【解決手段】パーツフィーダ1によれば、第1表裏センサ6によって、コンベアC上を搬送されているワークWの裏面Bが上方を向いていると検知された場合は、押出片7aを反転板3側へ突出させる。これにより、押出片7aと当接したワークWが反転板3に押し出されて反転し、押出片7aに載上される。その後、押出片7aが退避位置Pに引き戻されることで、押出片7aに載上されたワークWは、復帰板4の退避位置P側の面に当たって、ワークWは表面Tが上方を向いたまま押出片7aから落下し、コンベアC上に復帰する。よって、ワークWの反転処理のために長いラインを必要としないので、パーツフィーダ1を小型化することができる。
前記押出手段は、平板状の押出片と、その押出片を所定の退避位置から前記搬送路を経由して前記反転板側へ突出させて前記搬送路上のワークを前記反転板へ押し出した後、その押出片を前記搬送路を経由して前記退避位置へ引き戻す押出装置とを有し、
前記復帰手段は、前記押出片により前記反転板へ押し出されて前記押出片上に載上されたワークを、その押出片の引き戻し動作に連動して前記搬送路上へ復帰させる復帰板を有していることを特徴とする請求項1記載のパーツフィーダ。
前記復帰板は、前記搬送路の前記退避位置側における前記押出片の突出経路上に配設されており、その復帰板の下端と前記搬送路の上面との間隔は、前記押出片の厚さより大きく且つ前記押出片と前記ワークとを合わせた厚さ未満とされていることを特徴とする請求項2記載のパーツフィーダ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の物品整列装置では、キャップ1(ワーク)の向きは整列器21,21を上端側から下端側へ搬送される過程で揃えられるので、姿勢矯正のために長いラインが必要であった。同様に特許文献2のパーツフィーダにおいても、判別レール14から判別穴16及び判別舌19、反転ガイド18、シュート20と、姿勢矯正のために長いラインが必要であった。しかも、シュート20への収集経路は判別レール14と反転ガイド18とで反対方向になるので、ワーク6をシュート20から次工程へ供給する場合には搬送方向を揃える必要があり、更に長いラインが必要になるという問題点があった。
【0006】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、姿勢矯正のために長いラインを必要とせず、装置を小型化できるパーツフィーダを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するために本発明のパーツフィーダは、ワークの所定面が上方を向くように前記ワークを整列させて搬送するものであり、前記ワークを搬送する搬送手段と、その搬送手段により搬送されているワークの所定面が上方を向いているかを判別する第1判別手段と、その第1判別手段により前記ワークの所定面が上方を向いていないと判別された場合に、そのワークを反転させる反転手段とを備えており、その反転手段は、湾曲した反転面を有する反転板と、前記搬送手段により搬送されているワークを前記反転板の反転面へ押し出して反転させる押出手段と、その押出手段により前記反転面へ押し出されて反転されたワークを、前記搬送手段の搬送路へ復帰させる復帰手段とを備えて構成される。
【発明の効果】
【0008】
請求項1記載のパーツフィーダによれば、搬送中のワークについて、第1判別手段により所定面が上方を向いているか否かが判別される。ワークの所定面が上方を向いていないと判別された場合、その搬送中のワークは、反転手段の押出手段により反転板の反転面へ押し出されて反転され、その後、復帰手段により搬送路へ復帰させられ、所定面を上方へ向けた状態で下流側へ搬送される。このように本パーツフィーダによれば、搬送中のワークを、反転板の反転面へ押し出して反転し、搬送路へ復帰させる構成なので、姿勢矯正のために長いラインを必要とせず、装置の小型化を実現できるという効果がある。
【0009】
請求項2記載のパーツフィーダによれば、請求項1の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、押出手段の押出装置は、平板状の押出片を所定の退避位置から搬送路を経由して反転板側へ突出させて、搬送路上のワークを反転板へ押し出し、その後、押出片を搬送路を経由して退避位置へ引き戻す。押出片により反転板へ押し出されたワークは、反転後、押出片上に載上される。押出片に載上されたワークは、押出片の引き戻し動作に連動して搬送路の上方へ移動すると、復帰板によって搬送路へ復帰させられる。このように、押出装置による押出片の1回の突出と引き戻し動作によって、ワークを反転させた上で搬送路へ復帰させることができる。よって、ワークの姿勢矯正を短時間で行うことができるという効果がある。
