【解決手段】モータ駆動部70は、インバータハウジング71と、インバータカバー72と、インバータ回路80と、を有する。インバータ回路80は、駆動ブロック83、電源ブロック84、制御ブロック85を有する。制御ブロック85は、駆動ブロック83及び電源ブロック84とは離間されて配置されている。
前記駆動ブロック前記電源ブロック及び前記制御ブロックの少なくとも1つが、放熱部材を介して前記インバータケースと熱的に接触する請求項1乃至4のいずれか1項に記載のモータ。
前記電源ブロックは、前記駆動ブロック及び前記制御ブロックと離間され、前記電源ブロックの前記発熱素子が前記インバータケースに熱的に接触している請求項1に記載のモータ。
前記ポンプカバーの任意の位置に前記オイルを吸入する吸入口が設けられ、前記ポンプカバーにおける前記中心軸に対して前記吸入口の位置とは反対側に前記オイルを吐出する吐出口が設けられ、かつ前記高発熱素子を含むブロックは前記中心軸より前記吸入口側に配置されることを特徴とする請求項19に記載の電動オイルポンプ。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。また、以下の図面においては、各構成をわかり易くするために、実際の構造と各構造における縮尺及び数等を異ならせる場合がある。
【0010】
また、図面においては、適宜3次元直交座標系としてXYZ座標系を示す。XYZ座標系において、Z軸方向は、
図1に示す中心軸Jの軸方向と平行な方向とする。X軸方向は、
図1に示すインバータカバー72の天板部72aの延びる方向と平行な方向、すなわち、
図1の左右方向とする。Y軸方向は、X軸方向とZ軸方向との両方と直交する方向とする。
【0011】
また、以下の説明においては、Z軸方向の正の側(+Z側)を「フロント側」と呼び、Z軸方向の負の側(−Z側)を「リア側」と呼ぶ。なお、リア側及びフロント側とは、単に説明のために用いられる名称であって、実際の位置関係及び方向を限定しない。また、特に断りのない限り、中心軸Jに平行な方向(Z軸方向)を単に「軸方向」と呼び、中心軸Jを中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、中心軸Jを中心とする周方向、すなわち、中心軸Jの軸周り(θ方向)を単に「周方向」と呼ぶ。
【0012】
なお、本明細書において、「熱的に接触する」とは、対象となる部材同士が直接接触する場合だけでなく、上記部材間に熱伝導に関与する部材を介在させた場合も含む。また、本明細書において、「軸方向に延びる」とは、厳密に軸方向(Z軸方向)に延びる場合に加えて、軸方向に対して、45°未満の範囲で傾いた方向に延びる場合も含む。また、本明細書において、「径方向に延びる」とは、厳密に径方向、すなわち、軸方向(Z軸方向)に対して垂直な方向に延びる場合に加えて、径方向に対して、45°未満の範囲で傾いた方向に延びる場合も含む。
【0013】
[第1実施形態]
<全体構成>
図1は、本実施形態の電動オイルポンプを示す断面図である。
本実施形態の電動オイルポンプ10は、モータ部20と、ポンプ部30と、モータ駆動部70とを有する。モータ部20とポンプ部30とモータ駆動部70とは、軸方向に沿って並べて設けられる。
モータ部20は、軸方向に延びる中心軸Jを中心として回転可能に支持されたシャフト41を有し、シャフト41を回転させてポンプを駆動する。ポンプ部30は、モータ部20のフロント側(+Z側)に位置し、モータ部20によってシャフト41を介して駆動され、オイルを吐出する。モータ駆動部70は、ポンプ部30のフロント側(+Z側)に位置し、モータ部20の駆動を制御する。
以下、構成部材毎に詳細に説明する。
【0014】
<モータ部20>
モータ部20は、
図1に示すように、ハウジング21と、ロータ40と、シャフト41と、ステータ50と、ベアリング55と、を有する。
【0015】
モータ部20は、例えば、インナーロータ型のモータであり、ロータ40がシャフト41の外周面に固定され、ステータ50がロータ40の径方向外側に位置する。また、ベアリング55は、シャフト41の軸方向リア側(−Z側)端部に配置され、シャフト41を回転可能に支持する。
【0016】
(ハウジング21)
ハウジング21は、
図1に示すように、有底の薄肉円筒状であり、底面部21aと、ステータ保持部21bと、ポンプボディ保持部21cと、側壁部21dと、フランジ部24,25と、を有する。底面部21aは、有底部分をなし、ステータ保持部21b及びポンプボディ保持部21c及び側壁部21dは、中心軸Jを中心とする円筒形状の側壁面をなす。本実施形態においては、ステータ保持部21bの内径は、ポンプボディ保持部21cの内径よりも大きい。ステータ保持部21bの内側面には、ステータ50の外側面、すなわち、後述するコアバック部51の外側面が嵌め合わされる。これにより、ハウジング21にステータ50が収容される。フランジ部24は、側壁部21dのフロント側(+Z側)の端部から径方向外側に拡がる。一方、フランジ部25は、ステータ保持部21bのリア側(−Z側)の端部から径方向外側に拡がる。フランジ部24及びフランジ部25は、互いに対向され、図示しない締結手段によって締結される。これにより、ハウジング21内にモータ部20及びポンプ部30がシールして固定される。
