側部開口部13が形成され上方に竿取付部を有するボディ10と、側部開口部13を閉塞しハンドル軸5を回転自在に支持する蓋部材30とを有するリール本体1と、ボディ10内に収容されたスプール往復動装置70とを備え、側部開口部13に対し蓋部材30自体が螺合することにより締結固定され、スプール往復動装置70は、スプール軸8の後部に連結する摺動子72と、摺動子72が係合し、ハンドル軸5の回転運動により回転して摺動子72を前後へ往復運動させる駆動部材74と、を備え、駆動部材74の回転中心O2は、ハンドル軸5の回転中心O1よりもボディ10の竿取付部側に配置されていることを特徴とする。
前記蓋部材と前記側部開口部には、螺合により互いに当接し、同芯度を得るための当接部が形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の魚釣用スピニングリール。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記技術によれば、雌ねじ部近傍が肉厚なため、ボディが大型化した。
【0006】
また、上記特許文献2によれば、側部開口部が前後方向に長く形成されており、蓋部材の後端がハンドル軸から大きく離間している。よって、ハンドル操作時、側部開口部の後側の雌ねじ部に作用する荷重は他の雌ねじ部より大きい。
以上から、特許文献2のような側部開口部の場合、蓋部材の取付強度を向上させようとすると、側部開口部の後側の雌ねじ部を特に肉厚とする必要があり、ボディがより大型化するおそれがある。
【0007】
さらに、上記特許文献1によれば、公知のスプール往復動装置はボディ内の下方に配置されており、ボディ内の収容空間において、ハンドル軸よりも上方の空間がデッドスペースとなっており、ボディの大型化を招いていた。
【0008】
本発明は、このような課題を解決するために創作されたものであり、ボディの強度向上と小型化との両立を図ることができる魚釣用スピニングリールを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため、本発明に係る魚釣用スピニングリールは、側部開口部が形成され上方に竿取付部を有するボディと、前記側部開口部を閉塞しハンドル軸を回転自在に支持する蓋部材と、を有するリール本体と、前記ボディ内に収容されたスプール往復動装置と、を備え、前記側部開口部に対し前記蓋部材自体が螺合することにより、前記ボディに前記蓋部材が締結固定され、前記スプール往復動装置は、スプール軸の後部に連結する摺動子と、前記摺動子が係合し、前記ハンドル軸の回転運動により回転して前記摺動子を前後へ往復運動させる駆動部材と、を備え、前記駆動部材の回転中心は、前記ハンドル軸の回転中心よりも前記ボディの竿取付部側に配置されていることを特徴とする。
【0010】
前記発明によれば、蓋部材自体が側部開口部に螺合するため、蓋部材と側部開口部とが結合する部分の形状は、ハンドル軸方向から視て円形となる。つまり、ハンドル操作時の荷重が側部開口部の全周に均一に作用するため、側部開口部が変形し難い。よって、側部開口部に螺合する蓋部材が緩む、ということが抑制され、蓋部材の取付強度が向上し、ひいては、蓋部材が螺合一体化されるボディの強度が一段と向上する。
また、前記発明によれば、ねじ及びボディの雌ねじが不要となる。この結果、ボディが肉薄となり、ボディが小型化する。
また、前記発明によれば、従来デッドスペースになっていたハンドル軸の上方に駆動部材が配置されるため、デッドスペースが狭小となる。よって、ボディをさらに小型化することができる。
【0011】
また、前記発明において、前記ボディの後部には、前記スプール往復動装置を構成する構成部材の少なくとも一部を受け入れて後方に配置するための後部開口部が形成され、前記リール本体は、前記後部開口部及び前記構成部材を覆うカバー部材を備えることが好ましい。
【0012】
