【解決手段】被検体内部の被写体像を撮像する撮像素子651を有し、当該撮像素子651による撮像で得られた画像信号を出力する撮像装置6と、画像信号を処理して表示用の映像信号を生成する制御装置5と、撮像装置6から制御装置5に画像信号を伝送する信号伝送路7とを備える。撮像装置6は、撮像素子651における全画素領域のうち、当該全画素領域よりも小さく、被写体像全体を含む指定画素領域における各画素の画素信号を画像信号として出力する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施の形態)について説明する。なお、以下に説明する実施の形態によって本発明が限定されるものではない。さらに、図面の記載において、同一の部分には同一の符号を付している。
【0016】
(実施の形態1)
〔内視鏡システムの概略構成〕
図1は、本実施の形態1に係る内視鏡装置1の構成を示す図である。
内視鏡装置1は、医療分野において用いられ、生体内を観察しながら生体組織を処置(切開等)する装置である。この内視鏡装置1は、
図1に示すように、レゼクトスコープ2と、内視鏡用撮像装置3と、表示装置4と、制御装置5とを備える。
【0017】
レゼクトスコープ2は、生体内に挿入され、被写体像を取り込むとともに、生体組織を処置する部分である。このレゼクトスコープ2は、
図1に示すように、シース21と、ガイド管22と、内視鏡23と、レゼクト電極部材24と、ハンドル部25とを備える。
なお、以下で記載する「先端」は、生体内に挿入される側の端部(
図1中、左側の端部)を意味する。また、以下で記載する「基端」は、当該「先端」から離間する側の端部(
図1中、右側の端部)を意味する。
【0018】
シース21は、円筒形状を有し、生体内に挿入される部分である。
ガイド管22は、シース21の内径寸法よりも小さい外径寸法を有し、シース21の基端側から当該シース21内に挿通される。そして、ガイド管22は、その先端側が装着部材221(
図1)を介してシース21の基端側に固定される。
ここで、装着部材221には、シース21内に液体を注入し、当該シース21の先端から当該液体を送水するための送水口222が設けられている。
【0019】
内視鏡23は、被写体像を取り込む部分であり、
図1に示すように、挿入部231と、接眼部232とを備える。
挿入部231は、ガイド管22内に固定されるとともに、シース21内に挿通される。この挿入部231内には、1または複数のレンズを用いて構成され、被写体像を集光する光学系が設けられている。
接眼部232は、挿入部231の基端に連結されている。この接眼部232内には、挿入部231内の光学系により集光された被写体像を接眼部232の基端から外部に出射する接眼光学系2321(
図3参照)が設けられている。そして、接眼部232は、基端側に向かうにしたがって拡径するテーパ状に形成され、当該拡径した部分に内視鏡用撮像装置3が着脱自在に接続される。
【0020】
ここで、接眼部232には、ライトガイド2322を接続するための光源コネクタ2323が設けられている。すなわち、光源装置(図示略)からライトガイド2322に供給された光は、接眼部232を介して挿入部231に供給される。挿入部231に供給された光は、当該挿入部231の先端から出射され、生体内に照射される。生体内に照射され、当該生体内にて反射された光(被写体像)は、挿入部231内の光学系及び接眼光学系2321を介して、接眼部232の基端から出射される。
【0021】
レゼクト電極部材24は、装着部材221を介してシース21内に挿通され、その先端がシース21の先端から突出する。そして、レゼクト電極部材24は、先端部分が生体組織に接触し、高周波電流により当該生体組織を処置する。
ハンドル部25は、医師等がレゼクトスコープ2を把持するとともにレゼクト電極部材24を操作する部分である。このハンドル部25は、
図1に示すように、固定リング251と、スライダ252と、バネ部材253とを備える。
固定リング251は、医師等が親指を引っ掛ける部分であり、ガイド管22の基端側に固定されている。
【0022】
スライダ252は、ガイド管22が挿通され、当該ガイド管22に沿って、
図1中、左右方向に移動可能に構成されている。
このスライダ252には、
図1に示すように、レゼクト電極部材24の基端が固定されている。すなわち、レゼクト電極部材24は、スライダ252の移動に伴い、シース21内を
