【解決手段】外枠と、バーナ部と、缶体と、制御装置4と、外枠内の機内温度を計測する機内温度センサと、機内の換気をする換気扇と、を有するボイラー装置であって、制御基板4は、第1の環境温度条件または第1の環境温度条件よりも高い環境温度である第2の環境温度条件のどちらに該当するかを判定する環境条件判定手段41と、機内温度センサによって計測した機内温度が所定の換気開始温度以上である場合には、換気扇を駆動させる換気扇駆動指令手段42と、計測した機内温度が所定の換気停止温度よりも低い場合には、換気扇を停止させる換気扇停止指令手段43と、を備え、換気開始温度および換気停止温度のうち少なくとも一方は、第1の環境温度条件よりも前記第2の環境温度条件の方を低くした。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のボイラー装置は、全体構成が大型化することから、屋外に設置されるものである。したがって、冬期に外枠内の配管等の部品が凍結することを防止するために、外枠の内側に断熱材が設けられている。一方、このボイラー装置は、外枠内にお湯を貯溜する缶体を備えているため、特に夏期の炎天下において、外枠内の温度が高くなり過ぎると制御基板等の機能部品に悪影響を及ぼすおそれがある。このため、このボイラー装置は、換気扇を作動させて外枠内を換気することで、外枠内の温度を下げていた。
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のボイラー装置は、夏期の環境に合わせて換気扇を駆動および停止させているため、冬期において機内温度が低下しすぎるという問題があった。例えば、冬期においては、地域の環境温度条件によっては気温が氷点下にもなり、換気扇による放熱に加えて自然放熱の影響もあるため、凍結する可能性があった。
【0006】
本発明は、前記した事情に鑑みてなされたものであり、種々の環境温度条件に合わせて換気扇を駆動させることが可能なボイラー装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明に係るボイラー装置は、屋外に設置する外枠と、前記外枠内に配置されており、燃油を燃焼させるバーナ部と、前記外枠内に配置されており、前記バーナ部の燃焼によって内方の熱媒体が加熱される缶体と、前記外枠内に配設された制御基板と、を有するボイラー装置であって、前記外枠内の機内温度を計測する機内温度センサと、機内の換気をする換気扇と、を有し、前記制御基板は、第1の環境温度条件、または前記第1の環境温度条件よりも高い環境温度である第2の環境温度条件のどちらに該当するかを判定する環境条件判定手段と、前記機内温度センサによって計測した機内温度が所定の換気開始温度以上である場合には、前記換気扇を駆動させる換気扇駆動指令手段と、前記機内温度センサによって計測した機内温度が所定の換気停止温度よりも低い場合には、前記換気扇を停止させる換気扇停止指令手段と、を備え、前記換気開始温度および前記換気停止温度のうち少なくとも一方は、前記第1の環境温度条件よりも前記第2の環境温度条件の方が低いこと、を特徴とする。
【0008】
このような構成では、前記換気開始温度および前記換気停止温度のうち少なくとも一方は、前記第1の環境温度条件よりも前記第2の環境温度条件の方が低いことで、環境温度が異なる前記第1の環境温度条件および前記第2の環境温度条件に対して、より適したタイミングで換気扇を駆動させることができる。
【0009】
したがって、本発明に係るボイラー装置は、種々の環境温度条件の下で使用しても、機内温度を好適な範囲に維持することができる。例えば、冬期において凍結を防止するとともに、夏期において機内温度の過熱を防止して、安定した動作を確保することができる。
【0010】
前記ボイラー装置において、前記換気開始温度は、前記第1の環境温度条件よりも前記第2の環境温度条件の方が低いこと、が好ましい。
【0011】
このような構成では、第1の環境温度条件の方が、第2の環境温度条件よりも環境温度(外気温や水温)が低いので、第1の環境温度条件では、発熱による機内温度の上昇が緩やかになり、発熱と自然放熱がバランスしやすくなる。このため、前記第1の環境温度条件における換気開始温度を前記第2の環境温度条件よりも高くすることで、前記第1の環境温度条件における機内温度の過度の低下を抑制して、凍結を防止するとともに、換気扇の無駄な駆動時間を短縮して寿命を向上させることができる。