ハウジング21の材質としては、例えば、亜鉛−アルミニウム−マグネシウム系合金等を用いることができ、具体的には、溶融亜鉛−アルミニウム−マグネシウム合金めっき鋼板及び鋼帯を用いることができる。また、底面部21aには、ベアリング55を保持するためのベアリング保持部56が設けられる。
【0017】
(ロータ40)
ロータ40は、ロータコア43と、ロータマグネット44と、を有する。ロータコア43は、シャフト41を軸周り(θ方向)に囲んで、シャフト41に固定される。ロータマグネット44は、ロータコア43の軸周り(θ方向)に沿った外側面に固定される。ロータコア43及びロータマグネット44は、シャフト41と共に回転する。
【0018】
(ステータ50)
ステータ50は、ロータ40を軸周り(θ方向)に囲み、ロータ40を中心軸J周りに回転させる。ステータ50は、コアバック部51と、ティース部52と、コイル53と、ボビン(インシュレータ)54と、を有する。
【0019】
コアバック部51の形状は、シャフト41と同心の円筒状である。ティース部52は、コアバック部51の内側面からシャフト41に向かって延びる。ティース部52は、複数設けられ、コアバック部51の内側面の周方向に均等な間隔で配置される。コイル53は、ボビン(インシュレータ)54の周囲に設けられ、導電線53aが巻回されてなる。ボビン(インシュレータ)54は、各ティース部52に装着される。
【0020】
(ベアリング55)
ベアリング55は、ロータ40及びステータ50のリア側(−Z側)に配置され、ベアリング保持部56に保持される。ベアリング55は、シャフト41を支持する。ベアリング55の形状、構造等は、特に限定されず、いかなる公知のベアリングも用いることができる。
【0021】
<ポンプ部30>
ポンプ部30は、モータ部20の軸方向一方側、詳細にはフロント側(+Z軸側)に設けられる。ポンプ部30は、モータ部20と同一の回転軸を有し、モータ部20によってシャフト41を介して駆動される。ポンプ部30は、密閉された空間(油室)の容積が拡大および縮小されることでオイルを圧送する容積型ポンプを有する。容積型ポンプとしては、例えば、トロコイドポンプが用いられる。ポンプ部30は、ポンプボディ31と、ポンプカバー32と、ポンプロータ35とを有する。なお、以下では、ポンプボディ31及びポンプカバー32をポンプケースとも記載する。
【0022】
(ポンプボディ31)
ポンプボディ31は、モータ部20のフロント側(+Z軸側)に位置する。ポンプボディ31は、ポンプボディ本体31bと、ポンプボディ本体31bの内部を中心軸Jの軸方向に沿って貫通する貫通孔31aと、ポンプボディ本体31bからフロント側(+Z軸側)に円筒状に突出する突出部31cと、を有する。突出部31cの内径は、貫通孔31aの内径よりも大きい。突出部31cとポンプボディ本体31bとによって、ポンプカバー32側に開口する凹部33をなす。貫通孔31aは、リア側(−Z側)では、モータ部20側に開口し、フロント側(+Z軸側)では凹部33に開口する。貫通孔31aは、シャフト41が挿入され、シャフト41を回転可能に支持する軸受部材として機能する。凹部33は、ポンプロータ35が収容され、ポンプ室として機能する(以下、ポンプ室33とも記載する)。
【0023】
ポンプボディ31は、モータ部20のフロント側(+Z軸側)において、ポンプボディ保持部21c内に固定される。ポンプボディ本体31bの外周面とポンプボディ保持部21cの内周面との径方向の間にはOリング61が設けられる。これにより、ポンプボディ31の外周面とハウジング21の内周面との径方向の間がシールされる。
【0024】
ポンプボディ31の材質としては、例えば、鋳鉄等を用いることができる。
【0025】
(ポンプロータ35)
ポンプロータ35は、シャフト41のフロント側(+Z軸側)の端部に取り付けられ、ポンプ室33に収容される。ポンプロータ35は、シャフト41に取り付けられるインナーロータ37と、インナーロータ37の径方向外側を囲むアウターロータ38と、を有する。
【0026】
インナーロータ37は、径方向外側面に歯を有する円環状の歯車である。インナーロータ37は、その内側にシャフト41のフロント側(+Z軸側)の端部が圧入されることによって、シャフト41に固定される。インナーロータ37は、シャフト41と共に軸周り(θ方向)に回転する。
【0027】
アウターロータ38は、インナーロータ37の径方向外側を囲み、径方向内側面に歯を有する円環状の歯車である。アウターロータ38は、ポンプ室33に回転自在に収容される。アウターロータ38には、インナーロータ37を収容するインナー収容室(不図示)が、例えば、星形状に形成される。アウターロータ38の内歯数は、インナーロータ37の外歯数より多い。
【0028】
インナーロータ37とアウターロータ38とは互いに噛み合い、シャフト41によりインナーロータ37が回転すると、インナーロータ37の回転に伴いアウターロータ38が回転する。インナーロータ37とアウターロータ38とが回転することで、インナーロータ37とアウターロータ38との間に形成された空間の容積が、その回転位置に応じて変化する。ポンプロータ35は、容積変化を利用することで、後述する吸入ポート32cからオイルを吸入し、吸入したオイルを加圧して吐出ポート32dから吐出する。本実施形態では、インナーロータ37とアウターロータ38との間に形成された空間において、容積が増加する(即ち、オイルが吸入される)領域を負圧領域とする。
【0029】
(ポンプカバー32)
