特開2018-143265(P2018-143265A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-143265(P2018-143265A)
(43)【公開日】2018年9月20日
(54)【発明の名称】包帯巻き具
(51)【国際特許分類】
   A61F 15/00 20060101AFI20180824BHJP
【FI】
   A61F15/00 338
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-37968(P2017-37968)
(22)【出願日】2017年3月1日
(71)【出願人】
【識別番号】504150461
【氏名又は名称】国立大学法人鳥取大学
(74)【代理人】
【識別番号】100118393
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 康裕
(72)【発明者】
【氏名】庄川 久美子
(72)【発明者】
【氏名】渡部 朗子
(72)【発明者】
【氏名】松本 綾
(72)【発明者】
【氏名】増田 紳哉
(72)【発明者】
【氏名】竹本 利治
(57)【要約】
【課題】深部静脈血栓症の予防で四肢を圧迫する方法として圧迫包帯が巻かれることがある。このときは、26.7hPs〜40hPsの圧力でなければならない。所定の張力で弾性包帯を引っ張るには熟練が必要である。種々のテクニックを教授するも、現状としては看護師の感に頼ることになり、個人差が生じるという課題がある。また、幅の広い弾性包帯を巻くときは、弾性包帯側を母指(親指)と母指球に当てて引っ張るために、幅方向で張力が均一にならない。そので、本発明は、包帯の張力を一定にして巻き付けることができる包帯巻き具を提供することを目的とする。
【解決手段】包帯Bの引き出しに抵抗力を加える抵抗付与機構3を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
包帯の引き出しに抵抗力を加える抵抗付与機構を包帯の引き出し経路に備えたことを特徴とする包帯巻き具。
【請求項2】
前記抵抗付与機構は、包帯の引き出しの幅方向に対して均等に抵抗力を付与することを特徴とする請求項1に記載の包帯巻き具。
【請求項3】
前記抵抗付与機構は、一定の抵抗力を付与することを特徴とする請求項1に記載の包帯巻き具。
【請求項4】
前記抵抗付与機構は、前記抵抗力を調整可能であることを特徴とする請求項3に記載の包帯巻き具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包帯の張力を一定にして巻き付けることができる包帯巻き具に関する。
【背景技術】
【0002】
四肢の静脈の血液が正常の速さで循環するにはポンプの役割をする筋肉の弛緩の助けが必要である。静脈には弁があり、筋肉が収縮することにより深部静脈が圧迫されて血液が中枢側に送られる。そして、筋肉が弛緩することにより末梢側の血液が吸い上げられる。これが筋肉のポンプの役割である。静脈の血流速度が遅くなると、血栓が生じる深部静脈血栓症(DVT、エコノミークラス症候群)を発症し易くなる。特に、重力に逆らった血流方向となる下肢は血栓を発症し易くなる。この血栓が剥がれて(遊離して)肺動脈で詰まる肺血栓塞栓症を併発する危険性がある。
【0003】
静脈の流れが遅くなる要因には種々ある。手術の麻酔患者は麻酔の作用で血管の拡張が誘発されて静脈の血流速度が遅くなる。長期間の臥床、下肢の手術後や骨折、歩行が困難な老人や障害者、乗り物の長時間乗車、災害時の避難生活およびじっと立尽くめの業種など、によって同じ体勢を続けて運動をしなかった場合に、筋肉のポンプが不足して血流速度が遅くなる。
【0004】
深部静脈血栓症の予防方法として、抗凝固薬を使用する方法があるが、出血した場合には血が止まりにくくなるというリスクがある。このリスクがない方法として、圧迫の方法がある。四肢を圧迫することで、血管が少し細くなって血流速度が速まる。この圧迫の方法として、特許文献1に開示されるような、下肢に巻いた装着具に機器から間欠的に空気を送入して、下肢の圧迫を行う間欠的空気圧迫法(空気圧ポンプ、IPC)がある。しかしながら、間欠的空気圧迫法はポンプの働きが有る為か、深部静脈血栓症存在下、深部静脈血栓症既往の疑いがある場合、静脈壁に付いている血栓をはがし、肺塞栓症を引き起こす危険性があるので、使用しないのが原則である。また、間欠的空気圧迫法は整形外科の牽引時には使用することができない。
