特開2018-144851(P2018-144851A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-144851(P2018-144851A)
(43)【公開日】2018年9月20日
(54)【発明の名称】ブーツ型包装容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 6/02 20060101AFI20180824BHJP
   B65D 85/60 20060101ALN20180824BHJP
【FI】
   B65D6/02
   B65D85/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-41927(P2017-41927)
(22)【出願日】2017年3月6日
(71)【出願人】
【識別番号】500214945
【氏名又は名称】和幸物産株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】山本 眞也
【テーマコード(参考)】
3E035
3E061
【Fターム(参考)】
3E035AA16
3E035BA04
3E035BC01
3E035BC02
3E061AA26
3E061AB01
3E061AB09
3E061AB18
3E061CA25
3E061DB11
(57)【要約】
【課題】組み立てが容易でありながらも確固とした組み立て状態が得られるようにする。
【解決手段】靴形状をなす下部材12と、下側ほど小径に形成された筒状の筒状部材13を有し、下部材12の足首部相当部位24aに形成された凹所23に、筒状部材13の下端部31を挿入して組み立てられるブーツ型包装容器11において、筒状部材13の下端に、環状の当接縁32と、当接縁32の周方向に沿って間欠配置されて外周側に折り返された複数の返し部33を備える。下部材12の凹所23には、筒状部材13の当接縁32を受ける支持面26と、支持面26よりも外周側に立設されて凹所23を区画する周壁27と、周壁27の内周面の周方向に間欠形成されて返し部33を係止する係止部28を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
靴形状をなす下部材と、下側ほど小径に形成された筒状の筒状部材を有し、前記下部材の足首部相当部位に形成された凹所に、前記筒状部材の下端部を挿入して組み立てられるブーツ型包装容器であって、
前記筒状部材の下端に、環状の当接縁と、前記当接縁の周方向に沿って間欠配置されて外周側に折り返された複数の返し部が形成され、
前記下部材の前記凹所に、前記筒状部材の前記当接縁を受ける支持面と、前記支持面よりも外周側に立設されて前記凹所を区画する周壁と、前記周壁の内周面の周方向に間欠形成されて前記返し部を係止する係止部が形成された
ブーツ型包装容器。
【請求項2】
前記周壁の内周面に上端から下にかけて前記筒状部材の対向部位の傾斜に対応する向きの傾斜面が形成されるとともに、
前記傾斜面に凹みをつけて前記係止部が形成された
請求項1に記載のブーツ型包装容器。
【請求項3】
前記支持面の内周側部位に、前記支持面の高さから立ち上がり、組み立てられたときに前記筒状部材の前記当接縁の内側に位置する規制部が形成された
請求項1または請求項2に記載のブーツ型包装容器。
【請求項4】
前記規制部に前記規制部の内側を塞ぐ板部が形成され、
前記板部が当該ブーツ型包装容器の内底面を構成する
請求項3に記載のブーツ型包装容器。
【請求項5】
前記周壁の前記傾斜面の角度が前記筒状部材の傾斜に対応する角度である
請求項2から請求項4のうちいずれか一項に記載のブーツ型包装容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば菓子などの子ども向け商品の包装に使用されるブーツ型包装容器に関する。
【背景技術】
【0002】
ブーツ型包装容器は、靴形状をなす合成樹脂製の下部材と、下側ほど小径に形成された筒状をなす紙製の筒状部材で構成されている。つまり、下部材の足首部相当部位に筒状部材を組み付けられる。
【0003】
下部材と筒状部材の結合には、古くは、粘着テープを用いていたが、作業性が悪かった。
【0004】
この組み立てを容易に行えるようにするための発明が、下記特許文献1に開示されている。特許文献1の包装容器は、下部材の足首部相当部位に形成された凹所の内周面に、内周面から突出する複数の係止突起を周方向に沿って備え、一方の筒状部材の下端部には、凹所に対して上から差し込むと自動的に係止突起に係止する係止孔を備えている。