前記発明によれば、後部開口部から構成部材の少なくとも一部を受け入れてボディの後方に配置することができる。このため、ボディ内の空間の大きさに制限されることがなく、所望の大きさの構成部材を用いることができる。
また、カバー部材が構成部材及び後部開口部を覆うため、海水や塵埃が構成部材に付着したり、ボディ内に入り込んだりするおそれがない。
【0013】
また、前記発明において、前記蓋部材と前記側部開口部には、螺合により互いに当接し、同芯度を得るための当接部が形成されていることが好ましい。
【0014】
前記構成によれば、ボディに対する蓋部材の組み付け精度が高まる。よって、蓋部材によって支持されるハンドル軸の支持精度も向上する。これにより、組み付け部品(ドライブギャ)と、ボディに組み付けられる部品(ピニオン)との噛み合いの精度が向上し、ハンドルの操作性が向上する。
【発明の効果】
【0015】
以上から、ボディの強度向上と小型化との両立を図ることができる魚釣用スピニングリールを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
実施形態に係る魚釣用スピニングリールについて図面を参照しながら説明する。
以下の説明において、「前後」「上下」を言うときは、
図1に示した方向を基準とし、「左右」を言うときは、
図4に示す方向を基準とする。
【0018】
最初に、魚釣用スピニングリール100の基本的構成を説明する。
図1に示すように、魚釣用スピニングリール100は、ハンドル5aを備えるリール本体1と、ハンドル5aの巻き取り操作により回転するロータ2と、ハンドル5aの巻き取り操作により前後方向に往復運動するスプール3と、を備える。
【0019】
図2に示すように、リール本体1は、左側に向って開口する側部開口部13が形成されたボディ10と、ボディ10から上方に延びて釣竿(不図示)に装着される竿取付部11aを先端に有する脚部11と、ボディ10の前側に設けられた筒状のボディ前部12と、側部開口部13を塞ぐ蓋部材30と、ボディ10の後部に取り付けられた保護カバー40と、を備える。
【0020】
ボディ前部12内には、前後方向に延びる駆動軸筒7とスプール軸8が組み付けられている。駆動軸筒7の前端及びスプール軸8の前端は、ボディ前部12よりも前方に突出している。そして、駆動軸筒7の前端にロータ2(
図1参照)が取り付けられ、スプール軸8の前端にスプール3(
図1参照)が取り付けられている。
【0021】
図3に示すように、駆動軸筒7の後端及びスプール軸8の後端は、ボディ10内に位置している。また、スプール軸8の後端は駆動軸筒7の後端よりも後方に位置し、スプール軸8の後端部8aがハンドル軸5の下方で前後方向に延在している。
【0022】
ボディ10内には、ハンドル5aの巻き取り操作により駆動軸筒7とスプール軸8を駆動させるための構成として、ボディ10に回転自在なハンドル軸5と、ハンドル軸5に連結するドライブギャ6及び歯車6aと、スプール往復動装置70と、が組み付けられている。図中の「O1」は、ハンドル軸5の回転中心を示す。また、
図3においては、ハンドル軸5が支持される右側中央孔23の中心を示す。
【0023】
図4は、リール本体1を上下方向及び左右方向で切った断面を後方から視た断面図である。詳細には、
図4のリール本体1の左半分は、
図6(b)のIVA−IVA線で切った断面図であり、リール本体1の右半分は、
図6(b)のIVB−IVB線で切った断面図である。
図4に示すように、ハンドル軸5は、左右方向に延在してボディ10と蓋部材30を貫通する棒状部材である。
ボディ10内において、ハンドル軸5は、ドライブギャ6及び歯車6aと一体化しており、ハンドル軸5とともにドライブギャ6及び歯車6aが回転する。なお、ドライブギャ6は蓋部材30側に位置し、歯車6aはボディ10の後述する右壁部21側に位置している。ハンドル軸5の左端部は、ハンドル5aに設けられた連結軸と螺合している。
【0024】
ドライブギャ6は、ハンドル軸5のフランジ5cにねじ6bにより締結されており、ハンドル軸5と一体に回転する。