ポンプカバー32は、ポンプボディ31のフロント側(+Z軸側)に取り付けられる。ポンプカバー32は、ポンプカバー本体32aと、フランジ部32bと、吸入ポート32cと、吐出ポート32dと、吸入口32eと、吐出口32fと、を有する。
ポンプカバー32は、通常、アルミニウム合金などの金属が用いられ、熱容量が大きく、表面積が大きいため、放熱効果が高い。また、ポンプカバー32の内部を一定温度(例えば、120℃)以下の油が流れるため、ポンプカバー32の温度上昇が抑えられる。
【0030】
ポンプカバー本体32aは、径方向に延びる円板型の形状を有する。ポンプカバー本体32aは、凹部33のフロント側(+Z軸側)の開口を閉塞する。フランジ部32bは、ポンプカバー本体32aのフロント側(+Z軸側)の外縁において径方向に延びる。ポンプカバー32の外径は、フランジ部32bを有することにより、ポンプボディ31の突出部31cの外径よりも大きい。
【0031】
吸入ポート32cは、ポンプロータ35からフロント側(+Z軸側)に見た場合、三日月形状の溝である。吸入ポート32cは、インナーロータ37とアウターロータ38との間に形成された空間の容積が増大するに従い、容積の増大に連動した程度でポンプロータ35と連通する。同様に、吐出ポート32dもポンプロータ35からフロント側(+Z軸側)に見た場合、三日月形状の溝である。吐出ポート32dは、インナーロータ37とアウターロータ38との間に形成された空間の容積が減少するに従い、容積の減少に連動した程度でポンプロータ35と連通する。
【0032】
吸入口32eは、吸入ポート32cからポンプカバー本体32a内を−X側(図中左側)に向かって延び、外部と連通する。他方、吐出口32fは、吐出ポート32dからポンプカバー本体32a内をX側(図中右側)に向かって延び、外部と連通する。吸入口32e及び吐出口32fは、それぞれ吸入ポート32c、吐出ポート32dを経由してポンプロータ35と繋がる。これにより、ポンプロータ35へのオイルの吸入およびポンプロータ35からのオイルの吐出が可能である。詳細には、ポンプロータ35の回転によりポンプ室に発生する負圧により、オイルパン(不図示)に貯留されたオイルが吸入口32eから吸入ポート32cを経由して、ポンプ室の内部に吸入される。吸入したオイルは、加圧領域から吐出ポート32dを経由して吐出口32fへ吐出される。
なお、本実施形態では、吸入ポート32c、吐出ポート32d、吸入口32e及び吐出口32fがポンプカバー32に設けられているが、これらの一部又は全部をポンプボディ31に設けることもできる。
【0033】
<モータ駆動部70>
図2は、本実施形態に係るモータ駆動部を示す拡大断面図である。
モータ駆動部70は、ポンプカバー32のフロント側(+Z側)に設けられ、モータ部20の駆動を制御する。モータ駆動部70は、インバータハウジング71と、インバータカバー72と、インバータ回路80と、を有する。
【0034】
(インバータハウジング71)
インバータハウジング71は、ハウジング本体71aと、側壁面71bと、コネクタ部71cと、を有する。
【0035】
ハウジング本体71aは、後述するインバータ回路80が配置される底面となる。
側壁面71bは、ハウジング本体71aの両端部からフロント側(+Z軸側)に突出する。側壁面71bは、ハウジング本体71aと相まってフロント側(+Z側)に開口部を有する凹部をなす。インバータ回路80は、インバータハウジング71の凹部に収容される。
【0036】
コネクタ部71cは、側壁面71bの一部から例えば、径方向の+X側(図中右側)に突出する。コネクタ部71cは、径方向の+X側(図中右側)に開口する電源用開口を有する。電源用開口には、インバータ回路80に電源を供給するためのコネクタが突出して設けられる(不図示)。コネクタ部71cには、図示しない外部電源が接続される。
【0037】
(インバータカバー72)
インバータカバー72は、ポンプカバー32のフロント側(+Z側)で、ハウジング本体71a及び側壁面71bを覆うように設けられる。即ち、インバータカバー72によりインバータハウジング71の凹部に蓋がされる。インバータカバー72は、天板部72aと、側壁面72bと、鍔部72cと、を有する。
【0038】
天板部72aは、側壁面71bのフロント側(+Z側)端部の頂面に接して径方向に延びる。
側壁面72bは、インバータハウジング71の側壁面71bの径方向外側の面に接して設けられる。
【0039】
鍔部72cは、側壁面72bのリア側(−Z側)の端部から径方向に延びる。鍔部72cのリア側(−Z側)の端面は、ポンプカバー32のフランジ部32bのフロント側(+Z側)の面と接触する(
図1参照)。インバータカバー72の鍔部72cとポンプカバー32のフランジ部32bとをボルト及びナット等の締結手段73によって締結することによって、インバータカバー72がポンプカバー32に固定される。
【0040】
なお、インバータハウジング71の側壁面71bの外側面とインバータカバー72の側壁面72bの内側面との径方向の間にはOリング75が設けられる。これにより、インバータハウジング71の外側面とインバータカバー72の内側面との径方向の間がシールされる。
【0041】
(インバータ回路80)
インバータ回路80は、回路基板に発熱素子等を実装したものであり、モータ部20のステータ50のコイル53に駆動のための電力を供給すると共に、モータ部20の駆動、回転、停止等の動作を制御する。なお、モータ駆動部70とステータ50のコイル53との間の電力供給及び電気信号による通信は、図示しない被覆ケーブル等の配線部材を用いて、モータ駆動部70とコイル53との間を電気的に接続することによって行われる。