図1中、左右方向に進退移動する。
また、スライダ252には、高周波電源(図示略)に接続された高周波電源コード2521を接続するための電源コネクタ2522が設けられている。この電源コネクタ2522は、リード線(図示略)を介して、レゼクト電極部材24の基端と電気的に接続する。
さらに、スライダ252には、
図1に示すように、医師等が親指以外の指を引っ掛け、スライダ252を移動(レゼクト電極部材24を進退移動)させるための指掛部材2523が設けられている。
【0023】
バネ部材253は、略U字形状を有し、一端が固定リング251に取り付けられ、他端がスライダ252に取り付けられる。そして、バネ部材253は、スライダ252を固定リング251から離間する側に付勢する。
すなわち、医師等は、固定リング251及び指掛部材2523に指を引っ掛け、バネ部材253の付勢力に抗して、指掛部材2523を引き寄せることで、スライダ252を基端側に移動させる(レゼクト電極部材24を基端側に移動させる)。一方、スライダ252(レゼクト電極部材24)は、医師等が指掛部材2523から指を離すと、バネ部材253の付勢力により、先端側に移動する。
【0024】
内視鏡用撮像装置3は、レゼクトスコープ2(内視鏡23)の接眼部232に着脱自在に接続される。そして、内視鏡用撮像装置3は、制御装置5による制御の下、内視鏡23にて取り込まれた被写体像(接眼部232から出射された被写体像)を撮像し、当該撮像による画像信号(RAW信号)を出力する。当該画像信号は、例えば、4K以上の画像信号である。
なお、内視鏡用撮像装置3の詳細な構成については、後述する。
【0025】
表示装置4は、液晶または有機EL(Electro Luminescence)等を用いた表示ディスプレイを用いて構成され、制御装置5による制御の下、当該制御装置5からの映像信号に基づく観察画像を表示する。
制御装置5は、CPU(Central Processing Unit)等を含んで構成され、内視鏡用撮像装置3、表示装置4、及び光源装置(図示略)の動作を統括的に制御する。
なお、制御装置5の詳細な構成については、後述する。
【0026】
〔内視鏡用撮像装置の構成〕
次に、内視鏡用撮像装置3の構成について説明する。
図2は、内視鏡用撮像装置3及び制御装置5の構成を示すブロック図である。なお、
図2では、説明の便宜上、操作部8及びコネクタCN1,CN2の図示を省略している。
内視鏡用撮像装置3は、
図1または
図2に示すように、カメラヘッド6と、ケーブル7とを備える。
【0027】
図3は、接眼部232とカメラヘッド6との接続部分を示す断面図である。なお、
図3では、説明の便宜上、駆動部64及び通信部66の図示を省略している。
カメラヘッド6は、
図1または
図3に示すように、内視鏡23の接眼部232に着脱自在に接続される部分であり、本発明に係る撮像装置としての機能を有する。このカメラヘッド6は、
図2または
図3に示すように、カメラヘッド筐体61(
図3)と、当該カメラヘッド筐体61内に収納されるプリズム62、レンズユニット63、駆動部64(
図2)、撮像部65、及び通信部66(
図2)とを備える。
【0028】
カメラヘッド筐体61は、各部材62〜66を収納する筐体である。このカメラヘッド筐体61には、
図3に示すように、当該カメラヘッド筐体61の内外を連通する円筒形状を有する突出部611が設けられている。この突出部611の外周面には、当該突出部611の中心軸Ax1を中心とする回転方向に延びる環状溝6111が形成されている。そして、環状溝6111には、マウント部材67が取り付けられる。
【0029】
マウント部材67は、カメラヘッド6を接眼部232に取り付けるための部材であり、円柱形状を有する。
このマウント部材67において、一端側の端面には、他端に向けて窪み、接眼部232が嵌合する嵌合穴671が設けられている。また、嵌合穴671の内周面には、接眼部232の外周面に係止する係止突起672が設けられている。そして、嵌合穴671に接眼部232が嵌合した状態では、内視鏡23の光軸L1は、マウント部材67の中心軸Ax2に一致する。
また、マウント部材67において、他端側の端面には、嵌合穴671に連通する連通孔673が設けられている。そして、マウント部材67は、連通孔673の縁部分が環状溝6111に嵌合することで、突出部611に取り付けられる。この状態では、マウント部材67の中心軸Ax2と突出部611の中心軸Ax1とは、一致する。また、マウント部材67は、中心軸Ax1(Ax2)を中心として回転可能とする。
