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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-148943(P2018-148943A)
(43)【公開日】2018年9月27日
(54)【発明の名称】医療用内視鏡システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/06 20060101AFI20180831BHJP
   A61B 1/00 20060101ALI20180831BHJP
   G02B 23/24 20060101ALI20180831BHJP
【FI】
   A61B1/06 510
   A61B1/00 R
   A61B1/00 522
   G02B23/24 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-45354(P2017-45354)
(22)【出願日】2017年3月9日
(71)【出願人】
【識別番号】313009556
【氏名又は名称】ソニー・オリンパスメディカルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 素明
(72)【発明者】
【氏名】内村 澄洋
【テーマコード(参考)】
2H040
4C161
【Fターム(参考)】
2H040BA15
2H040CA09
2H040CA11
2H040CA12
2H040CA23
2H040GA02
4C161BB06
4C161CC03
4C161CC06
4C161DD01
4C161GG01
4C161LL01
4C161LL08
4C161QQ07
4C161SS21
(57)【要約】
【課題】立体視に必要な照明光の光量を確保することができる医療用内視鏡システムを提供する。
【解決手段】先端部が生体内に挿入され、該先端部から生体を照明するとともに、生体からの光を集光して互いに視差を有する2つの撮像信号をそれぞれ生成する撮像装置と、生体を照明する第1および第2照明光をそれぞれ発生して撮像装置に供給する第1および第2光源部と、撮像装置からの2つの撮像信号をもとに表示用画像信号を生成する表示用画像生成部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体内に挿入されて前記生体内を撮像する医療用内視鏡システムであって、
先端部が前記生体内に挿入され、該先端部から前記生体を照明するとともに、前記生体からの光を集光して互いに視差を有する2つの撮像信号をそれぞれ生成する撮像装置と、
前記生体を照明する第1および第2照明光をそれぞれ発生して前記撮像装置に供給する第1および第2光源部と、
前記撮像装置からの前記2つの撮像信号をもとに表示用画像信号を生成する表示用画像生成部と、
を備えたことを特徴とする医療用内視鏡システム。
【請求項2】
前記第1光源部と、前記表示用画像生成部とを有し、前記第1光源部および前記撮像装置を制御する第1制御装置と、
前記第2光源部を有し、前記第1制御装置と通信可能に接続され、前記第2光源部および前記撮像装置を制御する第2制御装置と、
を備え、
前記第1および第2制御装置は、少なくとも一部の制御を同期して行うことを特徴とする請求項1に記載の医療用内視鏡システム。
【請求項3】
前記第1および第2制御装置と前記撮像装置とをそれぞれ接続し、前記第1および第2照明光を前記撮像装置に伝播する第1および第2ライトガイドケーブルを備え、
前記撮像装置は、
前記第1および第2ライトガイドケーブルの端部をそれぞれ装着する第1および第2装着部と、
前記第1および第2装着部にそれぞれ接続し、前記第1および第2照明光を伝播して外部に照射する第1および第2照明光学系と、
を有することを特徴とする請求項2に記載の医療用内視鏡システム。
【請求項4】
前記撮像装置は、
前記生体内に挿入され、前記生体からの光を集光する硬性鏡を有し、
前記硬性鏡は、
前記第1および第2照明光学系と、
前記生体からの光をそれぞれ集光する第1および第2集光光学系と、
前記第1および第2照明光学系ならびに前記第1および第2集光光学系を収容するとともに、前記第1および第2装着部が設けられてなる挿入管と、
を含むことを特徴とする請求項3に記載の医療用内視鏡システム。
【請求項5】
前記撮像装置は、
前記生体内に挿入され、前記生体からの光を集光する硬性鏡と、
前記第1および第2装着部が設けられてなり、前記硬性鏡が集光した光を用いて前記2つの撮像信号を生成するカメラヘッドと、
を有し、
前記硬性鏡は、
前記第1および第2照明光学系と、
前記生体からの光をそれぞれ集光する第1および第2集光光学系と、
前記第1および第2照明光学系ならびに前記第1および第2集光光学系を収容してなる挿入管と、
を含むことを特徴とする請求項3に記載の医療用内視鏡システム。
【請求項6】
前記第1および第2集光光学系は、前記挿入管の先端部で前記挿入管の中心軸に対して対称な位置に設けられた第1および第2対物光学系をそれぞれ有し、
前記第1および第2照明光学系は、前記挿入管の先端部で前記挿入管の中心軸に対して対称な位置に設けられた第1および第2照明レンズをそれぞれ有することを特徴とする請求項4または5に記載の医療用内視鏡システム。
【請求項7】
前記第1および第2照明レンズは、前記第1および第2照明光の配光角をそれぞれ狭くして照射することを特徴とする請求項6に記載の医療用内視鏡システム。
【請求項8】
前記第1制御装置による前記第1照明光の光量制御と、前記第2制御装置による前記第2照明光の光量制御とを独立に行うことを特徴とする請求項7に記載の医療用内視鏡システム。
【請求項9】
前記第1および第2制御装置にそれぞれ接続し、前記第1および第2光源部がそれぞれ発生した前記第1および第2照明光を伝播する第1および第2ライトガイドケーブルと、