【0042】
本実施形態では、インバータ回路80は、回路基板81に高発熱素子83a,83bが実装されたブロック83と、回路基板81に中発熱素子84aが実装されたブロック84と、回路基板82に小発熱素子85a,85bが実装されたブロック85と、を有する。ブロック83及びブロック84は、回路基板81を共有しており、回路基板81は、インバータハウジング71のハウジング本体71aに絶縁を確保した上で直接設けられる。ブロック85では、回路基板81のフロント側(+Z側)に設けられた別の回路基板82を用いており、回路基板82に実装された小発熱素子85a,85bがインバータカバー72の天板部72aと直接接触する。
【0043】
回路基板81及び回路基板82は、配線88によって相互に接続される。また、回路基板81、82の表面には、図示しないプリント配線が設けられている。回路基板81、82として、例えば銅インレイ基板を用いることにより、発熱素子で発生した熱を外部に伝え易くなり、冷却効率が向上するため好ましい。
【0044】
ブロック83には、発熱量の大きい高発熱素子83a,83bが回路基板81に実装される。ブロック83は、例えば、電界効果トランジスタ(MOSFET)による14V系の三相(H)ブリッジ駆動回路とすることができ、駆動ブロックとされる(以下、駆動ブロック83とも記載する)。14V系の三相(H)ブリッジ駆動回路は、PWM(パルス幅変調: pulse width modulation)信号等のノイズ発生源となり得る。なお、高発熱素子は回路基板81に1つ、又は3つ以上実装されていても良い。
【0045】
ブロック84には、高発熱素子83a,83bよりも発熱量の小さい中発熱素子84aが回路基板81に実装される。ブロック84は、例えば、インダクタ、キャパシタを有する14V系の電源回路とすることができ、電源ブロックとされる(以下、電源ブロック84とも記載する)。なお、本実施形態では、ブロック83とブロック84において、共通の回路基板81を用いたが、異なる回路基板を用いても勿論構わない。また、中発熱素子は2つ以上回路基板81に実装されていても良い。
【0046】
ブロック85には、中発熱素子84よりも発熱量の小さい小発熱素子85a,85bが回路基板82に実装される。ブロック85は、例えば、マイコン等の5V系の制御回路とすることができ、制御ブロックとされる(以下、制御ブロック85とも記載する)。制御ブロックは、ノイズの影響を受け易く、また、他のブロック間との信号干渉等により、誤動作を生じ易い。
【0047】
本実施形態において、制御ブロック85は、駆動ブロック83(即ち、PWM信号等のノイズ発生源となり得る高発熱素子83a,83bが実装される)の回路基板81とは異なる回路基板82が用いられ、かつ駆動ブロック83よりもフロント側(+Z側)の離間された場所に配置される。また、中発熱素子84aが実装された電源ブロック84の回路基板81とも異なる回路基板82が用いられ、かつ電源ブロック84よりもフロント側(+Z側)の離間された場所に配置される。
このため、制御ブロック85においては、PWM信号等のノイズによる誤動作を受けにくく、他のブロック間との信号干渉等による信号品質の劣化も生じにくくなる。しかも、小発熱素子85a,85bよりも発熱量の多い高発熱素子83a,83b及び中発熱素子84aによる熱による影響も受けにくい。
また、制御ブロック85の小発熱素子85a,85bがインバータカバー72の天板部72aと直接接触することにより、小発熱素子85a,85bで生じた発熱をインバータカバー72から放熱することができる。
【0048】
一方、駆動ブロック83及び電源ブロック84においては、高発熱素子83a,83b及び中発熱素子84aが実装された回路基板81がインバータハウジング71のハウジング本体71aに絶縁を確保した上で直接設けられる。このため、高発熱素子83a,83b及び中発熱素子84aによる発熱は、回路基板81を介してインバータハウジング71へと放熱される。
【0049】
<本実施形態の作用>
(電動オイルポンプの動作)
図1を参照して、まず、電動オイルポンプ10を作動させたときの動作について説明する。
【0050】
本実施形態の電動オイルポンプ10においては、まず、コネクタ部71cを介して接続される外部電源からモータ駆動部70に電源が供給される。これにより、モータ駆動部70から図示しない被覆ケーブル等の配線部材を介してステータ50のコイル53に駆動電流が供給される。コイル53に駆動電流が供給されると、磁場が発生し、この磁場によってロータ40のうち、ロータコア43及びロータマグネット44がシャフト41と共に回転する。このようにして、電動オイルポンプ10は、回転駆動力を得る。
【0051】
ステータ50のコイル53に供給される駆動電流は、モータ駆動部70におけるインバータ回路80の発熱素子であるパワーIC及び回路部品等によって制御される。具体的には、モータ駆動部70は、図示しない回転センサによってセンサマグネット(不図示)の磁束の変化を検出することで、ロータ40の回転位置を検出する。モータ駆動部70のインバータ回路80は、ロータ40の回転位置に応じたモータ駆動信号を出力し、ステータ50のコイル53に供給される駆動電流を制御する。このようにして、本実施形態の電動オイルポンプ10の駆動が制御される。