図3に示すように、ドライブギャ6は、駆動軸筒7の後部に形成されたピニオンギャ7aに噛合している。
以上から、ハンドル5aの巻き取り操作による駆動力は、ハンドル軸5及びドライブギャ6を介してピニオンギャ7a(駆動軸筒7)に伝達し、ロータ2が回転する。
【0025】
歯車6aは、スプール往復動装置70の後述する連動歯車74に噛合し、ハンドル5aの巻き取り操作による駆動力を連動歯車74に伝達するための部品である。
【0026】
スプール往復動装置70は、前後方向に延びるガイド軸71と、右側面に凹状の案内溝73が形成されてガイド軸71に沿って移動する摺動子72と、案内溝73に係合する偏芯突部75が形成された連動歯車(駆動部材、構成部材)74とを備える。
摺動子72には、スプール軸8の後端部8aから後方に突出する突出部8bが回り止めした状態で差し込まれてネジSで抜け止め固定し、摺動子72とスプール軸8が一体になっている。
以上から、ハンドル5aの巻き取り操作の駆動力は、ハンドル軸5及び歯車6aを介して連動歯車74に伝達し、連動歯車74が回転する。そして、連動歯車74の偏芯突部75が摺動子72の案内溝73の側面を押圧して回転運動が前後動に変換され、摺動子72とスプール軸8(スプール3)が前後方向に往復運動する。
【0027】
つぎにボディ10、保護カバー40、スプール往復動装置70、及び蓋部材30の詳細を説明する。
【0028】
図5(a)に示すように、ボディ10は、左側に向って開口する有底箱状(筒状)を呈し、円板状の右壁部21と、右壁部21の周端縁から左側に突出する筒状の筒部22と、を備える。なお、筒部22の左端部が側部開口部13を構成している。
【0029】
右壁部21の内面(左側面)には、右側中央孔23と、リブ24と、挿入孔25とが形成されている。
右側中央孔23は、ハンドル軸5を貫通させるための孔であり、右壁部21の中央部に設けられている。また、右側中央孔23はハンドル軸5よりも大径に形成され、右側中央孔23内にハンドル軸5を回転自在に支持するための軸受(不図示)が嵌め込まれている。
【0030】
リブ24は、右壁部21の内面から突出してボディ10の強度を向上させる補強部である。リブ24は、右側中央孔23の中心よりも前側で上下方向に延在している。また、リブ24の上端及び下端は、筒部22に連続している。
以上から、ボディ10内の右側空間であり(
図4参照)、ハンドル軸5よりも前側の空間(
図5(a)参照)をリブ24が占有し、不要な空間(デッドスペース)が生じないようになっている。
【0031】
図4に示すように、挿入孔25は、連動歯車74を支持する軸部材26を、右壁部21の外側(右側)からボディ10内に貫通させるための孔である。
図5(a)に示すように、連動歯車74を支持する軸部材26の挿入孔25の中心O2は、右側中央孔23の中心O1よりも後側上方に設けられている。
【0032】
筒部22は、ハンドル軸5を支持する右側中央孔23の中心O1を中心とする略円筒形状に形成されている。
より詳細に説明すると、筒部22の内周面22aは、右側中央孔23の中心O1を中心とする円形状に形成されている。筒部22の外周面22bは、右側中央孔23の中心O1を中心とする略円形状に形成されている。
つまり、筒部22の厚み(径方向の肉厚)は、周方向において略均一になっている。このため、実施形態の筒部22は、従来の筒部(雌ねじが形成された筒部)よりも小型化している。
【0033】
筒部22の内周面22aは、ドライブギャ6の大きさに対応している。
このため、筒部22の内周面22aとドライブギャ6との隙間には、言い換えると、ボディ10内の左側空間(
図4参照)には、不要な空間(デッドスペース)が生じないようになっている。
なお、筒部22の左端部(側部開口部13)の内周面13aは、筒部22の内周面22aと略同一径に形成され、比較的大きなドライブギャ6でもボディ10(筒部22)内に組み付けることができるようになっている。