【0005】
この係止孔は四方が囲まれた形状であり、組み立て後に組み立て状態を保持するのは筒状部材の下端縁における係止孔より下側の部分である。しかし、筒状部材の形状は下側ほど小径であるうえに、差し込みに際して、係止孔より下側の部分は係止突起に当たって内側に変位するので、確固とした係止力が得にくい。これは、係止孔より下側の部分が変位したときにこの変位に抗して復帰させるのは、紙製のその部分が有する素材に基づく復帰力だけであって、復帰を促す構成が他にないからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−173647号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明は、組み立てが容易でありながらも確固とした組み立て状態が得られるようにすることを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そのための手段は、靴形状をなす下部材と、下側ほど小径に形成された筒状の筒状部材を有し、前記下部材の足首部相当部位に形成された凹所に、前記筒状部材の下端部を挿入して組み立てられるブーツ型包装容器であって、前記筒状部材の下端に、環状の当接縁と、前記当接縁の周方向に沿って間欠配置されて外周側に折り返された複数の返し部が形成され、前記下部材の前記凹所に、前記筒状部材の前記当接縁を受ける支持面と、前記支持面よりも外周側に立設されて前記凹所を区画する周壁と、前記周壁の内周面の周方向に間欠形成されて前記返し部を係止する係止部が形成されたブーツ型包装容器である。
【0009】
この発明では、筒状部材の下端部を下部材の凹所に挿入すると、筒状部材の当接縁が凹所の支持面に近接し、筒状部材の返し部と凹所の係止部が嵌り合えば、返し部と係止部の協働による筒状部材と下部材の相対回転が防止されるとともに、筒状部材の抜け止めがなされる。返し部は折り返しであり、しかも外周側に折り返されているので、返し部の係止状態は安定する。返し部を外周側に折り返した状態を支持している返し部の背面側の部位を後退方向に変形させない限り係止状態が維持される。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、筒状部材を下部材に差し込むだけで組み立てられるので、組み立て作業が容易である。そのうえ、返し部による係止で抜け止めされるので、確固とした組み立て状態が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】ブーツ型包装容器の側面図。
図2】下部材の平面図。
図3】下部材の底面図。
図4】下部材と筒状部材の結合状態の断面図。
図5】結合部分の断面図。
図6】優位性を説明する断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
この発明を実施するための一形態を、以下図面を用いて説明する。
【0013】
図1にブーツ型包装容器11の側面図を示す。ブーツ型包装容器11は、靴型をなす合成樹脂製の下部材12と、筒状に形成された紙製の筒状部材13で構成される。下部材12は平面視において、つま先21と踵22を有する足型であり、踵22の上方である足首部に相当する部位に、平面視円形の凹所23が形成されている。図1に仮想線で示したように、下部材12の凹所23に筒状部材13の下端部31を挿入すると、下部材12と筒状部材13が一体に組み立てられるものである。
【0014】
筒状部材13は、厚紙を筒状に丸めて形成され、その形は下側ほど小径である。筒状部材13は、上端から下端まで切欠きのないシート状であり、下端に環状の当接縁32を有している。特に、当接縁32の近傍は切欠き不存在としている。
【0015】
筒状部材13の下端(当接縁32)には、筒状部材13の外周側に折り返された一体の返し部33が形成されている。返し部33は方形の板状であり、当接縁32の周方向に沿って複数個を間欠形成されている。具体的には、図1図3の仮想線で示したように、返し部33は等間隔に3個形成されている。
【0016】
返し部33の大きさ(幅、高さ)は適宜設定されるが、確固とした結合にはある程度の大きさが必要である。具体的には、凹所23の口径が75mmから80mm程度である場合、返し部33の幅は二十数mm程度、高さは十mm程度に設定するとよい。また、返し部33の配設に際しては、下部材12に対する取り付け向きを容易に決定できるよう、筒状部材13の正面に対応する部位に1個の返し部33を形成するとよい。