したがって、カメラヘッド6は、マウント部材67を介して、内視鏡23の接眼部232に対し、光軸L1を中心として回転可能に構成されている。また、カメラヘッド6は、その重心O(
図1)が光軸L1(接眼部232に対する回転中心軸)からずれた位置(
図3では、光軸L1の下方の位置)となるように構成されている。そして、カメラヘッド6は、レゼクトスコープ2の光軸L1周りの回転に関係なく、光軸L1を中心として回転して、常時、カメラヘッド筐体61内に設定された光軸L2(
図3)が鉛直方向に沿う姿勢(重心Oが光軸L1の下方に位置する姿勢)になるように構成されている。
【0030】
プリズム62は、
図3に示すように、突出部611の中心軸Ax1上(光軸L1上)に配設され、内視鏡23にて取り込まれた被写体像の進行方向を偏向する。具体的に、プリズム62は、接眼部232から出射され、突出部611を介してカメラヘッド筐体61内に取り込まれた被写体像(光軸L1に沿って進行する被写体像)の進行方向を略90°偏向し、光軸L2に沿って進行させる。
レンズユニット63は、
図3に示すように、光軸L2上に配設されている。そして、レンズユニット63は、1または複数のレンズを用いて構成され、プリズム62を介した被写体像を撮像部65(撮像素子651)の撮像面に結像する。また、レンズユニット63には、当該1または複数のレンズを移動させて画角を変化させる光学ズーム機構(図示略)や焦点を変化させるフォーカス機構(図示略)が設けられている。
駆動部64は、制御装置5または操作部8(
図1)による制御の下、上述した光学ズーム機構やフォーカス機構を動作させ、レンズユニット63の画角や焦点を変化させる。
【0031】
撮像部65は、
図3に示すように、光軸L2上に配設されている。そして、撮像部65は、制御装置5による制御の下、レンズユニット63が結像した被写体像を撮像する。この撮像部65は、レンズユニット63が結像した被写体像を受光して電気信号に変換するCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の撮像素子651(
図2)、及び当該撮像素子651からの電気信号(アナログ信号)に対して信号処理(A/D変換等)を行って画像信号を出力する信号処理部(図示略)等が一体形成されたセンサチップを用いて構成され、A/D変換後の画像信号(RAW信号(デジタル信号))を出力する。なお、上述した信号処理部(図示略)は、撮像素子651と一体形成せずに別体としても構わない。
【0032】
図4は、撮像素子651から読み出される指定画素領域SPAを示す図である。
撮像素子651は、制御装置5による制御の下、
図4に示すように、予め設定された読出開始位置PS及び読出終了位置PEに応じた指定画素領域SPA(
図4中、斜線を付した領域)における各画素からのみ画素信号が読み出される。
本実施の形態1では、内視鏡用撮像装置3は、例えば泌尿器向けのレゼクトスコープ2専用の内視鏡用撮像装置である。すなわち、生体内で反射され、挿入部231内に集光された断面略円形の光(被写体像SI(
図4))は、撮像素子651の全画素領域WPA(
図4中、最も大きい矩形で示した領域)において、既定の位置に既定の大きさで結像する。そして、指定画素領域SPAは、撮像素子651の全画素領域WPAよりも小さく、被写体像SI全体を含む矩形領域に設定されている。
すなわち、撮像部65は、全画素領域WPAではなく、指定画素領域SPAにおける各画素のみから読み出された画素信号を画像信号(RAW信号(デジタル信号))として出力する。
【0033】
通信部66は、ケーブル7を介して、撮像部65から出力される画像信号(RAW信号(デジタル信号))を制御装置5に送信するトランスミッタとして機能する。この通信部66は、例えば、制御装置5との間で、1Gbps以上の伝送レートで画像信号の通信を行う高速シリアルインターフェースで構成されている。
【0034】
ケーブル7は、一端がコネクタCN1(
図1)を介して制御装置5に着脱自在に接続され、他端がコネクタCN2(
図1)を介してカメラヘッド6に着脱自在に接続される。そして、ケーブル7は、カメラヘッド6から出力される画像信号を制御装置5に伝送するとともに、制御装置5から出力される制御信号、同期信号、クロック、及び電力等をカメラヘッド6にそれぞれ伝送する。すなわち、ケーブル7は、本発明に係る信号伝送路としての機能を有する。