【0012】
一方、第2の環境温度条件では、前記第2の環境温度条件における換気開始温度を前記第1の環境温度条件よりも低くすることで、第2の環境温度条件における機内温度の過度の上昇を確実に防止することができる。
【0013】
前記ボイラー装置において、前記換気停止温度は、前記第1の環境温度条件よりも前記第2の環境温度条件の方が低いこと、が好ましい。
【0014】
このような構成では、第1の環境温度条件の方が、第2の環境温度条件よりも環境温度が低いので、第1の環境温度条件では、自然放熱が促進されるため、第2の環境温度条件よりも早く換気扇を停止させる。これにより、第1の環境温度条件における無駄な放熱を抑えて、換気扇の寿命を向上させるとともに、凍結防止にも効果的である。
【0015】
前記ボイラー装置において、外気温を計測する外気温度センサまたは前記缶体に流入する水の温度を計測する給水温度センサをさらに備え、前記環境条件判定手段は、前記外気温度センサによって計測した外気温または前記給水温度センサによって計測した水の温度がそれぞれ所定の冬期判定温度以下である場合には第1の環境温度条件であると判定し、前記冬期判定温度を超える場合には第2の環境温度条件であると判定すること、が好ましい。
【0016】
このような構成では、例えば、第1の環境温度条件を冬期に適用し、第2の環境温度条件を冬期以外の春秋期、および夏期に適用することで、制御を簡素化しながら、種々の環境温度条件に対して、好適に対応することができる。これにより、冬期における凍結、ならびに春秋期、および特に夏期における機内温度の過熱を確実に防止するとともに、換気扇の寿命を向上させることができる。
【0017】
前記ボイラー装置において、前記制御基板は、カレンダー情報を記憶したカレンダー記憶装置をさらに備え、前記環境条件判定手段は、前記カレンダー情報に基づいて第1の環境温度条件であるか第2の環境温度条件であるかを判定すること、が好ましい。
【0018】
このような構成では、簡易な構成によって、種々の環境温度条件に対して、好適に対応することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、種々の環境温度条件に合わせて換気扇を駆動させることが可能なボイラー装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
なお、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を適宜省略する。
【0022】
図1は、本発明の一実施形態に係るボイラー装置100を示す概略構成図である。
図2は、バーナ部2の概略構成図である。
図3は制御基板の構成および動作を示す。
図4は、
図1のIII−III線に沿う概略断面図である。本実施形態に係るボイラー装置100は、1台で給湯、温水暖房、および風呂の追焚きが可能なボイラー装置である。
【0023】
図1に示すように、ボイラー装置100は、屋外に設置する外枠1を備えている。外枠1の内面には断熱材11が貼り付けられており、これにより、内方の保温効果が高まる。断熱材11としては、例えばグラスウールやロックウールが使用され得る。外枠1内には、下仕切板12と上仕切板13とで仕切られて上下方向に3分割されることによって、中央に機能室14、下方に配管室15、上方に排気室16が形成されている。
【0024】
機能室14は、バーナ部2等の機能部品を収容している。配管室15は、屋内の機器と配管接続するために使用される。排気室16には、燃焼用空気を吸引して外枠1内に供給するとともに排気ガスを外枠1の外方へ排出する2重管構造の給排気筒17が設けられている。
【0025】
外枠1の機能室14内には、気化した石油等の燃油を燃焼させるバーナ部2と、バーナ部2の燃焼によって内方に貯溜した水等の熱媒体が加熱される円筒缶状の缶体3とが配置されている。また、機能室14内には、制御基板4が収容されている。制御基板4は、電子部品が実装されたプリント基板であり、ボイラー装置100の各部の動作を制御する。
【0026】