【0005】
他の圧迫方法として、特許文献2に開示されるような、医療用弾性ストッキングがある。市販の圧迫ストッキングの圧迫力は20hPs(15mmHg)以下となっているので、医療用は市販よりも圧迫力が強い。また、医療用は静脈血やリンパ液を心臓方向へ流れやすくするために、足首の圧が一番強く、太ももに向かって圧が弱くなるよう作られている。しかしながら、医療用弾性ストッキングは寸法がS,M,Lサイズというような既製品の寸法であり、オーダーメイドではないので、寸法が合わない患者が多い。また、医療用弾性ストッキングはリンパ浮腫(むくみ)の予防にも使用されるが、リンパ浮腫が大きい患者や四肢が変形している患者には既製品では合わない。また、深部静脈血栓症の場合と浮腫の場合とでは圧迫力が異なるが、医療用弾性ストッキングは圧迫力の変更ができない。
【0006】
そこで、特許文献3に開示されるような、弾性包帯を四肢に巻き付ける方法が考えられた。弾性包帯はどのような下肢の形状でも使用可能であり、病状や四肢の状態に合わせて圧迫圧や範囲を調節できるという特徴がある。弾性ストッキングが履けない、サイズが合わない、あるいは皮膚障害などで中断した、下肢の手術や変形などの理由で、ストッキングを装着できないという場合でも弾性包帯を使用して四肢を圧迫することができる。この弾性包帯による圧迫は深部静脈血栓症の予防だけでなく、止血や浮腫のコントロール、下肢静脈瘤の治療やリンパ浮腫の治療にも使用されている。さらに、弾性包帯は「圧迫」のみならず、「創傷保護」としての包帯や、「固定」として、骨折、脱臼、捻挫部位の固定と安静や、「保持・支持」としてずれやすいドレッシングや薬剤の保持、点滴のチューブやシーネなどの支持にも使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特表2001−514047号公報
【特許文献2】特開2014−188116号公報
【特許文献3】特表2015−526224号公報
【特許文献4】特開2002−78731号公報
【特許文献5】特開2001−137290号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
弾性包帯は所定範囲の圧力で患部に巻かなければならない。たとえば、深部静脈血栓症の予防であれば、26.7hPs〜40hPs(20mmHg〜30mmHg)の圧力でなければならない。毛細血管の圧力は42.7hPsであるので、これ以上の圧力を弾性包帯で掛けると毛細血管が閉塞状態になり皮膚組織に血が通わなくなってしまうので、褥瘡を予防するにはこの数値以下にしなければならない。さらに、下肢への圧迫においては、静脈血やリンパ液を心臓方向へ流れやすくするために、足首の圧が一番強く、太ももに向かって圧が弱くなるよう巻かなければならない。たとえば、その比率は足首:ふくらはぎ:太ももが10:7:4である。
【0009】
弾性包帯は主として看護師が巻くのであるが、所定の圧力で患部に巻くには、所定の張力で弾性包帯を引っ張り、且つ所定の巻き数にしなければならない。所定の巻き数にするのはさほど困難ではないが、所定の張力で弾性包帯を引っ張ることは非常に難しく、熟練が必要である。種々のテクニックを教授するも、現状としては看護師の感に頼ることになり、個人差が生じるという課題がある。また、幅の広い弾性包帯を巻くときは、弾性包帯側を母指(親指)と母指球に当てて引っ張るために、幅方向で張力が均一にならない。このように弾性包帯による圧力にばらつきがあるために、弾性包帯を解いて発赤などの異常がないかのチェックを頻繁に行わなければならない。
【0010】
特許文献4に伸長量の度合いを表すマークが形成された包帯が開示されているが、その包帯を使用しなければ本課題を解決することができない。なお、この包帯の市販を確認できない。
【0011】