【0052】
モータ駆動部70からコイル53に電力が供給されると、コイル53に印加されて回転磁界が生じることによりロータコア43及びロータマグネット44が回転する。ロータ40の回転はシャフト41を介してポンプロータ35のインナーロータ37に伝達され、インナーロータ37が回転する。これにより、吸入ポート32cに対向するポンプ室33においては負圧が発生する。
【0053】
(オイルの流れ)
次に、オイルの流れについて説明する。電動オイルポンプ10の吸入口32eは、オイルが貯留されているオイルパン(不図示)と流通管(不図示)で繋がっており、流通管のオイルパン側先端はオイルの中に浸漬される。電動オイルポンプ10のインナーロータ37が回転することで発生する負圧により、オイルパンに貯留されたオイルが吸入口32eを通って電動オイルポンプ10の内部に入り、吸入ポート32cに到達する。吸入ポート32cからポンプ室33内に吸入されたオイルは吐出ポート32dに圧送され、吐出ポート32dから吐出口32fへと吐出される。吐出されたオイルは、不図示のトランスミッションの内部に供給される。供給されたオイルで当該箇所に油圧を発生させ、その後、還流されて再びオイルパンに貯留される。
【0054】
<本実施形態の効果>
(1)本実施形態では、
図2に示すインバータ回路80のブロック85において、ブロック83及びブロック84の回路基板81とは異なる回路基板82が用いられ、ブロック83、ブロック84よりもフロント側(+Z側)の離間された場所に配置される。
また、本実施形態では、ブロック85にマイコン等の例えば5V系の制御回路が配置されて制御ブロックとされ、ブロック83に例えば14V系の三相(H)ブリッジ駆動回路が配置されて駆動ブロックとされ、ブロック84にインダクタ、キャパシタを有する例えば14V系の電源回路が配置されて電源ブロックとされる。
【0055】
このため、制御ブロック85における制御回路は、駆動ブロック83に配置される三相(H)ブリッジ駆動回路に起因するPWM信号等のノイズによる誤動作を受けにくくなる。また、制御ブロック85における制御回路は、駆動ブロック83及び電源ブロック84のような他のブロック間との信号干渉等による信号品質の劣化も生じにくくなる。
【0056】
また、制御ブロック85には、例えば5V系の制御回路が配置される一方、駆動ブロック83及び電源ブロック84にはそれぞれ例えば14V系の三相(H)ブリッジ駆動回路、例えば14V系の電源回路が配置される。即ち、14V電圧系は回路基板81に実装し、5V電圧系は回路基板82に実装して電圧レベル毎に配置をまとめている。このため、電源電圧との配線、制御が容易となる。
【0057】
さらに、本実施形態では、素子の発熱量によって高発熱素子、中発熱素子、小発熱素子の3種類に分類して、発熱系毎に異なるブロックとされる。このため、小発熱素子85a,85bが配置されるブロック85は、高発熱素子83a,83bが配置されるブロック83及び中発熱素子84aが配置されるブロック84からの熱による影響も受けにくい。
【0058】
このように、インバータ回路80を機能毎、電源系毎、発熱系毎に分けることにより、ノイズによる誤動作、他のブロック間との相互干渉による信号品質の劣化、電源電圧の配線の複雑さ、発熱素子からの直接熱伝導による影響を低減することができる。
【0059】
(2)本実施形態では、インバータハウジング71をポンプカバー32のフロント側(+Z側)に配置し、回路基板81をインバータハウジング71に絶縁を確保した上で直接接触させている。さらに、ポンプ部30において吸入口32eから吐出口32fへとオイルの流動経路を作り、ポンプカバー32内に一定温度(例えば、120℃)以下のオイルが流される。
このため、回路基板81に実装された高発熱素子83a,83b及び中発熱素子84aで発生した熱がインバータハウジング71及びポンプカバー32を介して効果的に冷却され、昇温が抑制される。
【0060】
また、本実施形態では、
図1に示す通り、高発熱素子83a,83bが中発熱素子84aよりも、中心軸Jより径方向の−X側(図中左側)に配置される。即ち、中心軸Jより径方向の−X側(図中左側)は、吸入口32eに近い位置にある。このため、ポンプカバー32内のオイルの移動により素子の放熱に伴うオイルの温度が上がる前の低い温度(例えば、120℃)のオイルにて冷却することができる。従って、高発熱素子83a,83bの冷却を効果的に実現することができる。
【0061】
さらに、回路基板82に実装された小発熱素子85a,85bをインバータカバー72の天板部72aに直接接触させている。このため、小発熱素子85a,85bで生じた発熱をインバータカバー72から放熱することができる。
【0062】
このように、本実施形態では、素子の発熱量によって高発熱素子、中発熱素子、小発熱素子の3種類に分類して、発熱量毎に異なるブロックとされる。このため、それぞれ異なる放熱経路により放熱されるため、インバータ回路80全体として冷却効率を向上させることができる。
【0063】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係るモータ駆動部について説明する。第1実施形態に係るモータ駆動部70では、インバータ回路80の回路基板81がインバータハウジング71のハウジング本体71aに絶縁を確保した上で直接接触する。しかし、本実施形態では、放熱部材を用いて熱的に接触する。以下、第1実施形態との差異を中心に説明する。また、本実施形態に係るモータ駆動部では、第1実施形態に係るモータ駆動部と同一構成のものには同一の符号を付し、説明を省略する。