図2に示すように、バーナ部2は、気化部21と燃焼部22とを備えている。気化部21は、燃油を気化させるアルミダイキャスト製の気化器211と、気化器211の下方に設けられた混合室212とを有している。混合室212において、気化器211で気化した燃油(気化ガス)と一次空気とが予混合される。気化器211には、燃油を気化可能な温度まで加熱する加熱用ヒータとしての気化器ヒータ213が備えられている。燃焼部22は、混合室212の上方で気化器211の背面側に備えられており、混合室212で予混合された予混合ガスを燃焼させる。燃焼部22の上方には、先端部で火花放電させることによって点火を行う点火プラグ221と、バーナ部2で発生した火炎に流れる電流を検知することによって燃焼状態を検知するフレームロッド222とが配置されている。点火プラグ221には、イグナイタ223から放電用の電力が供給される。
【0027】
気化器211の正面側には、気化器211に燃油を噴霧するノズル23が設けられている。レベラータンク231に貯溜されている燃油は、電磁ポンプ232によって、送油管233を介してノズル23に圧送される。レベラータンク231には、汲み上げポンプ234によって、外部に設置された燃油タンクから燃油が汲み上げられる。
【0028】
バーナ部2とカバー枠25との間には、空気室26が形成されている。燃焼ファン73の作動によってバーナ部2へ供給される燃焼用空気は、気化部21には予混合用の一次空気として供給され、空気室26には混合室212の下方を通って燃焼部22で燃焼する二次空気として供給される。
【0029】
図1に示すように、缶体3内には、給水管51から供給される水を缶体3内の加熱された熱媒体によって加熱する給湯用熱交換器5が配置されている。給湯用熱交換器5には、該給湯用熱交換器5から出るお湯を供給する給湯管52が接続されている。給水温度センサ53および給水フローセンサ54を備えた給水管51を介して給湯用熱交換器5に流入する水(水道水)は、缶体3内の熱媒体と熱交換させられる。給水温度センサ53は、給湯用熱交換器5に流入する水(水道水)の温度を計測する。
【0030】
そして、給湯用熱交換器5から出るお湯は、膨張吸収器55、ミキシング弁56、水比例弁57および給湯温度センサ58を備えた給湯管52を介して、各所に給湯される。給湯温度センサ58は、各所に給湯されるお湯の温度を検出する。給水管51および給湯管52は給湯回路50を構成している。なお、給湯されるお湯は、ミキシング弁56において水道水と混合されて適温に調整される。
【0031】
また、缶体3内には、風呂戻り管61から流入する浴槽水を缶体3内の加熱された熱媒体によって加熱する風呂用熱交換器6が配置されている。風呂用熱交換器6は、給湯用熱交換器5よりも下方に配置されている。風呂用熱交換器6には、該風呂用熱交換器6から出る昇温された浴槽水を浴槽(図示せず)に戻す風呂往き管62が接続されている。圧力センサ63、風呂用ポンプ64および風呂フローセンサ65を備えた風呂戻り管61を介して風呂用熱交換器6に流入する浴槽水は、缶体3内の熱媒体と熱交換させられる。そして、風呂用熱交換器6から出る昇温された浴槽水は、風呂往き管62を介して浴槽に戻る。この循環が順次繰り返される。風呂戻り管61および風呂往き管62は、浴槽水の追焚きを行う風呂回路60を構成している。
【0032】
缶体3は、循環回路31によって屋内に設置した放熱器(図示せず)と連結されている。循環回路31は、缶体3の上部に接続された暖房往き管32と、缶体3の下部に接続され途中に気水分離器34および暖房用ポンプ35を備えた暖房戻り管33とで構成されている。
【0033】
缶体3の側面には、該缶体3の上部と下部とを連通する連通管36が接続されており、連通管36は、その途中に撹拌ポンプ37を備えている。これにより、缶体3内に貯溜する熱媒体の上下の温度差を少なくして、熱媒体の温度をより均一にすることができる。
【0034】
外枠1の配管室15の内方には、保温用放熱器38が配置されている。保温用放熱器38は、循環回路31の温水の一部を利用して凍結防止用の放熱を行うものであり、放熱タンク39と連通している。
【0035】
外枠1内には、外枠1の外方から燃焼用空気を吸引してバーナ部2へ供給する給気管71が設けられており、給気管71は、その途中に燃焼ファン73を備えている。給気管71は、排気室16から機能室14まで延在している。給気管71の外枠1外へ突出する開口端は、外枠1の外方からバーナ部2へ供給する燃焼用空気が通過する燃焼用給気口72を構成している。