前記第1および第2ライトガイドケーブルに接続し、前記第1および第2照明光を合成する照明光合成部と、
前記照明光合成部と前記撮像装置とを接続し、前記照明光合成部が合成した合成照明光を前記撮像装置に伝播する第3ライトガイドケーブルと、
を備えたことを特徴とする請求項2に記載の医療用内視鏡システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用内視鏡システムに関する。
【背景技術】
【0002】
医療用の内視鏡システムにおいて、立体視による観察の需要が高まってきている。従来、立体視用の内視鏡システムとして種々の方式が知られている。例えば、特許文献1には、左目用および右目用の光学系を有する硬性鏡と、各光学系が集光した光をもとに左目用画像信号および右目用画像信号をそれぞれ撮像する2つの撮像部と、を備えた立体視用の内視鏡システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2013/031512号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
互いに同じ径を有する立体視用の硬性鏡と平面視用の硬性鏡とを比較すると、立体視用の硬性鏡は2つの光学系を有しているため、各光学系の口径は平面視用の硬性鏡が有する光学系の口径よりも小さい。また、一般に径が等しい硬性鏡の先端から生体に向けて照射する照明光の光量はほぼ等しいため、立体視用の硬性鏡の2つの光学系の各々が取り込む光量は、同じ径を有する平面視用の硬性鏡の光学系が取り込む光量よりも少ない。したがって、立体視用の内視鏡システムでは、照明光の光量が不足する場合があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、立体視に必要な照明光の光量を確保することができる医療用内視鏡システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る医療用内視鏡システムは、生体内に挿入されて前記生体内を撮像する医療用内視鏡システムであって、先端部が前記生体内に挿入され、該先端部から前記生体を照明するとともに、前記生体からの光を集光して互いに視差を有する2つの撮像信号をそれぞれ生成する撮像装置と、前記生体を照明する第1および第2照明光をそれぞれ発生して前記撮像装置に供給する第1および第2光源部と、前記撮像装置からの前記2つの撮像信号をもとに表示用画像信号を生成する表示用画像生成部と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
本発明に係る医療用内視鏡システムは、上記発明において、前記第1光源部と、前記表示用画像生成部とを有し、前記第1光源部および前記撮像装置を制御する第1制御装置と、前記第2光源部を有し、前記第1制御装置と通信可能に接続され、前記第2光源部および前記撮像装置を制御する第2制御装置と、を備え、前記第1および第2制御装置は、少なくとも一部の制御を同期して行うことを特徴とする。
【0008】
本発明に係る医療用内視鏡システムは、上記発明において、前記第1および第2制御装置と前記撮像装置とをそれぞれ接続し、前記第1および第2照明光を前記撮像装置に伝播する第1および第2ライトガイドケーブルを備え、前記撮像装置は、前記第1および第2ライトガイドケーブルの端部をそれぞれ装着する第1および第2装着部と、前記第1および第2装着部にそれぞれ接続し、前記第1および第2照明光を伝播して外部に照射する第1および第2照明光学系と、を有することを特徴とする。
【0009】
本発明に係る医療用内視鏡システムは、上記発明において、前記撮像装置は、前記生体内に挿入され、前記生体からの光を集光する硬性鏡を有し、前記硬性鏡は、前記第1および第2照明光学系と、前記生体からの光をそれぞれ集光する第1および第2集光光学系と、前記第1および第2照明光学系ならびに前記第1および第2集光光学系を収容するとともに、前記第1および第2装着部が設けられてなる挿入管と、を含むことを特徴とする。
【0010】
本発明に係る医療用内視鏡システムは、上記発明において、前記撮像装置は、前記生体内に挿入され、前記生体からの光を集光する硬性鏡と、前記第1および第2装着部が設けられてなり、前記硬性鏡が集光した光を用いて前記2つの撮像信号を生成するカメラヘッドと、を有し、前記硬性鏡は、前記第1および第2照明光学系と、前記生体からの光をそれぞれ集光する第1および第2集光光学系と、前記第1および第2照明光学系ならびに前記第1および第2集光光学系を収容してなる挿入管と、を含むことを特徴とする。
【0011】
本発明に係る医療用内視鏡システムは、上記発明において、前記第1および第2集光光学系は、前記挿入管の先端部で前記挿入管の中心軸に対して対称な位置に設けられた第1および第2対物光学系をそれぞれ有し、前記第1および第2照明光学系は、前記挿入管の先端部で前記挿入管の中心軸に対して対称な位置に設けられた第1および第2照明レンズをそれぞれ有することを特徴とする。
【0012】
本発明に係る医療用内視鏡システムは、上記発明において、前記第1および第2照明レンズは、前記第1および第2照明光の配光角をそれぞれ狭くして照射することを特徴とする。
【0013】
本発明に係る医療用内視鏡システムは、上記発明において、前記第1制御装置による前記第1照明光の光量制御と、前記第2制御装置による前記第2照明光の光量制御とを独立に行うことを特徴とする。
【0014】