なお、ケーブル7を介したカメラヘッド6から制御装置5への画像信号の伝送は、当該画像信号等を光信号で伝送してもよく、あるいは、電気信号で伝送しても構わない。ケーブル7を介した制御装置5からカメラヘッド6への制御信号、同期信号、クロックの伝送も同様である。
また、ケーブル7には、
図1に示すように、医師等からの各種操作(例えば、観察画像の画質調整(ホワイトバランス調整、明るさ調整等)の指示や、レンズユニット63の画角や焦点を変化させる指示等)を受け付ける操作部8が設けられている。
【0035】
〔制御装置の構成〕
次に、制御装置5の構成について
図2を参照しながら説明する。
制御装置5は、
図2に示すように、通信部51と、画像処理部52と、表示制御部53と、制御部54と、入力部55と、出力部56と、記憶部57とを備える。
通信部51は、ケーブル7を介して、カメラヘッド6(通信部66)から出力される画像信号(RAW信号(デジタル信号))を受信するレシーバとして機能する。この通信部51は、例えば、通信部66との間で、1Gbps以上の伝送レートで画像信号の通信を行う高速シリアルインターフェースで構成されている。
【0036】
画像処理部52は、制御部54による制御の下、カメラヘッド6(通信部66)から出力され、通信部51にて受信した画像信号(RAW信号(デジタル信号))を処理する。
例えば、画像処理部52は、画像信号(RAW信号(デジタル信号))に対してオプティカルブラック減算処理、デモザイク処理等のRAW処理を施し、当該RAW信号(画像信号)をRGB信号(画像信号)に変換する。また、画像処理部52は、当該RGB信号(画像信号)に対して、ホワイトバランス調整処理、RGBガンマ補正、及びYC変換(RGB信号を輝度信号及び色差信号(Y,C
B/C
R信号)に変換)等のRGB処理を施す。さらに、画像処理部52は、当該Y,C
B/C
R信号(画像信号)に対して、色差補正及びノイズリダクション等のYC処理を実行する。
【0037】
また、画像処理部52は、
図2に示すように、以下に示す合成画像生成処理を実行する合成画像生成部521を備える。
図5は、カメラヘッド6から出力された画像信号に基づく撮像画像CI1から合成画像CI2が生成される様子を示す図である。具体的に、
図5(a)は、カメラヘッド6から出力された画像信号に基づく撮像画像CI1を示す図である。
図5(b)は、合成画像生成処理にて生成された合成画像CI2を示す図である。
具体的に、合成画像生成部521は、
図5に示すように、画像信号(RAW信号、RGB信号、あるいは、Y,C
B/C
R信号)に基づく撮像画像CI1の両側に黒レベルの画像BI1,BI2を付加して、表示装置4の表示画面と同一のアスペクト比を有する合成画像CI2を生成する合成画像生成処理を実行する。すなわち、合成画像生成部521は、本発明に係る第2合成画像生成部としての機能を有する。
【0038】
表示制御部53は、制御部54による制御の下、画像処理部52にて処理された画像信号(Y,C
B/C
R信号)に基づいて、表示用の映像信号を生成する。そして、表示制御部53は、当該表示用の映像信号に基づく合成画像CI2を表示装置4に表示させる。
制御部54は、例えば、CPU等を用いて構成され、カメラヘッド6、表示装置4、及び光源装置(図示略)の動作を制御するとともに、制御装置5全体の動作を制御する。この制御部54は、
図2に示すように、撮像制御部541を備える。
撮像制御部541は、記憶部57から撮像素子651の読出開始位置PS及び読出終了位置PEを読み出し、ケーブル7を介して撮像部65に当該読出開始位置PS及び読出終了位置PEを指示する。そして、撮像素子651は、当該読出開始位置PS及び読出終了位置PEに応じた指定画素領域SPAにおける各画素からのみ画素信号が読み出される。
【0039】
入力部55は、マウス、キーボード、及びタッチパネル等の操作デバイスを用いて構成され、医師等のユーザによるユーザ操作を受け付ける。そして、入力部55は、ユーザ操作に応じた操作信号を制御部54に出力する。
出力部56は、スピーカやプリンタ等を用いて構成され、各種情報を出力する。
記憶部57は、制御部54が実行するプログラムや、制御部54の処理に必要な情報等を記憶する。