【0036】
外枠1の排気室16内には、缶体3の上方に設けられたサイレンサ部74と連通し、排気ガスを外枠1の外方へ排出する排気管75が設けられている。排気ガスは、缶体3の内部に鉛直方向に沿って形成された複数の煙管(図示せず)を介してバーナ部2からサイレンサ部74に流れる。排気管75の外枠1外へ突出する開口端は、外枠1の外方へ排出する排気ガスが通過する燃焼用排気口76を構成している。
【0037】
図4に示すように、排気管75の終端側は、給気管71の内部に配置されており、給排気筒17を構成している。排気管75の終端部の外周面には円盤状のガイド部材77が設けられている。排気管75から排出される排気ガスは、排気管75の開口端である燃焼用排気口76から軸方向(
図4の矢印A方向)に排出される。一方、給気管71に吸引される燃焼用空気は、ガイド部材77によって半径方向内方(
図4の矢印B方向)に案内されて、燃焼用給気口72の周囲から給気管71内へ吸引される。
【0038】
図1に示すように、給湯管52には、湯張り回路66が接続されている。湯張り回路66は、給湯管52から分岐し、三方弁67を介して風呂戻り管61に接続している。湯張り回路66は、その途中に湯張り電磁弁68および湯張りフローセンサ69を備えており、給湯回路50を介して風呂の湯張りも容易に行えるようにしたものである。
【0039】
外枠1内には、該外枠1内を換気する換気扇8が配置されている。換気扇8は、機能室14と排気室16との間を仕切る上仕切板13に形成された取付け孔131に設置されている。外枠1の機能室14内には、外枠1内の温度を検出する機内温度センサ81が配置されている。外枠1の外側には、外気の温度を検出する外気温度センサ88が配置されている。
【0040】
制御基板4は、第1の環境温度条件である冬期条件、または第2の環境温度条件である夏期条件のどちらに該当するかを判定する環境条件判定手段41と、換気扇8を駆動させる換気扇駆動指令手段42と、換気扇8を停止させる換気扇停止指令手段43と、カレンダー情報を記憶したカレンダー記憶装置44と、を備えている。
【0041】
環境条件判定手段41は、外気温度センサ88によって計測した外気温TGが所定の冬期判定外気温度TG1(例えば、20℃)以下である場合には、第1の環境温度条件(冬期条件)であると判定する。冬期条件は、冬期に適用する。冬期条件であると判定すると、制御基板4は、冬期に適用する制御条件(冬期制御モード)で換気扇8の動作を制御する。
【0042】
環境条件判定手段41は、外気温TGが冬期判定外気温度TG1(例えば、20℃)を超える場合には、第2の環境温度条件(夏期条件)であると判定する。夏期条件は、春期、夏期、および秋期(夏期等)に適用する。夏期条件であると判定すると、制御基板4は、夏期等に適用する制御条件(夏期制御モード)で換気扇8の動作を制御する。
【0043】
なお、第2の環境温度条件である夏期条件は、第1の環境温度条件である冬期条件よりも高い環境温度条件である。また、本実施形態においては、冬期制御モードと夏期制御モードに分けて換気扇8の動作を制御するが、環境温度条件等を考慮して適宜設定すればよく、例えば冬期、春秋期、および夏期の3つに分けて制御してもよい。この場合には、環境温度条件判定手段41は、3つの環境温度条件のいずれに該当するかどうかを判定する。
【0044】
換気扇駆動指令手段42は、機内温度センサ81によって計測した機内温度TNが所定の換気開始温度THを超える場合には、換気扇8を駆動させる。換気開始温度THは、第1の環境温度条件(冬期)よりも第2の環境温度条件(夏期)の方が低いことが望ましい。つまり、換気開始温度THは、冬期制御モードではTH1(例えば、60℃)、夏期制御モードではTH2(例えば、50℃)とすると、TH1>TH2である。
【0045】
換気扇停止指令手段43は、機内温度センサ81によって計測した機内温度TNが所定の換気停止温度TCよりも低い場合には、換気扇8を停止させる。換気停止温度TCは、換気開始温度THよりも低い温度に設定されている(換気停止温度TC<換気開始温度TH)。換気停止温度TCは、第1の環境温度条件(冬期)よりも第2の環境温度条件(夏期)の方が低いことが望ましい。つまり、換気停止温度TCは、冬期制御モードではTC1(例えば、55℃)、夏期制御モードではTC2(例えば、45℃)とすると、TC1>TC2である。