また、特許文献5に包帯を巻き付ける自動包帯器が開示されているが、このような自動包帯器についても市販を確認することができず、また、この文献からはその使用方法や使用の効果について理解し難い。なお、特許文献5は、包帯の回転を指の押圧で調整することにより包帯の張力を調整するものであるようだが、直接包帯の張力を調整するものではなく、包帯とは異なる場所を指で抑える構成となっている。
そこで本発明は、熟練者でなくとも包帯の張力を一定にして患部に巻き付けることができる包帯巻き具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、本発明の一つの態様に係る包帯巻き具は、包帯の引き出しに抵抗力を加える抵抗付与機構を包帯の引き出し経路に備えたことを特徴とする。
【0013】
包帯の引き出し力がこの抵抗力以下のときは包帯から引き出されず、包帯の引き出し力がこの抵抗力以上のときに包帯が抵抗力に抗して包帯巻き具から引っ張り出されるので、とくに弾性包帯を所定の張力で患部に巻き付けることができる。そのため熟練が必要とされる弾性包帯の使用において、熟練者でなくとも弾性包帯を所定の張力で患部に巻き付けることができる。
【0014】
また、本発明の包帯巻き具においては、前記抵抗付与機構は、包帯の引き出しの幅方向に対して均等に抵抗力を付与することが好ましい。
これにより本発明は幅方向の張力を均一にすることができる。このため、包帯巻き具を使用しない場合に、弾性包帯側を母指(親指)と母指球に当てて引っ張ることで、弾性包帯の幅方向の張力が均一にならないような問題を防ぐことができる。
【0015】
また、本発明の包帯巻き具においては、前記抵抗付与機構は、一定の抵抗力を付与することが好ましい。
こにより本発明は、包帯巻き具から包帯を引っ張り出す力を常時均一にすることができるので、手で押さえる力加減で抵抗力を増減すると張力が均一にならないような問題を防ぐことができる。
また、本発明の包帯巻き具においては、前記抵抗付与機構は、加える抵抗力を調整可能であることが好ましい。
弾性包帯を巻き付ける部位や目的によって圧迫力が異なるが、本発明はこれに対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の基本構成を示す第1実施形態に係る包帯巻き具の側面図である。
図2】(A)は第2実施形態の包帯巻き具の要部を示す斜視図であり、(B)は第2実施形態に係る包帯巻き具の使用状態を示す図である。
図3】第2実施形態に係る包帯巻き具の分解斜視図である。
図4】(A)は第2実施形態に係る包帯巻き具の要部を示す側面図であり、(B)は第2実施形態の側面の中央断面図である。
図5】(A)は第3実施形態に係る包帯巻き具の要部を示す斜視図であり、(B)は第3実施形態の側面の中央断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、実施形態及び図面を参照にして本発明を実施するための形態を説明するが、以下に示す実施形態は、本発明をここに記載したものに限定することを意図するものではなく、本発明は特許請求の範囲に示した技術思想を逸脱することなく種々の変更を行ったものにも均しく適用し得るものである。なお、この明細書における説明のために用いられた各図面においては、各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各部材毎に縮尺を異ならせて表示しており、必ずしも実際の寸法に比例して表示されているものではない。
[第1実施形態]
【0018】
図1を用いて、第1実施形態の包帯巻き具1を説明する。第1実施形態は本発明の基本構成を示す。この包帯巻き具1は、包帯の引き出しに抵抗力を加える抵抗付与機構を包帯の引き出し経路に備えるものである。より具体的には、包帯巻き具1は、弾性包帯Bを収容する筐体2と、抵抗付与機構3とからなる。
【0019】
筐体2は、弾性包帯Bを収納するともに、収納された弾性包帯Bを引き出せる構造となったものである。そして、この筐体2に収納された弾性包帯Bから、弾性包帯Bを巻く患部までの経路が、包帯の引き出し経路となる。
【0020】