【0064】
図3は、第2実施形態に係るモータ駆動部を示す拡大断面図である。
本実施形態に係るモータ駆動部70では、回路基板81とハウジング本体71aとの間に、熱伝導に関与する放熱部材86が設けられる。また、小発熱素子85a,85bとインバータカバー72の天板部72aとの間に、熱伝導に関与する放熱部材86が設けられる。
【0065】
放熱部材86としては、例えば、シリコーンゴム等の熱伝導率の高い熱硬化性樹脂、放熱シート、放熱ゲル等を用いることができる。熱硬化性樹脂を使用する場合、例えば、ハウジング本体71aに樹脂を塗布した後、回路基板81を樹脂に圧接してハウジング本体71aに組み付け、樹脂を硬化させる。これにより、インバータハウジング71に回路基板81を容易に設けることができる。
【0066】
本実施形態では、放熱部材86を用いることにより、インバータ回路80の回路基板81をハウジング本体71aにより確実に接触させることができるため、回路基板81の冷却効率を向上させることができる。
また、インバータ回路80の小発熱素子85a,85bと天板部72aとの間に、熱伝導に関与する放熱部材86を設けることにより、小発熱素子85a,85bを天板部72aにより確実に接触させることができる。このため、小発熱素子85a,85bの熱が効果的にインバータカバー72から外部へ放熱され、昇温が抑制される。
【0067】
なお、本実施形態では、回路基板81とハウジング本体71aとの間、及び小発熱素子85a,85bと天板部72aとの間に、放熱部材86を設けたが、どちらか一方のみに放熱部材86を設けても良い。
【0068】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態に係るモータ駆動部について説明する。第1実施形態に係るモータ駆動部70では、制御ブロック85の回路基板を他ブロックの回路基板とは異なるものとし、かつ制御ブロック85の位置を駆動ブロック83よりもフロント側(+Z側)の離間された場所に配置することにより、ノイズの影響等を低減した。しかし、本実施形態では、ノイズフィルターを用いる例を説明する。
【0069】
図4は、第3実施形態に係るモータ駆動部を示す平面図である。
本実施形態に係るモータ駆動部70では、回路基板82に実装される小発熱素子85c,85dと接続される回路95の電源供給側の一部に、ノイズフィルター93が設けられる。
【0070】
本実施形態では、制御ブロック85と他のブロックとの間にノイズフィルター93を設けることにより、制御ブロック85において、ノイズによる誤動作、他のブロック間との信号干渉等による信号品質の劣化を低減することができる。
【0071】
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態に係るモータ駆動部について説明する。第1実施形態に係るモータ駆動部70では、電源ブロック84は、駆動ブロック83と共通の回路基板81を用いた。しかし、本実施形態では、電源ブロック84において回路基板81を用いていない。以下、第1実施形態との差異を中心に説明する。また、本実施形態に係るモータ駆動部では、第1実施形態に係るモータ駆動部と同一構成のものには同一の符号を付し、説明を省略する。
【0072】
図5は、第4実施形態に係るモータ駆動部を示す拡大断面図である。
本実施形態に係るモータ駆動部70では、インダクタ、キャパシタを有する中発熱素子84aが回路基板81から離間され、放熱部材86を介してインバータハウジング71のハウジング本体71aに設けられる。また、中発熱素子84aは、配線89により回路基板81と接続される。
【0073】
本実施形態では、インダクタ、キャパシタを有する中発熱素子84aが回路基板に実装されずに放熱部材86のみを介してインバータハウジング71のハウジング本体71aに接触されるため、高発熱素子83a,83bによる発熱の影響を低減できるとともに、インバータハウジング71から効率良く放熱を行うことができる。
【0074】
[第4実施形態の変形例]
上記の第4実施形態では、中発熱素子84aが回路基板81から分離され、放熱部材86を介してハウジング本体71aに設けられる例を示した。しかし、
図6に示すように、ハウジング本体71aの一部に凹部71dを設けて、この凹部71d内に放熱部材92を介して中発熱素子84aを配置し、配線91により回路基板81と接続しても良い。
【0075】
中発熱素子84aを凹部71d内に配置することにより、中発熱素子84aに対向するハウジング本体71aの表面積が大きくなり、より放熱効果が高くなる。また、凹部71dの分だけ中発熱素子84aの軸方向の高さを小さくすることができ、モータ駆動部70全体としてのコンパクト化が可能である。中発熱素子84aを凹部71d内に直接収容することもできるが、放熱部材92を介して凹部71d内に中発熱素子84aを配置する方がより確実に接触させることができ、放熱効率が向上するため、好ましい。
【0076】