【0046】
カレンダー記憶装置44には、日付毎に第1の環境温度条件(冬期)または第2の環境温度条件(夏期)が予め設定されたカレンダーとしてのカレンダー情報が格納されている。
【0047】
外枠1のうちの機能室14の前面を覆う部分である中央前パネル141(
図5参照)には、外枠1の外方から供給され換気扇8に吸引される空気が通過する換気用給気口82が設けられている。一方、外枠1のうちの排気室16の前面を覆う部分である上方前パネル161(
図9参照)には、換気扇8から送出され外枠1の外方へ排出される空気が通過する換気用排気口85が設けられている。
【0048】
換気扇8が作動されると、外気が外枠1の外方から換気用給気口82を経て外枠1内に供給されるとともに、外枠1内の温度上昇した空気が換気用排気口85を経て外枠1の外方へ放出される。これにより、外枠1内の温度上昇が抑制される。
【0049】
図5は、ボイラー装置100の機能室14を示す分解斜視図である。
図6(a)は、
図5のVa−Va線に沿う断面図であり、本実施形態に係る換気用給気口82周辺の縦断面図である。
図6(b)は、変形例に係る換気用給気口82周辺の縦断面図である。
図6(c)は、他の変形例に係る換気用給気口82a周辺の縦断面図である。
【0050】
図1、
図5に示すように、制御基板4の上方に換気扇8が配置されており、制御基板4の下方に換気用給気口82が配置されている。換気扇8および制御基板4は、外枠1内における正面側(中央前パネル141に近い側)に配置されている。
【0051】
図1に示すように、換気扇8、制御基板4および換気用給気口82は、正面視して一の鉛直線L上に配置されていることが望ましい。この鉛直線Lは、本実施形態では、缶体に対して正面視して右側に存在する。一方、缶体3の内部と外枠1の外方との間を出入りする水の搬送経路である循環回路31、給湯回路50および風呂回路60は、缶体に対して正面視して鉛直線Lとは左右方向において反対側(ここでは左側)を通るように配置されている。
【0052】
図6(a)に示すように、換気用給気口82は、外枠1の外方へ突出し先端を下方へ傾斜させた複数の折曲片83を有する鎧戸状の換気用給気口である。鎧戸状の換気用給気口82によれば、外枠1の外方から空気が
図6(a)中の矢印方向に流れて供給される一方で、外部から雨等の水分が折曲片83によって遮られて外枠1内に侵入することを抑制できる。
【0053】
なお、
図6(b)に示すように、換気用給気口82の裏側(背面側)に、一定の間隔を置いて換気用給気口82を覆うカバー部材84が設けられていてもよい。この構成では、換気用給気口82から水分が万一入り込んだとしても、カバー部材84に衝突して遮られるため、外枠1内に広がることを防止できる。また、換気扇8作動時に外枠1の外方から換気用給気口82を経て外枠1内に供給される外気は、カバー部材84の内面に沿って
図6(b)中の矢印方向に流れて制御基板4の方へ導かれる。これにより、外枠1内の制御基板4周辺の温度上昇がより抑制される。また、
図6(c)に示すように、外枠1の内方へ突出し先端を上方へ傾斜させた複数の折曲片83aを有する鎧戸状の換気用給気口82aが採用されてもよい。
【0054】
図7は、ボイラー装置100の機能室14の内部を燃油の搬送経路を省略して示す右側面図である。
図7に示すように、換気用給気口82は、給水管51における換気用給気口82に最も近い部位P1よりも上に位置している。また、換気用給気口82は、給湯管52における換気用給気口82に最も近い部位P2よりも上に位置している。
【0055】
図8は、ボイラー装置100の機能室14の内部を燃油の搬送経路を含んで示す右側面図である。
図8に示すように、外枠1内における換気用給気口82の裏側には、レベラータンク231、電磁ポンプ232、送油管233、汲み上げポンプ234等の、バーナ部2に供給する燃油の搬送経路が配置されている。
【0056】
図9(a)は、本実施形態に係るボイラー装置100の正面図である。
図9(b)は、変形例に係るボイラー装置100aの正面図である。
図9(c)は、他の変形例に係るボイラー装置100bの正面図である。
図10(a)は、
図9(a)のIXa−IXa線に沿う断面図であり、本実施形態に係る換気用排気口85周辺の縦断面図である。
図10(b)は、比較例に係る換気用排気口85a周辺の縦断面図である。