【0010】
請求項3記載のパーツフィーダによれば、請求項2の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、復帰板の下端と搬送路の上面との間隔は、押出片の厚さより大きく且つ押出片とワークとを合わせた厚さ未満とされている。よって、ワークが載上された押出片を退避位置へ引き戻すと、押出片上のワークは復帰板に当たって押出片から落下する。ここで、復帰板は搬送路の退避位置側における押出片の突出経路上に配設されているので、押出片から落下したワークは搬送路へ落下し、搬送路へ復帰させられる。このように、押出片の引き戻し動作だけで、反転したワークを搬送路へ復帰させることができるという効果がある。
【0011】
請求項4記載のパーツフィーダによれば、請求項2又は3の奏する効果に加え、復帰板は、平面視において、反転板側が開口し退避位置側へ窪んだ凹状に形成されている。よって、押出片に載上されたワークが復帰板に当たると、復帰板は、そのワークを、弾き飛ばしてしまうことなく、しっかりとキャッチして、搬送路へ復帰させることができるという効果がある。
【0012】
請求項5記載のパーツフィーダによれば、請求項2から4のいずれかの奏する効果に加え、押出片の先端形状は、平面視において退避位置側へ窪んだ凹状に形成されている。よって、押出片の突出動作の際に、押出片によってワークをしっかりとキャッチして、反転板へ押し出すことができるという効果がある。
【0013】
請求項6記載のパーツフィーダによれば、請求項1から5のいずれかの奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、搬送中のワークについて、反転手段の下流側において、第2判別手段により所定面が上方を向いているか否かが判別される。ワークの所定面が上方を向いていないと判別された場合、その搬送中のワークは、排出手段によって搬送路から排出される。このように、反転手段を動作させても所定面が上方を向かなかったワークについては、排出手段によって搬送路から排出される。よって、次工程へは、姿勢矯正されて、所定面が上方を向いたワークだけを搬送できるという効果がある。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好ましい実施形態について、添付図面を参照して説明する。まず、
図1を参照して、本実施形態におけるパーツフィーダ1の構成を説明する。
図1(a)は本発明の一実施形態におけるパーツフィーダ1の平面図であり、
図1(b)はワークの斜視図であり、
図1(c)はIc−Ic断面線におけるワークの断面図であり、
図1(d)は矢印Id方向の矢視図である。
【0016】
パーツフィーダ1は、ワークWの表裏を揃え、ワークWを図示しない次工程の加工装置へ搬送するため装置である。
図1(a)に示す通り、パーツフィーダ1は、コンベアCと、外装2と、反転板3と、復帰板4と、排出ワーク受5とを有する。
【0017】
コンベアCは、ワークWを加工装置へ搬送するための装置であり、ワークWを一定速度(例えば100mm/s)で矢印Fの方向へ搬送する。なお、コンベアC上には、図示しない整列装置によって、予め一定間隔(例えば5mm間隔)に整列されたワークWが配置される。外装2は、コンベアCの一側に沿って配設され、外装2には、第1表裏センサ6と、押出部7と、第2表裏センサ8と、排出部9とが、コンベアCの上流側から順に並設される。
【0018】
ここで、ワークWについて説明する。
図1(b)に示す通り、ワークWは、裏面Bに開口部を持つ円盤状の金属製容器である。本実施形態において、ワークWの直径rwは10mm,厚さhwは3mmとされる。パーツフィーダ1は、コンベアC上の裏面Bが上方を向いたワークWに対して、反転処理を行う。反転処理の後においても、その反転処理によっても反転されず、裏面Bが上方を向いたワークWがコンベアC上に存在する場合は、そのワークWをコンベアC上から排出する。よって、パーツフィーダ1は、表面Tが上方を向いたワークWだけを次工程の加工装置へ搬送することができる。加工装置では、そのワークWの表面Tに対して、例えばレーザ刻印等の加工を行う。