【0040】
以上説明した本実施の形態1によれば、以下の効果を奏する。
本実施の形態1に係る内視鏡装置1では、カメラヘッド6は、ケーブル7を介して、撮像素子651における全画素領域WPAのうち、当該全画素領域WPAよりも小さく、被写体像SI全体を含む指定画素領域SPAにおける各画素の画素信号を画像信号(RAW信号)として制御装置5に出力する。すなわち、撮像素子651の全画素領域WPAにおける各画素からの画素信号を画像信号としてカメラヘッド6から制御装置5に出力する構成と比較して、観察に必要な被写体像SIの情報を含みつつ、カメラヘッド6から制御装置5に出力する画像信号(RAW信号)の情報量を低減することができる。
したがって、本実施の形態1に係る内視鏡装置1によれば、画像信号(RAW信号)の情報量を低減し、伝送路の本数を低減させる等、ケーブル7を小型化することができる、という効果を奏する。
また、レンズユニット63としては、比較的に小さい領域である指定画素領域SPAに被写体像SIを結像させればよい。このため、レンズユニット63として、大型のレンズユニットを採用する必要がなく、当該レンズユニット63を小型化することができる。すなわち、カメラヘッド6の小型化及び軽量化を図ることができるため、生体内に挿入されるレゼクトスコープ2を術者自身が手で持ちながら生体組織の処置を容易に行うことができる。
【0041】
また、本実施の形態1に係る内視鏡装置1では、撮像素子651は、指定画素領域SPAにおける各画素からのみ画素信号が読み出される。
このため、全画素領域WPAにおける各画素から画素信号を読み出す構成と比較して、撮像素子651の消費電力を低減することができる。また、カメラヘッド6から制御装置5に出力する画像信号(RAW信号)の情報量を低減することができるため、通信部66の負荷を低減し、当該通信部66の消費電力も低減することができる。すなわち、カメラヘッド6全体の消費電力を低減することができる。
また、カメラヘッド6全体の消費電力の低減に伴い、撮像素子651や通信部66の発熱によるカメラヘッド6の温度上昇を抑制することができる。
【0042】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2について説明する。
以下では、上述した実施の形態1と同様の構成には同一符号を付し、その詳細な説明は省略または簡略化する。
図6は、
図2に対応した図であって、本実施の形態2に係る内視鏡装置1Aの概略構成を示す図である。
本実施の形態2に係る内視鏡装置1A(制御装置5A)では、
図6に示すように、上述した実施の形態1で説明した内視鏡装置1に対して、画像処理部52の代わりに当該画像処理部52とは異なる方法で合成画像を生成する画像処理部52Aを採用している。
【0043】
画像処理部52Aは、
図6に示すように、エッジ検出部522と、第2画像切出部523と、合成画像生成部521Aとを備える。
エッジ検出部522は、以下に示すマスクエッジ検出処理を実行する。
図7は、マスクエッジ検出処理を説明する図である。具体的に、
図7(a)は、カメラヘッド6から出力された画像信号に基づく撮像画像CI1を示す図である。
図7(b)は、
図7(a)に示した撮像画像CI1中の水平ラインHL5での輝度値の分布を示す図である。
エッジ検出部522は、マスクエッジ検出処理を実行することにより、被写体像SIと当該被写体像SI以外のマスク領域MA(
図7(a)の黒塗りの部分)との境界点BP(
図7(a))を検出する。
具体的に、エッジ検出部522は、
図7(a)に示すように、画像処理部52にて処理された画像信号(Y,C
B/C
R信号)のうち輝度信号(Y信号)を取得する。そして、エッジ検出部522は、当該輝度信号(Y信号)に基づいて、撮像画像CI1内の複数本(本実施の形態2では14本)の水平ラインHL1〜HL14での輝度値の分布をそれぞれ検出する。ここで、撮像画像CI1において、被写体像SIの領域は、マスク領域MAよりも輝度値が高い。すなわち、例えば、水平ラインHL5での輝度分布は、
図7(b)に示すように、被写体像SIとマスク領域MAとの2つの境界点BP間で輝度値が高くなり、その他の部分で輝度値が低くなる。このため、エッジ検出部522は、複数本の水平ラインHL1〜HL14での輝度値の分布をそれぞれ検出することにより、被写体像SIとマスク領域MAとの複数の境界点BPを検出することができる。