【0057】
図9に示すように、換気用排気口85は、燃焼用給気口72に隣設されている。換気用排気口85と燃焼用給気口72との間の離隔距離は、例えば燃焼用給気口72の直径以下に設定される。
【0058】
図10(a)に示すように、換気用排気口85は、外枠1の外方へ突出し先端を下方へ傾斜させた複数の折曲片86を有する鎧戸状の換気用排気口である。鎧戸状の換気用排気口85によれば、外枠1の外方へ空気が
図10(a)中の矢印方向に流れて排出される一方で、外部から雨等の水分が折曲片86によって遮られて外枠1内に侵入することを抑制できる。
図10(a)に示す本実施形態では、外枠1内の温まった空気は、外枠1内においては折曲片86に遮られることなく換気用排気口85へ向かうとともに、換気用排気口85から外に出た空気は折曲片86によって下方へ案内されて流れるため分散しにくい。
【0059】
一方、
図10(b)に示す比較例に係る換気用排気口85aは、外枠1の内方へ突出し先端を上方へ傾斜させた複数の折曲片86aを有する鎧戸状の換気用排気口である。
図10(b)に示す比較例では、外枠1内の温まった空気は、外枠1内においては折曲片86aに遮られるために
図10(b)中の矢印方向に蛇行して流れて換気用排気口85aへ向かうとともに、換気用排気口85aから外に出た空気は流れの方向が定まらず分散しやすい。
【0060】
本実施形態に係るボイラー装置100では、換気用排気口85は、
図9(a)に示すように正面視して燃焼用給気口72の左側に隣設されている。ただし、換気用排気口85の設置位置は、特に限定されるものではない。例えば
図9(b)に示すボイラー装置100aのように、正面視して燃焼用給気口72の上側に隣設されていてもよい。この構成では、折曲片86の延伸方向を燃焼用給気口72の方へ向けることができるが、ボイラー装置100aの全高さが高くなる。また、例えば
図9(c)に示すボイラー装置100bのように、正面視して燃焼用給気口72の右側に隣設されていてもよい。
【0061】
次に、本実施形態に係るボイラー装置100の動作について、主として
図1と
図3を参照しながら説明する。
図1に示すように、給湯、温水暖房、あるいは風呂の追焚きの要求があれば、バーナ部2が燃焼を開始して缶体3内の熱媒体が加熱される。給湯が要求される場合には、給湯用熱交換器5を流通する水が加熱され、給湯管52を介して給湯が行われる。風呂の追焚きが要求される場合には、風呂用熱交換器6に風呂用ポンプ64の駆動で浴槽水を循環させることによって風呂の追焚きが行われる。また、温水暖房が要求される場合には、循環回路31の暖房用ポンプ35を駆動させることによって、缶体3内の熱媒体がそのまま循環して、屋内に設置した放熱器を介して温水暖房が行われる。
【0062】
制御基板4は、機内温度センサ81によって検出された外枠1内の機内温度が所定の上限値以上となったときに換気扇8を駆動し、所定の下限値よりも低くなったときに停止する。
【0063】
図3に示すように、環境条件判定手段41は、外気温度センサ88によって計測した外気温TGが冬期判定外気温度TG1(例えば、20℃)以下であるかどうか、または冬期判定外気温度TG1(例えば、20℃)を超えるかどうか判定する(S1)。冬期判定外気温度TG1以下である場合には(S1のYes)、第1の環境温度条件(冬期条件)であると判定する(S2)。
【0064】
これにより、制御基板4は、冬期制御モードで換気扇8の動作を制御する。冬期制御モードでは、換気開始温度THがTH1(例えば、60℃)に設定され(S3)、換気停止温度TCがTC1(例えば、55℃)に設定される(S4)。制御基板4は、機内温度センサ81によって検出された機内温度がTH1(例えば、60℃)を超えていれば、換気扇駆動指令手段42によって換気扇8を駆動させ、機内温度がTC1(例えば、55℃)よりも低ければ、換気扇停止指令手段43によって換気扇8を停止させる。
【0065】
ステップS1において、環境条件判定手段41は、外気温度センサ88によって計測した外気温TGが冬期判定外気温度TG1(例えば、20℃)を超える場合には(S1のNo)、ステップS5に進み、第2の環境温度条件(夏期条件)であると判定する(S5)。
【0066】