本発明に係る医療用内視鏡システムは、上記発明において、前記第1および第2制御装置にそれぞれ接続し、前記第1および第2光源部がそれぞれ発生した前記第1および第2照明光を伝播する第1および第2ライトガイドケーブルと、前記第1および第2ライトガイドケーブルに接続し、前記第1および第2照明光を合成する照明光合成部と、前記照明光合成部と前記撮像装置とを接続し、前記照明光合成部が合成した合成照明光を前記撮像装置に伝播する第3ライトガイドケーブルと、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、立体視に必要な照明光の光量を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本発明の実施の形態1に係る医療用内視鏡システムの概略構成を示す図である。
図2図2は、本発明の実施の形態1に係る医療用内視鏡システムが備える硬性鏡およびカメラヘッドの内部構成を示す図である。
図3図3は、本発明の実施の形態1に係る医療用内視鏡システムが備える硬性鏡の内部構成および照明光の照射領域を示す図である。
図4図4は、本発明の実施の形態1に係る医療用内視鏡システムが備える硬性鏡の先端部の構成を示す図である。
図5図5は、本発明の実施の形態1の変形例に係る医療用内視鏡システムが備える硬性鏡の先端部の構成を示す図である。
図6図6は、本発明の実施の形態2に係る医療用内視鏡システムが備える硬性鏡の内部構成および照明光の照射領域を示す図である。
図7図7は、本発明の実施の形態3に係る医療用内視鏡システムの概略構成を示す図である。
図8図8は、本発明の実施の形態3に係る医療用内視鏡システムが備える硬性鏡の挿入管の先端部の構成を示す図である。
図9図9は、本発明の実施の形態4に係る医療用内視鏡システムの構成を示す図である。
図10図10は、本発明の実施の形態5に係る医療用内視鏡システムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、「実施の形態」という)を説明する。図面の記載において、同一の部分には同一の符号を付している。なお、図面は模式的なものであり、図面の相互間において同一の部分の寸法や同一の部分間の大きさの比率等が異なる場合もある。
【0018】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る医療用内視鏡システムの概略構成を示す図である。同図に示す医療用内視鏡システム1は、生体内を立体視観察するシステムである。医療用内視鏡システム1は、先端部が生体内に挿入されて生体内の光を集光するとともに生体を照明する硬性鏡2と、硬性鏡2が集光した生体からの光を撮像して互いに視差を有する2つの画像信号を生成するカメラヘッド3と、カメラヘッド3の動作を制御するとともに硬性鏡に供給する第1照明光を発生する制御装置(第1制御装置)4と、カメラヘッド3の動作を制御するとともに硬性鏡に供給する第2照明光を発生する制御装置(第2制御装置)5と、硬性鏡2と制御装置4とを接続し、第1照明光を伝送するライトガイドケーブル(第1ライトガイドケーブル)6と、硬性鏡2と制御装置5とを接続し、第2照明光を伝送するライトガイドケーブル(第2ライトガイドケーブル)7と、カメラヘッド3と制御装置4、5とをそれぞれ接続し、電気信号等を伝送する2つの伝送ケーブル8、9と、制御装置4に接続され、画像等の情報を表示する表示装置10と、を備える。硬性鏡2およびカメラヘッド3は、撮像装置101を構成する。
【0019】
図2は、硬性鏡2およびカメラヘッド3の内部構成を示す図であって、図1の矢視A方向における硬性鏡2およびカメラヘッド3の内部構成を示す図である。図3は、硬性鏡2の内部構成を示す図であって、図1に示す状態における硬性鏡2の中心軸付近の内部構成を示す図である。図2図3とは、互いに直交する方向から見た硬性鏡2の内部構成を示している。なお、図3では、第1および第2照明光の照射領域も模式的に示している。
【0020】
まず、硬性鏡2の構成を説明する。硬性鏡2は、硬質の細長形状をなす挿入管21と、挿入管21の内部に並設される第1集光光学系22および第2集光光学系23と、制御装置4、5がそれぞれ有する光源からの照明光を伝播して生体に照射する第1照明光学系24および第2照明光学系25と、を有する。硬性鏡2は、カメラヘッド3に対して着脱自在かつ回転不能に接続される。
【0021】
挿入管21の外周部には、径方向の対向する位置に、ライトガイドケーブル6の先端部を装着する第1装着部211と、ライトガイドケーブル6の先端部を装着する第2装着部212が設けられている。第1装着部211と第2装着部212は、挿入管21の中心軸Oと直交し、かつ互いに反対向きに延びている。第1装着部211および第2装着部212は、図3に示すように、挿入管21の内部で第1照明光学系24、第2照明光学系25にそれぞれ接続している。第1装着部211および第2装着部212は、ライトガイドポストとも呼ばれる。なお、第1装着部211と第2装着部212とは、挿入管21の中心軸方向に沿って同じ位置に設ける代わりに異なる位置に設けてもよい。
【0022】
第1集光光学系22は、挿入管21の先端部側から順に、第1対物光学系221と、第1リレー光学系222とを有する。第1対物光学系221は、挿入管21の先端部に設けられ、生体内の観察部位からの第1観察光を集光する。第1リレー光学系222は、第1対物光学系221が集光した第1観察光を挿入管21の基端(図2中、右端部)まで導光する。第1観察光は、挿入管21の基端からカメラヘッド3に射出される。
【0023】
第2集光光学系23は、第1集光光学系22と同様、先端側から順に、第2対物光学系231と、第2リレー光学系232とを有する。第2集光光学系23が集光する第2観察光は、挿入管21の基端からカメラヘッド3に射出される。第2集光光学系23は、挿入管21の内部において、挿入管21の径方向に第1集光光学系22と離間している。第2集光光学系23の光軸OP2は、挿入管21の中心軸Oに対して第1集光光学系22の光軸OP1と対称な位置にある。
【0024】