【0034】
図5(b)に示すように、筒部22の後部には、筒部22の外周面22bに形成された2つの保護カバー用雌ねじ穴22cと、筒部22の後部を貫通する後部開口部15とが形成されている。
【0035】
後部開口部15は、ボディ10内に組み付けられた部品の一部を受け入れてボディ10外に配置するための開口部である。
後部開口部15は、筒部22において左右方向の中央部のみを貫通しており、左右方向の両端部が残っている。このため、後部開口部15の開口(孔)と側部開口部13の開口(孔)とが連続しないようになっている。
言い換えると、側部開口部13と後部開口部15との間には、側部開口部13と後部開口部15とのそれぞれの開口の端縁を構成する円弧状の架橋部14が延在している。
このため、本実施形態によれば、後部開口部15の開口(孔)と側部開口部13の開口(孔)とが連続する場合よりも、筒部22の強度が向上している。
そのほか、
図5(a)に示すように、後部開口部15の上側内周面15aは、ボディ内から後方に向うにつれて、上方に位置するように傾斜している。
【0036】
図6に示すように、保護カバー40は、保護カバー用雌ねじ穴22cに螺合するボルトBに締め付けられ、ボディ10(筒部22)の後部開口部15を覆うように固定されている。
保護カバー40の前面は、後方に凹状に形成され、保護カバー40の前面側に収容空間が形成されている。よって、後部開口部15を介してボディ10内から後方に突出する部品の一部を保護カバー40内に収容することができる。
また、保護カバー40とボディ10との間には、シール部材50が設けられ、保護カバー40とボディ10との合わせ面から内部に水が浸入しないようになっている。
【0037】
スプール往復動装置70において、連動歯車74の回転中心、つまり、連動歯車74が支持される軸部材26が装着される挿入孔25の中心O2は、ハンドル軸5の回転中心O1よりも後方に位置している。このため、連動歯車74の後部は、後部開口部15から後方に突出し、保護カバー40内に収容されている。
【0038】
連動歯車74の回転中心O2は、ハンドル軸5の回転中心O1よりも竿取付部11a側上側に位置している。このため、従来デットスペースだった空間、言い換えると、ボディ10内の右側であって(
図4参照)、ハンドル軸5よりも後側上方の空間を連動歯車74が占有し、不要な空間(デッドスペース)が生じないようになっている。
【0039】
また、連動歯車74が上側に位置することから、ボディ10と保護カバー40とから構成される収容空間の下側は、ドライブギャ6及び摺動子72に対応した形状となっている。言い換えると、ボディ10と保護カバー40とから構成される収容空間の下側は、連動歯車74を下側に設置した時のように外側に膨出していないため、リール本体1が小型化している。
つまり、スプール往復動装置70を構成する駆動部材(連動歯車74)をボディ10内の上側に配置することで、摺動子72のスプール軸8の後端部8aが結合する以外の下方側を突出することなくフラット状に形成できるので、ボディ10内を効果的に小型化できる。
さらに、連動歯車74が上側に位置し、魚釣用スピニングリール100の重心が上側(釣竿側)に移動しているため、竿と魚釣用スピニングリール100との一体感が得られ、魚釣用スピニングリール100の操作性が向上される。
【0040】
スプール往復動装置70において、ガイド軸71の前端71aは、リブ24の上部に形成されたガイド軸支持孔24aに係合し、ガイド軸71の後端71bは、後部開口部15を貫通して保護カバー40内の被係合部41に係合している。
そして、
図6(a)に示すように、ガイド軸71に沿って移動する摺動子72が後方へ移動すると、摺動子72の一部が保護カバー40内に入り込む。このため、摺動子72の移動範囲はボディ10内に限定されず、摺動子72の移動範囲が効果的に確保されている。
【0041】