抵抗付与機構3は、弾性包帯Bが筐体2から引き出される力に抵抗を与えるものである。そして、この抵抗付与機構3は、弾性包帯Bの引き出し経路に設けられており、抵抗付与機構3の位置は、筐体2内あるいは筐体2外(筐体2の表面を含む。)あるいはその両方に設けられてもよい。抵抗付与機構3による抵抗の方法は、種々考えられるが、例えば、弾性包帯Bとの摩擦力でもよく、弾性包帯Bの繰り出し機構の内部抵抗でもよい。
【0021】
この抵抗付与機構3によって、弾性包帯Bは、所定以上の力を加えなければ引き出せないことになる。また、抵抗付与機構3による抵抗力は一定になっているため、引き出す力の個人差による影響は無く、また、筐体2内の弾性包帯Bの残量(直径)が変化しても弾性包帯Bが引き出される力は一定となる。また、抵抗付与機構3による抵抗力は、弾性包帯Bの幅方向に対して均等に掛けられるので、母指や母指球の部分の張力が強くなるということはない。また、この抵抗付与機構3は、後述する張力を調整する機能を備えているので、例えば、弾性包帯Bでの圧迫力を調整することができる。
[第2実施形態]
【0022】
次に、図2図4を用いて、第2実施形態の包帯巻き具1Aを説明する。第2実施形態は第1実施形態の具体例を示す。第2実施形態の包帯巻き具1Aにおいては、第1実施形態の包帯巻き具1と構成が同一の部分については同一の参照符号を付与してその詳細な説明は省略し、構成が異なる同一名の部分については参照符号に添え字「A」を付す。
【0023】
第2実施形態の包帯巻き具1Aは、弾性包帯Bを収容する筐体2Aと、加える抵抗力を調整可能な抵抗付与機構3Aと、を備えるものである。より具体的には、図2図3に示すように、包帯巻き具1Aは、ケース21と蓋22からなる筐体2Aと、抵抗体31と調整ネジ32と支持体33からなる抵抗付与機構3Aとからなる。
【0024】
まず、筐体2Aを形成するケース21と蓋22は、射出成型で形成される合成樹脂(例えば、ABS樹脂やスチロール樹脂)からなる。そして、ケース21と蓋22は、円筒形のケース21の円形口から弾性包帯Bを挿入し、円形口に蓋22を嵌合することで、弾性包帯Bを収納する。そして、収納された弾性包帯Bは、ケース21の引き出し口21aからケース21の外へ引き出される。なお、引き出し口21aの中央には円弧状の切欠き21aaが設けられて、弾性包帯Bをつまみ出し易くなっている。
【0025】
また、ケース21には、抵抗体31の後述するフック31aが嵌入する第1フック孔21bと、支持体33の後述するフック33bが嵌入する第2フック孔21cと、支持体33の後述するガイド33cが嵌入するガイド孔21dが、ケース21の両端近傍に2つずつ設けられている。なお、筐体2Aは、金属で形成することもできる。
【0026】
次に、加える抵抗力を調整可能な抵抗付与機構3Aについて説明する。抵抗体31は、射出成型で形成される合成樹脂からなる。また、抵抗体31は、ケース21の円弧面の略半分を覆う円弧柱の形状であり、その円弧の後端の左右にカギ状のフック31aを備え、円弧の前端に弾性包帯Bと当接する当接部31bを設けている。また、円弧の前端にはケース21とは逆方向に延在するリブ31cが形成されており、このリブ31cは、当接部31bの補強となっている。
【0027】
また、抵抗体31は、2つのフック31aをケース21の2つの第1フック孔21bに嵌入し、抵抗体31の当接部31b側の端部がケース21の引き出し口21aを覆う構成となっている。
【0028】
これにより、弾性包帯Bは、抵抗体31の当接部31bとケース21の引き出し口21a近傍の円弧面で挟まれることとなる。そして、この挟まれる力が、弾性包帯Bが引っ張られる抵抗力となることで、抵抗付与機構として機能することになる。なお、この抵抗力が、所望される抵抗力となるように、挟む部分の形状や材質を部分的に変更してもよい。例えば、当接部31bを櫛歯状にしてもよく、また他の摩擦材を張り付けても良い。
【0029】
なお、抵抗体31は、フック31aを第1フック孔21bから外せば、抵抗体31をケース21から離脱させることができる。また、抵抗体31は、フック31aを支点として回動できるようになっている。したがって、弾性包帯Bを患部に巻く準備として、抵抗体31をケース21に装着したまま、抵抗体31を回動させて弾性包帯Bが挟まれる隙間を広げることで、包帯巻き具1Aは、簡単に弾性包帯Bを僅かに引き出すことができる。
【0030】
