(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-14375(P2018-14375A)
(43)【公開日】2018年1月25日
(54)【発明の名称】LEDの点滅制御方法
(51)【国際特許分類】
H01L 33/00 20100101AFI20171222BHJP
【FI】
H01L33/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2016-141918(P2016-141918)
(22)【出願日】2016年7月19日
(71)【出願人】
【識別番号】591050947
【氏名又は名称】ダンレックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098154
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 克彦
(74)【代理人】
【識別番号】100092864
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 京子
(72)【発明者】
【氏名】八木橋 拓也
(72)【発明者】
【氏名】柳原 健也
【テーマコード(参考)】
5F241
【Fターム(参考)】
5F241AA14
5F241AA24
5F241BB07
5F241BC03
5F241BC13
5F241BC24
5F241BC26
5F241FF01
(57)【要約】
【課題】
従来の所定の電圧を有する駆動電流をパルス変調して形成した連続的に輝度を変化させるLEDの点滅制御方法とは異なる間欠的に徐々に明るくまたは徐々に暗くして或いはランダムに明るさが変化して視認性の向上と省電力化を図ることができるLEDの点滅制御方法を提供することを課題とする。
【解決手段】
LEDの点灯から消灯への1点滅期間に、電流のピーク値を変化させた電圧の異なる複数のパルスを所定の時間をおいて間欠的に印加する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
LEDの点灯から消灯への1点滅期間に、電流のピーク値を変化させた電圧の異なる複数のパルスを所定の時間をおいて間欠的に印加することを特徴とするLEDの点滅制御方法。
【請求項2】
前記間欠的に印可させる電圧の異なる複数のパルスを電圧の高さ順に配列し、或いはランダムに配列することにより更に視認性を上げることを特徴とする請求項1記載のLEDの点滅制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LEDの点滅時の輝度を間欠的に大きく変化させることのできるLEDの点滅制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近頃、少ない電力で高輝度を発揮するLEDが開発され、これらを利用した道路警告灯、広告灯などの表示装置が多く見受けられるが、一般に、これらの表示装置では一定周期でLEDの点滅を繰り返して表示が行われている。
【0003】
ところで、従来のLEDの点滅方法は
図5に示したように所定の電圧を有する駆動電流をパルス変調して形成したパルス電流を発振回路により出力させて点滅駆動させるもの(明るさ制御PWM(Pulse Width Modulation))であり、点灯時の電流値は一定であるが、前記パルス信号の点滅デューティ比(パルス幅)を変化させることにより見かけの発光輝度を変化させることができるものである。
【0004】
ところが、前記PWM制御は一定の電流が一定時間供給されると予め定めた輝度で所定の点滅を繰り返すことになる。そのため、点灯時の輝度の変化や消灯後の残像もなく、光の点滅が単調に見えてしまうという問題がある。また、点灯時、電流制限抵抗を流れる電流が多く、点灯時の電力消費が大きいという問題がある。
【0005】
そこで、例えば特開2002−72944号公報(特許文献1)、特開2004−270201号公報(特許文献2)、特開2010−54790号公報(特許文献3)などに「LEDの視認性を高めるために、発光するLEDが設定された最大輝度の点灯から輝度を低減させて消灯に至る消灯過程を、消灯から輝度を増加させて設定された最大輝度の点灯に至る点灯過程よりも長時間に調整して、情報を点滅表示させる」こと、更には「省エネを図るために、点灯過程が瞬間的に行われる」ことなどのLEDの点滅方法が提示されている。
【0006】
これらのLEDの改良した点滅方法は例えば
図5および
図6に示したように所定の電圧を有する駆動電流をパルス変調して形成した同じ強さの光によるパルス電流のデューティ比を変化させてLEDの輝度を連続的に変化させることにより視認効果を高めるものである。
【0007】
そのため、一定の間隔、同一の電流ピークで同じ強さの光の量を点灯するとともに連続して輝度が変化するので視覚効果に乏しいばかりか消費電力もそれほど小さくならない、という問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−72944号公報
【特許文献2】特開2004−270201号公報
【特許文献3】特開2010−54790号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、前記従来の改良されたLEDの点滅方法が有する問題点を解決して更に視認性の向上と省電力化を図ることができるLEDの点滅制御方法を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するためになされた本発明は、LEDの点灯から消灯への1点滅期間に、電流のピーク値を変化させた電圧の異なる複数のパルスを所定の時間をおいて間欠的に印加することを特徴とする。
【0011】