摺動子72の前面(ハンドル軸5に対向する対向面)には、後方に向って凹む凹部72aが形成されている。このため、
図6(b)に示すように、摺動子72が前方に移動した場合に凹部72a内にハンドル軸5を受け入れ、摺動子72の移動範囲が前方に拡大する。
【0042】
図4に示すように、蓋部材30は、ボディ10の側部開口部13を閉塞する蓋部31と、蓋部31の内面(右面)から右方に突出し側部開口部13の内側に挿入される円筒状の円筒部33と、を備える
【0043】
図2に示すように、蓋部31は、側面視で円形を呈しており、側部開口部13と同形状になっている。また、蓋部31の中央部には、ハンドル5aが貫通する左側中央孔32が形成されている。
図7(a)に示すように、蓋部31は、外周端から左側中央孔32に向うにつれて左側に突出し、断面が山形状を呈している。
また、蓋部31の内面(右面)の中央部には、円筒状のハンドル軸支持部34が形成されている。また、ハンドル軸支持部34には、ハンドル軸5を回転自在に支持する軸受5dが嵌め込まれている。よって、ハンドル5aの操作時、このハンドル軸支持部34に荷重が作用するようになっている。
【0044】
円筒部33の外周面には、先端側(左端側)から基部側(右端側)に向って順に、雄ねじ33aと、収容凹部33cと、当接面33bとが形成されている。
【0045】
雄ねじ33aは、側部開口部13の雌ねじ33aに螺合しており、蓋部材30がボディ10に締結固定している。つまり、リール本体1は、ハンドル軸5を支持する蓋部材30がボディ10にねじ込まれて蓋部材30とボディ10とが一体化したモノコックボディである。
【0046】
当接面(当接部)33bは、側部開口部13に蓋部材30を螺合する際、側部開口部13の内周面13aに当接し、側部開口部13に対する蓋部材30の調芯作用を行うためのものである。
これによれば、ハンドル軸5の右側を支持するボディ10の右側中央孔23(
図5(a)参照)と、ハンドル軸5の左側を支持する蓋部材30のハンドル軸支持部34との中心が一致し、同芯度が得られる。よって、ハンドル軸5は、リール本体1に対して左右方向に延在するように支持され、ハンドル軸5の回転がスムーズとなる。
【0047】
ここで、ハンドル5aの巻き取り操作時、ハンドル軸5を支持するハンドル軸支持部34には、ハンドル軸5を中心として径方向外側に向う荷重が作用する。
従来の構成によれば、複数のねじにより蓋部材がボディに固定され、蓋部材に作用した荷重がボディの雌ねじ部に集中して作用し、雌ねじ部が変形し易い構造であった。
一方で、本実施形態によれば、雄ねじ33aと当接面33bとを介して、円筒部33の全周が円形の側部開口部13により支持されている。よって、蓋部材30に作用した荷重は、側部開口部13の全周に均一に分散し、側部開口部13が変形し難い構造になっている。
【0048】
収容凹部33cは、雄ねじ33aと当接面33bとの間に形成された窪みであり、シール材としてOリング33dが外嵌されている。このため、円筒部33と側部開口部13との間から水が内部に浸入しないようになっている。
【0049】
以上、実施形態によれば、蓋部材30が螺合する側部開口部13が変形し難い。よって、側部開口部13に螺合する蓋部材30が緩む、ということが抑制され、蓋部材30の取付強度が向上し、ひいては、蓋部材30が螺合一体化されるボディ10の強度が一段と向上する。
また、上記したように従来のボディの側部開口部には、ねじが螺合するための雌ねじが形成されているが、本実施形態の側部開口部13(筒部22)には、ねじが螺合するための雌ねじが形成されていない。このため、ボディ10(筒部22)が肉薄となり、ボディ10が小型化されている。
さらに、ボディ10と保護カバー40とから構成される収容空間の上側に連動歯車(駆動部材)74が配置されることから、デッドスペースが狭小となる。よって、リール本体1が小型化している。
【0050】