【0017】
形成する返し部33の数は、前述のように3個とするほか、例えば4個や5個、6個などとしてもよい。
【0018】
下部材12の平面図を図2に、その底面図を図3に示す。また図4図2におけるA−A切断面における下部材12と筒状部材13の組み立て状態を示している。
【0019】
これらの図に示すように、下部材12は中空に形成され、一つの部材で構成されている。下部材12は前述のつま先21と踵22を備えて靴形状の外観をつくる象形部24を全体に有し、底の全面には開口部25が形成されている。底の開口部25は別体の底板(図示せず)で塞ぐこともできる。
【0020】
象形部24のうち足首部に相当する部分(足首部相当部位)24aは円筒状であり、この部分の内側が前述の凹所23である。凹所23は平面視円形であり、凹所23の底に、筒状部材13の当接縁32を受ける支持面26が形成され、支持面26よりも外周側には円筒状の周壁27が形成されている。この周壁27は、前述の象形部24の足首部相当部位24aを形成する部分であり、凹所23を区画している。
【0021】
周壁27の外周面は、図4に示したように下側ほど外周側に傾く傾斜を有しており、内周面には逆に、下側ほど内周側に傾く傾斜面27aが形成されている。この傾斜面27aは、周壁27の上端から形成されており、傾斜面27aの傾斜の向きは、筒状部材13の対向部位(下端部31)の傾斜に対応させている。つまり、周壁27の傾斜面27aと筒状部材13の対向部位は、同じ方向の傾きを有する。
【0022】
また、傾斜面27aの傾斜角度は筒状部材13の傾斜に対応する角度である。ここで「対応」とは、完全に同一であるだけではなく実質的に同一と言える角度を含む意味である。最も好ましいのは、図5の(a)に示したように、傾斜面27aの傾斜角度αが筒状部材13の対向部位の傾斜角度βと同一の場合である。同一ではなくても、傾斜面27aの傾斜角度αが、図5の(b)に示したように筒状部材13の対向部位の傾斜角度βよりも小さい角度であれば、周壁27の上端と筒状部材13との間に隙間をより小さくできるのでよい。つまり、傾斜面27aの傾斜角度αは、筒状部材13の対向部位の傾斜角度βと同一か、それよりも小さい角度であるとよい。
【0023】
周壁27の内周面、つまり傾斜面27aには、筒状部材13の返し部33を係止する複数の係止部28が形成されている。係止部28は、傾斜面27aの周方向に間欠形成されている。係止部28の個数と形成位置は、筒状部材13の下端部31を凹所23に対して挿入したときに、筒状部材13の正面が下部材12の正面に対応するように筒状部材13の返し部33に対応させて形成される。
【0024】
係止部28は、周壁27の内周面を構成する傾斜面27aに凹みをつけて形成される。つまり、図4に示したように、周壁27の厚さを減らすことで形成されており、係止部28の天井面28aと両側面28bは平らであり、全体として正面視略方形である。
【0025】
支持面26の内周側部位には、支持面26の高さから立ち上がる規制部29が形成されている。規制部29は、筒状部材13を結合したときに筒状部材13の当接縁32の内側に位置する部分で、円筒状に形成されている。規制部29の高さは適宜設定される。図示例においては、周壁27の高さよりも高くしたが、周壁27よりも低くすると、下部材12をより小さくすることができる。
【0026】
また規制部29には、規制部29の内側を塞ぐ板部30が形成されている。この例では、板部30は規制部29の上端の全体を塞ぐ形状に形成されている。つまり板部30は円板状であり、規制部29と板部30を合わせて全体として伏せた姿勢のカップ状に形成されている。この板部30は、ブーツ型包装容器11の内底面を構成する。
【0027】
以上のように構成された下部材12と筒状部材13からなるブーツ型包装容器11は、下部材12と筒状部材13がそれぞれ別々にスタッキング等されて準備され、次のように組み立てて使用される。
【0028】
つまり、下部材12の凹所23に筒状部材13の下端部31を差し込む。差し込み時はおおよその向きが正しくなるようにする。挿入により筒状部材13の当接縁32が支持面26に当接してから、筒状部材13を凹所23内で円周方向に相対回転させて下部材12と筒状部材13を正しい位置関係にすると、外周方向に倒れようとする筒状部材13の返し部33が係止部28に嵌る。このとき、カチッと良好な係合感覚が得られ、組み立て作業の完了が分かりやすい。返し部33が係止部28に嵌ると、返し部33は支持面26と係止部28との協働で位置規制され、筒状部材13の回り止めと抜け止めがなされる。