第1照明光学系24は、第1装着部211に接続し、ライトガイドケーブル6からの第1照明光を伝播するライトガイド241と、ライトガイド241からの第1照明光を挿入管21の外部へ照射する第1照明レンズ242とを有する。同様に、第2照明光学系25は、第2装着部212に接続し、ライトガイドケーブル7からの第2照明光を伝播するライトガイド251と、ライトガイド251からの第2照明光を挿入管21の外部へ照射する第2照明レンズ252とを有する。ライトガイド241、251は、複数の光ファイバを束ねてそれぞれ構成される。
【0025】
図4は、硬性鏡2の先端部の構成を示す図であり、図1の矢視B方向の平面図である。図4に示すように、第1照明レンズ242と第2照明レンズ252は、挿入管21の先端において、第1集光光学系22の光軸OP1および第2集光光学系23の光軸OP2が通過するとともに挿入管21の光軸Oが通過する平面Pに対して対称な位置に配設されている。これにより、第1照明レンズ242が照射する第1照明光と第2照明レンズ252が照射する第2照明光は、図3に示すように、平面Pに対して対称な領域に照射される。本実施の形態1においては、所定の観察対象領域Aにおいて、2つの照明光が重なりを有するように第1照明レンズ242および第2照明レンズ252の配光角が設定されている。これにより、従来のように1つのライトガイドしか有しない場合と比較して、特に観察対象領域Aにおける撮像装置101の画角中心付近に照射される照明光の光量を2倍程度増加させることができる。なお、観察対象領域Aは、第1集光光学系22および第2集光光学系23の焦点距離、カメラヘッド3が撮像する際の画角、ズーム倍率等の条件に応じて適宜定められる。
【0026】
次に、図2を参照してカメラヘッド3の構成を説明する。カメラヘッド3は、第1集光光学系22からの第1観察光の光路と第2集光光学系23からの第2観察光の光路とを分離する光路分離部31と、第1および第2観察光をそれぞれ撮像して2つの画像信号を生成する撮像部32とを有する。
【0027】
光路分離部31は、第1および第2観察光をそれぞれ反射して互いの光路を反対方向に変更する三角プリズム311と、三角プリズム311によって反射された第1および第2観察光をそれぞれ反射して互いの光路を平行にする一対のミラー312および313と、ミラー312および313でそれぞれ反射された第1および第2観察光を撮像部32へそれぞれ射出する一対の接眼光学系314および315とを有する。
【0028】
三角プリズム311は、底面が直角二等辺三角形である三角柱状をなしており、互いに面積が等しく直交する第1側面311aおよび第2側面311bが、カメラヘッド3に装着された硬性鏡2における第1集光光学系22の光軸OP1および第2集光光学系23の光軸OP2とそれぞれ45度をなして配置されている。第1側面311aは、第1観察光を反射し、その光路を90度曲げて図2中の上方とする。第2側面311bは、第2観察光を反射し、その光路を90度曲げて図2中の下方とする。
【0029】
ミラー312とミラー313は、カメラヘッド3に接続された硬性鏡2の挿入管21の中心軸Oに対して対称な位置にある。ミラー312の表面は、第1側面311aで反射された第1観察光が入射する方向に対して45度の角度をなしており、第1観察光を中心軸Oと平行な方向へ反射する。ミラー313の表面は、第2側面311bで反射された第2観察光が入射する方向に対して45度の角度をなしており、第2観察光を中心軸Oと平行な方向へ反射する。
【0030】
接眼光学系314と接眼光学系315は、挿入管21の中心軸に対して対称な位置にある。ミラー312によって反射された第1観察光は、接眼光学系314を通過して撮像部32に入射する。また、ミラー313によって反射された第2観察光は、接眼光学系315を通過して撮像部32へ入射する。
【0031】
撮像部32は、第1観察光を撮像して画像信号(右目用画像信号)を生成する第1撮像部321と、第2観察光を撮像して画像信号(左目用画像信号)を生成する第2撮像部322とを有する。
【0032】
第1撮像部321は、接眼光学系314から射出された第1観察光を集光する第1撮像光学系323と、第1撮像光学系323が集光した第1観察光を光電変換して右目用画像信号を生成する第1撮像素子324とを有する。第1撮像光学系323は、光軸に沿って移動可能な1または複数のレンズを用いて構成され、制御装置4の制御のもとで画角を変化させる光学ズーム機構(図示略)や焦点を変化させるフォーカス機構(図示略)を有する。第1撮像素子324は、CCD(Charge Coupled Device)またはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等のイメージセンサを用いて構成される。
【0033】
第2撮像部322は、接眼光学系315から射出された第2観察光を集光する第2撮像光学系325と、第2撮像光学系325が集光した第2観察光を光電変換して左目用画像信号を生成する第2撮像素子326とを有する。第2撮像光学系325の光軸は、第1撮像光学系323の光軸と平行である。第2撮像光学系325および第2撮像素子326の構成は、第1撮像光学系323および第1撮像素子324の構成とそれぞれ同様である。第2撮像光学系325が有する光学ズーム機構やフォーカス機構は、制御装置5の制御のもとで駆動する。
【0034】
次に、図1を参照して制御装置4および5の構成を説明する。本実施の形態1において、制御装置4と制御装置5はマスターとスレーブの関係にあり、同期して制御を行う。マスターである制御装置4は、スレーブである制御装置5から第2撮像部322によって生成された左目用画像信号を受信し、第1撮像部321から受信した右目用画像信号とともに表示用画像信号(3次元画像信号)を生成して表示装置10に出力する。
【0035】
