mm以下の絶縁された単線導体であるエナメル線の、線径0.1mm、0.2mm、0.25mm、0.3mm、0.35mm、0.4mm、0.45mm、0.5mm、0.55mm、0.6mm、0.65mm、0.7mm、0.8mm、0.9mm、1.0mmを、1本1本スピーカーケーブルとして試聴実験をした結果、線径の違いによる再生音の周波数特性は、線径0.2mmから0.7mmの範囲で高音域から低音域まで余裕をもって対応できていることが分かった。
【0017】
線径0.2mmでも0.6mmでも、高音域も低音域も再生されるのだが、比較試聴すると、線径0.2mmから、0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.6mm、0.7mmと、線径が太くなるにつれて、その再生周波数帯域の中心は明らかに低音域に移行するのである。つまり、線径の違いにより再生音が特定の周波数帯域に特化しているのである。
【0018】
単線導体1本でバランスの良い再生音を得ようとすると、再生機器や好みの違いにより幅はあるが、線径0.4mmから線径0.5mmあたりとなる。それはこの範囲の線径の単線導体における再生周波数帯域の中心が中音域にあたることを示しているのである。1本でもバランスが良いのは帯域幅を有しているためである。
【0019】
しかし高音域は線径0.3mmの方が鮮やかに再生できるし、低音域は線径0.6mmの方が豊かに再生できるのである。
【0020】
線径0.3mmの単線導体を5本・7本と増やして撚り線導体としていくと、音像も厚くなり低音域も出るようになるが、線径0.3mmを3本増やすより0.5mmを1本加える方が低音域は豊かになる。しかし線径0.3mm7本に、さらに0.2mmを2本加えると全体の線径が増すにもかかわらず、線径0.2mmの再生周波数帯域の中心である高音域が強調される。つまり単線導体は線径の違いによって再生周波数帯域が違い、混用し導体とした場合でも再生音が混じり合うことなく再生周波数帯域が付加されていくのである。
【0021】
線径の異なる単線導体を混用し導体とした場合、再生音が混じり合うことなく再生周波数帯域が付加されていくのは、絶縁された単線導体において顕著であるが、絶縁されていない単線導体を混用した場合も同様の傾向を示す。
【0022】
高音域から低音域まで全帯域を鮮明に再生するためには、導体を構成する1本1本の単線導体の絶縁の有無にかかわらず、線径の違いにより再生周波数帯域が各帯域に特化した単線導体を、高音域側から低音域側まで、線径0.2mm、0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.6mm、0.7mmというように、段階的線径で混用し導体とすることが望ましいのである。再生機器や再生環境により差はあるかと思われるが、単線導体の線径と再生周波数特性は、線径0.2mm、0.25mm、0.3mm、0.35mmは超高音域から高音域にあたり、線径0.4mm、0.45mm、0.5mmは中高音域から中低音域、線径0.55mm、0.6mm、0.65mm、0.7mmは低音域から超低音域にあたる。それぞれ線径の細い方が高音寄りで線径の太い方が低音寄りとなる。
【0023】
低音域の再生能力や電流量の違い、再生環境など様々な要因があるためこの限りではないが、小型のデスクトップ用のスピーカーなどでは、単線導体を段階的線径で多数本混用し導体とした場合、低音域側の太い線径に0.55mm以上をあてると低音域がだぶつき音は良くないことが分かった。低音域側の太い線径は0.5mmで十分に低音域の量感が得られるのである。ミニコンポ用のブックシェルフ型のスピーカーでは低音域側の太い線径は線径0.55mmで十分低音域が再生された。フロアタイプのスピーカーでは低音域側の太い線径が線径0.55mmでは十分な低音域が再生されず、線径0.6mm以上を低音域にあてることで豊かな低音域が再生された。つまり、ウーファーに起因するスピーカーの大きさや低音域の再生能力、電流量などによって線径0.5mm以上の構成は変わるということである。
【0024】
高音域側はスピーカーシステムの大型小型に関わらず、線径0.25mmで高音域の空気感まで表現することができ、線径0.2mm、0.3mm、0.4mm・・・とするより、線径0.25mm、0.3mm、0.4mm・・・の構成の方が耳障りにならずバランスが良かった。大型のスピーカーシステムでも高音域側には小型のツイーターが割り当てられているため、高音域においては小型のスピーカーと差が出ないようである。
【0025】