【0029】
このような簡単な作業で正しい組み立てが完了する。しかも、下部材12と筒状部材13の結合状態においては、外周側に倒れようとする返し部33が係止部28内に嵌っているので、返し部33を係止部28から後退させなければ外すことはできないが、返し部33の背面側には円筒状をなしている筒状部材13の一部が存在しているうえに、この部分と周辺部分は欠損がない状態であるので、下部材12と筒状部材13の結合状態は、衝撃や圧力を受けたりしても容易に外れることはない確固としたものである。
【0030】
そのうえ、凹所23には規制部29が形成されているので、筒状部材13の下端部31が外力によって必要以上に凹んだりすることを抑制できる。このことからも結合状態を確実に維持できる。
【0031】
また、周壁27の内周面を構成する傾斜面27aは、筒状部材13の対応部位の傾斜に対応する向きの傾斜を有しているので、周壁27の上端と筒状部材13との間の隙間を小さくできる。このため接触面積を大きくとり、結合状態の安定化をはかることができる。加えて、傾斜面27aの傾斜角度を筒状部材13の対応部位の傾斜角度に対応する角度とした場合、特に、両者の角度を同一にした場合には、図6に実線で示したように、周壁27の上端と筒状部材13との間に隙間をなくすことも可能である。しかも、筒状部材13の下端部31、つまり凹所23に収まる部分のほとんどは傾斜面27aに面接触する。このため、結合状態の安定性は極めて良好である。
【0032】
これに対し、図6に仮想線で示したように、周壁27の上端から傾斜面を形成せずに、通常考えられるように周壁27の内周面に、内周面から突出する突起状の係止部を形成した場合には、周壁27の上端と筒状部材13との間に隙間ができやすい。しかも、筒状部材13の下端部31のうち凹所23の内周面に接触する部分はわずかである。
【0033】
さらに、突起状の係止部を有した場合において、前述と同様に筒状部材13の下端部31を一旦挿入したのちに回転をして係合を行うと、筒状部材13の下端部31に不要な変形をもたらすことになる。この点、周壁27の内周面に傾斜面27aを形成して、この傾斜面27aに凹みをつけて係止部28を形成すると、傾斜面27aからの突出がなく筒状部材13の下端部31を不必要に変形させたりせずに円滑な回転が可能である。つまり、筒状部材13の差し込みに際して、返し部33をその背面側で支えている部分が過剰に変形することを防止することができる。このため、確固とした結合状態が得られる。
【0034】
また、傾斜面27aに凹みからなる係止部28を備えたので、係止部28の深さを深くすることなく十分な係止力を得られる。つまり、返し部33のみで十分な係止状態が得られる。このため、係止部28とその近傍の構成をより簡素なものとするとともに、より薄くコンパクトに構成できる。これに対して、図6に仮想線で示したように、周壁27の上端から傾斜面を形成せずに、通常考えられるように周壁27の内周面に突起状の係止部を形成した場合には、返し部33の係止のみでは、周壁27の上端と筒状部材13との間に隙間ができやすいことから、返し部33が係止する係止部の突出を大きくしたり、係止部が係止する穴を形成したりする必要性が生じるが、前述のように傾斜面27aに凹みからなる係止部28を備えた構成では、そのような必要はなく、周壁27の厚さを抑え、より簡素な構造にできる。このため下部材12の形状もより簡素にでき、コストの低減をはかることもできる。
【0035】
加えて、規制部29は筒状であり、上端に円板状の板部30が形成されているので、下部材12の強度を確保することができるとともに、板部30がブーツ型包装容器11の内底面を構成するので、使用に際して別途に内底を設ける必要がなく、包装の作業性が良い。
【0036】
以上の構成はこの発明を実施するための一形態の構成であり、その他の構成を採用することもできる。
【0037】
たとえば、規制部29に形成する板部30は、たとえば支持面26と同じ高さなど、規制部29の上端以外の位置に形成してもよい。また規制部29は、円筒状ではなく周方向の適宜位置に間欠形成してもよい。さらに、規制部29と板部30のいずれか一方または双方を省略してもよい。
【符号の説明】
【0038】
11…ブーツ型包装容器
12…下部材
13…筒状部材
23…凹所
24a…足首部相当部位
26…支持面
27…周壁
27a…傾斜面
28…係止部
29…規制部
30…板部
31…下端部
32…当接縁
33…返し部
図1
図2
図3
図4
図5
図6