【0044】
図8は、カメラヘッド6から出力された画像信号に基づく撮像画像CI1から合成画像CI3が生成される様子を示す図である。具体的に、
図8(a)は、カメラヘッド6から出力された画像信号に基づく撮像画像CI1を示す図である。
図8(b)は、第2画像切出部523による画像切出処理にて生成された被写体像画像SI´を示す図である。
図8(c)は、合成画像生成部521Aによる合成画像生成処理にて用いられる背景画像BIを示す図である。
図8(d)は、合成画像生成処理にて生成された合成画像CI3を示す図である。
第2画像切出部523は、
図8(a)及び
図8(b)に示すように、画像信号(RAW信号、RGB信号、あるいは、Y,C
B/C
R信号)に基づく撮像画像CI1から、エッジ検出部522にて検出された複数の境界点BPで囲まれる被写体像SIに相当する被写体像画像SI´を切り出す画像切出処理を実行する。
【0045】
合成画像生成部521Aは、
図8(b)ないし
図8(d)に示すように、表示装置4の表示画面と同一のアスペクト比を有する例えば黒レベルの背景画像BI上に、第2画像切出部523にて切り出された被写体像画像SI´を重畳した合成画像CI3を生成する合成画像生成処理を実行する。この際、合成画像生成部521Aは、互いの中心位置CPが合致するように、背景画像BI上に被写体像画像SI´を重畳させる。すなわち、合成画像生成部521Aは、本発明に係る第1合成画像生成部としての機能を有する。
そして、表示制御部53は、合成画像生成部521Aにて生成された合成画像CI3を表示装置4に表示させる。
なお、背景画像BIは、黒レベルの画像に限らず、その他の色や模様を有する画像としても構わない。
【0046】
以上説明した本実施の形態2によれば、上述した実施の形態1と同様の効果の他、以下の効果を奏する。
ところで、上述した実施の形態1で説明した合成画像生成処理のように、撮像画像CI1の両側に黒レベルの画像BI1,BI2を付加して合成画像CI2を生成した場合には、以下の問題が生じる虞がある。
すなわち、マスク領域MAの黒レベルと画像BI1,BI2の黒レベルとが異なる場合には、合成画像CI2において、撮像画像CI1と画像BI1,BI2との境界が目立ち、観察画像(合成画像CI2)の表示品位が損なわれてしまう。
本実施の形態2に係る内視鏡装置1Aでは、背景画像BI上に被写体像画像SI´を重畳した合成画像CI3を生成する合成画像生成処理を実行する。このため、上述した境界が存在しないため、観察画像(合成画像CI3)の表示品位が損なわれることがない。
また、当該合成画像生成処理では、互いの中心位置CPが合致するように、背景画像BI上に被写体像画像SI´を重畳させている。このため、当該合成画像CI3に対して拡大縮小処理等を行う場合には、中心位置CPを中心として拡大縮小処理が行われる。すなわち、上記同様に、表示品位が損なわれることがない。
【0047】
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3について説明する。
以下では、上述した実施の形態2と同様の構成には同一符号を付し、その詳細な説明は省略または簡略化する。
図9は、
図6に対応した図であって、本実施の形態3に係る内視鏡装置1Bの概略構成を示す図である。
本実施の形態3に係る内視鏡装置1B(制御装置5B)では、
図9に示すように、上述した実施の形態2で説明した内視鏡装置1Aに対して、制御部54の代わりに当該制御部54に新たな機能を追加した制御部54B(撮像制御部541B)を採用している。
【0048】
図10A及び
図10Bは、撮像素子651から読み出される指定画素領域SPAを示す図である。
撮像制御部541Bは、エッジ検出部522によるマスクエッジ検出処理の処理結果に基づいて、
図10Aまたは
図10Bに示すように、ケーブル7を介して撮像部65に指示する読出開始位置PS及び読出終了位置PEを変更する。
具体的に、撮像制御部541Bは、撮像画像CI1内において、複数の境界点BPで囲まれる被写体像SIの位置が左右方向にずれている場合(撮像画像CI1の中心位置から被写体像SIの中心位置が左右方向にずれている場合)には、当該ずれに応じて読出開始位置PS及び読出終了位置PEを変更する。
なお、読出開始位置PS及び読出終了位置PEを変更した場合であっても、当該読出開始位置PS及び読出終了位置PEに応じた指定画素領域SPAは、