制御装置4は、第1撮像部321が生成した画像信号に対して所定の画像処理を施す画像処理部41と、第1撮像部321が生成した画像信号の明るさを検出する明るさ検出部42と、カメラヘッド3および制御装置5との同期をとるための信号を生成するタイミング生成部43と、第1照明光を発生してライトガイドケーブル6に供給する光源部(第1光源部)44と、各種操作信号の入力を受け付ける入力部45と、表示装置10に表示させる表示用画像信号を生成する表示用画像生成部46と、制御装置4を含む医療用内視鏡システム1の動作を制御する制御部47と、各種情報を記憶する記憶部48と、を有する。制御装置4は、伝送ケーブルを介して制御装置5と接続されており、制御装置5から画像信号を含む各種情報を受信するとともに、制御装置5に対して各種制御信号等を送信する。なお、制御装置4と制御装置5との通信を無線で行うようにしてもよい。
【0036】
画像処理部41は、画像信号に対して、同時化処理、ホワイトバランス(WB)調整処理、ゲイン調整処理、ガンマ補正処理、デジタルアナログ(D/A)変換処理、フォーマット変換処理等の画像処理を行って明るさ検出部42および表示用画像生成部46に出力する。
【0037】
明るさ検出部42は、画像処理部41からの画像信号における画像の明るさを検出する。明るさ検出部42は、例えば各画素の信号値(輝度値)を測定し、その平均を信号レベルとして算出し、算出結果を明るさ情報として制御部47に出力する。なお、明るさ検出部42は、信号レベルとして、各画素の信号値の平均の代わりに最大値、最小値、最頻値などのいずれかを算出してもよい。
【0038】
タイミング生成部43は、カメラヘッド3および制御装置5の各構成部の動作の基準となるクロック信号および画像信号のフレーム毎のスタートタイミングを表す垂直同期信号を生成してカメラヘッド3および制御装置5へ出力する。
【0039】
光源部44は、LED(Light Emitting Diode)またはハロゲンランプ等を用いて構成される光源と、制御部47の制御のもとで光源を駆動する光源ドライバと、光源が発生した光を集光してライトガイドへ出射する出射光学系とを有する。
【0040】
入力部45は、制御装置4を含む医療用内視鏡システム1に関する各種操作信号の入力を受け付けるユーザインタフェースである。
【0041】
表示用画像生成部46は、第1撮像部321が生成した右目用画像信号と、第2撮像部322が生成し、制御装置5から受信した左目用画像信号とを用いて、表示装置10の表示方式に対応した3次元画像信号を表示用画像信号として生成する。
【0042】
制御部47は、画像処理部41、光源部44および表示用画像生成部46の動作を制御するとともに、カメラヘッド3の動作を制御したり、制御装置5と連携して動作する制御を行ったりすることにより、医療用内視鏡システム1を統括して制御する。制御部47は、明るさ検出部42から入力される明るさ情報と制御装置5から送られてくる明るさ情報とを用いて、光源部44と制御装置5が備える光源部54における光量比率の調整を行い、光源部44、54に対して光源制御信号をそれぞれ送信する。
【0043】
記憶部48は、制御装置4が動作するための各種プログラムを記憶する。このプログラムの中には、制御装置4がマスターとして医療用内視鏡システム1を統括して制御するためのプログラムも含まれる。記憶部48は、RAM(Random Access Memory)等の揮発性メモリやROM(Read Only Memory)等の不揮発性メモリを用いて構成される。
【0044】
以上の機能構成を有する制御装置4において、画像処理部41、明るさ検出部42、タイミング生成部43、表示用画像生成部46および制御部47は、CPU(Central Processing Unit)等の汎用プロセッサや、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の特定の機能を実行する専用の集積回路等を用いて構成される。
【0045】
制御装置5は、画像処理部51、明るさ検出部52、タイミング生成部53、光源部(第2光源部)54、入力部55、制御部56および記憶部57を有する。これらの各構成要素は、上述した制御装置4で対応する構成要素と同様の機能構成を有する。ただし、制御部56は、制御装置5をスレーブとして動作させるための制御を行う。また、記憶部57は、制御装置5がスレーブとして動作するためのプログラムを記憶している。
【0046】
ライトガイドケーブル6および7は、複数の光ファイバを束ねて構成される。ライトガイドケーブル6は、一端が制御装置4に接続されるとともに他端が硬性鏡2の第1装着部211に装着され、制御装置4が発生した第1照明光をライトガイド241に導く。ライトガイドケーブル7は、一端が制御装置5に接続されるとともに他端が硬性鏡2の第2装着部212に装着され、制御装置5が発生した第2照明光をライトガイド251に導く。
【0047】
伝送ケーブル8および9は、カメラヘッド3と制御装置4および5との間の通信をそれぞれ行う。伝送ケーブル8および9は、電気信号を伝送するメタルケーブルである。なお、伝送ケーブル8および9を、光信号を伝送するファイバケーブルとしてもよい。この場合には、カメラヘッド3に電光(E/O)変換機能を具備させるとともに、制御装置4および5に光電(O/E)変換機能をそれぞれ具備させればよい。また、メタルケーブルとファイバケーブルを組み合わせることによって伝送ケーブル8および9をそれぞれ構成し、画像信号のみを光信号によって伝送し、それ以外の信号は電気信号によって伝送するようにしてもよい。さらに、カメラヘッド3と制御装置4および5との通信を無線で行うようにしてもよい。
【0048】
表示装置10は、例えば、液晶または有機EL(Electro Luminescence)等を用いたインテグラル・イメージング方式または多眼方式等の3次元ディスプレイであり、制御装置4が生成した3次元画像信号に基づく3次元画像を表示する。
【0049】