また、実施形態によれば、後部開口部15から構成部材の少なくとも一部を受け入れてボディ10の後方に配置することができる。このため、ボディ10内の空間の大きさに制限されることがなく、所望の大きさの連動歯車74を用いることができる。
【0051】
以上、実施形態について説明したが、本発明は実施形態で説明した例に限定されない。
例えば、蓋部材30とボディ10とを螺合させるために、蓋部材30の円筒部33に雄ねじ33aが形成され、側部開口部13の内周面13aに雌ねじ13bが形成されているが、本発明は、これに限定されない。
たとえば、側部開口部13の縁に沿って外側に突出する円筒部をボディに形成し、一方で、円筒部が入り込む円形溝を蓋部材30の内面に形成する。そして、ボディの円筒部の外周面に雄ねじを形成し、蓋部材30の円形溝の内周面に雌ねじを形成してもよい。
【0052】
また、蓋部材30の蓋部31の形状は、側面視で円形であったが、例えば正方形など、側部開口部13を閉塞可能であれば、特に限定されない。
【0053】
また、本実施形態のスプール往復動装置70は、歯車6aと連動歯車74を用いたギャオシレート方式の例を挙げているが、螺軸(ウォームシャフト)を用いてもよい。以下、螺軸を用いたスプール往復動装置80を用いた変形例について、
図8、
図9を参照しながら説明する。
【0054】
変形例のスプール往復動装置80は、スプール軸8と平行に延在する螺軸(駆動部材)81と、螺軸81に係合する係合部材83(
図9参照)を回動自在に支持する摺動子82と、摺動子82を前後方向に案内するガイド軸84と、螺軸81とピニオンギャ7aとの間に介在する減速歯車機構85と、を備える。
【0055】
螺軸81は、円柱状を呈し、その外周面に螺旋状溝81aが形成された部材である。
螺軸81は、前端81bがリブ24に支持され、後端81cが保護カバー40に設けられたカラー90に支持されている。図中の「O3」は螺軸81(駆動部材)の回転中心を示す。また、螺軸81の前端81bは、リブ24を貫通し、リブ24よりも前方に突出している。
【0056】
また、螺軸81は、ハンドル軸5よりも上方で前後方向に延在しており、螺軸81の回転中心O3は、ハンドル軸5の回転中心O1よりも上方に位置している。言い換えると、ボディ10内の右側であって、ハンドル軸5よりも上方の空間を螺軸81が占有し、不要な空間(デッドスペース)が生じないようになっている。
このため、ボディ10と保護カバー40とから構成される収容空間の下側を、ドライブギャ6及び摺動子72に対応した形状とすることができ、リール本体1が小型化する。
また、螺軸81が上側に位置し、魚釣用スピニングリール100の重心が上側(釣竿側)に移動するため、魚釣用スピニングリール100の操作性向上を図れる。
【0057】
摺動子82の下部には、スプール軸8の後端部8aから後方に突出する突出部8bがねじSにより締結されている
係合部材83は、螺軸81の螺旋状溝81a内に入り込んで、螺旋状溝81aの溝面に係合している。このため、螺軸81が回転すると、係合部材83は、前方又は後方に押圧され、摺動子82及びこれに連結するスプール軸8が前後方向に往復動するようになる。
【0058】
減速歯車機構85は、ボディ10内のリブ24とその前部との間に架設した軸91に支持されて回転自在な段付ギャ86と、螺軸81の前端81bに回転不能に装着されたオシレートギャ87と、を備える。
段付歯車86は、ピニオンギャ7aに噛合する大径歯車86aと、オシレートギャ87に噛合する小径歯車86bとが一体に形成された歯車である。
この減速歯車機構85によれば、ハンドル5aの巻き取り操作に対してスプール軸8の前後動が相対的に遅くなり、スプール3に巻き回しされる釣糸同士の間隔が狭くなる。よって、スプール3に巻き回しされる釣り糸の密度が高まり(間隔が狭くなり)、巻き回し量が増加する。
【0059】
以上、変形例によれば、ボディ10と保護カバー40とから構成される収容空間の上側に螺軸(駆動部材)81が配置されて収容空間の下側が狭小となり、リール本体1の小型化を図ることができる。