特に、間欠的に印加させる電圧の異なる複数のパルスを電圧の高さ順に配列し、或いはランダムに配列することにより更に視認性を上げることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、連続的でなく間欠的に徐々に明るくまたは徐々に暗くなるように或いはランダムに明るさが変化して、即ち、点灯中に光に動きが生じて視認性がよくなり、また、従来の明るさ制御PWMに比べて省電力で点滅可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明に係るLED発光制御方法の好ましい実施形態を用いた表示装置を示す簡易ブロック回路図。
【
図2】本発明におけるLED発光制御方法のグラフ。
【
図3】本発明における異なるLED発光制御方法のグラフ。
【
図4】本発明における更に異なるLED発光制御方法のグラフ。
【
図5】パルス回路からのパルス信号及び発光輝度の推移を具体的に示す従来の明るさ制御PWMのグラフである。
【
図6】従来例を示す消灯過程の明るさ制御PWMのグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の好ましい実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
図1乃至
図4は本発明であるLEDの発光制御方法を用いた例えば道路表示灯のようなLEDの表示装置についての簡易ブロック回路図を示すものであり、主として電力を発電する太陽電池1と、前記太陽電池により起電した電力を貯める二次電池2と、点灯から消灯までの点灯パターンを予め記憶させておく点灯パターン制御回路5と、前記点灯パターン制御回路5からの制御信号により電圧制御PWM(Pulse Width Modulation)を行うべく前記二次電池2からの電力をLED電流制御回路4に加える昇圧電源回路3と、LED電流制御回路4により前記予め定めた電圧制御PWM(Pulse Width Modulation)により制御点滅するLED6からなる。尚、図面中、符号7はスリープタイマーである。
【0016】
以上の構成を有する本実施の形態では、LEDの点灯から消灯への1点滅期間に、電流のピーク値を変化させた電圧の異なる複数のパルスを所定の時間をおいて間欠的に印加するための点灯パターンを予めプログラムしておくとともにそれらの制御信号を昇圧電源回路3に送信して、電圧制御パルス制御の電流をLED電流制御回路4において形成して順次LED6に間欠的に流し、例えば
図2に示したような波形パターンの電圧制御PWM(Pulse Width Modulation)を行うものである。
【0017】
更に、詳細に説明すると、本実施の形態における電圧制御PWM(Pulse Width Modulation)は、
図2に示すように、例えば、1点滅期間として、例えば1440msを設定し、例えば540msの間隔を有して連続して点滅させる。
【0018】
そして、前記1点滅期間1440msの間を例えば180msのパルス間隔で且つ17msのパルス幅で時間方向に例えば6個のパルスを発信する。
【0019】
ところで、このパルスは前記
図5および
図6に示した従来のパルスの幅を変化させて明るさを変化せる明るさ制御PWM(Pulse Width Modulation)と異なり、各パルスのデューティと電流ピーク値の両方を変化させるものであり、更に、パルスの間隔を従来の明るさ制御PWM(Pulse Width Modulation)のように人の目が光を連続して感じる間隔であるのに対してパルスの間隔が人の目に非連続に感じる間隔とすることにより、間欠的に明るさの変化を感じることができるものである。
【0020】
従って、視覚的に非連続に感じる間隔で電流値の異なるパルスを送信してLED6を発光(点滅)させることにより、看者は、1点滅期間において、従来のような連続的な輝度の変化と異なり間欠的に徐々に明るくまたは暗くなるように輝度を変化させることから視認性が向上する。
【0021】
また、本実施の形態では、従来のほぼ連続的に点灯パルスを送信する従来の明るさ制御PWM(Pulse Width Modulation)に比べて間欠的に点灯パルスを送信するので更に消費電流が少なくて済むことも大きな利点の1つである。
【0022】
尚、本実施の形態で示した発光装置、点滅間隔、パルス幅や間隔は一例であって、この数字に限るものでなく、用途や使用目的などに応じて適宜、変更可能であることは言うまでもない。
【0023】
図3は、本発明の異なる発光パターンを示すものであり、前記
図2に示した実施の形態では1点滅期間において、パルス電流が電流ピークの低い状態、即ち、暗い状態から徐々に電流ピークが高くなるように、即ち、間欠的に明るくなるように設定したものであり、看者は、前記
図2に示した実施の形態に比べて始めに強い光を感じて徐々に小さい光と間歇的に変化させるものである。
【0024】
本実施の形態の電圧制御PWM(Pulse Width Modulation)によると、点灯と同時に始めに大きな電流によるパルス(明るいパルス)が発生するので、点灯時に目立つことになり、昼間や夜間であっても比較的明るい箇所に設置された場合にも有効である。
【0025】
また、前記
図2および
図3に示した電圧制御PWM(Pulse Width Modulation)のパターンを従来のように右寄せ、左寄せとして組み合わせるとともに表と裏の点灯タイミングをずらすことにより電流のピーク値を下げることもできる。
【0026】
更に、
図4は前記
図2に示したパターンのように間歇点灯するパルス電流が順次大きく(明るく)なる場合、或いは
図3に示したように間歇点灯するパルス電流が順次小さく(暗く)なる場合と異なり、1点滅期間内において明るさがランダムに変化して間欠的に点灯するので、更に、光の動きが大きく視認性の向上を図ることができるものである。
【符号の説明】
【0027】
1 太陽電池、2 二次電池、3 昇圧電源回路、4 LED電流制御回路、5 点灯パターン制御回路、6 LED、7 スリープタイマー