以上説明した本発明の実施の形態1によれば、2つの照明光を用いて生体を照射することにより、照明光量が増加するため、立体視に必要な照明光量を確保することができる。その結果、撮像する画像が明るくなり、画像処理によって生じるおそれがある暗部ノイズを少なくして、明瞭な3次元画像を表示させることが可能となる。
【0050】
また、本実施の形態1によれば、光源一体型である2つの制御装置4および5を用いることにより、従来のように1台の光源装置しか用いない場合と比較して、約2倍の光量を有する照明光を生体に照射することができる。したがって、簡易な構成によって立体視に必要な照明光の光量を供給することができる。
【0051】
なお、本実施の形態1では、制御装置4と制御装置5がマスターとスレーブの関係にある場合を説明したが、制御装置4と制御装置5を対等な関係とすることも可能である。この場合には、制御装置4が右目用画像信号を表示装置10へ出力する一方、制御装置5が左目用画像信号を表示装置10へ出力し、対をなす2つの画像信号を受信した表示装置10が表示用画像信号を生成する構成とすればよい。また、制御装置4と制御装置5を対等な関係とする場合には、制御装置4および5、ならびに表示装置10とそれぞれ接続され、制御装置4および5からの画像信号をもとに3次元の表示用画像信号を生成して表示装置10に出力する画像生成装置を設けてもよい。
【0052】
(変形例)
図5は、本実施の形態1の変形例に係る医療用内視鏡システムが有する硬性鏡の先端部の構成を示す図である。同図に示す医療用内視鏡システム1Aにおいて、硬性鏡2Aの第1装着部211Aに接続する第1照明光学系24Aは、挿入管21Aの内部で2つに分割されている。挿入管21Aの先端部には、図5に示すように2つの第1分割照明レンズ2421Aおよび2422Aが設けられている。第1分割照明レンズ2421Aと第1分割照明レンズ2422Aは、挿入管21Aの中心軸OA、第1集光光学系22の光軸OP1および第2集光光学系23の光軸OP2が通過する平面PAに対して対称な位置に配設されている。
【0053】
同様に、第2装着部212Aに接続する第2照明光学系25Aも挿入管21Aの内部で2つに分割されており、挿入管21Aの先端部には、図5に示すように、2つの第2分割照明レンズ2521Aおよび2522Aが設けられている。第2分割照明レンズ2521Aと第2分割照明レンズ2522Aも、平面PAに対して対称な位置に配設されている。また、第2分割照明レンズ2521Aおよび2522Aは、平面PAと直交するとともに挿入管21Aの中心軸OAを通過する平面Qに対して、第1分割照明レンズ2421Aおよび2422Aとそれぞれ対称な位置にある。
【0054】
以上の構成を有する硬性鏡2Aは、カメラヘッド3とともに撮像装置101Aを構成する。
【0055】
以上説明した本実施の形態1の変形例によれば、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。また、本変形例によれば、第1照明光と第2照明光が、上述した平面PAに対して対称な領域に照射されるため、実施の形態1とは90度異なる方向に沿って照明光の光量を調整することができる。したがって、観察対象の生体の状況に応じて、実施の形態1で説明した硬性鏡2と本変形例で説明した硬性鏡2Aとを適宜使い分けてもよい。これにより、生体の状況に応じた一段と明瞭な画像を取得することが可能となる。
【0056】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2に係る医療用内視鏡システムは、硬性鏡の構成を除いて実施の形態1に係る医療用内視鏡システムと同じ構成を有する。以下の説明において、本実施の形態2に係る医療用内視鏡システムの硬性鏡以外の構成要素には、実施の形態1に係る医療用内視鏡システムの構成要素と同じ符号を付して説明する。
【0057】
図6は、本実施の形態2に係る医療用内視鏡システムが備える硬性鏡の先端部要部の構成および照明光の照射領域を模式的に示す図である。同図に示す硬性鏡2Bは、第1照明光学系24Bおよび第2照明光学系25Bを備える。第1照明光学系24Bは、ライトガイド241と、ライトガイド241の先端側に設けられ、第1照明光の配光角を狭く(小さく)することにより、第1集光光学系22の光軸OP1、第2集光光学系23の光軸OP2および挿入管21の中心軸Oを通過する平面Pに対して一方の側(図6では平面Pの上側)に略全ての第1照明光を照射する第1照明レンズ242Bとを有する。同様に、第2照明光学系25Bは、ライトガイド251と、ライトガイド251の先端側に設けられ、第2照明光の配光角を狭くすることにより、平面Pに対して他方の側(図6では平面Pの下側)に略全ての第2照明光を照射する第2照明レンズ252Bとを有する。第1照明レンズ242Bおよび第2照明レンズ252Bは、例えば配光角変換レンズからなる。図6に示す場合、第1照明光と第2照明光は、所定の観察対象領域A内において、平面Pに対して対称な領域であって互いにほとんど重なりを有しない領域にそれぞれ照射される。
【0058】
本実施の形態2における第1および第2照明光は、配光角が狭い分だけ単位面積当たりの光量が大きい。したがって、本実施の形態2においても、従来の1つのライトガイドしか有しない場合と比較して、特に観察対象領域Aにおける撮像装置101Bの画角中心付近に照射される照明光の光量を増加させることができる。
【0059】
以上説明した本発明の実施の形態2によれば、配光角が狭く、互いの照射領域の重なりが少ない第1および第2照明光を照射するため、各照明光の単位面積当たりの光量を大きくすることができる。したがって、本実施の形態2によれば、実施の形態1と同様、立体視に必要な照明光量を確保することができ、暗部ノイズの少ない明瞭な3次元画像を表示させることができる。
【0060】