これにより、制御基板4は、夏期制御モードで換気扇8の動作を制御する。夏期制御モードでは、換気開始温度THがTH2(例えば、50℃)に設定され(S6)、換気停止温度TCがTC2(例えば、45℃)に設定される(S7)。制御基板4は、機内温度センサ81によって検出された機内温度がTH2(例えば、50℃)以上であれば、換気扇駆動指令手段42によって換気扇8を駆動させ、機内温度がTC2(例えば、45℃)よりも低ければ、換気扇停止指令手段43によって換気扇8を停止させる。
【0067】
本発明の実施形態に係るボイラー装置100は、以下のような作用効果を奏する。
ボイラー装置100では、換気開始温度THは、第1の環境温度条件(冬期)よりも第2の環境温度条件(夏期)の方が低く設定されている。
かかる構成により、第1の環境温度条件(冬期)の方が、第2の環境温度条件(夏期)よりも外気温が低いので、第1の環境温度条件(冬期)では、発熱による機内温度TNの上昇が緩やかになり、発熱と自然放熱がバランスしやすくなる。このため、第1の環境温度条件(冬期)における換気開始温度THを前記第2の環境温度条件(夏期)よりも高くすることで、冬期における機内温度TNの過度の低下を抑制して、凍結を防止するとともに、換気扇8の無駄な駆動時間を短縮して、換気扇8の寿命を向上させることができる。
【0068】
一方、第2の環境温度条件(夏期)の方が、第1の環境温度条件(冬期)よりも外気温が高いので、第2の環境温度条件(夏期)では、自然放熱がしづらくなる。このため、第2の環境温度条件(夏期)における換気開始温度THを前記第1の環境温度条件(冬期)よりも低くすることで、第2の環境温度条件(夏期)における機内温度TNの過度の上昇を確実に防止することができる。
【0069】
また、ボイラー装置100では、換気停止温度TCは、第1の環境温度条件(冬期)よりも第2の環境温度条件(夏期)の方が低く設定されている。
【0070】
かかる構成により、第1の環境温度条件(冬期)の方が、第2の環境温度条件(夏期)よりも外気温(環境温度)が低いので、第1の環境温度条件(冬期)では、自然放熱が促進される。このため、第2の環境温度条件(夏期)よりも早く換気扇8を停止させる。これにより、第1の環境温度条件(冬期)における無駄な放熱(冷却)を抑えて、換気扇8の寿命を向上させるとともに、凍結防止にも効果的である。
【0071】
以上、本発明について、実施形態に基づいて説明したが、本発明は、前記実施形態に記載した構成に限定されるものではなく、前記実施形態に記載した構成を適宜組み合わせ乃至選択することを含め、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。また、前記実施形態の構成の一部について、追加、削除、置換をすることができる。
【0072】
例えば、本実施形態においては、換気開始温度THおよび換気停止温度TCは、いずれも第1の環境温度条件(冬期)よりも第2の環境温度条件(夏期)の方が低くなるように設定したが、これに限定されるものではなく、要するに第1の環境温度条件および第2の環境温度条件に対して、好適に適合できるように別個に設定すればよい。例えば、地域差による環境温度条件やボイラー装置100の仕様(換気扇8の送風能力、配管や断熱材の配置)等を考慮して、個別の事情に基づいて設定されるものであるから、一方が同じでもよい。
【0073】
また、本実施形態においては、環境条件判定手段41は、外気温度センサ88によって計測した外気温TGに基づいて、冬期条件および夏期条件を判定したが、これに限定されるものではなく、給水温度センサ53によって計測した水(水道水)の温度に基づいて冬期条件および夏期条件を判定してもよい。また、環境条件判定手段41は、現在の日付と制御基板4のカレンダー記憶装置44(
図3参照)に記憶された前述のカレンダー情報とに基づいて、冬期条件および夏期条件を判定してもよい。
【0074】
また、本実施形態においては、外気の温度を厳格に計測するために外気温度センサ88を外枠の外側に設けたが、これに限定されるものではなく、充分な精度で外気温度を判定できればよいので、外気を吸引してバーナ部2へ供給する給気管71に導入された外気の温度を計測してもよい。
【0075】
また、前記した実施形態では、缶体3内の熱媒体が温水暖房に使用されているが、給湯用に使用されてもよい。また、缶体3内に配置された熱交換器が給湯用に使用されているが、暖房用に使用されてもよい。