放熱部材92としては、例えば、シリコーンゴム等の熱伝導率の高い熱硬化性樹脂、放熱シート、放熱ゲル等を使用できる。熱硬化性樹脂を使用する場合、例えば、凹部71d内に適量の放熱部材92を塗布した後に、中発熱素子84aをハウジング本体71aに固定して、中発熱素子84aを凹部71dに入れるとともに、放熱部材92に圧接させる。その状態で放熱部材92を硬化させることにより、放熱部材92を凹部71d内に容易に充填することができる。また、ハウジング本体71aの表面に凹凸を形成することなどにより、その表面積を増大させて、放熱効果をより高めることもできる。
【0077】
[第5実施形態]
次に、本発明の第5実施形態に係るモータ駆動部について説明する。第1実施形態に係るモータ駆動部70では、2枚の回路基板81,82を用い、電源ブロック84は、駆動ブロック83と共通の回路基板81を用いた。しかし、本実施形態では、基板は回路基板81のみの1枚とし、かつ電源ブロック84においては回路基板81を用いていない。以下、第1実施形態との差異を中心に説明する。また、本実施形態に係るモータ駆動部では、第1実施形態に係るモータ駆動部と同一構成のものには同一の符号を付し、説明を省略する。
【0078】
図7は、第5実施形態に係るモータ駆動部を示す拡大断面図である。
本実施形態に係るモータ駆動部70では、ブロック83の高発熱素子83a,83b及びブロック85の小発熱素子85a,85bは、回路基板81を共有する。回路基板81は、インバータハウジング71のハウジング本体71aに、熱伝導に関与する放熱部材86を介して設けられる。インダクタ、キャパシタを有する中発熱素子84aは回路基板81から離間され、放熱部材86を介してインバータハウジング71のハウジング本体71aに設けられる。また、中発熱素子84aは、配線89により回路基板81と接続される。
【0079】
本実施形態では、インダクタ、キャパシタを有する中発熱素子84aが回路基板に実装されずに放熱部材86のみを介してインバータハウジング71のハウジング本体71aに接触されるため、高発熱素子83a,83bによる発熱の影響を低減できるとともに、インバータハウジング71から効率良く放熱を行うことができる。
なお、インダクタ、キャパシタを有する中発熱素子84aは、直接ハウジング本体71aに設けることもできる。
【0080】
[第5実施形態の変形例]
上記の第5実施形態では、中発熱素子84aが回路基板81から分離され、放熱部材86を介してハウジング本体71aに設けられる例を示した。しかし、
図8に示すように、ハウジング本体71aの一部に凹部71dを設けて、この凹部71d内に放熱部材92を介して中発熱素子84aを配置し、配線91により回路基板81と接続しても良い。
【0081】
中発熱素子84aを凹部71d内に配置することにより、中発熱素子84aに対向するハウジング本体71aの表面積が大きくなり、より放熱効果が高くなる。また、凹部71dの分だけ中発熱素子84aの軸方向の高さを小さくすることができ、モータ駆動部70全体としてのコンパクト化が可能である。中発熱素子84aを凹部71d内に直接収容することもできるが、放熱部材92を介して凹部71d内に中発熱素子84aを配置する方がより確実に接触させることができ、放熱効率が向上するため、好ましい。
【0082】
[第6実施形態]
次に、本発明の第6実施形態に係るモータ駆動部について説明する。第1実施形態に係るモータ駆動部70では、ブロック83及びブロック84において共通の回路基板81を用いた。しかし、本実施形態では、ブロック83及びブロック84において異なる回路基板を用いる。以下、第1実施形態との差異を中心に説明する。また、本実施形態に係るモータ駆動部では、第1実施形態に係るモータ駆動部と同一構成のものには同一の符号を付し、説明を省略する。
【0083】
図9は、第6実施形態に係るモータ駆動部を示す拡大断面図である。
本実施形態に係るモータ駆動部70では、回路基板81のフロント側(+Z側)、かつ回路基板82のリア側(−Z側)に設けられた回路基板87に中発熱素子84aが実装されて電源ブロック84をなす。即ち、本実施形態に係るインバータ回路80は、回路基板81に高発熱素子83a,83bが実装される駆動ブロック83と、駆動ブロック83よりもフロント側(+Z側)で回路基板87に中発熱素子84aが実装される電源ブロック84と、電源ブロック84よりもフロント側(+Z側)で回路基板82に小発熱素子85a,85bが実装される制御ブロック85と、を有する。また、各ブロックにおける各回路基板は配線88によって接続される。
【0084】
本実施形態では、駆動ブロック83、電源ブロック84、及び制御ブロック85を異なる基板に分けて互いに離間することにより、駆動ブロック83において生じるノイズが制御ブロック85の動作に影響を及ぼすことを低減できる。また、ブロック間同士の干渉等の影響で信号品質が劣化することを抑制できる。さらに、駆動ブロック83及び電源ブロック84において発生した熱が直接制御ブロック85に熱伝導することを抑制でき、発熱による影響を低減できる。
【0085】
[第7実施形態]
次に、本発明の第7実施形態に係るモータ駆動部について説明する。第1実施形態では、インバータハウジング71及びインバータカバー72によって形成される1つの収容部に、インバータ回路80が配置された。しかし、本実施形態では、インバータ回路80が2つの収容部に分けて配置される。以下、第1実施形態との差異を中心に説明する。また、本実施形態に係るモータ駆動部では、第1実施形態に係るモータ駆動部と同一構成のものには同一の符号を付し、説明を省略する。
【0086】