小型のデスクトップ用のスピーカーとはいえ、線径0.25mm、0.3mm、0.4mm、0.5mmの構成では導体が細すぎるのではないかと、線径0.25mm、0.3mm、0.35mm、0.4mm、0.45mm、0.5mmの構成としてみたが高音域が強調された再生音となった。大型のスピーカーであれば全体の線径が太くなっても良いのではないかと、線径0.25mmから0.65mmまでを0.05mm単位の段階的線径で構成してみたが、高音域は強調され、低音のしまりが悪くなった。高音域に線径0.25mm、0.3mm、0.35mm、低音域に線径0.55mm、0.6mm、0.65mmでは、高音域も低音域も強く鳴りすぎることが分かった。
【0026】
結果として、デスクトップ用のスピーカーに合わせた構成は、線径0.25mm、0.3mm、0.4mm、0.5mmの構成となり、線径0.2mm以上から0.3mm未満の範囲のグループ、線径0.3mm以上から0.4mm未満の範囲のグループ、線径0.4mm以上から0.5mm未満の範囲のグループ、線径0.5mm以上から0.7mm以下の範囲のグループに分類すると、各線径の範囲グループから各1本ずつ混用したものとなる。
【0027】
そして線径0.2mm以上から0.3mm未満の範囲のグループからさらに加えることにより超高音域から高音域の調音が、線径0.3mm以上から0.4mm未満の範囲のグループからさらに加えることで高音域から中高音域の調音が、線径0.4mm以上から0.5mm未満の範囲のグループからさらに加えることで中高音域から中低音域の調音ができるのである。
【0028】
本発明のスピーカーケーブルは、その線径の違いにより1本1本が特定周波数帯域に特化した単線導体を、高音域から低音域まで段階的線径で多数本混用した構成とすることで、一般的な撚り線ケーブルと比べて構成本数が少なにもかかわらず再生周波数帯域が広く、構成本数が少ないため単線ケーブル同様の鮮明な再生音が得られるのである。特定の周波数帯域に特化した線径の単線導体の混用であるため、特定線径の本数の増減により的確な再生音の調音が可能で、どんなサイズのスピーカーシステムでもその再生能力を最大限に引き出すことができるのである。
【発明の効果】
【0029】
本発明のスピーカーケーブルは、線径0.7mm以下の線径の異なる多数本の単線導体を、段階的線径で混用し導体とすることで、単線ケーブル同様の鮮明な再生音で、低音域から高音域まで再生周波数帯域が広く、制作時に再生音の調音が容易にでき、どんなサイズのスピーカーシステムでも、その再生能力を最大限に引き出すことができるのである。
【0030】
単線導体の線径と再生周波数特性の関係が分かったことで、段階的な線径構成と各線径範囲グループからの使用本数により調音が可能となりさまざまなサイズのスピーカーシステムに的確に対応できるということである。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明のスピーカーケーブルの1例、線径0.2mm以上から0.3mm未満の範囲のグループ、線径0.3mm以上から0.4mm未満の範囲のグループ、線径0.4mm以上から0.5mm未満の範囲のグループ、線径0.5mm以上から0.7mm以下の範囲のグループに分類し、各線径の範囲グループから各1本ずつの、線径 0.25mm、0.3mm、0.4mm、0.5mmの、絶縁された単線導体を混用したスピーカーケーブルの断面図を示している。
図2】本発明のスピーカーケーブルの1例、各線径の範囲グループから各1本ずつの、線径 0.25mm、0.3mm、0.4mm、0.5mmの、絶縁されていない単線導体を混用したスピーカーケーブルの断面図を示している。
図3】本発明のスピーカーケーブルの1例、各線径の範囲グループから各1本ずつと、線径0.5mm以上から0.7mm以下の範囲のグループからさらに1本を加えた、線径 0.25mm、0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.6mmの、絶縁された単線導体を混用したスピーカーケーブルの断面図を示している。
図4】本発明のスピーカーケーブルの1例、各線径の範囲グループから各1本ずつと、線径0.5mm以上から0.7mm以下の範囲のグループからさらに1本を加えた、線径 0.25mm、0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.6mmの、絶縁されていない単線導体を混用したスピーカーケーブルの断面図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0032】
絶縁とは、ビニール・ゴム・ポリオレフィン・テフロン(登録商標)や絹・綿・紙などの被覆物による絶縁や、エナメル塗膜などの絶縁性塗膜による絶縁を含むものである。
【0033】
単線導体とは、銅線、銀線、アルミ線、合金線などの金属やそれらの高純度線の他、電気伝導性の材質からなる線材を含むものである。
【0034】
制作試聴は絶縁された単線導体であるエナメル線を撚り線とし、シースには熱収縮チューブを使用した。
【0035】
