(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-149766(P2018-149766A)
(43)【公開日】2018年9月27日
(54)【発明の名称】熱収縮シート被覆製品
(51)【国際特許分類】
B32B 27/00 20060101AFI20180831BHJP
E04F 15/02 20060101ALI20180831BHJP
E04F 15/04 20060101ALI20180831BHJP
E04F 15/06 20060101ALI20180831BHJP
【FI】
B32B27/00 B
E04F15/02 C
E04F15/04 E
E04F15/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-48826(P2017-48826)
(22)【出願日】2017年3月14日
(71)【出願人】
【識別番号】000204985
【氏名又は名称】大建工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】水島 邦具
【テーマコード(参考)】
2E220
4F100
【Fターム(参考)】
2E220AB10
2E220BA01
2E220BB02
2E220BB03
2E220GA24X
2E220GB01X
2E220GB32X
2E220GB33X
4F100AK01A
4F100AK01B
4F100AK03
4F100AK12
4F100AK15
4F100AK42
4F100AK46
4F100AK51
4F100AK74
4F100AT00A
4F100BA02
4F100BA07
4F100BA42B
4F100DA11A
4F100DA11B
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4F100DC11
4F100DC11B
4F100HB31A
4F100JA03
4F100JA03B
4F100JB16
4F100JL12B
4F100JL16
(57)【要約】
【課題】熱収縮シートの露出面側の部分の不均一な熱収縮を抑制する。
【解決手段】熱収縮シート被覆製品10は露出面10A及び遮蔽面10Bを有する。熱収縮シート被覆製品10は、露出面10A側の表面及び遮蔽面10B側の表面を有する基材11と、基材11の露出面10A側の表面を被覆する部分及び基材11の遮蔽面10B側の表面を被覆する部分を有するように設けられた熱収縮シート12とを備える。熱収縮シート12は、基材11の露出面10A側の表面を被覆する部分の収縮率の方が、基材11の遮蔽面10B側の表面を被覆する部分の収縮率よりも小さい。
【選択図】
図1B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
露出面及び遮蔽面を有する熱収縮シート被覆製品であって、
前記露出面側の表面及び前記遮蔽面側の表面を有する基材と、前記基材の露出面側の表面を被覆する部分及び前記基材の遮蔽面側の表面を被覆する部分を有するように設けられた熱収縮シートと、を備え、
前記熱収縮シートは、前記基材の露出面側の表面を被覆する部分の収縮率の方が、前記基材の遮蔽面側の表面を被覆する部分の収縮率よりも小さいことを特徴とする熱収縮シート被覆製品。
【請求項2】
請求項1に記載された熱収縮シート被覆製品において、
前記熱収縮シートには、前記基材の露出面側の表面を被覆する部分に多数の孔が形成されていることを特徴とする熱収縮シート被覆製品。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された熱収縮シート被覆製品において、
前記熱収縮シートには、前記基材の露出面側の表面を被覆する部分の前記基材側となる内側面に印刷柄が設けられていることを特徴とする熱収縮シート被覆製品。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載された熱収縮シート被覆製品において、
前記熱収縮シートには、前記基材の露出面側の表面を被覆する部分の前記基材側とは反対側の外側面に艶調整柄が設けられていることを特徴とする熱収縮シート被覆製品。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載された熱収縮シート被覆製品において、