【0019】
図1(a)に戻る。第1表裏センサ6は、ワークWの表面T又は裏面Bのどちらが上方を向いているかを検知するための近接センサであり、第1表裏センサ6におけるセンサ検知部は、コンベアCの上部に配設される。
【0020】
反転板3と復帰板4と押出部7とは、コンベアC上における裏面Bが上方を向いたワークWを、表面Tを上方へ向けさせるためのものであり、これらは第1表裏センサ6よりもコンベアCにおける下流側に配設される。
【0021】
反転板3は、押出部7におけるコンベアCを挟んで対向側に配設される。
図1(d)に示す通り、反転板3はその内面に湾曲した円弧状の曲面を有し、ワークWをその内面に沿わせることによるワークWの回転運動と、ワークWにかかる重力とによって、ワークWを反転させるための部材である。
【0022】
押出部7は、コンベアC上のワークWを反転板3へ押し出すための装置であり、押出片7aと、リンク7bと、支持部7cと、押出装置7dとを有する。押出片7aは、コンベアC上のワークWと当接してワークWを反転板3へ押し出すための部材である。押出片7aは、後述の押出装置7dを動作させない場合は、コンベアC上から外れた外装2側に設けられる退避位置Pに退避する。
【0023】
押出片7aの先端形状は、平面視においてU字状に形成され、その内径は押出片7aと当接したワークWを支持できるサイズ(例えば8mm)に形成される。即ち押出片7aの先端形状は、平面視において退避位置P側へ窪んだ凹状に形状される。これにより、ワークWと当接した押出片7aは、ワークWをしっかりとキャッチしながら、反転板3へ確実に押し出すことができる。
【0024】
また、押出片7aの先端下部7eの形状は、面取りされて構成される。これにより、押出片7aが反転板3に突出し、押出片7aと反転板3の内面とが当接した場合(
図4(c),(d)参照)、先端下部7eが反転板3に引っかかることを防止して、押出片7aの突出動作不良を防ぐことができる。
【0025】
本実施形態において、押出片7aの幅wpはワークWの直径rwと略同一とされ、押出片7aの厚さhpは1.5mmとされる。押出片7aの幅wpをワークWの直径rwと略同一としているので、詳細は後述するが、反転板3で反転されたワークWを容易に押出片7a上へ載上することができる。
【0026】
支持部7cは、押出装置7dと押出片7aとを接続するための部材である。押出片7aは支持部7cに対して、リンク7bによって上方へ揺動可能に軸支される。即ちリンク7bは、支持部7cより下方には揺動しないように構成されている。これにより、押出片7aはワークWを載上した状態でも、支持部7cの高さ以下にはならないので、コンベアCに接触することはない。また、押出片7aと反転板3の内面とが当接した場合、押出片7aは反転板3の内面に沿って、リンク7bを中心に揺動し、上方へ跳ね上がるので(
図4(c),(d)参照)、ワークWを反転板3の内面に沿わせて反転させることができる。
【0027】
押出装置7dは、制御装置14の指示に従って、押出片7aとリンク7bと支持部7cとを、退避位置Pから反転板3側へ突出させ、反転板3側から退避位置Pへ引き戻すためのアクチュエータである。
【0028】
復帰板4は、押出片7aに載上されたワークWをコンベアC上に復帰させるための部材であり、押出片7aの突出経路上かつコンベアC上に配設される。復帰板4は、平面視においてコ字状に形成され、その開口部4aは、反転板3側に設けられる。即ち復帰板4の形状は、平面視において退避位置P側へ窪んだ凹状に形成される。
【0029】
復帰板4の下端と、コンベアCの上面との間隔dは、押出片7aの厚さhpより大きく、かつ、押出片7aの厚さhpとワークWの厚さhwとマージンαとを合わせた大きさ以下とされている。本実施形態において、間隔dは13mmが例示される。なお、マージンαは、押出片7aが押出装置7dによって押し出され、そして引き戻される際に生じる押出片7aのブレ等を考慮して設定され、2mmが例示される。
【0030】
上述した通り、押出装置7dは、押出片7aを反転板3側へ突出させた後、押出片7aを退避位置Pへ引き戻す。即ち押出片7aを反転板3側へ突出させることで、ワークWは反転板3の内面に押し出され、反転板3によって反転されたワークWは押出片7aに載上される。そして押出片7aを退避位置Pへ引き戻すことで、押出片7aに載上されたワークWは、復帰板4の退避位置P側の面に当たって押出片7aから落下し、コンベアC上に復帰する(