絶縁された単線導体であるエナメル線を調べただけでも、線径0.2mm、0.21mm、0.23mm、0.25mm、0.26mm、0.28mm、0.29mm、0.3mm、0.32mm、0.35mmなどと多くの線径があり、線径は以下の例に限られたものでは無い。線径の差が0.01mm単位で製造できるため、多少線径が違っても同様の構成ができるからである。
【0036】
オーディオ機器や再生環境の違いもあるため線径の構成は1例でありこの限りではないが、デスクトップスピーカーならば、線径0.25mm、0.3mm、0.4mm、0.5mm、ブックシェルフスピーカーならば、0.25mm、0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.55mm、トールボーイタイプやフロア型スピーカーならば0.25mm、0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.6mm、さらに大型のスピーカーならば0.25mm、0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.6mm、0.65mm、というような構成となる。
【0037】
スピーカーのサイズや低音再生能力に合わせて、線径0.5mm以上から0.7mm以下の範囲のグループから使用する導体の構成を変えることにより、低音域のだぶつきを起こさせず、どんなサイズのスピーカーでもその性能を引き出すことができるのである。
【0038】
線径による再生周波数帯域が解っているため、高音域が物足りなければ線径0.2mm以上から0.3mm未満の範囲のグループをさらに追加、中高音域ならば線径0.3mm以上から0.4mm未満の範囲のグループを追加、と周波数帯域に対応した線径を追加することで細やかな調音が可能である。線径構成が、0.2mm、0.3mm、0.4mm、0.5mmの場合、中音域が足りなければ線径0.4mmを追加してもよいし、0.45mmを追加してもよいが、線径の細い方がより高音寄りとなる。また使用中の線径である0.4mmを追加した場合は、その周波数帯域が強調されるが、0.45mmを追加した場合は、使用中の0.4mmと0.5mmの間の周波数帯域が埋められることでより中音域が充実する。なお調音の場合の各線径の範囲グループからの本数増は1本で十分に調音されるが、1本に限るものでは無い。
【産業上の利用可能性】
【0039】
近年では携帯用のポータブルアンプ等で音楽を楽しむ方も増加しており、イヤホンやヘッドホンや・スピーカー、アンプのサイズや出力、消費電力などの格差は拡大している。本発明のスピーカーケーブルは、再生周波数帯域が広く全帯域鮮明で、制作時に再生音の調音が容易にでき、機器の再生能力に合わせたラインアップが可能で、これからのオーディオケーブルに求められる要素を備えたものである。
【0040】
本発明のスピーカーケーブルを、使用中のスピーカーケーブルのスピーカー側に50cmほど延長としてつなぐことにより、各線径の周波数帯域に音声信号が分離出力されるため、音質改善が可能である。
【0041】
ヘッドホンケーブルやイヤホンケーブルはスピーカーサイズが小さくなるため本発明の線径とは異なり、高音域の線径はさらに細く、低音域も線径0.3mm以下の構成になると思われるが、段階的線径の構成にすることで同様に音質が向上すると予想される。
【0042】
アンプや再生機器に使用するRCAケーブルにおいても、線径0.25mm、0.3mm、0.4mm、0.5mmの単線導体を混用した構成で制作視聴したが、広帯域で全体域鮮明でキレの良い再生音はスピーカーケーブルと同様であった。ポータブルアンプから重量級アンプなどの機器の出力や消費電力などの違いによりスピーカーシステムの大小と同様に線径構成の幅を変えることで、機器の性能を最大限に引き出すことができるのである。
【0043】
電源ケーブルについては、フロアタイプのスピーカーを備えたオーディオシステムにおいて、線径0.25mm×2本、0.3mm×2本、0.4mm×2本、0.5mm×2本、0.6mm×2本、0.7mm×2本を撚り線にして、プラス線ならびにマイナス線として試聴実験をした結果、特定帯域の強調もなく、高音域から低音域まで鮮明な再生音であった。線径0.6mmまでの構成では低音域がやや物足りず、線径0.8mmまでの構成では低音域が出過ぎであったことから、単線導体の線径0.2mmから0.7mmという線径範囲が、スピーカーケーブルだけでなく、オーディオに関わる電線の線径として適した線径範囲であると思われる。
【符号の説明】
【0044】
1 線径0.25mmの導体
2 線径0.3mmの導体
3 線径0.4mmの導体
4 線径0.5mmの導体
5 線径0.6mmの導体
6 絶縁被覆や絶縁塗膜
7 シース


















図1
図2
図3
図4