本実施の形態2では、第1照明光と第2照明光の照射領域の重なりが少ないことを利用して、制御装置4による第1照明光の光量制御と制御装置5による第2照明光の光量制御を個別に独立して行うようにしてもよい。具体的には、制御装置4の明るさ検出部42の検出結果に基づいて制御部47が光源部44を制御する一方、制御装置5の明るさ検出部52の検出結果に基づいて制御部56が光源部54を制御するようにしてもよい。
【0061】
例えば、画面の下半分領域に相当する生体内で電気メスを利用した処置が行われている場合、画面の下半分領域は明るく写っている一方、画面上半分は暗く写っていることがある。この場合には、制御装置4において、光源部44が発生する第1照明光の光量を増加させる制御を行う一方、制御装置5において、光源部54が発生する第2照明光の光量を維持または低減する制御を行えばよい。これにより、画面全体の視認性が高い明瞭な表示用画像を生成することが可能となる。
【0062】
なお、制御装置4、5が自動的に明るさを調整する代わりに、ユーザが制御装置4の入力部45および制御装置5の入力部55から入力することによって第1および第2照明光の明るさを調整できるようにしてもよい。また、カメラヘッド3に設けられる入力部(図示せず)を介して第1および第2照明光の明るさを調整できるようにしてもよい。
【0063】
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3に係る医療用内視鏡システムは、硬性鏡の構成と第1および第2照明光を制御装置から硬性鏡までそれぞれ伝播する構成が、実施の形態1と異なる。図7は、本実施の形態3に係る医療用内視鏡システムの概略構成を示す図である。以下、実施の形態1と同じ構成要素には、実施の形態1と同じ符号を付して説明する。
【0064】
図7に示す医療用内視鏡システム1Cは、1つの装着部211Cが設けられた挿入管21Cを有する硬性鏡2Cと、カメラヘッド3と、2つの制御装置4、5と、ライトガイドケーブル6、7と、2つの伝送ケーブル8、9と、表示装置10と、ライトガイドケーブル6、7をそれぞれ伝播する第1および第2照明光を合成する照明光合成部11と、照明光合成部11と装着部211Cとを接続し、照明光合成部11によって合成された合成照明光を導光するライトガイドケーブル(第3ライトガイドケーブル)12と、を備える。硬性鏡2Cとカメラヘッド3は、撮像装置101Cを構成する。
【0065】
図8は、硬性鏡2Cが有する挿入管21Cの先端部の構成を示す図であり、図7の矢視C方向の平面図である。本実施の形態3において、装着部211Cは挿入管21Cの内部に設けられた1つの照明光学系24Cに接続している。照明光学系24Cは、ライトガイドケーブル12からの合成照明光を伝播するライトガイド(不図示)と、このライトガイドの先端に設けられ、合成照明光を外部へ照射する照明レンズ242Cとを有する。なお、挿入管21Cの内部でライトガイドを2つに分割することにより、実施の形態1で説明した挿入管21と同様の先端構成(図4を参照)としてもよい。
【0066】
照明光合成部11は、ライトガイドケーブル6および7をそれぞれ伝播してきた第1および第2照明光を合成するための光学系を有する。この光学系は、例えばミラーと三角プリズムを適宜組み合わせることによって実現される。
【0067】
以上説明した本発明の実施の形態3によれば、第1および第2照明光を合成した合成照明光を照射するため、一つの光源からの照明光を照射する場合よりも光量が多い照明光を照射することができる。したがって、本実施の形態3によれば、実施の形態1と同様、立体視に必要な照明光量を確保することができ、暗部ノイズの少ない明瞭な3次元画像を表示させることができる。
【0068】
また、本実施の形態3によれば、照明光合成部11が合成した合成照明光を伝播する1つのライトガイドケーブル12を挿入管2Cの1つの装着部211Cに装着すればよいため、硬性鏡2Cの構成が単純である。
【0069】
なお、本実施の形態3において、照明光合成部が2つのライトガイドケーブルを束ねて1つのライトガイドケーブル(第3ライトガイドケーブル)とすることにより、硬性鏡に設けられる1つの装着部に接続する構成としてもよい。1つに束ねたライトガイドケーブルの径および装着部の径は、ライトガイドケーブル12や装着部211Cの径の約2倍となる。このような構成を有する場合にも、実施の形態3と同様の効果が得られることはいうまでもない。
【0070】
(実施の形態4)
図9は、本発明の実施の形態4に係る医療用内視鏡システムの構成を示す図である。以下の説明において、実施の形態1に係る医療用内視鏡システムの構成要素と同じ構成要素には、実施の形態1の構成要素と同じ符号を付して説明する。
【0071】
図9に示す医療用内視鏡システム1Dは、硬性鏡2Dと、カメラヘッド3Dと、2つの制御装置4および5と、2つのライトガイドケーブル6および7と、2つの伝送ケーブル8および9と、表示装置10とを備える。硬性鏡2Dおよびカメラヘッド3Dは、撮像装置101Dを構成する。
【0072】
硬性鏡2Dは、第1照明光学系24Dと、第2照明光学系25Dとを有する。第1照明光学系24Dは、ライトガイド241Dと、第1照明レンズ242Dとを有する。同様に、第2照明光学系25Dは、ライトガイド251Dと、第2照明レンズ252Dとを有する。硬性鏡2Dは、上述した実施の形態1〜3とは異なり、挿入管21Dの外周にライトガイドケーブルの装着部が設けられていない。なお、硬性鏡2Dが有する第1集光光学系および第2集光光学系の構成は、実施の形態1で説明した硬性鏡2が有する第1集光光学系22および第2集光光学系23の構成とそれぞれ同様である。
【0073】