図4(e),(f)参照)。よって、ワークWが載上された押出片7aを、退避位置Pへ引き戻すだけで、復帰板4により、ワークWをコンベアC上に復帰させることができる。
【0031】
また、復帰板4の形状は、平面視において退避位置P側へ窪んだ凹状に形成されているので、ワークWが復帰板4の退避位置P側の面に当たっても、退避位置P側の面の両サイドに設けられた復帰板4によって、ワークWは弾き飛ばされることなく、しっかりとキャッチされ、コンベアC上に復帰される。
【0032】
第2表裏センサ8は、ワークWの反転処理後において、ワークWが表面T又は裏面Bのどちらが上方を向いているかを検知するための近接センサであり、押出部7よりもコンベアCの下流側に配設される。第2表裏センサ8のセンサ検知部は、コンベアCの上部に配設される。
【0033】
排出部9は、第2表裏センサ8によって、裏面Bが上方を向いていると検知されたワークWをコンベアC上から排出するための装置であり、第2表裏センサ8よりもコンベアCの下流側に配設される。排出部9は、排出片9aと、排出装置9bとを有する。
【0034】
排出片9aは、ワークWをコンベアC上から排出するための部材である。排出片9aの先端形状は、平面視において退避位置P側へ窪んだ凹状に、即ち平面視においてU字状に形成され、その内径は排出片9aと当接したワークWを支持できるサイズ(例えば8mm)に形成される。これにより、ワークWと当接した排出片9aは、ワークWをしっかりとキャッチしながら、ワークWをコンベアC上から排出することができる。なお、排出片9aも後述の排出装置9bを動作させない場合は、退避位置Pに退避する。
【0035】
排出装置9bは、排出片9aと接続され、制御装置14の指示に従って、排出片9aを、退避位置PからコンベアC側へ突出させ、コンベアC側から退避位置Pへ引き戻すためのアクチュエータである。排出装置9bは、排出片9aを退避位置PからコンベアC側へ突出させることで、排出片9aはワークWと当接し、そのワークWをコンベアC上から排出することができる。なお、排出されたワークWは、コンベアCの下に設けられる排出ワーク受5に収納され、排出ワーク受5に収納されたワークWは、ユーザによって再度整列装置に投入され、再びコンベアC上を搬送される。
【0036】
ワーク検知センサ10,11はそれぞれ、ワークWが第1表裏センサ6,第2表裏センサ8付近に到達したかを検知するための近接センサである。ワーク検知センサ10,11はそれぞれ、外装2における、第1表裏センサ6,第2表裏センサ8の設置場所付近に配設される。
【0037】
制御装置14は、パーツフィーダ1の各部を制御するための装置である。制御装置14は、第1表裏センサ6によって、裏面Bが上方を向いていると検知されたワークWに対して、押出装置7dを動作させてワークWの反転処理を行う。そして、制御装置14は、第2表裏センサ8によって、裏面Bが上方を向いているワークWが検知された場合は、排出装置9bを動作させて、そのワークWをコンベアC上から排出する。
【0038】
次に、
図2を参照してパーツフィーダ1の電気的構成について説明する。
図2はパーツフィーダ1の電気的構成を示すブロック図である。パーツフィーダ1の制御装置14は、CPU20と、ROM21と、RAM22とを有し、これらはバスライン23を介して入出力ポート24にそれぞれ接続されている。入出力ポート24には、第1表裏センサ6と、第2表裏センサ8と、ワーク検知センサ10,11と、押出装置7dと、排出装置9bとがそれぞれ接続されている。
【0039】
CPU20は、バスライン23及び入出力ポート24に接続された各部を制御する演算装置である。ROM21は、CPU20により実行されるプログラムや固定値データ等を格納した書き換え不能な不揮発性のメモリであり、制御プログラム21aが記憶される。CPU20によって制御プログラム21aが実行されると、
図3の反転処理および排出処理がそれぞれ実行される。RAM22は、CPU20が制御プログラム21a等の実行時に各種のワークデータやフラグ等を書き換え可能に記憶するためのメモリである。
【0040】
次に、