前記熱収縮シートが前記基材を収容するように筒状に形成されていることを特徴とする熱収縮シート被覆製品。
【請求項6】
請求項5に記載された熱収縮シート被覆製品において、
前記筒状の熱収縮シートの少なくとも一方の開口を封じるように端部が熱融着されていることを特徴とする熱収縮シート被覆製品。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載された熱収縮シート被覆製品において、
前記基材の側面に沿った前記熱収縮シートの端部が前記基材の側面に形成された凹部に収容されていることを特徴とする熱収縮シート被覆製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は熱収縮シート被覆製品に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、熱収縮化粧シートで表面が被覆された建材等が普及している。例えば、特許文献1には、木質板の全面が熱収縮化粧シートで被覆された被覆木質板が開示されている。特許文献2には、ガラス繊維強化コンクリート板等が熱収縮化粧シートで被覆された無機質床材が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−220898号公報
【特許文献2】特開平5−59803号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、熱収縮化粧シートで表面が被覆された建材では、室内等に露出する露出面において、熱収縮化粧シートが不均一に熱収縮し、建材の露出面に現れる熱収縮化粧シートの表面柄が崩れてしまうという問題がある。
【0005】
本発明の課題は、熱収縮シートにおける基材の露出面側の表面を被覆する部分の不均一な熱収縮を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明では、熱収縮シートにおいて、基材の露出面側の表面を被覆する部分の収縮率を、基材の遮蔽面側の表面を被覆する部分の収縮率よりも小さくした。
【0007】
具体的には、請求項1に係る発明は、露出面及び遮蔽面を有する熱収縮シート被覆製品であって、前記露出面側の表面及び前記遮蔽面側の表面を有する基材と、前記基材の露出面側の表面を被覆する部分及び前記基材の遮蔽面側の表面を被覆する部分を有するように設けられた熱収縮シートと、を備え、前記熱収縮シートは、前記基材の露出面側の表面を被覆する部分の収縮率の方が、前記基材の遮蔽面側の表面を被覆する部分の収縮率よりも小さいことを特徴とする。
【0008】
上記の構成によれば、熱収縮シートにおける基材の露出面側の表面を被覆する部分の収縮率の方が、基材の遮蔽面側の表面を被覆する部分の収縮率よりも小さいので、熱収縮シートにおける基材の露出面側の表面を被覆する部分において、収縮量のばらつきが小さくなるため、不均一な熱収縮を抑制することができる。
【0009】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載された熱収縮シート被覆製品において、前記熱収縮シートには、前記基材の露出面側の表面を被覆する部分に多数の孔が形成されていることを特徴とする。
【0010】
上記の構成によれば、熱収縮シートにおける基材の露出面側の表面を被覆する部分での収縮量が少なく、また、そのばらつきが小さくなるので、孔が潰れてしまわずに、所望の形状及び大きさに揃った多数の孔が形成された構成を得ることができる。
【0011】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に記載された熱収縮シート被覆製品において、前記熱収縮シートには、前記基材の露出面側の表面を被覆する部分の前記基材側となる内側面に印刷柄が設けられていることを特徴とする。
【0012】
上記の構成によれば、熱収縮シートにおける基材の露出面側の表面を被覆する部分の基材側となる内側面に印刷柄が設けられているので、外側面が擦れても印刷柄が喪失することがない。
【0013】