カメラヘッド3Dは、ライトガイドケーブル6および7の先端部をそれぞれ装着する第1装着部33および第2装着部34と、第1装着部33および第2装着部34にそれぞれ接続されるライトガイド35および36とを有する。ライトガイド35および36は、カメラヘッド3Dに装着された硬性鏡2Dの挿入管21Dの内部に設けられたライトガイド241Dおよび251Dにそれぞれ接続される。図9において、ライトガイドケーブル6および7はカメラヘッド3Dの基端部側に形成されているが、その形成位置はこれに限られず、例えば、図9における上端側と下端側に1つずつ形成してもよい。
【0074】
以上の構成を除く医療用内視鏡システム1Dの構成は、実施の形態1で説明した医療用内視鏡システム1の構成と同様である。
【0075】
以上説明した本発明の実施の形態4によれば、実施の形態1と同様、立体視に必要な照明光量を確保することができ、暗部ノイズの少ない明瞭な3次元画像を表示させることができる。
【0076】
また、本実施の形態4によれば、カメラヘッド3Dに第1装着部33および第2装着部34を形成したため、ライトガイドケーブル6および7を硬性鏡2Dまで引き回す必要がない。したがって、外観構成が単純な硬性鏡2Dを適用することができるとともに、硬性鏡2Dの周囲のスペースを有効に活用することができる。
【0077】
(実施の形態5)
図10は、本発明の実施の形態5に係る医療用内視鏡システムの構成を示す図である。以下の説明において、実施の形態1に係る医療用内視鏡システムの構成要素と同じ構成要素には、実施の形態1の構成要素と同じ符号を付して説明する。
【0078】
図10に示す医療用内視鏡システム1Eは、実施の形態4で説明した硬性鏡2Dと、カメラヘッド3Eと、制御装置(第1制御装置)4Eと、制御装置(第2制御装置)5Eと、制御装置4Eおよび5Eとカメラヘッド3Eとをそれぞれ接続する2つのユニバーサルコード13および14と、表示装置10とを備える。硬性鏡2Dおよびカメラヘッド3Eは、撮像装置101Eを構成する。
【0079】
ユニバーサルコード13は、制御装置4Eが発生した第1照明光を伝播するライトガイドケーブル6Eと、制御装置4Eとカメラヘッド3Eとの間の電気信号を伝送する伝送ケーブル(不図示)とが一体化されたものである。同様に、ユニバーサルコード14は、制御装置5Eが発生した第2照明光を伝播するライトガイドケーブル7Eと、制御装置5Eとカメラヘッド3Eとの間の電気信号を伝送する伝送ケーブルとが一体化されたものである。
【0080】
カメラヘッド3Eは、ユニバーサルコード13内のライトガイドケーブル6Eに接続し、第1照明光を伝播するライトガイド35Eと、ユニバーサルコード14内のライトガイドケーブル7Eに接続し、第2照明光を伝播するライトガイド36Eと、を有する。ライトガイド35Eおよび36Eは、カメラヘッド3Eに装着された硬性鏡2Dの挿入管21Dの内部のライトガイド241Dおよび251Dにそれぞれ接続される。
【0081】
制御装置4Eおよび5Eは、ユニバーサルコード13および14をそれぞれ接続するための接続部の構成を除いて、実施の形態1で説明した制御装置4および5とそれぞれ同様の構成を有する。
【0082】
以上説明した本発明の実施の形態5によれば、実施の形態1と同様、立体視に必要な照明光量を確保することができ、暗部ノイズの少ない明瞭な3次元画像を表示させることができる。
【0083】
また、本実施の形態5によれば、ユニバーサルコード13、14をカメラヘッド3Eに接続する構成としたため、ライトガイドケーブルを硬性鏡2Dまで引き回す必要がない。したがって、実施の形態4と同様、外観構成が単純な硬性鏡2Dを適用することができるとともに、硬性鏡2Dの周囲のスペースを有効に活用することができる。
【0084】
(その他の実施の形態)
ここまで、本発明を実施するための形態を説明してきたが、本発明は上述した実施の形態1〜5によってのみ限定されるべきものではない。例えば、制御装置と光源装置は別体でもよい。また、上述した立体視用のカメラヘッドを接続可能な1つの制御装置と2つの光源装置を備える構成としてもよいし、2つの制御装置と2つの光源装置を個別に備える構成としてもよい。
【0085】
また、上述した実施の形態1〜5では、硬性鏡とカメラヘッドとが別体であり、硬性鏡がカメラヘッドに対して着脱自在にかつ回転不能に接続される構成の撮像装置を例示したが、硬性鏡とカメラヘッドとが一体である撮像装置を適用することも可能である。
【符号の説明】
【0086】
1、1A、1B、1C、1D、1E 医療用内視鏡システム
2、2A、2B、2C、2D 硬性鏡
3、3D、3E カメラヘッド
4、4E、5、5E 制御装置
6、6E、7、7E、12 ライトガイドケーブル
8、9 伝送ケーブル
10 表示装置
11 照明光合成部
13、14 ユニバーサルコード
21、21C、21D 挿入管
22 第1集光光学系
23 第2集光光学系
24、24A、24B、24D 第1照明光学系
24C 照明光学系
25、25A、25B、25D 第2照明光学系
31 光路分離部
32 撮像部
33、211、211A 第1装着部
34、212、212A 第2装着部
211C 装着部
35、35E、36、36E、241、241D、251、251D ライトガイド
41、51 画像処理部
42、52 明るさ検出部
43、53 タイミング生成部
44、54 光源部
45、55 入力部
46 表示用画像生成部
47、56 制御部
48、57 記憶部
101、101A、101B、101C、101D、101E 撮像装置
242、242B、242D 第1照明レンズ
242C 照明レンズ
252、252B、252D 第2照明レンズ
311 三角プリズム
312、313 ミラー
314、315 接眼光学系
321 第1撮像部
322 第2撮像部
323 第1撮像光学系
324 第1撮像素子
325 第2撮像光学系
326 第2撮像素子
2421A、2422A 第1分割照明レンズ
2521A、2522A 第2分割照明レンズ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10