図3を参照して、パーツフィーダ1のCPU20で実行される、反転処理および排出処理について説明する。反転処理と排出処理とは並列に処理され、これらの処理は、パーツフィーダ1の電源投入直後から繰り返し実行される。
【0041】
図3(a)は、反転処理のフローチャートである。反転処理はまず、ワーク検知センサ10によって、ワークWが第1表裏センサ6の付近に到達したかを確認し(S1)。ワークWが第1表裏センサ6の付近に到達した場合は(S1:Yes)、第1表裏センサ6によって、到達したワークWの裏面Bが上方を向いているかを検知する(S2)。
【0042】
S2の処理において、ワークWの裏面Bが上方を向いている場合は(S2:Yes)、第1表裏センサ6付近のワークWが押出部7に到達するまでの時間、ウェイト処理を行う(S3)。この時間は、第1表裏センサ6と押出部7との距離と、コンベアCの搬送速度とから算出される。なお、ROM21に、予めS3におけるウェイト時間の値を記憶しておいても良い。S3の処理の後、押出装置7dを動作させて、ワークWの反転処理を行う(S4)。
【0043】
ここで、S4の処理におけるワークWの反転処理について、
図4を参照して説明する。
図4はパーツフィーダ1による、ワークWの反転処理を模式的に示した図である。押出装置7dは、押出片7aを退避位置Pから反転板3側へ突出させる(
図4(a))。すると、ワークWは押出片7aと当接し、反転板3へ押し出され(
図4(b))、反転板3に沿って回転する(
図4(c))。これによりワークWが反転する。反転したワークWは重力によって落下し、押出片7a上に載上される(
図4(d))。
【0044】
次に、押出装置7dは、押出片7aを退避位置Pへ引き戻す。上述した通り、復帰板4の下端とコンベアCの上面との間隔dは、押出片7aの厚さhpより大きく、また、厚さhpとワークWの厚さhwとマージンαとを合わせた大きさ以下とされるので、押出片7aに載上されたワークWは、復帰板4の退避位置P側の面に当たる(
図4(e))。すると、ワークWは、復帰板4の退避位置P側の面と当接したまま留まり、押出片7aの先端が復帰板4の下を通過した場合に、ワークWは押出片7aから落下し、コンベアC上に復帰する(
図4(f))。これにより、裏面Bが上方を向いたワークWは、反転処理によって、表面Tが上方を向いた状態でコンベアC上に復帰する。
【0045】
図3に戻る。S1の処理において、ワークWが第1表裏センサ6の付近に到達していない場合は(S1:No)、S2〜S4の処理をスキップする。また、S2の処理において、ワークWの表面Tが上方を向いている場合は(S2:No)、S3,S4の処理をスキップする。S1〜S4の処理の後、S1の処理以降を繰り返す。
【0046】
次に、排出処理について説明する。
図3(b)は、排出処理のフローチャートである。排出処理はまず、ワーク検知センサ11によって、ワークWが第2表裏センサ8の付近に到達したかを確認し(S10)。ワークWが第2表裏センサ8の付近に到達した場合は(S10:Yes)、第2表裏センサ8によって、到達したワークWの裏面Bが上方を向いているかを検知する(S11)。
【0047】
S11の処理において、ワークWの裏面Bが上方を向いている場合は(S11:Yes)、第2表裏センサ8付近のワークWが排出部9に到達するまでの時間、ウェイト処理を行う(S12)。この時間も、第2表裏センサ8と排出部9との距離と、コンベアCの搬送速度とから算出される。なお、ROM21に、予めS12におけるウェイト時間の値を記憶しておいても良い。S12の処理の後、排出装置9bを動作させ、排出片9aをコンベアC側へ突出させ、ワークWをコンベアC上から排出する(S13)。
【0048】
S4の処理によって、ワークWの反転処理を行っているので、反転処理後のワークWは、原則、表面Tが上方を向いたものとなる。しかし、ワークWの反転処理に失敗し、裏面Bが上方を向いたままとなる場合が存在する。かかる場合に、S13の処理によって、裏面Bが上方を向いたワークWをコンベアC上から排出することで、排出部9以降の次工程の加工装置へは、表面Tが上方を向いたワークWだけを搬送することができる。
【0049】
また、かかる押出動作(S10〜S13)によって、コンベアC上から排出されるワークWは、わずかであるので、加工装置へのワークWの供給を低下させることなく安定的に行って、加工装置におけるサイクルタイムを維持することができる。加えて、コンベアC上から排出された、ワークWを受ける排出ワーク受5のサイズも小さくて済むので、パーツフィーダ1全体を小型かつ安価に構成することができる。