請求項4に係る発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載された熱収縮シート被覆製品において、前記熱収縮シートには、前記基材の露出面側の表面を被覆する部分の前記基材側とは反対側の外側面に艶調整柄が設けられていることを特徴とする。
【0014】
上記の構成によれば、熱収縮シートにおける基材の露出面側の表面を被覆する部分の基材側とは反対側の外側面に艶調整柄が設けられているので、熱収縮シートの表面艶を消すことによって艶の高い意匠的な自由度の低いものとなるのを回避することができる。
【0015】
請求項5に係る発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載された熱収縮シート被覆製品において、前記熱収縮シートが前記基材を収容するように筒状に形成されていることを特徴とする。
【0016】
上記の構成によれば、熱収縮シートが基材を収容するように筒状に形成されているので、基材を筒状の熱収縮シートに収容して加熱するだけという簡単な加工で熱収縮シート被覆製品を得ることができ、また、露出面と遮蔽面との間の面にも熱収縮シートの意匠を現すことができ、そのため、その面を露出させて使用することができる。
【0017】
請求項6に係る発明は、請求項5に記載された熱収縮シート被覆製品において、前記筒状の熱収縮シートの少なくとも一方の開口を封じるように端部が熱融着されていることを特徴とする。
【0018】
上記の構成によれば、筒状の熱収縮シートの少なくとも一方の開口を封じるように端部が熱融着されているので、その端部に対応した面にも熱収縮シートの意匠を現すことができ、そのため、その面を露出させて使用することができる。
【0019】
請求項7に係る発明は、請求項1乃至6のいずれかに記載された熱収縮シート被覆製品において、前記基材の側面に沿った前記熱収縮シートの端部が前記基材の側面に形成された凹部に収容されていることを特徴とする。
【0020】
上記の構成によれば、基材の側面に沿った熱収縮シートの端部が基材の側面に形成された凹部に収容されているので、熱収縮シートの端部が熱収縮シート被覆製品の組み付け等の障害となるのを規制することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、熱収縮シートにおける基材の露出面側の表面を被覆する部分の収縮率の方が、基材の遮蔽面側の表面を被覆する部分の収縮率よりも小さいので、熱収縮シートにおける基材の露出面側の表面を被覆する部分での不均一な熱収縮を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1A】実施形態に係る熱収縮シート被覆製品の斜視図である。
【
図1B】実施形態に係る熱収縮シート被覆製品の断面図である。
【
図2】実施形態に係る熱収縮シート被覆製品の露出面側の表層の断面図である。
【
図3A】実施形態に係る熱収縮シート被覆製品の製造方法を示す第1の説明図である。
【
図3B】実施形態に係る熱収縮シート被覆製品の製造方法を示す第2の説明図である。
【
図4A】実施形態に係る熱収縮シート被覆製品の端部の一例の断面図である。
【
図4B】実施形態に係る熱収縮シート被覆製品の端部の他の一例の断面図である。
【
図5】実施形態に係る熱収縮シート被覆製品の接合構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、実施形態について詳細に説明する。
【0024】
図1A及びBは、実施形態に係る熱収縮シート被覆製品10を示す。実施形態に係る熱収縮シート被覆製品10は、住宅、オフィス、ホテルなどの建築物の内装、コンテナなどの構造物の構成部材、展示会などのイベント展示物等に用いられ、一方側が露出面10A及びその反対側の他方側が遮蔽面10Bにそれぞれ構成された矩形の板状部材である。
【0025】
実施形態に係る熱収縮シート被覆製品10は、本体を構成する基材11と、その基材11の露出面10A側の表面を被覆する部分及び基材11の遮蔽面10B側の表面を被覆する部分を有するように設けられた熱収縮化粧シート12とを備えている。
【0026】