調整ネジ32は、抵抗付与機構3Aにより付与される抵抗力を調整するためのものであり、支持体33によってケース21に保持される。調整ネジ32には頭部に目盛となる数値32aが印刷されており、頭部の側面には滑り止めのローレットが刻まれている。
【0031】
支持体33は、射出成型で形成される合成樹脂からなり、抵抗体31の前端を除いた部分を覆う円弧柱の形状となっている。また、支持体33は、その円弧の前端側の中央に調整ネジ32が螺入するネジ孔33aと、後端の左右にカギ状のフック33bと、前端の左右端にケース21側に突出するガイド33cを備えている。そして、支持体33には、ネジ孔33aの近傍に三角形の指標33dが刻印されており、抵抗付与機構3Aは、この指標33dにあわせて調整ネジ32の数値32aの中から目的とする目盛に合わせる構成となっている。
【0032】
なお、支持体33は、2つのフック33bがケース21の第2フック孔21cに嵌入し、2つのガイド33cがケース21のガイド孔21dに嵌入して、抵抗体31の一部を覆う構成となっている。そして、フック33bを第2フック孔21cから外せば、支持体33をケース21から離脱させることができる。また、支持体33はフック33bを中心に回動できるようになっている。したがって、弾性包帯Bを患部に巻く準備として、抵抗体31と支持体33をケース21に装着したまま、支持体33を回動させて弾性包帯Bが挟まれる隙間を広げることで、包帯巻き具1Aは、簡単に弾性包帯Bを僅かに引き出すことができる。
【0033】
このような構成により、抵抗付与機構3Aは、支持体33が母指と母指球などによってケース21に押圧されると、調整ネジ32のネジの先端32bが抵抗体31をケース21に押圧し、弾性包帯Bが抵抗体31の当接部31bとケース21の引き出し口21a近傍の円弧面で挟まれることとなる。この挟まれる力が、弾性包帯Bが引っ張られる際の抵抗力となって、弾性包帯Bが一定の張力で引き出される。
【0034】
また、弾性包帯Bは、弾性包帯Bの幅方向全域に渡って平行に配設される当接部31bによって引き出し口21a近傍の円弧面で挟まれるので、弾性包帯Bの幅方向に均一な抵抗を受けて均一な張力によって引き出される。
【0035】
抵抗付与機構3Aによるこの抵抗力の大きさは、調整ネジ32の位置によって当接部31bのケース21までの隙間が一定に保たれるので、常に一定となる。したがってこの抵抗付与機構3Aは、常に一定の抵抗力を付与する機構としても機能する。そして、調整ネジ32を回すことにより、調整ネジ32の位置(調整ネジ32が支持体33に螺入する深さ)が変わり、その抵抗力の大きさを変更することができる。これにより、弾性包帯Bを巻き付ける部位や目的によって適宜、圧迫力を変更することができる。したがってこの抵抗付与機構3Aは、加える抵抗力を調整可能な機構としても機能する。
【0036】
なお、この調整ネジ32による張力の調整範囲は、所定の巻き数で圧迫力が26.7hPs〜40hPs(20mmHg〜30mmHg)になるように設定されている。この設定においては、使用する弾性包帯Bの所定の巻き数における圧迫力と張力の関係を得ることが必要である。たとえば、実験値によりグラフ化しても良いし、さらに、統計学における回帰分析の最小二乗法で近似式を得てもよい。
【0037】
また、抵抗体31と支持体33は合成樹脂であったが、より強度を増加させるために板金加工で形成される金属であってもよい。このときは怪我防止と更なる強度増加のために抵抗体31の当接部31bの端部はヘミング加工されることが好ましい。また、支持体33のネジ孔33aは、雌ネジの長さを延ばすためにバーリング加工された孔にネジ加工されることが好ましい。なお、図2(B)には、包帯巻き具1Aを実際に使用している時の参考図を示している。図2(B)に示すように、包帯巻き具1Aは、支持体33が母指と母指球によってケース21に押圧されて使用される。
[第3実施形態]
【0038】
図5(A)、(B)を用いて、第3実施形態の包帯巻き具1Bを説明する。第3実施形態の包帯巻き具1Bは第2実施形態の包帯巻き具1Aから調整ネジ32と支持体33を削除し、転がり機構4を追加したものである。第3実施形態の包帯巻き具1Bにおいては、第2実施形態の包帯巻き具1と構成が同一の部分については同一の参照符号を付与してその詳細な説明は省略し、構成が異なる同一名の部分については参照符号に添え字「B」を付す。