【0050】
S10の処理において、ワークWが第2表裏センサ8の付近に到達していない場合は(S10:No)、S11〜S13の処理をスキップする。また、S11の処理において、ワークWの表面Tが上方を向いている場合は(S11:No)、S12,S13の処理をスキップする。S10〜S13の処理の後、S10の処理以降を繰り返す。
【0051】
以上説明した通り、本実施形態におけるパーツフィーダ1によれば、第1表裏センサ6によって、コンベアC上を搬送されているワークWの裏面Bが上方を向いていると検知された場合は、押出片7aを反転板3側へ突出させる。これにより、押出片7aと当接したワークWが反転板3に押し出されて反転し、押出片7aに載上される。その後、押出片7aが退避位置Pに引き戻されることで、押出片7aに載上されたワークWは、復帰板4の退避位置P側の面に当たって、ワークWは表面Tが上方を向いた状態で押出片7aから落下し、コンベアC上に復帰する。
【0052】
このように、コンベアC上を搬送されている、裏面Bが上方を向いたワークWを、コンベアC上から反転板3へ押し出して反転し、コンベアC上に復帰させるので、ワークWの反転処理のために長いラインを必要としない。従って、パーツフィーダ1を小型化することができる。しかも、押出装置7dによる、押出片7aの1回の反転板3側への突出と、退避位置Pへの引き戻し動作とによって、ワークWを反転させた上でコンベアC上に復帰させることができるので、ワークWの反転処理を短時間で行うことができる。
【0053】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能であることは容易に推察できるものである。
【0054】
上記実施形態では、ワークWの形状は円盤状に形成されたが、必ずしもこれに限られるものではなく、直方体等、他の立体形状に形成されたものであってもよい。また、ワークWは金属で構成されたが、必ずしもこれに限られるものではなく、樹脂や木材等、他の材質で形成されたものであってもよい。また、ワークWの直径rwは10mm,厚さhwは3mmと形成されたが、直径rwは10mm以上でも良いし、10mm以下でも良い。また、厚さhwも3mm以上でも良いし、3mm以下でも良い。
【0055】
上記実施形態では、反転板3の内面の形状は曲面で構成されたが、必ずしもこれに限られるものではなく、多角形状に角を有するもの等、内面を沿わせることでワークWが反転する形状を、適宜適用しても良い。また、反転板3の外装は特に指定していないが、ワークWが沿う内面を保護するためのカバー等を外装として設ける構成としても良い。
【0056】
上記実施形態では、押出片7a及び排出片9aの先端の形状は、平面視においてU字状に形成されたが、必ずしもこれに限られるものではなく、平面視において退避位置P側へ窪んだ凹状であれば、円弧状等、他の形状を適宜適用しても良い。また、押出片7aの先端下部7eの形状は、面取りされて構成されたが、先端下部7eが反転板3に引っかからない形状であれば、曲面状等、他の形状を適宜適用しても良い。
【0057】
上記実施形態では、復帰板4は平面視においてコ字状に形成されたが、必ずしもこれに限られるものではなく、退避位置P側へ窪んだ凹状であれば、円弧状等、他の形状も適宜適用できる。
【0058】
上記実施形態では、第1表裏センサ6,第2表裏センサ8及びワーク検知センサ10,11は、近接センサによって構成されたが、必ずしもこれに限られるものではなく、光学式センサ等、ワークWに非接触で、ワークWの表面T又は裏面Bのどちらが上方を向いているかや、ワークWの到達が検知されるものを適宜適用しても良い。また、カメラでワークWの画像の取得をして、画像処理によってワークWの表面T又は裏面Bのどちらが上方を向いているかや、ワークWの到達を解析して検知しても良い。
【0059】
上記実施形態では、第1表裏センサ6と第2表裏センサ8とは、コンベアCの上部に設けられる構成とされたが、必ずしもこれに限られるものではなく、コンベアCの下に第1表裏センサ6と第2表裏センサ8とを設け、さらにコンベアCに穴を空け、その穴から第1表裏センサ6と第2表裏センサ8とによって、ワークWの表面T又は裏面Bのどちらが上方を向いているかを検知する構成としてもよい。