基材11は、製品同様に板状に形成されており、露出面10A側の表面及び遮蔽面10B側の表面を有する。基材11は、例えば、樹脂材料、木質材料(無垢木材、合板、集成材、MDF、IBなど)、金属材料等で形成されている。機能性基材11は、リサイクル性の観点から、熱可塑性樹脂を主成分とする樹脂材料で形成されていることが好ましい。その熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS)、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ乳酸等が挙げられる。樹脂材料は、熱可塑性樹脂の他に、可塑剤、充填材、補強材、難燃剤、着色剤等の樹脂配合剤を含んでいてもよい。また、樹脂材料はリサイクル材料を含んでいてもよい。
【0027】
熱収縮化粧シート12は、延伸処理が施されたシート状の熱収縮性樹脂で形成され、それが熱収縮することにより、基材11の露出面10A側及び遮蔽面10B側のそれぞれの表面に接触して、それらの表面を非接着状態で被覆するように設けられている。熱収縮化粧シート12を形成する樹脂材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンやポリプロピレンのポリオレフィン、ポリノルボルネン、ポリイミド、ポリアミド、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル等が挙げられる。
【0028】
そして、実施形態に係る熱収縮シート被覆製品10では、熱収縮化粧シート12は、基材11の露出面10A側の表面を被覆する部分の収縮率の方が、基材11の遮蔽面10B側の表面を被覆する部分の収縮率よりも小さい。このような実施形態に係る熱収縮シート被覆製品10によれば、熱収縮化粧シート12における基材11の露出面10A側の表面を被覆する部分の収縮率の方が、基材11の遮蔽面10B側の表面を被覆する部分の収縮率よりも小さいので、熱収縮化粧シート12における基材11の露出面10A側の表面を被覆する部分において、収縮量のばらつきが小さくなるため、不均一な熱収縮を抑制することができる。それによって熱収縮シート被覆製品10の露出面10A側に現れる熱収縮化粧シート12に設けられた意匠の形状が崩れるのを抑制することができる。なお、熱収縮化粧シート12における基材11の露出面10A側を被覆する部分の収縮率は0%、つまり未収縮であってもよい。
【0029】
熱収縮化粧シート12は、基材11を収容するように筒状に形成されていることが好ましい。この場合、熱収縮化粧シート12は、延伸処理が施されたシート状の熱収縮性樹脂が、延伸方向が周方向となるように筒状に形成され、それに基材11が収容されて加熱されることにより周方向に熱収縮したものであることが好ましい。シート状の熱収縮性樹脂は、筒状の熱収縮化粧シート12の周方向の一方向のみが延伸方向とされる一軸延伸処理が施されたものであってもよく、また、筒状の熱収縮化粧シート12の周方向及び軸方向の二方向が延伸方向とされる二軸延伸処理が施されたものであってもよい。このように熱収縮化粧シート12が基材11を収容するように筒状に形成されていれば、基材11を筒状の熱収縮化粧シート12に収容して加熱するだけという簡単な加工で実施形態に係る熱収縮シート被覆製品10を得ることができ、また、露出面10A及び遮蔽面10B並びにそれらの間の両側面の4面に熱収縮化粧シート12の意匠を現すことができ、そのため、その両側面を露出させて使用することができる。
【0030】
また、筒状の熱収縮化粧シート12は、少なくとも一方の開口を封じるように端部が熱融着されていてもよい。このように筒状の熱収縮化粧シート12の少なくとも一方の開口を封じるように端部が熱融着されていると、その端部に対応した側面にも熱収縮化粧シート12の意匠を現すことができ、そのため、その側面を露出させて使用することができる。なお、筒状の熱収縮化粧シート12の一方の開口を封じるように端部が熱融着されている場合、露出面10A及び遮蔽面10B、一方の両側面、並びに他方の片側面の5面に熱収縮化粧シート12の意匠を現すことができ、また、筒状の熱収縮化粧シート12の両方の開口を封じるように端部が熱融着されている場合、露出面10A及び遮蔽面10B、一方の両側面、並びに他方の両側面の6面に熱収縮化粧シート12の意匠を現すことができる。
【0031】