図10Aまたは
図10Bに示すように、撮像素子651の全画素領域WPAよりも小さく、被写体像SI全体を含む矩形領域である。
そして、撮像素子651は、撮像制御部541Bにて指示された読出開始位置PS及び読出終了位置PEに応じた指定画素領域SPAにおける各画素からのみ画像信号が読み出される。
【0049】
以上説明した本実施の形態3によれば、上述した実施の形態2と同様の効果の他、以下の効果を奏する。
本実施の形態3に係る内視鏡装置1Bでは、撮像画像CI1内での複数の境界点BPで囲まれる被写体像SIの位置に応じて、指定画素領域SPA(読出開始位置PS及び読出終了位置PE)を変更する。
このため、例えば内視鏡23の光軸L1が突出部611やマウント部材67の中心軸Ax1,Ax2からずれてしまった場合であっても、被写体像SI全体を含む指定画素領域SPAを適切に設定することができる。
【0050】
(実施の形態4)
次に、本発明の実施の形態4について説明する。
以下では、上述した実施の形態2と同様の構成には同一符号を付し、その詳細な説明は省略または簡略化する。
図11は、
図6に対応した図であって、本実施の形態4に係る内視鏡装置1Cの概略構成を示す図である。
本実施の形態4に係る内視鏡装置1Cは、上述した実施の形態2で説明した内視鏡装置1Aに対して、以下の点が異なる。
すなわち、内視鏡装置1Cを構成するカメラヘッド6Cでは、上述した実施の形態2で説明したカメラヘッド6に対して、第1画像切出部68が追加されている。
また、内視鏡装置1C(制御装置5C)を構成する画像処理部52Cでは、上述した実施の形態2で説明した画像処理部52Aに対して、第2画像切出部523を省略しているとともに、合成画像生成部521Aの代わりに当該合成画像生成部521Aと略同様の合成画像生成処理を実行する合成画像生成部521Cを採用している。
さらに、内視鏡装置1C(制御装置5C)を構成する制御部54Cでは、上述した実施の形態2で説明した制御部54に対して、撮像制御部541とは異なる機能を有する撮像制御部541Cを採用している。
【0051】
図12は、撮像素子651にて撮像された撮像画像CI0から合成画像CI3が生成される様子を示す図である。具体的に、
図12(a)は、撮像素子651にて撮像された撮像画像CI0を示す図である。
図12(b)は、第1画像切出部68による画像切出処理にて生成された被写体像画像SI´を示す図である。
図12(c)は、合成画像生成部521Cによる合成画像生成処理にて用いられる背景画像BIを示す図である。
図12(d)は、合成画像生成処理にて生成された合成画像CI3を示す図である。
撮像制御部541Cは、撮像素子651の全画素領域WPAにおける各画素から画素信号を読み出すように、ケーブル7を介して撮像部65に読出開始位置PS及び読出終了位置PEを指示する。そして、撮像素子651は、当該読出開始位置PS及び読出終了位置PEに応じた全画素領域WPAにおける各画素から画素信号が読み出される。すなわち、撮像素子651にて撮像された撮像画像は、
図12(a)に示すように、全画素領域WPAに応じた撮像画像CI0となる。
【0052】
また、撮像制御部541Cは、ケーブル7を介して第1画像切出部68に対して、エッジ検出部522によるマスクエッジ検出処理の処理結果(撮像画像CI0内での複数の境界点BPで囲まれる被写体像SIの領域の画素位置)を通知する。
第1画像切出部68は、メモリ681を有し、撮像素子651にて撮像された撮像画像CI0を一端、当該メモリ681に記憶する。そして、第1画像切出部68は、
図12(a)及び
図12(b)に示すように、撮像制御部541Cからの通知に応じて、メモリ681に記憶された撮像画像CI0から複数の境界点BPで囲まれる被写体像SIに相当する被写体像画像SI´のみを読み出す画像切出処理を実行する。
そして、カメラヘッド6C(通信部66)は、ケーブル7を介して、被写体像画像SI´に応じた画像信号(RAW信号)を制御装置5Cに出力する。
【0053】
合成画像生成部521Cは、
図12(b)ないし
図12(d)に示すように、表示装置4の表示画面と同一のアスペクト比を有する例えば黒レベルの背景画像BI上に、画像信号(RAW信号、RGB信号、あるいは、Y,C
B/C