【0039】
図5(A)、(B)に示すように、第3実施形態の包帯巻き具1Bには調整ネジ32と支持体33が無いが、抵抗付与機構3Bとしての抵抗体31があるので、弾性包帯Bが引き出される力が弾性包帯Bの幅方向に均一となる作用効果がある。
【0040】
第3実施形態の転がり機構4は、2つのローラー41からなる。ローラー41は、射出成型で形成される合成樹脂の高さが低い円筒状であり、中央に軸受41aが設けられている。それぞれのローラー41の軸受41aがケース21Bの円形面の中心と蓋22B(図示せず)の円形面の中心に設けられた軸23に嵌入されて、2つのローラー41が回転自在に軸支されている。
【0041】
これにより、包帯巻き具1Bは、ローラー41の円弧面が転がり面41bとなって、この転がり面41bが患部面を転がって弾性包帯Bを巻くことができる。この時、包帯巻き具1Bは、弾性包帯Bの引き出される角度が患部面に対して常に一定にしたままで、患部面を転がすことができる。したがって、弾性包帯Bを患部に巻く際にその作業を容易に行うことができる。特に、最初の1巻きをするまでは、弾性包帯Bの先端を他方の手で押さえていなければ弾性包帯Bが患部から外れるので、包帯巻き具1Bを片手で一周させなければならない。この点、本実施形態の帯巻き具1Bは、患部面を容易に転がすことができるので、特に、最初の1巻き作業が容易となる。なお、第3実施形態の転がり機構4は第1〜第2実施形態にも適用することができる。
【0042】
以上のように本発明の包帯巻き具を用いることで、熟練者でなくとも、弾性包帯Bを患部に容易に巻き付けることができる。なお、本発明の包帯巻き具における抵抗付与機構の具体的構造は、実施形態2で示したような抵抗付与機構3Aのような構造に限定されるものではなく、他の構造を採用することもできる。
【0043】
また、本発明の包帯巻き具を使用しても、巻いている途中に巻き直さなければならないことがある。特に、転がり機構4を備えていない包帯巻き具は、最初の1巻きは片手で包帯巻き具を一周させなければならないので、弾性包帯Bが緩む恐れがある。また、患者が包帯巻き作業中に動くことがある。このように包帯巻き具を使用しての作業を中断したときは、弾性包帯Bを一端、包帯巻き具から取り出して、弾性包帯Bを元の状態に巻き、再度弾性包帯Bを包帯巻き具に収容しなければならない。そこで、本発明の包帯巻き具に、弾性包帯Bを収容したままで弾性包帯Bを巻き込む機構を設けることがより好ましい。これにより、包帯巻きの作業を中断しても、弾性包帯Bを包帯巻き具から取り出すことなく、弾性包帯Bを巻き込むことができる。
【0044】
また、たとえば、2巻き目の最初で弾性包帯Bが重なり始めるときに、弾性包帯Bが外れ難くなるように、少しだけ弾性包帯Bを強く引っ張る必要が生じることもある。このような場合に、包帯巻き具に、所定以上の張力で弾性包帯Bを引き出そうとしても、弾性包帯Bが引き出されないよう引き出しを一定期間止めておく停止機構を設けることもできる。また、この停止機構は、あまりにも大きな引っ張り力が掛かることを防止しすることが好ましい。たとえば、弾性包帯BにR1の引き出し抵抗を与える通常の抵抗付与機構に加えて、R2の引き出し抵抗を与える補助の抵抗付与機構(停止機構)を備える。2巻き目で弾性包帯Bが少し重なるときにのみ補助の抵抗付与機構をONにして、R1+R2の引き出し抵抗で強く巻けば、弾性包帯Bが外れ難くなる。このとき、R1+R2を超える張力はかからないので、患者に苦痛を与えたり、弾性包帯Bが臨界弾性係数を超えたりすることを防止することができる。
なお、上述の実施形態の包帯巻き具1は弾性包帯Bを用いたが、一般的な包帯に用いても所定の張力で包帯を巻く効果がある。
【符号の説明】
【0045】
1、1A 包帯巻き具
2、2A、2B 筐体
21、21B ケース
21a 引き出し口
22 蓋
3、3A、3B 抵抗付与機構
31 抵抗体
31b 当接部
32 調整ネジ
32a 数値
32b ネジの先端
33 支持体
33d 指標
4 転がり機構
41 ローラー
B 弾性包帯
F 大腿部
図1
図2
図3
図4
図5