熱収縮化粧シート12には、基材11の露出面10A側の表面を被覆する部分に多数の孔12aが形成されていてもよい。この場合、熱収縮化粧シート12における基材11の露出面10A側の表面を被覆する部分での収縮量が少なく、また、そのばらつきが小さくなるので、孔12aが潰れてしまわずに、所望の形状及び大きさに揃った多数の孔12aが形成された構成を得ることができる。これらの多数の孔12aは、基材11が消臭や吸音等の特有の機能を発現する場合に、その機能の発現効果を高める。なお、熱収縮化粧シート12における基材11の露出面10A側の表面を被覆する部分以外の基材11の遮蔽面10B側の表面を被覆する部分及びその他の部分にも多数の孔12aが形成されていてもよい。
【0032】
熱収縮化粧シート12には、
図2に示すように、基材11の露出面10A側の表面を被覆する部分に、露出面10Aに意匠を現すための印刷柄12bが設けられていてもよい。この場合、実施形態に係る熱収縮シート被覆製品10では、熱収縮化粧シート12における基材11の露出面10A側の表面を被覆する部分の収縮率の方が、基材11の遮蔽面10B側の表面を被覆する部分の収縮率よりも小さいので、熱収縮化粧シート12における基材11の露出面10A側の表面を被覆する部分において、収縮量のばらつきが小さくなるため、熱収縮シート被覆製品10の露出面10A側に現れる熱収縮化粧シート12に設けられた印刷柄12bが崩れるのを抑制することができる。また、この印刷柄12bは、熱収縮化粧シート12における基材11の露出面10A側の表面を被覆する部分の基材11側となる内側面に設けられていることが好ましい。このように熱収縮化粧シート12における基材11の露出面10A側の表面を被覆する部分の基材11側となる内側面に印刷柄12bが設けられていれば、外側面が擦れても印刷柄12bが喪失することがない。印刷柄12bは、例えば、水性インクや油性インクで構成されている。なお、熱収縮化粧シート12における基材11の露出面10A側の表面を被覆する部分以外の基材11の遮蔽面10B側の表面を被覆する部分及びその他の部分にも印刷柄12bが設けられていてもよい。
【0033】
また、熱収縮化粧シート12には、
図2に示すように、基材11の露出面10A側の表面を被覆する部分に、基材11側とは反対側の外側面に艶調整柄12cが設けられていてもよい。この艶調整柄12cは、例えば熱収縮化粧シート12の外側面に設けられる微細凹凸によって構成される。このように熱収縮化粧シート12における基材11の露出面10A側の表面を被覆する部分の基材11側とは反対側の外側面に艶調整柄12cが設けられていれば、熱収縮化粧シート12の表面艶を消すことによって艶の高い意匠的な自由度の低いものとなるのを回避することができる。艶調整柄12cは、熱収縮化粧シート12の外側面にショットブラスト等の加工を施して微細凹凸を形成したり、或いは、熱収縮化粧シート12の外側面にコーティング処理を施して低艶の表面塗膜層を形成したりすることにより設けることができる。なお、熱収縮化粧シート12における基材11の露出面10A側の表面を被覆する部分以外の基材11の遮蔽面10B側の表面を被覆する部分及びその他の部分にも艶調整柄12cが設けられていてもよい。
【0034】
次に、実施形態に係る熱収縮シート被覆製品10を筒状の熱収縮化粧シート12を用いて製造する方法について説明する。
【0035】
まず、第1ステップでは、
図3Aに示すように、延伸方向が幅方向とされた矩形のシート状の熱収縮性樹脂で構成された熱収縮化粧シート12を、延伸方向が周方向となるように端辺同士を加熱することにより熱融着部12dを構成して筒状に形成する。
【0036】
続いて、第2ステップでは、
図3Bに示すように、筒状の熱収縮化粧シート12に基材11を収容する。このとき、熱収縮化粧シート12の熱融着部12dを基材11の遮蔽面10B側に配置する。
【0037】
そして、第3ステップでは、熱収縮化粧シート12を被せた基材11を加熱する。このとき、熱収縮化粧シート12が周方向に収縮して基材11の露出面10A側及び遮蔽面10B側の表面並びに両側面に接触して、それらの表面を非接着状態で被覆し、実施形態に係る熱収縮シート被覆製品10が得られる。
【0038】