R信号)に基づく被写体像画像SI´を重畳した合成画像CI3を生成する合成画像生成処理を実行する。この際、合成画像生成部521Cは、互いの中心位置CPが合致するように、背景画像BI上に被写体像画像SI´を重畳させる。すなわち、合成画像生成部521Cは、本発明に係る第1合成画像生成部としての機能を有する。
そして、表示制御部53は、合成画像生成部521Cにて生成された合成画像CI3を表示装置4に表示させる。
【0054】
以上説明した本実施の形態4によれば、上述した実施の形態2と同様の効果の他、以下の効果を奏する。
本実施の形態4に係る内視鏡装置1Cでは、カメラヘッド6Cは、撮像素子651の全画素領域WPAに応じた撮像画像CI0から被写体像画像SI´を切り出し、ケーブル7を介して、当該被写体像画像SI´に応じた画像信号(RAW信号)を制御装置5に出力する。
このため、カメラヘッド6Cから制御装置5Cに出力される画像信号(RAW信号)は、観察に必要な被写体像SIの情報のみとなり、情報量を最も低減することができる。したがって、ケーブル7を小型化することができる、という効果を好適に実現することができる。
【0055】
(その他の実施の形態)
ここまで、本発明を実施するための形態を説明してきたが、本発明は上述した実施の形態1〜4によってのみ限定されるものではない。
図13は、本実施の形態1〜4の変形例を示す図である。
上述した実施の形態1〜4では、カメラヘッド6,6Cは、例えば泌尿器向けのレゼクトスコープ2に対して着脱自在に設けられていたが、これに限らず、
図13に示すように、例えば消化器向けの内視鏡2Dに対して着脱自在に設けても構わない。
内視鏡2Dは、硬性鏡で構成されている。すなわち、内視鏡2Dは、硬質または少なくとも一部が軟質で細長形状を有し、生体内に挿入される。この内視鏡2D内には、1または複数のレンズを用いて構成され、被写体像SIを集光する光学系が設けられている。そして、光源装置9(
図13)からライトガイド2322に供給された光は、内視鏡2Dの先端から出射され、生体内に照射される。生体内に照射され、当該生体内で反射された光(被写体像SI)は、内視鏡2D内の光学系により集光される。そして、カメラヘッド6は、内視鏡2D内の光学系により集光された被写体像SIを撮像する。
また、内視鏡2Dは、硬性鏡に限らず、軟性鏡としても構わない。
【0056】
上述した実施の形態1〜4及びその変形例(
図13)において、画像処理部52,52A,52Cや制御部54,54B,54Cの機能の少なくとも一部を制御装置5,5A〜5Cの外部(カメラヘッド6,6C、コネクタCN1,CN2等)に設けても構わない。
上述した実施の形態1〜4及びその変形例(
図13)において、内視鏡装置1,1A〜1Dは、工業分野で用いられ、機械構造物等の被検体内部を観察する内視鏡装置としても構わない。
【0057】
上述した実施の形態1〜4及びその変形例(
図13)において、以下の構成を採用しても構わない。
すなわち、カメラヘッド6,6Cは、ケーブル7を介して、撮像素子651における全画素領域WPAの各画素から読み出された画素信号(撮像画像CI0)を画像信号(RAW信号)として制御装置5,5A〜5Cに出力する。そして、制御装置5,5A〜5Cは、撮像画像CI0から指定画素領域SPAに相当する領域や被写体像画像SI´を切り出すとともに、上述した実施の形態1〜4で説明した合成画像生成処理を実行する。
【0058】
上述した実施の形態1〜4及びその変形例(
図13)において、医師等のユーザによる操作部8や入力部55への操作に応じて、読出開始位置PS及び読出終了位置PE(指定画素領域SPA)を変更可能とする構成を採用しても構わない。
上述した実施の形態1〜4及びその変形例(
図13)では、指定画素領域SPAは、全画素領域WPAのうち、被写体像SIの左右の領域を除いた領域としていたが、これに限らず、被写体像SIの上下の領域を除いた領域としても構わない。
【0059】
上述した実施の形態4及びその変形例(
図13)では、撮像素子651は、全画素領域WPAにおける各画素から画素信号が読み出されていたが、これに限らず、全画素領域WPAよりも小さく、被写体像SI全体を含む領域における各画素からのみ画素信号が読み出されるように構成しても構わない。
また、上述した実施の形態4及びその変形例(
図13)では、第1画像切出部68は、撮像画像CI0から被写体像画像SI´を切り出していたが、これに限らない。例えば、撮像画像CI0から被写体像SI全体を含む矩形領域を切り出すように構成してもよい。