図10は、第6実施形態に係るモータ駆動部を示す拡大断面図である。
本実施形態に係るモータ駆動部70では、ハウジング本体71aのフロント側(+Z側)で、一方の側壁面71bの軸方向の中央部から径方向に延びて他方の側壁面71bに至る遮蔽部71dが設けられている。即ち、本実施形態に係るモータ駆動部70では、インバータハウジング71にインバータカバー72が取り付けられた場合、2つの収容部100,収容部110を有する。
【0087】
収容部100には、
図5に示したブロック83及びブロック84が配置される。また、収容部110には、
図5に示したブロック85が配置される。遮蔽部71dには図示しない貫通孔が形成されており、この貫通孔を通じて配線88が通され、回路基板81と回路基板82とが接続される。
【0088】
本実施形態では、制御ブロック85を駆動ブロック83及び電源ブロック84と異なる収容部に分けて互いに離間することにより、駆動ブロック83において生じるノイズが制御ブロック85の動作に影響を及ぼすことを低減できる。また、駆動ブロック83と制御ブロック85との間、及び電源ブロック84と制御ブロック85との間のブロック間同士の干渉等の影響で信号品質が劣化することを抑制できる。さらに、駆動ブロック83及び電源ブロック84において発生した熱が直接制御ブロック85に熱伝導することを抑制でき、発熱による影響をより確実に低減できる。
【0089】
なお、本実施形態では、2つの収容部100,110を設けたが、3つの収容部を設けて、駆動ブロック83、電源ブロック84及び制御ブロック85をそれぞれの収容部に配置しても良い。また、4つ以上の収容部を設けることもできる。この場合は、同じ機能ブロックをさらに複数に分割して収容部の個数と同じくし、それぞれの収容部に配置しても良い。
【0090】
また、遮蔽部71dは、ハウジング本体71a及び側壁面71bと同じ材質でも良いし、異なる材質でも良い。異なる材質の場合は、ノイズ吸収シート等のようなノイズ吸収作用のあるものを用いることができる。
【0091】
[第8実施形態]
次に、本発明の第8実施形態に係るモータ駆動部について説明する。第1実施形態から第7実施形態では、ポンプカバー32のフロント側(+Z側)にインバータハウジング71を設け、インバータハウジング71のさらにフロント側(+Z側)に、回路基板81が配置されている。しかし、本実施形態では、ポンプカバー32自体がインバータハウジング71を兼ねる。以下、第1実施形態との差異を中心に説明する。また、本実施形態に係るモータ駆動部では、第1実施形態に係るモータ駆動部と同一構成のものには同一の符号を付し、説明を省略する。
【0092】
図11は、第8実施形態に係る電動オイルポンプを示す断面図である。
本実施形態に係る電動オイルポンプ10では、ポンプカバー32のフロント側(+Z側)に絶縁を確保した上で直接回路基板81が配置され、第1実施形態と同様のインバータ回路80が設けられている。
本実施形態では、ポンプカバー32自体がインバータハウジング71を兼ねているため、部品コストを低減できるとともに、ヒートシンクによる回路基板81の冷却効果も向上させることができる。
なお、ポンプカバー32のフロント側(+Z側)に放熱部材86を介して回路基板81を設けても良い。
【0093】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態及びその変形は、発明の範囲及び要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0094】
例えば、第2実施形態から第7実施形態のいずれかと第8実施形態とを組み合わせることもできる。すなわち、第8実施形態におけるポンプカバー32自体がインバータハウジングを兼ねた構造内に、第2実施形態から第6実施形態におけるインバータ回路80の構造を適用することもできる。
また、上記実施形態では、駆動ブロック83に高発熱素子83a,83bが設けられ、電源ブロック84に中発熱素子84aが設けられ、制御ブロック85に小発熱素子85a,85bが設けられた例を示したが、各ブロックにおいて、異なる区分の発熱素子を一部含んでいても良い。
【0095】
さらに、上記実施形態では、吐出口32fをポンプカバー32に設けた例を示したが(
図1参照)、ポンプカバー32に設ける代わりに、ハウジング21の底面部21aもしくは側壁部21dに吐出口を設けることもできる。この場合、シャフト41とポンプボディ31との軸方向間隙は、ポンプ部30からモータ部20へとオイルを送出する送出口としての役割を果たす。
【0096】
このような変形例によれば、貫通孔31aにおいて、ポンプ部30から流入するオイルを潤滑油として使用することが可能となり、貫通孔31aは、シャフト41を回転可能に支持するすべり軸受部材として機能する。また、送出口を別途設けなくとも、オイルを効率よくモータ部20内へ送出できる。
【0097】
なお、シャフト41の外周面またはポンプボディ31の内周面の少なくとも一方に切り欠き部を設けてもよい。これにより、オイルがシャフト41とポンプボディ31の間を通る場合に、流路抵抗が小さくなり、ポンプ部30からモータ部20へより効率的にオイルを送出することができる。
【0098】
また、ポンプボディ31において、上記のすべり軸受構造に加えて、さらにベアリングを用いることもできる。この場合、オイルは、ベアリングの内部を通過しても良く、シャフト41とベアリングとの間を通過しても良い。