ここで、熱収縮化粧シート12において、基材11の露出面10A側の表面を被覆する部分の収縮率を、基材11の遮蔽面10B側の表面を被覆する部分の収縮率よりも小さくするには、第3ステップにおいて、まず、熱収縮化粧シート12の露出面10A側の部分を加熱せず、それ以外の部分を加熱して大きく熱収縮させた後、露出面10A側の部分を加熱して僅かに収縮させればよい。露出面10A側の部分以外の部分を加熱して熱収縮させるときには、露出面10A側の部分に張力を生じさせることが好ましい。或いはまた、熱収縮化粧シート12の露出面10A側の部分の加熱温度をそれ以外の部分の加熱温度よりも低くしてもよい。例えば、加熱炉内において、遮蔽面10B側の対向部分のみに加熱源を設けて加熱してもよく、また、熱収縮化粧シート12の露出面10A側の部分に冷却ガスを吹き付けて非接触冷却してもよく、更に、熱収縮化粧シート12の露出面10A側の部分に冷却部材を接触させて接触冷却してもよい。
【0039】
また、筒状の熱収縮化粧シート12の少なくとも一方の開口を封じるように端部を熱融着させる場合には、例えば、第1ステップにおいて、筒状の熱収縮化粧シート12の一方の開口を封じるように端部を熱融着して袋状とし、第2ステップにおいて、その袋状の熱収縮化粧シート12に基材11を収容し、熱収縮化粧シート12の他方の開口も封じるように端部を熱融着した後、第3ステップにおいて、熱収縮化粧シート12を熱収縮させてもよい。また、第2ステップにおいて、両側が開口した筒状の熱収縮化粧シート12に基材11を収容し、熱収縮化粧シート12の両方の開口を封じるように端部を熱融着した後、第3ステップにおいて、熱収縮化粧シート12を熱収縮させてもよい。これらの場合、熱収縮化粧シート12には、熱収縮時に内部の空気を排出するための空気排出部を設けておくことが必要である。
【0040】
或いは、第1ステップにおいて、筒状の熱収縮化粧シート12の一方の開口を封じるように端部を熱融着して袋状とし、第2ステップにおいて、その袋状の熱収縮化粧シート12に基材11を収容し、第3ステップにおいて、熱収縮化粧シート12を熱収縮させた後、熱収縮化粧シート12の他方の開口を封じるように端部を熱融着してもよい。また、第2ステップにおいて、両側が開口した筒状の熱収縮化粧シート12に基材11を収容し、第3ステップにおいて、熱収縮化粧シート12を熱収縮させた後、熱収縮化粧シート12の両方の開口を封じるように端部を熱融着してもよい。これらの場合、基材11の露出面10A側の表面及び遮蔽面10B側の表面並びに全側面を熱収縮化粧シート12で被覆して基材11を完全密封することができる。
【0041】
実施形態に係る熱収縮シート被覆製品10は、基材11の側面に沿った熱収縮化粧シート12の開口した端部又は熱融着した端部が組み付け等の障害となるのを規制する観点から、
図4A及びBに示すように、熱収縮化粧シート12の端部12eに対応する基材11の側面に溝11a(凹部)が形成され、その溝11aに熱収縮化粧シート12の端部12eが収容されていることが好ましい。溝11aは、
図4Aに示すようなV溝であってもよく、また、
図4Bに示すようなコの字溝であってもよく、更に、その他の形状であってもよい。
【0042】
実施形態に係る熱収縮シート被覆製品10は、
図5に示すように、熱収縮化粧シート12の端部12eに対応する側面が別の実施形態に係る熱収縮シート被覆製品10等の他の部材と接合して用いられる場合、熱収縮化粧シート12の端部12eの外部露出を防ぐ観点から、熱収縮化粧シート12の端部12eは、基材11の側面における接合面11a乃至接合面11aよりも遮蔽面10B側に設けられることが好ましい。
【0043】
上記実施形態では、矩形の板状部材の熱収縮シート被覆製品10としたが、特にこれに限定されるものではなく、三角形、丸形、星形、人型、動物型等のものであってもよく、また、立体状であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は熱収縮シート被覆製品の技術分野について有用である。
【符号の説明】
【0045】
10 熱収縮シート被覆製品
10A 露出面
10B 遮蔽面
11 基材
11a 溝
11b 接合面
12 熱収縮化粧シート
12a 孔
12b 印刷柄
12c 艶調整柄
12d 熱融着部
12e 端部